JP2003220681A - 表面処理ドクターブレード - Google Patents

表面処理ドクターブレード

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JP2003220681A JP2002020332A JP2002020332A JP2003220681A JP 2003220681 A JP2003220681 A JP 2003220681A JP 2002020332 A JP2002020332 A JP 2002020332A JP 2002020332 A JP2002020332 A JP 2002020332A JP 2003220681 A JP2003220681 A JP 2003220681A
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 刃先の耐磨耗性を向上させるとともに、連続
印刷時の印刷不良の発生を抑止することの可能な表面処
理ドクターブレードを提供する。 【解決手段】 少なくとも刃先部の表面が、第1層とし
てニッケル系めっきまたはクロム系めっき(ただし、め
っき中に有機樹脂粒子が分散した有機樹脂分散複合めっ
きは除く。)、その上層に第2層としてフッ素系樹脂粒
子を含有する有機樹脂分散複合めっきよりなる表面処理
ドクターブレード。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に2層めっき
が施された表面処理ドクターブレードに関し、さらに詳
しく言えば、連続印刷時に発生するドクターブレードに
起因する印刷不良の抑制に優れた表面処理ドクターブレ
ードに関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】グラビア(凹版)印刷では、
図1および図2(図1の部分拡大図。但し、図1、2共
に理解を容易にするためにブレード部分をシリンダーに
対して極端に拡大して描いている。)に示すように円筒
表面に画像に対応するセルと呼ばれる微小な凹部(図示
せず)を多数形成したシリンダー(1)を用い、このシ
リンダーの円周面にスチール製またはステンレス製のド
クターブレード(2)を一定の圧力で押圧しておいて、
版面の非画像部に付着しているインキ(3)を掻き落と
し除去している。このドクターブレードは非画像部のイ
ンキを完全に除去すると共に、画像部に所定量のインキ
を残す機能を有するものであるから、シリンダーとドク
ターブレードとの接触圧は常に一定に維持されなければ
ならず、その先端部(刃先)には耐磨耗性が要求され、
一般的にはブレードに表面処理を施したドクターブレー
ドが利用されている。
【0003】例えば、(1)特開平4−296556には、刃先部
の表面が撥インキ性を有する材質(高分子粒子を含有す
る金属めっき)からなるドクターブレード、(2)特開200
1-80230には、表面に含フッ素処理(例えば、4フッ化
エチレン樹脂粒子を共析した金属めっき)を施したヘラ
ウラ防止用のドクター、(3)特表2000-507523には、ブレ
ード表面に表面エネルギーが10〜60mN/mの表面
エネルギーの乏しいポリマーを被覆したドクターブレー
ド、(4)特開平3-64595には、第1層のニッケル系合金
と、その上層のクロムめっきとよりなる発錆び性、耐磨
耗性に優れた表面処理ドクターブレードが提案されてい
る。(5)特許第2952333号には、第1層にNiめっき、そ
の上層にセラミック粉を含有させたNiめっきの2層め
っきよりなるドクターブレードの製造方法が提案されて
いる。(6)特開2001-1664にはブレード芯金表面に、芯金
より硬くダイヤモンドライクカーボン被膜よりも軟らか
い下地被膜の上層にダイヤモンドライクカーボン被膜が
被覆されたドクターブレードが提案されている。
【0004】しかし、これら従来技術には以下のような
問題があった。 (1)で提案されている技術は、刃先表面を撥インキ性と
し、版のセルに入っているインキを引張り出すことなく
ドクタリングすることにより、良好にセルにインキを詰
めることを可能とし、精密印刷においても画素の形状を
良好に再現することを狙いとするものであるが、撥イン
キ性高分子粒子含有金属の単層処理であるため、耐磨耗
性が十分ではなく、連続印刷に伴ない刃先の磨耗が急激
に進行し、頻繁にブレードを交換する必要があり生産効
率を落すものであった。
【0005】(2)で提案されている技術は、ブレードに
4フッ化エチレン樹脂粒子を含有した金属めっきのみを
単層で施すことにより、連続印刷時に刃先の裏側(シリ
ンダー回転方向裏側)に塗工液が蓄積成長することによ
り、蓄積した液滴が原版上に不規則に転移し、点状、筋
状に盛り上がるヘラウラという印刷の欠陥防止には有効
ではあるが、4フッ化エチレン樹脂粒子を共析せしめた
金属めっきのみでは、めっきが比較的柔らかいため、耐
磨耗性が十分ではなく、連続印刷に伴ない刃先の磨耗が
