JP2019124135A - 蒸気タービン翼及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐応力腐食性に極めて優れた蒸気タービン翼及びその製造方法を提供する。【解決手段】 翼脚部表面に、板状硬質部材により塑性変形された塑性変形領域を備える蒸気タービン翼であって、前記塑性変形領域が、最大高さ粗さが6.3μm以下の表面を有し、かつ、前記塑性変形領域の圧縮残留応力が−300MPa以下である、蒸気タービン翼。【選択図】 図1

Description

本発明は、蒸気タービン翼及びその製造方法に関する。本発明は、特には、耐応力腐食割れに極めて優れた蒸気タービン翼の製造方法に関する。
蒸気タービンの低圧部では、低温低圧の蒸気からエネルギーを取り出すために長大な翼長を有するタービン翼が必要とされる。タービン運転時にはタービンの回転に伴う遠心力に起因する高応力がタービン翼の脚部に負荷される。この応力対策としては、応力緩和可能な翼脚部形状の検討の他に、ピーニングによる表面処理施工が行われてきた。
ピーニングは、空圧などの方法により硬質材料粒子を被施工材へ加速衝突させることで被施工材に凹み形状の塑性変形領域を形成する技術である。この塑性変形領域では、材料が圧縮されており、圧縮の残留応力が負荷される。この残留応力により遠心力による応力を緩和するという表面処理方法であり、塑性変形を与える媒体によりショットピーニング、レーザピーニングなどの手法が存在する。この手法によりタービンの主な損傷モードである応力腐食割れ(SCC)について、SCCの3大発生要素の一つである応力を緩和することができ、SCC寿命を向上することが可能となる。
硬質材料粒子を翼脚部に衝突させることで、塑性変形領域を形成しSCC寿命を向上させる方法が知られている(特許文献1)。特許文献1では、数百μmの鋼球を用いて、構造体の表面に圧縮残留応力を付与し、圧縮残留応力を付与した表面をめっき被覆することにより環境助長割れを防止し得ることを開示している。
特開2016-142241号公報
特許文献1に開示されるようにショットピーニングにより塑性変形を与えた被施工材においては、圧縮残留応力負荷領域には硬質材料粒子衝突に伴う微細な凹凸が形成される。この凹凸による切欠き効果により、応力集中が発生し、十分なSCC寿命向上効果が得られない問題があった。また、ショットピーニングでは、比較的操作が煩雑になるという問題もあった。
上述した問題に対し、耐応力腐食割れに優れた蒸気タービン翼及びその製造方法、並びに被処理材に疲労強度を付与する表面処理方法を提供することを課題とする。
[1] 本発明は、一実施形態によれば、翼脚部表面に、板状硬質部材により塑性変形された塑性変形領域を備える蒸気タービン翼であって、
前記塑性変形領域が、最大高さ粗さが6.3μm以下の表面を有し、かつ、前記塑性変形の圧縮残留応力が−300MPa以下である。
[2] 前記蒸気タービン翼において、前記塑性変形領域内に、最大高さ粗さが6.3μmより大きい凹凸が存在せず、かつ直径が500μm以下の凹凸が存在しないことが好ましい。
[3] 前記蒸気タービン翼の母材が、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼から選択されることが好ましい。
[4] 本発明は、別の実施形態によれば、蒸気タービン翼の製造方法であって、板状硬質部材を電磁力により加速し、蒸気タービン翼の翼脚部に衝突させる工程を含む。
[5] 前記蒸気タービン翼の製造方法において、前記板状硬質部材が、500Hv以上の鋼材であることが好ましい。
[6] 前記蒸気タービン翼の製造方法の前記衝突させる工程において、衝突時の前記板状硬質部材の速度が、100m/s以上であって、300m/s以下であることが好ましい。
[7] 前記蒸気タービン翼の製造方法における前記電磁力による加速が、前記板状硬質部材に対して前記蒸気タービン翼と逆側に設けたコイルに通電することより実施されることが好ましい。
[8] 本発明は、さらに別の実施形態によれば、表面処理方法であって、鋼もしくは鉄から選択される被処理材に、前記被処理材よりも硬さ値が大きい板状硬質部材を電磁力により加速し、衝突させる工程を含む、被処理材に疲労強度を付与する表面処理方法に関する。
