JP2005321761A - プラスチック光ファイバの被覆方法及び装置 - Google Patents

プラスチック光ファイバの被覆方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 プラスチック光ファイバの伝送損失を悪化させることなく被覆を行う。
【解決手段】 ダイス30とニップル31とを有する被覆装置でプラスチック光ファイバ11に熱可塑性樹脂32から保護層39を形成して被覆する。ダイス径TA (μm),ニップル外径TB1(μm)及び内径TB2(μm),ファイバ径D(μm)の関係を20μm≦TA −TB1≦1500μm,20μm≦TB2−D≦600μm,400μm<TB1−TB2≦1500μmとする。熱可塑性樹脂32は、応力分布の付与を抑制してプラスチック光ファイバ11に被覆するため、プラスチック光ファイバ11の伝送損失の悪化を防止できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、プラスチック光ファイバの被覆方法及びプラスチック光ファイバの被覆装置に関するものである。
プラスチック光ファイバは、石英系光ファイバと較べると、光の伝送損失が大きく長距離の光伝送には向いていないが、大口径化による接続容易性、端末加工容易性、高精度調芯機構が不要になるメリット、コネクタ部分の低コスト化、人体への突き刺し災害による危険性の低さ、高い柔軟性による易加工性、易敷設性、耐振動性、低価格などのメリットから、家庭や、車載用途に注目されるだけでなく、高速データ処理装置の内部配線やDVI(Digital Video Interface) リンクなどの極短距離、大容量ケーブルとしても利用が検討されている。
プラスチック光ファイバは、一般に重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯材(以下、コア部と称する)とコア部と屈折率の異なる外殻(以下、クラッド部と称する)とから構成される。これら部材の製法はプレポリマーを引き出し、もしくは押し出ししてコア部またはクラッド部を同時に繊維状に形成する方法や、光ファイバ母材(以下、プリフォームと称する)を製作してからこのプリフォームを溶融延伸する方法などがある。
このプリフォームを用いる方法では180℃から260℃程度の雰囲気中で溶融延伸することによって、所定の外径のプラスチック光ファイバ(以下、POFと称する)ができる。溶融延伸工程では、通常、プリフォームを電気ヒータ等によって内部が加熱された円筒形状の加熱炉内で加熱しながら、下端を引っ張って延伸する。例えば、プリフォームの上部を懸架し、ゆっくりと加熱炉中に降ろし、プリフォームを加熱炉中で溶融させる。糸引きできる柔らかさになるまで加熱し、プリフォームの先端が溶融して自重で落下した後に、糸引きした部分を加熱炉から下方に引き出して引取ローラにかけることによって、連続的に延伸する(例えば、特許文献1参照。)。
このようにして製造したPOFは、そのままで使用することは少なく、多くの用途においてPOFの周囲に保護用のコーティングを施したり(例えば、保護層の形成)、あるいは所定の内径を持つチューブ内に挿入したりして用いられている。このようにPOFを保護することによって、光ファイバをハンドリング中や劣悪な環境下での使用の際に傷や損傷、マイクロベンディングなどの構造不整、さらには光学特性の劣化から守ることができる。POFを保護する材料としてはポリ塩化ビニル,ナイロン,ポリプロピレン,ポリエステル,ポリエチレン,エチレン酢酸ビニール共重合体,EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)などの熱可塑性樹脂及び前述以外の熱可塑性樹脂が使用できる。従来の方法においては、POFに保護層を付与しようとすると、溶融状態または液状のポリマーの浴内にPOFを通過させ、その後、浴から取り出されたPOFの表面に付着したポリマーを固化させる工程が用いられてきた(例えば、特許文献1参照。)。
POFに保護層を形成する場合には、ダイスとニップルとを有する被覆装置を用いることが通常行われている。それらを利用してPOFの外径変動率が小さく、長時間連続して被覆を行ってもPOFの断線を起こさない被覆装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、POFを被覆中にニップルから熱可塑性樹脂の樹脂溢れを防止して安定した保護層の厚みを有する被覆方法も知られている(例えば、特許文献3参照。)。さらには、POFに形成した保護層に偏肉が生じない被覆方法も知られている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平11−337781号公報 特開平4−254441号公報(第2頁,第1図) 特開平10−194793号公報(第2−3頁,第1図) 特開2002−018926号公報(第3−4頁,第1図)
しかしながら、POFに保護層を形成する際には、POF自身がプラスチック(例えば、ポリメチルメタクリレート;PMMA)であるため、保護層形成用樹脂(通常は、熱可塑性樹脂が用いられる)を150℃以上で溶融させてコーティングを施すと、その熱によりPOFの特性、例えば伝送損失値が悪化する問題がある。前記方法、例えば、特許文献2の被覆方法では、ニップルから熱可塑性樹脂が逆行してオーバーフローする現象は解決されている。それによりPOFの被覆径の変動率を低下させ、被覆外観に優れたプラスチック光ファイバ心線(以下、光ファイバ心線と称する)が得られる。しかしながら、被覆時におけるPOFへの熱ダメージによる伝送損失が悪化は検討されていない。また、特許文献3,4に記載されている被覆方法も被覆精度,寸法安定性の向上は図られているが、被覆に伴うPOFの伝送損失の悪化は検討されていない。