急激に進行し、頻繁にブレードを交換する必要があり生
産効率を落すものであった。また、この単層めっきのみ
では、シリンダーからのインキの掻き落し不良が生じや
すく、連続印刷時における比較的早い段階から掻き落と
し不良に起因すると考えられる印刷不良(カブリ等)が
生じるという問題があった。
【0006】(3)で提案されている技術は、ブレード表
面に表面エネルギーが乏しいポリマーを被覆することに
より、高粘度のインキを使用した際のインキ溜まりを防
止するものであるが、ブレードに施された処理物がポリ
マーであるため、ブレードの耐磨耗性は全く向上せず、
刃先の磨耗によるブレードの交換を頻繁に行う必要があ
り、生産効率の悪いものであった。また、シリンダーか
らの薬液の掻き落し不良が生じやすく、印刷の比較的初
期の段階で印刷不良(カブリ等)が生じるという問題が
あった。
【0007】(4)および(5)で提案されている技術は、2
層めっきすることにより、上層のめっきの密着力を向上
させ、かつ最表層のめっきであるクロムめっき、あるい
はセラミック含有ニッケルめっきにより刃先の耐磨耗性
を向上させたものであり、ブレードの磨耗の減少には有
効であるが、最表層のめっき皮膜が硬いため、シリンダ
ー自体の磨耗促進、シリンダーの損傷、めっき皮膜自体
の剥離等による印刷不良が生じやすいという問題があっ
た。
【0008】(6)で提案されている技術は、セラミック
複合ニッケル被膜とダイヤモンドライクカーボン被膜の
2層処理とすることにより、水性インキ使用時の、イン
キ掻き取り不良による版カブリを防止しようというもの
であるが、この技術は、ダイヤモンドライクカーボン被
膜とセラミック複合ニッケル被膜との密着性が充分でな
く、連続印刷時の刃先の磨耗にともない、上層が剥離し
やすくなり、この剥離粉のインキへの混入により、印刷
不良が生じやすいという問題があった。また、ダイヤモ
ンドライクカーボン被膜をつける生産効率が悪く、かつ
それをつけるためにはプラズマ蒸着装置等の特別な装置
が必要となり、生産自体が高コストとなる等の問題があ
った。
【0009】また、近年、ユーザーニーズが高度化し、
画像形状のより精密な再現性が要求されてきており、従
来は問題とされなかったミクロなレベルの画像のニジ
ミ、カスレ等の形状不良までも問題とされるようになっ
てきており、従来技術ではこの問題を解消することが出
来なかった。
【0010】したがって、本発明の課題は、上記従来技
術の問題を改善し、刃先の耐磨耗性を向上させるととも
に、連続印刷時の印刷不良の発生を抑止することを可能
とする表面処理ドクターブレードを提案することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、連続印刷
時に生じる印刷不良の発生要因を検討した結果以下のこ
とが判明した。連続印刷初期〜中期段階で発生する画像
のニジミ、カスレ、カブリ等の印刷不良は、主にブレー
ドによるインキの掻き取り不良に起因しているものと考
えられ、これを解決するためには以下の、の対策が
有効であることを見出した。
【0012】少なくともインキと接する刃先の表側
(シリンダー回転方向表側)のブレードの最表層処理面
の表面エネルギーを下げること。表面エネルギーを下げ
ることによって、皮膜の撥インキ性により非画像部より
掻き取った余剰インキが滞留せず、シリンダー/ブレー
ド接触界面領域(図2のa部)より系外への排出が促進
される結果、内部へのインキの巻き込み(ブレードによ
る掻き取り不良)が抑制されるものと考えられる。
【0013】処理後のブレードの表面硬度を特定の範
囲とすること。めっきの硬度を特定の範囲とすることに
より、安定、均一かつ十分な圧力をブレードよりシリン
ダーに加圧できることになり、インキの掻き落し性能が
向上するものと考えられる。
【0014】また、連続印刷後期に発生する印刷不良の
主な要因は、刃先の磨耗、めっきの欠落、シリンダーの
損傷および磨耗によるものであり、これらを抑止するに
は、 ブレード表面の摩擦係数を低下させる、すなわち、表
面の潤滑性を上げ、ブレードとシリンダーの接点での、
凝着磨耗を抑制すること、 表面硬度を特定の範囲とすること、および 膜厚を特定の範囲とすることが有効であることが判明
した。
【0015】以上のように連続印刷時に良好な印刷性能
を得るには、ドクターブレードとして上記〜のすべ
てを同時に満足する必要があるが、従来技術では上記条
件すべてを満足することは困難であり、本発明で提案し
た2層めっき構造として、それぞれのめっき層に機能を
分担させることによって初めて可能になることを見出し
た。
【0016】すなわち、本願発明のドクターブレード
は、以下の構成よりなる。 1.少なくとも刃先部の表面が、第1層としてニッケル
系めっきまたはクロム系めっき(ただし、めっき中に有
機樹脂粒子が分散した有機樹脂分散複合めっきは除
く。)、その上層に第2層としてフッ素系樹脂粒子を含
