JP2007070749A - 樹脂被覆ガラス繊維織物及び樹脂被覆ガラス繊維束並びにこれらの製造方法 - Google Patents

樹脂被覆ガラス繊維織物及び樹脂被覆ガラス繊維束並びにこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ガラス繊維束と被覆する樹脂との接着性が高く、耐熱性ブラインド等を製造したときの耐久性に優れる樹脂被覆ガラス繊維織物及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、この樹脂被覆ガラス繊維織物に用いられる樹脂被覆ガラス繊維束及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ガラス繊維束に有機樹脂を含む第一の処理液を塗布し、加熱により有機樹脂をガラス繊維束に付着させ、樹脂付着ガラス繊維束とするプレコート工程と、樹脂付着ガラス繊維束に熱可塑性樹脂を含む第二の処理液を塗布し、加熱により熱可塑性樹脂で樹脂付着ガラス繊維束を被覆する被覆工程と、を備える、樹脂被覆ガラス繊維束の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂被覆ガラス繊維織物及び樹脂被覆ガラス繊維束並びにこれらの製造方法に関する。
樹脂被覆ガラス繊維織物は耐熱性を有するため、従来から様々な用途に用いられている。このような樹脂被覆ガラス繊維織物は、一般に、ガラス繊維織物を樹脂被覆処理したり、樹脂被覆ガラス繊維束を製織することによって製造される。
ところで、従来から樹脂被覆ガラス繊維束を製織して樹脂被覆ガラス繊維織物を製造する工程において、柔軟性及び製織性を付与するために、熱可塑性樹脂を可塑剤に分散させた樹脂組成物でガラス繊維束を被覆する製造方法や、水と、ポリオレフィン粒子と、エチレン・酢酸ビニル系共重合体粒子とを含有する水分散型ガラス繊維用被覆剤でガラス繊維束を被覆する製造方法が知られている(特許文献1参照)。
特開2001−294448号公報
しかしながら、上記従来からの製造方法や特許文献1に記載の製造方法は、樹脂被覆ガラス繊維織物を製造する際に被覆剤がガラス繊維束から剥離するのを確実に防止するためには十分ではなく、改善の余地を有する。
また、被覆剤とガラス繊維束との接着性が十分ではないことに基づいて、ガラス繊維束に被覆剤が付着していない部分が存在すると、そのガラス繊維束を用いたガラス繊維織物を例えば耐熱性ブラインドとして用いた場合に、耐久性に劣る場合がある。さらに、着色料により着色を行う場合は、未付着部分の存在が、耐熱性ブラインドの着色不良を引き起こす原因となる。
そこで、本発明は、ガラス繊維束と被覆する樹脂との接着性が高く、耐熱性ブラインド等を製造したときの耐久性に優れる樹脂被覆ガラス繊維織物及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、この樹脂被覆ガラス繊維織物に用いられる樹脂被覆ガラス繊維束及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の樹脂被覆ガラス繊維束の製造方法は、ガラス繊維束に有機樹脂を含む第一の処理液を塗布し、加熱により有機樹脂をガラス繊維束に付着させ、樹脂付着ガラス繊維束とするプレコート工程と、樹脂付着ガラス繊維束に熱可塑性樹脂を含む第二の処理液を塗布し、加熱により熱可塑性樹脂で樹脂付着ガラス繊維束を被覆する被覆工程と、を備えることを特徴とする。
本発明のガラス繊維束の製造方法によれば、ガラス繊維束に有機樹脂を含む第一の処理液を塗布し、加熱することにより、有機樹脂が被膜化してガラス繊維束に付着された樹脂付着ガラス繊維束が得られる。そして、この樹脂付着ガラス繊維束に熱可塑性樹脂を含む第二の処理液を塗布し、加熱することにより、樹脂付着ガラス繊維束の周囲が熱可塑性樹脂により被覆される。このように、本発明のガラス繊維束の製造方法は、プレコート工程において、予め有機樹脂をガラス繊維束に付着させるため、被覆工程において被覆される熱可塑性樹脂のガラス繊維束に対する接着性が優れるようになる。このため、本発明のガラス繊維束の製造方法は、ガラス繊維束を直接熱可塑性樹脂で被覆する場合に比べて、熱可塑性樹脂による被覆が容易になり被覆不良が生じ難い。したがって、得られる樹脂被覆ガラス繊維束において、熱可塑性樹脂の剥離や脱落が防止される。
さらに、樹脂被覆ガラス繊維束を後述する方法で着色した場合であっても、着色された熱可塑性樹脂の剥離や脱落を少なくできるため意匠性が向上する。
また、上記製造方法で得られる樹脂被覆ガラス繊維束は、適度の柔軟性を有し、引張強度、結節強度(繊維束を結んだ状態での引張強度)、および耐摩擦性に優れているため、製織性を向上させることができる。こうして製造される樹脂被覆ガラス繊維織物は耐熱性ブラインド等の用途に好適に用いることができ、この耐熱性ブラインド等は、熱可塑性樹脂がガラス繊維束から剥離し難いものであるため、耐久性に優れるものとなる。なお、上記熱可塑性樹脂に着色料を含有させ、全面に着色した樹脂被覆ガラス繊維束としても着色不良が生じることがなく、意匠性が向上する。
