JP2008006693A - 水蒸気バリア性を有する透明積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品、医薬品、電子機器関連部材などの包装に際して用いられる包装用の透明積層体、特に高度な水蒸気バリア性が確保でき、食品、医薬品、電子機器関連部材などの湿気を嫌う被包装物の包装に好適に用いられる水蒸気バリア性を有する透明積層体の提供を目的とする。
【解決手段】透明プラスチック基材の少なくとも一方の面にはプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理によりRIE前処理層が設けられていて、このRIE前処理層上には無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層と、膜硬度が3.0〜20.0GPaであるガスバリア性被覆層が順次積層されて設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品、医薬品などの包装に際して用いられる包装材料や、電子機器関連部材などの透明積層体、特に高度な水蒸気バリア性が確保でき、食品、医薬品、電子機器関連部材などの湿気を嫌う被包装物の包装に好適に用いられる水蒸気バリア性を有する透明積層体に関するものである。
食品や医薬品などの包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、内容物を変質させる酸素や水蒸気などからの影響を阻止する機能、すなわち、これらの気体(ガス)を遮断できるガスバリア性を備えることが求められている。このような包装材料としては、従来、高分子の中では比較的にガスバリア性に優れている塩化ビニリデン樹脂からなるフィルムまたはそれらをコーティングしたフィルムなどがよく用いられてきた。しかし、これらのフィルムは、そのガスバリア性が温度や湿度などにより影響され易く、高度なガスバリア性の確保が要求される包装材料としては不向きであった。そこで高度なガスバリア性が要求される包装に用いられる包装材料としては、アルミニウムなどの金属からなる金属箔をガスバリア層として有する包装材料を用いざるを得なかった。
ところが、アルミニウムなどの金属からなる金属箔を有する包装材料は、そのガスバリア性が温度や湿度に影響され難いものの、それを介して内容物を視認することができない、使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならない、検査の際には金属探知器が使用できない、等々の欠点を有しており問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献1や特許文献2などに記載されているような、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物からなる蒸着薄膜を高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法などの薄膜形成手段により成膜してなる蒸着フィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気などに対するガスバリア性を有していることが知られ、金属箔などでは得ることのできない透明性とガスバリア性の両者を有する包装材料として広く利用されている。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報
しかしながら、包装容器や包装袋などの包装体は、前記したような包装材料、例えば蒸着フィルムに対して文字や絵柄などの印刷、他のフィルムなどとの貼り合わせ、さらには容器などの包装体の形状を付与するための形状加工などの種々の後加工を経て作製されている。
このような種々の後加工が上記したような積層体などに施されると、初期に有していたガスバリア性の確保が難しくなる。因みに、上記の蒸着フィルムを用い、それに対してシーラントフィルムを貼り合わせたり、印刷加工を施して積層体を得、それを用いて製袋して得られた袋の酸素透過率や水蒸気透過率などのガスバリア性を測定したところ、高分子ガスバリア性フィルム並のガスバリア性は有するものの、金属箔並のガスバリア性は確保できていなかった。
本発明は上記した従来の問題点を解決すべくなされたものであり、請求項1記載の発明は、透明プラスチック基材の少なくとも一方の面にはプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)によりRIE前処理層が設けられていて、さらにこのRIE前処理層上には無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層と、膜硬度が3.0〜20.0GPaであるガスバリア性被覆層が順次積層されて設けられていることを特徴とする水蒸気バリア性を有する透明積層体である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の水蒸気バリア性を有する透明積層体において、前記ガスバリア性被膜層が、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド及び/またはその加水分解物及び/またはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つコーティング剤からなる薄膜の加熱乾燥被膜からなることを特徴とする。
さらにまた、請求項3記載の発明は、請求項2記載の水蒸気バリア性を有する透明積層体において、前記水酸基含有高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたはポリ(ビニルアルコール-co−エチレン)、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする。
さらにまた、請求項4記載の発明は、請求項3記載の水蒸気バリア性を有する透明積層体において、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする。
さらにまた、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の水蒸気バリア性を有する透明積層体において、前記無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或いはそれらの混合物のいずれかからなり、その厚さが5〜300nmであることを特徴とする。