有する有機樹脂分散複合めっきよりなる表面処理ドクタ
ーブレード。 2.ビッカース硬度(Hv)がHv400〜1500である
前項1に記載の表面処理ドクターブレード。 3.第1層のめっきが、SiC粒子を含有したニッケル
−リン系複合めっきである前項1または2に記載の表面
処理ドクターブレード。 4.第2層のめっきが、0.05〜10μmのフッ素系樹脂
粒子を含有する有機樹脂分散複合めっきである前項1か
ら3のいずれか1項に記載の表面処理ドクターブレー
ド。 5.フッ素系樹脂の粒子径が、第2層のめっき厚(B)
の1.2倍以下である前項4に記載の表面処理ドクターブ
レード。 6.フッ素系樹脂粒子が4フッ化エチレン樹脂、パーフ
ロロアルコキシ樹脂およびフッ化エチレンプロピレン樹
脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂粒子である前
項1から5のいずれか1項に記載の表面処理ドクターブ
レード。 7.第1層のめっき厚(A)および第2層のめっき厚
(B)の合計が、2μm≦A+B≦30μmである前項
1から6のいずれか1項に記載の表面処理ドクターブレ
ード。 8.第1層のめっき厚(A)および第2層のめっき厚
(B)の比(B/A)が0.02≦B/A≦1.3である前項
7に記載の表面処理ドクターブレード。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細を説明する。
本発明に使用されるドクターブレード基材は、印刷用、
塗装用に使用されている公知のスチール製およびまたは
ステンレス製基材であればいずれも使用可能である。ま
た、通常、ドクターブレード用基材は、刃先部となる側
縁が薄刃状になるように段付け形成される等の加工が施
されていて、その刃の形状の違いにより平行刃、傾斜
刃、丸刃、角刃があり、いずれの形状のものも使用する
ことが可能である。また、このような刃先加工を、ブレ
ードの片側のみに行った片刃タイプのもの、両側に行っ
た両刃タイプのものがあり、本発明では用途に応じてい
ずれのものも使用することが可能である。
【0018】本発明ではブレード基材寸法は何ら制限は
無く利用可能であるが、代表的なブレード基材は厚さが
0.15mm〜0.6mm、幅が40〜60mmの帯状鋼板よ
りなる。本発明による表面処理ドクターブレードは、上
記ドクターブレード基材の表面に第1層として特定のニ
ッケル系めっきまたはクロム系めっき、その上層に第2
層としてフッ素系樹脂粒子を含有する有機樹脂分散複合
めっきを施した表面処理ドクターブレードよりなる。
【0019】第1層のめっきは、主にブレードに硬度を
付与する機能を有し、ニッケル系めっきおよびまたはク
ロム系めっきが有効である。ただし、めっき中に有機樹
脂粒子が分散したニッケル系複合めっき、および上記以
外のめっきでは所定の硬度を得ることが出来ないか、ブ
レード基材に対するめっきの密着性が劣るため適さない
ので本発明では除外される。
【0020】ここでいうニッケル系めっきとは、純ニッ
ケルめっき、ニッケル−コバルト、ニッケル−鉄、ニッ
ケル−クロム、ニッケル−タングステン、ニッケル−マ
ンガン、ニッケル−スズ、ニッケル−リン、ニッケル−
ボロン、ニッケル−リン−ボロン等の合金めっき、およ
びこれらニッケル系金属よりなるマトリックス中に有機
樹脂以外の粒子、例えば、Al23、Cr23、Fe2
3、TiO2、ZrO2 、ThO2、SiO2、CeO2
BeO2、MgO、CdO、ダイヤモンド、SiC、T
iC、WC、VC、ZrC、TaC、Cr32、B4
C、BN、ZrB2、TiN、Si34、WSi2等の中
から選ばれる少なくとも1種の粒子が分散したニッケル
系分散めっきのことをいい、いずれのものを使用しても
よい。
【0021】また、クロム系めっきとは、純クロムめっ
き、クロム−タングステン、クロム−鉄等の合金めっ
き、およびこれらクロム系金属マトリックス中に有機樹
脂以外の粒子、例えばAl23、TiO2、ZrO2、S
iO2、CeO2、UO2、SiC、WC、ZaB2、Ti
2等中から選ばれる少なくとも1種の粒子が含有した
クロム系分散めっきのことをいい、いずれのものを使用
してもよい。なお、ニッケル系めっき、クロム系めっ
き、いずれの場合にも上記微粒子のほかに本発明に支障
のない範囲であれば、有機樹脂等のその他成分を微量含
有させることが可能である。
【0022】これらニッケル系めっき、クロム系めっき
の中でも第1層のめっきとして、SiCが分散したニッ
ケル系複合めっきが好ましく、特にSiCが分散したニ
ッケル−リン合金めっきが好ましい。なお、本発明で使
用するセラミック粒子の粒子径は0.05μm〜6μmが好
ましく、さらに0.1μm〜3μmが好ましく、特に0.15
μm〜1μmが好ましい。
【0023】第2層のめっきは、(1)ブレード表面の表
面エネルギーを下げ、撥インキ性を持たせることにより
非画像部より掻き取った余剰インキを滞留させず、シリ
