JP2007078395A - 光学装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学式圧力センサ1は、シリコン基板2の一方の基板面に形成された光導波路3と、他方の基板面に形成された受圧室5と、この受圧室5の底部に形成されたダイアフラム6とを備える。つまり、1つのシリコン基板に光導波路3、受圧室5およびダイアフラム6が一体形成されている。これにより、受圧室5に流入した流体の圧力により、ダイアフラム6が上下方向などに変位すると、その変位が正確かつ直接的にブラッググレーティング4に伝達される。従って、流体の圧力を高精度に、かつ、応答性良く検出することができる。
【選択図】 図1
Description
この光学式圧力センサ50は、光導波路51を備えており、光導波路51の両端には光ファイバ52,53が接続されている。光導波路51の光路の途中には、ブラッググレーティング(Bragg Grating)55が形成されている。ブラッググレーティング55は、凹部(溝)および凸部を交互に形成した周期的構造を有し、一定の波長の光のみを反射または透過させる機能を有する。
光導波路51は、シリコン基板56の一方の基板面に接着層59によって接着されている。シリコン基板56の他方の基板面には、ガラス基板54が接着されている。シリコン基板56およびガラス基板54からなる部分であって、ブラッググレーティング55の裏面に対応する部分には、検出対象となる流体が流入する受圧室57が形成されている。その受圧室57のうち、ブラッググレーティング55の裏面に対応する部分には、シリコン基板56を薄肉にすることにより、ダイヤフラム58が形成されている。なお、光学式圧力センサ50を使用する際には、光ファイバ52には発光素子(図示せず)が接続され、光ファイバ53には受光素子が接続される。
また、ブラッググレーティング55の複数の凹部(溝)および凸部は、エキシマレーザなどのレーザによって1つずつ加工するため、製造効率が低いという問題もある。
さらに、複数の計測ポイントで流体の圧力を検出するような場合は、発光素子および光学式圧力センサ50のセットを計測ポイントの数だけ使用しなければならないため、コストがかかるという問題もある。
ここで、「熱酸化」とは、シリコンが光透過可能なガラスに変化する熱酸化を意味する。
つまり、光導波路(3)の基となる部分を作る。
また、第1工程では、シリコンからなる複数の第2構造体(30)が各第2構造体間に第2間隙(31)を隔てて所定の第1間隙と交差した状態を、シリコン基板(2)の一方の基板面からエッチングすることにより作る。
つまり、ブラッググレーティング(4)の基となる部分を作る。
つまり、シリコンにより形成された各第1構造体(20)は、熱酸化によって膨張し、その膨張した各第1構造体(20a)によって各第1間隙が埋まる。
このとき、各第1間隙がそれぞれ縮小された状態で残るようにすることもできる。つまり、請求項5に記載するように、酸化シリコンに置き換えられた各第1構造体(20a)および縮小された各第1間隙(21a)からなる部分のうち、光の進行方向に沿った部分の一部がコア層(3a)として、他の一部がクラッド層(3b)としてそれぞれ機能するようにすることもできる。
また、第2工程では、酸化シリコンに置き換えられた各第2構造体(b)間に縮小された第2間隙(4a)がそれぞれ形成された状態を作る。
つまり、酸化シリコンに置き換えられた各第2構造体および縮小された各第2間隙が、光導波路(3)に配置されたブラッググレーティング(4)として機能するようにする。
ここで、請求項6または請求項7における「所定の第1間隙」とは、複数ある第1間隙のうちの一部または全部を意味する。また、「斜め」とは、請求項6に記載の「垂直」を除く意味であり、第2構造体および第2間隙と所定の第1間隙とが成す角度が0度より大きく、かつ、90度より小さいことを意味する。
ここで、「第2構造体および第2間隙を交互に形成する」とは、第2構造体および第2間隙の各形成位置が周期的になるように形成することを含む意味である。
ここで、「考慮して」とは、計算に入れてという概念を含む意味である。
第2工程では、ブロックの基となるものおよび光導波路の基となるものを熱酸化することにより、ブロックおよび各光導波路を作る。
つまり、第1および第2工程により、回折格子の機能を有するブロックと、このブロックから出射される各分割光の進行方向に配置される複数の光導波路とを一括して製造する。
ここで、「ミラー」とは、光を反射するものという意味であり、反射効率が100%のミラーの他、反射効率が100%未満のミラーを含む意味である。
ここで、「流れに沿うように」とは、1つの流れおよび複数の流れを含む意味である。
ここで、「加工」とは、エッチングおよび熱酸化などを意味する。