本発明によれば、曲面形状を有する金属材料に硬質材料を高速衝突させて塑性変形領域を形成することで、運転時の高応力負荷部位に圧縮残留応力を付加することができ、耐応力腐食割れに優れた蒸気タービン翼を得ることができる。また、本発明に係る蒸気タービン翼の製造方法は、一度のショットにより効果的に圧縮残留応力を付加することができ、施工の点においても簡便かつ効率的な方法である。
図1(a)は、蒸気タービン翼を概念的に示す図であり、図1(b)は図1(a)中、Aで示す部分である翼脚部の拡大図である。 図2は、本発明に係る蒸気タービン翼の製造方法の一例を概念的に示す図である。 図3は、図2に示す部材の、B−B’線による断面図である。 図4は、実施例に用いた、衝突工程後の被処理部材を示す図である。 図5は、図4の被処理部材のC−C’線による断面図である。 図6は、比較例の被処理部材の被処理面の走査型電子顕微鏡写真である。
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。また、図面は、本発明を説明するための例示的な概略図であって、図中の各部材の寸法や相対的な位置関係は、本発明を限定するものではない。
[第1実施形態:蒸気タービン翼及びその製造方法]
本発明は、一実施形態によれば、蒸気タービン翼及びその製造方法に関する。図1は、本発明に係る蒸気タービン翼を模式的に示す図である。図1(a)は蒸気タービン翼1の全体の概念的な平面図であり、図1(b)は図1(a)中、Aで示す翼脚部の拡大図を示す。図中、仮想斜線で示す箇所が、翼脚部のタービンの回転に伴う遠心力に起因する高応力が負荷される箇所であって、主たる被処理部10である。ある実施形態において、被処理部10は、曲面上に存在する幅が約5mm以上であって30mm以下程度の帯状の部位であってよい。被処理部の長さは特には限定されず、タービン翼の大きさ等により異なる。別の実施形態において、被処理部は、平面上に存在する同様の帯状の部位であってよい。しかしながら、本発明の被処理部は、特定の形状及び寸法には限定されない。また、翼脚部における非連続的な複数の部位に対して、処理を行ってもよい。
蒸気タービン翼1の材料としては、耐エロージョン摩耗性、耐食性に優れたステンレス鋼を用いることができ、特には、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレスから選択されるステンレス鋼を用いることが好ましい。
本発明に係る蒸気タービン翼の製造方法は、板状硬質部材を電磁力により加速し、蒸気タービン翼の翼脚部に衝突させる工程を含む。図2は、衝突工程を実施するための表面処理装置及び表面処理に使用する部材を概略的に示す断面図である。表面処理装置2は、蒸気タービン翼1の保持部21と、図示しない電源に接続されたコイル23を備える治具22とから主として構成される。表面処理装置2は、コイル23に電流を流すことにより電磁力を発生し、治具22に載置される板状硬質部材3と加速用導電性板4とを加速して、板状硬質部材3を蒸気タービン翼1に衝突させることができる。
保持部21は、蒸気タービン翼1を固定して、衝突工程を実施する際に保持する。保持部21により、蒸気タービン翼1の被処理部が、治具22の支持面Sに対向するように蒸気タービン翼1を保持する。治具22は、板状硬質部材3と加速用導電性板4とを支持する支持面Sを有し、支持面Sの中央部にコイル23を備えている。治具22は、コイル23の少なくとも周囲部分は絶縁材で構成されている。保持部21と治具22の距離は、調節可能に構成されていることが好ましい。
治具22の支持面Sには、加速用導電性板4と板状硬質部材3とをこの順に載置する。図3は、図2のB−B’線による断面図であり、平面視した場合の蒸気タービン翼1、板状硬質部材3、加速用導電性板4、及びコイル23の相対的な位置関係を示す。図2において紙面手前から奥に延びるコイル23の幅は、蒸気タービン翼1における塑性変形を生じさせる幅と同程度以上であって、概ね3倍程度以下であってよい。板状硬質部材3の幅は、コイル23の幅よりも大きいことが好ましい。加速用導電性板4の幅は、板状硬質部材3の幅よりも大きいことが好ましい。