ンダー/ブレード接触界面領域(図2のa)から系外へ
の排出を促進し、ブレード/シリンダー接点内部へのイ
ンキの進入を抑制する機能および(2)ブレード/シリン
ダー接点部での潤滑性を向上させることにより、ブレー
ド/シリンダー接点部での凝着によるブレードおよびシ
リンダーの磨耗を低減させる機能を有し、フッ素系樹脂
粒子を含有する有機樹脂分散複合めっきが最適である。
分散物質がフッ素系樹脂粒子を含有する有機樹脂ではな
い複合めっきでは、本発明に必要な低表面エネルギー、
高潤滑の表面を得ることが出来ず本発明には適さない。
また、フッ素系樹脂粒子以外の樹脂では、めっき中にフ
ッ素系樹脂粒子と同1量の樹脂を含有させても、フッ素
系樹脂粒子と同一レベルまで表面エネルギーを下げた
り、潤滑性を向上させたりすることができず、たとえフ
ッ素系樹脂と同一レベルの低表面エネルギーを得ること
ができたとしても、そのときのめっき中での樹脂含有量
は、かなり過剰の含有量となるため、本発明で必要とす
るめっき密着性、耐磨耗性が得られなくなる。
【0024】本発明で使用するフッ素系樹脂粒子の粒子
径は、0.05〜10μmが好ましい。粒子径が0.05μm未
満では、下地めっきとの密着性が劣るので好ましくな
い。一方、10μmを超えると、樹脂粒子がめっき中か
ら欠落しやすくなり、本発明の効果が得られず本発明に
は適さない。中でも好ましい粒子径は0.07〜5μmであ
り、さらに好ましくは0.1〜1μm、最も好ましくは0.1
5μm〜0.5μmである。さらに、本発明では、フッ素系
樹脂の樹脂粒子径を、樹脂粒子が分散しているめっき層
のめっき膜厚の1.2倍以下とする。1.2倍を超えるとフッ
素系樹脂がめっき中から欠落しやすくなり、本発明の効
果が得られなくなるだけでなく、フッ素系樹脂がめっき
から過度に突き出した状態となるため、突き出したフッ
素系樹脂による印刷スジの発生が生じやすくなり本発明
では好ましくない。特に好ましい粒子径は、めっき厚の
0.8倍以下であり、最も望ましくは0.5倍以下である。
【0025】本発明でいうフッ素系樹脂粒子とは、例え
ば、4フッ化エチレン樹脂、パーフロロアルコキシ樹
脂、フッ化エチレンプロピレン樹脂、4フッ化エチレン
ーパーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、4フ
ッ化エチレンーエチレン共重合樹脂、3フッ化塩化エチ
レン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等の樹脂粒子であり、
これらのなかでも4フッ化エチレン樹脂、パーフロロア
ルコキシ樹脂、フッ化エチレンプロピレン樹脂が好まし
く、特に4フッ化エチレン樹脂が好ましい。
【0026】また、フッ素系樹脂粒子が分散している金
属マトリックスとしては、純ニッケルめっき、ニッケル
−コバルト、ニッケル−鉄、ニッケル−クロム、ニッケ
ル−タングステン、ニッケル−マンガン、ニッケル−ス
ズ、ニッケル−リン、ニッケル−ボロン、ニッケル−リ
ン−ボロン等のニッケル系合金が好ましく、特にニッケ
ル−リン合金が好ましい。
【0027】フッ素系樹脂粒子のめっき中での含有量と
しては、めっき中2〜50vol%、好ましくは10%
〜40%、さらに好ましくは20〜30vol%であ
る。2vol%未満では、表面エネルギーを下げたり、
潤滑性を向上させたりする効果は得られず、50vol
%を超えると、めっきの密着性が劣る。但し、本発明に
支障のない範囲であれば、めっき中にフッ素系樹脂粒子
以外の成分を微量含有させることは可能である。
【0028】本発明では、以上説明したような第一層の
特定のニッケル系めっきおよびクロムめっきと、第2層
のフッ素系樹脂分散複合めっきの両者が組み合わさって
初めて本発明の複合効果が得られるものであり、それぞ
れ単独では、本発明の効果は得られない。
【0029】本発明では、めっき後の少なくとも刃先部
分の表面硬度をビッカース硬度(Hv)で400〜1500
とする。硬度が400未満では、掻き取り不良が生じ易
く連続印刷初期段階で、画像の形状不良等の印刷不良が
生じやすくなるだけでなく、耐磨耗性にも劣るため本発
明には適さない。また、ビッカース硬度が1500を超える
と、めっきが脆く剥離しやすくなるばかりか、シリンダ
ーの版面を傷つけてしまい、印刷不良が生じやすくなる
ので本発明には適さない。特に好ましいビッカース硬度
(Hv)は700〜1300であり、さらに好ましくはHv
800〜1150である。
【0030】なお、本発明におけるビッカース硬度(H
v)とは、JIS Z 2251の微小硬さ試験方法のビッカース
硬さ試験に準拠しておこなうものである(試験荷重に関
しては、めっき厚に応じて50gf未満の荷重を利用し
て測定することも可能である。)。
【0031】本発明におけるめっきの膜厚は、第1層の
めっき厚(A)および第2層のめっき厚(B)のトータ
ルの膜厚(A+B)を2μm〜30μmとする。2層ト
