JP2007076036A - 透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム及びそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度が要求される水分含有食品等の内容物へ適用しても破袋やデラミネーションの問題が発生しない透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム及びそれを用いた透明ガスバリア性積層体が望まれていた。
【解決手段】プラズマRIE処理面を有するポリアミド系フィルム基材、その処理面上に無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層、さらにガスバリア性被膜層を順次積層している透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムにおいて、ポリアミド系フィルム基材がポリアミド系樹脂フィルムの少なくとも一方の面にポリエステル系樹脂フィルムを設けて、その表面がRIE処理面である技術を提供するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】プラズマRIE処理面を有するポリアミド系フィルム基材、その処理面上に無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層、さらにガスバリア性被膜層を順次積層している透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムにおいて、ポリアミド系フィルム基材がポリアミド系樹脂フィルムの少なくとも一方の面にポリエステル系樹脂フィルムを設けて、その表面がRIE処理面である技術を提供するものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、食品、医療医薬品、精密電子部品等の包装用フィルムにおいて重要な特性とされる透明性やガスバリア性に優れた透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体に関するものである。より詳しくは、高いガスバリア性を有するのみならず、ポリアミド系フィルム基材と透明蒸着薄膜層との密着性、特に湿潤時の密着性が高く、ポリアミド系フィルム基材がよく用いられる水分含有食品や薬品等の包装用フィルムとして利用に適した包装材料に関するものである。
近年、食品や医薬品および精密電子部品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質、特に食品用途ではたんぱく質や油脂等の酸化や変質を抑制し、味覚や鮮度を保持するために、また医薬品分野においては薬効成分の変質や飛散を抑制し、効能を維持させるために、さらに精密電子部品分野においては金属部分の腐食、絶縁不良等を防止するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。それら包装材料の中で、内容物保護の面から、耐衝撃性、耐突刺性、耐屈曲性、耐摩耗性に優れるポリアミド系フィルムが様々な用途で広く一般的に使用されており、上述のように内容物の品質低下を防止するために高バリア性が要求されている。
このような透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムには、ポリアミド系樹脂フィルムに、アルミニウム箔等の金属箔をガスバリア層として積層したもの、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)やエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6−ナイロン)などを塗布または共押し出しなどの方法によって積層したものが利用されている。
ところが、アルミニウム箔等の金属箔を用いた包装材料は、ガスバリア性には優れるものの、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、内容物充填後の検査の際に金属探知器が使用できない、さらにはマイクロ波を透過しないため電子レンジ用途の包装材料としては不適であるという欠点を有し問題があった。また、PVDCを積層したものは、安価で、適度のガスバリア性を有するが、焼却時に有毒ガスが発生するという問題があった。さらに、EVOH、MXD−6ナイロンを積層したガスバリア性積層フィルムのガスバリア性は環境依存性が高く、特に高温・高湿環境下では大きく劣化するという問題点があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献1、特許文献2等に記載されているような酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により蒸着膜を形成したフィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性、ガスバリア性の両者を有する包装材料として好適とされている。
しかしながら、ポリアミド系樹脂フィルム上に、単に無機酸化物を蒸着したフィルムでは、基材フィルムと透明蒸着薄膜層との密着性、特に湿潤時の高い密着力が得られず、このような透明ポリアミド系フィルムをヒートシール性樹脂層とラミネートし積層体を作製後、液体内容物を充填して保存すると、フィルム間の接着力が低下し、容易に剥離することがあり問題であった。また、ポリアミド系フィルムの用途として、その高い強靭性から
、高強度が要求される液体等の重量物を内容物とすることが多いために、実用に供するには問題があった。
、高強度が要求される液体等の重量物を内容物とすることが多いために、実用に供するには問題があった。
このような問題を解決するため、従来からプラズマ処理を利用して、蒸着機内でインライン前処理を行うことでプラスチック基材上の無機酸化物蒸着との密着性を改善するという試みがなされている。(特許文献3、4)
特許文献は以下の通りである。
米国特許第3442686号公報
特公昭53−12953号公報
特開平2001−88239号公報
特開2001−138430号公報 しかしながら、ポリアミド系樹脂フィルムは、その構造上の特性から、水との親和性が高いため、ポリアミド系樹脂フィルムに直接、上記プラズマ処理を行った後、無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層を形成して積層体を作製しても、乾燥時には密着性が得られることはあっても、湿潤時あるいは水分含有内容物を充填して長期保存した場合などには、上記プラズマ処理による処理面に水分が浸透してくると、密着力が大幅に劣化してしまう問題点があった。
特許文献は以下の通りである。
また、従来の蒸着製膜インラインにてプラズマ処理を行おうとする場合には、プラズマ発生のための電圧を印加する電極が基材のあるドラム側でなく、反対側に設置されているおり、基材フィルムはアノード側に設置されることになるため、高い自己バイアスは得られず、結果として高い処理効果を発揮できていなかった。
