JP2007070647A - 高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】 プレス成形性に優れた高強度鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 質量%にて、C:0.001〜0.25%、Si:2.0%以下、Mn:0.01〜3%、P:0.0010〜0.1%、S:0.0010〜0.05%、N:0.020〜0.010%、Al:0.01〜2.0%で、さらに、Ti:0.001〜0.5%、NB:0.001〜0.5%、V: 0.001〜0.5%の1種または2種以上を式(1)および(2)を満たす範囲で含有し、残部不可避的不純物および鉄からなり、Alと、Ti、Nb、Vのうちの少なくとも一種との、複合窒下物または複合炭窒化物の粒径2〜10nmの粒子が密度1×1010〜1×1015個/mで存在する高強度鋼板、およびその製造方法。
Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12 < 0のとき、 Al/27 ≧ 3.0×(N/14) … (1)
Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12 ≧ 0のとき、 Al/27 + (Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12)≧3.0×(N/14) …(2)
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車等の輸送機材や構造材料に適した高強度鋼板およびその製造方法に関するものである。
優れたプレス成形性と高強度とを兼備した高強度鋼板として、複合組織鋼や残留オーステナイト鋼などの変態組織強化鋼や析出強化鋼などが知られている。ここで言う複合組織鋼は、フェライト地にマルテンサイトを分散させた鋼板であって、低降伏比で引張強度が高く、しかも伸び特性にも優れているが、フェライト/マルテンサイト界面が破壊の起点となり、穴拡げ性(伸びフランジ性)にやや劣るものである。残留オーステナイト鋼は、組織中に残留オーステナイトを生成させ、この残留オーステナイトが加工変形中に誘起変態して優れた延性を発揮するものであるが、やはり穴拡げ性に劣るという欠点を有している。
析出強化鋼は、Ti、Nbなどの炭窒化物による析出強化を利用するものであるが、粗大な炭窒化物が析出したり、結晶粒が微細化したりしてプレス成形性が複合組織鋼板や残留オーステナイト鋼などに比べ劣る。
このような従来の析出強化鋼の欠点を改良する技術として、特許文献1、2には、Ti、NbとMoを含む鋼板で、フェライト単相組織のマトリックスに粒径が10nm未満の微細析出物を分散させた鋼板が開示されている。この鋼板は析出物が極めて微細であるので、析出物が破壊の基点となることはない。しかしながら、そもそもNbやMoは高価な元素であるので、製造コストが高くなってしまうという欠点がある。
ところで、従来の連続鋳造においては、例えばスラブの中間部(厚みtのスラブの1/4t位置)における平均冷却速度は、0.1℃/secオーダー程度の小さいものであるので、粗大なAlNが大量に析出してしまい、このような粗大なAlNは鋼の強化には寄与しないものであった。したがって、AlNは、材料特性に対してほとんど影響を与えないか、むしろ局部変形特性を劣化させている可能性もあった。
特開2002−322539号公報 特開2002−322540号公報
本発明は、従来の問題を解決して、AlNを有効に活用してプレス成形性に優れた高強度鋼板を提供することを課題とする。
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果以下の知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、スラブの中間部における平均冷却速度を3℃/sec以上とすることでスラブ冷却中に粗大AlN析出を抑制することが可能なことを見出した。その後、鋳片を低温まで冷却して再加熱するか、直接熱間圧延に供し、さらに、熱間圧延後の冷却を制御することによって、鋳造工程で未析出のAlNを熱間圧延後に微細に析出させることが可能となる。そして、AlNを単独析出もしくはTiN、NbN、VNなどの窒化物、またはTiC、NbC、VCなどの炭化物、またはTiCN、NbCN、VCNなどの炭窒化物と複合析出させることによって、これらの複合窒化物、複合炭窒化物を極めて微細にしてフェライト中に分散させることができて、局部延性を劣化させずにプレス成形性に優れた高強度鋼板を省合金にて製造することが可能となることを突き止めた。
上記知見に基づきなされた本発明の高強度鋼板は、質量%にて、