ータルでのめっき厚が2μm未満では、耐磨耗性の効果
が得られず本発明には適さない。また、30μmを超え
ると経済的に不利であるばかりか、めっきの密着性が劣
ってくるので本発明には適さない。特に好ましい膜厚
は、3μm≦A+B≦15μm、さらに5μm≦A+B
≦10μmが好ましい。さらに、第1層のめっき厚
(A)および第2層のめっき厚(B)の比(B/A)が
0.02≦B/A≦1.3を満足することが好ましい。めっき
厚の比が0.02未満では、インキ掻き取り不良が生じやす
く、また、1.3を超えると耐磨耗性が劣る。さらに好ま
しいめっき厚比は、0.05≦B/A≦0.6であり、特に好
ましいめっき厚の比は0.1≦B/A≦0.3である。
【0032】めっき厚の測定方法としては、公知の測定
方法が利用できる。例えば、(1)蛍光X線測定装置を用
いてめっきから放射される蛍光X線量を測定して、めっ
きの厚さを測定する方法、(2)めっきの垂直断面を光学
顕微鏡、電子顕微鏡で観察しめっき厚を測定する方法
等、JIS H 8501に示されているめっきの厚さ試験方法の
中から適宜選択することにより測定可能である。
【0033】本発明の表面処理ドクターブレードを製造
する手段としては、公知の製造技術のいずれの手段を利
用して行うことも可能である。本発明によれば生産効率
および生産コストを著しく劣化させることはなく表面処
理ドクターブレードの製造が可能である。製造法として
は、例えば、脱脂→水洗→活性化処理→水洗→めっき→
水洗→めっき→水洗→乾燥→焼鈍→所定寸法への剪断、
あるいは脱脂→水洗→活性化処理→水洗→めっき→水洗
→脱脂、酸処理、研磨、水洗等何れか少なくとも一つに
よる表面調整→めっき→水洗→乾燥→焼鈍→所定寸法へ
の剪断等により製造可能であり、さらに、前記の工程の
焼鈍前およびまたは焼鈍後に、刃先研磨による刃先調
整、表面研磨による表面調整を行ってもよいし、焼鈍工
程を省略してもよい。
【0034】めっきの手段としては、電気めっき、無電
解めっき等のいずれの公知のめっき技術を利用すること
ができる。さらに、本発明では、ブレード基材と第1層
のめっき、およびまたは第1層めっきと第2層めっきの
密着性を上げたり、これらめっき皮膜の析出を促進させ
たりすることを狙いとして、予め第一層めっきおよびま
たは第2層めっきの下地処理として、ニッケル系めっ
き、銅系めっき等による下地めっきを行うことも可能で
ある。特に、ブレード基材としてステンレス素材を利用
する場合は、第一層のめっき前の下地めっきとしてニッ
ケルストライクめっきが有効である。本発明の表面処理
ドクターブレード実施の態様としては以下のものが挙げ
られ、いずれの態様をとっても支障がない。
【0035】(1)ブレード両側(シリンダー回転方向
表側(図2のS側)および裏側(図2のR側))全面に
本発明による2層めっきを施した態様、(2)ブレード
全面の片側に本発明による2層めっきを施した態様、具
体的には刃先の表側(図2のS側)に本発明による2層
めっきを施し、刃先の裏側(図2のR側)にニッケル系
めっき、またはクロム系めっき施すか、またはめっき無
しスチールのままのもの、(3)少なくとも刃先のみの
両側(図2のS側およびR側)に本発明による2層めっ
きを施したもの、(4)少なくとも刃先の片側に本発明
による2層めっきを施した態様、具体的に刃先の表側
(図2のS側)に本発明による2層めっきを施し、刃先
の裏側(図2のR側)にニッケル系めっき、またはクロ
ム系めっきを施すか、またはめっき無しスチールのまま
のもの。
【0036】印刷メーカーでは、連続印刷時、寿命のき
たブレードを新しいブレードに交換する際、新しいブレ
ードの刃先とシリンダーとの接触不良により生じるスジ
等の印刷欠陥を防止するため、30分〜60分の空運転
を行い、シリンダーとブレードとの接触(以下なじみ)
をよくした後、印刷を行うのが通常であり、空運転時間
分のロスが発生し、印刷効率を落としている。そこで、
このなじみ性をよくするため、本発明による表面処理ブ
レードの刃先先端部分を予めパフ、サンドペーパー等に
より研磨して、刃先先端のブレード基材を露出させてお
くことにより、刃先のなじみ性を向上(空運転時間の短
縮)させることも可能である。
【0037】本発明で得られる表面処理ドクターブレー
ドは、グラビア印刷等の印刷用の用途に使用可能である
が、塗装用途、画像形成装置等に装備される残留トナー
除去用途等のその他の用途にも適宜使用可能である。ま
た、印刷あるいは塗装時に利用される、インキあるいは
塗料は、水性のものであれ、油性のものであれいずれも
利用可能である。
【0038】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明するが、本発明は以下の記載により限定されるもの
ではない。なお、実施例および比較例による表面処理ド
クターブレードめっき厚および表面硬度は下記の方法に
