JP2007074403A - 無線タグ通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 可及的速やかに無線タグを検索する無線タグ通信装置を提供する。
【解決手段】 通信範囲内に存在する複数の無線タグ14との間で通信を行うために通信指向性を順次変化させるPAAウェイト制御部46と、そのPAAウェイト制御部46により順次変化させられる各通信指向性において得られた前記無線タグ14からの複数の応答結果を論理和として合成する応答結果合成部50とを、有することから、複数の通信指向性における前記無線タグ14からの応答結果を1回の通信における応答結果のように取り扱うことができ、検索された無線タグ14が既にリストに登録されているか照会する等の処理を省くことができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 通信範囲内に存在する複数の無線タグ14との間で通信を行うために通信指向性を順次変化させるPAAウェイト制御部46と、そのPAAウェイト制御部46により順次変化させられる各通信指向性において得られた前記無線タグ14からの複数の応答結果を論理和として合成する応答結果合成部50とを、有することから、複数の通信指向性における前記無線タグ14からの応答結果を1回の通信における応答結果のように取り扱うことができ、検索された無線タグ14が既にリストに登録されているか照会する等の処理を省くことができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、無線にて情報の書き込みや読み出しができる無線タグとの間で通信を行う無線タグ通信装置の改良に関し、特に、無線タグの検索に要する時間を短縮するための技術に関する。
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
上記無線タグ通信装置の一利用形態として、上記無線タグとの間で通信を行うことで、その無線タグを検索する技術が知られている。例えば、特許文献1に記載されたデータキャリアシステムがそれである。斯かる技術によれば、上記無線タグのIDに基づいてその無線タグを検索する場合に、そのIDを2ビットずつ絞り込んでいくように上記無線タグ通信装置からコマンドを送信することで、上記無線タグを好適に検索できるとされている。
しかし、前記従来の技術等により、通信範囲内に配設された無線タグを順次検索してリストを作成する場合には、同じ無線タグが何度も検索(発見)されるのを防止するため、一度検索された無線タグに「quiet」コマンドを送信してその無線タグが再度応答しないようにしたり、検索された無線タグが既に上記リストに登録されているか照会する等の処理を行う必要があり、検索に時間がかかるという弊害があった。このため、可及的速やかに無線タグを検索する無線タグ通信装置の開発が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、可及的速やかに無線タグを検索する無線タグ通信装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、所定の通信範囲内に存在する無線タグへ質問波を送信すると共に、その無線タグから返信される応答波を受信してその無線タグに記憶された情報を読み出す無線タグ通信装置であって、前記通信範囲内に存在する複数の前記無線タグとの間で通信を行うために通信特性を順次変化させる通信特性制御部と、その通信特性制御部により順次変化させられる各通信特性において得られた前記無線タグからの複数の応答結果を論理和として合成する応答結果合成部とを、有することを特徴とするものである。
このようにすれば、前記通信範囲内に存在する複数の前記無線タグとの間で通信を行うために通信特性を順次変化させる通信特性制御部と、その通信特性制御部により順次変化させられる各通信特性において得られた前記無線タグからの複数の応答結果を論理和として合成する応答結果合成部とを、有することから、複数の通信特性における前記無線タグからの応答結果を1回の通信における応答結果のように取り扱うことができ、検索された無線タグが既にリストに登録されているか照会する等の処理を省くことができる。すなわち、可及的速やかに無線タグを検索する無線タグ通信装置を提供することができる。
ここで、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記通信特性制御部により通信特性を順次変化させて前記通信範囲を網羅する一連の通信を繰り返し行うことで、前記複数の無線タグそれぞれに記憶された情報を段階的に読み出すものであり、前記応答結果合成部は、前記一連の通信が終了する毎に各通信特性において得られた前記無線タグからの複数の応答結果を合成するものである。このようにすれば、前記通信範囲内に存在する全ての無線タグを実用的な態様で可及的速やかに検索することができる。
また、好適には、前記通信特性制御部は、前記通信特性として通信指向性及び/又は偏波面を制御するものである。このようにすれば、一般的な無線タグ通信装置において可及的速やかに無線タグを検索することができる。
また、好適には、前記通信特性制御部により順次変化させられる各通信特性における前記無線タグからの応答の有無を判定する応答有無判定部を有し、前記応答結果合成部は、その応答有無判定部により応答があったと判定される無線タグからの複数の応答結果を合成するものである。このようにすれば、前記通信範囲内に存在する全ての無線タグを実用的な態様で可及的速やかに検索することができる。
また、好適には、前記通信特性制御部は、前回の一連の通信において前記応答有無判定部により何れの無線タグからも応答がなかったと判定された通信特性を次回の一連の通信における通信特性の制御において除外するものである。このようにすれば、不要な通信を省くことで無線タグの検索に要する時間を更に短縮することができる。
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグに記憶された所定ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するためにその無線タグとの間で通信を行うものである。このようにすれば、一般的な無線タグ通信装置において可及的速やかに無線タグを検索することができる。
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグに記憶された最終ビットまでの識別情報に対応する応答の有無を判定するために前記一連の通信を繰り返し行うものである。このようにすれば、一般的な無線タグ通信装置において可及的速やかに無線タグを特定することができる。