さらには、高い自己バイアスを得るために、直流放電方式を用いることも出来るが、この方法で高いバイアスの電圧を得ようとすると、プラズマがグロー放電からアーク放電へと変化するため、大面積に均一な処理を行うことは出来ないという欠点があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ポリアミド系樹脂フィルムを主体とする基材フィルムと無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層との密着力を強化し、特に湿潤時の密着力を向上させることで、ヒートシール性樹脂層を積層して包装フィルムとして使用した場合に、高強度が要求される水分含有食品等の内容物へ適用しても破袋やデラミネーションの問題が発生しない包装材料を提供することにある。
請求項1記載の発明は、プラズマリアクティブイオンエッチング処理を施した面を有するポリアミド系フィルム基材、その処理面上に無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層、さらにガスバリア性被膜層を順次積層していることを特徴とする透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムにおいて、ポリアミド系フィルム基材がポリアミド系樹脂フィルムの少なくとも一方の面でポリエステル系樹脂フィルムと積層されて、そのポリエステル系樹脂フィルム表面がプラズマリアクティブイオンエッチング処理を施した面であることを特徴とする透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項2記載の発明は、前記ポリエステル系樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレ
ートの単体、もしくはそれらの共重合体とからなることを特徴とする請求項1記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
ートの単体、もしくはそれらの共重合体とからなることを特徴とする請求項1記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項3記載の発明は、前記ポリエステル系樹脂フィルムと前記ポリアミド系樹脂フィルムとの厚み比が1:5〜1:50の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項4記載の発明は、前記プラズマリアクティブイオンエッチング処理が、直接電圧が印加される陰極側(冷却ドラム側)に基材を設置したプレーナ型のプラズマ処理によるものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項5記載の発明は、前記プラズマリアクティブイオンエッチング処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素、亜酸化窒素、ヘリウム、炭酸ガスのうちの1種類のガス、またはこれらの混合ガスを用いて行う、もしくは引き続きこれらのガスまたは混合ガスを連続して用いて行う処理であることを特徴とする、請求項1〜4何れか記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項6記載の発明は、前記プラズマリアクティブイオンエッチング処理が、その自己バイアス値を200V以上2000V以下である低温プラズマによる処理であることを特徴とする請求項1〜5記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項7記載の発明は、前記ポリアミド系樹脂フィルムとポリエステル系樹脂フィルムとの間に、接着性樹脂層を配置したことを特徴とする請求項1〜6記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項8記載の発明は、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜7記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項9記載の発明は、前記プラズマリアクティブイオンエッチング処理と無機酸化物の蒸着が、同一製膜機(インライン製膜機)中にて行われることを特徴とする請求項1〜8記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項10記載の発明は、前記ガスバリア性被覆層が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫の少なくとも1方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主成分とすることを特徴とする請求項1〜9記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムである。
請求項11記載の発明は、請求項1〜10記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムのガスバリア性コーティング被覆層上に、接着剤層を介して、ヒートシール性樹脂層を設けたことを特徴とする透明ガスバリア性ポリアミド系積層体である。
請求項12記載の発明は、透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムとヒートシール性樹脂層との界面に常態ラミネート強度が4.0N/15mm以上、および界面に水を浸したときの湿潤ラミネート強度が1.0N/15mm以上、である請求項11記載の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体である。
請求項13記載の発明は、前記透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムを用いて四方シール袋を作製し、内容物に水を充填して、95℃30分条件での煮沸処理を行った際の透
明ガスバリア性ポリアミド系フィルムとヒートシール性樹脂層との界面の常態ラミネート強度が3.0N/15mm以上である請求項11記載の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体である。
明ガスバリア性ポリアミド系フィルムとヒートシール性樹脂層との界面の常態ラミネート強度が3.0N/15mm以上である請求項11記載の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体である。
本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア積層体は、上記のような構成であることから、透明性やガスバリア性に優れるとともに、基材フィルムと無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層との密着力、特に湿潤時や煮沸処理後の密着力にも優れており、包装材料として使用した場合に、耐水密着性に関して高い強度が要求される液体物や水分含有物内容物へ適用しても破袋やデラミネーションの問題が発生しない包装材料を提供することができる。
また、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体は、基材フィルムとしてポリアミド系樹脂フィルムの片面あるいは両面に、特定の膜厚比にてポリエステル系樹脂フィルムを配置された構成よりなり、前記基材フィルムのポリエステル系樹脂フィルム面へ無機酸化物よりなる透明蒸着層との間の密着を上げるためのRIEによる前処理を、無機酸化物蒸着と同一製膜機中でインラインにて実施することが可能であるため、工程の簡略化でき、生産ロスの低減によるコスト低減に大幅に寄与するものである。