POFに保護層形成用樹脂(被覆材)を被覆する際にPOFに応力分布が生じることにより前記POFの屈折率に差が生じる。屈折率に差が生じることにより前記POF中を通過する光が散乱することで伝送損失が上昇する問題がある。また、POFに被覆材を被覆する際に、空気の巻き込みが生じてPOFと被覆材との界面の不均一化が生じて伝送損失が上昇する問題もある。
本発明の目的は、プラスチック光ファイバに被覆をする際に、プラスチック光ファイバが熱による劣化や、応力分布が生じることによる機械的なダメージを受けることなく、保護層を、速く安定して被覆出来るプラスチック光ファイバの被覆方法およびプラスチック光ファイバの被覆装置を提供する事である。
そこで、本発明者が鋭意検討を行った結果、保護層形成用の熱可塑性樹脂の経路を形成するダイスとニップルとを備える金型の形態及び保護層が形成されるプラスチック光ファイバ(POF)の直径との関係を最適にすることで、プラスチック光ファイバの伝送損失を悪化させることなく保護層を形成しプラスチック光ファイバを被覆できることを見出した。
本発明のプラスチック光ファイバの被覆方法は、プラスチック光ファイバにダイスとニップルとを用いて熱可塑性樹脂を被覆する方法において、前記ダイスの径がTA (μm)、前記ニップルの外径がTB1(μm)、内径がTB2(μm)のものを用いて、径がD(μm)の前記プラスチック光ファイバに前記熱可塑性樹脂を被覆する際に、
20μm≦TA −TB1≦1500μm・・(1)
20μm≦TB2−D≦600μm・・(2)
400μm<TB1−TB2≦1500μm・・(3)
の各式を満たす。径D(μm)が200μm以上1500μm以下の前記プラスチック光ファイバに、前記熱可塑性樹脂の被覆時の厚みTc (μm)と100μm以上500μm以下の被覆することが好ましい。プラスチック光ファイバの径D(μm)は、200μm以上800μm以下であることがより好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバの被覆装置は、プラスチック光ファイバに熱可塑性樹脂を被覆する被覆装置において、前記被覆装置は、径がTA (μm)のダイスと、外径がTB1(μm),内径がTB2(μm)のニップルとを備え、径がD(μm)の前記プラスチック光ファイバに前記熱可塑性樹脂を被覆する場合に、
20μm≦TA −TB1≦1500μm・・(1)
20μm≦TB2−D≦600μm・・(2)
400μm<TB1−TB2≦1500μm・・(3)
の各式を満たす。
(1)式の範囲については、より好ましくは200μm以上1200μm以下であり、最も好ましくは400μm以上1000μm以下である。(2)式の範囲については、より好ましくは50μm以上400μm以下であり、最も好ましくは70μm以上150μm以下である。(3)式の範囲については、より好ましくは1000μm以下であり、最も好ましくは500μm以下である。なお、ダイスとニップルとの組合わせの形態においては、チュービング型やプレッシャー型といった前記プラスチック光ファイバの走行方向でのダイスとニップルとの相対位置が前後する形態があるので、TA とTB1,TB2は必ずしも同一平面上にあるとは限らない。
前記熱可塑性樹脂の溶融温度190℃におけるメルトフローレートが、5g/10min以上150g/10min以下であることが好ましい。
本発明によれば、プラスチック光ファイバにダイスとニップルとを用いて熱可塑性樹脂を被覆する方法において、前記ダイスの径がTA (μm)、前記ニップルの外径がTB1(μm)、内径がTB2(μm)のものを用いて、径がD(μm)の前記プラスチック光ファイバに前記熱可塑性樹脂を被覆する際に、
20μm≦TA −TB1≦1500μm・・(1)
20μm≦TB2−D≦600μm・・(2)
400μm<TB1−TB2≦1500μm・・(3)
の各式を満たすから、被覆の際にプラスチック光ファイバに加わる応力が減少し、その結果として伝送損失の上昇を防ぐことが出来る。また、被覆前後での伝送損失を維持し、安定な被覆を行うことが可能になることで、生産性の向上が期待される。さらに、被覆時の空気の巻き込みが抑制され、プラスチック光ファイバと熱可塑性樹脂との界面の不均一化による損失上昇が抑制される。さらには、空気の巻き込みが抑制されることで、外観的にも好ましくプラスチック光ファイバを被覆することが可能になる。
始めに、本発明に好ましく用いられる原料ポリマー,開始剤,連鎖移動剤,屈折率調整剤(ドーパント)を例示する。次に、本発明に係るプラスチック光ファイバ(POF)の一実施態様として、高い伝送特性が得られるクラッド部からコア部へ連続的に屈折率の変化する屈折率分布型(グレーデッドインデックス型,GI型)POFについて、プリフォームの製造方法、POFの製造方法を説明する。その後にそのPOFを被覆する被覆方法及び被覆装置を説明する。以下、実施の形態を例示するが、この例示はあくまでも本発明を詳細に説明するためのものであり、本発明を何ら制限するものではない。
POFを作るための材料は、光伝送の機能を損なわない限りにおいて特に限定されるものではない。特に好ましく用いられるものとしては、有機材料として光透過性が高い原料として一般的に知られている、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類(フッ素不含(メタ)アクリル酸エステル(a),含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(b)),スチレン系化合物(c),ビニルエステル類(d)、ポリカーボーネート類等を例示することができ、これらのホモポリマー、あるいはこれらモノマーの2種以上からなる共重合体、およびホモポリマー及び/または共重合体の混合物が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル類を組成として含むものをより好ましく用いることができる。
