JP2007071929A - 光ファイバケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】 素手で容易に引き裂くことができる低伝送損失の光ファイバケーブルを製造する。
【解決手段】 コア11とクラッド12とからなるプラスチック光ファイバ素線(POF)13に第1被覆層14を形成し、プラスチック光ファイバコード15を作製する。2本のコード15の間に抗張力線16を配した状態で、その外周に第2被覆層17を設けて、プラスチック光ファイバケーブル10とする。第2被覆層17は、コード被覆部17aと抗張力線被覆部17bと引き裂き用のくびれ部17cとから構成する。くびれ部17cの厚みをtとし、この厚み方向におけるコード被覆部17aの最大厚みをTとするとき、厚み比(t/T)を0.15≦(t/T)≦0.3とする。第2被覆層17の被覆による伝送損失の上昇を抑制しつつ、施工性に優れるケーブル10が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光ファイバケーブルに関するものであり、特に、光ファイバコードと抗張力線とを束ねた外周に密着させて被覆層が設けられたタイト型光ファイバケーブルに関するものである。
光を伝播させる芯部となるコアと、このコアの外殻部となるクラッドとを有する光ファイバ素線は、大伝送容量あるいは高速通信を可能とする光伝送体であるために、その需要が拡大している。中でも、上記の各部材がプラスチックから形成されるプラスチック光ファイバ素線(Plastic Optical Fiber;POF)は、ガラスなどで形成された石英系光ファイバ素線と比べて、伝送損失が若干大きくなるが、軽量かつ優れた可撓性や加工性を有するとともに、大口径化が容易であり、さらにはガラスに比べて安価なプラスチックで製造されるために低コスト化が実現できるなどの利点を有していることから、家庭用および車載用途でのLANやISDNなどの次世代通信網構想においての使用が期待され、より高品質化ならびに量産化に対する検討が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、家庭用LANやISDNなどにPOFを通線する際には、屋内あるいは屋外に既設のCD管やダクトなどの敷設管内に通線するケースが多い。しかし、このような敷設管内では、水に触れる機会や湿度が高く、また、その敷設状況も曲がりくねっているなど非常に通線が困難である場合が多い。そのため、通線に用いられるPOFには、各敷設管内の外環境に耐えることができる耐水性や耐湿性ならびに、優れた強靭性などが要求される。したがって、通線用POFとしては、通常、POFの外周に被覆層を設けてプラスチック光ファイバコード(以下、コードと称する)としてから、さらに、複数本のコードや抗張力線などを束ねてから、その外周面に、耐湿性や耐水性などの所望の特性を付与することができる被覆材を被覆することにより被覆層を設けたプラスチック光ファイバケーブル(以下、ケーブルと称する)が用いられる。
このように抗張力線を使用したケーブルは、優れた抗張力を有するため、敷設管内への通線が容易になる。しかし、ケーブルを端末加工する場合、抗張力線の処理が非常に煩わしいため、作業性や施工性が低下するという問題が生じる。そこで、これらの問題を改善するために、コードと抗張力線とを束ねた外周に対して、空隙をもたせず各部材に密着する被覆層を設けたタイト型ケーブルが提案されている(例えば、特許文献2〜5参照)。このタイト型ケーブルは、抗張力線の外周に密着した被覆層を有するために、抗張力線がバラつくことなく端末加工を行うことができるので、作業性や施工性が低下しない。また、被覆層により優れた耐湿性、耐候性が付与されるとともに、抗張力線の使用により高抗張力を示すケーブルを得ることができるので、屋内外配線用をはじめとする光伝送手段として優れたケーブルであると言える。
特開昭61−130904号公報 特開平10−170777号公報 特開2000−266972号公報 特開2000−275482号公報 特開2000―275485号公報
しかし、上記の特許文献2〜5に記載されているケーブルを含めてタイト型ケーブルを製造する場合、被覆層形成時において、所望の流動性になるように加熱溶融させた被覆材を対象部材の外周に被覆するため、被覆材を押出す際の温度(押出温度)や被覆材の潜熱により、被覆されるコードが熱影響を受けてしまうために、熱収縮や形状変化、あるいはコードを形成する樹脂が劣化してしまうなどの問題が生じる。このような問題が生じると、高伝送損失のケーブルしか得ることができない。したがって、タイト型ケーブルを含めて光ファイバケーブルを製造する際、コードに対する熱影響を抑制しながら、その外周面に被覆層を設けて低伝送損失を示すケーブルを製造することができる製造方法の提案が望まれている。
本発明は、コードなどに対する熱影響を低減しながら被覆層を設けて低伝送損失のケーブルを得ることができる光ファイバケーブルの製造方法を提案することを目的とする。また、コードと抗張力線とを束ねた外周に被覆層を設けた高抗張力を示すケーブルでありながら、コードと抗張力線との間に応力を付与することにより、素手でも安定かつ容易に引裂くことができるケーブルを提供することを目的とする。
本発明の光ファイバケーブルは、複数の光ファイバコードを束ねた外周を被覆層で覆うとともに、この光ファイバコードの間で被覆層の外周面に引き裂き用のくびれ部を有する光ファイバケーブルにおいて、くびれ部の厚みをtとし、この厚み方向における光ファイバコードの被覆層の最大厚みをTとするとき、厚み比(t/T)を0.15≦(t/T)≦0.30とすることを特徴とする。