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、初回の一連の通信において前記無線タグに記憶された識別情報の先頭1ビット又は数ビットを指定してそれに続く所定ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行い、以降の一連の通信において前記無線タグに記憶された識別情報の既読所定ビットずつを指定してそれに続く所定ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行うものである。このようにすれば、一般的な無線タグ通信装置において可及的速やかに無線タグを特定することができる。
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、初回の一連の通信において前記無線タグに記憶された識別情報の先頭1ビットを指定してそれに続く3ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行い、以降の一連の通信において前記無線タグに記憶された識別情報の既読3ビットずつを指定してそれに続く3ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行うものである。このようにすれば、一般的な無線タグ通信装置において可及的速やかに無線タグを特定することができる。
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグからの所定の時間区分毎の応答結果に基づいてその無線タグに記憶された識別情報を読み出すものであり、前記応答有無判定部は、前記無線タグからの所定の時間区分毎の応答波の振幅が所定の閾値以上であるか否かに基づいてその無線タグからの応答の有無を判定するものである。このようにすれば、前記無線タグからの所定の時間区分毎の応答結果すなわちBIN応答に基づいてその無線タグからの応答の有無を好適に判定することができる。
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前回の一連の通信において前記応答有無判定部により何れの無線タグからも応答がなかったと判定された所定の時間区分に対応する通信を次回の一連の通信において除外するものである。このようにすれば、不要な通信を省くことで無線タグの検索に要する時間を更に短縮することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の無線タグ通信装置が好適に用いられる無線タグ通信システム10について説明する図である。この無線タグ通信システム10は、本発明の一実施例である無線タグ通信装置12と、その無線タグ通信装置12の通信対象である単数乃至は複数(図1では単数)の無線タグ14とから構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ通信装置12はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置12から質問波Fc(送信信号)が上記無線タグ14に向けて送信されると、その質問波Fcを受信した上記無線タグ14において所定の情報信号(データ)によりその質問波Fcが変調され、応答波Fr(返信信号)として上記無線タグ通信装置12に向けて返信されることで、その無線タグ通信装置12と無線タグ14との間で情報の通信が行われる。この無線タグ通信システム10は、例えば、所定の通信領域内における物品の管理等に用いられるものであり、上記無線タグ14は、好適には、管理対象である物品に貼られる等してその物品と一体的に設けられている。
図2は、前記無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図2に示すように、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14への送信信号に対応するコマンドビット列を生成するコマンドビット列生成部20と、そのコマンドビット列生成部20から出力されたディジタル信号をパルス幅変調方式等により符号化する符号化部22と、その符号化部22により符号化された信号をAM方式で変調して送信メモリ部26に供給(記憶)するAM変調部24と、その送信メモリ部26に記憶された送信信号を随時読み出して所定の送信ウェイト(送信PAAウェイト)を掛算する送信PAA(Phased Array Antenna)処理部である送信ウェイト掛算部28とを、備えている。
また、前記無線タグ14へ向けて前記質問波Fcを送信すると共に、その質問波Fcに応じてその無線タグ14から返信される応答波Frを受信する送受信共用の複数(図2では3つ)のアンテナ素子30a、30b、30c(以下、特に区別しない場合には単にアンテナ素子30と称する)と、所定の局発信号を出力する局部発振器32と、その局部発振器32から出力される局発信号に応じて上記送信ウェイト掛算部28から出力される送信信号をアップコンバートして上記複数のアンテナ素子30から前記質問波Fcとして送信すると共に、それら複数のアンテナ素子30によりそれぞれ受信される受信信号を上記局部発振器32から出力される局発信号に応じてダウンコンバートして受信メモリ部36に供給(記憶)する複数(図2では3つ)の高周波送受信部34a、34b、34c(以下、特に区別しない場合には単に高周波送受信部34と称する)とを、備えている。
また、上記受信メモリ部36に記憶された受信信号を随時読み出して所定の受信ウェイト(受信PAAウェイト)を掛算する受信PAA処理部である受信ウェイト掛算部38と、その受信ウェイト掛算部38から出力される受信信号をAM方式で復調してAM復調波を検出するAM復調部40と、そのAM復調部40により復調されたAM復調波をFSK方式等により復号する復号部42と、その復号部42により復号された復号信号を解釈して前記無線タグ14の変調に関する情報信号を読み出す返答ビット列解釈部44と、前記送信ウェイト掛算部28において掛算される送信ウェイト及び受信ウェイト掛算部38において掛算される受信ウェイトを制御(算出)するPAAウェイト制御部46と、前記無線タグ14からの応答の有無を判定する応答有無判定部48と、上記PAAウェイト制御部46により順次変化させられる各通信指向性において得られた前記無線タグ14からの複数の応答結果を論理和として合成する応答結果合成部50と、その応答結果合成部50により合成された応答結果を記憶するデータベース52とを、備えている。ここで、上記PAAウェイト制御部46は、後述するように、所定の通信範囲内に存在する複数の前記無線タグ14との間で通信を行うために通信特性としての通信指向性を順次変化させる通信特性制御部として機能する。