上記効果が得られる理由は、有機樹脂がガラス繊維束にプレコートされているため、ガラス繊維束に対する熱可塑性樹脂の濡れ性が向上し、ガラス繊維束を構成するガラス繊維モノフィラメント間への熱可塑性樹脂の侵入が生じていることに起因するものと考えられる。
また、上記被覆工程後に、樹脂被覆ガラス繊維束の周囲を全て着色させないようにして樹脂被覆ガラス繊維束の長さ方向に連続的に着色料を塗布する着色工程を更に備えることもできる。このようにして得られる樹脂被覆ガラス繊維束を用いて樹脂被覆ガラス繊維織物を製造した場合、さらに優れた意匠性を有する樹脂被覆ガラス繊維織物が得られる。
上記着色工程において、搬送速度V1(m/分)で搬送されている樹脂被覆ガラス繊維束を、搬送方向と同方向に周速V2(m/分)で回転する着色料を塗布するためのローラに接触させて着色が行われ、周速V2が10〜50(m/分)であり、V1及びV2が、下記式(1)に示す関係を満たすことが好ましい。
V1−V2=200〜300(m/分) (1)
このように製造することによって、熱可塑性樹脂の接着性を低下させることなく、樹脂被覆ガラス繊維束の周囲全てが着色されずに一部のみ着色され、しかも長さ方向に連続して着色された樹脂被覆ガラス繊維束とすることが可能となる。また、この着色工程を経て得られる樹脂被覆ガラス繊維束は、着色濃度の均一性により優れる。
上述した製造方法により得られる樹脂被覆ガラス繊維束は、適度の柔軟性を有し、しかも引張強度、結節強度、耐摩擦性、および製織性に優れているので、容易に樹脂被覆ガラス繊維織物を製造することができる。
樹脂被覆ガラス繊維織物の製造方法は、上述の樹脂被覆ガラス繊維束を経糸及び緯糸として製織する製織工程と、緯糸及び経糸の周囲の熱可塑性樹脂を溶融させ、製織された上記経糸及び緯糸を接着させる接着工程とを備える。
なお、樹脂被覆ガラス繊維束が着色されたものであれば、意匠性に優れた樹脂被覆ガラス繊維織物とすることも可能である。
また、上記樹脂被覆ガラス繊維織物の製造方法において、上述の着色工程により、周囲を全て着色させないように着色料を塗布した樹脂被覆ガラス繊維束を経糸及び緯糸の少なくとも一方に用いて製織すれば、筋状の模様を有し、さらに意匠性に優れた樹脂被覆ガラス繊維織物が得られる。
こうして得られる樹脂被覆ガラス繊維織物は耐久性に優れ、耐熱性ブラインド等の用途に好適に用いることができる。
本発明によれば、ガラス繊維束と被覆する熱可塑性樹脂との接着性が高く、耐熱性ブラインド等を製造したときの耐久性に優れる樹脂被覆ガラス繊維織物及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、この樹脂被覆ガラス繊維織物に用いられる樹脂被覆ガラス繊維束及びその製造方法が提供される。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、本実施形態に係る樹脂被覆ガラス繊維織物を示す部分斜視図である。図1に示すように樹脂被覆ガラス繊維織物10は、樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bから構成されている。
本実施形態の樹脂被覆ガラス繊維織物10は、織布方法を平織りとして作製されており、樹脂被覆ガラス繊維束11aを緯糸、樹脂被覆ガラス繊維束11bを経糸として図示のように互いに織り合わせることによって構成されている。
この樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bは、互いに熱可塑性樹脂によって接着されている。また、この樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bのうち、樹脂被覆ガラス繊維束11aは、当該樹脂被覆ガラス繊維束11aの周囲を全て着色させないようにして長さ方向に連続的に着色料が塗布されている。
図2は樹脂被覆ガラス繊維織物10の樹脂被覆ガラス繊維束11bの長さ方向に対して垂直に樹脂被覆ガラス繊維織物10を切断したときの部分断面図である。図2に示すように、樹脂被覆ガラス繊維織物10は、樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bから構成され、樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bはいずれもガラス繊維束14の表面上にプレコートされた有機樹脂15を有する。さらに、当該有機樹脂15の表面上は、熱可塑性樹脂12によって被覆されている。また、樹脂被覆ガラス繊維束11aは、当該樹脂被覆ガラス繊維束11aの周囲を全て着色させないようにして長さ方向に連続的に着色料13が塗布されている。
