JP2007071032A - 回転機械の部品及び回転機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリカ、酸化鉄その他の微粒子を含む気体を取り扱う回転機械において、気体中に含まれる微粒子の付着を効果的に抑制すること。
【解決手段】この動翼23は、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12と、この表面に成膜される第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14とを含む。第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12は、第1めっきマトリックス13Mによって第1フッ素樹脂粒子13Pを含有し、かつ第1フッ素樹脂粒子13Pの一部は、第1めっきマトリックス13Mの表面から露出する。第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14は、前記第1フッ素樹脂粒子13Pよりも直径が小さい第2フッ素樹脂粒子14Pが、第2めっきマトリックス13Mに含有され、かつ第2フッ素樹脂粒子14P及び前記第1フッ素樹脂粒子13Pの一部は、前記第2めっきマトリックス14Mの表面から露出する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、蒸気タービン、圧縮機等の回転機械に関し、さらに詳しくは、微粒子を含む気体が動翼や静翼等の部品に接触した場合に、微粒子の付着を抑制できる回転機械の部品及び回転機械に関する。
蒸気タービンは、作動流体である蒸気がタービンの動翼に噴射されて駆動される。蒸気タービンが備える動翼や静翼等の部品は、直接蒸気と接触する。また、化学プラント等で各種のガスを圧縮する圧縮機は、外部から動力を与えられてインペラが回転し、前記ガスを圧縮する。このような圧縮機では、インペラやデフューザー等の部品が直接ガスに接触する。
蒸気タービンの作動流体である蒸気や、圧縮機の圧縮対象気体である各種ガスには、これらに含まれる微粒子状のシリカ、酸化鉄、あるいはハイドロカーボン等の微粒子が含まれている。前記動翼やインペラ等は、直接蒸気や各種ガスに接触するので、前記微粒子が動翼やインペラ等に付着して、効率が低下するという問題があった。この対策として、フッ素樹脂を含有する有機塗料を最上層に備える3層皮膜を、蒸気タービンの動翼や圧縮機のインペラ等の表面に形成する技術が知られている(例えば非特許文献1)。
PERFORMANCE MAINTENANCE OF CENTRIFUGAL COMPRESSORS THROUGHTHE USE OF COATINGS TO REDUCE HYDROVARBON FOULING BY RONALD CHOW NOVACOR CHEMICALS, BRUCE McMORDIE SERMATECH INTERNATIONAL, RICHARD WIEGAND ELLIOTT COMPANY
しかしながら、非特許文献1に開示された技術では、シリカ、酸化鉄等の微粒子の付着を抑制するという点で不十分であり、改善の余地がある。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シリカ、酸化鉄その他の微粒子を含む気体を取り扱う回転機械において、気体中に含まれる微粒子の付着を効果的に抑制できる回転機械の部品及び回転機械を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る回転機械の部品は、微粒子を含む気体を取り扱う回転体に用いられ、かつ微粒子を含む気体が接触する構造体であって、第1のフッ素樹脂粒子が第1のめっきマトリックスに含有され、かつ前記第1のフッ素樹脂粒子の一部は、前記第1のめっきマトリックスの表面から露出する第1フッ素樹脂含有めっき皮膜と、前記第1フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に形成され、かつ前記第1のフッ素樹脂粒子よりも直径が小さい第2のフッ素樹脂粒子が第2のめっきマトリックスに含有され、かつ前記第2のフッ素樹脂粒子及び前記第1のフッ素樹脂粒子の一部は、前記第2のめっきマトリックスの表面から露出する第2フッ素樹脂含有めっき皮膜と、を含むめっき皮膜が表面に設けられることを特徴とする。
この回転機械の部品は、蒸気タービンや圧縮機等の回転機械に用いられる、動翼や静翼等の部品である。そして、第1のフッ素樹脂粒子を含む第1のフッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に、第1のフッ素樹脂粒子よりも直径の小さい第2のフッ素樹脂粒子を含む第2のフッ素樹脂含有めっき皮膜が形成される。これによって、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に露出した第1のフッ素樹脂粒子の間に、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜が優先的に析出する。その結果、めっき皮膜の表面における、第1及び第2のフッ素樹脂粒子による表面占有率を容易に大きくすることができる。そして、シリカや酸化鉄等の微粒子を含む気体が接触しても、フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面から露出したフッ素樹脂粒子によって、前記微粒子の付着を効果的に抑制できる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記めっき皮膜は、前記第1のフッ素樹脂含有めっき皮膜と前記構造体の表面との間に設けられる、金属の中間めっき皮膜を備えることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用・効果を奏する。さらにこの回転機会では、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜を、回転機械の部品の表面に成膜された金属の中間めっき皮膜の表面に成膜する。これによって、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜と回転機械の部品の基材との密着性を向上させて、回転体の表面に形成されるめっき皮膜の割れに対する耐性(耐割れ性)を向上させることができる。その結果、回転体の表面に形成されるめっき皮膜の脱落を抑制できる。また、回転機械の部品の表面に形成されるめっき皮膜の割れを起点として、回転機械の部品を構成する基材の疲労強度が低下するが、この回転機械の部品では回転体の表面に形成されるめっき皮膜の耐割れ性が向上するので、回転機械の部品を構成する基材の疲労強度低下も抑制できる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記中間めっき皮膜は、電気めっきにより成膜されることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用、効果を奏する。さらに、この回転機械の部品では、中間めっき皮膜を電気めっきにより成膜する。これによって、フッ素樹脂含有めっき皮膜の耐割れ性をさらに向上させることができる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記中間めっき皮膜は、Niであることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用、効果を奏する。さらに、この回転機械の部品では、中間めっき皮膜をNiとする。