C:0.001〜0.25%、Si:2.0%以下、Mn:0.01〜3%、P:0.0010〜0.1%、S:0.0010〜0.05%、N:0.020〜0.010%、Al:0.01〜2.0%で、
さらに、Ti:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5%、V:0.001〜0.5%の1種または2種以上を式(1)および(2)を満たす範囲で含有し、残部不可避的不純物および鉄からなる鋼組成を有し、
Alと、Ti、Nb、Vのうちの少なくとも一種との、複合窒下物または複合炭窒化物で粒径2〜10nmの粒子が密度1×1010〜1×1015個/mで存在することを特徴とするものである。
Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12 < 0のとき、
Al/27 ≧ 3.0×(N/14) ・・・(1)
Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12 ≧ 0のとき、
Al/27 + (Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12)≧3.0×(N/14) ・・・(2)
上記した発明において鋼組成中にさらに、Cr:0.01〜5%、Ni:0.01〜5%、Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%、W:0.01〜5%、Mo:0.01〜1.0%の1種または2種以上を含有することができ、
鋼組成中にさらに、Zr、Hf、Taの1種または2種以上を、単独または合計で0.001〜1%含有することができ、
鋼組成中にさらに、B:0.0001〜0.0050%を含有することができ、
鋼組成中にさらに、Mg、Ca、Y、REMの1種または2種以上を、単独または合計で0.0001〜0.5%含有することができる。
また、本発明の高強度鋼板の製造方法は、請求項1〜5の何れかに記載の高強度鋼板を鋳片から製造する高強度鋼板の製造方法であって、
鋳造後冷却途中の鋳片を、鋳片の厚みtの1/4tの位置における平均冷却速度を3℃/sec以上として1400℃以下、1000℃以上の温度域を冷却した後に、そのまま若しくは1100℃以上に再加熱し、
次いで、仕上げ温度を850〜970℃として熱間圧延を行い、引き続き750〜650℃の温度域まで10〜100℃/secの平均冷却速度で冷却した後、650〜550℃の温度で巻き取ることを特徴とするものである。
本発明の高強度鋼板は、AlとTi、Nbなどとの複合窒下物または複合炭窒化物の均粒径2〜10nmの粒子がフェライト地に微細かつ高密度に分散析出しているので、従来の析出強化鋼に比べてNbやMoといった高価な添加元素の省合金化と高強度化を両立させることができる。
また、本発明の高強度鋼板の製造方法は、鋳片を高速で冷却するので、従来の低速冷却した場合のような粗大なAlNが析出することがなく、局部変形特性を劣化させる懸念が少ない。また、鋳片を再加熱または直接熱間圧延に供した後適当な温度で巻き取るので、上記した微細な複合窒化物等をフェライト地に効率的に分散析出させることができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の高強度鋼板は、マトリックスがフェライトを主体とする組織であって、このフェライトに、AlとTi、Nb、Vなどとの複合窒下物または複合炭窒化物の粒径2〜10nmの粒子が、密度1×1010〜1×1015個/mで存在することを特徴とするものである。マトリックスをフェライト主体とするのは、鋼組織のうちフェライトがもっとも加工性に優れているからである。なお、マトリックスは目的とする強度レベルに応じてフェライト単相、フェライト+パーライトまたはフェライト+ベイナイトとすることができる。
以下に本発明の高強度鋼板の成分の限定理由を説明する。
Cは、強度を高める元素である。Cの含有量が0.25%を超えると、残留オーステナイトが十分生成しない場合には延性が不足するほか溶接性の劣化を招く。一方、Cを0.001%未満とすることは、精錬時のコストが嵩むこととなってしまう。従って、本発明におけるCの範囲は、0.001〜0. 25%とする。
Siはフェライトを形成して延性の確保のために添加される元素であるが、2.0%を超える添加により靭性や溶接性が低下してしまう。また、Siは脱酸のために添加されるが、0.005 %未満では脱酸効果が十分でない。よって、Siの範囲は、0.05〜2.0%とする。
Mnは強度確保の点から必要である。Mnが0.01%未満では、強度が満足しない。また、Mn添加量が3%を超えると、焼入れ性が必要以上に高まるため過剰強度上昇を招きこれにより延性が不足する。従って、本発明におけるMnの範囲は、0.01〜3%とする。