またさらに、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体は、上記述べた液体、水分含有内容物に限らず、他の食品、医療医薬品、精密電子部品等の包装材料として、幅広い適用範囲の包装製品を提供する事が可能である。
以下、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
まず、本発明の一実施例としての透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムの実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムを説明する断面図である。図2は、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を説明する断面図である。透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム20は、ポリアミド系樹脂フィルム1の片面にポリエステル系樹脂フィルム2を積層した基材フィルム10のポリエステル系基材フィルム2上に、プラズマを利用したRIEによる前処理3を施し、さらに無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層4、ガスバリア性被覆層5を順次積層された構成のものである。また、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体30は、透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム20のガスバリア性の透明蒸着薄膜層上に、接着剤層6を介してヒートシール性樹脂層7が積層された構成のものである。
本発明に使用されるポリアミド系樹脂フィルム1は、透明蒸着薄膜層4の透明性を生かすために可能であれば透明なフィルム基材であることが好ましい。ポリアミド系樹脂フィルム1の中の素材は、基材フィルムとしてポリエステル系樹脂フィルム2と積層可能であれば特に限定はなく、ホモポリアミド、コポリアミドあるいはこれらの混合物などが使用できる。
ホモポリアミドの例としては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリ−ω―アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリ−ω−ウンデカン酸(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサミエチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリへキサメチレンデカミド(ナイロン6,12)、ポリオク
タメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6)等を挙げることができる。
タメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6)等を挙げることができる。
また、コポリアミドの例としては、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサミチレンジアンモニウムセバケート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/へキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサミチレンジアンモニウムセバケート共重合体等を挙げることができる。透明ガスバリア性ポリアミド系積層体の使用環境、被包装物の種類、加工性および経済性などを考慮して適宜選択すればよい。
さらに、これらポリアミド系樹脂フィルム1には、柔軟性を付与し、耐屈曲ピンホール性の向上を目的として、芳香族スルホンアミド類、p−ヒドロキシ安息香酸、エステル類の可塑剤を配合したり、低弾性率のエラストマー成分やラクタム類等を配合することも可能である。前記エラストマー成分としては、アイオノマー樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリエステルブロックアミド、ポリエーテルエステルアミド系エラストマー、変性アクリルゴム、ポリエステル系エラストマー、エチレン−アクリレート共重合体変性エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂フィルム1の片面あるいは両面に配置されるポリエステル系樹脂フィルム2は、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施される層であり、その後、ポリエステル系樹脂フィルム2のRIE処理面3に無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層4を形成することで、強固な密着力、特に湿潤時における高い密着力を保持することを可能とするものである。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂フィルム2は、ジカルボン酸とジオール成分の縮合法によって得られるエステル基を含有するポリマーより形成されるものであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸;2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物などが例示できる。
また、ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコール変性ビスフェノールA、ポリエチレングリコールなどが例示できる。当然2種類以上のジカルボン酸やジオールから得た共重合体や、さらに他のモノマーやポリマーを共重合させたものでも良い。
具体的な例としては、テレフタル酸とエチレングリコールとから成るポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸と1,4−タンジオールから成るポリブチレンテレフタレート
、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとから成るポリエチレンナフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸と1,4−ブタンジオールから成るポリブチレンナフタレートなどが挙げられるが、特にこれらに限定はされない。
、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとから成るポリエチレンナフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸と1,4−ブタンジオールから成るポリブチレンナフタレートなどが挙げられるが、特にこれらに限定はされない。
