JP4677427B2 - 光デバイス - Google Patents
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Description
特許文献1の図1乃至3に記載されている光デバイスは2×2型の光スイッチであって、光ファイバが設置される4本の溝が十字状をなすように基板上に形成され、それら4本の溝が交差する交差部に可動ロッドの先端に設けられた可動ミラーが位置され、可動ロッドは4本のヒンジによって可動自在に支持されると共に、その中間部分に構成された櫛歯型静電アクチュエータによって駆動されるものとなっており、可動ミラーの交差部への挿抜によって4本の溝にそれぞれ設置された光ファイバ間の光路(光結合)が切り換えられるものとなっている。
なお、これら特許文献1及び2に記載された光デバイスのいずれにおいても光ファイバの先端には光軸に対して斜めに研磨されてなる傾斜端面が形成されており、これにより光ファイバ端面での光の反射に起因する(反射戻り光による)反射減衰を回避することができるものとなっている。
一方、光ファイバはその光軸が基板板面と平行されて溝に設置されており、先端の傾斜端面は基板板面とは垂直とされている。従って、光ファイバの先端面から出射する出射光の光軸は基板板面と平行な平面内に位置するものとなっている。
特に、特許文献1や特許文献2に記載されている光デバイスのように、光が伝播する空間内に基板板面に垂直なミラー面が存在する場合には、その反射率の高さから、このような迷光(結合エラー分の光や反射漏洩光)による反射減衰の悪化は重大な問題となる。
極を具備してなる櫛歯型静電アクチュエータとされ、第1、第2及び第3の光導波手段はそれぞれロッドレンズ付光ファイバとされる。
図1はこの発明による光デバイスの一実施例として、1×2型の光スイッチの構成を示したものであり、この例では光スイッチはMEMSで構成され、後述の図6−1に示すように単結晶シリコンよりなるハンドル層11とデバイス層12との間にシリコン酸化膜よりなる中間絶縁層13が挟まれてなるSOI(Silicon on insulator)基板10を使用して作製されている。なお、以下に説明する各構成要素はハンドル層11上のデバイス層12、中間絶縁層13を適宜、エッチング除去することによって形成されている。
3つの溝21〜23の内端が併合されて形成された凹部24には固定ミラー25が配置され、さらに可動ミラー26が配置されている。固定ミラー25は凹部24の側壁面から突出するように形成されており、可動ミラー26は可動ロッド27の先端に一体形成されている。
図2は図1に対し、各溝21〜23に光ファイバの端部が収容配置された状態の要部詳細を拡大して示したものであり、この例では溝21に設置された光ファイバ51から光が出射され、その光が溝22,23に設置された光ファイバ52,53に選択的に光結合されるものとなっている。
図4は光ファイバ51から出射された出射光61が斜め上方に向かって固定ミラー25のミラー面25aで反射され、その反射光62が光ファイバ52に入射する様子を示したものであり、前述したように光ファイバ52は光ファイバ51より高い位置に位置されているため、反射光62は図4に示したように光ファイバ52に入射し、良好に光結合する。なお、固定ミラー25のミラー面25aはSOI基板10の板面と垂直になっている。光ファイバ51〜53の傾斜端面の傾斜角α(図5参照)は例えば8°とされる。
H1=103μm
H2= 68μm
従って、光ファイバ51と光ファイバ52,53との高低差(=溝21の深さH1と溝22,23の深さH2との差)Hは、
H =H1−H2
=35μm
となる。なお、光ファイバ51〜53は溝21〜23の側壁で位置決めされるため、これら溝21〜23の深さH1,H2は少なくともファイバ径の半分(62.5μm)以上にする必要があり、余裕をもってH2=68μmとしている。
n・sinα=1・sin(α+β)
β=sin−1(nsinα)−α
で表され、ここで、n=1.46、α=8°とすると、
β=3.72°
となる。従って、例えば図4において光ファイバ51から出射され、ミラー面25aでの反射を介して光ファイバ52に至る伝播光(出射光61、反射光62)の光路長Lは、
L=H/sinβ
より、この例では約540μmとなっている。