上記樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bは、被覆された熱可塑性樹脂12同士を接着させることによって目止め処理されている。また、樹脂被覆ガラス繊維束11bが樹脂被覆ガラス繊維束11aの着色料13の面上に位置するときは、上記樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bは、樹脂被覆ガラス繊維束11bの熱可塑性樹脂12と、樹脂被覆ガラス繊維束11aの着色料13とを接着させることによって目止め処理されている。
図3(a)は、本実施形態の樹脂被覆ガラス繊維織物10を構成する樹脂被覆ガラス繊維束11aを当該樹脂被覆ガラス繊維束11aの長さ方向に対して垂直に切断した断面図であり、図3(b)は、本実施形態の樹脂被覆ガラス繊維織物10を構成する樹脂被覆ガラス繊維束11bを当該樹脂被覆ガラス繊維束11bの長さ方向に対して垂直に切断した断面図である。
図3(a)に示すように、樹脂被覆ガラス繊維束11aは、ガラス繊維束14の表面上に順次、有機樹脂15、熱可塑性樹脂12を被覆し、当該熱可塑性樹脂12上に着色料13が塗布された構成を有している。また、図3(b)に示すように、樹脂被覆ガラス繊維束11bは、着色料13が塗布されていない以外は樹脂被覆ガラス繊維束11aと同様の構成である。
上述した樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bはいずれも有機樹脂15を有するため、ガラス繊維束を直接熱可塑性樹脂で被覆する場合に比べて、被覆が容易になり被覆不良が生じ難い。したがって、得られる樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bにおいて、熱可塑性樹脂12の剥離や脱落が防止される。
本実施形態に係る樹脂被覆ガラス繊維織物10は、上述したように樹脂被覆ガラス繊維束11aを着色しているため、着色された熱可塑性樹脂12の剥離や脱落を少なくでき、意匠性が向上する。
また、上記樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bは、引張強度、結節強度、耐摩擦性に優れるものとすることができ、この樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bを用いて容易に樹脂被覆ガラス繊維織物10を製造することができる。こうして製造される樹脂被覆ガラス繊維織物10は耐熱性ブラインド等の用途に好適に用いることができ、この耐熱性ブラインド等は、熱可塑性樹脂12がガラス繊維束14から剥離し難いものであるため、耐久性に優れる。
ガラス繊維束14に対する有機樹脂15の付着量は、ガラス繊維束100質量部を基準として、3〜5質量部であることが好ましい。有機樹脂の付着量が上記範囲内であると、後述する被覆工程後の熱可塑性樹脂とガラス繊維束との接着性をより向上させることができる。上記有機樹脂15の付着量を上記の範囲にすることにより、熱可塑性樹脂とガラス繊維束の接着性を向上させることができる。
また、有機樹脂15の表面を被覆する熱可塑性樹脂12の付着量は、ガラス繊維束100質量部を基準として、50〜300質量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂の付着量が上記範囲内であると、ガラス繊維束に有機樹脂が付着した樹脂付着ガラス繊維束を十分に被覆し、かつ熱可塑性樹脂と樹脂付着ガラス繊維束との接着性をより向上させることができる。上記熱可塑性樹脂の付着量が50質量部未満であると、強度が低下する傾向にあり、樹脂付着ガラス繊維束の周囲方向が全て被覆されない場合が生じうる。一方、熱可塑性樹脂の付着量が300質量部を超えると、付着量の増加に伴う接着性の向上が認められないばかりでなく、ガラス繊維束の柔軟性が低下したり、被覆むらが発生することがある。
次に、本発明の樹脂被覆ガラス繊維織物10の製造方法について説明する。
まず、ガラス繊維束14を製造する。図4は、本実施形態のガラス繊維束14を示す斜視図である。このガラス繊維束14は、図4に示すようにガラス繊維フィラメント18を集束したものである。ガラス繊維フィラメント18は、ガラスを溶融して得られた溶融ガラスを延伸することによって得られる。ガラス組成としては、Eガラス、Sガラス、Cガラス等公知のガラスが用いられる。
上記ガラス繊維フィラメント18の直径は、柔軟性、強度の観点から3〜17μmであることが好ましい。
なお、このガラス繊維束14は、ガラス繊維フィラメント18を集束することによって得ることができるが、このときガラス繊維用集束剤を用いてもよい。