図3は、前記送信ウェイト掛算部28の構成を詳しく説明する図である。この図3に示すように、前記送信ウェイト掛算部28は、前記送信メモリ部26から読み出される送信信号に前記PAAウェイト制御部46から供給される送信PAAウェイトをそれぞれ掛け合わせて各高周波送受信部34に供給する複数(図3では3つ)の掛算器54a、54b、54c(以下、特に区別しない場合には単に掛算器54と称する)を備えている。ここで、上記掛算器54aが高周波送受信部34aに、掛算器54bが高周波送受信部34bに、掛算器54cが高周波送受信部34cに、それぞれ対応しており、各掛算器54からの出力が対応する高周波送受信部34に供給されるようになっている。
図4は、前記高周波送受信部34の構成を詳しく説明する図である。この図4に示すように、前記高周波送受信部34は、前記送信ウェイト掛算部28から供給される送信信号をアナログ信号に変換する送信信号D/A変換器56と、その送信信号D/A変換器56によりアナログ変換された送信信号の周波数を前記局部発振器32から出力される局発信号の周波数だけ高くするアップコンバータ58と、そのアップコンバータ58によりアップコンバートされた送信信号を増幅する送信信号増幅器60と、その送信信号増幅器60から出力される送信信号を対応するアンテナ素子30に供給すると共に、そのアンテナ素子30から供給される受信信号を受信信号増幅部64に供給する方向性結合器62と、その方向性結合器62から供給される受信信号を増幅する受信信号増幅器64と、その受信信号増幅器64から出力される受信信号の周波数を前記局部発振器32から出力される局発信号の周波数だけ低くするダウンコンバータ66と、そのダウンコンバータ66によりダウンコンバートされた受信信号をディジタル信号に変換して前記受信メモリ部36に供給する受信信号A/D変換器68とを、備えている。
図5は、前記受信ウェイト掛算部38の構成を詳しく説明する図である。この図5に示すように、前記受信ウェイト掛算部38は、前記受信メモリ部36から読み出される受信信号それぞれに前記PAAウェイト制御部46から供給される所定の受信PAAウェイトを掛け合わせる複数(図5では3つ)の掛算器70a、70b、70c(以下、特に区別しない場合には単に掛算器70と称する)と、それら掛算器70から出力される信号を合成して前記AM復調部40に供給する合成器72とを、備えている。ここで、上記掛算器70aが高周波送受信部34aに、掛算器70bが高周波送受信部34bに、掛算器70cが高周波送受信部34cに、それぞれ対応している。
図6は、前記無線タグ14に備えられた無線タグ回路素子80の構成を説明する図である。この図6に示すように、上記無線タグ回路素子80は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部82と、そのアンテナ部82により受信された信号を処理するためのIC回路部84とを、備えて構成されている。そのIC回路部84は、上記アンテナ部82により受信された前記無線タグ通信装置12からの質問波Fcを整流する整流部86と、その整流部86により整流された質問波Fcのエネルギを蓄積するための電源部88と、上記アンテナ部82により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部96に供給するクロック抽出部90と、例えば無線タグ14の識別情報(ID)等の所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部92と、上記アンテナ部82に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部94と、上記整流部86、クロック抽出部90、及び変復調部94等を介して上記無線タグ回路素子80の作動を制御するための制御部96とを、機能的に含んでいる。この制御部96は、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部92に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部82により受信された質問波Fcを上記変復調部94において上記メモリ部92に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Frとして上記アンテナ部82から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
続いて、前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14との間の情報の通信について詳述する。図7は、前記無線タグ回路素子80との通信に用いられるコマンドを例示する図である。この図7に示すように、前記無線タグ回路素子80との通信では、複数種類のコマンドのうち目的により所定のコマンドが用いられ、例えば通信対象となる前記無線タグ回路素子80を特定する通信では、その無線タグ回路素子80に記憶された情報を読み出すための「PING」及び「SCROLL ID」等のコマンドが用いられる。また、前記無線タグ回路素子80に情報を書き込むための通信では、その無線タグ回路素子80に記憶された情報を初期化するための「ERASE ID」、情報を書き込むための「PROGRAM ID」、書き込まれた情報を確認するための「VERIFY」、新たな情報の書き込みを禁止するための「LOCK」等のコマンドが用いられる。
図8は、前記無線タグ通信装置12にて作成されるコマンドフレーム構造を詳しく説明する図である。このコマンドフレームは、T0を1ビットの情報を送信するための時間として、2T0の送信パワーオフである「GAP」、5T0の送信パワーオンである「PREAMBL」、20箇の0信号を送信してクロック同期を行う「CLKSYNC」、コマンドの内容である「COMMAND」、8T0の送信パワーオンである「SET UP」、及び1箇の1信号を送信する「SYNC」から成る。前記無線タグ回路素子80により解釈される部分である「COMMAND」は、コマンドの開始を示す「SOF」、図7に示す個々のコマンド「CMD」、書き込み対象となる無線タグ回路素子80のメモリ位置を指定するポインタである「PTR」、情報の長さを示す「LEN」、送信する情報の内容である「VAL(id_value)」、上記「PTR」、「LEN」、及び「VAL」のパリティ情報である「P」、及びコマンドの終了を示す「EOF」から成る。