可動櫛歯電極41と導通されている固定部33及び第1固定櫛歯電極38をそれぞれアース(接地)した状態で第2固定櫛歯電極39に電圧を印加すれば、第2固定櫛歯電極39と可動櫛歯電極41との間に静電引力が働き、その力が第1安定状態におけるヒンジ31a,31b,32a,32bの保持力よりも大きい場合、ヒンジ31a,31b,32a,32bは第2安定状態へと反転し、電圧の印加を絶ってもその状態で自己保持される。この時、可動ロッド27は可動ミラー26を凹部24内にさらに進入させるようにその延伸方向に変位し、これにより可動ミラー26は図2に破線で示したように光ファイバ51から出射される出射光61の光路上に挿入される。従って、出射光61は可動ミラー26のミラー面26aで反射されて、その反射光63が光ファイバ53に入射される。図2に示すように、ミラー面26aを矢印で示すようにそのミラー面内方向に駆動することにより、ミラー面26a上の反射位置によらず、反射光63の光軸を一定位置に保持することができる。
このように、この例ではヒンジ31a,31b,32a,32bは双安定型の構造となっており、櫛歯型静電アクチュエータを駆動することにより、可動ミラー26が駆動され、固定ミラー25の手前の位置に挿抜されて光路が切り換えられる。なお、第1固定櫛歯電極38及び第2固定櫛歯電極39への電圧の印加は例えば端子部45a,45b,46a,46bにそれぞれボンディングワイヤを接続し、それらボンディングワイヤを介して行われる。
図6−1,6−2は上述したMEMS光スイッチを作製するためのプロセスを模式的に示したものであり、以下、各工程について説明する。なお、図中、最終的に各溝21〜23となる部分には例えば221,222のように溝の符号に添字をつけて示している。
(2)シリコン酸化膜14上にレジスト15を塗布し、フォトリソグラフィによりレジスト15に溝22,23のパターニングをする。
(3)レジスト15をマスクとしてRIE(反応性イオンエッチング)によりシリコン酸化膜14をパターニングする。この際、図に示したようにシリコン酸化膜14を完全にエッチング除去するのではなく、所要厚さ残すようにする。
(5)レジスト15’をマスクとしてRIEによりシリコン酸化膜14をパターニングする。この際、下地のデバイス層12が露出するまでエッチングを行う。
(6)レジスト15’を除去する。
(7)ICP(誘導結合プラズマ)を利用したRIEにより、溝22,23を除いたパターンについて、中間絶縁層13が露出するまでシリコン酸化膜14のマスクから露出しているデバイス層12をほぼ垂直にエッチングする。ここで、シリコン酸化膜14の、溝22,23のパターンが形成されている部分もエッチングされるものの、この部分は中間絶縁層13が露出するまでには至らず、溝21部分とは深さの異なる溝22,23が形成される。
(9)可動ミラーや固定ミラー及び電極パッドといった部位にスパッタにより金属膜18を形成する。金属膜18は例えばAu/Pt/Ti多層膜とされる。
そして、溝21〜23に光ファイバ51〜53を実装することによって光スイッチが完成する。
溝21と溝22,23との深さの差を前述したようにH=35μmとする場合、SOI基板10の中間絶縁層13の厚さを3μmとすると、デバイス層12における溝22,23部分のエッチングが溝21部分のエッチングより32μm遅れるようにすればよく、ここでICP−RIEによるエッチングレートが例えば、
Si(デバイス層12) :1μm/min
SiO2(シリコン酸化膜14):0.01μm/min
とすると、工程(3)において溝22,23部分に残すシリコン酸化膜14の膜厚は0.32μmとなる。なお、この工程(3)におけるシリコン酸化膜14の残存膜厚は最終的には(厳密には)製造装置の特性に応じて条件出しされる。
従って、光ファイバ51から出射されて光ファイバ52や光ファイバ53に結合しなかった迷光は斜め上方に進み続けることになり、たとえ凹部24の垂直な側壁面で多重反射しても出射元の光ファイバ51に戻ることはない。よって、迷光の光ファイバ51への再結合はありえず、反射減衰を完全に排除することができる。
図7はそのような一体の可動ミラー26’を示したものであり、この可動ミラー26’は可動ミラー26の先端に固定ミラー25の構成が一体に形成されたものとなっている。可動ミラー26’は可動ミラー26と同様、可動ロッド27の先端に一体形成される。なお、櫛歯型静電アクチュエータによる可動ミラー26’の駆動方向は図2に示した可動ミラー26の場合と同様、ミラー面26aと平行方向とされ、また光スイッチ作製後の初期状態は図7に実線で示したようにミラー面26aが光路から退避され、ミラー面25aに入射光61が入射する状態とする。
光ファイバ74,75の先端にはその一方から出射する出射光の光軸が基板板面と垂直方向において他方が位置する側に向くように偏向する傾斜端面がそれぞれ形成されており、この例では光ファイバ74から出射された出射光が光ファイバ75に光結合されるものとなっている。
図9はこの発明のさらに他の実施例を示したものであり、この例では一方の光ファイバから出射された光が他方の光ファイバに入射される構成において、その光のパワー(光量)をモニタすることができるものとなっている。