上記ガラス繊維束14の番手は、20〜150texであることが好ましく、30〜100texであることがより好ましい。また、用いられるガラス繊維束には、柔軟性を付与する目的で捲縮や仮撚りを施すことも可能である。
次に、上記ガラス繊維束14に、有機樹脂15をプレコートする(プレコート工程)。具体的には、有機樹脂15を含む第一の処理液を塗布し、加熱することにより、有機樹脂15をガラス繊維束14にプレコートする。
上記有機樹脂15としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂12と相溶性に優れるものであることが好ましい。具体的には、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。この場合、上記有機樹脂15と熱可塑性樹脂12との接着性をより優れるものとすることができる。なお、上記有機樹脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記有機樹脂15はガラス繊維束内部にまで付着させることが好ましいため、有機溶剤や水等の溶媒で希釈されていることが好ましい。例えば、有機溶剤で希釈した場合は、有機樹脂15を容易にガラス繊維束に含浸させることができ、水で希釈した場合は、有機樹脂15をガラス繊維束に含浸させることができるとともに、作業環境にも優れる。
なお、上記第一の処理液は、有機樹脂15を上記溶媒に溶解したものであっても、分散させたものであってもよい。
第一の処理液の塗布方法としては、含浸法、塗布法、スプレー法等の方法を用いることができる。これらの中でも含浸法を用いることが好ましい。ここで、含浸法は、ガラス繊維束14の内部まで第一の処理液を浸透させる方法であり、有機樹脂15をガラス繊維束14の内部にまでプレコートすることができる。したがって、この場合、熱可塑性樹脂12とガラス繊維束14との接着性をより向上させることができる。
上記のようにしてガラス繊維束14に第一の処理液を塗布した後は、第一の処理液を加熱する。第一の処理液を加熱することによって、第一の処理液に含まれる溶媒の蒸発が促進されるとともに、有機樹脂15が被膜化して、ガラス繊維束14に付着した樹脂付着ガラス繊維束が得られる。
上記加熱条件は上記有機樹脂15が被膜化される条件であれば特に限定されないが、例えば200〜400℃の温度で、1〜30秒行うことが好ましい。加熱条件がこの範囲であると、有機樹脂15を十分に被膜化することができ、作業性もよい。
また、上記方法では、第一の処理液の塗布と加熱とを繰り返すことによって、ガラス繊維束14に付着する有機樹脂15の厚さを調整することも可能である。
上記第一の処理液は、JIS規格K5400 4.5.4 フォードカップNO4法に準拠した測定方法での粘度が60〜90秒であることが好ましい。粘度がこの範囲であると、第一の処理液をガラス繊維束に均一に塗布することができる。この粘度が60秒未満であると、上記範囲にある場合と比較して、有機樹脂15の付着量が少なくなる傾向にあり、90秒を超えると、上記範囲にある場合と比較して、有機樹脂15がガラス繊維束に均一に塗布され難くなることに加え、有機樹脂15が斑状となったり、有機樹脂15のガラス繊維束への含浸性が低下し、ガラス繊維束と熱可塑性樹脂の接着力が低下することがある。
上記第一の処理液には、ガラス繊維束14に機能性を付与するために、シランカップリング剤、潤滑剤、難燃剤、難燃助剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防カビ剤、充填剤、着色料等が含まれてもよい。
上記のようにしてガラス繊維束14に有機樹脂15をプレコートした後は、有機樹脂15の表面を、熱可塑性樹脂12で更に被覆する(被覆工程)。具体的には、熱可塑性樹脂12を含む第二の処理液を樹脂付着ガラス繊維束に塗布し、加熱することにより、樹脂被覆ガラス繊維束の表面を更に熱可塑性樹脂12で被覆する。
上記熱可塑性樹脂12としては、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等を用いることができる。なお、上記熱可塑性樹脂12は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記第二の処理液は、熱可塑性樹脂12を上記溶媒に分散または溶解させたものや、可塑剤に分散させたものであってもよい。この場合、溶媒として有機溶剤を用いた場合は第二の処理液の乾燥が容易となり、溶媒として水を用いた場合は作業環境に優れ、可塑剤に分散させたものは熱可塑性樹脂12の付着量を大きくすることができ、さらに柔軟な樹脂被覆ガラス繊維束を得ることが可能となる。
ここで、上記可塑剤としてはフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)、フタル酸ジイソニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)などが挙げられる。