本発明の水蒸気バリア性を有する透明積層体は、それによって包装されている内容物の確認が可能で、且つ高度な水蒸気バリア性を有し、包装分野において用いられる包装材料として、或いは電子機器関連部材などとして、巾広い利用が可能である。
本発明について図面を用いて以下に詳細に説明する。図1は本発明の水蒸気バリア性を有する透明積層体の概略の断面構成を示している。
図1に示す透明積層体(10)は、透明プラスチック基材(1)の一方の面にはプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理によりRIE前処理層(2)が設けられていて、このRIE前処理層(2)上には無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層(3)と、膜硬度が3.0〜20.0GPaであるガスバリア性被覆層(4)が順次積層されて設けられている。
一方、図2には本発明の他の例が示してある。この透明積層体(20)は、透明プラスチック基材(21)の一方の面にはプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理によりRIE前処理層(22)が設けられていて、このRIE前処理層(22)上には無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層(23)と、膜硬度が3.0〜20.0GPaであるガスバリア性被覆層(24)が順次積層されて設けられている点では図1に示す透明積層体(10)と似た構成となっているが、ガスバリア性被覆層(24)の上にさらにヒートシール層(25)が積層されている点で異なっている。
透明プラスチック基材(1)、(21)は透明なプラスチック材料からなるものであり、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートなどからなるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどからなるポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸フィルムなどの生分解性プラスチックフィルムなどである。これらは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性に優れるものがよい。これらの中では、特に耐熱性などの面から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。またこの透明プラスチック基材(1)、(21)の表面には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などからなる薄膜層が設けられてもよく、また薄膜層との密着性をよくするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理などを施しておいても、さらには薬品処理、溶剤処理などを施しておいても構わない。
透明プラスチック基材(1)、(21)の厚さは1μm以上が望ましく、包装材料としての適性、他の層を積層する場合も在ること、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)、(23)ガスバリア性被膜層(4)、(24)が積層される場合の加工性などを考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲にあることが好ましい。
また、量産性を考慮すれば、その上に上記した薄膜層などを連続的に積層できるように長尺フィルムであることが望ましい。
一般的に、包装材料としての利用を考慮した場合には、このような透明プラスチック基材(1)、(21)としてはポリエステルフィルム採用することが多い。より具体的には、温度−20℃〜+40℃における貯蔵弾性率が9×108〜1×1010Paの範囲であり、かつ、β転移tanδピーク温度が+10℃以下で認められる動的粘弾性を有するポリエステルフィルムが好ましく用いられる。貯蔵弾性率が9×108Pa未満であると、ポリエステルフィルムの柔軟性が不十分となり、ポリアミド系フィルムと同等の耐衝撃性、耐ピンホール性が確保し難くなる。一方、貯蔵弾性率が1×1010を超えると柔軟性は十分であるが、延伸フィルムとしてのハンドリング性が劣ることになる。β転移に起因するピーク温度が+10℃以下で観察されない場合は、低温領域での外部負荷に対する分子鎖の応答ができないため、低温領域での変形が困難となり、低温領域での屈曲ピンホール耐性が不十分となる恐れがある。
上記の条件を満足するポリエステルフィルムとしては、例えば、それを構成するジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ナフタレンカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、シュウ酸、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを有するものが挙げられる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4シクロヘキサンジメタノールなどのポリオキシアルキレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコールおよびそれらの誘導体などを有するものが挙げられる。これらの各成分を有するポリエステルの中では、二軸延伸特性などの成膜性、湿度特性、耐熱性、耐薬品性、低コスト性などを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートを主体としたものが好ましく用いられる。特に、ポリエチレンテレフタレートの優れた諸物性を保てる範囲内で、他のアルコール成分を重合段階で主鎖に取り込むように制御して共重合させた
ものは、分子鎖内に回転障害の小さいセグメント(ソフトセグメント)が形成され、外部からの衝撃や折り曲げによる力を分子鎖内のソフトセグメントにより吸収し、耐衝撃性、屈曲性に優れたものとなる。ポリエステルのカルボン酸成分及びアルコール成分の各々の50モル%以上がテレフタル酸、エチレングリコール、及びそれらの誘導体である共重合ポリエステルからなるフィルムもまた好ましく用いられる。