前記コマンドフレームは、図9に示す0信号、1信号、及び所定時間の連続した送信パワーオン・オフを要素として構成される。情報の書き込み対象となる前記無線タグ回路素子80の特定動作や、情報の書き込み動作では、このコマンドフレームに基づく変調情報である信号が前記無線タグ通信装置12のコマンドビット列生成部20により生成され、前記符号化部22による符号化及びAM変調部24による変調が行われた後、前記アンテナ素子30から前記無線タグ14に向けて送信される。その信号が対象である無線タグ14のアンテナ部82により受信され、その無線タグ回路素子80へ供給されると、前記制御部96によりコマンドに対応する前記メモリ部92への情報の書き込みや、情報の返信動作等が行われる。
前記無線タグ回路素子80による情報の返信動作において、以下に詳細に説明するリプライ情報は、図10に示す0信号及び1信号を要素とする例えばFM符号化された一連の信号として構成され、その信号に基づいて搬送波が反射変調されて前記無線タグ通信装置12へ返信される。例えば、情報の書き込み対象となる前記無線タグ回路素子80の特定動作では、図11に示すようなその無線タグ回路素子80に固有のIDを示す信号により変調された反射波が返信される。
図12は、前記無線タグ回路素子80のメモリ構成を示す図である。この図12に示すように、前記無線タグ回路素子80のメモリ部92には、CRC符号の計算結果、その無線タグ回路素子80に固有の識別情報(ID)、及び「LOCK」コマンド等に用いられるパスワードが予め記憶されている。上記リプライ情報は、これらの情報に基づいて作成されるものであり、例えば、図13に示すように、「SCROLL ID」コマンドを含む信号が受信された場合には、0xFEで表される8ビットの「PREAMBLE」信号と、前記メモリ部92に記憶されたCRC符号の計算結果である「CRC」、及びその無線タグ回路素子80のIDを示す「ID」から成るリプライ信号が作成される。
前述した図7の「PING」コマンドは、複数の前記無線タグ回路素子80に対して各無線タグ回路素子80のメモリ部92に記憶された情報に対応して、図12に示すメモリ上の位置を指定して応答させるためのコマンドであり、図14に示すように、開始アドレスポインタ「PTR」、データ長「LEN」、及び値「VAL」の情報を含む。例えば、図15に示すように、前記メモリ部92に記憶された情報のうち「PTR」番目から後ろ「LEN」個のデータが「VAL」と等しい場合、「PTR+LEN+1」番目以降8ビットのデータがリプライ信号となる。前記メモリ部92に記憶された情報のうち「PTR」番目から後ろ「LEN」個のデータが「VAL」と等しくない場合には、返信対象となっていないためリプライ信号は生成されない。
前記無線タグ回路素子80の「PING」コマンドに対する返信タイミングは、リプライ信号の上位3ビットによって決まり、前記無線タグ通信装置12から「PING」に続けて送られるBINパルスによって区分される「bin0」乃至「bin7」のうち何れかの区間(タイミング)でリプライ信号が返される。例えば、図15(a)に示すように、「PING」コマンドとして「PTR=0」、「LEN=1」、「VAL=0」が送られてきた場合、前記メモリ部92に記憶された情報のうち1ビット目が「VAL」と一致する「0」である無線タグ回路素子80では、図15(b)に示すような信号が抽出されてリプライ信号に組み込まれ、そのリプライ信号の上位3ビットが「011」であれば、「PING」コマンドに対するリプライの中の区間「bin3」においてそのリプライ信号が返信される。
図16は、前記無線タグ通信装置12から送信される「VAL(VALUE)=0」の「PING」コマンドに応じて前記無線タグ14から返信されるリプライ信号を詳しく説明する図である。上述のように、前記無線タグ通信装置12から送信される「VAL=0」の「PING」コマンドを受信した無線タグ回路素子80において、前記メモリ部92に記憶された識別情報のうち1ビット目が「VAL」と一致する「0」である場合には、「bin0」乃至「bin7」のうち何れかの区間でリプライ信号が返される。図16に示す例では、「011」に対応する「bin3」及び「101」に対応する「bin5」の区間においてリプライ信号が返信されていることがわかる。これは、前記メモリ部92に記憶された識別情報のうち1ビット目が「VAL」と一致する「0」であり且つそれに続く3ビットが「011」である無線タグ14と、それに続く3ビットが「101」である無線タグ14との間で通信が行われた(検索された)ことを示している。
図17は、図16に続く識別情報の絞り込み通信において前記無線タグ14から返信されるリプライ信号を詳しく説明する図である。前記無線タグ回路素子80のメモリ部92に記憶された情報は、例えば64ビット程度のデータ長を有するものであるため、前記無線タグ通信装置12による無線タグ14の識別では、その無線タグ14に記憶された情報を最終ビットまで読み出すために「PING」コマンドによる絞り込みが繰り返し行われる。図17は、前回の通信において前記無線タグ回路素子80のメモリ部92に記憶された識別情報が先頭から「0011」であると判定されたものに関して、それに続く3ビットの識別情報を読み出すための通信において返信されるリプライ信号を詳しく説明している。前記無線タグ通信装置12から送信される「VAL=011」の「PING」コマンドを受信した無線タグ回路素子80において、前記メモリ部92に記憶された情報のうち1ビット目の「0」に続く3ビットが「VAL」と一致する「011」である場合には、「bin0」乃至「bin7」のうち何れかの区間でリプライ信号が返される。図17に示す例では、「001」に対応する「bin1」、「110」に対応する「bin6」、及び「111」に対応する「bin7」の区間においてリプライ信号が返信されていることがわかる。これは、前記メモリ部92に記憶された識別情報のうち先頭4ビットが前回の通信において判定された「0011」であり且つそれに続く3ビットが「001」である無線タグ14と、それに続く3ビットが「110」である無線タグ14と、それに続く3ビットが「111」である無線タグ14との間で通信が行われたことを示している。以上のように、前記無線タグ通信装置12は、初回の一連の通信において前記無線タグ14に記憶された識別情報の先頭1ビットを指定してそれに続く3ビットの識別情報を読み出すための通信を行い、以降の一連の通信において前記無線タグ14に記憶された識別情報の既読3ビットずつを指定してそれに続く3ビットの識別情報を読み出すための通信を繰り返すことで、前記無線タグ14を特定する通信を行うものである。