以上に挙げた重合性モノマーとして具体的に、(a)フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6 ]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。また、(b)含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、2,2,2 −トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3 −テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3 −ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1 −トリフルオロメチル−2,2,2 −トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5 −オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4 −ヘキサフルオロブチルメタクリレート等が挙げられる。さらに、(c)スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。さらには、(d)ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等が挙げられる。勿論、これらに限定されるものではなく、モノマーの単独あるいは共重合体からなるポリマーの屈折率がクラッド部のそれに比べて同等かあるいはそれ以上になるように構成モノマーの種類,組成比を組むことが好ましい。特に好ましいポリマーとしては、透明樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)が挙げられる。
さらに、光学部材を近赤外線用途に用いる場合は、構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許第3332922号公報などに記載されているような重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを始めとする、C−H結合の水素原子(H)を重水素原子(D)やフッ素(F)などで置換した重合体を用いることで、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。なお、原料モノマーは重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に十分に低減することが望ましい。
モノマーを重合させてポリマーを製造する場合においては、重合開始剤によって重合を行うことがある。この場合、モノマーの重合反応を開始させる開始剤としては、例えば、ラジカルを生成するものとして、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は勿論これらに限定されるものではなく、2種類以上を併用してもよい。
機械特性や熱物性などの各種物性値を全体にわたって均一に保つために重合度の調整を行うことが好ましい。重合度の調整のためには連鎖移動剤を使う事ができる。連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択できる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(例えば、チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は勿論これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
プラスチック光ファイバの中心部であるコア部が、コア部の中心から外周方向に向かって屈折率分布を有する屈折率分布型プラスチック光ファイバ(クレーデッドインデックス型光ファイバ、以下、GI型光ファイバと称する)の場合には、伝送性能が向上するため、より広帯域の光通信を行うことができ、高性能通信用途に好ましく用いることができる。屈折率分布を付与する方法としては、コア部を形成する重合体に複数の屈折率を有する重合体の組合せやそれらを組合わせた共重合体を用いるか、または、ポリマーマトリクスに屈折率分布を付与するための添加剤(以下、屈折率調整剤と称する)を添加する必要がある。
屈折率調整剤(ドーパント)は、併用する前記重合性モノマーの屈折率と異なる化合物である。その屈折率差は0.005以上であるのが好ましい。屈折率調整剤は、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して、屈折率が高くなる性質を有する。これらは、特許第3332922号公報や特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成される重合体との比較において溶解性パラメータとの差が7(cal/cm3 1/2 以内であると共に、屈折率の差が0.001以上であり、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して屈折率が変化する性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、いずれも用いることができる。