前記ポリエステル系樹脂フィルム2の厚みは、他のポリアミド系フィルム基材を構成する前記ポリアミド樹脂系フィルム1との厚み比が1:5〜1:50の範囲であることが好ましい。厚み比が1:50よりも小さいと、ポリアミド系フィルム基材との積層が困難であったり、ポリエステル系樹脂フィルム2の厚みが薄くなり凝集力が低下し、RIE処理を行ったとしても、ポリエステル系樹脂フィルム2の凝集破壊が生じてしまい、強固な密着力を得ることができなくなるおそれがある。また、厚み比が1:5を超えても密着力の向上効果はそれほど大きくなくなり、基材フィルムの主構成要素となるポリアミド系樹脂フィルム1の特徴である強靭性や耐ピンホール性などを阻害し、液体物や水分含有物内容物などの包装材に使用した際に、破袋やピンホールの発生などの問題が生じるおそれがある。
上述した構成のポリエステル系樹脂フィルム2をポリアミド系樹脂フィルム1の片面あるいは両面に配置することにより、ポリアミド系樹脂フィルム1の表面に直接、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を行う場合よりも、より強固な密着力が得られ、特に湿潤時や煮沸処理後における密着力の向上をはかることを可能とする。
前記ポリアミド系樹脂フィルム1とポリエステル系樹脂フィルム2との間に、接着性樹脂層(図示せず)を形成してもよい。この接着性樹脂層は、ポリアミド系樹脂フィルム1とポリエステル系樹脂フィルム2との密着力をより向上させる目的で配置される。この場合、ポリアミド系樹脂フィルム1の組成の自由度が増す。
前記接着性樹脂層としては、エチレン系重合体とエチレンα−オレフィン共重合体との混合物である接着性エチレン系共重合体樹脂組成物が例示できる。前記エチレン系重合体としては、ラジカル触媒を用いて高圧下で製造された、いわゆる高圧法ポリエチレンやエチレン・酢酸ビニル共重合体であっても、あるいはチーグラー触媒またはメタロセン触媒を用い、エチレンとα−オレフィン等のコモノマーの存在下、中低圧下で製造されたいわゆる中低圧ポリエチレンであってもよい。これらの中で、接着性に優れることから、中低圧ポリエチレンが好ましい。中低圧ポリエチレン中のコモノマーとしては、炭素数3〜20までのα−オレフィンが挙げられ、好ましくは、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンである。また、前記エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜10までのα−オレフィンとを共重合することによって得られるランダム共重合体である。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。共重合体中のα−オレフィン含量としては、5〜50モル%、である。
また、他の例としては、エチレンα−オレフィン共重合体に、不飽和カルボン酸又はその誘導体がグラフトされている変性エチレンα−オレフィン共重合体と、オレフィン系エラストマーとを配合した混合物、あるいはこの変性エチレンα−オレフィン共重合体およびその変性前のエチレンα−オレフィン共重合体とオレフィン系エラストマーとを配合した混合物からなる接着性エチレン系共重合体樹脂組成物が例示できる。エチレンα−オレフィン共重合体は前述したものが利用できる。前記不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンド
シス−ビシク[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)等の不飽和カルボン酸、およびこれらの酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル等の誘導体が挙げられる。これらのうちでは、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸TM、またはこれらの酸無水物が好適である。このグラフト変性に関しては、従来公知の方法で行なうことができ、たとえばエチレンα−オレフィン共重合体を有機溶媒に溶解し、次いで得られた溶液に不飽和カルボン酸またはその誘導体およびラジカル開始剤などを加え、70〜200℃の温度で、0.5〜15時間反応させることにより行なわれる。前記有機溶媒は、エチレンα−オレフィン共重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。あるいは、押出機などを使用して、無溶媒で、エチレンα−オレフィン共重合体と、不飽和カルボン酸またはその誘導体とを反応させて、グラフト変性エチレンα−オレフィン共重合体を調製することができる。従来公知のいずれのグラフト変性方法を採用するにしても、上記グラフトモノマーとしての不飽和カルボン酸またはその誘導体を効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。
シス−ビシク[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)等の不飽和カルボン酸、およびこれらの酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル等の誘導体が挙げられる。これらのうちでは、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸TM、またはこれらの酸無水物が好適である。このグラフト変性に関しては、従来公知の方法で行なうことができ、たとえばエチレンα−オレフィン共重合体を有機溶媒に溶解し、次いで得られた溶液に不飽和カルボン酸またはその誘導体およびラジカル開始剤などを加え、70〜200℃の温度で、0.5〜15時間反応させることにより行なわれる。前記有機溶媒は、エチレンα−オレフィン共重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。あるいは、押出機などを使用して、無溶媒で、エチレンα−オレフィン共重合体と、不飽和カルボン酸またはその誘導体とを反応させて、グラフト変性エチレンα−オレフィン共重合体を調製することができる。従来公知のいずれのグラフト変性方法を採用するにしても、上記グラフトモノマーとしての不飽和カルボン酸またはその誘導体を効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。
ポリアミド系樹脂フィルム1にポリエステル系樹脂フィルム2を積層した基材フィルム10を調製する方法としては、従来公知の積層方法、たとえば共押出積層法、押出コーティング法、サーマルラミネート法などを採用することができる。
また、機械適性を得るために、基材フィルム10は1軸あるいは2軸延伸されていることが好ましい。このようにして得られた基材フィルム10の厚さは、蒸着加工適性や包装材料としての機械的特性を考慮して、10〜100μmのものが用いられる。
本発明では、前記基材フィルム10と無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層4との密着性、特に湿潤時、煮沸処理後の密着耐性を向上するために、基材フィルム10のポリエステル系樹脂フィルム2上にプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施す。このRIEによる処理を行うことで、発生したラジカルやイオンを利用してポリエステル系樹脂フィルム2の表面をイオンエッチングして不純物等を飛散させたり、表面を平滑化するといった物理的な2つ効果と、ポリエステル系樹脂フィルム2の表面をアモルファス化することで無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層4との相互作用を増大する化学的作用とを同時に得ることができる。そして、このRIEによる前処理面3に対して蒸着を行うことで、無機酸化物の蒸着薄膜層4を緻密な薄膜として形成させることができるとともに、基材フィルム10と無機酸化物よりなる蒸着薄膜層4との密着性の格段の強化にもつながり、さらにはガスバリア性向上や蒸着薄膜層のクラック発生防止にもつながるものである。