より測定した。 [ビッカース硬度]下記条件で、5点測定し、その平均
値をビッカース硬度(Hv)とした。 測定箇所:刃先表側(ロール回転方向表側)の刃先部、 測定機:株式会社 島津製作所製 HMV−2000、 測定条件:試験荷重25gf、保持時間10秒。 [めっき厚]刃先の断面を電子顕微鏡で観察し、めっき
厚を測定した。
【0039】実施例1 めっき工程1:板幅50mm、板厚0.15mm、刃先長さ
1.4mm、刃先先端厚0.07mm、片側、平行刃のドクタ
ーブレードスチール基材(鋼帯、全長50m)を、エン
ボス加工により表面に凹凸を付与した金属鋼帯よりなる
スペーサーとともにリールに渦巻状に巻き取り、リール
に巻いた状態のまま、50℃のアルカリ脱脂液(パクナ
RT-T60g/L)に15分間浸漬し、水洗後、塩酸活性
液中で15分間、塩酸活性処理し、さらに水洗した。そ
の後、SiCを分散させた無電解Niめっき液(日本カ
ニゼン(株)社製のめっき液、シューマ−SC−80−1:
20vol%、シューマ−SC−80−4:2vol%)中
に87℃でめっき厚が所定膜厚になるまで浸漬し、Si
Cを含有したセラミック分散ニッケル複合めっきを行い
水洗後、乾燥を行った。その後、スペーサーとブレード
を巻き戻し分割し、SiC粒子含有ニッケル−リン系複
合(Ni−P−SiC)単層めっきブレード1を得た。
【0040】表面調整工程:上記単層めっきブレード1
にバフ研磨を行い表面のめっき残渣等を完全に除去し、
平滑な単層めっきブレード2を得た。 めっき工程2:単層めっきブレード2を、再度、エンボ
ス加工により表面に凹凸を付与した金属鋼帯よりなるス
ペーサーとともにリールに渦巻状に巻き取り、リールに
巻いた状態のまま、50℃のアルカリ脱脂液(パクナRT
-T 50g/L)に5分間浸漬し、水洗後、塩酸活性液
中で3分間、塩酸活性処理し、さらに水洗した。その
後、4フッ化エチレン樹脂(1)を分散させた無電解N
iめっき液(日本カニゼン(株)社製のめっき液(カニ
フロン−0:20vol%、カニフロン−4A(4フッ
化エチレン樹脂(1)分散液):2vol%、pH5)中
に86℃で、めっき厚が所定膜厚になるまで浸漬し、4
フッ化エチレン樹脂を含有した有機樹脂分散ニッケル複
合めっきを行い水洗後、乾燥を行った。その後、スペー
サーとブレードを巻き戻し分割して、第1層のNi−P
−SiCめっき上に第2層の4フッ化エチレン樹脂
(1)粒子含有ニッケル−リン系複合めっき層(Ni−
P−PTFE(1))を有する2層めっきブレード1を
得た。 後処理工程:上記2層めっきブレード1に300℃×1
時間の焼鈍処理を行った後、所定の寸法に剪断した。こ
の表面処理ドクターブレードのビッカース硬度(Hv)
およびめっき厚を測定した。表1に第1層の膜厚
(A)、第2層の膜厚(B)、トータル膜厚(A+
B)、膜厚比(B/A)、第2層の4フッ化エチレン樹
脂含有量、第2層の膜厚(B)に対する4フッ化エチレ
ン樹脂粒子径の比、ビッカース硬度(Hv)の値をまと
めて示す。
【0041】(1)連続印刷特性 実施例1のブレードを装着した印刷機により油性インキ
および水性インキを使用して印刷を行い、印刷物にス
ジ、カブリ、カスレ、ニジミ等の印刷欠陥が発生した時
点をブレードの寿命とし、後述のSiC分散ニッケル−
リン複合単層めっきブレード(比較例1)の寿命と比較
して下記に示す基準により評価した。
【0042】 水性インキ使用時 油性インキ使用時 ◎ 1 1 ○ 2 1 △ 3 2または3 × 4 4
【0043】[評価基準] 1:寿命がSiC分散ニッケル−リン複合めっきブレー
ド(比較例1)より格段に優れる。 2:寿命がSiC分散ニッケル−リン複合めっきブレー
ド(比較例1)より若干優れる。 3:寿命がSiC分散ニッケル−リン複合めっきブレー
ド(比較例1)と同等。 4:寿命がSiC分散ニッケル−リン複合めっきブレー
ド(比較例1)より劣る。
【0044】(2)インキの掻き取り性 水性インキを使用し、実施例1のブレードを装着したグ
ラビア印刷機による印刷時の印刷速度を徐々に変化さ
せ、インキの掻き取り不良(カブリ等)が生じ始める印
刷速度を測定し、それを限界印刷速度とし、めっき処理
していないスチール品と下記の基準で比較して評価し
た。 ◎:限界印刷速度がスチール品の1.4倍以上 ○:限界印刷速度がスチール品の1.1倍以上1.4倍未満 △:限界印刷速度がスチール品の1.0倍以上1.1倍未満 ×:限界印刷速度がスチール品の1.0倍未満
【0045】(3)めっき密着性 めっきを施したドクターブレードを、JIS H 8504に準拠
し、所定角度に曲げ、次いで曲げられた、曲げ部にテー
プ剥離試験を実施し、めっきの剥離の有無を目視で観察
し、下記の基準により評価した。 ○:良好(めっき剥離無し)、 △:やや不良(めっき剥離若干あり)、 ×:不良(めっき剥離大)。 上記の結果をまとめて表1に示す。
【0046】実施例2 めっき工程:板幅50mm、板厚0.15mm、刃先長さ1.