図18は、前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14との間の通信指向性の制御について説明する図である。前記PAAウェイト制御部46は、所定の通信範囲内に存在する複数の前記無線タグ14との間で通信を行うために通信特性としての通信指向性を順次変化させる通信特性制御部として機能するものであり、例えば図18に示すように、前記無線タグ14へ送信する質問波Fcの送信指向性及び/又はその質問波Fcに応じて無線タグ14から返信される応答波Frの受信指向性のメインローブ方向をθ0、θ1、θ2、θ3と順次変化させる。このように通信指向性を振っていくことで上記通信範囲を網羅することができ、その通信範囲内に存在する複数の前記無線タグ14との間で通信を行うことができる。
前記応答有無判定部48は、前記PAAウェイト制御部46により順次変化させられる各通信指向性における前記無線タグ14からの応答の有無を判定する。この判定は、前記AM復調部40により復調される復調波、復号部42により復号される復号データ、或いは返答ビット列解釈部44による解釈結果等に基づいて行われ、好適には、各通信指向性において少なくとも1つの無線タグ14からの応答があったか否かを判定する。また、好適には、前記無線タグ14からの所定の時間区分毎の応答波Frの振幅が所定の閾値(図19を参照)以上であるか否かに基づいて応答の有無を判定する。
前記無線タグ通信装置12は、前述のように前記PAAウェイト制御部46により通信指向性を順次変化させて所定の通信範囲を網羅する一連の通信を繰り返し行うことで、その通信範囲内に配設された複数の無線タグ14それぞれに記憶された情報を段階的に読み出すものであるが、前記PAAウェイト制御部46は、好適には、前回の一連の通信において前記応答有無判定部48により何れの無線タグ14からも応答がなかったと判定された通信指向性を次回の一連の通信における通信特性の制御において除外する。例えば、前記無線タグ通信装置12の通信範囲内に図18に示すような位置関係で複数(図18では3つ)の無線タグ14が配設されている態様を考えると、前記PAAウェイト制御部48により通信指向性のメインローブ方向がθ0とされている場合には、その通信指向性に対応する範囲内に2つの無線タグ14(T1及びT2)が存在するため、それら2つの無線タグ14から応答波Frが返信される。また、通信指向性のメインローブ方向がθ1とされている場合には、その通信指向性に対応する範囲内に2つの無線タグ14(T1及びT2)が存在するため、それら2つの無線タグ14から応答波Frが返信される。また、通信指向性のメインローブ方向がθ2とされている場合には、その通信指向性に対応する範囲内に2つの無線タグ14(T2及びT3)が存在するため、それら2つの無線タグ14から応答波Frが返信される。また、通信指向性のメインローブ方向がθ3とされている場合には、その通信指向性に対応する範囲内には無線タグ14が存在しないため、応答波Frは返信されない。前記PAAウェイト制御部46は、次回の一連の通信における通信指向性の制御においてはこのθ3に対応する通信指向性を除外することで、前記無線タグ14が存在しない範囲に質問波Fcを送信する無駄を省くのである。
図19は、前記PAAウェイト制御部46によりM回通信指向性のメインローブ方向を振っていった場合に、各通信指向性に対応して受信され、前記AM復調部40により復調されたリプライ信号を詳しく説明する図である。この図19に示す指向性1では、「bin1」の区間において閾値以上の振幅を有する応答波Frがあり、この「bin1」に対応する無線タグ14から応答があったことがわかる。また、指向性2においても、「bin1」の区間において閾値以上の振幅を有する応答波Frがあり、この「bin1」に対応する無線タグ14から応答があったことがわかる。しかし、図19に示す結果からでは、指向性1、2における結果がそれぞれ単一の無線タグ14からの応答波Frなのか、或いは複数の無線タグ14からの応答波Frが混合したものなのかまでは判定できない。また、指向性1、2における結果が1つの無線タグ14に対応する重複した応答である場合(図18にT1で示す無線タグ14を参照)も考えられる。
図20は、図18に対応して各通信指向性に対応する無線タグ14からの応答をまとめた表である。上述のように、図18に示す例におけるメインローブ方向θ0、θ1、θ2では、その通信指向性に対応する範囲内に複数の無線タグ14が混在することから、受信される信号はそれら複数の無線タグ14からの応答波Frが混合したものになる。また、T1で示される無線タグ14がメインローブ方向θ0、θ1において、T2で示される無線タグ14がメインローブ方向θ0、θ1、θ2で重複して応答しているため、前記一連の通信を1回行っただけでは図20に示すようにT1、T2、T3を識別できない。従って、前記無線タグ通信装置12は、順次「VAL」を変更しつつ前記一連の通信を繰り返し行うことで、前記無線タグ14に記憶された識別情報を最終ビットまで読み出す。
ここで、前記応答結果合成部50は、前記PAAウェイト制御部46により順次変化させられる各通信指向性において得られた前記無線タグ14からの複数の応答結果を論理和として合成する。好適には、前記PAAウェイト制御部46により通信指向性を振ることで通信範囲を網羅する一連の通信が終了する毎に、各通信指向性において得られた前記無線タグ14からの複数の応答結果を、リプライ信号の応答タイミングすなわち前記「bin0」乃至「bin7」の時間区分毎に合成する。図19の最下段は、指向性1乃至Mにおける応答結果の論理和を例示している。すなわち、「bin0」乃至「bin7」の各リプライ区間においてORがとられており、少なくとも1つの指向性に対応して前記無線タグ14からの応答があったと判定された区間では「1」、何れの指向性においても応答がなかったと判定された区間では「0」とされている。