板状硬質部材3は、被処理部に衝突させ、塑性変形を生じさせる部材である。「板状」とは、少なくとも被処理部に衝突する面が平面あるいは曲面の板状部材である。したがって、板状硬質部材3は、図示するような平板状であってもよく、所定の曲率を持つ湾曲した板状であってもよく、半円柱状であってもよいが、板状硬質部材3は、タービン翼脚部の被処理部の形状及び寸法に適合するように成形したものであることが好ましい。被処理部の実質的に全面に対し、1回のショットで、連続的な凹凸のない塑性変形を生じさせるためである。例えば、半円柱状の板状硬質部材3を用いることで、塑性変形部における残留応力を付与する深さを拡張することができる。また、板状硬質部材3は、例えば、約0.1mm以上であって約3mm以下程度の厚みを備えるものを用いることができるが、特定の厚みには限定されない。被処理部材を変形させることができ、板状硬質部材3自体の塑性変形を防止し、かつ加速可能な厚みを、当業者が適宜設定することができる。板状硬質部材3は、従来技術に係る複数の球状微粒子を衝突させるショットピーニングとは衝突させる部材の形状が異なっている。本発明による板状硬質部材3は、複数の凹凸からなる応力集中しやすい加工痕を実質的に生じさせることなく、蒸気タービン翼1の翼脚部を表面が平滑なままで塑性変形することができる点で有利である。
板状硬質部材3は、蒸気タービン翼1の材料となるステンレス鋼よりも硬さ値が高い材料から構成される。板状硬質部材3は、ステンレス鋼と比較して、ビッカース硬さが100Hv以上であって200Hv以下程度高いものであることが好ましい。特にステンレス鋼として、上記フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼を用いる場合には、板状硬質部材3は、ビッカース硬さが、300Hv以上であって1000Hv以下程度であることが好ましく、500Hv以上であることがより好ましい。板状硬質部材3としては、例えば、鋳鉄製の部材を用いることができる。
加速用導電性板4は、電気伝導度が高く、電磁力による加速力を最大限に得ることで硬質板をそれ単体では到達できない速度へ加速する部材である。加速用導電性板4は、加速のための電磁力を効率的に得ることができるように設計することができ、特にはコイルの形状に適合するように設計することができる。一例として、板状硬質部材3と同様に板状の部材であってよく、板状硬質部材3よりも大きい平面を備えるように構成されていてもよい。加速用導電性板4としては、導電性金属板を用いることが好ましい。硬さについては特に限定されない。加速用導電性板4の材料の例としては、アルミニウム、銅、またはこれらを含む合金が挙げられるが、これらには限定されない。
衝突工程においては、板状硬質部材3を、例えば、100m/s以上であって300m/s以下程度の速度で、蒸気タービン翼1の被処理部に衝突させる。この工程は、コイル23に、マイクロセカンドオーダーの時間にわたって通電し、支持面Sから、蒸気タービン翼1の向きに電磁力を発生させることにより実施することができる。板状硬質部材3を所定の速度で蒸気タービン翼1に衝突させるための、電圧値、電流値、通電時間、衝突前の非通電時の板状硬質部材3と蒸気タービン翼1とのギャップ等の条件については、当業者が理論計算により適宜決定することができる。例として、6mm幅の銅製のコイルに、約8〜8.5μ秒の間に、50〜150kAの電流を瞬間的に流した場合に、板状硬質部材3を上記範囲の速度で蒸気タービン翼1に衝突させることができる。
図2、3に示す態様において、衝突工程を実施した場合、板状硬質部材3及び加速用導電性板4の両者が、図2の矢印vで示す方向に移動し、所定の速度で衝突する。上記100m/s以上であって300m/s以下程度の速度は、衝突時の速度をいうものとする。板状硬質部材3は、コイル23の幅で発生する電磁力により加速される。そのため、主として、コイル23の幅に対応する部分が蒸気タービン翼1に衝突し、蒸気タービン翼1の被処理部に塑性変形を生じさせる。
衝突工程は、一カ所の被処理部に対して1回のみ実施し、複数回繰り返して実施しないことが好ましい。望ましくない凹凸を与える加工痕を生成するおそれがあるためである。なお、衝突させた後の板状硬質部材3及び加速用導電性板4も塑性変形を生じるため、同一の板状硬質部材3及び加速用導電性板4を繰り返して衝突工程に用いることは困難である。このように、電磁力により板状硬質部材3を蒸気タービン翼1の被処理部に衝突させることにより、1回の処理で、塑性変形領域を形成し、塑性変形領域及びその周辺領域に及ぶ圧縮残留応力付加領域を形成することができるため、施工プロセスにおいて非常に有利な方法とすることができる。