Pは含有量が多いと粒界へ偏析するために局部延性を劣化させる。また、溶接性を劣化させる。従って、上限を0.1%とする。下限を0.001%としたのは、これ以上低減させることは、製鋼段階での精錬時のコストアップにつながるためである。
Sは、MnS を形成して局部延性、溶接性を劣化させる元素である。従って、上限を0.05%とする。一方、下限を0.001%としたのは、Pと同様に、これ以上低減させることは、製鋼段階での精錬時のコストアップにつながるためである。
Nは、Al、Nb、Ti、Vと窒化物を形成して鋼を強化するために、本発明においては重要な元素である。この目的のためには、鋼は0.0020%以上のNを含有する必要がある。一方、0.010%を超えて含有すると固溶窒素(sol.N)が残存して延性が低下したり、溶接時のブローホールの原因になりかねない。したがって、Nの範囲は0.0020〜0.010%とする。
Alは、Ti、Nb、Vと複合窒化物、複合炭窒化物を析出して鋼を強化するために重要な元素である。また、脱酸剤としても重要である。これらの目的のためにはAlは0.01%以上添加する必要がある。一方、Alを過度に添加しても上記効果は飽和し、かえって鋼を脆化させるため、その上限を2.0%とした。したがって、Alの範囲は、0.01〜2.0%とする。
Ti、Nb、Vは、Alとの微細な複合窒化物または複合炭窒化物を析出して鋼を強化する。このためには何れかの元素を0.001%以上添加する必要がある。しかし、0.5%を超えて添加すると延性が低下したり、脆化する。したがって、鋼は、Ti、Nb、Vの何れか一種または2種以上を0.01〜0.5%含有する必要がある。鋼は、残部不可避的不純物および鉄からなる。また、省合金の観点からは590MPa級であれば合計で0.03%以下、780MPa級であれば0.06%以下の添加が望ましい。
上記したAlは、Ti、Nb、Vの含有量がTi/48+Nb/93+V/51 - C/12 < 0の時には、下記(1)式を満たす必要がある。
Al/27 ≧ 3.0×(N/14) ・・・(1)
即ち、Ti、Nb、Vの含有量がTi/48+Nb/93+V/51 - C/12 < 0の場合には、Ti、Nb、VがAlとの複合窒化物等を析出して強度上昇に寄与する効果が小さいので、Alを(1)式を満たす量添加する必要がある。
一方、Ti、Nb、Vの含有量がTi/48+Nb/93+V/51 - C/12 ≧ 0の時には、Alは(2)式を満たす量添加する。
Al/27 + (Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12)≧3.0×(N/14) ・・・(2)
即ち、Ti、Nb、Vの含有量がTi/48+Nb/93+V/51 - C/12 ≧ 0の場合には、Ti、Nb、VがAlとの複合窒化物等を析出して強度上昇に寄与する効果が大きくなるので、Alを(2)式を満たす量添加すればよいからである。
以上のような式を満たし、且つ本発明の製造方法を適用することによって、本願発明の目的とする高強度、高延性化を達成することができる。
本発明において鋼には、Al単独またはTi、Nb、Vのうちの少なくとも一種とAlとの、複合窒下物または複合炭窒化物の粒径が2〜10nmの大きさの粒子が有る一定の密度で存在することが必要である。本発明におけるAlとの組み合わせとしては、Al−Ti、Al−Nb、Al−V、Al−Ti−Nb、Al−Ti−V、Al−Nb−V、Al−Ti−Nb−Vがある。これらの組み合わせに係る元素と窒素とが結合した複合窒化物、またはこれらの組み合わせに係る元素と炭素と窒素とが結合した複合炭窒化物の大きさが、粒径2〜10nmである粒子が密度で1×1010〜1×1015個/m存在することが必要である。2nm未満の粒子を均一に一定密度以上に分散させると硬化代が大きく、全伸びが大きく低下する懸念があり、10nm超では高い強化能を得ることができないからである。
また、上述のように複合窒下物または複合炭窒化物は、密度で1×1010〜1×1015個/m存在することが必要である。1×1010個/m未満では鋼を十分強化することができないからであり、一方1×1015個/mを超えて存在しても強度上昇の効果は飽和するからである。
鋼はさらに、Cr:0.01〜5%、Ni:0.01〜5%、Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%、W:0.01〜5%、Mo:0.01〜1.0%、の1種または2種以上を含有することができる。これらの元素は焼入れ性を向上させて鋼の強度を高める。0.01%未満ではこれらの効果が十分期待できない。また、Cr、Ni、Cu、Co、Wは5%を超えて添加しても、Moは1.0%を超えて添加しても強度上昇の効果は飽和するし、延性の低下をもたらすこととなる。
鋼はさらに、Zr、Hf、Taの1種または2種以上を、単独または合計で0.001〜1%含有することができる。これらの元素は窒化物を形成して結晶粒を微細化する。この目的のためには0.001%以上添加する必要があるが、1%を超えて添加しても効果は飽和する。
