JP2007211320A - 透明蒸着フィルム、およびその製造方法 - Google Patents
透明蒸着フィルム、およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007211320A JP2007211320A JP2006034700A JP2006034700A JP2007211320A JP 2007211320 A JP2007211320 A JP 2007211320A JP 2006034700 A JP2006034700 A JP 2006034700A JP 2006034700 A JP2006034700 A JP 2006034700A JP 2007211320 A JP2007211320 A JP 2007211320A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- polyethylene terephthalate
- biaxially stretched
- vapor deposition
- stretched polyethylene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
【解決手段】 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面をマイクロ波でプラズマ化した窒素ガスによりプラズマ処理し、さらに無機酸化物を積層することを特徴とする透明蒸着フィルムの製造方法を提供する。
【選択図】 図1
Description
特許文献1および特許文献2は、無機ガスを一般的なプラズマ化手段でプラズマ化し、ポリエチレンテレフタレートフィルム表面を処理することを開示しているものの、窒素ガスやアンモニアガスにマイクロ波を照射することにより生じた窒化プラズマにより表面処理すること、すなわち、窒素ガス等とマイクロ波との特定の組み合わせによるポリエチレンテレフタレートフィルム表面のプラズマ処理については何も開示していない。そのため、特許文献1および特許文献2記載の透明バリア性フィルムは、耐水強度が劣り、レトルトおよびボイル処理により無機酸化物がポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離してしまい、実用に供することができない。また、酸素バリア性、水蒸気バリア性も不十分である。
(a)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面をマイクロ波で形成した窒化プラズマにより処理し、さらに無機酸化物を積層することを特徴とする透明蒸着フィルムの製造方法。
(b)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に無機酸化物を積層した透明蒸着フィルムであって、
前記2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、少なくとも1つの炭素原子と結合した窒素原子を含むことを特徴とする透明蒸着フィルム。
(c)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの炭素、窒素、酸素の元素割合における、窒素元素の割合が1%以上7%以下(Atomic%)、炭素元素の割合が75%以上、酸素元素の割合が25%以下であることを特徴とする上記(b)の透明蒸着フィルム。
(d)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面粗さが、算術平均粗さ(Ra)で1.0nm以下、二乗平均粗さ(Rms)で2.0nm以下、最大粗さ(Rmax)で8.0nm以下のすべての条件を満たすことを特徴とする(b)または(c)の透明蒸着フィルム。
(e)透明蒸着フィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、ガスバリア性塗布膜を塗工した透明蒸着フィルムであって、
前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物であることを特徴とする、ガスバリア性塗布膜を設けた上記(b)〜(d)のいずれかの透明蒸着フィルム。
1.透明蒸着フィルムの製造方法
本発明の透明蒸着フィルムの製造方法を説明する。図1は、本発明にかかる透明蒸着フィルムの製造方法の一例を示す巻き取り式真空蒸着装置の概略的構成図である。
本発明に係る透明蒸着フィルムの製造方法は、具体的には、図1に示すように、まず、巻き取り式真空蒸着装置1の真空チャンバー2の中で、巻き出し部4から2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム6を繰り出し、さらに、該2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム6をガイドロール5を介して、冷却ドラム11に案内する。本発明においては、上記のガイドロール5と冷却ドラム11との間にマイクロ波プラズマ装置9を配置し、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム6の表面に、上記のマイクロ波プラズマ装置9を用いて、該マイクロ波プラズマ装置9から窒化プラズマ10を発生させてプラズマ処理を行い、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム6の表面にプラズマ処理面を形成する。次いで、プラズマ処理面を設けた2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム6を冷却ドラム11の上に案内した後、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム6のプラズマ処理面に、蒸着源15として金属あるいは無機酸化物を使用し、これらをるつぼ16の中に入れ、該るつぼ16中で熱せられた金属あるいは無機酸化物を蒸発させ、その際に、酸素パイプ14より酸素ガス等を噴出させながら、シャッター13を介して無機酸化物の蒸着膜を成膜化する。次いで、該金属あるいは無機酸化物の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム6を、ガイドロール5′を介して、巻き取り部12に巻き取って、本発明にかかる透明蒸着フィルムを製造する。