また、くびれ部により引き裂いて各光ファイバコードを分離する際の引き裂き強度を2.6N以上7N以下とすることが好ましい。被覆層は光ファイバコードに密着していることが好ましい。光ファイバコードの少なくとも1本が、プラスチック光ファイバ素線を有することが好ましい。そして、光ファイバコードを覆う被覆層の横断面形状は、略円形であることが好ましい。なお、光ファイバコードの間の被覆層には抗張力線が入れられており、この抗張力線と各光ファイバコードとの間に位置する被覆層の外周面にくびれ部が形成されることが好ましい。
本発明により、光ファイバコードなどに対する熱影響を低減しながら光ファイバケーブルを製造することができるので、低伝送損失の光ファイバケーブルを得ることができる。例えば、この光ファイバケーブルとしては、複数の光ファイバコードと抗張力線とを束ねた外周面に密着するように被覆層が設けられたタイト型光ファイバケーブルが挙げられる。また、本発明のように、光ファイバケーブルのくびれ部の厚みと、この厚み方向における光ファイバコードの厚みとの比を所定の範囲内とすると、くびれ部を引き裂く際に、所定の応力でも素手で安定かつ容易に引き裂くことができる。
本発明での光ファイバケーブルの製造方法について、一例として、グレートインデックス型プラスチック光ファイバ素線(GI型POF)を使用するケーブルの製造方法を説明する。
図1に、本発明を適用した本実施形態でのケーブルの径方向での断面図を示す。ただし、本発明はこの形態に限定されるものではない。ケーブル10は、コア11とクラッド12とを含むPOF13の外周に第1被覆層14が形成されたコード15と抗張力線16と第2被覆層17とを有する。
ケーブル10は、2本のコード15を並列させた間に抗張力線16を配し、その外周に密着するように第2被覆層17が設けられている。このように複数本の単芯コード15と抗張力線16とを用いて形成された多芯構造(本実施形態では2芯構造)のケーブル10は、大伝送容量でありながら高抗張力を示す。
第2被覆層17は、コード15を覆う断面が略円形のコード被覆部17aと、抗張力線16を覆う断面が略6角形の抗張力線被覆部17bとから構成されており、抗張力線被覆部17bを挟むようにコード被覆部17aが横方向に連結されている。そして、各被覆部17a,17bの間には、引き裂き用のくびれ部17cが形成されている。
くびれ部17cの厚みをtとし、この厚み方向におけるコード被覆部17aの最大厚みをTとするとき、厚み比(t/T)が、0.15≦(t/T)≦0.30となるように、各厚みt,Tが決定されている。厚み比(t/T)をこのような範囲内とすると、くびれ部17cから、各コード15を分離するように引き裂く際に、安定かつ容易に引き裂くことができる。また、コード15や抗張力線16が、第2被覆層17から露出することがないので、抗張力線16がバラつくことなく端末加工を行うことができる。ただし、厚み比(t/T)が0.15未満の場合には、くびれ部17cからの分離が容易になり、予期しない位置でコード被覆部17aや抗張力線被覆部17bが分離してしまう可能性がある。一方で、厚み比(t/T)が0.30を超えると、分離が困難になり施工性が低下する他に、第2被覆層17を被覆する際に、コード15に熱ダメージを与えてしまうために、ケーブル10の伝送損失が大きくなってしまう。
厚み比(t/T)を上記範囲内とすることにより、くびれ部17cによる引裂き強度が、2.6N以上7.0N以下となり、通常の使用によっては、コード被覆部17aや抗張力被覆部17bが分離することがない。また、コネクタなどとの連結の際には、、コード被覆部17aおよび抗張力被覆部17bの分離が容易になる。なお、引き裂き強度は、より好ましくは、3.5N以上5.0N以下である。
なお、第1被覆層14の厚みt1は、特に限定されるものではないが、100μm以上350μm以下とすると、第2被覆層17を形成する際に、コード15に対する熱影響を低減することができるので好ましい。ただし、t1が100μm未満の場合には、POF13と第1被覆層14との密着性が劣るため好ましくない。一方で、t1が350μmよりも大きい場合には、被覆材を冷却して第1被覆層14を形成する際に、その被覆材の冷却が不十分となり第1被覆層14が潜熱をもってしまうために、POF13の温度が上がり、結果として、POF13の屈折率分布に乱れなどが生じてしまう。
第2被覆層17の厚みをt2とするとき、t2は350μm以上800μm以下であることが好ましい。これにより、コード15との密着性に優れる第2被覆層17を形成させることができるので、第2被覆層17が有する所望の機能を十分にケーブル10に付与することができ、かつコード15や抗張力線16などのケーブル10を構成する部材をしっかりと固定することができる。ただし、t2が800μmを超えると、被覆材が十分に冷却されずに潜熱を有するために、POF13やコード15が熱影響を受けることにより光学特性を低下させてしまう。一方で、t2が350μm未満の場合には、被覆材の量が少なすぎるために、被覆材を安定に押し出して厚みが略均一な第2被覆層17を形成させることが困難となる。
図2に、ケーブル10の製造の流れである工程図を示す。本実施形態では、POF13の前駆体となるプリフォーム21を作製後、このプリフォーム21を加熱延伸させて得られるPOF13の外周に第1被覆層14を設けてコード15とする。そして、このコード15と抗張力線16とを束ねた外周に第2被覆層17を設けてケーブル10を製造する。したがって、ケーブル10の製造工程は、プリフォーム形成工程25と加熱延伸工程26と第1被覆工程27と組合せ工程28と第2被覆工程29とを有する。