ここで、請求項22または請求項27における「単一」とは、唯一1つという意味である。
ここで、請求項12または請求項32における「流体」とは、水などの液体および空気などの気体の他、ガソリンおよび空気の混合気体、半流動体、超臨界流体、粒状物が集合した流体などを含む意味である。
ここで、請求項16または請求項34における「レンズ」とは、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸型または凹凸型のシリンドリカルレンズ、円柱レンズ、メニスカスレンズなどの各種のレンズを含み、コリメート、集光、拡散、分光、偏光などのレンズ効果を出すことができるものを意味する。
ここで、請求項14または請求項33または請求項40における「温度の変化に応じて変位するもの」とは、例えばシリコンや酸化シリコンにより形成されたものを含む意味であり、ブラッググレーティングが形成されている部分の裏面に相当する部分を含むものである。
つまり、従来のように、光導波路が接着層によって基板面に接着された構造ではなく、同じシリコン基板の一方の基板面にブラッググレーティングが形成され、他方の基板面に
変位部が形成された構造であるため、変位部に印加された力学量が接着層によって緩衝されてしまうことがない。
従って、変位部に印加された力学量を正確かつ直接的にブラッググレーティングに伝達することができるため、変位部に印加された力学量の検出精度および応答性を高めることができる。
また、請求項5に係る発明のように、酸化シリコンに置き換えられた各第1構造体および縮小された各第1間隙からなる部分のうち、光の進行方向に沿った部分の一部がコア層として、他の一部がクラッド層としてそれぞれ機能するようにすることにより、光導波路を正確に製造することができる。
つまり、同じシリコン基板に対してエッチングおよび熱酸化を行うだけでブラッググレーティングを有する光導波路を製造することができるため、光導波路を別工程で製造し、さらにその光導波路をレーザ加工してブラッググレーティングを形成する方法よりも製造効率を高めることができる。
従って、ブラッググレーティングを透過した光の強度などに基づいて、変位部に印加された力学量を0から検出することができる。
つまり、同じシリコン基板の予め位置決めされた部分に上記ブロックおよび各光導波路を形成するため、ブロックおよび各光導波路を個別に製造して組み合わせるものよりも、位置決め精度を高めることができる。
また、回折格子の機能を有するブロックおよび複数の光導波路からなる光学装置の製造効率を高めることができる。
従って、レンズおよび回折格子の両方の機能を高精度で発揮できる光学装置を実現することができる。また、単一の素子を製造すればよいため、光学装置の製造効率を高めることができ、かつ、製造コストを低くすることができる。
従って、ミラーを別の製造工程で製造し、シリコン基板の基板面に配置する製造方法よりも位置決め精度および製造効率を高めることができる。
また、シリコン基板のエッチングされた面は、鏡面であるため、それを反射面に設定した各ミラーは、反射率の高いミラーとして機能する。
従って、レンズおよび回折格子を有する光学装置の製造効率を高めることができ、かつ、その製造コストを低くすることができる。また、ブロック単体でレンズおよび回折格子の機能を有するため、それらを別個独立して製造する場合のようにレンズおよび回折格子の位置決めをする必要がない。
従って、必要な分割光の数に対応する間隙が形成されるようにブロックを製造することにより、レンズ効果で変化されたビーム形状の分割光を必要な数だけ出射する光学装置を製造することができる。
従って、別の製造工程にて製造した複数の光導波路を一方の基板面上に配置する構成のようにブロックおよび各光導波路の位置決めを行う必要がない。
従って、別の製造工程にて製造した複数の光導波路を一方の基板面上に配置する構成のようにブロックおよび各光導波路の位置決めを行う必要がない。
また、別の製造工程にて複数の光導波路を製造し、さらに各光導波路にそれぞれブラッググレーティングをレーザなどで加工する必要がないため、ブラッググレーティングを有する複数の光導波路および回折格子の機能を有するブロックの製造効率を高めることができる。
この発明の実施形態に係る光学装置およびその製造方法について図を参照して説明する。
この実施形態では、光学装置として光学式圧力センサについて説明する。図1は、この実施形態に係る光学式圧力センサの主要構造を示す説明図であり、(a)は光学式圧力センサの平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は(b)に示すブラッググレーティングの拡大図である。なお、前述した従来の光学式圧力センサと共通の構成および機能については説明を省略する。