上記性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、屈折率調整剤として用いることができる。本実施の形態では、コア部形成用重合性組成物に屈折率調整剤を含有させ、コア部を形成する工程において界面ゲル重合法により重合の進行方向を制御し、屈折率調整剤の濃度に傾斜を持たせ、コア部に屈折率調整剤の濃度分布に基づく屈折率分布構造を形成する方法を例示しているが、それ以外にもプリフォーム形成後に屈折率調整剤を拡散させる方法も知られている。(以下、屈折率の分布を有するコア部を「屈折率分布型コア部」と称する)。屈折率分布型コア部を形成することにより、得られる光学部材は広い伝送帯域を有する屈折率分布型プラスチック光学部材となる。また、屈折率調整剤は重合性化合物であってもよく、重合性化合物の屈折率調整剤を用いた場合は、これを共重合成分として含む共重合体がこれを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いることが好ましい。例えば、MMA−BzMA共重合体などが挙げられる。
前記屈折率調整剤としては、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOが好ましい。また、屈折率調整剤は、例えばトリブロモフェニルメタクリレートのように重合性化合物でもよく、その場合、マトリックスを形成する際に、重合性モノマーと重合性屈折率調整剤とを共重合させるので、種々の特性(特に光学特性)の制御がより困難となるが、屈折率調整剤(ドーパント)の移動を抑えることができるので熱に対する屈折率分布安定性の面では有利となる可能性がある。屈折率調整剤のコア部における濃度および分布を調整することによって、プラスチック光ファイバの屈折率を所望の値に変化させることができる。その添加量は、使用用途、使用形態および組み合わされるコア部原料などに応じて適宜選ばれる。
(その他の添加剤)
その他、コア部、クラッド部もしくはそれらの一部には、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、コア部もしくはその一部に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。これらの添加剤も、前記原料モノマーに添加した後、重合することによって、コア部、クラッド部もしくはそれらの一部に含有させることができる。
以上の素材を用いてPOFを製造する。製造方法に関しては、特に制限はなく、既知の方法を等しく適用することができる。例えば、溶融押出しや溶融紡糸によって直接POFを作製する方法がある。その他には、プリフォームをいったん経由して作製する方法としては、一括成形法としては、コア部の作製後クラッド部の積層付与による方法や、クラッド部となる中空管を作製した後にその内部にコア部を作製する方法等が挙げられる。
GI型のプラスチック光ファイバプリフォーム(GI型プリフォーム)の製造方法は、国際公開第93/08488号パンフレット,特許第3332922号公報に記載されているように、クラッド部となる樹脂の中空管を作製し、その管内にコア部を形成する方法を例示することができ、またその他には、重合後の屈折率が異なる重合性組成物を逐次添加するコア部の形成方法も知られている。なお、GI型プリフォームの製造方法は、前述の如く界面ゲル重合法に限定されるものではない。また、樹脂組成物は前述のように、単一の屈折率を持つ樹脂組成物に屈折率調整剤を添加するものや、屈折率の異なる樹脂を混合するもの、共重合などが用いられる。また、プラスチック光ファイバは、GI型の他に、マルチステップインデックス型、ステップインデックス型など様々な屈折率プロファイルを持つものが知られており、本発明の被覆方法は、熱物性が異なる組成からなるコア部を有するGI型やマルチステップインデックス型に特に有効であるが、ステップインデックス型においても熱によってコア/クラッド界面状態に変化をきたし性能に影響がでるため、これらプラスチック光ファイバのいずれにも適用することができる。
POFをプリフォームから作製する場合は、加熱延伸して作製することができる。その加熱温度はプリフォームの材質等に応じて、適宜決定することができる。POFの場合、一般的には、180℃〜250℃中の雰囲気で行われることが好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、得られたプリフォームの径、所望のPOFの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、線引張力については、特開平7−234322号公報に記載されている様に、溶融したプラスチックを配向させるために0.1N以上としたり、特開平7−234324号公報に記載されている様に溶融延伸後に歪みを残さないようにするために1N以下としたりすることが好ましい。また、特開平8−106015号公報に記載されている様に、延伸の際に予備加熱を設ける方法等をとることもできる。以上の方法によって得られるPOFについては、得られるPOFの破断伸びや硬度について特開平7−244220号公報に記載の様に規定することで光ファイバの曲げや側圧特性を改善することができる。
以上の方法によって得られる延伸されたPOFは、通常そのままの状態で使用されることはない。例えば、POFの曲げ・耐候性の向上、吸湿による性能低下抑制、引張強度の向上、耐踏み付け性付与、難燃性付与、薬品による損傷からの保護、外部光線によるノイズ防止、着色などによる商品価値の向上などを目的としてPOFの表面に1層以上の保護層を設け被覆した光ファイバ心線、プラスチック光ファイバコード,プラスチック光ファイバケーブルとして使用されることが通常である。
[保護層形成用材料]