第二の処理液の塗布方法としては、含浸法、塗布法、スプレー法等を用いることができる。これらの中でも含浸法により上記第二の処理液を上記ガラス繊維束14に浸透させることが好ましい。この場合、得られる樹脂被覆ガラス繊維束10は有機樹脂15の表面が均一に熱可塑性樹脂12で被覆されたものとなる。こうして形成される熱可塑性樹脂12は、ガラス繊維束14との接着性に優れるものとなる。
上記のようにして樹脂付着ガラス繊維束に第二の処理液を塗布した後は、第二の処理液を加熱する。第二の処理液を加熱することによって、第二の処理液に含まれる溶媒の蒸発が促進され、樹脂付着ガラス繊維束の周囲が熱可塑性樹脂により被覆される。
上記加熱条件は樹脂付着ガラス繊維束を熱可塑性樹脂で被覆できる条件であれば、特に限定されないが、例えば200〜400℃の温度で、1秒〜1分行うことが好ましい。加熱条件がこの範囲であると、樹脂付着ガラス繊維束を確実に熱可塑性樹脂12で被覆することができ、作業性もよい。
また、上記方法では、第二の処理液の塗布と加熱とを繰り返すことによって、有機樹脂15の表面を被覆する熱可塑性樹脂12の量を調整することが可能である。
上記第二の処理液の粘度は、JIS規格K5101.6.2「顔料試験方法 回転粘度計法」に準拠した流動性の測定方法による粘度がBH型で400〜1500mPaであることが好ましい。粘度がこの範囲内であると、第二の処理液を樹脂付着ガラス繊維束に均一に塗布することができる。この粘度が400mPa未満であると、上記範囲にある場合と比較して、熱可塑性樹脂12の付着量が少なくなる傾向にあり、後述する着色料も均一にガラス繊維束に塗布することが困難となる傾向にある。一方、粘度が1500mPaを超えると、上記範囲にある場合と比較して、熱可塑性樹脂12が均一に樹脂付着ガラス繊維束に塗布され難くなり、斑状となる傾向にある。
上記第二の処理液は、ガラス繊維束に機能性を付与するために、シランカップリング剤、潤滑剤、難燃剤、難燃助剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防カビ剤、充填剤、着色料等を含んでいてもよい。
上記のようにして樹脂付着ガラス繊維束の表面を熱可塑性樹脂12で被覆し、樹脂被覆ガラス繊維束11bとした後は、この樹脂被覆ガラス繊維束11bに、周囲を全て着色させないようにして長さ方向に連続的に着色料を塗布する。すなわち、熱可塑性樹脂12の表面に着色料15を塗布する(着色工程)。
本実施形態においては、樹脂被覆ガラス繊維束11bに対し、着色料塗布装置を用いて着色料13を塗布する。図5は、本実施形態に係る着色料塗布装置を示す概略図である。図5に示すように、着色料塗布装置は、回転軸16と、回転軸16に取り付けられた回転ローラ19とを備えている。回転ローラ19は回転軸16を中心として回転可能となっている。回転ローラの外周面19aの一部は着色料13を含有する処理液(以下「第三の処理液」という。)15a内に浸漬されており、回転ローラ19が回転することによって回転ローラの外周面19aに第三の処理液15aが付着されるようになっている。
この回転ローラの外周面19aに樹脂被覆ガラス繊維束11bを接触させ、矢印A方向に進行させると共に、回転ローラ19を矢印B方向に回転させることにより、回転ローラの外周面19a上の第三の処理液15aを、樹脂被覆ガラス繊維束11bに塗布する。こうして樹脂被覆ガラス繊維束11aが得られる。この樹脂被覆ガラス繊維束11aは、樹脂被覆ガラス繊維束11aの周囲を全て着色させないようにして長さ方向に連続的に第三の処理液が塗布されたものとなる。
上記回転ローラの周速(V2)は、10〜50m/分であることが好ましい。V2が10m/分未満であると、樹脂被覆ガラス繊維束11bに付着させる着色料13の付着量が少なくなることがあり、50m/分を超えると樹脂被覆ガラス繊維束11bに均一に着色料13を付着させることが困難になることがある。
上記着色工程は、樹脂被覆ガラス繊維束11bを搬送速度(V1)で導入し、周速V2の回転ローラ19に接触させる場合において、搬送速度V1と回転ローラ19の周速V2との差ΔV(=V1−V2)は、200〜300m/分であることが好ましい。搬送速度と回転ローラ19の周速の差が上記範囲内であると、樹脂被覆ガラス繊維束11bに上記第三の処理液15aを塗布するとき、回転ローラの外周面19a上の第三の処理液15aが、樹脂被覆ガラス繊維束11bにより適度の液きり現象を生じ、樹脂被覆ガラス繊維束が比較的細くても所望の態様で塗布することが可能となる。換言すれば、樹脂被覆ガラス繊維束11bに第三の処理液15aを部分的に塗布することが可能となる。このように第三の処理液15aを樹脂付着ガラス繊維束11bの部分的に塗布することができれば、意匠性に優れた後述するガラス繊維織物を製造することが可能となる。また、上記ΔVが、200m/分未満であると、上記範囲にある場合と比較して、第三の処理液15aが樹脂付着ガラス繊維束11bの全面に塗布されるようになり、樹脂付着ガラス繊維束11bの周方向に部分的に塗布させたい場合にコントロールすることが困難となる傾向にある。一方、上記ΔVが、300mを超えると、上記範囲にある場合と比較して、着色面積が少なくなり適度な着色面積を得られない傾向にある。