プリフォーム形成工程25においてプリフォーム21を形成する。まず、市販の溶融押出成形によりPMMAからなる円筒状の中空管を用意する。この中空管が、クラッド12となる(図1参照)。中空管は、本実施形態のように市販の溶融押出成形により形成してもよいし、公知である回転重合法により製造してもよい。また、市販のパイプを用いてもよく、その製造方法は特に限定されない。なお、中空管は、重合容器として用いるため、底付けを行うことが好ましい。
この中空管の内部にMMAと屈折率調整剤(ドーパント)を入れ、特許第3332922号公報のような界面ゲル重合を行う。これにより、中空管すなわちクラッド12の内部にポリマー(PMMA)を主成分とし、屈折率調整剤の濃度に従って所望の屈折率の高低分布を有するコア11が形成されたプリフォーム21を得ることができる。屈折率調整剤とは、コア11の径方向に対して所望の屈折率の高低分布を発現させるために付与する添加剤であり、例えば、ベンジルメタクリレートなどが挙げられる。なお、プリフォーム21の製造方法は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、コア11とクラッド12とを形成させるポリマーを一度に溶融押出した後、これを加熱重合させることによりプリフォーム21を形成する溶融押出法が挙げられる。
加熱延伸工程26において、加熱延伸設備によりプリフォーム21を延伸させてPOF13を製造する。図3に、本実施形態で使用する加熱延伸設備30の概略図を示す。加熱延伸設備30は、加熱炉31と線径モニタ32と巻取り装置33とを有している。
あらかじめ、加熱炉20の内部の所定の位置にプリフォーム21を設置する。そして、加熱炉20により所定の温度でプリフォーム21を加熱する。このとき、プリフォーム21の一部は加熱溶融される。なお、プリフォーム21の溶融温度は、特に限定されるものではないが、160℃〜270℃の範囲であることが好ましい。そして、溶融したプリフォーム21の先端部21aを始点として線引き(延伸)を行うことによりPOF13が得られる。この線引きの際に、プリフォーム21の延伸率を調整することにより所望の径のPOF13を製造することができる。また、このPOF13は線径モニタ32により、径が常時測定される。その後、巻取り装置33の内部に設置されている芯材34にPOF13を巻き取って、ロール状のPOFロール34aを得る。なお、線径モニタ32の測定値に応じて、加熱炉31内でのプリフォーム21の位置や加熱炉31の温度、およびプリフォーム21の延伸率や巻取り装置33の巻取り速度などを適宜調整すると、所望の径のPOF13を得ることができるので好ましい。
次に、第1被覆工程27を行い、POF13の外周を被覆してコード15を作製する。図4に、本実施形態で用いるコード製造設備の概略図を示す。コード製造設備40は、送出装置41と被覆装置42と冷却装置43と引取装置44と巻取り装置45とを備える。
送出装置41の所定の位置にPOFロール34aを設置する。送出装置41は、張力制御部材50と複数のローラ51とを有しており、この張力制御部材50によりPOF13に付与する張力を制御しながら複数のローラ51に巻き掛けて、POF13を被覆装置42へと送出す。なお、送出装置41内においてPOF13に付与する張力は、作業の途中でPOF13が切断したり変形したりしないようにするためにできる限り小さくすることが好ましい。ただし、POF13を観察しながら適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。
被覆装置42には、第1被覆層14の形成に用いる被覆樹脂を貯蔵する樹脂供給装置52と、金型(図示しない)とが備えられている。そして、この金型の内部をPOF13が搬送される間に、押出機(図示しない)により樹脂供給装置52から所望量の樹脂が金型内に適宜押し出されて、POF13の外周に被覆材が送り出される。この被覆時にPOF13に付与する張力は、POF13の断裂や変形を生じさせないようにするために、できる限り小さい値であることが好ましく、700N/cm2 以下であることが好ましいが、特に限定されるものではない。なお、被覆時の樹脂の押出温度は、被覆樹脂として使用するポリマーの融点以上であることが好ましい。ただし、押出温度は、特に限定されるものではなく、使用するポリマーが劣化せず、かつ十分な流動性を確保することができるように適宜選択した値を用いればよい。
被覆材が被覆されたPOF13を、冷却装置43に送り込む。本実施形態では、冷却装置43として水槽を使用する。これにより、被覆材が冷却硬化して第1被覆層14が形成されたコード15を得ることができる。そして、引取装置44の内部に配する引取りローラ54によりコード15を搬送し、さらに、巻取り張力制御装置55によりコード15に付与する張力を調整した後、巻取装置45内の巻取りロール56でコード15を巻取ってコードロール56aを得る。なお、本実施形態では冷却装置43として水槽を利用する形態を示したが、特に限定されるものではなく、例えば、所望の温度の風を送出すことができる送風機を用いて、POF13に直接風を吹き付けることにより所望の温度となるようにPOF13を冷却させてもよい。
次に、このコード15を用いてケーブル10を作製する。図5に、本実施形態で用いるケーブル製造設備の概略図を示す。ケーブル製造設備60は、送出装置61と組合せ装置62と被覆装置63と搬送装置64と巻取装置65とを備える。