上記ポリエステルフィルムの延伸には、逐次二軸延伸や同時二軸延伸プロセスがあるが、その際の延伸倍率(タテ延伸倍率×ヨコ延伸倍率)は5〜20倍の範囲で行うとよい。また、上記条件にて成膜した際の120℃30分条件での熱水加熱収縮率は、MD/TD方向ともに4%以下とするのが好ましい。4%超えると収縮が大きい為に、後加工後のガスバリア性の低下を大きくすることになる。
このような透明プラスチック基材(1)、(21)の、後述する無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層(3)、(23)が設けられる面には、前述したように、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理によりRIE前処理層(2)、(21)が設けられている。このRIE前処理層(2)、(21)は透明プラスチック基材(1)、(21)と無機酸化物よりなる透明蒸着薄膜層(3)、(23)との密着を向上させるために設けられる処理層である。RIEによる前処理を行うことで、その際に発生したラジカルやイオンを利用して透明プラスチック基材(1)、(21)の表面に官能基を持たせることができ(化学的効果)、さらに表面をイオンエッチングして不純物などを飛散させたり、平滑化することができる(物理的効果)。このような表面処理を行うことにより、さらに緻密な無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層を得ることができる。その結果、透明プラスチック基材(1)、(21)と無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層(3)、(23)との密着性がより向上し、延いてはガスバリア性や防湿性の向上や蒸着薄膜層におけるクラック発生の低減化を可能とする。
このRIEによる処理を巻き取り式のインライン装置で行う方法としては、数種のガス中でプラズマを発生させて反応させる方法が採用できる。
このRIEによる前処理を行う際に使用するガス種は、処理に際して与えられるエネルギーや扱い易さなどによって決まってくるが、アルゴン、酸素、窒素、水素、亜酸化窒素、ヘリウムなどから適宜のものを選択して用いればよい。これらのガスは単独で用いても、2種類以上を混合して使用してもよい。また、複数基の処理器を用いて、連続して前処理を行ってもよい。この時、複数基の処理器は同じものを使用する必要はない。
RIEによる前処理の処理条件は、処理を施す透明プラスチック基材(1)、(21)の組成、透明積層体の用途、放電装置特性などに応じて適宜のものを選択して決定すればよい。ただし、プラズマの自己バイアス値は200V以上2000V以下にすることが好ましい。プラズマの自己バイアス値が200Vより若干低い値でもある程度の密着性を発現させることが可能であるが、処理をしていないものに比べて優位性が低い。また、2000Vを越える高い値であると、強い処理がかかりすぎて透明プラスチック基材の表面が劣化し、密着性が低下する原因にもなる。また、プラズマに用いる気体及びその混合比などに関しては処理装置のポンプ性能や取り付け位置などの種々の要因によって、気体導入分と実効分とで流量が異なってくるので、使用する透明プラスチック基材の組成・用途・装置特性などの個々の状況に応じて適宜のものを設定すればよい。
一方、無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層(3)、(23)は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着薄膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気などに対するガスバリア性を有するものであればよい。その中でも、特に酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムのいずれかか
らなる蒸着薄膜層は酸素透過率及び水蒸気透過率に優れるので好ましい。ただし無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層(3)、(23)は、上述した無機酸化物からなるものに限定されるものではない。
無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層(3)、(23)の厚さは、それを構成する無機酸化物の種類や構成により最適値が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内にあることが望ましい。ただし厚さが5nm未満であると均一な膜が得られ難くなり、膜厚が十分でないこともあり、ガスバリア層としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また厚さが300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることが難しくなり、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力が加わると、そこに亀裂を生じるおそれが出てくる。好ましくは、5〜100nmの範囲内にあればよい。
このような無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層(3)、(23)を、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理により形成されたRIE前処理層(2)、(22)上に形成する方法としては種々在る。例えば、真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。
真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式などが好ましい。蒸着薄膜と基材の密着成及び蒸着薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着薄膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