4mm、刃先先端厚0.07mm、片側、平行刃のドクター
ブレードスチール基材(鋼帯、全長50m)を、荒いメ
ッシュ状の金網よりなるスペーサーとともにリールに渦
巻状に巻き取り、リールに巻いた状態のまま、50℃の
アルカリ脱脂液(パクナRT-T 60g/L)に15分間
浸漬し、水洗後、塩酸活性液中で15分間、塩酸活性処
理し、さらに水洗した。その後、SiCを分散させた無
電解Niめっき液(日本カニゼン(株)社製のめっき
液、シューマ−SC−80−1:20vol%、シューマ−
SC−80−4:2vol%)中に87℃でめっき厚が所定
膜厚になるまで浸漬し、SiCを含有したセラミック分
散ニッケル複合めっきを行い、水洗後、4フッ化エチレ
ン樹脂(1)を分散させた無電解Niめっき液(日本カ
ニゼン(株)社製のめっき液((カニフロン−0:20v
ol%、カニフロン−4A(4フッ化エチレン樹脂
(1)分散液):2vol%、pH5)中に86℃で、
めっき厚が所定膜厚になるまで浸漬し、4フッ化エチレ
ン樹脂を含有した有機樹脂分散ニッケル複合めっきを行
い水洗後、乾燥を行った。その後、スペーサーとブレー
ドを巻き戻し分割して、第1層のNi−P−SiCめっ
き上に第2層の4フッ化エチレン樹脂(1)粒子含有ニ
ッケル−リン系複合めっき層(Ni−P−PTFE
(1))を有する2層めっきブレード1を得た。 後処理工程:上記2層めっきブレード1に300℃×1
時間の焼鈍処理を行った後、所定の寸法に剪断した。こ
の表面処理ドクターブレードのビッカース硬度(H
v)、めっき厚、連続印刷特性、インキの掻き取り性お
よびめっき密着性等を実施例1と同様にして測定評価し
た結果を表1に示す。
【0047】比較例1 めっき工程1:板幅50mm、板厚0.15mm、刃先長さ
1.4mm、刃先先端厚0.07mm、片側、平行刃のドクタ
ーブレードスチール基材(鋼帯、全長50m)を、エン
ボス加工により表面に凹凸を付与した金属鋼帯よりなる
スペーサーとともにリールに渦巻状に巻き取り、リール
に巻いた状態のまま、50℃のアルカリ脱脂液(パクナ
RT-T60g/L)に15分間浸漬し、水洗後、塩酸活性液
中で15分間、塩酸活性処理し、さらに水洗した。その
後、SiCを分散させた無電解Niめっき液(日本カニ
ゼン(株)社製のめっき液、SC−80−1:20vol
%、SC−80−4:2vol%、pH4.7)中に87℃で、
めっき厚が所定膜厚になるまで浸漬し、SiCを含有し
たセラミック分散ニッケル複合めっきを行い水洗後、乾
燥を行った。その後、スペーサーとブレードを巻き戻し
分割し、Ni−P−SiC単層めっきブレード1を得
た、 表面調整工程:上記単層めっきブレード1にバフ研磨を
行い表面のめっき残渣等を完全に除去し、Ni−P−S
iC単層めっきブレード2を得た。 後処理工程:上記Ni−P−SiC単層めっきブレード
2に300℃×1時間の焼鈍処理を行った後、所定の寸
法に剪断した。この表面処理ドクターブレードのビッカ
ース硬度(Hv)、めっき厚、連続印刷特性、インキの
掻き取り性およびめっき密着性を実施例1と同様にして
測定評価した結果を表1に示す。
【0048】比較例2 めっき工程:板幅50mm、板厚0.15mm、刃先長さ1.
4mm、刃先先端厚0.07mm、片側、平行刃のドクター
ブレードスチール基材(鋼帯、全長50m)を、エンボ
ス加工により表面に凹凸を付与した金属鋼帯よりなるス
ペーサーとともにリールに渦巻状に巻き取り、リールに
巻いた状態のまま、50℃のアルカリ脱脂液(パクナRT
-T60g/L)に15分間浸漬し、水洗後、塩酸活性液中
で15分間、塩酸活性処理し、さらに水洗した。その
後、4フッ化エチレン樹脂を分散させた無電解Niめっ
き液(日本カニゼン(株)社製のめっき液((カニフロ
ン−0:20vol%、カニフロンー4A(4フッ化エ
チレン樹脂(1)分散液):2vol%、pH5)中に
86℃で、めっき厚が所定膜厚になるまで浸漬し、4フ
ッ化エチレン樹脂を含有した有機樹脂分散ニッケル複合
めっきを行い水洗後、乾燥を行った。その後、スペーサ
ーとブレードを巻き戻し分割し、4フッ化エチレン樹脂
(1)粒子含有ニッケル−リン系複合めっき(Ni−P
−PTFE(1))単層めっきブレード1を得た。 表面調整工程:上記単層めっきブレードにバフ研磨を行
い表面のめっき残渣等を完全に除去し、単層めっきブレ
ード2を得た。 後処理工程:上記単層めっきブレード2に300℃×1
時間の焼鈍処理を行った後、所定の寸法に剪断し。この
表面処理ドクターブレードのビッカース硬度(Hv)、
めっき厚、連続印刷特性、インキの掻き取り性およびめ
っき密着性等を実施例1と同様にして測定評価した結果
を表1に示す。
【0049】比較例3〜4,実施例3〜33 実施例1と同様に板幅50mm、板厚0.15mm、刃先長
さ1.4mm、刃先先端厚0.07mm、片側、平行刃のドク
ターブレードスチール基材(鋼帯、全長50m)に適宜
前処理を行った後、各種めっきを施して、表1に示す比
較例3〜4および実施例3〜33の表面処理ドクターブ
レードを作成した。これら表面処理ドクターブレードに
ついてビッカース硬度(Hv)、めっき厚、連続印刷特
性、インキの掻き取り性およびめっき密着性を実施例1
と同様にして測定評価した結果を表1に示す。また、表
2にめっき中に分散させた8種類の4フッ化エチレン樹
脂粒子(PTFE(1)〜PTFE(8))の平均粒子
径を示す。