送出装置61の内部では、あらかじめ所定の位置にコードロール56aと、抗張力線16がロール状である抗張力線ロール70とが設置されている。また、送出装置61には、各線を支持する複数の支持ローラ71が配されており、この支持ローラ71により各線を支持しながら所定の搬送張力を付与することにより、組合せ装置62の内部に各線を連続的に送り出す。このとき、各線に付与する搬送張力は、特に限定されるものではないが、所望の製造速度を保持しつつ各線が断裂したり変形したりしない範囲で、できる限り小さい値であることが好ましい。
組合せ装置62の内部には、複数のガイドローラ73および金型(図示しない)が備えられている。そして、各ガイドローラ73によりコード15および抗張力線16を所定の位置に案内して、金型内において各線が所望の構造となるように組合せる。本実施形態では、図1に示すように2本のコード15を並列させた間に1本の抗張力線16を配した構造とする。続けて、この組合せ部材を、被覆装置63へ搬送する。
被覆装置63は、金型と被覆樹脂供給装置と押出機(いずれも、図示しない)とを備えている。被覆装置63では、この金型の内部に組合せ部材を送り込み搬送する間に、所望の被覆樹脂を供給して、各線の外周に密着するように被覆樹脂を送り出す。このとき、金型の形状を適宜選択することにより、図1に示すくびれ部17cの厚みtや第2被覆層17の最大厚みTを所望の値となるように調整する。
さらに、被覆装置63の内部の下流側には、送風機(図示しない)が備えられている。この送風機から、被覆材が被覆された後の組合せ部材に風を直接吹き付けて、被覆材を冷却することにより、第2被覆層17が形成されたケーブル10が得られる。そして、最後に、ケーブル10は、複数の搬送ローラ75が配されている搬送装置64の内部に送り込まれた後、巻取装置65の内部に配された巻取りロール76により巻き取られる。なお、被覆時での樹脂の押出温度などの製造条件は、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂により適宜選択されればよい。ただし、樹脂の押出温度を120℃以上140℃以下とすると、樹脂の流動性を確保しながら、被覆装置への負荷を軽減することができるので好ましい。また、押出温度が高すぎないので、POF13やコード15への熱影響を低減させることができるために、低伝送損失のケーブル10を得ることができる。
本発明において使用することができる抗張力線16としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維を線状体としたものが挙げられるほか、ステンレス線、亜鉛合金線、銅線などの金属線も抗張力線16として用いることができる。なお、抗張力線16の形態は、特に限定されるものではなく、上記のような繊維や線などのほか、各細線を撚り合せた形態であってもよいし、樹脂などで固めたものを含めて線状体となっている形態であってもよい。また、抗張力線16を配する位置も特に限定されるものではなく、所望の形態の抗張力線16を、本実施形態のようにコード15に対して並列となるように配置してもよいし、被覆層の一部として積層することにより、繊維が充填された層を設ける形態でもよい。これにより、様々な配線状況下での布設張力、および温度変化や風圧などが生じても、POF13やコード15に応力歪が付与されるのを抑制することができる。
なお、本実施形態で示したGI型POFは、径の外側から中心に向かうにしたがい次第に屈折率が高くなる構造を有し、光の散乱や分散を抑制しながら光を伝播させることができるので低伝送損失のPOFとして使用される。ただし、本発明はここに示す形態に限定されるものではなく、GI型POFのほかにも、例えば、ステップインデックス(SI)型POFやシングルモード(SM)型POFなどの製造方法に適用することができる。
以下に、本発明に使用されるコアやクラッドなどの形成材料および被覆材などに関して説明する。
コア11の原料は、光伝送の機能を損なわないモノマーであればよく、特に限定されるものではない。好ましく用いられる原料モノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート(メタクリル酸メチル、MMAとも称される)、重水素化メチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル−2−フルオロアクリレートなどが挙げられ、上記の各モノマーからポリマーを重合することによりコア11を形成する。また、これらのモノマーを2種類以上用いて、共重合体(コポリマー)としコア11を形成してもよい。用いられるポリマーとしては、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体(ポリメチルメタクリレート:PMMA)や、単官能の(メタ)アクリレート類、フッ素化アルキル(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸の単量体とメチルメタクリレート(MMA)との透明な共重合体などが挙げられる。なお、本発明では、塊状重合が容易であるMMAを重合して得られるPMMAによりコア11を形成することが好ましい。
なお、コア11の形成材料としては、特定の波長領域において、C−H結合に起因する光の伝送損失を低減する目的で、モノマーとして、MMAが有する水素原子を重水素原子(D)またはハロゲン原子で置換したものを重合したポリマーを用いることもできる。ハロゲン原子には、フッ素原子(F)が好ましく用いられる。このようなポリマーとしては、重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)などが挙げられる。このようなポリマーを用いると、伝送損失の生じる波長域を長波長化することができるので、光伝送の損失を軽減することができる。