透明蒸着薄膜層(3)、(23)の成膜に際しては、この蒸着の際に装置内に窒素ガスを導入することが非常に好ましい。窒素ガスの導入により成膜中の蒸着薄膜の不完全部の補修や、蒸着物質であるアルミニウムと酸素ガスとの反応の効率化、などといった物理的・化学的両面からの効果が期待できる。
窒素ガスの装置への導入には様々な方法が考えられるが、同じく導入される酸素ガスと混合して行う方法、導入は純粋な窒素ガスだが配管は酸素ガスと同じパイプを使う方法、全く新たに窒素ガス導入用として設けたパイプから導入する方法などが考えられるが、これらの方法に限定されるものではない。
一方、この透明蒸着薄膜層(3)、(23)上に積層して設けられているガスバリア性被膜層(4)、(24)は、透明蒸着薄膜層(3)、(23)との協働により高度な水蒸気バリア性を付与するために、また下層に位置する透明蒸着薄膜層(3)、(23)を物理的に保護するために設けられるものである。
これらの役割を達成させるため、このガスバリア性被膜層(4)、(24)は、水酸基含有高分子、またはこれと、1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物を主剤とするガスバリア性コーティング剤を用いて形成される。ガスバリア性コーティング剤に含まれる各成分についてさらに詳細に説明する。
このガスバリア性コーティング剤に用いられる水酸基含有高分子としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)またはポリ(ビニルアルコール−co−エチレン)、セルロース、デンプンなどがある。この中では、とりわけPVAが本用途での取り扱い性、ガスバリア性向上機能に優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとしては、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分
けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVAなどを含む。
また、金属アルコキシドには種々のものがあるが、取り扱い性、コストなどを考えればガスバリア性コーティング剤の一主剤としては珪素のアルコキシドが好ましい。また、被膜の柔軟性向上、密着性改善などを考慮して、テトラアルコキシドやトリイソプロポキシアルミニウムであってもよい。また、いわゆるシランカップリング剤を適宜選定して添加してもよい。
下層の透明蒸着薄膜層(3)、(23)を保護するために、このガスバリア性コーティング剤の薄膜の加熱乾燥被膜であるガスバリア性被膜層(4)、(24)の膜硬度は、超微小押し込み硬さ試験機(日本電気株式会社製)で測定された膜硬度で3.0〜20.0GPaの範囲とする。より好ましくは3.0〜10.0GPaの範囲にあればよい。膜硬度が3.0GPa未満である場合、被膜の乾燥が不十分であってガスバリア性が低下する原因となる。また、膜硬度が20.0GPaを超えると被膜層が硬過ぎ、屈曲や伸縮などに耐えられずに割れが発生する。被膜層の硬度は、コーティング剤の塗布を行う加工機や加工条件によって異なってくるため、それぞれに合わせた加工速度、風量、乾燥温度を適宜設定して調整する必要がある。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって異なる。乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な薄膜が得られ難く、十分なガスバリア性を確保できない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は薄膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあればよい。特に薄膜の乾燥・硬化が電子線による場合は、ガスバリア性被膜層(4)、(24)の厚さと電子線エネルギー条件、加工速度及び除電とのバランスが重要となる。過度のエネルギー供給は帯電を引き起こし、その結果として起こる放電により硬化被膜のガスバリア性が損なわれる場合がある為注意を要する。
以上、本発明の水蒸気バリア性を有する透明積層体の主要部分の概略の構成を説明したが、本発明の水蒸気バリア性を有する透明積層体はこのような構成のものに限定されるものではない。すなわち、図2に示す構成のものであってもよい。図2に示す水蒸気バリア性を有する透明積層体(20)はガスバリア性被膜層(24)の上にさらにヒートシール層(25)が積層されたものである。このヒートシール層(25)は袋状包装体などを形成する際に接着層としての役目を担うように設けられるものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物などの樹脂からなる薄膜層である。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲にあればよい。また形成方法としては、例えば、上記樹脂からなるフィルム状のものを二液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法などの公知の方法により積層して設ける方法を挙げることができる。
次に、本発明の水蒸気バリア性を有する透明積層体を具体的な実施例を挙げてさらに説明する。
透明プラスチック基材として、周波数1Hz、昇温速度2℃/分、測定温度範囲−150〜+150℃の測定条件における動的粘弾性測定を行った際の−20℃と+40℃にお
ける貯蔵弾性率が、それぞれ3.5×109、3.2×109Paであり、β転移tanδのピーク温度が0.6℃に認められる、タテ延伸3.5倍、ヨコ延伸3.5倍、熱処理温度220℃にて成膜された厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。このPETフィルムの120℃30分条件における熱水収縮率は、MD3.0%、TD2.1%であった。このPETフィルムの片面に、プラズマ処理器を用いてRIEによる前処理を施し、RIE処理層を設けた。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、処理ガスにはアルゴン/酸素混合ガスを用いた。この時のプラズマの自己バイアス値は680Vであった。
上記工程に引き続き、インラインにて、前記RIE前処理層上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置によって、酸化アルミニウムからなる厚さ15nmの透明蒸着薄膜層を積層した。蒸着の際には、酸素ガスと同時に窒素ガスを導入した。