この光学式圧力センサ1は、シリコン基板2の一方の基板面に形成された光導波路3と、他方の基板面に形成された受圧室5と、この受圧室5の底部に形成されたダイアフラム6とを備える。つまり、1つのシリコン基板に光導波路3、受圧室5およびダイアフラム6が一体形成されている。
これにより、受圧室5に流入した流体の圧力により、ダイアフラム6が上下方向などに変位すると、その変位が正確かつ直接的にブラッググレーティング4に伝達される。
従って、流体の圧力を高精度に、かつ、応答性良く検出することができる。
なお、流体とは、水などの液体および空気などの気体の他、ガソリンおよび空気の混合気体、半流動体、超臨界流体、粒状物が集合した流体などを含む意味である。
光導波路3の製造方法については後で詳述するが、光導波路3は、シリコン基板2の一方の基板面をエッチングおよび熱酸化することにより形成されている。つまり、光導波路3は、熱酸化されることにより透明のガラスに変化するとともに膨張するシリコンの性質を利用して形成されている。
つまり、各幅L1,L2が変化し、ブラッググレーティング4の周期が変化すると、その変化した周期に対応した波長の光のみがブラッググレーティング4を透過する。
従って、ブラッググレーティング4を透過し、受光素子によって受光された光の強度などに基づいて、ダイアフラム6を変位させた流体の圧力を検出することができる。
つまり、各幅L1,L2が変化し、ブラッググレーティング4の周期が変化すると、その変化した周期に対応した波長の光のみがブラッググレーティング4で反射される。
従って、ブラッググレーティング4を透過し、受光素子によって受光された光の強度などに基づいて、ダイアフラム6を変位させた流体の圧力を検出することができる。
次に、上記光学式圧力センサ1の製造方法について図2ないし図4を参照して説明する。
図2は、光学式圧力センサ1の製造工程を示す説明図であり、(a)は光導波路3を形成するためのエッチングマスクの平面図、(b)は(a)の一部拡大図、(c)は熱酸化後の光導波路3の平面図である。図3は、光学式圧力センサ1の製造工程を示す説明図であり、(a)は図2(b)のA−A矢視断面図およびB−B矢視断面図、(b)はDRIE工程終了後のA−A矢視断面図およびB−B矢視断面図、(c)はエッチングマスク除去後のA−A矢視断面図およびB−B矢視断面図、(d)は熱酸化後のA−A矢視断面図およびB−B矢視断面図を示す。図4は、受圧室の製造工程を示す説明図であり、(a)はエッチングマスクを配置した状態の断面図、(b)は受圧室が形成された状態の断面図、(c)はエッチングマスクが除去された状態の断面図である。なお、図2(b)は各工程において共通に使用する。
最初に、図2(a)に示すように、光導波路3およびブラッググレーティング4を形成するためのエッチングマスク11をシリコン基板2の一方の基板面にパターニングする。エッチングマスク11には、横長の複数の第1開口部11aと、縦長の複数の第2開口部11bとがそれぞれ開口形成されている。各第1開口部11aは、後のDRIE(ディープ反応性イオンエッチング)工程において第1トレンチ21を形成するための開口部であり、各第2開口部11bは、第2トレンチ31を形成するための開口部である。
各第1開口部11aは、光導波路3の内部を進行する光の進行方向に沿って形成されており、所定間隔置きに相互に平行に配置されている。各第2開口部11bは、光の進行方向と直交する姿勢で形成されており、所定間隔置きに相互に平行に配置されている。
次に、エッチングマスク11が配置された一方の基板面からDRIEを行う。これにより、図3(b)に示すように、各第1開口部11aに対応する部分には、第1トレンチ21がそれぞれ形成され、各第1トレンチ21の間には、第1構造体20がそれぞれ形成される。また、各第2開口部11bに対応する部分には、第2トレンチ31がそれぞれ形成され、各第2トレンチ31の間には、第2構造体30がそれぞれ形成される。
各第1構造体20および各第2構造体30の縦断面形状は、それぞれアスペクト比の高い(例えば、アスペクト比50)構造体に形成される。つまり、エッチングされたシリコン基板2の一方の基板面を平面視すると、光の進行方向に沿って複数の深い溝が相互に平行に走っているように見え、各溝が走る方向の途中に、それら各溝と直交する複数の深くて短い溝が相互に平行に配置されているように見える。
なお、RIEなどの他のエッチング手法でも凹凸形状を形成可能であるが、上記のようにアスペクト比の高い凹凸を形成するためにはDRIEを用いるのが望ましい。
次に、図3(c)に示すように、エッチングマスク11を除去する。エッチングマスク11の除去には、エッチング、フォトリソグラフィなどの手法を用いることができる。