なお、モノマーからポリマーを重合する際には、重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、特に限定されるものではなく、使用するモノマーや重合されるポリマーに応じて適宜選択すればよい。例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などが挙げられる。なお、このような重合開始剤を2種類以上併用してもよい。
また、ポリマーの分子量や分子量分布を制御する目的で、連鎖移動剤(重合調整剤とも称される)を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなど)、チオフェノール類(例えば、チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオールなど)などが挙げられる。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタンを用いることが好ましい。ただし、連鎖移動剤は、これらに限定されるものではない。なお、上記のような連鎖移動剤を2種類以上併用してもよい。
また、コア11の屈折率を高めるために、屈折率調整剤(ドーパント)を添加することもできる。ドーパントをポリマーに添加することにより、無添加のポリマーと比較して、ポリマーの屈折率を高くすることができる。本発明において使用することができるドーパントとしては、上記の機能を有し、かつポリマーと安定して共存可能であり、過熱および加圧などの重合条件下においても安定であるものを適宜選択して用いる。このようなドーパントとしては、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(Tricresyl phosphate:TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げられ、特に、BEN、DPS、TPP、DPSOを用いることが好ましい。
コア11を伝送する光は、コア11とクラッド12との界面で全反射する。そしてこの反射を繰り返すことによりコア11の長さだけ光が伝播する光伝送体となるPOF13を得ることができる。そこで、クラッド12を形成する材料としては、その屈折率がコア11の屈折率よりも低い材料を用いる。さらに、コア11との密着性や、機械強度および耐熱性にも優れている材料が好ましく用いられる。クラッド12の形成材料としては、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、重水素化メチルメタクリレート,トリフルオロエチルメタクリレート,ヘキサフルオロイソプロピル−2−フルオロアクリレートなどから重合されるアクリル樹脂が挙げられる。また、パーフルオロアルキルメタクリレート系重合体,メタクリル酸エステル共重合体なども好ましく用いることができる材料として挙げられる。なお、上記のようなモノマーからクラッド12を形成させる際にも、コア11の形成に用いられる重合開始剤や連鎖移動剤などを適宜選択して用いることができる。
また、クラッド12の形成材料として、フッ素樹脂を用いることもできる。フッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF:融点160℃〜180℃)、ポリビニルフルオライド(PVF:融点206℃)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:融点330℃)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP:融点250℃〜280℃)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA:融点300℃〜310℃)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE:融点260℃〜270℃)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE:融点210℃)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE:融点290℃〜300℃)などが挙げられる。このようにフッ素系の材料を用いてクラッド12を形成すると、撥水効果を得ることができるので耐湿性に優れるPOF13を得ることができる。
さらに、クラッド12の形成材料として、フッ化ビニリデン系共重合体を用いることもできる。このような重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体およびフッ化ビニリデンの3元以上の共重合体などが挙げられる。なお、上記のフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体としては、フッ化ビニリデンを50重量%以上含むものが好ましく、より好ましくは、フッ化ビニリデンを70重量%以上90重量%以下含有するものである。
また、クラッド12には、光伝送性能を低下させない範囲で、所望の特性を付与することができる添加剤を添加してもよい。添加剤は、原料モノマーに添加した後に、モノマーからポリマーを重合させることで容易にポリマー中に分散させることができる。使用することができる添加剤としては、例えば、耐候性や耐久性を向上させる安定剤、光伝送性能を向上させる光信号増幅用の誘導放出機能化合物などが挙げられる。この誘導放出機能化合物を添加すると、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となるため好ましい。なお、これによりPOF13での光伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することもできる。ただし、これらの添加剤は、コア11の形成材料に含有させることもできる。