前記無線タグ通信装置12は、上述のように通信範囲を網羅する一連の通信において順次変更される複数の通信指向性における前記無線タグ14からの応答結果を、1回の通信における応答結果のように総括した上で、次回の一連の通信を行う。ここで、好適には、前回の一連の通信において前記応答有無判定部48により何れの無線タグ14からも応答がなかったと判定された所定の時間区分に対応する通信を次回の一連の通信において除外する。すなわち、図19に示す例では、次回の一連の通信において「bin2」乃至「bin7」の時間区分に対応する通信を除外し、「bin0」及び「bin1」の時間区分に対応する通信のみを行うことで、応答のあった無線タグ14に関してそのメモリ部92に記憶された情報を絞り込んでいく。
図21は、図20に対応する応答結果を前記応答結果合成部50により論理和としたものである。この図21に示すように、前記応答結果合成部50による論理和では、前記一連の通信における指向性のメインローブ方向θ0乃至θ3の持つ意味は失われ、その一連の通信をあたかも1回の通信として扱って「bin0」乃至「bin7」の各リプライ区間においてORがとられている。なお、ここでは応答があった区間が「1」とされ、応答がなかった区間が「0」とされている。この図21に示す論理和に対応して行われる次回の一連の通信では、前記無線タグ14からの応答があった「bin0」、「bin1」、及び「bin7」の時間区分に対応する通信が順次行われ、応答のあったBINの値3ビットを「VAL」とする「PING」コマンドが送信されて、そのコマンドに対応する応答に関して再び前記応答結果合成部50により論理和が算出される。斯かる処理が繰り返されることで、図23に示すように、所定の無線タグ14に記憶された情報が最終ビットまで読み出される。この図23に示す例では、対象である無線タグ14が最後の通信に至るまでメインローブ方向θ1及びθ2で重複して応答しているが、その無線タグ14に記憶された情報が最終ビットまで読み出されているため、複数の無線タグ14からの応答があったのではなく、単一の無線タグ14がメインローブ方向θ1及びθ2の両方に係る通信範囲に位置していることがわかるのである。また、前記一連の通信における応答結果を1回の通信における応答結果のように取り扱っているため、何ら照会を行うことなくその読み出された情報を図24に示すように前記データベース52に登録することができる。
図25は、前記無線タグ通信装置12による無線タグ検索制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、「id_value=0」とされる。次に、SAにおいて、図26に示すタグ特定処理が実行される。次に、S2において、「id_value=1」とされる。次に、SAにおいて、図26に示すタグ特定処理が実行される。次に、S3において、タグ特定の結果が前記データベース52に登録されると共に検出された無線タグ14の一覧が図示しない表示装置に表示された後、本ルーチンが終了させられる。
図26は、図25の無線タグ検索制御の一部であるタグ特定処理を説明するフローチャートである。この処理では、先ず、SBにおいて、図27に示すping_IDコマンド1に対応する処理が実行される。次に、SA1において、検出された無線タグ14の識別情報(ID)の特定が完了したか否かが判断される。このSA1の判断が否定される場合には、SA2において、応答があったBIN[n]について、その時点での「id_value」に応答があったBIN[n]のデータ3ビットが下位ビット側に付け足される更新が行われる。次に、SB′において、図29に示すping_IDコマンド2に対応する処理が実行された後、SA1以下の処理が再び実行される。SA1の判断が肯定される場合には、SA3において、特定が完了した識別番号が検出タグリストに追加される。次に、SA4において、検出された全ての無線タグ14の識別情報の特定が完了したか否かが判断される。このSA4の判断が肯定される場合には、それをもって図25に示す無線タグ検索制御に復帰させられるが、SA4の判断が否定される場合には、複数応答があったBIN[n]について、その時点での「id_value」に応答があったBIN[n]のデータ3ビットが下位ビット側に付け足される更新が行われる。次に、SB′において、図29に示すping_IDコマンド2に対応する処理が実行された後、SA1以下の処理が再び実行される。
図27は、図26のタグ特定処理の一部であるping_IDコマンド1に対応する処理を説明するフローチャートである。この処理では、先ず、SB0において、BIN[0]乃至[7]が何れも初期化されて零とされる。次に、SB1において、メインローブ方向「θ=θ0」とされて、前記PAAウェイト制御部46における送受信PAAウェイトが初期値に設定される。次に、SB2において、その時点において設定されている「id_value」に対応する「PING」コマンドが前記コマンドビット列生成部20により生成され、前記符号化部22、AM変調部24、送信ウェイト掛算部28、高周波送受信部34等を介して前記複数のアンテナ素子30から質問波Fcとして前記無線タグ14へ送信される。次に、SB3において、SB2にて送信された質問波Fcに応じて前記無線タグ14から返信される応答波Fr(リプライ)が前記複数のアンテナ素子30により受信され、前記受信ウェイト掛算部38、AM復調部40、復号部42、及び返答ビット列解釈部44等により処理される。次に、SCにおいて、図28に示すBIN0〜BIN7の応答判定処理が実行される。次に、SB4において、メインローブ方向「θ←θn+1」とされ、前記PAAウェイト制御部46における送受信PAAウェイトの設定値が更新される。次に、SB5において、メインローブ方向の設定値θが所定値θ3より大きいか否かが判断される。このSB5の判断が否定される場合には、SB2以下の処理が再び実行されるが、SB5の判断が肯定される場合には、それをもって図26に示すタグ特定処理に復帰させられる。
図28は、図27又は図29のping_IDコマンドに対応する処理の一部であるBIN0〜BIN7の応答判定処理を説明するフローチャートである。この処理では、先ず、SC1において、変数nが初期値に設定されて「n=0」とされる。次に、前記応答有無判定部48の動作に対応するSC2において、BIN[n]の振幅が所定の閾値以上であるか否かが判断される。このSC2の判断が否定される場合には、SC3において、「bin=0」とされた後、SC6以下の処理が実行されるが、SC2の判断が肯定される場合には、SC4において、「bin=1」とされた後、SC5において、応答方向ログにその時点におけるメインローブ方向を示すθが追加される。次に、前記応答結果合成部50の動作に対応するSC6において、その時点におけるメインローブ方向θに対応する応答方向ログにおいてBIN[n]及び「bin」の論理和(OR)がとられる。次に、SC7において、変数nが更新され、「n←n+1」とされる。次に、SC8において、変数nが所定値「7」より大きいか否かが判断される。このSC8の判断が否定される場合には、SC2以下の処理が再び実行されるが、SC8の判断が肯定される場合には、それをもって図27又は図29に示すping_IDコマンドに対応する処理処理に復帰させられる。