次に、各第1構造体20および各第1トレンチ21からなる部分と、各第2構造体30および各第2トレンチ31からなる部分とを熱酸化し、各構造体を透明ガラス化する。これにより、シリコンにより形成された各第1構造体20はそれぞれ酸化シリコンに置き換わって透明ガラス化され、各第1トレンチ21は、熱酸化により膨張した第1構造体20、つまり酸化シリコンにより形成された第1構造体20aによってそれぞれ埋め込まれる。これにより、ガラス製の光導波路3が完成する。
光導波路3を構成するコア層(光閉じ込め領域)およびクラッド層は、縮小された第1トレンチ21の形状および大きさによって形成領域が変化する。例えば、光の進行方向に沿った上部(図3(d)に示す光導波路3の断面のうち上部)がコア層3aとして機能し、下部(図3(d)に示す光導波路3の断面のうち下部)がクラッド層3bとして機能する。
このように、各第2構造体30は熱酸化により膨張するため、熱酸化後の第2構造体4bおよび第2トレンチ4aの各幅の目標値は、その熱膨張を考慮して設定する必要がある。このため、第2構造体30および第2トレンチ31の各幅、つまりエッチングマスク11の第2開口部11bの開口幅および第2開口部11bの配置間隔は、上記のような考慮をした上で設定する。
次に、図4(a)に示すように、受圧室5の開口形状に対応した形状に形成されたエッチングマスク12を、シリコン基板2の他方の基板面であって、ブラッググレーティング4の裏面に対応する部分に配置する。また、シリコン基板2の一方の面に形成された光導波路3の上をレジスト材料などの保護材13によって覆う。
次に、水酸化カリウム(KOH)水溶液または水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いたウエットエッチング、あるいはプラズマエッチングなどのドライエッチングを施すことにより、受圧室6を形成するとともに、その底部にダイアフラム6を形成する(図4(b))。
なお、上記のマスクパターニング、DRIEおよびエッチングマスク除去の工程が、この発明の請求項4に記載の第1工程に対応し、熱酸化の工程が第2工程に対応する。
(1)以上のように、第1実施形態の光学式圧力センサ1およびその製造方法によれば、ブラッググレーティング4を有する光導波路3をシリコン基板2の一方の基板面に形成し、他方の基板面にダイアフラム6を形成することができる。
つまり、従来のように、光導波路が接着層によって基板面に接着された構造ではなく、同じシリコン基板2の一方の基板面にブラッググレーティング4が形成され、他方の基板面にダイアフラム6が形成された構造であるため、ダイアフラム6に印加された圧力が接着層によって緩衝されてしまうことがない。
従って、ダイアフラム6に印加された圧力を正確にブラッググレーティング4に伝達することができるため、ダイアフラム6に印加された圧力の検出精度を高めることができる。
つまり、同じシリコン基板2に対してエッチングおよび熱酸化を行うだけでブラッググレーティング4を有する光導波路3を製造することができるため、光導波路を別工程で製造し、さらにその光導波路をレーザ加工してブラッググレーティングを形成する方法よりも製造効率を高めることができる。
従って、ブラッググレーティング4を透過した光の強度などに基づいて、ダイアフラム6に印加された圧力を0から検出することができる。
次に、この発明の第2実施形態に係る光学装置およびその製造方法ついて図5ないし図8を参照して説明する。
図5は、この実施形態に係る光学式圧力センサの斜視図であり、図6は、図5の一部を拡大して示す平面図である。図7は、図5に示す光学式圧力センサの製造方法の説明図であり、(a)はエッチングマスクの平面図、(b)は熱酸化後の光学式圧力センサの平面図である。図8は、図5に示す光学式圧力センサに備えられた光学素子の製造方法の説明図であり、(a)はエッチングマスクが施された光学素子の斜視図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)はエッチングされた状態の断面図、(d)はエッチングマスクが除去された状態の断面図、(e)は熱酸化後の断面図である。
図5に示すように、シリコン基板2の一方の基板面には、レーザダイオード素子(以下、LD素子と略す)64が搭載されており、このLD素子64の出射側には、LD素子64から出射されたレーザ光をコリメートする速軸用レンズとしての円柱レンズ62が搭載されている。LD素子64および円柱レンズ62は、それらを基板面上に位置決めするとともに、保持するための位置決め部材63によって位置決めされた状態で保持されている。
光学素子70から出射された+1次光および−1次光の進行方向には、分割光を光導波路3の入射端へ反射するミラー61がそれぞれ基板面と一体形成されている。