本発明において、第1被覆層14および第2被覆層17(以下、併せて被覆層と称する)ともに、各被覆層を溶融樹脂の押し出し被覆などで形成する場合、その樹脂は、特に限定されるものではないが、耐薬品性や柔軟性が良好であることなどからポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン又はα−オレフィンなどの重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペプテン、1−オクテンなどが挙げられ、これらの重合体としては、例えば、ポリエチレン、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体、ポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、ポリブテン、ポリイソプレンなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂は、得られる物性を考慮した上で、適当な組合せにてブレンドされているものを用いてもよい。なお、ポリオレフィン系樹脂の分子量および分子量分布は、特に限定されるものではないが、その重量平均分子量は、通常5000〜5000000であり、好ましくは20000〜300000である。そして、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnで示される分子量分布は、2〜80であり、好ましくは3〜40とされる。
被覆層形成用樹脂は、POF13やコード15に熱影響を与えないという観点で、その融点が120℃未満であることが好ましい。また、加工性の観点から、MFR(Melt Flow Rate)が10以上95以下の範囲であることが好ましく、15以上80以下の範囲であることがより好ましい。なお、MFRは、熱可塑性プラスチックの流れ試験方法であるJIS K 7210−1976に従い測定される値を用いる。ただし、被覆層形成用樹脂の融点が120℃以上であると、POF13に対して、特にコア11に加えられる熱量が大きくなり、コア11の光学特性や形状の変化が生じやすくなるため好ましくない。このようなコア11の不良は、軟化点が90℃〜105℃のPMMAを主成分としたコア11の場合に顕著に現れる。また、MFRが10未満のときには、樹脂温度を上げなければ被覆装置として用いる押出機の押出(応力)負荷が大きくなるといった問題が生じるおそれがある。一方で、MFRが95を超えると、均一の厚みで樹脂を被覆することができない。そのため、コア11の断面の熱量が不均一になりやすく、屈折率分布の揺らぎなどの問題が生じるおそれがある。したがって、被覆層形成樹脂としては、融点120℃未満であり、MFRは10以上95以下であることが好ましく、さらに好ましくは、融点120℃未満であり、MFRは15以上80以下である。
上記のような被覆層が形成されているコード15やケーブル10は、適度な曲げ剛性を有する。曲げ剛性は、被覆樹脂のヤング率や被覆層の厚み、さらに、被覆樹脂内に強化繊維などを含ませることにより調整することができる。この曲げ剛性の測定は、コード15の長さが200mmで、その片側をクランプしたときの自重による変位が、2mm以上40mm以下の場合、コード15の引張りと同時に押し込みを行い、全長30mであり5箇所の曲がりを有するモデル配管(内径10mmφのコルゲート管に略90度、曲げ半径60mmの屈曲部を5ヶ所設けられているもの)にケーブル10を通線するときの、コード引張張力を測定し、この測定値を曲げ剛性とする。なお、本発明では、コード引張張力の許容引張張力を約90N以上とすることで、光通信システムのケーブル10として好ましく用いることができる。
なお、本発明ではプリフォーム21からケーブル10を得るまでの一連の工程は、特に限定されるものではない。本実施形態では、POF13の外周を被覆してコード15を得る工程と、コード15と抗張力線16とを束ねた外周を被覆してケーブル10とする工程とを別々の被覆設備を用いる形態を示したが、POF13を搬送しながら、第1被覆工程27と第2被覆工程29とを連続的に行いコード10を得る形態でもよい。
また、POF13をSI型POFとしコアにPMMAを用いた場合には、クラッドにフッ素樹脂を用いることが好ましい。これは、コアのPMMAとクラッドのフッ素樹脂との屈折率の差が、光ファイバとして好ましい範囲であり、また、フッ素樹脂の強度が高いため強靭性や機械強度に優れるPOFを得ることができるためである。SI型POFの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知である方法を用いることができるが、溶融紡糸法を用いると、連続的に優れた生産性を発現させながらPOFを製造することができるので好ましい。この溶融紡糸法では、複合紡糸ノズルからコアとなる重合体(例えば、PMMA)とクラッドとなる重合体(例えば、フッ素樹脂)とをそれぞれのホールごとに吐出した後、ノズルを用いてPMMAの周りにフッ素樹脂を被覆し複合化することにより、プリフォームを得る。そして、多数の引取ローラによりこのプリフォームを搬送しながら線引きを行って所望の径のPOFを得ることができる。