また、V2が10〜50m/分で回転する回転ローラへの第三の処理液のピックアップ量を考慮すると、上記回転ローラ19の直径は50〜300mmであることが好ましい。
また、上記樹脂被覆ガラス繊維束11bと回転ローラ19とが接する点において、樹脂被覆ガラス繊維束11bの搬送方向と、回転ローラ19の上記接点における接線方向が同一であることが好ましい。この場合、樹脂被覆ガラス繊維束11bに毛羽が生じることを防止することができ、さらに第三の処理液15aを樹脂被覆ガラス繊維束11bに、より均一に塗布することができる。
上記着色料13を塗布する方法は、本実施形態においては、回転ローラを用いて第三の処理液を樹脂被覆ガラス繊維束に付着しているが、当該方法に限定されず、スプレー等の方法で塗布することも可能である。
上記着色料13としては、顔料、水性染料、油性染料等が挙げられる。これらの着色料13は、用途に応じて適宜選択して用いることができる。なお、樹脂被覆ガラス繊維束毎に色を変える等、多色を用いることも可能である。また、第一及び第二の処理液が着色料を含有する場合は第三の処理液15aに含有する着色料13は、第一及び第二の処理液の着色料と異なった色調を有するものを選択することにより、断面方向で2色の樹脂被覆ガラス繊維束を得ることができる。
上記第三の処理液15aは、上記着色料13を上記溶媒に分散または溶解させたものであってもよい。この場合、溶媒として有機溶剤を用いた場合は第三の処理液15aの乾燥が容易となり、溶媒として水を用いた場合は作業環境に優れる。
この第三の処理液15aには、上記第一の処理液における有機樹脂15等の樹脂が含まれることが好ましい。樹脂が含まれることによって、第三の処理液15aに含まれる着色料13を、樹脂被覆ガラス繊維束11bにより強固に付着させることができる。上記第三の処理液15aは、作業性を考慮すると、上記第一の処理液に着色料13を加えたものであることが好ましい。
上記第三の処理液15aの粘度は、上記第一の処理液と同程度の粘度、即ちJIS規格K5400 4.5.4 フォードカップNO4法に準拠した測定方法による粘度が60〜100秒であることが好ましい。粘度がこの範囲内であると、第三の処理液15aを樹脂被覆ガラス繊維束に十分に付着させることができる。この粘度が60秒未満であると、上記範囲にある場合と比較して、着色料13の付着量が少なくなる傾向にあり、一方、粘度が100秒を超えると、上記範囲にある場合と比較して、着色料13が樹脂被覆ガラス繊維束に均一に塗布され難くなる傾向にある。
上記第三の処理液15aは、樹脂被覆ガラス繊維束11bに機能性を付与するために、更にシランカップリング剤、潤滑剤、難燃剤、難燃助剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防カビ剤、充填剤等を含んでいてもよい。
第三の処理液15aに溶媒が含まれる場合は、第三の処理液15aを塗布した後に、第一の処理液を塗布した後の加熱条件と同じ条件などで加熱することが好ましい。この場合、第三の処理液15aを加熱することで、処理液中の溶媒が十分に除去されるため、着色料を確実に付着できる。
次に、上述した樹脂被覆ガラス繊維束11aを経糸とし、樹脂被覆ガラス繊維束11bを緯糸として製織する(製織工程)。
製織は、経糸及び緯糸として樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bを用いる以外は、公知の方法を用いて行えばよい。なお、このとき経糸として用いる樹脂被覆ガラス繊維束11aに塗布される着色料は、樹脂被覆ガラス繊維束11aの長さ方向に沿って蛇行していてもよく、らせん状に巻かれていてもよい。また、経糸である樹脂被覆ガラス繊維束11aは捻じれていてもよい。
次に、得られた樹脂被覆ガラス繊維織物を加熱し、樹脂被覆ガラス繊維束11a及び11bに付着している熱可塑性樹脂12を溶融し、これらの樹脂被覆ガラス繊維束同士を接着する(接着工程)。そうすると、ガラス繊維束同士を目止めすることができる。このことより、得られる樹脂被覆ガラス繊維織物は、長期間使用した場合であっても、耐久性に優れるものとなる。
上記熱可塑性樹脂12を溶融し、樹脂被覆ガラス繊維束同士を接着させる場合は、必要に応じて加圧処理してもよい。具体的には、シリンダー加圧、エアー加圧、自重による加圧等の加圧処理が可能である。