このRIEによる処理を巻き取り式のインライン装置で行う方法としては、基材の設置されている冷却ドラムに電圧を印加してプレーナ型にする方法(図3)などが例示できる。
プレーナ型で処理を行えば、基材フィルム10は陰極(カソード)側に設置することができ、高い自己バイアスを得てRIEによる処理が行える。(図3)もし、一般的なインライン処理で行うように、ドラムもしくはガイドロールの対面側に印加電極を設置した場合には、基材フィルム10は陽極(アノード)側に設置されることになる。(図4)この時、基材フィルム10は高い自己バイアスが得られず、ラジカルが基材表面に作用して化学反応するだけの、いわゆるプラズマエッチングしか行われないため、基材フィルム10と無機酸化物よりなる蒸着薄膜層4との密着性は低いままである。
このRIEによる前処理を行うためのガス種としては、アルゴン、酸素、窒素、水素、亜酸化窒素、ヘリウム、炭酸ガスを使用することが出来る。これらのガスは単独で用いても、2種類以上のガスを混合して使用してもよい。また、複数基の処理器を用いて、連続して処理を行ってもよい。
RIEによる前処理の処理条件は、加工速度、エネルギーレベルなどで示すことが可能であり、基材フィルムの種類、用途、放電装置特性などに応じ、適宜設定する。ただし、プラズマの自己バイアス値は200V以上2000V以下にすることが好ましく、200Vより若干低い値でもある程度の密着性を発現させることが可能であるが、処理をしていないものに比べて優位性が低い。また、2000Vを越える高い値であると、強い処理がかかりすぎて基材フィルム10の被処理面であるポリエステル系樹脂フィルム2の表面層が劣化し密着性が下がる原因となる。プラズマに用いる気体及びその混合比などに関してはポンプ性能や取り付け位置などによって、気体導入分と実効分とでは流量が異なるので、用途、フィルムの種類、装置特性に応じて適宜設定するべきである。
本発明における無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層4は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはこれらの混合物からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する層であればよく、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることが可能である。この無機酸化物からなる蒸着薄膜層4を基材フィルム10のポリエステル系樹脂フィルム2上に形成する方法としては種々在るが、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。生産性の観点から、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。透明蒸着薄膜層4の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着薄膜の透明性を上げるために蒸着時に、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層4の厚さは、使用される無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には1〜500nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし、膜厚が1nm未満であると均一な膜が形成できず、ガスバリア層としての機能を十分に果たすことができない。一方、膜厚が500nmを越える場合は、蒸着薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、膜形成後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により亀裂が発生しやすく、また経済的な面でも好ましくない。
本発明に用いられるガスバリア性被覆層5は、前記透明蒸着薄膜層4を保護するとともに、透明蒸着薄膜層4との相乗効果により高いガスバリア性を発現させるために設けられる層であり、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥して形成される。
例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液に、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を調整しコーティング剤とする。この溶液を無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層4に塗布後、加熱乾燥して形成されるものである。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳しく説明する。
本発明でコーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分鹸化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等用いることができ、特に限定されるものではない。
ニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分鹸化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等用いることができ、特に限定されるものではない。
さらに、金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C2H5等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
このコーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて適宜加えることも可能である。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
ガスバリア性被膜層5の厚さは、乾燥後の厚さが0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られず、また厚さが50μmを超える場合は塗膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲にあることが好ましい。
上述した構成よりなる透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルム20のガスバリア性被覆層5面に接着剤層6を介して、ヒートシール性樹脂層7を積層することにより、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体30を得ることができる。