(1)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
本発明の製造方法に使用する2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとしては、例えば、テレフタル酸もしくはその誘導体とエチレングリコールとの縮合反応によって得られるポリエステル系樹脂のフィルムないしシートであって、例えば、テンター方式あるいはチューブラー方式等によって2方向に延伸されているものを使用する。そして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さとしては、製造時の安定性等から適宜に設定することが可能であるが、約6μmないし100μmが好ましくは、さらには、12μmないし50μmが望ましい。なお、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムには、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の所望の添加剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加することができる。
本発明において、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム表面のプラズマ処理は、窒素ガス(N2)やアンモニアガス(NH3)にマイクロ波を照射して形成した窒化プラズマにより行う。これにより、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム表面を平滑化すると共に、窒素を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにドーピングし、窒素原子と、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上の炭素原子との間に共有結合を形成する。そしてその結果、無機酸化物と、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間の密着性が向上する。
上記のとおり本発明においては、無機酸化物と、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間の密着性は、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム中に含まれる窒素元素の比率、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面粗さに大きく依存するものであるから、プラズマ処理の処理条件が極めて重要である。本発明において、プラズマ処理と化学反応に影響を与える要因としては、プラズマ出力、ガスの種類、ガスの圧力、および、処理時間等を挙げることができる。プラズマ処理には窒素ガスやアンモニアガスを使用するが、そのガス圧としては、1.33×10-5〜1.33×10-1mbar、より好ましくは、1.07×10-2〜6.67×10-2mbarが望ましい。また、プラズマ出力としては、0.2〜15kW、より好ましくは、0.5〜10kWが望ましく、さらにまた、その処理速度としては、100〜1000m/min、より好ましくは、200〜800m/minが望ましい。上記のガス圧において、ガス圧が低すぎると、プラズマで活性化される窒素分子が少なくなり、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム表面への窒素の導入が阻害される。また、上記のプラズマ出力が、0.2kW未満、さらには、0.5kW未満の場合には、ガスの活性化が低下し、高活性の窒素原子が生成しにくくなる。また、15kWを越えると、さらには、10kWを越えると、プラズマ出力が高すぎるので、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの劣化により透明蒸着フィルムそのものの物性が低下する。さらに、上記の処理速度が、100m/min未満、さらには、200m/min未満であると、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが多孔質状になり、バリア性が低下し、また、1000m/minを越えると、さらには、800m/minを越えると、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する窒素プラズマ量が少なくなり、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと無機酸化物との密着性が低下する。
本発明の製造方法でいう真空蒸着された無機酸化物としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物を挙げることができる。
好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
上記の透明蒸着フィルムの無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けることにより、さらに透明蒸着フィルムのバリア性を改善することができる。以下に本発明のガスバリア性塗布膜を設けた透明蒸着フィルムの製造方法について説明する。
ガスバリア性塗布膜を設けた透明蒸着フィルムは、以下の(i)〜(iii)を含む工程により形成する。
(i)ガスバリア性組成物として、例えば、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を調製する工程、
(ii)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、必要ならば、酸素ガスによるプラズマ処理面等を介して、上記のゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を設ける工程、