これによって、フッ素樹脂含有めっき皮膜と回転機械の部品の基材との密着性をさらに向上させて、フッ素樹脂含有めっき皮膜の耐割れ性をさらに向上させることができる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記回転機械の部品の表面には、前記めっき皮膜が形成される部分の疲労強度を向上させる表面改質処理が施されることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用、効果を奏する。さらに、この回転機械の部品では、回転機械の部品の表面に、前記中間めっき層あるいはフッ素樹脂含有めっき皮膜が形成される部分の疲労強度を向上させる表面改質処理が施される。一般に、めっきを施した基材は疲労強度が低下するが、この回転機械の部品は、めっき皮膜を成膜する前に、予め基材の疲労強度を向上させるので、めっき皮膜を成膜することによって疲労強度が低下しても、その影響を最小限に抑えることができる。ここで、表面改質処理には、例えば窒化処理やショットピーニング処理がある。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記第1のフッ素樹脂粒子の直径は1μm以上20μm以下であることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用、効果を奏する。さらに、この回転機械の部品では、第1のフッ素樹脂粒子の直径を1μm以上20μm以下とする。かかる範囲であれば、第1フッ素樹脂粒子の間に、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜を効果的に優先析出させることができる。また、めっき液中において、第1のフッ素樹脂粒子の均一分散性を長時間にわたって維持できるので、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜に第1フッ素樹脂粒子を均一に分布させることができる。これによって、第1及び第2フッ素樹脂粒子の偏在を抑制できる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記第1のフッ素樹脂粒子又は前記第2のフッ素樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビリニデンフルオライド(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の少なくとも1種類であることを特徴とする。この発明において、フッ素樹脂含有めっき皮膜を構成する前記フッ素樹脂粒子には、これらの材料を用いることができる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビリニデンフルオライド(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の少なくとも1種類からなるフッ素樹脂皮膜が形成されることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用、効果を奏する。さらに、この回転機械の部品では、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に、フッ素樹脂からなるフッ素樹脂皮膜が形成される。これによって、シリカや酸化鉄等の微粒子の付着を、さらに効果的に抑制できる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記第1のめっきマトリックス及び前記第2のめっきマトリックスは、Ni又はNi基の金属であることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用、効果を奏する。さらに、この回転機械の部品では、第1及び第2のめっきマトリックスに、Ni又はNi基の金属を用いる。これにより、耐腐食性を向上させることができる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、平面視において、前記第1のフッ素樹脂粒子及び前記第2のフッ素樹脂粒子の露出した部分が、前記第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面を占める面積の割合が10%以上であることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用、効果を奏する。さらに、この回転機械の部品では、平面視において、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の全面積に対して、第1及び第2のフッ素樹脂粒子が前記第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面から露出した部分が占める面積の割合が10%以上とする。これにより、シリカや酸化鉄等の微粒子の付着を、効果的に抑制できる。
次の本発明に係る回転機械の部品は、前記回転機械の部品において、前記第1フッ素樹脂粒子含有めっき皮膜又は前記第2フッ素樹脂粒子含有めっき皮膜のうち少なくとも一方は、無電解めっきにより成膜されることを特徴とする。
この回転機械の部品は、前記回転機械の部品と同様の構成を備えるので、前記回転機械の部品と同様の作用、効果を奏する。さらに、この回転機械の部品では、第1又は第2フッ素樹脂粒子含有めっき皮膜のうち少なくとも一方を、無電解めっきにより成膜する。これによって、回転機械の部品が複雑な3次元形状であっても、均一にフッ素樹脂粒子含有めっき皮膜を形成できる。
次の本発明に係る回転機械は、前記回転機械の部品を、微粒子を含む気体が接触する回転部分に備えることを特徴とする。
この回転機械は、前記回転機械の部品を備えるので、シリカ、酸化鉄その他の微粒子を含む気体を取り扱う回転機械において、気体中に含まれる微粒子の付着を効果的に抑制できる。
以上説明したように、この発明に係る回転機械の部品及び回転機械は、シリカ、酸化鉄その他の微粒子を含む気体を取り扱う回転機械において、気体中に含まれる微粒子の付着を効果的に抑制できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、本発明は、蒸気タービンや圧縮機等の回転機械であって、シリカ等の微粒子を含む気体を取り扱うものにおいて、前記気体が接触する前記回転機械の部品に対して好ましく適用できる。すなわち、前記気体が接触するものであれば、運動する部品、回転する部品、静止している部品を問わず、本発明は適用できる。以下においては、回転機械の回転部品(例えば動翼やローター)を例として説明するが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。
この実施例に係るめっき皮膜で被覆した回転機械の部品は、フッ素樹脂粒子をめっきマトリックスに含有させた第1フッ素樹脂含有めっき皮膜と、この第1フッ素樹脂含有めっき皮膜上に形成され、かつ前記第1フッ素樹脂ファン有めっき皮膜に含有されるフッ素樹脂粒子よりも直径の小さいフッ素樹脂粒子を含有する第2フッ素樹脂含有めっき皮膜と、が表面に形成される点に特徴がある。
図1は、この実施例に係るフッ素樹脂粒子含有めっき皮膜で表面を被覆した動翼を備える蒸気タービンのタービン室周辺を示す断面図である。この実施例に係る回転機械である蒸気タービン20は、蒸気入口弁21で開閉制御される蒸気供給管25から供給される蒸気の蒸気圧力を、回転動力に変換するものである。回転動力は、減速機を介して発電機等に使用される。回転動力を取り出すためのローター軸22には、タービンディスク26が複数取り付けられる。タービンディスク26の外周には、複数の動翼23が一列に取り付けられて動翼列を形成する。動翼23は、上記蒸気供給管25から供給される蒸気を受けてローター軸22を回転させる。
動翼23間には、複数のノズルベーンを備えるノズル仕切り板24が配置され、ノズルベーンを蒸気が通過する際に、当該蒸気を整流して動翼23に効率よく当てる。図1に示すように、蒸気タービン20が複数の動翼列を備える場合は、ノズルベーンも複数枚設けられる。この場合、各ノズル仕切り板24が個々に有するノズルベーンの枚数、大きさは異なることが多いが、どれも同様の構成である。