本発明で用いられる接着剤層6は、汎用的なラミネート用接着剤が使用できる。たとえば、ポリ(エステル)ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリエチレンイミン系、エチレン−(メタ)アクリル酸系、ポリ酢酸ビニル系、(変性)ポリオレフィン系、ポリブタジエン系、ワックス系、カゼイン系等を主成分とする(無)溶剤型、水性型、熱溶融型の接着剤を使用することができる。上記接着剤層6の積層方法としては、たとえば、ダイレクトグラビアコート法、リバースグラビアコート法、キスコート法、ダイコート法、ロールコート法、ディップコート法、ナイフコート法、スプレーコート法、フォンテンコート法、その他の方法で塗布することができ、そのコーティング厚みは0.1〜8g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
本発明で用いられるヒートシール性樹脂層7は、袋状包装体などを形成する際のシール層として設けられるものであり、熱によって溶融し、相互に融着可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、その他のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびその鹸化物、ポリカーボーネート樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ニトロセルロース、エチレン−(メタ)アタクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物、ポリ乳酸系樹脂等の生分解性樹脂、その他の公知の樹脂を任意に使用することができる。その厚さは、目的に応じて決定すればよく、一般的には10〜200μmの範囲である。
前記ヒートシール性樹脂層7を透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルム20に積層する方法としては、たとえば、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、押出ラミネート法等、その他公知のラミネート方法が利用できる。また、本発明の透明ガスバリア性積層体30では、用途・要求に応じて、透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルム20のガスバリア性被膜層5の上に印刷層や他の基材フィルム等を積層させた後に、ヒートシール性樹脂層7を積層して、所望の包装材料に供することも可能である。
以下に、本発明の一実施例を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ナイロン6を用いた厚さ15μmのポリアミド系樹脂フィルムの片面に、ポリエチレンテレフタレートよりなる厚さ2μmのポリエステル系樹脂フィルム(ポリエステル系樹脂フィルム:ポリアミド系樹脂フィルムの厚み比=1:7.5)が積層された、厚さ17μmの基材フィルムを作製した。次に、図3に示すような冷却ドラム側から電圧を印加する方式のプレーナ型のプラズマを利用したRIEによる前処理を、基材フィルムのポリエステル系樹脂フィルムの面に施した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、処理ガスにはアルゴン/酸素混合ガスを用いた。このときのプラズマの自己バイアス値は700Vであった。続いて、この前処理層の上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置によって、厚み15nmの酸化アルミニウムからなる透明蒸着薄膜層を積層した。さらに、上記透明蒸着薄膜層の上に、グラビアコート法によって、下記に示す組成からなるガスバリア性被覆液を塗布、加熱乾燥して、厚み0.5μmのガスバリア性被覆層を積層し、本発明の透明ガスバリア性積層フィルムを得た。
実施例1
ナイロン6を用いた厚さ15μmのポリアミド系樹脂フィルムの片面に、ポリエチレンテレフタレートよりなる厚さ2μmのポリエステル系樹脂フィルム(ポリエステル系樹脂フィルム:ポリアミド系樹脂フィルムの厚み比=1:7.5)が積層された、厚さ17μmの基材フィルムを作製した。次に、図3に示すような冷却ドラム側から電圧を印加する方式のプレーナ型のプラズマを利用したRIEによる前処理を、基材フィルムのポリエステル系樹脂フィルムの面に施した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、処理ガスにはアルゴン/酸素混合ガスを用いた。このときのプラズマの自己バイアス値は700Vであった。続いて、この前処理層の上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置によって、厚み15nmの酸化アルミニウムからなる透明蒸着薄膜層を積層した。さらに、上記透明蒸着薄膜層の上に、グラビアコート法によって、下記に示す組成からなるガスバリア性被覆液を塗布、加熱乾燥して、厚み0.5μmのガスバリア性被覆層を積層し、本発明の透明ガスバリア性積層フィルムを得た。
さらに、前記透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムのガスバリア性被覆層の上にドライラミネーション法によって、ポリウレタン系ラミネート用接着剤(三井武田ケミカル社製 A616/A65)を使用して、塗布量(ドライ)4g/m2を介して、厚み50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ社製、TUX−FCS)よりなるヒートシール性樹脂フィルムを積層したのち、40℃の温度にて3日間養生を行ない、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を得た。
〈ガスバリア性被覆層の調整〉
テトラエトキシシラン10gに塩酸(0.1N)89gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液と、ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール=90:10重量比)を混合することにより、ガスバリア性被覆液を得た。
テトラエトキシシラン10gに塩酸(0.1N)89gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液と、ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール=90:10重量比)を混合することにより、ガスバリア性被覆液を得た。
実施例2
実施例1において、基材フィルムを構成するポリアミド系樹脂フィルムの厚みを24μm、ポリエステル系樹脂フィルムの厚みを1μmとして、基材フィルムの厚みが25μm(ポリエステル系樹脂フィルム:ポリアミド系樹脂フィルムの厚み比=1:24)とした以外は、実施例1と同様の方法で透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を得た。
実施例1において、基材フィルムを構成するポリアミド系樹脂フィルムの厚みを24μm、ポリエステル系樹脂フィルムの厚みを1μmとして、基材フィルムの厚みが25μm(ポリエステル系樹脂フィルム:ポリアミド系樹脂フィルムの厚み比=1:24)とした以外は、実施例1と同様の方法で透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を得た。
実施例3