また、溶融するときの温度および加熱時間は、第一の処理液、第二の処理液、及び第三の処理液に含まれる樹脂の融点を考慮して設定すればよい。
こうして得られる本実施形態の樹脂被覆ガラス繊維織物10は、強度、寸法安定性、耐候性、耐久性等に優れるため、耐熱性ブラインド、構造物表面保護用クロス、吸音・断熱用ネット、防虫ネットなどの様々な用途に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の樹脂被覆ガラス繊維束は、次のような構成であっても構わない。
例えば、上記本発明の実施形態においては、緯糸として部分的に着色した樹脂被覆ガラス繊維束を用い、経糸として全体にわたり着色している樹脂被覆ガラス繊維束を用いているが、経糸及び緯糸のいずれもが着色されていなくてもよく、着色されていてもよい。また、経糸及び/又は緯糸が着色されている場合は、部分的ではなく全体が着色されていてもよい。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ガラス繊維束)
フィラメント直径7μmのガラス繊維フィラメントを複数本束ね、45texのガラス繊維束を製造した。
(第一の処理液)
カネビラックL−EY(有機樹脂、ソーダニッカ社製塩化ビニル酢酸ビニル共重合体)を42.3部、アセトン(溶媒)を160部混合し、第一の処理液とした。なお、第一の処理液のJIS規格K5400 4.5.4 フォードカップNO4法に準拠した粘度は75秒であった。
(第二の処理液)
DOP(可塑剤、シージーエスター社製)を40部、レオフォス65(難燃剤、味の素社製)を18部、ノニオンN204.5(界面活性剤、日本油脂社製)を0.9部、ペーストカラー1005(白色顔料、日弘ビックス社製)を8部、ハイジライトH−31(難燃剤、昭和電工社製)を36部、ZEST P28(熱可塑性樹脂(塩化ビニル樹脂)、新第一塩ビ社製)を100部混合し、第二の処理液とした。なお、第二の処理液のJIS規格K5101.6.2「顔料試験方法 回転粘度計法」に準拠した流動性の測定方法による粘度はBH型で510mPaであった。
(第三の処理液)
上記第一の処理液に、ポリトンオレンジ J 560−W(顔料、大日本インキ化学工業社製)を2部加え、第三の処理液とした。なお、第三の処理液BのJIS規格K5400 4.5.4 フォードカップNO4法に準拠した粘度は80秒であった。
[実施例1]
上記第一の処理液を上記ガラス繊維束に含浸させ、直径0.25mmのダイスを通過させて絞液し、300℃で3秒間加熱した。得られたプレコートガラス繊維束に第二の処理液を含浸させ、直径0.415mmのダイスを通過させて絞液し、300℃、10秒間加熱し樹脂被覆ガラス繊維束A1を得た。この樹脂被覆ガラス繊維束A1は、ガラス繊維束100質量部に対して、163質量部の熱可塑性樹脂が付着していた。なお、プレコート工程及び被覆工程における搬送速度は250m/分とした。
[実施例2]
上記樹脂被覆ガラス繊維束A1を直径は100mmの回転ローラに接触させ、樹脂被覆ガラス繊維束に第三の処理液を、樹脂被覆ガラス繊維束の周囲を全て着色させないようにして長さ方向に連続的に塗布し、300℃で3秒間加熱し樹脂被覆ガラス繊維束B1を得た。なお、このときの回転ローラの周速V2は25m/分とし、樹脂被覆ガラス繊維束の搬送速度Vは250m/分とした。
[実施例3]
上記樹脂被覆ガラス繊維束B1の作製において、回転ローラの周速V2を50m/分としたこと以外は樹脂被覆ガラス繊維束B1の作製に準じて実施し、樹脂被覆ガラス繊維束B2を得た。
[比較例1]
上記プレコート工程を行わない以外は樹脂被覆ガラス繊維束A1の作製に準じて各工程を実施し、樹脂被覆ガラス繊維束A2を得た。
[比較例2]
上記樹脂被覆ガラス繊維束B1の作製において、樹脂被覆ガラス繊維束A1に換え、樹脂被覆ガラス繊維束A2を用いた以外は、樹脂被覆ガラス繊維束B1の作製に準じ実施し、樹脂被覆ガラス繊維束B3を得た。
(評価と結果)
[引張強度]
上記樹脂被覆ガラス繊維束をJIS規格JIS R3420 「ガラス繊維一般試験方法 引張強さ」に準拠し、引張強度を測定した。
樹脂被覆ガラス繊維束A1は0.38Nであり、ガラス繊維束A2は0.24Nであった。なお、樹脂被覆ガラス繊維束B1、B2は上記樹脂被覆ガラス繊維束A1とほぼ同程度の引張強度であり、樹脂被覆ガラス繊維束B3は上記ガラス繊維束A2とほぼ同程度の引張強度であった。
[結節強度]
上記樹脂被覆ガラス繊維束を1箇所玉結びで結び目を作り、上記同様に引張強度を測定し、結節強度を評価した。
樹脂被覆ガラス繊維束A1は0.1Nであり、ガラス繊維束A2は0.06Nであった。なお、樹脂被覆ガラス繊維束B1、B2は上記樹脂被覆ガラス繊維束A1とほぼ同程度の結節強度であり、樹脂被覆ガラス繊維束B3は上記ガラス繊維束A2とほぼ同程度の結節強度であった。
[耐磨耗性]