本発明に用いられる保護層形成用の材料には、POFに熱的ダメージ(例えば、変形,変性,熱分解など)を与えないものを選択する。そこで、POFを形成するポリマーのガラス転移温度Tg(℃)以下で、かつ(Tg−50)℃以上で硬化可能なポリマーを用いることが好ましい。また、生産コストの低減のために、成形時間(材料が硬化する時間)が1秒以上10分以下、好ましくは1秒以上5分以下であるものを用いることがより好ましい。なお、POFが複数のポリマーから形成される場合には、それら各ポリマーのガラス転移温度のなかで、最も低い温度のガラス転移温度をTg(℃)とみなす。また、POFを構成するポリマーがガラス転移温度を有しないものである場合には、相転移温度(例えば、融点など)の最も低いものをTg(℃)とみなす。
保護層形成用材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などに代表される一般的なオレフィン系ポリマーや塩化ビニル、ナイロンなどの汎用性の高いポリマーのほかに、具体的に以下の材料を挙げることができる。これらは高い弾性を有しているため、曲げなどの機械的な特性付与の観点でも効果がある。まず、ポリマーの一形態であるゴムを用いることもできる。具体的には、イソプレン系ゴム(例えば、天然ゴム,イソプレンゴムなど),ブタジエン系ゴム(例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム,ブタジエンゴムなど),ジエン系特殊ゴム(例えば,ニトリルゴム,クロロプレンゴムなど),オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−プロピレンゴム,アクリルゴム,ブチルゴム,ハロゲン化ブチルゴムなど),エーテル系ゴム,ポリスルフィド系ゴム,ウレタン系ゴムなどが挙げられる。
また、保護層形成用材料としては続いて、室温では流動性を示し、加熱することによりその流動性が消失して硬化する液状ゴムを用いることができる。具体的には、ポリジエン系(例えば、基本構造がポリイソプレン,ポリブタジエン,ブタジエン−アクリロニトリル共重合体,ポリクロロプレンなど),ポリオレフィン系(例えば、基本構造がポリオレフィン,ポリイソブチレンなど),ポリエーテル系(例えば、基本構造がポリ(オキシプロピレン)など),ポリスルフィド系(例えば、基本構造がポリ(オキシアルキレンジスフィド)など),ポリシロキサン系(例えば、基本構造がポリ(ジメチルシロキサン)など)などを挙げることができる。
特に好ましくは、エチレン,プロピレンあるいはα−オレフィンの重合体等の熱可塑性樹脂を挙げることができる、これらの重合体としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレン−α−オレフィンの共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などである。さらに、これらの熱可塑性樹脂に金属水和物あるいはリン,窒素を含有する難燃性物質を配合したマスターバッチ(master batch)などを用いることもできる。また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂の分子量(例えば、数平均分子量,重量平均分子量など),分子量分布などは特に限定されるものではない。しかしながら、熱可塑性樹脂をプラスチック光ファイバを被覆するために樹脂の流動性が高いものを用いることが好ましい。熱可塑性プラスチックの流れ試験方法(JIS K 7210 1916)により得られるメルトフローレート(MFR)が樹脂の流動性の指標となる。溶融樹脂温度190℃におけるMFRが、5g/10min以上150g/10min以下であり、更に好ましくは20g/10min以上90g/10min以下である。
保護層の材料としてはさらには、熱可塑性エラストマー(TPE)を用いることもできる。熱可塑性エラストマーは、室温ではゴム弾性を示し、高温では可塑化されて成形が容易である物質群である。具体的には、スチレン系TPE,オレフィン系TPE,塩化ビニル系TPE,ウレタン系TPE,エステル系TPE,アミド系TPEなどが挙げられる。なお、前記列記したポリマーは、POFのポリマーのガラス転移温度Tg(℃)以下で成形可能なものであれば、特に上記材料に限定されず、各材料間もしくは上記以外の共重合体や混合ポリマーを用いることもできる。
また、ポリマー前駆体と反応剤などとを混合した液を熱硬化させるものを用いることができる。例えば、特開平10−158353号公報に記載のNCOブロックプレポリマーと微粉体コーティングアミンとから製造される1液型熱硬化性ウレタン組成物を挙げることができる。また、WO95/26374に記載のNCO基含有ウレタンプレポリマーと20μm以下の固形アミンとからなる1液型熱硬化性ウレタン組成物なども用いることもできる。その他に、性能を改善する目的で難燃剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、滑剤などの添加剤や、無機化合物及び/または有機化合物からなる各種フィラーを加えることができる。
[保護層の形成方法]
保護層の形成方法について以下に説明する。なお、保護層の形成に用いられる被覆装置は、延伸装置に直結して延伸と同時に(延伸直後に)一括して行っても差し支えない。
被覆ライン10は、従来から知られている電気ケーブルや石英ガラス製光ファイバと同様な被覆ラインを使用することができる(図1参照)。プラスチック光ファイバ(POF)11は、送出機12より送り出され、冷却装置13により5℃〜35℃の温度まで冷却する。POF11に保護層を形成する前に冷却すると、被覆する際の熱ダメージが低減されるために好ましいが、冷却装置13は、省略することもできる。その後に被覆装置14によりPOF11に被覆材(熱可塑性樹脂)を被覆してプラスチック光ファイバ心線(以下、光ファイバ心線と称する)15を得る。なお、この被覆については、後に詳細に説明する。光ファイバ心線15は、水槽16で冷水により冷却した後に水分除去装置17により水分を除去する。なお、光ファイバ心線15の冷却は、水槽に限定されず他の装置を用いることもできる。そして、ローラ18により光ファイバ心線15は搬送されて巻取機19に巻き取られる。なお、図1では、POF11を送出機12から供給する形態を示したが、本発明に用いられる被覆ライン10は図示した形態に限定されるものではない。例えば、POF形成用の線引装置(図示しない)を一体に組み込んだラインを用いることもできる。この場合には、線引装置によりプリフォームから連続的にPOFが供給され、そのPOFに連続的に被覆材を被覆することが可能となる。