図2は、この実施例に係るフッ素樹脂粒子含有めっき皮膜で表面を被覆した、蒸気タービンの動翼を示す斜視図である。図3は、図2のA−A断面図である。回転機械である蒸気タービン20の部品である動翼23は、ベース23Bに翼23Wが取り付けられている。また、ベース23Bの翼23Wとは反対側に、翼固定部23Tが設けられる。翼固定部23Tは、タービンディスク26の外周部に形成される、翼固定部23Tと同形状の翼取り付け溝にはめ込まれて、タービンディスク26に取り付けられる。
蒸気タービン20が備える動翼23は、高温、高圧の蒸気が動翼23へ噴射されて、タービンディスク26とともに回転する。このため、動翼23には、大きな遠心加速度が作用するとともに、高温にさらされる。したがって、動翼23は、高強度、かつ耐熱性を有する材料で製造される。この実施例において、動翼23は、マルテンサイト系のステンレス鋼で製造される。
蒸気タービン20において、動翼23の表面23Sやノズルベーンの表面には、蒸気に含まれるSiO2や酸化鉄(Fe34)等の微粒子が付着する。また、圧縮機のような回転機械でも、圧縮対象のガスに含まれるハイドロカーボン(HC)やシリカ等の微粒子等が、ガスの接触する部品の表面に付着する。そして、長期間の運転により、前記微粒子が動翼23の表面23Sやノズルベーンの表面等に体積して、蒸気タービンの熱効率や、圧縮機の圧縮効率を低下させてしまう。
かかる問題を解決するため、この実施例においては、動翼23の表面23Sに、フッ素樹脂の粒子を含有するめっき皮膜で被覆する。これによって、蒸気中の微粒子が、動翼23の表面23Sに付着することを抑制する。次に、この実施例に係るめっき皮膜について説明する。
図4は、この実施例に係る動翼の表面を示す模式図である。この図は、この実施例に係る動翼23の表面23Sを拡大して(図3のBで囲んだ部分)、これを模式的に表したものである。この実施例に係る動翼23は、回転機械である蒸気タービン20の部品であって、微粒子を含む気体を取り扱う回転体に用いられ、かつ微粒子を含む気体が接触する構造体である。そして、動翼23は、基材(この実施例ではマルテンサイト系ステンレス鋼)1の表面に、めっき皮膜10が成膜されている。このめっき皮膜10は、動翼23の基材1の上に成膜される、フッ素樹脂粒子を含有しない中間めっき皮膜11と、この中間めっき皮膜11の上に成膜される第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12と、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12上に成膜される第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14とで構成される。
第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12は、第1のフッ素樹脂粒子(以下第1フッ素樹脂粒子)13Pが第1のめっきマトリックス(以下第1めっきマトリックス)13Mで包含される。第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12は、図4に示すように、表面に第1フッ素樹脂粒子13Pの一部が露出している。第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14は、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12と同様に、第2のフッ素樹脂粒子(以下第2フッ素樹脂粒子)14Pが第2のめっきマトリックス(以下第2めっきマトリックス)14Mで包含される。そして、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14は、図4に示すように、表面に第2フッ素樹脂粒子14Pの一部が露出している。ここで、第2フッ素樹脂粒子14Pの直径D2は、第1フッ素樹脂粒子13Pの直径D1よりも小さい。
これによって、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の表面に露出した第1フッ素樹脂粒子13Pの間に、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14が優先的に析出する。その結果、第1フッ素樹脂粒子13Pの間を、第2フッ素樹脂粒子14Pで埋めることができる。このとき、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14の表面には、第1フッ素樹脂粒子13P及び第2フッ素樹脂粒子14Pの両方が露出することになる。これによって、めっき皮膜10の表面において、第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pが占める割合を容易に大きくすることができる。その結果、動翼23の表面23Sに付着する、蒸気に含まれるSiO2や酸化鉄(Fe34)等の微粒子の量を効果的に低減できる。
第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12に含まれる第1フッ素樹脂粒子13Pの直径D1は、1μm以上20μm以下が好ましく、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14に含まれる第2フッ素樹脂粒子14Pの直径D2は、1μm未満が好ましい。第2フッ素樹脂粒子14Pの直径D2は、1μm未満であって可能な限り小さいことが好ましいが、めっき液中への分散や生産性を考慮して、0.1μm以上であることが好ましい。また、第1フッ素樹脂粒子13Pの直径D1と、第2フッ素樹脂粒子14Pの直径D2との比D1/D2は、2.5以上25以下が好ましい。
第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12に含まれる第1フッ素樹脂粒子13Pは、めっき後において、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の表面からある程度露出する必要がある。このため、第1フッ素樹脂粒子13Pの直径D1を上記のように設定する。第1フッ素樹脂粒子13Pの直径D1が1μm未満の場合、第1フッ素樹脂粒子13Pの露出量が小さく、その上に成膜される第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14の優先析出が低下してしまう。その結果、めっき皮膜10の表面におけるフッ素樹脂粒子の表面占有率が低下してしまい、気体に含まれる粒子の付着抑制効果が十分に発揮されなくなってしまう。一方、第1フッ素樹脂粒子13Pの直径D1が20μmを越えると、めっき液中での均一分散性を長時間にわたって維持することが困難となり、得られる第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の第1フッ素樹脂粒子13Pが不均一となる。その結果、気体に含まれる粒子の付着抑制効果が十分に発揮されなくなってしまう。また、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の皮膜厚さは、第1フッ素樹脂粒子13Pの直径D1よりも小さくすることが好ましい。このようにすれば、第1フッ素樹脂粒子13Pの一部が、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の表面からより確実に露出するようになる。