本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体の性能を比較するために、実施例1において、基材フィルムへRIEによる前処理を行う代わりに、前処理方法を、図4に示したような一般的なインラインプラズマ処理器(冷却ドラム、ガイドロールの対面側に処理器がある)を使用して、プラズマエッチングによる前処理を行い、処理ガスに酸素ガスを用いた以外は、実施例1と
同様の方法で比較例としての透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を作成した。
本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体の性能を比較するために、実施例1において、基材フィルムへRIEによる前処理を行う代わりに、前処理方法を、図4に示したような一般的なインラインプラズマ処理器(冷却ドラム、ガイドロールの対面側に処理器がある)を使用して、プラズマエッチングによる前処理を行い、処理ガスに酸素ガスを用いた以外は、実施例1と
同様の方法で比較例としての透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を作成した。
実施例4
実施例1において、RIEによる前処理を行わない以外は、実施例1と同様の操作にて透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を作製した。
実施例1において、RIEによる前処理を行わない以外は、実施例1と同様の操作にて透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を作製した。
実施例5
実施例1において、ポリアミド系樹脂フィルムの片面にポリエステル系樹脂フィルムを配置せず、厚み15μmのナイロン6より成るポリアミド系樹脂フィルムを基材フィルムとして用いた以外は、実施例1と同様の操作にて透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を得た。
実施例1において、ポリアミド系樹脂フィルムの片面にポリエステル系樹脂フィルムを配置せず、厚み15μmのナイロン6より成るポリアミド系樹脂フィルムを基材フィルムとして用いた以外は、実施例1と同様の操作にて透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を得た。
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムの酸素透過度、および透明ガスバリア性ポリアミド系積層体の常態ラミネート強度、湿潤ラミネート強度、95℃30分煮沸処理後の常態ラミネート強度と落袋試験を行い、総合的な評価を行った。その評価結果を表1に示す。
<酸素透過度の測定>
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムを、JIS K−7126B法に準拠して、Modern Control社製のOxtran2/20により、30℃70%RH環境の条件で測定を行った。
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムを、JIS K−7126B法に準拠して、Modern Control社製のOxtran2/20により、30℃70%RH環境の条件で測定を行った。
<常態ラミネート強度の測定>
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を、透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレン間の密着強度を、JIS Z−1707に準拠し測定を行った。測定条件は、試験幅15mm、剥離速度300mm/min、剥離角度T型として、初期常態ラミネート強度の測定を実施した。
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を、透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレン間の密着強度を、JIS Z−1707に準拠し測定を行った。測定条件は、試験幅15mm、剥離速度300mm/min、剥離角度T型として、初期常態ラミネート強度の測定を実施した。
<湿潤ラミネート強度の測定>
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体の透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレン間の湿潤時の密着強度を、JIS Z−1707に準拠し測定を行った。測定条件は、試験幅15mm、剥離速度300mm/min、剥離角度T型とし、さらに測定は、剥離界面を水で湿潤させながら行った。
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体の透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレン間の湿潤時の密着強度を、JIS Z−1707に準拠し測定を行った。測定条件は、試験幅15mm、剥離速度300mm/min、剥離角度T型とし、さらに測定は、剥離界面を水で湿潤させながら行った。
<内容物保存試験>
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を用いて、100×150mm四方シール袋を作製し、内容物に水200gを充填して、95℃30分の条件にて煮沸処理を行った後、透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレンとの間の常態ラミネート強度と落袋試験を行った。常態ラミネート強度の試験方法は、上記同様に、JIS Z−1707に準拠し測定を行った。落袋試験は、煮沸処理後の水充填袋を、5℃に1日保存した後、高さ1.5mより50回落下させ、破袋した袋の数を評価した。
実施例1〜5で得られた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を用いて、100×150mm四方シール袋を作製し、内容物に水200gを充填して、95℃30分の条件にて煮沸処理を行った後、透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレンとの間の常態ラミネート強度と落袋試験を行った。常態ラミネート強度の試験方法は、上記同様に、JIS Z−1707に準拠し測定を行った。落袋試験は、煮沸処理後の水充填袋を、5℃に1日保存した後、高さ1.5mより50回落下させ、破袋した袋の数を評価した。
表1から分かるように、実施例1〜2における本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体は、酸素透過度に優れるだけでなく、常態および湿潤ラミネート強度が高く、さらには、内容物に水を用いた保存試験前後で常態ラミネート強度の大幅な低下もなく、優れた強度物性を保持していたことから、ポリアミド系樹脂フィルムが主によく用いられる液体あるいは水分含有内容
物へ適用しても破袋やデラミネーションの問題が発生する可能性は低いといえる。また、保存試験後の落袋試験における破袋数の結果からも、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を包装材料として使用した場合に要求される性能を十分満足しうる結果が得られていた。