(iii)上記の塗工膜を設けた透明蒸着フィルムを、20℃〜180℃で、かつ、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、要すれば、酸素ガスによるプラズマ処理面等を介して、上記のガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を形成する工程。
(1)一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシド
一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等を使用することができる。特に本発明においては、MがSiであるアルコキシシランが好ましい。また、単独または2種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
る有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基
、n−オクチル基等のアルキル基を挙げることができる。
ガスバリア性塗布膜を形成するガスバリア性組成物は、上記の一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、上記のポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを混合し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合して調製することができる。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性組成物(塗工液)を調製する。ガスバリア性組成物(塗工液)中では次第に重縮合反応が進行する。
さらに、上記の塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗工膜を積層する。
このようにして得られた本発明に係るバリア性層は、ガスバリア性に優れているものである。
本発明にかかる透明蒸着フィルムを用いて製造した包装用容器は、透明性、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、さらに、ラミネート加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプー、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているものである。
[実施例1]
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを図1の巻き取り式の真空蒸着装置(物理気相成長法装置)の送り出しロールに装着した。
次いで、これを600m/minのライン速度で搬送し、マイクロ波プラズマ処理装置に窒素ガス500sccmを1.0×10-3mbarの圧力で導入し、出力1.5kWでプラズマ処理を行い、以下の蒸着条件で、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、酸化アルミニウムを積層して巻き取り、本発明の透明蒸着フィルムを製造した。このときの酸化アルミニウムの膜厚は20nmであった。
真空チャンバー真空度:2×10-2mbar
コーティングチャンバー真空度(酸素ガス導入前):1×10-5mbar
コーティングチャンバー真空度(酸素ガス導入後):5×10-4mbar
蒸着源:アルミニウム
(表1)
a ポリビニルアルコール 2.33(wt%)
(RS−110:株式会社クラレ製、ケン化度=99%、重合度=1,000)
イソプロピルアルコール 2.70
H2O 51.75
b エチルシリケート 16.60
シランカップリング剤 1.66
(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
イソプロピルアルコール 3.90
0.5N塩酸水溶液 0.53
H2O 20.53
合 計 100.00(wt%)
(1)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを300m/minで搬送し、マイクロ波プラズマ発生装置に窒素ガス800sccmを導入し、出力3kWでプラズマ処理を行うこと以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の透明蒸着フィルムを製造した。なお、このときの酸化アルミニウムの膜厚は20nmであった。
(2)上記(1)で製造した透明蒸着フィルムを用いる以外は、実施例1(2)に記載したのと同様の方法により、本発明の無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けた透明蒸着フィルムを製造した。
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを図1の巻き取り式の真空蒸着装置(物理気相成長法装置)の送り出しロールに装着した。
次いで、これを400m/minのライン速度で搬送し、マイクロ波プラズマ処理装置に窒素ガス500sccmを1.0×10-3mbarの圧力で導入し、出力1.5kWでプラズマ処理を行い、以下の蒸着条件で、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、酸化ケイ素を積層して、巻き取り、本発明の透明蒸着フィルムを製造した。このときの酸化ケイ素の膜厚は25nmであった。
真空チャンバー真空度:2×10-2mbar
コーティングチャンバー真空度(酸素ガス導入前):1×10-5mbar
コーティングチャンバー真空度(酸素ガス導入後):5×10-4mbar
蒸着源:酸化ケイ素
(2)上記(1)で製造した透明蒸着フィルムを用いる以外は、実施例1(2)に示したのと同様の方法により、上記透明蒸着フィルムの無機酸化物蒸着膜上に、ガスバリア性塗布膜を形成し、ガスバリア性塗布膜を設けた本発明の透明蒸着フィルムを製造した。
(1)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを300m/minで搬送し、マイクロ波プラズマ発生装置に窒素ガス800sccmを導入し、出力3kWでプラズマ処理を行う以外は、実施例3と同様の方法により、本発明の透明蒸着フィルムを製造した。なお、このときの酸化ケイ素の膜厚は30nmであった。