ここで、第1及び第2フッ素樹脂粒子13Pの直径D1、D2は、例えば、第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pを分級する際に用いるメッシュの粗さにより規定する。すなわち、メッシュが正方形である場合、前記メッシュの1辺の長さが第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pの直径に相当する。また、第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pの直径は、平均値である。
この実施例において、第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜12、14のめっきマトリックス13M、14Mは、Ni基の金属であり、例えば、Ni‐PやNi‐Bが用いられる。この実施例においては、Ni‐Pが用いられる。Ni基の金属をめっきマトリックスとして選択することにより、成膜した第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜12、14に耐食性を付与することができる。また、第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜12、14を成膜するために用いるめっき液は、P濃度が5〜15%のNi‐P無電解めっき液、B濃度が1〜10%の無電解めっき液を用いることができる。
この実施例においては、フッ素樹脂粒子を含有しない中間めっき皮膜11を設けることにより、基材1とフッ素樹脂含有めっき皮膜との密着性を向上させる。ここで、フッ素樹脂粒子を含有しない中間めっき皮膜11は、フッ素樹脂含有めっき皮膜12のめっきマトリックス13Mと同様にNi基の金属であり、例えば、Ni‐PやNi‐Bが用いられる。また、中間めっき皮膜11は、Niめっきとしてもよい。
図5は、この実施例に係るめっき皮膜を生成する手順を示すフローチャートである。まず、被めっき部材である動翼23の表面に、電解めっきによって中間めっき皮膜11を成膜する(ステップS101)。中間めっき皮膜11は、電気Niめっき液を用いて、ワット浴等の電気めっきにより作製することが好ましい。これにより、めっき皮膜10(図4)の耐割れ性が向上する。
特に、蒸気タービン20の動翼23ような、回転機械の回転部品においては強度が要求されるが、電気めっきを用いて中間めっき皮膜11をNiで成膜すると、めっき皮膜10の耐割れ性を向上させることができるので好ましい。また、中間めっき皮膜11は、Niで成膜した方が、Ni‐Pで成膜するよりも、フッ素樹脂含有めっき皮膜12の密着性が向上するので、好ましい。このように、中間めっき皮膜11を設けると、めっき皮膜10の耐割れ性を向上させることができるので、特に大きな加速度が作用する動翼やローター等に、本発明は好ましく適用できる。
なお、中間めっき皮膜11は、Ni‐P等の無電解めっき液を用いた無電解めっき(例えば、次に説明する周期律表の第8属金属の自己触媒作用を利用する方法)により作製してもよい。このようにすれば、3次元形状に対しても、均一に中間めっき皮膜11を形成できる。また、この実施例において、中間めっき皮膜11の厚さは特に限定されるものではないが、0.5μm〜10μm程度が適当である。
次に、中間めっき皮膜11上に第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜する。第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12は、めっき液中に第1フッ素樹脂粒子13Pを添加し、このめっき液を用いて動翼23に無電解めっきすることにより作製する。この無電解めっきは、例えば、次に説明する、周期律表の第8属金属(Ni)の自己触媒作用を利用する方法が用いられる。まず、Niの中間めっき皮膜11を成膜した動翼23の表面を、アルカリ脱脂する(ステップS102)。次に、動翼23の表面を酸洗いして、その後、電解洗浄する(ステップS103)。酸洗い、及び電解洗浄は、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜する中間めっき皮膜11の表面を活性化させるために行われる。
次に、動翼23の表面に成膜された中間めっき皮膜11上に、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜する(ステップS104)。このめっきにおいては、めっき液中の次亜燐酸陰イオンが、周期律表の第8族金属(この実施例では中間めっき皮膜11であり、Ni)にある特定条件で接触すると、その金属が触媒となって、式(1)のように脱水素分解を起こさせる。なお、このメッキ液中には、直径が1μm以上20μm以下に調整された第1フッ素樹脂粒子13Pが添加されている。
[H2PO2-+H2O→H[HPO3-+2H・・・(1)
式(1)に示す反応によって生成した水素原子は、触媒金属(この実施例では中間めっき皮膜11)表面に吸着されて、いわゆるCondensed Layerとなって活性化し、これがめっき液中のNi陽イオンに接触すると、式(2)に示す反応によって、Niを金属に還元して触媒金属(この実施例では中間めっき皮膜11)表面に析出させる。
Ni+++2H→NiO+2H+・・・(2)
また触媒金属表面の活性化した水素原子は、めっき液中の次亜燐酸陰イオンと反応して、次亜燐酸陰イオンの含有するPを還元してNiと合金を作る。これによって析出したニッケルが触媒となって、式(1)、式(2)で示した反応と同様なニッケルの還元めっき反応が継続して進行する。すなわちニッケルの自己触媒作用によりめっきが継続進行する。めっき液中のNiが上記反応によって析出する過程で、めっき液中に添加されている第1フッ素樹脂粒子13Pは中間めっき皮膜11上に付着し、析出したNiによって保持される。
この実施例では、周期律表の第8属金属の自己触媒作用を利用する方法によって第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜するが、電気めっきによって第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜してもよい。なお、周期律表の第8属金属の自己触媒作用を利用する方法によって第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜すると、3次元形状に対しても、均一に第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を形成できる。また、この実施例において、フッ素樹脂含有めっき皮膜12の厚さは特に限定されるものではないが、1μm以上50μm以下程度が適当である。
次に、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12上に、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14を成膜する。第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14は、めっき液中に第2フッ素樹脂粒子14Pを添加し、このめっき液を用いて第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12上に無電解めっきすることにより作製する。この無電解めっきは、例えば、上述した、周期律表の第8属金属(Ni)の自己触媒作用を利用する方法を用いる。まず、めっきマトリックス13MがNi‐Pの第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の表面を、アルカリ脱脂する(ステップS105)。次に、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の表面を酸洗いして、その後、電解洗浄する(ステップS106)。酸洗い、及び電解洗浄は、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14を成膜する第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の表面を活性化させるために行われる。