長さ50cm程度の樹脂被覆ガラス繊維束の一端に100gの分銅を取り付け直径1mmのステンレス製丸棒に引っ掛け上下に往復運動させ、切断するまでの往復運動の回数を5回調べ、その平均を耐磨耗性として評価した。
樹脂被覆ガラス繊維束A1は平均33回、ガラス繊維束A2は平均12回、樹脂被覆ガラス繊維束B1は平均30回、樹脂被覆ガラス繊維束B2は平均31回、樹脂被覆ガラス繊維束B3は平均10回であった。
[着色性]
樹脂被覆ガラス繊維束B1、B2、B3の着色の鮮明性を観察したところ、樹脂被覆ガラス繊維束B1、B3は断面方向にほぼ半周にわたり長さ方向に連続して均一に着色し、かつ鮮明であったが、樹脂被覆ガラス繊維束B2は長さ方向に不均一に着色し、一部不鮮明な箇所があった。
[製織性]
樹脂被覆ガラス繊維束A1を経糸とし、樹脂被覆ガラス繊維束B1を緯糸とし、レピア織機にて製織し、その後ピンテンターで両側から張力を加えながら160℃の加熱ゾーンを1分間で通過させガラス繊維束同士を接着させ目止め処理した樹脂被覆ガラス繊維織物C1を得た。また同様にして、樹脂被覆ガラス繊維束A1を経糸とし、樹脂被覆ガラス繊維束B2を緯糸とし、樹脂被覆ガラス繊維織物C2を得た。さらに、ガラス繊維束A2を経糸とし、樹脂被覆ガラス繊維束B3を緯糸とし、樹脂被覆ガラス繊維織物C3を得た。
樹脂被覆ガラス繊維織物C1及びC2は問題なく製織することができたが、樹脂被覆ガラス繊維織物C3は製織時糸切れが多発した。また、樹脂被覆ガラス繊維織物C1は全体的に均一は模様を有する織物で、意匠性に優れていたが、樹脂被覆ガラス繊維織物C2は全体的に斑模様が若干目立ち樹脂被覆ガラス繊維織物C1よりも意匠性が劣っていた。
以上より、実施例1〜3は、比較例1及び2よりも、引張強度、結節強度。接着性、耐磨耗性、着色性、製織性について優れた結果が得られた。この結果より、本発明の樹脂被覆ガラス繊維織物は、ガラス繊維束と被覆する樹脂との接着性が高く、耐熱性ブラインド等を製造したときの耐久性に優れることが確認された。
図1は、本実施形態の樹脂被覆ガラス繊維織物を示す部分斜視図である。 図2は、本実施形態の樹脂被覆ガラス繊維織物の樹脂被覆ガラス繊維束の長さ方向に対して平行に切断したときの部分断面図である。 (a)は、本実施形態の樹脂被覆ガラス繊維織物を構成する樹脂被覆ガラス繊維束を長さ方向に対して垂直に切断した断面図であり、(b)は、本実施形態の樹脂被覆ガラス繊維織物を構成する樹脂被覆ガラス繊維束を長さ方向に対して垂直に切断した断面図である。 図4は、本実施形態のガラス繊維束を示す斜視図である。 図5は、本実施形態に係る着色料塗布装置を示す概略図である。
符号の説明
10…樹脂被覆ガラス繊維織物、11a,11b…樹脂被覆ガラス繊維束、12…熱可塑性樹脂、13…着色料、14・・・ガラス繊維束、15・・・有機樹脂、16…回転軸、18…ガラス繊維フィラメント、19…回転ローラ。

Claims (7)

  1. ガラス繊維束に有機樹脂を含む第一の処理液を塗布し、加熱により前記有機樹脂を前記ガラス繊維束に付着させ、樹脂付着ガラス繊維束とするプレコート工程と、
    前記樹脂付着ガラス繊維束に熱可塑性樹脂を含む第二の処理液を塗布し、加熱により前記熱可塑性樹脂で前記樹脂付着ガラス繊維束を被覆する被覆工程と、
    を備える、樹脂被覆ガラス繊維束の製造方法。
  2. 前記被覆工程後に、前記樹脂被覆ガラス繊維束の周囲を全て着色させないようにして長さ方向に連続的に着色料を塗布する着色工程を更に備える、請求項1記載の樹脂被覆ガラス繊維束の製造方法。
  3. 前記着色工程において、搬送速度V1(m/分)で搬送されている樹脂被覆ガラス繊維束を、搬送方向と同方向に周速V2(m/分)で回転する着色料を塗布するためのローラに接触させて着色が行われ、
    前記V2が10〜50(m/分)であり、前記V1及び前記V2が、下記式(1)に示す関係を満たす、請求項2記載の樹脂被覆ガラス繊維束の製造方法。
    V1−V2=200〜300(m/分) (1)
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により得られる、樹脂被覆ガラス繊維束。
  5. 請求項4記載の樹脂被覆ガラス繊維束を経糸及び緯糸として製織する製織工程と、
    前記経糸及び前記緯糸の周囲の熱可塑性樹脂を溶融させ、製織された前記経糸及び前記緯糸を接着させる接着工程と、を備える、樹脂被覆ガラス繊維織物の製造方法。
  6. 前記経糸及び前記緯糸の少なくとも一方が請求項2又は3に記載の製造方法により得られる樹脂被覆ガラス繊維束である、請求項5記載の樹脂被覆ガラス繊維織物の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載の製造方法により得られる、樹脂被覆ガラス繊維織物。
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