物へ適用しても破袋やデラミネーションの問題が発生する可能性は低いといえる。また、保存試験後の落袋試験における破袋数の結果からも、本発明の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を包装材料として使用した場合に要求される性能を十分満足しうる結果が得られていた。
これに対し、実施例3〜5の透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性ポリアミド系積層体については、透明ガスバリア性ポリアミド系積層フィルムのガスバリア性は良好であるのだが、実施例3〜4に関しては透明ガスバリア性ポリアミド系積層体の初期常態および湿潤ラミネート強度が低く、特に実施例4では煮沸処理後にデラミネーションが発生していた。そのため、実施例4に関しては保存試験後の落袋試験を行なうことができなかった。また、実施例5に関しては、初期常態および湿潤ラミネート強度は充分な強度を保持していたが、煮沸処理後の強度が大幅に低下し問題がみられた。その影響により、煮沸処理後の落袋試験において破袋が確認された。この結果から、実施例3〜5の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体を用いた包装材料を、液体および水分含有内容物へ適用した場合に、破袋やデラミネーションを引き起こす可能性が高く、十分な実用性能が得られていなかった。
1…ポリアミド系樹脂フィルム
2…ポリエステル系樹脂フィルム
3…RIEによる前処理面
4…無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層
5…ガスバリア性被膜層
6…接着剤層
7…ヒートシール性樹脂層
10…ポリアミド系フィルム基材
20…透明ガスバリア性積層フィルム
30…透明ガスバリア積層体
51…電極
52…プラズマ
53…ガイドロールまたは冷却ドラム
2…ポリエステル系樹脂フィルム
3…RIEによる前処理面
4…無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層
5…ガスバリア性被膜層
6…接着剤層
7…ヒートシール性樹脂層
10…ポリアミド系フィルム基材
20…透明ガスバリア性積層フィルム
30…透明ガスバリア積層体
51…電極
52…プラズマ
53…ガイドロールまたは冷却ドラム
Claims (13)
- プラズマリアクティブイオンエッチング処理を施した面を有するポリアミド系フィルム基材、その処理面上に無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層、さらにガスバリア性被膜層を順次積層していることを特徴とする透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムにおいて、ポリアミド系フィルム基材がポリアミド系樹脂フィルムの少なくとも一方の面でポリエステル系樹脂フィルムと積層されて、そのポリエステル系樹脂フィルム表面がプラズマリアクティブイオンエッチング処理を施した面であることを特徴とする透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記ポリエステル系樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ボリブチレンテレフタレート、ボリブチレンナフタレートの単体、もしくはそれらの共重合体とからなることを特徴とする請求項1記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記ポリエステル系樹脂フィルムと前記ポリアミド系樹脂フィルムとの厚み比が1:5〜1:50の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記プラズマリアクティブイオンエッチング処理が、直接電圧が印加される陰極側(冷却ドラム側)に基材を設置したプレーナ型のプラズマ処理によるものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記プラズマリアクティブイオンエッチング処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素、亜酸化窒素、ヘリウム、炭酸ガスのうちの1種類のガス、またはこれらの混合ガスを用いて行う、もしくは引き続きこれらのガスまたは混合ガスを連続して用いて行う処理であることを特徴とする、請求項1〜4何れか記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記プラズマリアクティブイオンエッチング処理が、その自己バイアス値を200V以上2000V以下である低温プラズマによる処理であることを特徴とする請求項1〜5記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記ポリアミド系樹脂フィルムとポリエステル系樹脂フィルムとの間に、接着性樹脂層を配置したことを特徴とする請求項1〜6記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜7記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記プラズマリアクティブイオンエッチング処理と無機酸化物の蒸着が、同一製膜機(インライン製膜機)中にて行われることを特徴とする請求項1〜8記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 前記ガスバリア性被覆層が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫の少なくとも1方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主成分とすることを特徴とする請求項1〜9記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム。
- 請求項1〜10記載の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムのガスバリア性コーティ
ング被覆層上に、接着剤層を介して、ヒートシール性樹脂層を設けたことを特徴とする透明ガスバリア性ポリアミド系積層体。 - 透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムとヒートシール性樹脂層との界面に常態ラミネート強度が4.0N/15mm以上、および界面に水を浸したときの湿潤ラミネート強度が1.0N/15mm以上、である請求項11記載の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体。
- 前記透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムを用いて四方シール袋を作製し、内容物に水を充填して、95℃30分条件での煮沸処理を行った際の透明ガスバリア性ポリアミド系フィルムとヒートシール性樹脂層との界面の常態ラミネート強度が3.0N/15mm以上である請求項11記載の透明ガスバリア性ポリアミド系積層体。
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