次に、動翼23の表面に成膜された第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12上に、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14を成膜する(ステップS107)。この実施例では、上述した周期律表の第8属金属(この実施例では第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12であり、Ni‐P合金)の自己触媒作用を利用する方法を用いる。このNi‐Pめっき液中には、直径が1μm未満に調整された第2フッ素樹脂粒子14Pが添加されている。Niの自己触媒作用によりめっきが継続進行する過程で、めっき液中のNiが析出する。その過程で、めっき液中に添加されている第2フッ素樹脂粒子14Pは第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12上に付着し、析出したNiによって保持される。
この実施例では、周期律表の第8属金属の自己触媒作用を利用する方法によって第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14を成膜するが、電気めっきによって第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14を成膜してもよい。なお、周期律表の第8属金属の自己触媒作用を利用する方法によって第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14を成膜すると、3次元形状に対しても、均一に第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を形成できる。
上記手順によって、被めっき部材である動翼23に、中間めっき皮膜11及びフッ素樹脂含有めっき皮膜12を備えるめっき皮膜10が成膜される。なお、めっき皮膜10を成膜したら(ステップS107)、めっき皮膜10を成膜した動翼23を、300℃〜350℃に所定時間保持する熱処理を施す(ステップS108)。この熱処理により、第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜12、14中のフッ素樹脂分を軟化・固着させる。これによって、第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pの脱落が抑制でき、粒子の付着性抑制効果が長期にわたって維持できる。
このように、フッ素樹脂含有するめっき皮膜10を蒸気と接する動翼23の表面23Sに設けることにより、前記表面23Sに付着する、蒸気に含まれるSiO2や酸化鉄(Fe34)等の微粒子の量を低減できる。
ここで、平面視において、第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pの露出部分が、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14の表面を占有する割合(表面占有率)は、10%以上とすることが好ましい。表面占有率が10%よりも小さいと、動翼23の表面23Sに付着する、蒸気に含まれるSiO2や酸化鉄(Fe34)等の微粒子の量が多くなるが、前記範囲であれば、前記微粒子の付着量を効果的に低減できる。前記微粒子の付着量を低減させる観点から、表面占有率は、20%以上とすることがより好ましい。サブミクロンオーダーのフッ素樹脂粒子を含むめっき液を用いる場合、表面占有率は最大で20%程度である。しかし、上述した、この実施例に係るめっき皮膜10の構成によれば、第1フッ素樹脂粒子13Pの間に、第2フッ素樹脂粒子14Pを含む第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14が析出するので、表面占有率を40%以上まで容易に引き上げることができる。
上述したように、前記微粒子の付着量を低減させる観点からは、表面占有率はできるだけ大きい方がよい。しかし、表面占有率が大きくなりすぎると、めっきマトリックス13M、14Mによる第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pの保持能力が低下して、第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pが脱落するおそれがある。かかる観点から、表面占有率は60%以下とすることが好ましい。このようにすれば、第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pを、第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜12、14のめっきマトリックス13M、14Mで確実に保持できる。
第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビリニデンフルオライド(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)のうち少なくとも1種類を含んで構成される。
(変形例1)
図6は、この実施例の第1変形例に係る動翼の表面を示す模式図である。この変形例は、上記実施例と略同様の構成であるが、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に、さらにフッ素樹脂の皮膜を設ける点が異なる。他の構成は上記実施例と同様なので、説明を省略する。なお、上記実施例の構成は、適宜この変形例に適用できる。
この動翼23aが備えるめっき皮膜10aは、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14の表面に、さらにフッ素樹脂皮膜15が形成される。このフッ素樹脂皮膜15は、直径がサブミクロンオーダーのフッ素樹脂からなる。フッ素樹脂皮膜15は、直径がサブミクロンオーダーのフッ素樹脂を界面活性剤で分散させた塗工液を、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜14の表面に塗布することにより形成される。これにより、めっき皮膜10aにおけるフッ素樹脂の表面占有率をさらに向上させることができるので、蒸気や圧縮対象の気体に含まれるSiO2等の微粒子の付着をより効果的に抑制できる。ここで、フッ素樹脂皮膜15を構成するフッ素樹脂は、前記第1あるいは第2フッ素樹脂粒子13P、14Pと同じ材料を用いることができる。
(変形例2)
図7−1、図7−2は、この実施例の第2変形例に係る動翼の表面を示す模式図である。この変形例は、上記実施例と略同様の構成であるが、めっき皮膜を成膜する動翼の表面に、疲労強度を向上させる表面改質処理を施した点が異なる。他の構成は上記実施例と同様なので、説明を省略する。なお、上記実施例の構成は、適宜この変形例に適用できる。
中間めっき皮膜11、第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜12、14により構成されるめっき皮膜10を成膜した動翼は、めっき皮膜10の成膜過程で基材の疲労強度が低下する。図7−1に示すように、蒸気中に含まれる粒子の衝突によりめっき皮膜10が割れ、めっき皮膜10にはクラック3が生ずることがある。クラック3が基材1aまで到達した場合、クラック3の先端部3tが接する基材1aの部分に大きな応力が作用する。この部分が破壊の起点となって、基材1aの疲労を進行させてしまう。