図2には、被覆装置14に備えられているダイス30とニップル31とを示す。ダイス30とニップル31とは、その隙間が被覆材である熱可塑性樹脂32の液流路33,34となるようにダイス30内にニップル31が嵌め込められている。ダイス30,ニップル31には、熱可塑性樹脂32に流動性を持たせるために温調機35,36が取り付けられている。被覆する際の熱可塑性樹脂32の温度(被覆温度)は、POFに移動する熱量を低減するためにも可能な程度に低くすることが好ましい。たとえば、ポリエチレンなどを被覆材として用いる場合には140℃以下とすることが好ましく、より好ましく130℃以下とすることである。なお、被覆温度の下限値は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂32が流動性を有する温度以上とする必要がある。例えば、熱可塑性樹脂32に低密度ポリエチレンを用いる際には、100℃〜110℃であることが好ましい。ニップル31内の空隙にPOF11が通過し、ニップルの開口部31aから送り出される。
POF11は、光の伝送路であるコア部11aとクラッド部11bとから形成されている。POF11の形態などは、特に限定されるものではないが、その直径D(μm)が、200μm以上1500μm以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは200μm以上800μm以下のものを用いることである。POF11の搬送速度も特に限定されるものではないが、10m/min以上100m/min以下の範囲であることが好ましい。10m/min未満であると、生産性が悪化しコスト高の原因となる。さらには、加熱されているニップル31内の空隙を通過する時間が長くなるため、ニップル31からの放射熱によりPOF11に熱ダメージが生じるおそれがある。また、搬送速度を100m/minより速くすると被覆材である熱可塑性樹脂32とPOF11との密着性が劣り、熱可塑性樹脂32の剥離や樹脂の結晶化による機械的特性の変化などの問題が生じるおそれがある。
ダイス30とニップル31との空隙は液流路33,34となる。所望の温度に調整され流動性を有する熱可塑性樹脂32は、樹脂供給口37,38から液流路33,34に送り込まれる。熱可塑性樹脂32は、液流路33,34を流れた後に、ダイス先端とニップル先端とのクリアランスである樹脂吐出口30aから送り出される。熱可塑性樹脂32は、POF11の外周面を被覆して保護層39が形成される。保護層39が形成されたPOF11は、光ファイバ心線15として冷却される(図1参照)。
ダイス30の開口部の径をTA (μm)とする。ニップル31の外径をTB1(μm)とし、内径をTB2(μm)とする。樹脂吐出口30aのクリアランスを十分なものとし、熱可塑性樹脂32がPOF11に容易に被覆可能なように、クリアランス(=TA −TB1)は、
20μm≦TA −TB1≦1500μm・・(1)
とする。クリアランスが20μm未満であると熱可塑性樹脂32が液流路33,34を通過する際に高圧になり、POF11と接触する際に、POF11に過大な応力がかかるおそれがある。この場合にはPOF11の素材の屈折率が変化し、光学特性の変化、例えば伝送損失の悪化が生じるおそれがある。また、クリアランスが1500μmを超えると、形成される保護層39の肉厚が厚くなり過ぎ、液ダレなど保護層39の外観悪化が生じる。また、肉厚が厚い保護層39は、熱可塑性樹脂32の冷却が均等に進行しないおそれがあり、POFに熱ダメージが生じてコブなどの外観不良の原因となる。
POF11が通過するニップル31の内径TB2(μm)とPOF11の径D(μm)との差(=TB2−D)を
20μm≦TB2−D≦600μm・・(2)
の関係とする。20μmよりも狭いと、ニップル31からの熱放射によりPOF11に熱ダメージや、ニップル内側に接触して物理的ダメージが生じるおそれがある。また、600μmを超えると、POF11への熱可塑性樹脂32の密着性が悪化するおそれがある。
ニップル先端部31bにおける外径TB1(μm)と内径TB2(μm)との差(=TB1−TB2)を
400μm<TB1−TB2≦1500μm・・(3)
とする。TB1−TB2が1500μmを超えると、熱可塑性樹脂32が、POF11に接触する位置33a,34aがニップル先端部31bから遠くなり、熱可塑性樹脂32のPOF11への接触位置が不安定となり、コブなどの発生の原因となる。また、TB1−TB2の下限値は特に限定されないが、ニップル31の作製コスト及び強度や耐久性などを考慮すると400μmより大きいことが好ましい。
以上説明したダイス30とニップル31とからなる金型を用いることで、POF11へ熱可塑性樹脂32の被覆が容易に行うことが可能となり、POF11への熱ダメージや保護層形成不良などのトラブルの発生を防止できる。また、POF11の直径Dは200μm以上1500μm以下であることが好ましく、より好ましくは200μm以上800μm以下のものを用いることである。この場合に、被覆時の保護層39の厚みTc (μm)が100μm以上500μm以下となるよう被覆することで、POF11に過大な応力がかかることが無くなる。なお、固化した保護層39は、その素材によっては収縮が生じる場合がある。