【0050】実施例34 めっき工程1:板幅50mm、板厚0.15mm、刃先長さ
1.4mm、刃先先端厚0.07mm、片側、平行刃のドクタ
ーブレードスチール基材(鋼帯、全長50m)を、連続
的に電解処理(パクナエクレーターJ:50m/l、N
aOH:50g/l、30℃,2.5A)し水洗後、電気
クロムめっき(無水クロム酸:250g/l、H2
4:2.5g/L、HEEF25C:20ml/l、浴温50℃)
でめっき厚が所定膜厚になるようにめっき電流およびめ
っき時間を調整し、単層クロムめっきブレード1を作成
した。 表面調整工程:上記単層クロムめっきブレード1にバフ
研磨を行い表面のめっき残渣等を完全に除去し、単層ク
ロムめっきブレード2を得た。 めっき工程2:単層クロムめっきブレード2を、再度、
エンボス加工により表面に凹凸を有した金属鋼帯よりな
るスペーサーとともにリールに渦巻状に巻き取り、リー
ルに巻いた状態のまま、50℃のアルカリ脱脂液(パク
ナRT-T50g/L)に5分間浸漬し、水洗後、塩酸活性
液中で3分間、塩酸活性処理し、さらに水洗した。その
後、4フッ化エチレン樹脂(1)を分散させた無電解N
iめっき液(日本カニゼン(株)社製のめっき液(カニ
フロン−0:20vol%、カニフロン−4A(4フッ
化エチレン樹脂(1)分散液):2vol%、pH5)
中に86℃で、めっき厚が所定膜厚になるまで浸漬し、
4フッ化エチレン樹脂を含有した有機樹脂分散ニッケル
複合めっきを行い水洗後、乾燥を行った。その後、スペ
ーサーとブレードを巻き戻し分割して第1層のクロム
(Cr)めっき上に第2層の4フッ化エチレン樹脂
(1)粒子含有ニッケル−リン系複合めっき層(Ni−
P−PTFE(1))を有する2層めっきブレード1を
得た。 後処理工程:上記2層めっきブレード1に300℃×1
時間の焼鈍処理を行った後、所定の寸法に専断した。こ
の表面処理ドクターブレードのビッカース硬度(H
v)、めっき厚、連続印刷特性、インキの掻き取り性お
よびめっき密着性等を実施例1と同様にして測定評価し
た結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、寿命が向上し、高品質
の印刷を安定して行える表面処理ドクターブレードを低
コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ドクターブレードを使用するグラビア(凹
版)印刷の説明図である。
【図2】 図1の部分拡大図である。
【符号の説明】
1 シリンダー 2 ドクターブレード 3 インキ 4 めっき層 a ブレード/シリンダ接触界面領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 5/14 C25D 5/14 7/00 7/00 U 15/02 15/02 Q Fターム(参考) 2C034 CA02 CA04 4K022 AA02 AA31 AA41 BA07 BA13 BA34 DA01 4K024 AA02 AA03 AB02 AB12 BA02 BB16 BC10 GA03 4K044 AA02 AB02 BA02 BA06 BA21 BB03 BB11 BC01 BC02 BC06 CA04 CA15 CA18 CA53

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも刃先部の表面が、第1層とし
    てニッケル系めっきまたはクロム系めっき(ただし、め
    っき中に有機樹脂粒子が分散した有機樹脂分散複合めっ
    きは除く。)、その上層に第2層としてフッ素系樹脂粒
    子を含有する有機樹脂分散複合めっきよりなる表面処理
    ドクターブレード。
  2. 【請求項2】 ビッカース硬度(Hv)が400〜1500
    である請求項1に記載の表面処理ドクターブレード。
  3. 【請求項3】 第1層のめっきが、SiC粒子を含有し
    たニッケル−リン系複合めっきである請求項1または2
    に記載の表面処理ドクターブレード。
  4. 【請求項4】 第2層のめっきが、0.05〜10μmのフ
    ッ素系樹脂粒子を含有する有機樹脂分散複合めっきであ
    る請求項1から3のいずれか1項に記載の表面処理ドク
    ターブレード。
  5. 【請求項5】 フッ素系樹脂の粒子径が、第2層のめっ
    き厚の1.2倍以下である請求項4に記載の表面処理ドク
    ターブレード。
  6. 【請求項6】 フッ素系樹脂粒子が4フッ化エチレン樹
    脂、パーフロロアルコキシ樹脂およびフッ化エチレンプ
    ロピレン樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂粒
    子である請求項1から5のいずれか1項に記載の表面処
    理ドクターブレード。
  7. 【請求項7】 第1層のめっき厚(A)および第2層の
    めっき厚(B)の合計が、2μm≦A+B≦30μmで
    ある請求項1から6のいずれか1項に記載の表面処理ド
    クターブレード。
  8. 【請求項8】 第1層のめっき厚(A)および第2層の
    めっき厚(B)の比(B/A)が0.02≦B/A≦1.3で
    ある請求項7に記載の表面処理ドクターブレード。
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