図7−1、図7−2に示す動翼23b、23cは、基材1b、1cの疲労強度を向上させるため、基材1b、1cの表面に中間めっき皮膜11を形成する前に、基材1b(動翼23b)等の表面に、予め疲労強度を向上させる表面改質処理を施す。図7−1に示す動翼23bでは、基材1bの表面に窒化処理を施すことにより、窒化層2を形成する。これによって、基材1bの疲労強度を予め向上させる。そして、窒化層2の上に、中間めっき皮膜11、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14の順に成膜して、めっき皮膜10を形成する。
また、図7−2に示す動翼23cでは、基材1cの表面にショットピーニング加工を施す。これによって、基材1cの疲労強度を予め向上させる。そして、ショットピーニング加工した基材1cの表面に、中間めっき皮膜11、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14の順に成膜して、めっき皮膜10を形成する。このように、動翼を構成する基材の表面に中間めっき皮膜を形成する前に、基材の表面に、予め疲労強度を向上させる表面改質処理を施すので、めっき皮膜に生じたクラックが基材1b、1cまで到達した場合であっても、基材の疲労進行を抑制できる。また、窒化は基材の耐食性がやや低下するが、ショットピーニングによれば、窒化と比較して、基材1bの耐食性低下は少ないという利点もある。
このように、基材に疲労強度を改善するための表面改質を施すと、めっきによる基材の疲労強度低下の影響を抑制できるので、特に疲労強度の要求される蒸気タービンの動翼やローター等に本発明は好ましく適用できる。この変形例では、基材の疲労強度を向上させる表面改質処理として、窒化及びショットピーニングを説明したが、基材の疲労強度を向上させる表面改質処理として、例えば浸炭や表面焼入れ等を適用してもよい。なお、窒化やショットピーニングを用いると、基材1a、1bと、中間めっき皮膜11やフッ素樹脂含有めっき皮膜12との密着性を向上できるので好ましい。
(変形例3)
図8、図9は、この実施例の第3変形例に係る動翼の表面を示す模式図である。この変形例は、上記実施例と略同様の構成であるが、基材の上に中間皮膜を介在させずに、直接フッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜した点が異なる。他の構成は上記実施例と同様なので、説明を省略する。なお、上記実施例及びその変形例の構成は、適宜この変形例に適用できる。
図8に示す動翼23dが備えるめっき皮膜10dは、基材1の表面に、直接第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜し、その表面に第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14を成膜して構成される。このようにしても、めっき皮膜10dの表面に露出する第1及び第2フッ素樹脂粒子13P、14Pによって、蒸気や圧縮対象の気体に含まれるSiO2等の微粒子の付着をより効果的に抑制できる。第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を、周期律表の第8属金属の自己触媒作用を利用する方法により作製する場合、基材1の表面をアルカリ脱脂し、その後、基材1の表面1Sを酸洗い、電解洗浄することによって活性化させる。その後、前記方法により第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜する。なお、フッ素樹脂含有めっき皮膜12は、ワット浴等の電気めっきによっても成膜することができる。
図9に示す動翼23eが備えるめっき皮膜10eは、基材1の表面に、直接第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12を成膜する。そして、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜12の表面に第2フッ素樹脂含有めっき皮膜14を成膜する。さらに第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に、上記変形例1で説明した、サブミクロンオーダーのフッ素樹脂からなるフッ素樹脂皮膜15が形成される。これにより、めっき皮膜10eにおけるフッ素樹脂の面積占有率をさらに向上させることができるので、蒸気や圧縮対象の気体に含まれるSiO2等の微粒子の付着をより効果的に抑制できる。
(評価例)
本発明に係るめっき皮膜を成膜した試験片を作製し、粒子付着を評価した。本発明に係る第1、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜するにあたり、フッ素樹脂粒子として、PTFE及びPFAを使用し、マトリックスの材料としてNi‐P、Ni‐B、Niを用いたフッ素樹脂含有めっき皮膜を、基材(SUS410J1)上に成膜した試験片を作製した。それぞれのフッ素樹脂含有めっき皮膜は、Ni‐Pの無電解めっき、Ni‐Bの無電解めっき、Niの電解めっきにより成膜した。また、基材の上に、フッ素樹脂を含有しない中間めっき皮膜を成膜して、その表面にフッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜した試験片も作製した。さらに、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面にフッ素樹脂皮膜を成膜しためっき皮膜も作製した。いずれの試験片が備えるフッ素樹脂含有めっき皮膜においても、フッ素樹脂粒子表面占有率は10%以上とした。なお、フッ素樹脂粒子表面占有率は、フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面拡大写真から求めた。
比較例として、フッ素樹脂含有めっき層のフッ素樹脂粒子の直径が0.5μmの試験片を作製した。また、従来例としてフッ素樹脂含有有機塗料を前記ステンレス鋼の基材にコーティングした試験片、及び前記ステンレス鋼の基材のみ(いずれのめっき皮膜なし)の試験片を作製した。そして、作製した試験片を用いて、それぞれのめっき皮膜の粒子付着を評価した。本発明に係るフッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜した試験片、及び比較例に係る試験片皮膜構成、及び評価結果を表1に示す。
Figure 2007071032
(めっき皮膜の成膜方法)
表1中のNo.1〜No.4の試験片は、次の手順によりめっき皮膜が成膜された。
(1)20mm×20mm×5mmのSUS410J1基材上に、本発明に係る第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜した。
(2)第1フッ素樹脂含有めっき皮膜は、日本カニゼン(株)製カニフロン(登録商標)液をベースとした中リンタイプの無電解Ni‐Pめっき液を使用し、その中にPTFE,PFAの弗素粒子を界面活性剤により均一に分散させた。この場合のフッ素樹脂粒子径は1〜20μmである。皮膜の厚さは、粒子径に応じて次に示すように変化させた。なお、めっき温度は90℃とした。
(a)粒子径が1μmの場合、皮膜の厚さは2μm
(b)粒子径が8μmの場合、皮膜の厚さは5μm
(c)粒子径が20μmの場合、皮膜の厚さは15μm
(3)第2フッ素樹脂含有めっき皮膜は、日本カニゼン(株)製カニフロン(登録商標)液をベースとした中リンタイプの無電解Ni-Pめっき液を使用し、その中にPTFE,PFAのフッ素樹脂粒子を界面活性剤により均一に分散させた。フッ素樹脂粒子径は0.3μmである。皮膜の厚さは10μmとした。なお、めっき温度は90℃とした。
(4)上記めっき後、いずれの試験片も350℃で1時間熱処理を施した。
表1中のNo.5、No.6の試験片は、次の手順によりめっき皮膜が成膜された。