(2)上記(1)で製造した透明蒸着フィルムを用いる以外は、実施例1(2)に示したのと同様の方法により、上記透明蒸着フィルムの無機酸化物蒸着膜上に、ガスバリア性塗布膜を形成し、ガスバリア性塗布膜を設けた本発明の透明蒸着フィルムを製造した。
(1)マイクロ波プラズマ装置を使用しないこと以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の透明蒸着フィルムを製造した。このときの酸化アルミニウムの膜厚は20nmであった。
(2)上記(1)で製造した透明蒸着フィルムを用いる以外は、実施例1(2)に示したのと同様の方法により、上記透明蒸着フィルムの無機酸化物蒸着膜上に、ガスバリア性塗布膜を設けた透明蒸着フィルムを製造した。
(1)直流グロー放電プラズマ処理装置にアルゴンガス1000sccmを導入し、出力20kWでプラズマ処理を行うこと以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の透明蒸着フィルムを製造した。このときの酸化アルミニウムの膜厚は20nmであった。
(2)上記(1)で製造した透明蒸着フィルムを用いる以外は、実施例1(2)に示したのと同様の方法により、上記透明蒸着フィルムの無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けた透明蒸着フィルムを製造した。
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを図1の巻き取り式の真空蒸着装置(物理気相成長法装置)の送り出しロールに装着した。
次いで、これを300m/minのライン速度で搬送し、直流グロー放電プラズマ処理装置に窒素ガス800sccmを1.0×10-3mbarの圧力で導入し、出力20kWでプラズマ処理を行い、実施例1と同様の蒸着条件で、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、酸化アルミニウムを積層して巻き取り、透明蒸着フィルムを製造した。このとき酸化アルミニウムの膜厚は20nmであった。
(2)上記(1)で製造した透明蒸着フィルムを用いる以外は、実施例1の(2)に示したのと同様の方法により、上記透明蒸着フィルムの無機酸化物蒸着膜上に、ガスバリア性塗布膜を形成し、ガスバリア性塗布膜を設けた透明蒸着フィルムを製造した。
1.元素分析
英国、VGサイエンティフィック社製のX線光電子分光分析測定機(機種名、XPS)を使用し、酸化アルミニウムを蒸着せず、プラズマ処理のみ行った実施例1〜4、および比較例1〜3の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その処理面を以下の条件で分析した。X線光電子分光分析により得られた実施例1〜4のチャートを図2に、比較例1〜3のチャートを図3に、チャートから導かれる各実施例および各比較例の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの元素分析結果を(表2)に示す。
X線出力:100W、照射領域:400μmφ
原子間力顕微鏡(AFM)としてDigital Instrument製NanoScopeIIIaを使用し、タッピングモードで透明蒸着フィルム製造の際、酸化アルミニウムを蒸着せずにプラズマ処理のみを行った実施例1〜4、および比較例1〜3の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その処理面を以下の条件で測定し、表面粗さ(算術平均粗さ:Ra、二乗平均粗さ:Rms、最大粗さ:Rmax)を測定した。結果を以下の表3に示す。
Scan Mode:Tapping AFM
Scan Size:1μm
Scan Rate:1Hz
すなわち2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム表面を、窒化プラズマにより処理することにより、表面平滑性が大きく向上することが確認された。
酸素透過度は、MOCON社製OX−TRAN2/20を用い、測定条件23℃、90
%RHで、JIS K7126の測定方法に従い測定した。また水蒸気透過度は、MOCON社製PERMATRANT3/31を用い、測定条件40℃、100%RHで、JIS 7129の測定方法に従い測定した。
測定サンプルとして、実施例1〜4、および比較例1〜3のガスバリア性塗布膜を設けた透明蒸着フィルム、ならびに前記各透明蒸着フィルムに、接着層を介して2軸延伸ナイロンフィルム(ONy)15μ、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)70μを積層したもの(透明蒸着フィルム12μ/接着剤層/ONy15μ/接着剤層/CPP70μの積層体)を使用した。結果を(表4)に示す。
実施例1〜4、および比較例1〜3で製造したガスバリア性塗布膜を設けた透明蒸着フィルムを使用し、接着剤層を介し、透明蒸着フィルム12μ/接着剤層/ONy15μ/接着剤層/CPP70μの積層体を製造した。さらに、これを用いて3方袋を作成し、水道水を詰めた後シールした。レトルト条件は120℃、30分、2気圧の条件にてレトルト殺菌処理を行った。レトルト後バリア性、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、無機酸化物(酸化アルミニウム、酸化ケイ素)との剥離強度、および外観を調べた。なお剥離強度は、上記積層体を15mm幅短冊状に切ったサンプルを低速引張試験機により、引張速度50mm/min、T字剥離の条件で測定した。また、剥離界面はXPSにより特定した。
2 真空チャンバー
3 コーティングチャンバー
4 巻き出し部
5、5′ ガイドロール
6 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
7 マイクロ波発生装置
8 窒素ガス
9 マイクロ波プラズマ装置
10 窒化プラズマ
11 冷却ドラム
12 巻取り部
13 シャッター
14 酸素パイプ
15 蒸着源
16 るつぼ
17 電子銃
18 電子線
Claims (7)
- 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面をマイクロ波で形成した窒化プラズマにより処理し、さらに無機酸化物を積層することを特徴とする透明蒸着フィルムの製造方法。