次いで、下記組成からなるコーティング剤からなる被膜を前記工程で設けた透明蒸着薄膜層上にグラビアコート法により成膜し、その後120℃で1分間乾燥させ、厚さが0.5μmで膜硬度が8.0GPaのガスバリア性被膜層を設け、実施例1に係る透明積層体Aを得た。なお膜硬度は、日本電気株式会社製の超微小押し込み硬さ試験機(ナノインデンター)により、押し込み深さ0.1μmで測定した。
[ガスバリア性コーティング剤の組成]
下記A液とB液を重量%で60/40に混合したもの。
[A液]:テトラエトキシシラン10.4gに0.1N塩酸89.6gを加え、30分間攪拌して加水分解させた固形分3重量%(SiO2換算)の加水分解溶液。
[B液]:水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソピロピルアルコール=90:10、重量比)
酸化アルミニウム蒸着の際に窒素ガス導入をしなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る透明積層体Bを得た。
ガスバリア性被膜層の形成に係る乾燥を80℃1分で行い、その膜硬度を4.0GPaとした以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る透明積層体Cを得た。
RIEによる前処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較のための実施例4に係る透明積層体Dを得た。
RIEによる前処理の際に処理ガスを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較のための実施例5に係る透明積層体Eを得た。
ガスバリア性被膜層の形成に係る乾燥を70℃1分で行い、その膜硬度を2.0GPaとした以外は実施例1と同様にして、比較のための実施例6に係る透明積層体Fを得た。
ガスバリア性被膜層の形成に係る乾燥を130℃5分で行い、その膜硬度を22.0GPaとした以外は実施例1と同様にして、比較のための実施例7に係る透明積層体Gを得た。
ガスバリア性被膜層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較のための実施例8に係る透明積層体Hを得た。
酸化アルミニウムからなる透明蒸着薄膜層の代わりに、厚さが7μmのアルミニウム箔からなる層を積層した以外は実施例1と同様にして、比較のための実施例9に係る積層体Iを得た。
〈評価1〉
実施例1〜9の積層体A〜Iのそれぞれについて、水蒸気透過率(g/m2・day)を測定し、水蒸気バリア性の評価を行った。測定値並びに評価結果を表1に示す。
〈評価2〉
実施例1〜9の積層体作製の際してなされた、蒸着・コーティング・後加工(押し出しラミネート)を対象とし、加工性評価を行った。評価基準は、[(良好)◎>○>△>×(不良)]とした。評価結果を同じく表1に示した。
〈評価3〉
実施例1〜9のそれぞれの積層体に対して廃棄性評価を行った。評価基準は、[(良好)◎>○>△>×(不良)]とした。評価結果を同じく表1に示した。
〈評価4〉
実施例1〜9のそれぞれの積層体に対し、材料・設備・考えうるロスなどを考慮して、コスト評価を行った。評価基準は、[(低)◎>○>△>×(高)]とした。評価結果を同じく表1に示した。
Figure 2008006693
表1からも分かるように、本発明に係る実施例1〜3の透明積層体は、高度な防湿性(0.1g/m2/day以下)を有し、食品、医薬品、電子機器部材などの湿気を嫌う内容物の包装に好適に用いられる、極めて実用性の高いものである。
本発明の水蒸気バリア性を有する透明積層体の概略の断面構成を示す説明図である。 本発明の水蒸気バリア性を有する透明積層体の他の例の概略の断面構成を示す説明図である。
符号の説明
(1)、(21) 透明プラスチック基材
(2)、(22) RIE前処理層
(3)、(23) 無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層
(4)、(24) ガスバリア性被膜層
(25) ヒートシール層
(10)、(20) 透明積層体

Claims (5)

  1. 透明プラスチック基材の少なくとも一方の面にはプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)によりRIE前処理層が設けられていて、さらにこのRIE前処理層上には無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層と、膜硬度が3.0〜20.0GPaであるガスバリア性被覆層が順次積層されて設けられていることを特徴とする水蒸気バリア性を有する透明積層体。
  2. 前記ガスバリア性被膜層が、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド及び/またはその加水分解物及び/またはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つコーティング剤からなる薄膜の加熱乾燥被膜からなることを特徴とする請求項1記載の水蒸気バリア性を有する透明積層体。
  3. 前記水酸基含有高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたはポリ(ビニルアルコール-co−エチレン)、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする請求項2記載の水蒸気バリア性を有する透明積層体。
  4. 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の水蒸気バリア性を有する透明積層体。
  5. 前記無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或いはそれらの混合物のいずれかからなり、その厚さが5〜300nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水蒸気バリア性を有する透明積層体。
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