(1)20mm×20mm×5mmのSUS410J1基材上に、本発明に係る中間めっき皮膜、第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜した。
(2)中間めっき皮膜(フッ素樹脂粒子を含有しないめっき皮膜)は、めっき液に中リンタイプの無電解Ni-Pめっき液及びワット浴用の電気めっき液を使用し、無電解めっきの場合は温度90℃で、電気めっきの場合は温度50℃、かつ電流密度5A/dm2で、皮膜厚さ5μmにめっきした。
(3)第1フッ素樹脂含有めっき皮膜は、中リンタイプの無電解Ni‐Pめっき液を使用し、その中にPTFE、PFAの弗素粒子を界面活性剤により均一に分散させた。この場合のフッ素樹脂粒子径は8μmである。皮膜の厚さは5μmとした。
(4)第2フッ素樹脂含有めっき皮膜は、中リンタイプの無電解Ni-Pめっき液を使用し、その中にPTFE,PFAのフッ素樹脂粒子を界面活性剤により均一に分散させた。この場合のフッ素樹脂粒子径は0.3μmである。皮膜の厚さは10μmとした。なお、めっき温度は90℃とした。
(5)上記めっき後、いずれの試験片も350℃で1時間熱処理を施した。
表1中のNo.7、No.8の試験片は、次の手順によりめっき皮膜が成膜された。
(1)20mm×20mm×5mmのSUS410J1基材上に、本発明に係る中間めっき皮膜、第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜、並びにフッ素樹脂皮膜を成膜した。
(2)第1フッ素樹脂含有めっき皮膜は、めっき液に中リンタイプの無電解Ni-Pめっき液及びワット浴用の電気めっき液を使用し、めっき液中にPTFEのフッ素樹脂粒子を界面活性剤により均一に分散させた。無電解めっきの場合は温度90℃で、電気めっきの場合は温度50℃、かつ電流密度5A/dm2で、皮膜厚さ5μmにめっきした。なお、フッ素樹脂粒子径は8μmである。
(3)第2フッ素樹脂含有めっき皮膜は、中リンタイプの無電解Ni‐Pめっき液を使用し、その中にPTFE,PFAの弗素粒子を界面活性剤により均一に分散させた。この場合のフッ素樹脂粒子径は8μmである。皮膜の厚さは5μmとした。
(4)第2フッ素樹脂含有めっき皮膜は、中リンタイプの無電解Ni-Pめっき液を使用し、その中にPTFE,PFAのフッ素樹脂粒子を界面活性剤により均一に分散させた。無電解めっきの場合は温度90℃で、電気めっきの場合は温度50℃、かつ電流密度5A/dm2で、皮膜厚さ10μmにめっきした。なお、フッ素樹脂粒子径は0.3μmである。
(5)フッ素樹脂皮膜は、直径0.3μmのPTFEを界面活性剤によりイオン交換水中に均一分散し(例えば、日本カニゼン(株)カニフロン(登録商標)用フッ素粒子分散液を使用)、前記手順によって第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜した試験片をその中に浸漬し、引き上げ成膜した。
(6)上記めっき後、いずれの試験片も350℃で1時間熱処理を施した。
表1中のNo.9、No.10の試験片は、次の手順によりめっき皮膜が成膜された。
(1)20mm×20mm×5mmのSUS410J1基材上に、本発明に係る中間めっき皮膜、第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜、並びにフッ素樹脂皮膜を成膜した。
(2)中間めっき皮膜(フッ素樹脂粒子を含有しないめっき皮膜)は、めっき液に中リンタイプの無電解Ni-Pめっき液を使用し、温度90℃で皮膜厚さ5μmにめっきした。
(3)第1フッ素樹脂含有めっき皮膜は、めっき液に中リンタイプの無電解Ni-Pめっき液を使用し、めっき液中にPTFEのフッ素樹脂粒子を界面活性剤により均一に分散させた。そして、温度90℃で、皮膜厚さ5μmにめっきした。フッ素樹脂粒子径は8μmである。
(4)第2フッ素樹脂含有めっき皮膜は、中リンタイプの無電解Ni‐Pめっき液を使用し、その中にPTFE,PFAの弗素粒子を界面活性剤により均一に分散させた。無電解めっきは温度90℃で、皮膜厚さ10μmにめっきした。なお、フッ素樹脂粒子径は0.3μmである。
(5)フッ素樹脂皮膜は、直径0.3μmのPTFEを界面活性剤によりイオン交換水中に均一分散し、前記手順によって第1及び第2フッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜した試験片をその中に浸漬し、引き上げ成膜した。
(6)上記めっき後、いずれの試験片も350℃で1時間熱処理を施した。
(粒子付着評価試験方法)
図10は、粒子付着評価試験に用いる試験装置を示す装置構成図である。この試験装置30は、上記手順によって作製した試験片36を、ドラム31に嵌め込んで、粒子付着評価試験に供する。粒子付着評価試験は、ドラム31を回転させながら、窒素(N2)ガスにより搬送されたシリカ(SiO2)の超微粒子を試験片36の表面に吹き付け、付着させる試験である。窒素ガスは、ノズル33を通って噴射され、シリカ粒子は、粒子供給装置32からノズル33の出口近傍に供給される。ドラム31の下方には、水タンク34が設置されている。水タンク34内の水は、100℃で沸騰させられており、前記試験片36に水分が供給される。また、試験片36はドラム31の内側に設置したヒーター35により加熱される。
(試験条件)
ドラム31の回転数は10rpmとし、試験片36も、ドラム31と同じ回転数で回転する。シリカ粒子は、日本アエロジル製のフュームドシリカ(グレード50)を用いた。試験片36の加熱温度は80℃とした。また、シリカ粒子の衝突速度は300m/sec.とし、試験時間は80時間とした。
(評価方法)
試験前後における試験片36の質量差から、シリカ粒子の付着量を測定した。それぞれの試験片の表面に付着したシリカ粒子の付着量Y(g)と、試験片の基材(SUS410J1)そのものの表面(表面粗さRz=3.5μm)に付着したシリカ粒子の付着量X(g)との比を、シリカ粒子付着倍率Zとして式(3)により算出した。
Z=Y/X・・・(3)
上記試験の結果を表1に示す。なお、次の説明におけるNo.は、表1中の試験片No.に対応する。表1に示すように、本発明に係るフッ素樹脂含有めっき皮膜を成膜した試験片(No.1〜No.10)のシリカ粒子付着倍率は、最も大きいもので0.22である(No.1)。この結果からわかるように、本発明に係るフッ素樹脂含有めっき皮膜は、従来例の基材そのもの(No.12)に対して、シリカ粒子付着量がおよそ1/5以下である。従来例のフッ素樹脂含有有機塗料(No.13)に対しては、シリカ粒子付着量がおよそ1/4以下である。このように、本発明は、従来のものに対して格段に優れた粒子付着量低減効果を奏する。また、基材表面にフッ素樹脂含有めっき皮膜を形成したもの(No.11)に対しても、シリカ粒子付着量を低減できる。
第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に、フッ素樹脂皮膜を形成した方が(No.7〜No.10)、第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面のみの場合(No.1〜No.6)よりもシリカ粒子付着倍率は小さくなる。
中間めっき皮膜の有無により、シリカ粒子付着倍率は影響を受けない。また、フッ素樹脂は、PFA(No.4、No.10)よりも、PTFE(No.1〜No.3、No.5〜No.9)の方が、シリカ粒子付着倍率はやや小さくなる。さらに、フッ素樹脂含有めっき皮膜の成膜方法(無電解めっきか電気めっき)の違いによるシリカ粒子付着倍率の違いは、ほとんどない。ただし、電気Niめっきでの硬度はHvで150〜300であるのに対し、無電解Ni−Pめっき(フッ素樹脂含有無電解Ni−Pめっき)での硬度は、Hvで250〜300(非晶質)、めっき後、350℃〜400℃で加熱処理をした場合には、Hvで450〜500(結晶質)である。割れ感受性は硬度に強い相関があり、電気Niめっきの方が無電解Ni−Pめっきよりも軟らかく、割れにくい。次に、窒化の有無が疲労強度に与える影響について説明する。