なお、図2に示す装置は、本発明による衝突工程を実施する装置の一例であって、衝突工程は、電磁力により板状硬質部材3を加速し、所定の速度で被処理部に衝突させることができれば、特定の装置、方法を用いるものには限定されない。
1回の衝突工程により、被処理部には、塑性変形された塑性変形領域が形成される。塑性変形領域は、処理前の母材と比較して凹んだ部位として観察することができる。特には、硬質部材とコイル幅(電磁力発生領域)の形状、寸法にもよるが、溝状の凹部として観察することができる。この凹部はショットピーニング痕と異なり、凹凸が多数存在していない。
塑性変形領域は、最大高さ粗さが6.3μm以下の表面を有することが好ましい。最大高さ粗さRzは、例えば、触針式表面粗さ測定装置を用いて測定することができる。塑性変形領域及びその周辺の圧縮残留応力付加領域の圧縮残留応力は、−300MPa以下であることが好ましく、−400MPa以下であることがより好ましい。圧縮残留応力は、X線応力測定装置を用いて測定することができる。
塑性変形領域は、より好ましくは、領域内に、最大高さ粗さが6.3μmより大きく、かつ、直径500μm以下の凹凸が存在しないことが好ましい。最大高さ粗さが6.3μmより大きい凹凸が存在しないことは、先の触針式表面粗さ測定装置を用いて確認することができる。直径500μm以下の凹凸が存在しないことも、触針式表面粗さ測定装置により確認することができる。
本実施形態によるタービン翼は、上記特徴を備えることで、応力集中部のない構造とすることができ、高SSC寿命を有する信頼性の高いタービン翼を得ることができる。
[第2実施形態:表面処理方法]
本発明は別の実施形態によれば、表面処理方法に関する。表面処理方法は、鋼もしくは鉄から選択される被処理材に、前記被処理材よりも硬さ値が大きい板状硬質部材を電磁力により加速し、衝突させる工程を含む。
本実施形態は、被処理材がタービン翼に限定されないことを除いては概ね第1実施形態において説明した方法と同様に実施することができる。被処理材としては、鋼もしくは鉄を挙げることができる。板状硬質部材としては、被処理材と比較して、硬さ値が大きいもの、好ましくは、第1実施形態で説明したのと同程度に、被処理部材との硬さ値の差がある部材を用いることができる。板状硬質部材の形状、サイズ、及び加速方法については、第1実施形態と同様であってよい。硬質部材を被処理材に衝突させる速度は、特定の速度範囲には限定されず、表面処理の目的及び所望の残留応力値等により、予備実験などを行って、適宜決定することができる。
第2実施形態による表面処理方法によれば、一度のショットにより被処理材に疲労強度を付与することができる。本実施形態に係る表面処理方法は、被処理部の形状、素材に適合するように板状硬質部材を選択し、かつ板状硬質部材の被処理部への衝突速度を調整することにより、任意の被処理材に対して、所望の程度の塑性変形を与えることができ、疲労強度を付与することができる点でさらに有利である。
以下、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
タービン翼材料に対して硬質材料を衝突させた。被加工材である蒸気タービン翼1材料は13%Cr鋼(X20Cr13、200×20×20mm、硬さ280Hv)を準備した。衝突させる材料は硬質部材である、平板状の焼入れ材(炭素鋼 15×200×t0.2mm、硬さ500Hv)を用いた。加速用導電性板はアルミ板(A1050 70×200×t0.4)を用いた。図2、3に概略的に記載した装置を用いて処理を行った。具体的には、表面処理装置2に蒸気タービン翼1を取り付け、治具22の支持面Sに、加速用導電性板4を載置した。加速用導電性板4上には板状硬質部材3を設置し、加速用導電性板4の下には電磁力を発生させるためのコイル23(幅6mm、銅製)を設置した。板状硬質部材3とタービン翼材1の間のギャップは1mmとした。このコイルに、実施例1〜5のそれぞれについて、下記表1に示す条件の電圧を印加して、電流を8.2μsecの間に瞬間的に流し、板状硬質部材3および加速用導電性板4を加速し、タービン翼材1の被処理部に衝突させた。
図4は、実施例4において用いた被処理材を撮影した写真に基づく図である。塑性変形領域11は、溝状の凹部として視認することができた。図5は、図4の被処理材1のB−B’断面の粗さ計による断面曲線に基づく図である。