- 無機酸化物が、酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に無機酸化物を積層した透明蒸着フィルムであって、
前記2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、少なくとも1つの炭素原子と結合した窒素原子を含むことを特徴とする透明蒸着フィルム。 - 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの炭素、窒素、酸素の元素割合における、窒素元素の割合が1%以上7%以下(Atomic%)、炭素元素の割合が75%以上、酸素元素の割合が25%以下であることを特徴とする請求項3に記載の透明蒸着フィルム。
- 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面粗さが、算術平均粗さ(Ra)で1.0nm以下、二乗平均粗さ(Rms)で2.0nm以下、最大粗さ(Rmax)で8.0nm以下のすべての条件を満たすことを特徴とする請求項3または4に記載の透明蒸着フィルム。
- 無機酸化物が、酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の透明蒸着フィルム。
- 透明蒸着フィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、ガスバリア性塗布膜を塗工した透明蒸着フィルムであって、
前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物であることを特徴とする、ガスバリア性塗布膜を設けた請求項3〜6のいずれか一項に記載の透明蒸着フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006034700A JP5034258B2 (ja) | 2006-02-13 | 2006-02-13 | 透明蒸着フィルム、およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006034700A JP5034258B2 (ja) | 2006-02-13 | 2006-02-13 | 透明蒸着フィルム、およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007211320A true JP2007211320A (ja) | 2007-08-23 |
JP5034258B2 JP5034258B2 (ja) | 2012-09-26 |
Family
ID=38490017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006034700A Active JP5034258B2 (ja) | 2006-02-13 | 2006-02-13 | 透明蒸着フィルム、およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5034258B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010018302A (ja) * | 2008-07-09 | 2010-01-28 | Toppan Printing Co Ltd | 透明ガスバリアフィルム、透明包装材料 |
JP2010017903A (ja) * | 2008-07-09 | 2010-01-28 | Toppan Printing Co Ltd | 透明ガスバリアフィルム、透明包装材料 |
JP2012236968A (ja) * | 2011-04-28 | 2012-12-06 | Tokai Rubber Ind Ltd | マイクロ波プラズマ改質方法 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0328365A (ja) * | 1989-03-20 | 1991-02-06 | Hitachi Ltd | 金属/有機高分子合成樹脂複合体及びその製造方法 |
JP2790054B2 (ja) * | 1993-09-30 | 1998-08-27 | 凸版印刷株式会社 | ガスバリア性積層フィルムおよびこの積層フィルムを用いた包装材料 |
JPH11262970A (ja) * | 1998-03-18 | 1999-09-28 | Dainippon Printing Co Ltd | 透明バリア性フィルムおよびその製造法 |
JPH11322979A (ja) * | 1998-05-19 | 1999-11-26 | Dainippon Printing Co Ltd | 透明バリア性フィルムおよびその製造法 |
JP3403880B2 (ja) * | 1995-12-04 | 2003-05-06 | 帝人株式会社 | 透明ガスバリアー性積層フィルムおよびその製造方法 |
JP2005324373A (ja) * | 2004-05-12 | 2005-11-24 | Dainippon Printing Co Ltd | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 |
JP2006116708A (ja) * | 2004-10-19 | 2006-05-11 | Toppan Printing Co Ltd | 多層蒸着フィルム |
-
2006
- 2006-02-13 JP JP2006034700A patent/JP5034258B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0328365A (ja) * | 1989-03-20 | 1991-02-06 | Hitachi Ltd | 金属/有機高分子合成樹脂複合体及びその製造方法 |
JP2790054B2 (ja) * | 1993-09-30 | 1998-08-27 | 凸版印刷株式会社 | ガスバリア性積層フィルムおよびこの積層フィルムを用いた包装材料 |
JP3403880B2 (ja) * | 1995-12-04 | 2003-05-06 | 帝人株式会社 | 透明ガスバリアー性積層フィルムおよびその製造方法 |