本発明の光伝送体であるPOFには、さらに、必要に応じて本発明の保護層を1次被覆層とし、外周にさらに2次(または多層)被覆層を設けても良い。1次被覆が充分な厚みを有している場合、POFに与える熱ダメージが減少するため、POFの硬化温度の制限はPOFへ直接被覆する場合に比べて、緩くすることができる。2次被覆層には、難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよい。なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を好ましく使うことができる。
また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、前述の難燃化以外に、光ファイバの吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを保護層内や保護層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるプラスチック光ファイバケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、ケーブルの形状は使用形態によって、POF及び/又は光ファイバ心線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
また、本発明に係るプラスチック光ファイバを用いた光伝送体は、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本発明のPOF及びそのPOFから得られるプラスチック光ファイバケーブルなどを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等で構成される。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84-C, No.3, MARCH 2001, p.339-344 「High-Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明(導光)、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料の種類、それらの割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実験例に制限されるものではない。本発明に係る実験1で詳細に説明を行い、本発明に係る実験2及び比較例である実験3ないし5では、実験1と同じ箇所の説明は省略する。なお、実験1ないし5の実験条件及び結果は後に表1にまとめて示す。
プラスチック光ファイバの製造方法は、下記の方法により行った。予定するプリフォームの外径に対応する内径を有する十分な剛性を持った内径22mmおよび長さ600mmの円筒状の重合容器に、モノマー(メタクリル酸メチル(水分を1000ppm以下に除去したもの))の溶液を所定量注入した。重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)をモノマー混合溶液に対して0.5質量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー混合溶液に対して0.62質量%配合した。上記モノマー混合溶液の注入された重合容器を60℃湯浴中に入れ、震盪を加えながら2時間予備重合を行った。その後、該重合容器を65℃下にて水平状態(円筒の高さ方向が水平となる状態)に保持し、3000rpmにて回転させながら3時間加熱重合した。その後、90℃で24時間の熱処理を行い、上記重合体からなる円筒管を得た。
次に、該円筒管の中空部に、コア部の原料であるモノマー(メタクリル酸メチル(水分を1000ppm以下に除去したもの))の溶液と、屈折率調整剤としてジブチルフタレートをモノマー溶液に対して10質量%混合した溶液とを、精度0.2μmの四フッ化エチレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、濾液を直接注入した。重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキシドをモノマー混合溶液に対し0.016質量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー混合液に対し0.27質量%配合した。この混合溶液等を注入した該円筒管を、該円筒管外径に対し9%だけ広い内径を持つガラス管内に挿入した状態で、加圧重合容器に垂直に静置した。その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気に置換した後、0.1MPa(ゲージ圧)まで加圧し、90℃で、48時間加熱重合した。その後、0.4MPa(ゲージ圧)まで加圧し、120℃で、24時間加熱重合および熱処理を行い、プリフォームを得た。該プリフォームの重量平均分子量は10万6000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.1であった。なお、このプリフォームの最低ガラス転移温度Tgを示す部位はコア部の中央部で約90℃であった。また、コア部はその屈折率の分布に従いガラス転移温度Tgが上昇し、コア部の最外部のガラス転移温度は約110℃であった。
得られたプリフォームには、重合完了時に体積収縮による気泡の混入はなかった。このプリフォームを230℃の熱延伸により線引きを行い、直径316μmのプラスチック光ファイバを製造した。得られた光ファイバの伝送損失値を測定したところ、波長650nmで160dB/km、波長850nmで1250dB/kmであった。