図11は、応力振幅と破断繰り返し数との関係を示す説明図である。試験片の基材の材料はSUS410J1、試験片は平滑試験片を用い、疲労強度を向上させる表面改質処理として窒化処理をした試験片、及び窒化処理をしない試験片にフッ素樹脂含有めっき皮膜(Ni−P)を形成した。窒化はラジカル窒化を用いた。そして、回転曲げ疲労試験により試験片の破断繰り返し数を求めた。繰り返し速度は3600rpm(Revolution Per Minute)、試験温度は室温とした。比較対象として、SUS410J1のみの試験片(めっきなし)も試験した。
図11に示すように、窒化処理をしない試験片にフッ素樹脂含有めっき皮膜(Ni−P)を形成した試験片は、105程度の繰り返し数で試験片が破断している。一方、窒化処理をした試験片にフッ素樹脂含有めっき皮膜(Ni−P)を形成した試験片は、107程度の繰り返し数を経過した後でも試験片の破断はない。このように、基材に疲労強度を向上させる表面改質処理を施すと、めっき皮膜を形成した基材の疲労強度が向上し、単に基材のみの場合よりも大きな応力振幅に耐えられることがわかる。なお、疲労強度を向上させる表面改質処理は、ショットピーニングでも窒化の場合と同様の結果を示す。
図12は、めっき皮膜が単層の場合と複層の場合とにおけるフッ素樹脂粒子の表面占有面積率を示す説明図である。めっき皮膜を単層で構成する場合、粒子径が0.3μm及び6μmのフッ素樹脂粒子を用いてフッ素樹脂含有めっき皮膜を形成した。めっき皮膜を複層で構成する場合、粒子径が6μmのフッ素樹脂粒子を用いた第1フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に、粒子径が0.3μmのフッ素樹脂粒子を用いた第2フッ素樹脂含有めっき皮膜を形成した。図12の結果からわかるように、フッ素樹脂含有めっき皮膜を複層(この例では2層)で形成したものが、最もフッ素樹脂粒子の表面占有面積率は大ききなることがわかる。なお、フッ素樹脂含有めっき皮膜を複層とする場合、基材の表面に現れる第2フッ素樹脂含有めっき皮膜に含まれるフッ素樹脂粒子の粒子径は、第1フッ素樹脂含有めっき皮膜のフッ素粒子よりも直径が小さい。
以上のように、本発明に係る回転機械の部品及び回転機械は、蒸気タービンや圧縮機等の回転機械が備える部品に有用であり、特に、蒸気や圧縮対象の気体に含まれる微粒子が前記回転機械の部品に付着する量を低減することに適している。
この実施例に係るフッ素樹脂粒子含有めっき皮膜で表面を被覆した動翼を備える蒸気タービンのタービン室周辺を示す断面図である。 この実施例に係るフッ素樹脂粒子含有めっき皮膜で表面を被覆した、蒸気タービンの動翼を示す斜視図である。 図2のA−A断面図である。 この実施例に係る動翼の表面を示す模式図である。 この実施例に係るめっき皮膜を生成する手順を示すフローチャートである。 この実施例の第1変形例に係る動翼の表面を示す模式図である。 この実施例の第2変形例に係る動翼の表面を示す模式図である。 この実施例の第2変形例に係る動翼の表面を示す模式図である。 この実施例の第3変形例に係る動翼の表面を示す模式図である。 この実施例の第3変形例に係る動翼の表面を示す模式図である。 粒子付着評価試験に用いる試験装置を示す装置構成図である。 応力振幅と破断繰り返し数との関係を示す説明図である。 めっき皮膜が単層の場合と複層の場合とにおけるフッ素樹脂粒子の表面占有面積率を示す説明図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c 基材
2 窒化層
3 クラック
3t 先端部
10、10a、10d、10e めっき皮膜
11 中間めっき皮膜
12 第1フッ素樹脂含有めっき皮膜
13M 第1めっきマトリックス
13P 第1フッ素樹脂粒子
14 第2フッ素樹脂含有めっき皮膜
14P 第2フッ素樹脂粒子
14M 第2めっきマトリックス
15 フッ素樹脂皮膜
23、23a、23b、23c、23d、23e 動翼

Claims (12)

  1. 微粒子を含む気体を取り扱う回転体に用いられ、かつ微粒子を含む気体が接触する構造体であって、
    第1のフッ素樹脂粒子が第1のめっきマトリックスに含有され、かつ前記第1のフッ素樹脂粒子の一部は、前記第1のめっきマトリックスの表面から露出する第1フッ素樹脂含有めっき皮膜と、
    前記第1フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に形成され、かつ前記第1のフッ素樹脂粒子よりも直径が小さい第2のフッ素樹脂粒子が第2のめっきマトリックスに含有され、かつ前記第2のフッ素樹脂粒子及び前記第1のフッ素樹脂粒子の一部は、前記第2のめっきマトリックスの表面から露出する第2フッ素樹脂含有めっき皮膜と、
    を含むめっき皮膜が表面に設けられることを特徴とする回転機械の部品。
  2. 前記めっき皮膜は、前記第1のフッ素樹脂含有めっき皮膜と前記構造体の表面との間に設けられる、金属の中間めっき皮膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の回転機械の部品。
  3. 前記中間めっき皮膜は、電気めっきにより成膜されることを特徴とする請求項2に記載の回転機械の部品。
  4. 前記中間めっき皮膜は、Niであることを特徴とする請求項2又は3に記載の回転機械の部品。
  5. 前記回転機械の部品の表面には、前記中間めっき皮膜が形成される部分の疲労強度を向上させる表面改質処理が施されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転機械の部品。
  6. 前記第1のフッ素樹脂粒子の直径は1μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機械の部品。
  7. 前記第1のフッ素樹脂粒子又は前記第2のフッ素樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビリニデンフルオライド(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転機械の部品。
  8. 前記第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビリニデンフルオライド(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の少なくとも1種類からなるフッ素樹脂皮膜が形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転機械の部品。
  9. 前記第1のめっきマトリックス及び前記第2のめっきマトリックスは、Ni又はNi基の金属であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転機械の部品。
  10. 平面視において、前記第1のフッ素樹脂粒子及び前記第2のフッ素樹脂粒子の露出した部分が、前記第2フッ素樹脂含有めっき皮膜の表面を占める面積の割合が10%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の回転機械の部品。
  11. 前記第1フッ素樹脂粒子含有めっき皮膜又は前記第2フッ素樹脂粒子含有めっき皮膜のうち少なくとも一方は、無電解めっきにより成膜されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の回転機械の部品。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の回転機械の部品を、微粒子を含む気体が接触する部分に備えることを特徴とする回転機械。
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