なお、本発明により得られるケーブル10は、従来品と比べて軸ずれに対する許容度が高いために、突き合せにより接合しても用いることができる。ただし、より好ましくは、光ケーブルの端部に接続用光コネクタを備えて、互いの接続部を確実に固定することである。また、コネクタは、一般に知られているPN型,SMA型,SMI型などの市販の各種コネクタを利用することが可能である。そのため、ケーブル10は、種々の発光素子や受光素子や光スイッチ,光アイソレータ,光集積回路,光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置などが組み合わされて好適に用いられる。この際、必要に応じて他の光ファイバなどと組合せてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用することができる。例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。
また、これらの文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線,車両や船舶などの内部配線,光端末とデジタル機器,デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LANなどをはじめとする高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON.,VOL.E84−C,No.3,MARCH 2001,p.339−344 「High−Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3,No.6,2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開2003−152284号公報に記載の導波路面に対する発光素子の配置;特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号などの各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号などの各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号などの公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号などの各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号などに記載の光信号処理装置;特開2001−86537号などに記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号などに記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号などの各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用したより高度な光伝送システムを構築することができる。
以下、実施例を示し、本発明の効果を具体的に説明する。ただし、本発明に関する実施例は、ここに示す形態に限定されるものではない。また、プリフォームやPOFの製造条件および製造方法などに関して、実施例1において詳細に説明し、実施例2,3、実施例1と同じ場合には説明を省略する。なお、実施例2は、実施例1に対する比較例である。
実施例1では、図1に示す構造のケーブル10を作製した。まず、国際公開第03/19252号パンフレットの実施例に記載された方法により、屈折率分布型構造を示し、外径が750μmであるPOF13を作製した。そして、コード製造設備40(図4参照)により、このPOF13の外周に低密度ポリエチレンを被覆して、厚みt1が225μmである第1被覆層14を設けたコード15を作製した。次に、ケーブル製造設備60(図5参照)により、このコード15と、ポリエステル繊維からなる抗張力線16を所定の構造となるように組合せた後、この外周に、厚みt2が500μmとなるように低密度ポリエチレンからなる第2被覆層17を形成して、2本のコード15が並列した間に抗張力線16を配したケーブル10を作製した。なお、実施例1では、第2被覆層17を形成させる際に使用する被覆装置63内の金型の形状を変更して、下記に示す実験1〜3を行った。
[実験1]
tを0.4mm、Tを2.2mmとし、厚み比(t/T)が0.18のケーブル10を作製した。そして、このケーブル10を用いて、伝送損失上昇(dB/km)および引裂き強度(N)を測定したところ、伝送損失上昇は0であった。また、ケーブル10のくびれ部17cより引き裂いて、完全にくびれ部17cが分離した際の強度を引き裂き強度として測定したところ、4.0Nであった。なお、伝送損失上昇および引張り強度の測定は、実施例1〜3ともに同じ方法を用いている。
[実験2]
tを0.5mm、Tを2.2mmとし、厚み比(t/T)が0.23のケーブル10を作製した。そして、このケーブル10を用いて、伝送損失上昇(dB/km)および引裂き強度(N)を測定したところ、伝送損失上昇は0であり、引裂き強度は4.5Nであった。
[実験3]
tを0.7mm、Tを2.2mmとし、厚み比(t/T)が0.32のケーブル10を作製した。そして、このケーブル10を用いて、伝送損失上昇(dB/km)および引裂き強度(N)を測定したところ、伝送損失上昇は18であり、引裂き強度は8.5Nであった。
実施例2では、実施例1とPOF13、コード15ならびにケーブル10の製造設備および条件は同じながら、抗張力線16を用いることなく2本のコード15のみを使用して、図6に示す構造のケーブル10を作製した。そして、実施例1と同様に、tおよびTを変更することにより、厚み比(t/T)を変化させて3種類のケーブル10を作製した(実験4〜6)。