シリコン基板2の他方の基板面であって、各光導波路3に備えられた各ブラッググレーティング4の裏面に対応する部分には、それぞれ受圧室5が形成されており、各受圧室5の底部にはダイアフラム6がそれぞれ形成されている。また、各ダイアフラム6は、検出対象となる流体の流れに沿うように配置され、流体の複数箇所における圧力などを検出するように構成されている。
つまり、光学式圧力センサ60は、単一のLD素子64と、単一の円柱レンズ62と、単一の光学素子70と、複数のミラー61と、複数の光導波路3と、複数の受圧室5と、複数のダイアフラム6とから構成される。
(マスクパターニング)
最初に、図7(a)に示すように、位置決め部材63を形成するためのエッチングマスク63aと、光学素子70を形成するためのエッチングマスク73と、ミラー61を形成するためのエッチングマスク61bと、光導波路3を形成するためのエッチングマスク11とをシリコン基板2の一方の基板面にパターニングする。
図8(b)に示すように、光学素子70のエッチングマスク73は、次のエッチング工程において第3トレンチ71および第3構造体72を形成するための形状にパターニングする。
次に、各エッチングマスクが配置された一方の基板面からDRIEを行う。これにより、基板面は、各エッチングマスクのパターンに対応した形状に加工される。光学素子70は、図8(c)に示すように、第3トレンチ71および第3構造体72が交互に配置された形状に加工される。各第3トレンチ71は、それぞれアスペクト比の高い(例えば、アスペクト比50)溝状に形成され、各第3構造体72は、それぞれアスペクト比の高い(例えば、アスペクト比50)柱状に形成される。
また、各光導波路3は、前述の第1実施形態において図3(b)に示した形状にそれぞれ形成される。また、エッチングマスク63aに対応する基板面上には、図5に示した位置決め部材63が形成され、エッチングマスク61bに対応する基板面上には、図5に示したミラー61が形成される。ミラー61は、シリコン基板2のエッチングされた面が鏡面となる特性を利用しており、そのエッチング面を反射面61a(図6)として用いる。
次に、各エッチングマスクを除去する。エッチングマスクの除去には、エッチング、フォトリソグラフィなどの手法を用いることができる。
次に、位置決め部材63およびミラー61など、熱酸化の対象とならない部分に酸化マスクを施した後、エッチングマスク73,11に対応する基板面上に形成された各構造体を熱酸化する。これにより、図8(e)に示すように、各第3構造体72はそれぞれ酸化シリコンに置き換わって透明ガラス化され、各第3トレンチ71は、酸化シリコンに置き換わった第3構造体72aによって幅方向に縮小され、縮小された第3トレンチ71aとなる。この縮小された各第3トレンチ71aが、回折格子として機能する。また、各エッチングマスク11に対応する部分には、前述の第1実施形態において図3(d)に示したように、光導波路3がそれぞれ形成される。
次に、前述の第1実施形態において図4(a)に示したように、受圧室5の開口形状に対応した形状に形成されたエッチングマスク12を、シリコン基板2の他方の基板面であって、各ブラッググレーティング4の裏面に対応する部分にそれぞれ配置する。また、シリコン基板2の一方の面をレジスト材料などの保護材13によって覆う。
次に、水酸化カリウム(KOH)水溶液または水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いたウエットエッチング、あるいはプラズマエッチングなどのドライエッチングを施すことにより、各受圧室6を形成するとともに、それらの各底部にダイアフラム6をそれぞれ形成する(図4(b))。
次に、一方の基板面上に形成された位置決め部材63を利用してLD素子64および円柱レンズ62をそれぞれ位置決めして基板面上に取付ける(図5)。
なお、上記のマスクパターニング、DRIEおよびエッチングマスク除去の工程が、この発明の請求項15に記載の第1工程に、熱酸化の工程が第2工程に、ダイアフラムの形成工程が第3工程にそれぞれ対応する。
(1)以上のように、第2実施形態の光学式圧力センサ60およびその製造方法によれば、複数の測定点における流体の圧力を検出する複数の光学式圧力センサを1つのシリコン基板に一括して形成することができるため、個々に製造する方法よりも製造効率を高めることができる。
しかも、各光学式圧力センサは、前述の第1実施形態の光学式圧力センサ1と同じ構造であるため、複数の測定点における圧力を高精度に検出することができる。
つまり、同じシリコン基板2の予め位置決めされた部分に光学素子70および各光導波路3を形成するため、光学素子および各光導波路3を個別に製造して組み合わせるものよりも、位置決め精度を高めることができる。
また、光学素子70および複数の光導波路3からなる光学式圧力センサ60の製造効率を高めることができる。