A が2100μmのダイス30とTB1が1100μm,TB2が500μmのニップル31とを有する金型を取り付けた押出機(40mmφスクリュー径)を用いて、低密度ポリエチレン(LDPE(low density polyethylene);JPO製 JMA07A,MFR=50g/10min)を125℃,360g/minで押し出し、20m/minの速度で送り出されるファイバ径Dが316μmのプラスチック光ファイバに接触させながら目標厚みまで引き伸ばし、水による冷却後、リールに巻き取った。このとき保護層厚みTc は220μmであり、光ファイバ心線15の径(以下、コード径と称する)は750μm であった。なお、実施例においては、保護層厚みTc は、樹脂が乾燥した後に測定された値である。被覆したプラスチック光ファイバの伝送損失を測定した結果、被覆前後ので伝送損失上昇は2dB/kmであった。
実験2では、実験1と同じ金型を有する押出機を用いて線状低密度ポリエチレン(LLDPE(linear low-density polyethylene );東ソー製 ニポロンL MFR=20g/10min)を130℃、390g/minで押し出し、20m/minの速度で送り出されるファイバ径Dが316μmのプラスチック光ファイバに接触させながら目標厚みまで引き伸ばし、水による冷却後、リールに巻き取った。このとき保護層厚みTc は245μmであり、コード径は805μmであった。作製したプラスチック光ファイバの伝送損失を測定した結果、被覆前後の伝送損失上昇は7dB/kmであった。
比較例である実験3では、TA が3100μmのダイス30と、TB1が1100μm,TB2が500μmのニップル31とを有する金型を用いた。押出機には実験1と同じものを用いた。低密度ポリエチレン(LDPE;JPO製 JMA07A MFR=50g/10min)を125℃の温度で押し出し、ファイバ径Dが316μmのプラスチック光ファイバを被覆した。このとき保護層厚みTc は240μmであり、コード径は800μmであった。被覆したプラスチック光ファイバの伝送損失を測定した結果、伝送損失上昇は75dB/kmであった。
比較例である実験4では、TA が2100μmのダイス30と、TB1が1700μm,TB2が1000μmのニップル31とを有する金型を用いた。また、押出機には実験1と同じものを用いた。低密度ポリエチレン(LDPE;JPO製 JMA07A MFR=50g/10min)を125℃の温度で押し出し、ファイバ径Dが316μmのプラスチック光ファイバを被覆した。このとき保護層厚みTc は245μmであり、コード径は805μmであった。被覆したプラスチック光ファイバの伝送損失を測定した結果、伝送損失上昇は65dB/kmであった。
比較例である実験5では、TA が2500μmのダイス30と、TB1が2100μm,TB2が500μmのニップル31とを有する金型を用いた。また、押出機には実験1と同じものを用いた。低密度ポリエチレン(LDPE;JPO製 JMA07A MFR=50g/10min)を125℃の温度で押し出し、ファイバ径Dが316μmのプラスチック光ファイバを被覆した。このとき保護層厚みTc は243μmであり、コード径は800μmであった。被覆したプラスチック光ファイバの伝送損失を測定した結果、損失上昇は50dB/kmであった。
Figure 2005321761
表1から式(1),(2),(3)を満たす金型(ダイスとニップルとを備える)を用いた場合、熱可塑性樹脂32に低密度ポリエチレン(LDPE),線状低密度ポリエチレン(LLDPE)のいずれを用いても被覆後の伝送損失の増加を10dB/km以下に抑えることが可能であった。
本発明に係る被覆方法に用いられる被覆ラインの概略図である。 本発明に係る被覆装置の要部断面図である。
符号の説明
11 プラスチック光ファイバ
30 ダイス
31 ニップル
32 熱可塑性樹脂
33 液流路
39 保護層
A ダイス径
B1 ニップル外径
B2 ニップル内径
c 保護層厚み
D ファイバ径

Claims (4)

  1. プラスチック光ファイバにダイスとニップルとを用いて熱可塑性樹脂を被覆する方法において、
    前記ダイスの径がTA (μm)、
    前記ニップルの外径がTB1(μm),内径がTB2(μm)のものを用いて、
    径がD(μm)の前記プラスチック光ファイバに前記熱可塑性樹脂を被覆する際に、
    20μm≦TA −TB1≦1500μm・・(1)
    20μm≦TB2−D≦600μm・・(2)
    400μm<TB1−TB2≦1500μm・・(3)
    の各式を満たすことを特徴とするプラスチック光ファイバの被覆方法。
  2. 径D(μm)が200μm以上1500μm以下の前記プラスチック光ファイバに、
    前記熱可塑性樹脂の被覆時の厚みTC (μm)を100μm以上500μm以下で被覆することを特徴とする請求項1記載のプラスチック光ファイバの被覆方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂の溶融温度190℃におけるメルトフローレートが、5g/10min以上150g/10min以下であることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック光ファイバの被覆方法。
  4. プラスチック光ファイバに熱可塑性樹脂を被覆する被覆装置において、
    前記被覆装置は、径がTA (μm)のダイスと、外径がTB1(μm)、内径がTB2(μm)のニップルとを備え、
    径がD(μm)の前記プラスチック光ファイバに前記熱可塑性樹脂を被覆する場合に、20μm≦TA −TB1≦1500μm・・(1)
    20μm≦TB2−D≦600μm・・(2)
    400μm<TB1−TB2≦1500μm・・(3)
    の各式を満たすことを特徴とするプラスチック光ファイバの被覆装置。
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