衝突後のタービン翼について、残留応力、最大高さ粗さを測定した。残留応力は、X線残留測定装置を用いて、図4のC−C’断面の表面の粗さおよび断面曲線について測定した。図5は断面曲線であり、最大高さ粗さは、図5中の凹み部表面について測定した。結果を表1に示す。表1から、衝突速度をある一定の範囲とすることで、特にタービン翼脚部に必要な、−300MPa以下の残留応力値を充足することができることがわかった。
図5において、被処理材である蒸気タービン翼1には、塑性変形領域の幅がL、高さがLの凹部を視認することができる。Lは電磁力発生領域であり、コイルの幅に相当する。実施例4において、Lは6000μm、Lは1500μm、Lは15μmであり、最大高さ粗さ(Rz)は3.3μmであった。焼入れ材の衝突部位では−560MPaの圧縮残留応力が得られている。これは、タービン翼脚部の圧縮残留応力付加値として必要とされる、−300MPa以下の値を満足している。また、従来のショットピーニングなどで見られる粒子形状に起因する微細な凹凸もなく、測定された最大高さ粗さはは、機械加工精度である6μm以下であり、応力集中効果は発生しない。測定結果を図示した実施例4以外の、実施例1〜3、5においても、最大高さ粗さは6μm以下であり、500μm以下の凹凸ない表面が得られた。本実施例により、本発明の方法により、残留応力、粗さともに十分に仕様を満たす部材が得られたことがわかる。
なお、本発明において、硬質板の衝突により塑性変形が発生した部位を「塑性変形領域」、塑性変形の発生により残留応力が付与された部位を「残留応力付加領域」と指称するものとする。
比較例として、13%Cr鋼からなる蒸気タービン翼脚部に、ステンレス鋼からなる球状硬質粒子を用いてショットピーニングを行った。処理後の表面の顕微鏡写真を図6に示す。表面に微細な凹凸50が形成されていることが確認でき、応力集中部が多量に発生していることがわかる。
本実施例により、表面が平滑、かつ、必要な圧縮残留応力付加を両立し、高耐SCC性を有するピーニング処理を実現していることを確認した。一般的なレーザピーニング処理においても、数十μmの凹みを複数形成するため、本発明に係る方法はレーザピーニング処理と比較しても、凹みによる応力集中を抑制できると考えられる。
本発明の方法により製造された蒸気タービン翼は、発電用に好ましく用いられる。例えば、地熱発電用蒸気タービン翼、火力発電用蒸気タービン翼、原子力発電用蒸気タービン翼として好適に用いられる。
1 蒸気タービン翼
10 被処理部
11 塑性変形領域
2 表面処理装置
21 支持部
22 治具
23 コイル
3 板状硬質部材
4 加速用導電性板
S 支持面
v 板状硬質部材の移動速度及び向き

Claims (8)

  1. 翼脚部表面に、板状硬質部材により塑性変形された塑性変形領域を備える蒸気タービン翼であって、
    前記塑性変形領域が、最大高さ粗さが6.3μm以下の表面を有し、かつ、前記塑性変形領域の圧縮残留応力が−300MPa以下である、蒸気タービン翼。
  2. 前記塑性変形領域内に、最大高さ粗さが6.3μmより大きい凹凸が存在せず、かつ直径が500μm以下の凹凸が存在しない、請求項1に記載の蒸気タービン翼。
  3. 前記蒸気タービン翼の母材が、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼から選択される請求項1または2に記載の蒸気タービン翼。
  4. 板状硬質部材を電磁力により加速し、蒸気タービン翼の翼脚部に衝突させる工程を含む、蒸気タービン翼の製造方法。
  5. 前記板状硬質部材が、500Hv以上の鋼材である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記衝突させる工程において、衝突時の前記板状硬質部材の速度が、100m/s以上であって、300m/s以下である、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記電磁力による加速が、前記板状硬質部材に対して前記蒸気タービン翼と逆側に設けたコイルに通電することより実施される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 鋼もしくは鉄から選択される被処理材に、前記被処理材よりも硬さ値が大きい板状硬質部材を電磁力により加速し、衝突させる工程を含む、被処理材に疲労強度を付与する表面処理方法。
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