JPH11262970A (ja) * | 1998-03-18 | 1999-09-28 | Dainippon Printing Co Ltd | 透明バリア性フィルムおよびその製造法 |
JPH11322979A (ja) * | 1998-05-19 | 1999-11-26 | Dainippon Printing Co Ltd | 透明バリア性フィルムおよびその製造法 |
JP2005324373A (ja) * | 2004-05-12 | 2005-11-24 | Dainippon Printing Co Ltd | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 |
JP2006116708A (ja) * | 2004-10-19 | 2006-05-11 | Toppan Printing Co Ltd | 多層蒸着フィルム |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010018302A (ja) * | 2008-07-09 | 2010-01-28 | Toppan Printing Co Ltd | 透明ガスバリアフィルム、透明包装材料 |
JP2010017903A (ja) * | 2008-07-09 | 2010-01-28 | Toppan Printing Co Ltd | 透明ガスバリアフィルム、透明包装材料 |
JP2012236968A (ja) * | 2011-04-28 | 2012-12-06 | Tokai Rubber Ind Ltd | マイクロ波プラズマ改質方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5034258B2 (ja) | 2012-09-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4852822B2 (ja) | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 | |
JP6075080B2 (ja) | 紙容器用バリアフィルム、並びにそれよりなる紙容器用積層材及び液体用紙容器 | |
JP5381159B2 (ja) | ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法 | |
JP2010000447A (ja) | ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法 | |
JP2007216504A (ja) | ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法 | |
JP2005088415A (ja) | 積層フィルムおよびその製造法 | |
JP2007076192A (ja) | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 | |
JP5741637B2 (ja) | 透明ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法、並びにそれを使用した包装材料 | |
JP2008143103A (ja) | ガスバリア性積層フィルム | |
JP2008155437A (ja) | ガスバリア性積層フィルム | |
JP2007210262A (ja) | 透明バリアフィルムおよびその製造方法 | |
JP2007290292A (ja) | 透明バリア性積層フィルム及びその製造方法 | |
JP2005324373A (ja) | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 | |
JP2008143098A (ja) | ガスバリア性積層フィルム | |
JP5381158B2 (ja) | ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法 | |
JP5201074B2 (ja) | 透明ガスバリア性フィルム | |
JP5034258B2 (ja) | 透明蒸着フィルム、およびその製造方法 | |
JP2000127286A (ja) | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 | |
JP2008023931A (ja) | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 | |
JP2008264998A (ja) | ガスバリア性積層フィルム、その製造方法、それを使用した包装用積層材、および包装袋 | |
JP2000062078A (ja) | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 | |
JP2000052475A (ja) | バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 | |
JP4357933B2 (ja) | 液体小袋包装体 | |
JP5034257B2 (ja) | バリア性フィルム、およびその製造方法 | |
JP2008143583A (ja) | 液体用小袋およびこれに液体を充填した液体小袋包装体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081023 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111206 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120201 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120605 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120618 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5034258 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |