JP2007075189A - 衣類乾燥機 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾燥用空気の生成にヒートポンプ装置を採用した衣類乾燥機における乾燥終了時期の判定精度を高める。
【解決手段】衣類を収容して回転する回転槽とヒートポンプ装置とを備えた衣類乾燥機において、乾燥用の循環空気の回転槽通過前後の温度差Tddと蒸発器通過前後の温度差Tedとを検出し、それら温度差の差(Ted−Tdd)が所定のしきい値以上になるか、又はそれら温度差の比(Ted/Tdd)が所定のしきい値以上になるかしたことをもって乾燥終了と判定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、乾燥機構にヒートポンプ装置を採用した衣類乾燥機における衣類乾燥終了時期を的確に判定する技術に関する。
衣類乾燥機あるいは洗濯機能をも備えた洗濯乾燥機における衣類乾燥は、通常、被乾燥衣類を収容した回転槽を回転させながら回転槽入口より乾燥した温風を吹き込む方法で行なわれる。この種の衣類乾燥機における従来の主な乾燥終了時期の判定方法としては、回転槽から排出される空気の温度変化に基づいて判定する方法と湿度変化から検出する方法がある。
衣類が湿っている間は回転槽に投入された熱量は水の蒸発に使用されるため排気温度は安定している。乾燥が進むと衣類からの水蒸発量が減少するため排気温度は急上昇を始める。前者の温度変化に基づいて検出する方法では、その温度変化を検出して判定する。
後者の湿度変化から検出する方法では、衣類の乾燥が進むと水蒸発量が減少して回転槽から排気される空気の湿度が低下することから、その変化を検出して判定する。
ところで、衣類を乾燥させるには乾燥した温風(乾燥用空気)を必要とするが、最近では省エネルギーの観点から乾燥用空気の生成にヒートポンプ装置を使用するものが考えられている。図16は、このヒートポンプ装置を使用して乾燥用空気を生成し、それを衣類に吹き当てて乾燥を行なうヒートポンプ採用衣類乾燥機の概念図を示したものである。
図中のヒートポンプ装置100は圧縮機101、凝縮器102、膨張弁103、蒸発器104をパイプ105で繋ぎ、そのパイプ105内に冷媒を循環させて熱移送を行なうように構成されている。衣類乾燥に必要な乾燥用空気の流れはファン107により起こされて空気流路108内を循環し、その過程で蒸発器104、凝縮器102と接触してヒートポンプ装置100と熱交換を行なう。乾燥用空気は凝縮器102から熱エネルギーを得て温風となり、ファン107によって回転槽109に吹き込まれる。吹き込まれた乾燥用空気は衣類の水分を蒸発させる。水分蒸発により乾燥用空気自身は温度低下した湿った空気となり、回転槽109から排出される。回転槽109から排出された湿った空気は蒸発器104と接触して冷却され、水蒸気が水滴となって除湿される。除湿され低温となった空気は凝縮器102にて加熱されて温風となりファン107により再び回転槽109に吹き込まれる。このような乾燥用空気の循環により衣類は次第に乾燥していく。
このようなヒートポンプ装置100を採用した衣類乾燥機では、回転槽109内へ比較的温度の低い温風を大量に吹き込むことができる。このため、高い温度の温風を吹き込むヒータ加熱式衣類乾燥機に比べて衣類の受けるダメージが少なくなる利点がある。その反面、比較的温度の低い温風を大量に吹き込むため回転槽109から排出される乾燥用空気の温度変化は小さくなる。従って、その温度変化に基づいて乾燥終了時期を判定する方法では精度の良い判定は難しくなる。
また、ヒートポンプ装置100における凝縮器102と蒸発器104の出口冷媒温度は、圧縮機101の回転速度と膨張弁103の開度に大きく依存して変化する。一方、円滑なヒートポンプ動作を行なわせるには圧縮機101から吐出される冷媒の圧力と温度を所定範囲内に維持する必要があることから、圧縮機101の回転速度と膨張弁103の開度が乾燥運転中に変更されることがある。圧縮機101の回転速度や膨張弁103の開度が変更されると、凝縮器102と蒸発器104の出口冷媒温度が変化して回転槽109内へ吹き込まれる乾燥用空気の温度が変動し、回転槽109から排出される乾燥用空気の温度も変化する。従って、圧縮機101の回転速度と膨張弁103の開度が変更された場合には、回転槽109から排出される乾燥用空気の温度変化や湿度変化に基づいて乾燥終了時期を判定する方法では判定精度が悪化するという問題がある。
特開平6−142399号公報 特開2005−103179号公報
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その課題は、乾燥用空気の生成にヒートポンプ装置を採用した衣類乾燥機における乾燥終了時期の判定精度を高めることにある。
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、衣類を収容して回転する回転槽と、冷媒を圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に循環させ蒸発器で外部より吸収した熱を凝縮器で外部に放熱する熱移送を行なうヒートポンプ装置と、を備え、前記凝縮器にて放熱される熱により加熱した循環空気を前記回転槽に導き、回転槽通過後に前記蒸発器に接触させて冷却除湿した後、再び前記凝縮器にて加熱して再循環させるように構成した衣類乾燥機であって、循環空気の前記回転槽通過前後の温度差Tddと前記蒸発器通過前後の温度差Tedとを検出し、それら温度差の差(Ted−Tdd)が所定のしきい値以上になるか、又は前記温度差Tedを前記温度差Tddで除した値(Ted/Tdd)が所定のしきい値以上になるかしたことをもって乾燥終了と判定することを特徴とする。
回転槽通過前後の循環空気の温度差Tddは乾燥が進むにつれて減少し、蒸発器通過前後の温度差Tedは反対に増加する。従って、その2つの温度差の差(Ted−Tdd)の変化率は温度差Tdd単独の変化率よりも大きくなることから、温度差Tdd単独の変化率から乾燥終了時期を判定する方法よりも乾燥終了時期の判定精度が向上する。同様に2つの温度差の比(Ted/Tdd)の変化率も大きくなることから、温度差Tddの変化から判定する従来方法より乾燥終了時期の判定精度が向上する。また、2つの温度差の差(Ted−Tdd)及び2つの温度差の比(Ted/Tdd)は、圧縮機出口冷媒の圧力や温度の変化の影響を受けにくい。従って、この点からも乾燥終了時期の判定精度が向上する効果を奏する。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衣類乾燥機において、前記乾燥終了の判定は所定の周期で行なうこととし、該判定を行なう直前の所定期間は前記圧縮機の回転速度と前記膨張弁の開度を毎回同じ状態にすることを特徴とする。
このように同じ状態とすれば、判定に使用する循環空気の温度を何時も同じ条件で検出できるため乾燥終了時期の判定精度が向上する効果を奏する。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衣類乾燥機において、前記回転槽内衣類の重量を検出する重量検出手段と、外気温度を検出する外気温度検出手段とを設け、乾燥運転開始後にそれら手段により衣類重量と外気温度を検出し、それら検出値に基づいて前記乾燥終了と判定する前記各所定のしきい値を決定することを特徴とする。
乾燥終了時期の判定に使用する循環空気についての前記2つの温度差の差(Ted−Tdd)及び2つの温度差の比(Ted/Tdd)の各しきい値は、乾燥運転開始時の衣類重量と外気温度による影響を受ける。従って、それらを考慮して各しきい値を決めれば乾燥終了時期の判定精度を一層向上させることができる効果を奏する。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の衣類乾燥機において、前記圧縮機と凝縮器の間における前記冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段を設け、該手段により検出した冷媒温度が所定温度範囲を外れた回数が所定のしきい値を超えた場合、又は所定温度範囲を外れた積算時間が所定のしきい値を超えた場合には、前記重量検出手段にて検出した乾燥運転開始直後の衣類重量に基づいて決定した乾燥運転時間の経過をもって乾燥終了と判定することを特徴とする。
圧縮機と凝縮器の間における冷媒の温度の変動が激しい場合には、前記循環空気についての2つの温度差の差(Ted−Tdd)及び2つの温度差の比(Ted/Tdd)に基づく前記乾燥終了時期の判定法では精度が悪くなる場合がある。従って、そのような場合には乾燥運転開始時の衣類重量に基づいて決定した乾燥運転時間の経過をもって乾燥終了と判定することで乾燥終了時期の精度を確保することができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の衣類乾燥機において、乾燥運転中に前記重量検出手段により前記回転槽内の衣類重量の検出を周期的に行ない、検出した衣類重量の乾燥運転開始からの減少割合が所定のしきい値を超えていた場合には直ちに乾燥終了と判定することを特徴とする。
このように衣類重量の減少割合による乾燥終了時期判定を追加すれば、無駄な乾燥運転の継続を防止することができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の衣類乾燥機において、乾燥運転開始後は前記重量検出手段により前記回転槽内の衣類重量の検出を周期的に行ない、検出した衣類重量の乾燥運転開始からの減少割合が所定のしきい値を超えた時点から、前記循環空気の前記回転槽通過前後の温度差Tddと蒸発器通過前後の温度差Tedとに基づく前記乾燥終了判定を開始することを特徴とする。
衣類重量が所定割合減少する以前には、前記循環空気の2つの温度差の差(Ted−Tdd)及び2つの温度差の比(Ted/Tdd)に基づいた前記乾燥終了の判定が下されることはない。従って、本構成のようにその間には循環空気の温度に基づく前記乾燥終了の判定を行なわないこととすれは、その間の乾燥運転に不要な外乱を与えないで済む効果を奏する。
また、請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の衣類乾燥機において、前記圧縮機と凝縮器の間における前記冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段を設け、該手段により検出した冷媒温度が所定温度範囲を外れた回数が所定のしきい値を超えた場合、又は所定温度範囲を外れた積算時間が所定のしきい値を超えた場合には、前記重量検出手段にて検出した衣類重量の乾燥運転開始からの減少割合が所定のしきい値を超えたことをもって乾燥終了と判定することを特徴とする。
このように圧縮機と凝縮器の間における冷媒の温度変動が激しい場合における乾燥終了を衣類重量の減少割合に基づいて行なえば、乾燥運転開始時の衣類重量に基づいて決定した乾燥運転時間の経過をもって乾燥終了時期とする場合よりも乾燥終了時期の判定精度を高めることができる。
以下、本発明に係る衣類乾燥機の一実施形態について図面を参照して説明する。図1はその衣類乾燥機の構成を縦断面図で示したものである。なお、本実施形態の衣類乾燥機1は衣類の洗濯をも行なうことができるものであるので、以下洗濯乾燥機1の名称で説明する。
洗濯乾燥機1は横軸型のドラム式洗濯乾燥機であり、衣類を収容する回転槽2は、外殻である外箱3の内側に設けた水槽4の内部に配設してある。水槽4及び回転槽2はともに円筒状を成し、前側(図中、左側)の端面部にそれぞれの開口部5、6を有している。このうち回転槽2の開口部5は衣類出し入れ用であり、それを水槽4の開口部6が囲繞している。水槽4の開口部6は外箱3の前面部に形成した衣類出し入れ用の開口部7にベローズ8で連なり、外箱3の開口部7には扉9が開閉可能に取り付けてある。回転槽2には通水孔及び通風孔として機能する孔10が胴部のほゞ全域に形成してある。
回転槽2の後側端面部の背面には補強部材11が取り付けられ、その補強部材11を介して回転槽2の後側端面部の中心位置に回転軸12が取り付けてある。回転軸12は水槽4の後側端面部の中心部に取り付けられた軸受ハウジング14内の軸受15,16に挿通され、これにより回転槽2は水槽4に回転可能に支持されている。回転軸12は軸受ハウジング14に固定した外転形モータ18の回転軸12に連結され、もって回転槽2は外転形モータ18により回転駆動されるようになっている。
水槽4の外箱3の底面上には複数個のクッション21を介して台板22を取り付け、その上に乾燥用の循環空気を通す通風ダクト23が配置してある。通風ダクト23の内部には前部に蒸発器24が、後部に凝縮器25が配置してある。また、通風ダクト23の横の台板22上には圧縮機26が取り付けてある。圧縮機26、凝縮器25、蒸発器24は膨張弁27(図2参照)と共に冷媒を循環させるパイプ28(図2参照)によって結ばれ、これらによりヒートポンプ装置29が構成されている。
通風ダクト23の後端部(図中、右側部)には送風機40のケーシング41が連結され、その内部には乾燥用空気を循環させる送風ファン42が、外側にはそれを駆動するモータ43が取り付けてある。送風ファン42は通風ダクト23を通った循環空気を吸い込み、ケーシング41上部に形成した出口44から吹き出す。その出口44には接続ホース46とそれに連なる給風ダクト47が取り付けてあり、給風ダクト47は水槽4の後側端面部に形成した温風入口45に連通している。
水槽4の後側端面部の内側には中央部に円形の穴を有する温風カバー49が装着してあり、回転軸12周りにドーナツ状の開口50を形成している。温風カバー49と水槽4の後側端面部との間は温風入口45から入った循環空気をその開口50に導く温風通路51となっており、開口50はその出口となる。
ドーナツ状の開口50を塞ぐ部分の前記補強部材11には比較的大きな孔54が回転軸12を取り巻くように複数形成してある。また、回転槽2の後側端面部における回転軸12の取り付け部周りには多数の小孔から成る温風導入口13が形成してある。その温風導入口13と温風カバー49の開口50との間の補強部材11は、回転軸12を取り巻く円筒状に成形されている。もって、その円筒状部と回転軸12外側との間に温風導入路55が形成されている。
補強部材11が前記温風カバー49の開口50の周辺と接する部分には、開口50の周辺と摺接するシール部材53が取り付けてあり、両者の隙間を通しての循環空気の漏れを防止している。
他方、通風ダクト23の前端部には上方に向けて吸風口30が形成してあり、この吸風口30には接続ホース33とそれに連なる吸風ダクト32が取り付けてある。吸風ダクト32は、回転槽2内からの循環空気排出用に水槽4の開口部6上方に形成された温風出口31に連なっている。
このように送風ファン42よって通風ダクト23から吸引された循環空気は、ケーシング41の出口44、接続ホース46、給風ダクト47、温風入口45、温風通路51、温風通路51、温風カバー49の開口50、孔54、複数の孔54、温風導入路55、温風導入口13を通って回転槽2に吹き込まれる。そして、回転槽2内で衣類と接して水分を吸収した循環空気は温風出口31から排出され、吸風ダクト32、接続ホース33、吸風口30を通って通風ダクト23に入り、蒸発器24、凝縮器25に接して送風ファン42に帰還する。循環空気はこのような通風路を繰り返し循環する。
次に、このような通風路を循環する循環空気とヒートポンプ装置29とによって回転槽2内の衣類を乾燥させる原理について、図2に示したヒートポンプ乾燥の原理を説明する図を参照して説明する。ヒートポンプ装置29は圧縮機26、凝縮器25、膨張弁27、蒸発器24をこの順にパイプ28で繋いで構成されており、そのパイプ28中に冷媒を循環させて冷凍サイクルを行なうものである。
圧縮機26はパイプ28中を矢印60方向に一巡して帰還した冷媒を圧縮し、高温高圧の気体冷媒として吐出する。吐出された気体冷媒は、凝縮器25のフィン61に接して流れる循環空気と熱交換して放熱し、凝縮、液化して高圧の液冷媒に変わる。その高圧の液冷媒は膨張弁27から吐出されて減圧し、蒸発器24内で蒸発して温度低下する。温度低下した冷媒は蒸発器24のフィン62に接して流れる循環空気の熱を奪い、自身は温度上昇する。温度上昇した冷媒はパイプ28を通って圧縮機26に帰還する。そして、再び圧縮される。冷媒がこのような状態変化を伴いながらパイプ28中を循環することにより、蒸発器24にて循環空気から熱エネルギーを奪い、奪った熱エネルギーを凝縮器25に移送し、凝縮器25にて循環空気に戻すというヒートポンプ作用が行なわれる。
一方、循環空気は送風ファン42によって起こされ図2の矢印64方向に通風路を循環する。即ち、最初に回転槽2を通過して通風ダクト23に入り、続いて蒸発器24、凝縮器25の順にそのフィン62、61に接して流れ送風ファン42に戻る。その循環過程において循環空気は回転槽2内にて衣類と接してその水分を蒸発させて吸収する。水分を吸収して高湿度となった循環空気は、次に蒸発器24の低温のフィン62と接して冷却され温度低下する。冷却により循環空気中の水蒸気は凝縮、液化し、循環空気は除湿される。除湿され低温となった循環空気は、次に凝縮器25の高温のフィン61に接して加熱され高温の乾燥空気に戻る。高温の乾燥空気に戻った循環空気は、送風ファン42によって再び回転槽2内に吹き込まれる。このようにして乾燥用空気が循環することにより衣類は水分を奪われて次第に乾燥していく。
次に、この洗濯乾燥機1の制御装置の構成を図3に示すブロック図を参照して説明する。制御装置70は制御回路71、操作スイッチ群72、表示装置73、温度センサ群74、圧縮機出口冷媒圧力センサ75、水位センサ76、駆動回路群77を備えて構成される。
制御回路71は洗濯乾燥機1の動作全般を制御する機能を有するものでマイクロコンピュータを主体に構成されており、内部には周知のCPU、RAM、ROM、それらを接続する図示しないバス、I/Oインターフェース、電源装置などを備える。操作スイッチ群72は洗濯、乾燥条件等を入力するためのものである。表示装置73は入力情報、運転状況等を表示するためのものである。
温度センサ群74には、回転槽入口空気温度センサ74a、回転槽出口空気温度センサ74b、蒸発器出口空気温度センサ74c、外気温度センサ74d、圧縮機出口冷媒温度センサ74eが含まれる。何れのセンサもサーミスタを用いて構成されている。
回転槽入口空気温度センサ74aは回転槽2に吹き込まれる乾燥用循環空気の温度を検出するセンサで、図1、図2に示すように給風ダクト47に取り付けてある。回転槽出口空気温度センサ74bは回転槽2から排出される循環空気の温度を検出するセンサで、通風ダクト23内の吸風口30近くに取り付けてある。蒸発器出口空気温度センサ74cは蒸発器24のフィン62に接触して冷却除湿された後の循環空気の温度を検出するセンサで、蒸発器24と凝縮器25間の通風ダクト23内に取り付けられている。外気温度センサ74dは外気温度Taを検出するセンサである(図示せず)。圧縮機出口冷媒温度センサ74eは、圧縮機26にて圧縮された後の冷媒温度を検出するセンサで、圧縮機26と凝縮器25を繋ぐパイプに取り付けてある。
圧縮機出口冷媒圧力センサ75は、圧縮機26にて圧縮された後の冷媒圧力を検出するセンサで、圧縮機26と凝縮器25を繋ぐパイプ28部分に取り付けてある。水位センサ76は水槽4内の水位を検出するセンサで、水槽4内に取り付けてある(図示せず)。
駆動回路群77には、回転槽2を回すモータ18を駆動する回転槽駆動回路77a、送風機40のモータ43を駆動する送風機駆動回路77b、圧縮機26を駆動する圧縮機駆動回路77c、膨張弁27を駆動する膨張弁駆動回路77d、水槽4内への給水を制御する給水弁(図示せず)を駆動する給水弁駆動回路77e、水槽4内の水の排出を制御する排水弁37を駆動する排水弁駆動回路77fが含まれる。
次に、このような構成を有する洗濯乾燥機1による衣類の乾燥工程の動作について、本発明が課題としている乾燥終了時期の判定法を主に説明する。図4は、第1の実施形態の制御フロー(特許請求の範囲の請求項1、2、3に記載した発明に対応)を示したものである。この制御フローは制御回路71が実行する。
操作スイッチ群72からの指示により乾燥工程が開始されると、制御回路71は最初に乾燥用空気の循環を開始させる。そのために最初のステップS1では回転槽駆動回路77aと送風機駆動回路77bに指示して回転槽2と送風ファン42の駆動を開始させる。これにより乾燥用の循環空気は送風ファン42、回転槽2、蒸発器24、凝縮器25を経て再び送風ファン42に戻る循環風路を循環し始める。
続いて、制御回路71はヒートポンプ装置29の運転を開始させる。そのためにステップS2では圧縮機駆動回路77cに指示して圧縮機26を駆動開始させ、同時に膨張弁駆動回路77dに指示して膨張弁27の開度を予め決められた所定の開度に調整させる。続くステップS3では外気温度センサ74dにより外気温度Taを検出して記憶する。
次のステップS4では、回転槽2内の衣類の初期重量Woを検出する。衣類重量は、回転槽2を所定の回転速度(例えば、200rpm)で回転させたときのモータ電流値に基づいて検出する。衣類重量を検出するステップS4の制御フローの詳細を図5に示す。最初のステップS41では、回転槽駆動回路77aに対して回転槽2を所定の回転速度で回転させる指示を出す。ステップS42では、回転槽2の回転速度が指示した速度に達したかチェックする。回転速度は回転槽駆動回路77aをセンサレスのベクトル制御装置として構成しておけば、特別の回転センサを付けることなく検出することができる。
続くステップS43ではモータ電流の検出を行なう。モータ電流も回転槽駆動回路77aをベクトル制御装置として構成しておけば、その装置内で検出することができる。モータ電流値が判明したならば、その値から衣類重量を算出する。図6は、モータ18を一定の回転速度で回転させた場合におけるモータ電流と衣類重量との関係を示したものである。このような関係を予め実験により把握して制御回路71内に記憶させておけば、検出したモータ電流値から衣類重量を算出することができる。算出した衣類重量は衣類初期重量Woとして記憶しておく。衣類重量の算出を終えたならばステップS45に移り、回転槽2の回転速度をステップS41に移る前の値に戻しておく。
このようにしてステップS4にて衣類初期重量Woを検出したならば次のステップS5に移る。ステップS5は、衣類の乾燥終了時点を判定する基準を決めるステップである。本実施形態では、乾燥用空気が回転槽2を通過する前後の温度差Tddと、蒸発器を通過する前後の温度差Tedとに基づいて乾燥終了時点を判定する。その判定基準は、ステップS3にて検出した外気温度Taと、ステップS4にて検出した衣類の初期重量Woとに基づいて決定する。ここで、その判定基準の決め方その意義について図7を参照して説明する。
図7は横軸に乾燥工程開始からの経過時間を、縦軸に循環空気の温度、湿度等をとり、その上にそれらの変化の一例を表わしたものである。図中の曲線(1)は、回転槽2に入る直前の循環空気の温度変化(回転槽入口空気温度の変化)を示している。ヒートポンプ装置29の運転が開始されると凝縮器25には圧縮機26から吐出された高温高圧の気体冷媒が流れ、そのフィン61は温度上昇する。回転槽2に入る前の循環空気は、そのフィン61との接触により熱エネルギーを得て温度上昇している。反対に凝縮器25内の気体冷媒は熱エネルギーを奪われて温度低下する。この場合、最初の間は高温高圧の気体冷媒によって凝縮器25に持ち込まれる熱量の方が循環空気により奪われる熱量より多いため、凝縮器25は温度上昇していく。回転槽入口空気温度もそれに伴って次第に上昇していく。
温度上昇して回転槽2に入った循環空気は衣類に含まれる水分を蒸発させて乾燥させる。循環空気自身は蒸発した水蒸気を吸収して多湿になる。同時に、蒸発する水分に熱エネルギーを奪われて温度低下する。しかし、回転槽入口空気温度が次第に上昇するため、回転槽出口空気温度も次第に上昇していく。
凝縮器25にて循環空気に熱エネルギーを奪われた気体冷媒は凝縮、液化して高圧の液冷媒に変わり、膨張弁27から吐出される。吐出による膨張により冷媒は低圧となり、蒸発器24内で蒸発して温度低下する。これにより蒸発器24のフィン62は低温となる。回転槽2を通過して多湿となった循環空気は低温のフィン62に接触して更に冷却される。このとき循環空気に含まれる水蒸気が凝縮、液化して循環空気は除湿される。循環空気が低温のフィン62に接することで蒸発器出口空気温度は回転槽出口空気温度より低くなるが、それでも回転槽出口空気温度が次第に上昇するため蒸発器出口空気温度も図7の曲線(3)に示すように次第に上昇する。
蒸発器24にて温度低下した循環空気は、凝縮器25に流れて再び加熱される。蒸発器24にて循環空気から熱エネルギーを奪って温度上昇した冷媒の方は圧縮機26に戻り、再び圧縮されて凝縮器25に流れる。
こうした冷媒及び循環空気の一連の循環により回転槽2内の衣類は水分を奪われて次第に乾燥していく。衣類の乾燥が進むにつれて回転槽2内での水分蒸発量は減少する。このため回転槽出口における循環空気の湿度は、図7の曲線(4)に示すように次第に低下していく。水分蒸発量が減少すると循環空気が奪われる熱量も少なくなるため、回転槽出口空気温度は曲線(2)に示すように更に上昇していく。
乾燥運転を開始して暫くすると、回転槽入口空気温度と蒸発器出口空気温度は曲線(1)、(3)に示すように上昇が止まる。上昇が止まった後も蒸発器24に接する循環空気温度(回転槽出口空気温度)は水分蒸発量の減少により温度上昇を続ける。このように蒸発器24に接する循環空気の温度が上昇していくにも関わらず蒸発器出口空気温度と回転槽入口空気温度がほぼ一定で変化しないのは、凝縮器25と蒸発器24における熱バランスが平衡に近づいていることの他に圧縮機26の回転速度が調整されていることにもよる。
圧縮機26を駆動するモータに供給された電力の大部分は熱エネルギーに変わって冷媒の平均温度を上昇させる。この温度上昇は、圧縮機26から吐出される冷媒の圧力と温度を上昇させる。このモータ消費電力の影響以外にも様々な要因が存在して圧縮機26から吐出される冷媒の圧力と温度は上昇傾向を示す。冷媒の圧力と温度の上昇は冷凍サイクルの能力に影響し、また各機器に不具合を生じさせる原因ともなるため、それらの値を所定の範囲内に納めておく必要がある。
対策として御回路71は、圧縮機26と凝縮器25との間のパイプ28に取り付けた圧縮機出口冷媒圧力センサ75、圧縮機出口冷媒温度センサ74eにより冷媒の圧力と温度を検出している。そして、それらの値が所定の範囲に納まるように圧縮機26の回転速度と膨張弁27の開度の調整を行なっている。そうしたこともあって乾燥運転開始から暫くすると回転槽入口空気温度と蒸発器出口空気温度は、回転槽出口における循環空気の温度と湿度とが変化継続するにも関わらずほぼ一定の温度を示す。
衣類の乾燥が進むに従って回転槽入口空気温度と回転槽出口空気温度との差(循環空気の回転槽2通過前後の温度差)Tddは、図7で分かるように減少していく。こうしたことから温度差Tddが所定のしきい値以下になったことをもって乾燥終了と判定することもできる。これに対して本実施形態では、循環空気の回転槽2通過前後の温度差Tddと、蒸発器24通過前後の温度差Tedとを検出し、それら温度差の差(Ted−Tdd)が所定のしきい値以上になるか、又は、温度差Tedを温度差Tddで除した値(Ted/Tdd)が所定のしきい値以上になるかしたことをもって乾燥終了と判定する方法を採用している。
このような判定方法は、循環空気の回転槽2通過前後の温度差Tddあるいは回転槽出口空気温度の変化のみから判断する従来方法と比べて次のような利点を持つ。即ち、乾燥進行と共に循環空気の回転槽2通過前後の空気温度差Tddは図7に示すように減少していくが、回転槽出口空気温度と蒸発器出口空気温度との差(循環空気の蒸発器24通過前後の温度差)Tedは逆に増加していく。従って、その2つの温度差の差である(Ted−Tdd)の変化率は、温度差Tddあるいは回転槽出口空気温度単独の変化率よりも大きくなる。乾燥終了の判定精度は、変化率が大きい程高まる。従って、この2つの温度差の差(Ted−Tdd)に基づく乾燥終了判定方法は温度差Tddあるいは回転槽出口空気温度により判定する従来方法に比べて優れているといえる。
同様の理由で、2つの温度差の比である(Ted/Tdd)の変化率も大きな値を示す。従って(Ted/Tdd)の値に基づく乾燥終了判定方法も、従来方法に比べて優れている。
こうした変化率が大きいという利点に加えて、本実施形態の乾燥終了判定方法は圧縮機26から吐出される冷媒の圧力又は温度が変化した場合でも、その影響を受けにくいという利点がある。圧縮機26から吐出された冷媒の圧力又は温度が圧縮機26の回転速度を低下させたことにより低下したとする。この場合、循環空気の回転槽2通過前後の温度差Tddと蒸発器24通過前後の温度差Tedとは、その影響を受けて共に小さくなる。温度差Tddと温度差Tedとが共に小さい方向に変化するため、それらが2つの温度差の差(Ted−Tdd)の値及び2つの温度差の比(Ted/Tdd)の値に与える影響は相殺し合うことになる。
また、冷媒の流量に変化を生じた場合等、凝縮器温度が低く、蒸発器温度が高くなるなどの変動に対しても、回転槽入口空気温度は低下、蒸発器出口空気温度は上昇し、温度差Tdd、Tedは何れも小さくなるためこの場合においても影響は相殺される。これらのことから2つの温度差の差(Ted−Tdd)及び2つの温度差の比(Ted/Tdd)が受ける影響は、温度差Tddあるいは回転槽出口空気温度が単独で受ける影響よりも小さくなる。こうした点からも、本実施形態の乾燥終了判定方法は従来方法より優れているといえる。
なお、この乾燥終了時期を判断する基準となる2つの温度差の差(Ted−Tdd)のしきい値と、2つの温度差の比(Ted/Tdd)のしきい値とは、共に衣類の初期重量Woと外気温度Taの影響を受ける。従って、本実施形態では、予め実験により種々の衣類初期重量Woと外気温度Taに対してそれぞれのしきい値を求めておき、そのデータを制御回路71内に記憶させておく。
図4のフローに戻り、上述したような理由によりステップS5では、ステップS3で検出した外気温度TaとステップS4で検出した衣類の初期重量Woとから、今回の乾燥終了判定に適用すべき2つの温度差の差(Ted−Tdd)及び2つの温度差の比(Ted/Tdd)についてのそれぞれのしきい値を、前記制御回路71内に記憶していた前記データに基づいて決定する。
次のステップS6からステップS13までは、乾燥終了時期を判定するフローである。乾燥終了時期の判定は、圧縮機26から吐出された冷媒の圧力と温度による影響を少しでも少なくするために何時も同じような条件で行なうことが望ましい。そのために本実施形態では、循環空気の前記温度差Ted及びTddを検出する前の一定時間t2の間は圧縮機26の回転速度と膨張弁27の開度を毎回同じ値にして運転するようにしている。そのような乾燥終了判定のための特別の運転を頻繁に行なうことは乾燥作業に支障を与えるので、特別の運転は一定時間t1の間隔で間欠的に行なうようにしている。
ステップS6では、その時間間隔を計るためにカウンタ式タイマCT1をスタートさせる。ステップS7では、通常の乾燥運転を一定時間t1継続したかチェックする。一定時間t1継続したならばステップS8に移り、循環空気の回転槽2通過前後の温度差Tddと蒸発器24通過前後の温度差Tedを検出する。その検出は、前述したように特別の運転条件下で行なう。その制御フローの詳細を図8に示す。
ステップS81では、圧縮機26の回転速度と膨張弁27の開度とを循環空気温度検出用に特別に定めた値に調整する。ステップS82では、その特別の運転状態が安定するまでの時間計測用にタイマCT1を一旦リセットした上で再スタートさせる。ステップS83では、一定時間t2経過したかチェックする。経過したならばステップS84に移り、循環空気の回転槽2通過前後の温度差Tddと循環空気の蒸発器24通過前後の温度差Tedを検出する。検出を終えたならばステップS85にて、圧縮機26の回転速度と膨張弁27の開度とをステップS81に移る前の状態に戻しておく。
ステップS8にてTdd、Tedの温度検出作業を終えたならば、前記各しきい値との比較を開始する。ステップS9では、2つの温度差の差(Ted−Tdd)がステップS5で決めたしきい値を超えているか否かチェックする。超えていれば乾燥終了と判定してステップS12に移る。超えていなければステップS10に移り、2つの温度差の比(Ted/Tdd)がステップS5で決めたしきい値を超えているか否かチェックする。超えていれば乾燥終了と判定してステップS12に移る。
超えていなければ乾燥が終了していないので、ステップS11にてタイマCT1を一旦リセットした上で再スタートさせステップS7に戻る。そして、通常の乾燥運転を継続する。乾燥終了と判定された場合に実行されるステップS12では、全ての動作を終了させる。そして、ステップS13にて乾燥工程が終了した旨を表示装置3に表示して終了する。このように乾燥作業を実行することで、衣類の乾燥終了時期を精度良く判定することができる。
図9〜図11は、第2の実施形態の制御フロー(請求項4に記載した発明に対応)を示したものである。本実施形態では圧縮機出口冷媒温度のチェックを継続して行ない、その値が所定温度範囲を外れた回数が所定のしきい値を超えた場合、又はその値が所定温度範囲を外れた積算時間が所定のしきい値を超えた場合には、前記第1の実施形態で行なった温度差Tdd、Tedとに基づく前記乾燥終了時期の判定を止める。そして代わりに、衣類初期重量Woに応じて決めた一定時間だけ乾燥運転を継続したことをもって乾燥終了と判定する。
このように途中で判定方法を変更するのは、圧縮機出口冷媒温度が頻繁に所定変動範囲を外れたり、外れた時間が長かったりした場合には、温度差Tdd、Tedとに基づく前記乾燥終了時期の判定方法では、判定精度が悪くなる場合があるためである。
図9の最初のステップS1、S2は、第1の実施形態で説明した図4のステップS1、S2と同じで乾燥運転を開始する処理を行なうステップである。ステップS2aは図4のフローに対して追加したステップで、乾燥運転経過時間を計時するためのカウンタ式タイマCT2をスタートさせる。ステップS3、S4は図4と同様で、外気温度Taと衣類初期重量Woの検出を行なう。衣類重量の検出方法は図5にて説明した通りである。
続くステップS5aは、図4のステップS5の処理に追加処理を加えたものである。追加した処理は、乾燥運転開始から一定時間が経過したことをもって乾燥終了と判定する場合のしきい値時間t3を決めておくことである。このしきい値時間t3は衣類初期重量Woに基づいて決めておく必要がある。従って、予め実験により衣類初期重量Woに対応した最適なしきい値時間t3を求めて制御回路71に記憶させておく。そして、ステップS4にて検出した衣類初期重量Woを元に今回乾燥運転に適用するしきい値時間t3を決めて記憶しておく。
続くステップS5bでは、終了判定法変更フラグを設けて「0」を記憶させておく。終了判定法変更フラグは、後述する図10のタスク(冷媒温度チェックタスク)によって記憶内容が「1」に変更される。図10の冷媒温度チェックタスクは、終了判定法を温度差Tdd、Tedに基づく判定法から乾燥運転開始からの経過時間による判定法に変更する必要が生じたと判断したときにこのフラグに「1」を書き込む。このフラグにより乾燥終了時期の判定法を変更する必要が生じたことが図10のタスクから図9のタスクに伝達される。ステップS5cでは、その図10に示した冷媒温度チェックタスクを起動する。
続くステップS6〜S13までのフローは、ステップS6a、S11aを追加した以外は図4のステップS6〜S13までのフローと同じである。そして、前記終了判定法変更フラグに「1」がセットされていない状態における処理は、図4のステップS6〜S13の処理と同じとなる。即ち、終了判定法変更フラグに「1」がセットされるまでの間は、温度差Tdd、Tedを検出して2つの温度差の差(Ted−Tdd)、2つの温度差の比(Ted/Tdd)がステップS5aにて決めたそれぞれのしきい値を超えているか否かで乾燥終了時期を判定する。
終了判定法変更フラグの状態チェックはステップS6aで行なう。終了判定法変更フラグが「1」であった場合には、ステップS7に移らずにステップS11aに移る。この場合、ステップS7〜S11の処理は実行されないので温度差Tdd、Tedに基づく前記乾燥終了判定は行なわれないことになる。代わってステップS11aにおいて、乾燥運転開始からの経過時間に基づく乾燥終了時期判定が行なわれる。
ステップS11aでは、ステップS2aにてスタートさせたタイマCT2の計時時間がステップS5aで決めたしきい値時間t3を超えていないかチェックする。超えていた場合は乾燥終了と判定してステップS12、S13の処理を実行して終了する。超えていない場合にはステップS6aに戻る。戻った後も終了判定法変更フラグは「1」になったままであるので、結局、ステップS11aの判定が繰り返されることになり、最終的にステップS12、S13を実行して終了する。
次に、図10に示した冷媒温度チェックタスクのフローを説明する。このタスクは前述したように図9のステップS5cにて起動される。このタスクは圧縮機出口冷媒温度のチェックを継続して行ない、その値が所定温度範囲を外れた回数が所定のしきい値を超えたか否か、又はその値が所定温度範囲を外れた積算時間が所定のしきい値を超えたか否かを判定する処理を行なう。外れた回数又は外れた積算時間の何れかが各々に対して決められたしきい値を超えた場合には、終了判定法変更フラグに「1」を書き込んで判定法変更の必要が生じたことを前述した図9のタスクに伝達する。
図10の最初のステップA1では、圧縮機出口冷媒温度が所定温度範囲を外れた回数を計数するためのカウンタC1を設けて計数値をゼロとしておく。続くステップA2では、圧縮機出口冷媒温度が所定温度範囲を外れた時間を積算するためのカウンタ式タイマCT3を設け、その計時時間をゼロとしておく。続くステップA3では、その外れた時間をタイマCT3に積算させる図11に示すタスクを起動する。続くステップA4では、冷媒温度範囲外フラグを設けて「0」を記憶させておく。この冷媒温度範囲外フラグは、図11のタスクに対して圧縮機出口冷媒温度が所定温度範囲を外れていることを伝達するためのフラグである。変動範囲を外れている場合にはフラグに「1」が書き込まれる。
次のステップA5では、圧縮器出口冷媒温度センサ75eにより冷媒温度Tcを検出する。続くステップA6では、検出した冷媒温度Tcが所定の温度範囲T1〜T2内に納まっているか否かをチェックする。温度T1、T2は予め決められた温度である。範囲内であればステップA7に移り、冷媒温度範囲外フラグを「0」としてステップA5に戻る。範囲外であった場合にはステップA8に移る。
ステップA8では、冷媒温度範囲外フラグが既に「1」の状態になっているかチェックする。「1」の状態になっていない場合はステップA9に移って冷媒温度範囲外フラグに「1」を書き込む。これにより圧縮機出口冷媒温度が所定温度範囲を外れていることが図11のタスクに知らされる。
続くステップA10では、カウンタC1の計数値に「1」を加える。圧縮機出口冷媒温度が所定温度範囲内から範囲外に移ったためである。次のステップA11では、カウンタC1の計数値が所定のしきい値N1に達したかチェックする。達していた場合はステップA13に移り、終了判定法変更フラグを「1」として判定法変更の必要が生じたことを前述の図9のタスクに知らせる。そして終了する。
圧縮機出口冷媒温度が所定温度範囲外であった時間を積算する図11のタスクは、起動されると所定の短い時間間隔Δt毎に冷媒温度範囲外フラグの状態をチェックする。そのために最初のステップB1では、Δt時間が経過したかチェックする。経過したならばステップB2に移り、冷媒温度範囲外フラグの状態をチェックする。「0」の場合は、変動範囲内にあるので何もしないでステップB1に戻る。「1」であった場合は、ステップB3に移り、タイマCT3にΔt時間を積算してステップB1に戻る。こうした処理により冷媒温度範囲外フラグが「1」であった時間が積算される。
タイマCT3の積算時間は、図10のステップA12でチェックされる。タイマCT3の積算時間は冷媒温度範囲外フラグが「1」である期間に増加していくので、冷媒温度範囲外フラグが「1」の状態のときにチェックされる。従って、即ち、ステップA8にてフラグが「1」と判定された場合、及びステップA11にて冷媒温度範囲外フラグが「1」であるがまだカウンタC1の計数値が所定のしきい値N1に達していないと判定された場合にチェックが行なわれる。
ステップA12にてタイマCT3の積算時間がそのしきい値t4に達していると判定された場合は、ステップA13にて終了判定法変更フラグを「1」として終了する。しきい値t4に達していなかった場合はステップA5に戻る。このようにして圧縮機出口冷媒温度Tcの監視を行ない、乾燥終了判定法を変更する必要がある場合には終了判定法変更フラグを「1」とすることによってその旨が図9のタスクに知らされる。
図12は、第3の実施形態の制御フロー(請求項5に記載した発明に対応)を示したものである。第1の実施形態では、循環空気の回転槽2通過前後の温度差Tddと、蒸発器24通過前後の温度差Tedとを検出し、それら2つの温度差の差(Ted−Tdd)が所定値以上になるか、又はそれら2つの温度差の比(Ted/Tdd)がそれぞれに対して決められた所定のしきい値以上になるかしたことをもって乾燥終了と判定した。これに対して本実施形態では、乾燥運転中に衣類の重量検出を周期的に行ない、検出した重量が初期重量Woより所定割合以上減少していた場合にも乾燥終了と判定を下す。乾燥により衣類重量は減少していくので、その減少した割合からも乾燥終了を判定できるからである。
本実施形態についての図12に示す制御フローは、第1の実施形態で説明した図4の制御フローにステップS6a、S11a〜S11dの5個のステップを新たに追加したものである。衣類の重量検出は所定の時間間隔t5毎に行なう。追加したステップS6aは、その時間間隔を計るためのカウンタ式タイマCT4をスタートさせるステップである。
タイマCT4の計時時間はステップS11aでチェックされる。ステップS11aで計時時間が所定の時間間隔t5を超えていると判定された場合は、ステップS11bに移り衣類重量Wの検出を行なう。衣類重量の検出フローは前に説明した図5と同じである。
衣類重量Wを検出したならば、次のステップS11cで衣類の初期重量Woを基準とする重量減少割合(Wo−W)/Woを計算し所定のしきい値K1と比較する。所定のしきい値K1以上であった場合には乾燥終了と判定し、図4と同じステップS12、S13を実行して終了する。所定のしきい値K1に達していなかった場合には、タイマCT4をリセットした後、再スタートさせてステップS7に戻り乾燥運転を継続させる。
このような制御フローにより、本実施形態では循環空気の2つの温度差の差である(Ted−Tdd)が所定のしきい値ΔT以上となるか、2つの温度差の比である(Ted/Tdd)が所定のしきい値D以上となるか、又は衣類重量Wが初期重量Woより所定のしきい値K1以上減少したか、の何れかに該当した時に乾燥終了と判定される。このようにすれば、不必要な乾燥運転が継続されることを防止することができる。
図13は、第4の実施形態の制御フロー(請求項6に記載した発明に対応)を示したものである。本実施形態では、最初に衣類重量Wの重量減少割合が所定のしきい値K2以上となったことを確認し、それを確認してから第1の実施形態と同様の循環空気の2つの温度差の差(Ted−Tdd)と2つの温度差の比(Ted/Tdd)とに基づく乾燥終了判定を実行する。
本実施形態についての図13に示す制御フローは、第1の実施形態で説明した図4の制御フローのステップS5とS6との間に衣類重量Wの重量減少割合をチェックするステップE1〜E5を追加したものである。衣類の重量検出は第3の実施形態の場合と同様に所定の時間間隔t5毎に行なう。
ステップE1では、その時間間隔を計るためのカウンタ式タイマCT4をスタートさせる。ステップE2ではタイマCT4の計時した経過時間をチェックする。経過時間が所定の時間間隔t5を超えていない場合はステップE2に戻る。超えていた場合はステップE3に移り衣類重量Wの検出を行なう。衣類重量の検出は前に説明した図5のフローで行なう。
衣類重量Wを検出したならば、ステップE4で初期重量Woからの重量減少割合(Wo−W)/Woを計算し、所定のしきい値K2と比較する。所定のしきい値K2に達していなかった場合にはステップE5にてタイマCT4を一旦リセットした後、再スタートさせてステップE2に戻る。
所定のしきい値K2に達していた場合はステップS6に移る。ステップS6以下のフローは第1の実施形態における図4のステップS6以降と同じである。第1の実施形態で説明したと同じ循環空気の2つの温度差の差(Ted−Tdd)と2つの温度差の比(Ted/Tdd)とに基づく乾燥終了判定を実行する。
7本実施形態では、衣類重量Wが所定割合減少するまでの間は2つの温度差Ted、Tddに基づく乾燥終了判定が実行されない。乾燥空気の温度を検出する際には図8にて説明したように、所定時間t2の間だけ圧縮機26の回転速度と膨張弁27の開度を特別の値に調整して運転する。本実施形態では衣類重量Wの減少割合が所定のしきい値K2に達するまではそのような特別の運転を行なわない。従って、その間はヒートポンプ装置29の運転が安定する効果がある。
図14、図15は、第5の実施形態の制御フロー(請求項7に記載した発明に対応)を示したものである。前述の第2の実施形態では、圧縮機出口冷媒温度が所定温度範囲を外れた回数又はその累積時間が所定のしきい値を超えた場合には、循環空気の温度差TddとTedに基づく乾燥終了判定に代えて、乾燥運転時間が一定時間経過したことをもって乾燥終了と判定した。本実施形態は、第2の実施形態で行なった乾燥運転時間の一定時間経過をもって乾燥終了と判定する部分を、衣類重量Wが初期値より所定割合以上減少したことをもって乾燥終了と判定することに代えた点が異なる。
制御フローの違いでいうと、図14、図15に示す本実施形態の制御フローは、第2の実施形態についての図9のステップS11aを、図15のステップS11b〜S11fに置き換えている点のみが異なる。
ステップS5cでは図9のフローの場合と同様に図10のタスクを起動している。図10のタスクは圧縮機出口冷媒温度Tcのチェックを行ない、その値が所定温度範囲を外れた回数が所定のしきい値N1を超えた場合、又は所定温度範囲を外れた累積時間が所定のしきい値t4を超えた場合に、終了判定法変更フラグを「1」として乾燥終了判定方法の変更を指示するタスクである。