この例では光ファイバ84から出射された光は一部透過型反射ミラー87でその大部分が反射されて光ファイバ85に結合されると共に、その一部が透過して受光素子88に入射するものとなっており、これにより例えば光パワーの監視を行うことができるものとなっている。なお、この例においても溝82,83の深さは異なるものとされて光ファイバ85は光ファイバ84より基板板面と垂直方向において高い位置に位置され、つまりこれら光ファイバ84,85は前述の図4に示した光ファイバ51,52と同様の関係に配置され、かつ光ファイバ84,85の先端には図4に示した光ファイバ51,52と同様の傾斜端面が形成されているものとされる。
以上、光導波手段として光ファイバを用いる各種実施例について説明したが、光導波手段は光ファイバに限らず、例えば基板上に形成された光導波路であってもよい。なお、例えば図1〜5で示した実施例では3本の光ファイバはその先端に集光手段としてロッドレンズをそれぞれ備えたものとなっているが、例えば互いに光結合される一方の光ファイバにのみ、集光手段を設けるようにしてもよい。
一方、上述した実施例ではいずれも基板に、その基板板面に垂直な側壁面を有する凹部が形成され、その凹部内を伝播する伝播光を介して複数の光ファイバ(光導波手段)が互いに光結合される構成となっているが、凹部は必ずしも基板内に形成される凹部でなくとも、板面に垂直な側壁面で少なくとも部分的に囲われる空洞であって、その内部の自由空間を光導波手段の端部同士を光結合する伝播光が伝播するものであればよく、つまり例えば基板に垂直方向に形成された貫通孔や側壁面が基板の構成材(構成層)以外のもので形成される空洞などを有する光デバイスにもこの発明は及ぶ。
Claims (3)
- 基板上に第1及び第2の光導波手段の端部がそれぞれその光軸が基板板面と平行とされて配置され、それら第1の光導波手段の端部と第2の光導波手段の端部とは、基板板面に垂直な側壁面によって少なくとも一部が囲まれた自由空間内を伝播する伝播光の、その自由空間内に具備される基板板面に垂直なミラー面での反射を介して互いに光結合される構成とされ、そのミラー面及びミラー面が位置する自由空間の側壁面には金属膜が形成されている光デバイスであって、
前記第1の光導波手段の端部と前記第2の光導波手段の端部とは前記基板板面と垂直方向において異なる高さ位置に位置され、
前記第1及び第2の光導波手段の端部の先端にはその一方から前記自由空間に出射する出射光の光軸が前記垂直方向において他方が位置する側に向くように偏向する傾斜端面がそれぞれ形成されていることを特徴とする光デバイス。 - 請求項1記載の光デバイスにおいて、
前記基板上に第3の光導波手段の端部がその光軸が前記基板板面と平行とされて配置され、
前記第3の光導波手段の端部は前記基板板面と垂直方向において前記第1の光導波手段の端部と異なる高さ位置に位置されると共に、その第3の光導波手段の端部の先端にはその先端から前記自由空間に出射する出射光の光軸が前記垂直方向において前記第1の光導波手段の端部が位置する側に向くように偏向する傾斜端面が形成されており、
前記第1の光導波手段の端部と前記第3の光導波手段の端部とは前記自由空間内を伝播する伝播光の、前記基板板面と垂直なミラー面を有する可動ミラーによる反射を介して互いに光結合され、
アクチュエータによる前記可動ミラーの駆動によって、前記第1の光導波手段の端部と、前記第2及び第3の光導波手段の端部のいずれか一方との光結合が切り換えられる光スイッチを構成していることを特徴とする光デバイス。 - 請求項2記載の光デバイスにおいて、
前記基板は単結晶シリコンよりなるハンドル層とデバイス層との間にシリコン酸化膜よりなる中間絶縁層が挟まれてなるSOI基板とされ、
前記第1の光導波手段の端部は前記SOI基板に、前記デバイス層と前記中間絶縁層とをエッチング除去して形成した溝に設置され、
前記第2及び第3の光導波手段の端部は前記SOI基板に、前記デバイス層を同一厚さエッチング除去して形成した2つの溝にそれぞれ設置され、
前記自由空間は前記SOI基板に、前記デバイス層と前記中間絶縁層とをエッチング除去して形成した凹部とされ、
前記可動ミラーは前記凹部内に位置し、前記デバイス層によって形成された基体の表面に反射膜が形成されて構成され、
前記アクチュエータは前記デバイス層によって形成された固定及び可動櫛歯電極を具備してなる櫛歯型静電アクチュエータとされ、
前記第1、第2及び第3の光導波手段はそれぞれロッドレンズ付光ファイバとされていることを特徴とする光デバイス。
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