従って、各ミラー61を別の製造工程で製造し、シリコン基板2の基板面に配置する製造方法よりも位置決め精度および製造効率を高めることができる。
従って、レンズおよび回折格子を有する光学装置の製造効率を高めることができ、かつ、その製造コストを低くすることができる。
また、光学素子70単体でレンズおよび回折格子の機能を有するため、それらを別個独立して製造する場合のようにレンズおよび回折格子の位置決めをする必要がない。
従って、必要な分割光の数に対応する第3トレンチ71aが形成されるように光学素子70を製造することにより、レンズ効果で変化されたビーム形状の分割光を必要な数だけ出射する光学装置を製造することができる。
従って、別の製造工程にて製造した複数の光導波路3を一方の基板面上に配置する構成のように光学素子70および各光導波路3の位置決めを行う必要がない。
また、別の製造工程にて複数の光導波路3を製造し、さらに各光導波路3にそれぞれブラッググレーティング4をレーザなどで加工する必要がないため、ブラッググレーティングを有する複数の光導波路3および光学素子70の製造効率を高めることができる。
(1)ブラッググレーティング4を形成するための各第2構造体30および各第2トレンチ31を、それぞれ第1トレンチ21と斜めに交差するように製造することもできる。
このように製造することにより、ブラッググレーティング4に入射する光の一部または全部を光導波路3の側方外部へ反射させることが可能となる。
これらの構成を適用した場合でも、温度に応じて変位する変位部がブラッググレーティング4の裏面に直接形成されるため、変位部、または変位部近傍の温度を高精度で検出することができる光学装置を実現することができる。また、その光学装置の製造効率を高めることができる。
4・・ブラッググレーティング、4a・・縮小された第2トレンチ、
4b・・縮小された第2構造体、5・・受圧室、6・・ダイアフラム、
7,8・・光ファイバ、9・・ガラス基板、
11,12,61b,63a,73・・エッチングマスク、20・・第1構造体、
20a・・酸化された第1構造体、21・・第1トレンチ、
21a・・縮小された第1トレンチ、30・・第2構造体、31・・第2トレンチ、
60・・光学式圧力センサ、61・・ミラー、62・・円柱レンズ、
63・・位置決め部材、64・・LD素子、70・・光学素子。
Claims (39)
- 光路の途中にブラッググレーティングを有する光導波路と、そのブラッググレーティングの近傍に配置され、力学量の印加によって変位する変位部とを備えており、前記変位部の変位によって前記ブラッググレーティングの周期を変化させ、前記光導波路の一端から出射される光の変化に基づいて前記変位部に印加された力学量を検出する光学装置の製造方法において、
前記ブラッググレーティングを有する光導波路をシリコン基板の一方の基板面に形成し、他方の基板面に前記変位部を形成することを特徴とする光学装置の製造方法。 - 前記ブラッググレーティングを有する光導波路は、前記一方の基板面からのエッチングおよびエッチングされた部分の熱酸化により形成することを特徴とする請求項1に記載の光学装置の製造方法。
- 前記変位部は、他方の基板面のうち、前記ブラッググレーティングの裏面に対応する部分をエッチングすることにより形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学装置の製造方法。
- シリコンからなる複数の第1構造体が各第1構造体間に第1間隙を隔てて形成されており、かつ、シリコンからなる複数の第2構造体が各第2構造体間に第2間隙を隔てて所定の第1間隙と交差した状態を、シリコン基板を一方の基板面からエッチングすることにより作る第1工程と、
熱酸化により、前記各第1および各第2構造体をそれぞれ酸化シリコンに置き換えることにより、各第1間隙を酸化シリコンに置き換えられた第1構造体によってそれぞれ埋めるとともに、酸化シリコンに置き換えられた前記各第2構造体間に縮小された第2間隙がそれぞれ形成された状態を作る第2工程とを有し、
前記酸化シリコンに置き換えられた各第1構造体および縮小された各第1間隙からなる部分が前記光導波路として機能し、前記酸化シリコンに置き換えられた各第2構造体および縮小された各第2間隙からなる部分が前記ブラッググレーティングとして機能するように製造することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。 - 前記酸化シリコンに置き換えられた各第1構造体および縮小された各第1間隙からなる部分のうち、光の進行方向に沿った部分の一部がコア層として、他の一部がクラッド層としてそれぞれ機能するように製造することを特徴とする請求項4に記載の光学装置の製造方法。