図29は、図26のタグ特定処理の一部であるping_IDコマンド2に対応する処理を説明するフローチャートである。なお、この処理において、前述した図27に示すping_IDコマンド1に対応する処理と共通するステップに関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。この処理では、前述したSB1の処理に続くSB6において、その時点におけるメインローブ方向θに対応する応答方向ログが確認される。次に、SB7において、SB6にて確認された応答方向ログは前回(以前)の通信において応答があった方向であるか否かが判断される。このSB7の判断が肯定される場合には、前述したSB2以下の処理が実行されるが、SB7の判断が否定される場合には、前述したSB4以下の処理が実行される。以上の制御において、SB1、SB4、及びSB5が前記PAAウェイト制御部46の動作に対応する。
このように、本実施例によれば、通信範囲内に存在する複数の前記無線タグ14との間で通信を行うために通信特性を順次変化させる通信特性制御部であるPAAウェイト制御部46(SB1、SB4、及びSB5)と、そのPAAウェイト制御部46により順次変化させられる各通信特性において得られた前記無線タグ14からの複数の応答結果を論理和として合成する応答結果合成部50(SC6)とを、有することから、複数の通信特性における前記無線タグ14からの応答結果を1回の通信における応答結果のように取り扱うことができ、検索された無線タグ14が既にリストに登録されているか照会する等の処理を省くことができる。すなわち、可及的速やかに無線タグを検索する無線タグ通信装置12を提供することができる。
また、前記無線タグ通信装置12は、前記PAAウェイト制御部46により通信特性を順次変化させて前記通信範囲を網羅する一連の通信を繰り返し行うことで、前記複数の無線タグ14それぞれに記憶された情報を段階的に読み出すものであり、前記応答結果合成部50は、前記一連の通信が終了する毎に各通信特性において得られた前記無線タグ14からの複数の応答結果を合成するものであるため、前記通信範囲内に存在する全ての無線タグ14を実用的な態様で可及的速やかに検索することができる。
また、前記PAAウェイト制御部46は、前記通信特性として通信指向性を制御するものであるため、一般的な無線タグ通信装置12において可及的速やかに無線タグを検索することができる。
また、前記PAAウェイト制御部46により順次変化させられる各通信特性における前記無線タグ14からの応答の有無を判定する応答有無判定部48(SC2)を有し、前記応答結果合成部50は、その応答有無判定部48により応答があったと判定される無線タグ14からの複数の応答結果を合成するものであるため、前記通信範囲内に存在する全ての無線タグ14を実用的な態様で可及的速やかに検索することができる。
また、前記PAAウェイト制御部46は、前回の一連の通信において前記応答有無判定部48により何れの無線タグ14からも応答がなかったと判定された通信特性を次回の一連の通信における通信特性の制御において除外するものであるため、不要な通信を省くことで無線タグ14の検索に要する時間を更に短縮することができる。
また、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14に記憶された所定ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するためにその無線タグ14との間で通信を行うものであるため、一般的な無線タグ通信装置12において可及的速やかに無線タグ14を検索することができる。
また、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14に記憶された最終ビットまでの識別情報に対応する応答の有無を判定するために前記一連の通信を繰り返し行うものであるため、一般的な無線タグ通信装置12において可及的速やかに無線タグ14を特定することができる。
また、前記無線タグ通信装置12は、初回の一連の通信において前記無線タグ14に記憶された識別情報の先頭1ビットを指定してそれに続く3ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行い、以降の一連の通信において前記無線タグ14に記憶された識別情報の既読3ビットずつを指定してそれに続く3ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行うものであるため、一般的な無線タグ通信装置12において可及的速やかに無線タグ14を特定することができる。
また、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14からの所定の時間区分毎の応答結果に基づいてその無線タグ14に記憶された識別情報を読み出すものであり、前記応答有無判定部48は、前記無線タグ14からの所定の時間区分毎の応答波Frの振幅が所定の閾値以上であるか否かに基づいてその無線タグ14からの応答の有無を判定するものであるため、前記無線タグ14からの所定の時間区分毎の応答結果すなわちBIN応答に基づいてその無線タグ14からの応答の有無を好適に判定することができる。
また、前記無線タグ通信装置12は、前回の一連の通信において前記応答有無判定部48により何れの無線タグ14からも応答がなかったと判定された所定の時間区分に対応する通信を次回の一連の通信において除外するものであるため、不要な通信を省くことで無線タグ14の検索に要する時間を更に短縮することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、前記送信ウェイト掛算部28、受信ウェイト掛算部38、PAAウェイト制御部46、応答有無判定部48、及び応答結果合成部50等は、それぞれ個別の制御装置として備えられたものであったが、これらの制御機能は、CPU、ROM、RAM等を含んでディジタル信号処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)等に機能的に備えられたものであってもよい。また、これらの制御機能による制御動作は、ディジタル信号処理によるものであるとアナログ信号処理によるものであるとを問わない。