[実験4]
tを0.3mm、Tを2.2mmとし、厚み比(t/T)が0.14のケーブル10を作製した。そして、このケーブル10を用いて、伝送損失上昇(dB/km)および引裂き強度(N)を測定したところ、伝送損失上昇は0であり、引裂き強度は2.3Nであった。
[実験5]
tを0.5mm、Tを2.2mmとし、厚み比(t/T)が0.23のケーブル10を作製した。そして、このケーブル10を用いて、伝送損失上昇(dB/km)および引裂き強度(N)を測定したところ、伝送損失上昇は0であり、引裂き強度は5.0Nであった。
[実験6]
tを0.7mm、Tを2.2mmとし、厚み比(t/T)が0.32のケーブル10を作製した。そして、このケーブル10を用いて、伝送損失上昇(dB/km)および引裂き強度(N)を測定したところ、伝送損失上昇は15であり、引裂き強度は9.0Nであった。
実施例1と同じ材料および製造設備、条件ながら、図7に示すように、コード被覆部17aの断面が略円形でないケーブル10を作製した。このとき、tを0.5mm、Tを2.2mm、厚み比(t/T)を0.23とした。そして、このケーブル10を用いて、伝送損失上昇(dB/km)および引裂き強度(N)を測定したところ、伝送損失上昇は20であり、引裂き強度は10.0Nであった。
実施例1〜3の結果より、実験1,2および実験4,5では、伝送損失の上昇を確認することはできなかった。これらの中で、実験4では引裂き強度が小さく、かつ引裂け過ぎるという現象が確認された。一方で、その他の実験は、いずれも引裂き強度が4.0〜5.0N程度であり、引裂き時においては優れた安定性を示しながら容易に引裂くことができることを確認した。ただし、実験3,6では、伝送損失上昇が大きく、引裂き強度も大きくなった。この原因として、実験1,2,4,5では、厚み比(t/T)が0.14〜0.23の範囲であるのに対して、実験3,6では、厚み比(t/T)がともに0.32であり、他の実験に比べて大きい。このため、くびれ部17cからの引裂き強度が大きくなり、かつ第2被覆層17の潜熱によってコード15などが熱ダメージを受けたために伝送損失が上昇したと考えられる。また、実施例3では、POF13を含む径方向での断面が略円形でないケーブル10を作製した。その結果、厚み比(t/T)が0.23であるにもかかわらず、伝送損失上昇および引き裂き強度がともに増大した。
以上より、複数の光ファイバコードを束ねた外周を被覆層で覆うとともに、光ファイバコードの間で被覆層の外周面に引き裂き用のくびれ部を有する光ファイバケーブルにおいて、くびれ部の厚みをtとし、この厚み方向における前記光ファイバコードの被覆層の最大厚みをTとするとき、厚み比(t/T)を0.15≦(t/T)≦0.30とし、かつコードを含む被覆層の断面形状が略円形とすると、低伝送損失でありながらも、素手で容易に引裂くことができるケーブルを得ることができることを確認した。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルの一例の径方向に対する断面図である。 本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造工程図である。 本実施形態で使用したプラスチック光ファイバ素線を製造する際の加熱延伸設備の概略図である。 本実施形態で使用したコード製造設備の概略図である。 本実施形態で使用したケーブル製造設備の概略図である。 本発明でのプラスチック光ファイバケーブルの一例の径方向に対する断面図である。 実施例で作製したプラスチック光ファイバケーブルの一例の径方向に対する断面図である。
符号の説明
10 ケーブル
11 コア
12 クラッド
14 第1被覆層
15 第2被覆層
16 抗張力線
17 第2被覆層
17a コード被覆部
17b 抗張力線被覆部
17c くびれ部

Claims (6)

  1. 複数の光ファイバコードを束ねた外周を被覆層で覆うとともに、前記光ファイバコードの間で前記被覆層の外周面に引き裂き用のくびれ部を有する光ファイバケーブルにおいて、
    前記くびれ部の厚みをtとし、この厚み方向における前記光ファイバコードの被覆層の最大厚みをTとするとき、厚み比(t/T)を0.15≦(t/T)≦0.30とすることを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 前記くびれ部により引き裂いて前記各光ファイバコードを分離する際の引き裂き強度を2.6N以上7N以下とすることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記被覆層は前記光ファイバコードに密着していることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバケーブル。
  4. 前記光ファイバコードの少なくとも1本が、プラスチック光ファイバ素線を有することを特徴とする請求項1ないし3いずれかひとつ記載の光ファイバケーブル。
  5. 前記光ファイバコードを覆う被覆層の横断面形状は、略円形であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつ記載の光ファイバケーブル。
  6. 前記光ファイバコードの間の前記被覆層には抗張力線が入れられており、前記抗張力線と前記各光ファイバコードとの間に位置する前記被覆層の外周面に前記くびれ部が形成されることを特徴とする請求項1ないし5いずれかひとつ記載の光ファイバケーブル。
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