- 前記第1工程では、前記各第2構造体および各第2間隙を、それぞれ前記所定の第1間隙と垂直に交差するように形成することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の光学装置の製造方法。
- 前記第1工程では、前記各第2構造体および各第2間隙を、それぞれ前記所定の第1間隙と斜めに交差するように形成することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の光学装置の製造方法。
- 前記第1工程では、前記第2構造体および第2間隙を交互に形成することを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 光の進行方向に沿った長さを幅と定義した場合に、前記酸化シリコンに置き換えられた第2構造体の幅が、その第2構造体内における透過光の波長の1/4となり、かつ、前記縮小された第2間隙の幅が、その第2間隙内における透過光の波長の1/4となるように製造することを特徴とする請求項4ないし請求項8のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 光の進行方向に沿った長さを幅と定義した場合に、前記各第2構造体および各第2間隙の各幅は、酸化シリコンに置き換えられたときの前記各第2構造体の膨張を考慮して設定することを特徴とする請求項4ないし請求項9のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 前記変位部は、圧力を受けて変位するダイアフラムであることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 被測定対象となる流体が流入する受圧室を前記他方の基板面に形成し、その受圧室の底面を前記ダイアフラムに形成することを特徴とする請求項11に記載の光学装置の製造方法。
- 前記受圧室は、前記シリコン基板の他方の基板面からエッチングすることにより形成することを特徴とする請求項12に記載の光学装置の製造方法。
- 前記変位部は、温度の変化に応じて変位するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 酸化シリコンからなり、回折格子の機能を有するブロックと、このブロックから分割して出射される複数の分割光をそれぞれ入射するための複数の前記光導波路とを前記シリコン基板に形成する製造方法であって、
前記第1工程および第2工程により、前記ブラッググレーティングを有する複数の前記光導波路を前記一方の基板面の前記各分割光の進行方向にそれぞれ形成し、
第3工程では、前記他方の基板面のうち各ブラッググレーティングに対応する各箇所にそれぞれ前記変位部を形成し、
さらに、前記第1工程では、前記一方の基板面からエッチングすることにより、シリコンからなる複数の第3構造体が、各第3構造体間に第3間隙を隔ててシリコン基板に並設された状態をも作り、
さらに、前記第2工程では、熱酸化により酸化シリコンに置き換えられた各第3構造体間に前記回折格子として機能する縮小された第3間隙が形成された前記ブロックを形成することを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。 - 自身を透過する光のビーム形状をレンズ効果で変化させつつ、その変化した光を、回折格子として機能する前記縮小された各第3間隔で規定される方向に複数の分割光として出射する機能を有するように前記ブロックを製造することを特徴とする請求項15に記載の光学装置の製造方法。
- 前記ブロックは、光の入射面が平面で出射面が凸面のシリンドリカルレンズとしての機能を有することを特徴とする請求項16に記載の光学装置の製造方法。
- 前記第1工程では、
前記一方の基板面からエッチングすることにより、シリコンからなる第4構造体をミラーとして前記各分割光の進行方向にそれぞれ形成し、
ミラーで反射した分割光が、対応する光導波路にそれぞれ導かれるように製造することを特徴とする請求項15ないし請求項17のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。 - 熱酸化された各第4構造体の前記分割光の各反射面にそれぞれ反射材を形成することを特徴とする請求項18に記載の光学装置の製造方法。
- 前記ブロックの入射面に対して光を出射する単一の光源を配置することを特徴とする請求項15ないし請求項19のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 前記各変位部は、検出対象となる流体の流れに沿うように配置することを特徴とする請求項15ないし請求項20のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- シリコン基板を一方の基板面からエッチングすることにより、シリコンからなる複数の構造体が、各構造体間に間隙を隔ててシリコン基板に並設された状態を作り出す第1工程と、