また、前述の実施例では、通信範囲内に存在する複数の前記無線タグ14との間で通信を行うために通信特性を順次変化させる通信特性制御部としてPAAウェイト制御部46を備え、前記無線タグ14との間で通信を行うための通信特性としての通信指向性を順次変化させる態様について説明したが、通信指向性の制御に替えて、或いは通信指向性の制御と共に前記無線タグ14へ送信する質問波Fc及び/又はその質問波Fcに応じて無線タグ14から返信される応答波Frの偏波面を制御するものであってもよい。斯かる態様においても、本発明の一応の効果は得られる。
また、前述の実施例では、前記送信ウェイト掛算部28に所定の送信PAAウェイトを供給すると共に、前記受信ウェイト掛算部38に所定の受信PAAウェイトを供給する送受信共用のPAAウェイト制御部46が設けられていたが、送信PAAウェイトを設定する送信PAAウェイト制御部と、受信PAAウェイトを設定する受信PAAウェイト制御部とが別々に設けられたものであってもよい。
また、前述の実施例では、PAA(Phased Array Antenna)処理により前記無線タグ14との間の通信指向性を制御する態様について説明したが、例えば、AAA(Adaptive Array Antenna)処理等により前記無線タグ14との通信指向性を制御し得る無線タグ通信装置にも本発明は好適に適用されるものである。
また、前述の実施例では、前記無線タグ14に向けて送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じてその無線タグ14から返信される返信信号を受信するために用いられる送受信共用のアンテナ素子30を備えた無線タグ通信装置12等について説明したが、前記送信信号を送信するための送信アンテナ及び受信信号を受信するための受信アンテナが別々に設けられた無線タグ通信装置にも本発明は好適に適用される。
また、前述の実施例では、前記無線タグ14の識別情報を記憶するためのデータベース52は、前記無線タグ通信装置12の構成の一部として設けられていたが、例えばデータベースサーバ等、前記無線タグ通信装置12とは別の装置に設けられたものであってもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
12:無線タグ通信装置
14:無線タグ
46:PAAウェイト制御部(通信特性制御部)
48:応答有無判定部
50:応答結果合成部
14:無線タグ
46:PAAウェイト制御部(通信特性制御部)
48:応答有無判定部
50:応答結果合成部
Claims (11)
- 所定の通信範囲内に存在する無線タグへ質問波を送信すると共に、該無線タグから返信される応答波を受信して該無線タグに記憶された情報を読み出す無線タグ通信装置であって、
前記通信範囲内に存在する複数の前記無線タグとの間で通信を行うために通信特性を順次変化させる通信特性制御部と、
該通信特性制御部により順次変化させられる各通信特性において得られた前記無線タグからの複数の応答結果を論理和として合成する応答結果合成部と
を、有することを特徴とする無線タグ通信装置。 - 前記無線タグ通信装置は、前記通信特性制御部により通信特性を順次変化させて前記通信範囲を網羅する一連の通信を繰り返し行うことで、前記複数の無線タグそれぞれに記憶された情報を段階的に読み出すものであり、前記応答結果合成部は、前記一連の通信が終了する毎に各通信特性において得られた前記無線タグからの複数の応答結果を合成するものである請求項1の無線タグ通信装置。
- 前記通信特性制御部は、前記通信特性として通信指向性及び/又は偏波面を制御するものである請求項1又は2の無線タグ通信装置。
- 前記通信特性制御部により順次変化させられる各通信特性における前記無線タグからの応答の有無を判定する応答有無判定部を有し、前記応答結果合成部は、該応答有無判定部により応答があったと判定される無線タグからの複数の応答結果を合成するものである請求項1から3の何れかの無線タグ通信装置。
- 前記通信特性制御部は、前回の一連の通信において前記応答有無判定部により何れの無線タグからも応答がなかったと判定された通信特性を次回の一連の通信における通信特性の制御において除外するものである請求項4の無線タグ通信装置。
- 前記無線タグ通信装置は、前記無線タグに記憶された所定ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するために該無線タグとの間で通信を行うものである請求項1から5の何れかの無線タグ通信装置。
- 前記無線タグ通信装置は、前記無線タグに記憶された最終ビットまでの識別情報に対応する応答の有無を判定するために前記一連の通信を繰り返し行うものである請求項6の無線タグ通信装置。
- 前記無線タグ通信装置は、初回の一連の通信において前記無線タグに記憶された識別情報の先頭1ビット又は数ビットを指定してそれに続く所定ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行い、以降の一連の通信において前記無線タグに記憶された識別情報の既読所定ビットずつを指定してそれに続く所定ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行うものである請求項6又は7の無線タグ通信装置。
- 前記無線タグ通信装置は、初回の一連の通信において前記無線タグに記憶された識別情報の先頭1ビットを指定してそれに続く3ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行い、以降の一連の通信において前記無線タグに記憶された識別情報の既読3ビットずつを指定してそれに続く3ビットの識別情報に対応する応答の有無を判定するための通信を行うものである請求項8の無線タグ通信装置。
- 前記無線タグ通信装置は、前記無線タグからの所定の時間区分毎の応答結果に基づいて該無線タグに記憶された識別情報を読み出すものであり、前記応答有無判定部は、前記無線タグからの所定の時間区分毎の応答波の振幅が所定の閾値以上であるか否かに基づいて該無線タグからの応答の有無を判定するものである請求項6から9の何れかの無線タグ通信装置。
- 前記無線タグ通信装置は、前回の一連の通信において前記応答有無判定部により何れの無線タグからも応答がなかったと判定された所定の時間区分に対応する通信を次回の一連の通信において除外するものである請求項10の無線タグ通信装置。
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