その指示が出されるまでの処理を行なっているのでステップS11までで、その部分は第2の実施形態についての図9のステップS11までと同じである。その部分では、循環空気の回転槽2通過前後の温度差Tddと蒸発器24通過前後の温度差Tedとを検出し、それら温度差の差(Ted−Tdd)が所定のしきい値以上になるか、又は温度差の比(Ted/Tdd)が所定のしきい値以上になるかしたことをもって乾燥終了と判定する処理を行なっている。
図14のステップS6aにおいて終了判定法変更フラグが「1」であることが確認された場合には、図15のステップS11bに移る。ステップS11b〜S11fは、衣類重量Wの検出を周期的に行ない、初期重量Woを基準としたその重量減少割合(Wo−W)/Woが所定のしきい値K1に達したか否かをチェックするフローである。そのフローは第3の実施形態についての図12のステップS11a〜S11dで説明したと同様である。
ステップS11eにて重量減少割合が所定のしきい値K1に達したと判定された場合には乾燥終了と判定し、ステップS12、S13を実行して終了する。本実施形態では、乾燥終了判定法が変更された後の乾燥終了判定を、衣類重量Wの乾燥による重量減少割合に基づいて行なうため、乾燥運転時間のみで判定する第2の実施形態よりも乾燥終了時期の判定精度が高くなる。
衣類乾燥機(洗濯乾燥機)の構成例を示す縦断面図である。 ヒートポンプ乾燥の原理を説明する図である。 洗濯乾燥機1の制御装置の構成例である。 第1の実施形態に係る乾燥運転の制御フローである。 図4の制御フロー中のステップS4の詳細フローである。 回転槽2を一定の回転速度で回転させた場合におけるモータ電流と衣類重量との関係図である。 循環空気の回転槽2通過前後の温度差Tddと、蒸発器通過前後の温度差Tedに基づき乾燥終了を判定する方法を説明する図である。 循環空気の温度を検出する際の制御フローである。 第2の実施形態に係る乾燥運転の制御フローである。 圧縮機出口冷媒温度をチェックするタスクのフローである。 圧縮機出口冷媒温度が所定範囲を外れた時間を累積するタスクのフローである。 第3の実施形態に係る乾燥運転の制御フローである。 第4の実施形態に係る乾燥運転の制御フローである。 第5の実施形態に係る乾燥運転の制御フローである。 図14のフローの続き部分である。 従来技術に係るヒートポンプ乾燥システムの概念図である。
符号の説明
図面中、1は衣類乾燥機(洗濯乾燥機)、2は回転槽、23は通風ダクト23、24は蒸発器、25は凝縮器、26は圧縮機、27は膨張弁、29はヒートポンプ装置、42は送風ファン、70は制御装置、71は制御回路、74aは回転槽入口空気温度センサ、74bは回転槽出口空気温度センサ、74cは蒸発器出口空気温度センサ、74dは外気温度センサ、74eは圧縮機出口冷媒温度センサ、75は圧縮機出口冷媒圧力センサを示す。

Claims (7)

  1. 衣類を収容して回転する回転槽と、
    冷媒を圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に循環させ蒸発器で外部より吸収した熱を凝縮器で外部に放熱する熱移送を行なうヒートポンプ装置と、を備え、
    前記凝縮器にて放熱される熱により加熱した循環空気を前記回転槽に導き、回転槽通過後に前記蒸発器に接触させて冷却除湿した後、再び前記凝縮器にて加熱して再循環させるように構成した衣類乾燥機であって、
    循環空気の前記回転槽通過前後の温度差Tddと前記蒸発器通過前後の温度差Tedとを検出し、それら温度差の差(Ted−Tdd)が所定のしきい値以上になるか、又は前記温度差Tedを前記温度差Tddで除した値(Ted/Tdd)が所定のしきい値以上になるかしたことをもって乾燥終了と判定することを特徴とする衣類乾燥機。
  2. 請求項1に記載の衣類乾燥機において、前記乾燥終了の判定は所定の周期で行なうこととし、該判定を行なう直前の所定期間は前記圧縮機の回転速度と前記膨張弁の開度を毎回同じ状態にすることを特徴とする衣類乾燥機。
  3. 請求項1又は2に記載の衣類乾燥機において、前記回転槽内衣類の重量を検出する重量検出手段と、外気温度を検出する外気温度検出手段とを設け、乾燥運転開始後にそれら手段により衣類重量と外気温度を検出し、それら検出値に基づいて前記乾燥終了と判定する前記各所定のしきい値を決定することを特徴とする衣類乾燥機。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の衣類乾燥機において、前記圧縮機と凝縮器の間における前記冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段を設け、該手段により検出した冷媒温度が所定温度範囲を外れた回数が所定のしきい値を超えた場合、又は所定温度範囲を外れた積算時間が所定のしきい値を超えた場合には、前記重量検出手段にて検出した乾燥運転開始直後の衣類重量に基づいて決定した乾燥運転時間の経過をもって乾燥終了と判定することを特徴とする衣類乾燥機。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載の衣類乾燥機において、乾燥運転中に前記重量検出手段により前記回転槽内の衣類重量の検出を周期的に行ない、検出した衣類重量の乾燥運転開始からの減少割合が所定のしきい値を超えていた場合には直ちに乾燥終了と判定することを特徴とする衣類乾燥機。
  6. 請求項1乃至3の何れかに記載の衣類乾燥機において、乾燥運転開始後は前記重量検出手段により前記回転槽内の衣類重量の検出を周期的に行ない、検出した衣類重量の乾燥運転開始からの減少割合が所定のしきい値を超えた時点から、前記循環空気の前記回転槽通過前後の温度差Tddと蒸発器通過前後の温度差Tedとに基づく前記乾燥終了判定を開始することを特徴とする衣類乾燥機。
  7. 請求項3に記載の衣類乾燥機において、前記圧縮機と凝縮器の間における前記冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段を設け、該手段により検出した冷媒温度が所定温度範囲を外れた回数が所定のしきい値を超えた場合、又は所定温度範囲を外れた積算時間が所定のしきい値を超えた場合には、前記重量検出手段にて検出した衣類重量の乾燥運転開始からの減少割合が所定のしきい値を超えたことをもって乾燥終了と判定することを特徴とする衣類乾燥機。

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