熱酸化により、各構造体を酸化シリコンに置き換えることにより、熱酸化された各構造体間に縮小された前記間隙が形成されたブロックを作り出す第2工程とを有し、
前記ブロックがレンズおよび回折格子の両方の機能を有するように製造することを特徴とする光学装置の製造方法。 - 前記ブロックは、自身を透過する光のビーム形状をレンズ効果で変化させつつ、その変化した光を、回折格子として機能する前記縮小された各間隔で規定される方向に複数の分割光として出射することを特徴とする請求項22に記載の光学装置の製造方法。
- 前記一方の基板面をエッチングおよび熱酸化することにより、前記分割光を入射する光学素子をそれぞれ各分割光の進行方向にそれぞれ形成することを特徴とする請求項22または請求項23に記載の光学装置の製造方法。
- 前記ブロックの入射面に対して光を出射する単一の光源を配置することを特徴とする請求項22ないし請求項24のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 前記ブロックは、光の入射面が平面で出射面が凸面のシリンドリカルレンズの機能を有することを特徴とする請求項22ないし請求項25のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 前記シリコン基板に代えてSOI基板を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項26のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
- 光路の途中にブラッググレーティングを有する光導波路と、そのブラッググレーティングの近傍に配置され、力学量の印加によって変位する変位部とを備えており、前記変位部の変位によって前記ブラッググレーティングの周期を変化させ、前記光導波路の一端から出射される光の変化に基づいて前記変位部に印加された力学量を検出する光学装置において、
前記ブラッググレーティングを有する光導波路がシリコン基板の一方の基板面に形成されており、前記変位部が他方の基板面に形成されてなることを特徴とする光学装置。 - 前記変位部は、圧力を受けて変位するダイアフラムであることを特徴とする請求項28に記載の光学装置。
- 被測定対象となる流体が流入する受圧室が前記他方の基板面に形成されており、その受圧室の底面が前記ダイアフラムに形成されていることを特徴とする請求項29に記載の光学装置。
- 前記変位部は、温度の変化に応じて変位するものであることを特徴とする請求項28に記載の光学装置。
- シリコン基板の一方の基板面をエッチングおよび熱酸化することにより形成された光学装置であって、酸化シリコンによりレンズ形状に形成されており、かつ、回折格子の機能を有する間隙が内部に形成されており、自身を透過する光のビーム形状をレンズ効果で変化させつつ、その変化した光を、前記各間隔で規定される方向に複数の分割光として出射するように構成されてなることを特徴とする光学装置。
- 前記一方の基板面における前記各分割光の進行方向には、前記一方の基板面をエッチングおよび熱酸化することにより形成された酸化シリコンからなる光学素子が前記分割光を入射するようにそれぞれ配置されてなることを特徴とする請求項32に記載の光学装置。
- 前記各光学素子は、前記一方の基板面をエッチングおよび熱酸化することにより形成された光導波路であることを特徴とする請求項33に記載の光学装置。
- 前記各光導波路は、前記一方の基板面をエッチングおよび熱酸化することにより形成されたブラッググレーティングを光路の途中にそれぞれ有し、かつ、力学量の印加によって変位する変位部であって、前記シリコン基板の他方の基板面のうち、前記ブラッググレーティングの裏面に対応する部分をエッチングすることにより形成された変位部をそれぞれ有することを特徴とする請求項34に記載の光学装置。
- 前記変位部は、圧力を受けて変位するダイアフラムであることを特徴とする請求項35に記載の光学装置。
- 被測定対象となる流体が流入する受圧室が前記他方の基板面に形成されており、その受圧室の底面が前記ダイアフラムに形成されていることを特徴とする請求項36に記載の光学装置。
- 前記変位部は、温度の変化に応じて変位するものであることを特徴とする請求項35に記載の光学装置。
- 前記シリコン基板に代えてSOI基板が用いられていることを特徴とする請求項28ないし請求項38のいずれか1つに記載の光学装置。
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