鋼はさらに、B:0.0001〜0.0050%を含有することができる。Bは少量添加で焼入れ性を効率的に向上させるために添加するが、この効果を発揮させるためには0.0001%以上の添加が必要である。しかしながら、この添加量がむやみに増加すると熱間での割れの懸念があることや、その効果が飽和するため、その上限は0.0050%とする。また、Tiとの複合添加によりその焼入れ性向上効果を発揮しやすい。
鋼はさらに、Mg、Ca、Y、REM(希土類元素)の1種または2種以上を、単独または合計で0.0001〜0.5%含有することができる。Mg、Ca、Y、REMは、硫化物や酸化物の形態を制御して延性を向上させる。この目的のためには、これらの元素の1種または2種以上を単独または合計で0.0001%以上添加する必要がある。しかし、過度の添加は加工性を劣化させるため、その上限を0.5%とした。
以下に本発明に係る高強度鋼板の製造方法について説明する。
本発明の高強度鋼板を製造するに際しては、鋳造後冷却途中の鋳片を、1400℃以下、1000℃以上の温度域を平均冷却速度を3℃/sec以上として冷却する。ここでの平均冷却速度は、厚みtの鋳片の1/4tの位置における平均冷却速度を指す。本発明においては、鋳造時の冷却速度が3℃/secより高くできれば、どのような手法で鋳造しても良い。例えば、連続鋳造において、スラブ厚を薄くすることや、インゴット鋳造において、インゴットのサイズを小さくすること、また、通常のスラブやインゴットのうち、冷却速度の速い表層部分を切り出し、これを用いても良い。特に連鋳スラブ厚みを薄くする場合には、鋳片の厚みは、100〜30mmとするのが望ましい。厚みが100mmを超えると鋳片を大きい冷却速度で冷却することができないからであり、30mm未満とすると鋳造速度が大きくなって湯面変動、ブレークアウトなどを引き起こし、安定した鋳造が困難となるからである。
また、平均冷却速度が3℃/sec未満では、冷却速度が小さいために粗大なAlNが析出しやすく、AlとTi、Nb、Vとの微細な複合窒化物、複合炭窒化物を析出させることが困難となるからである。
冷却後の鋳片は、そのまま熱間圧延に供することができる。あるいは、1100℃未満に冷却されていた場合には、1100℃以上、1300℃以下に再加熱することができる。再加熱温度が、1100℃未満では熱間圧延における変形抵抗が大きいことやAlN析出の懸念があるからであり、1300℃超では、生成するスケールが厚くなって良好な表面性状の鋼板とすることができないからである。
次いで、仕上げ温度を850〜970℃として鋳片を熱間圧延する。仕上げ温度が、860℃未満では圧延荷重が大きくなったり、さらに低温になると(α+γ)2相域圧延となり、板の形状を損ねる場合があるからであり、970℃を超えるとオーステナイト粒径が粗大になって、靭性等の特性が劣化する懸念がある。
熱間圧延仕上げ後は、引き続き750〜650℃までの温度域を10〜100℃/secの平均冷却速度で冷却した後、650〜550℃の温度で巻き取る。
冷却温度が750〜650℃の温度域における平均冷却速度が10℃/sec未満の場合には、冷却時に過剰にAlNが析出し、十分な強化能が得られない。一方、100℃/secまでの冷却でAlNの生成を十分抑制することができ、それ以上高速で鋼板を冷却する必要はない。よって、平均冷却速度を10〜100℃/secとする。
急速冷却後の鋼板を550〜750℃の温度で巻取ることにより、十分なフェライトを確保して、Alと、Ti、Nb、Vのうちの少なくとも一種との、微細な複合窒化物または複合炭窒化物を得ることができる。巻取り温度が、550℃未満では複合窒化物等の析出が遅くなって所望の密度の析出物を確保することができない。一方、750℃以上では、複合窒化物等の大きさが粗大となって、十分微細な析出物を得ることが困難となる。よって、巻取り温度は550〜750℃とする。
以上のような条件で熱間圧延後に冷却を行うことにより、フェライト中に微細な複合窒化物等が析出したプレス成形性に優れた高強度鋼板を製造することができる。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
転炉またはラボで溶製した表1、表2に示す化学成分の鋼を鋳造した。このとき、鋳片の1400〜1100℃の温度範囲の冷却速度を表3に示すように変化させた。これらのスラブを熱間圧延に供して高強度鋼板を製造した。冷却条件、圧延条件ならびに材料特性を表3に示す。
Figure 2007070647
Figure 2007070647
Figure 2007070647
鋼種CA、CBは比較鋼であって、何れもAlの含有量が式(1)を満たさないものである。このため、析出物の密度が本発明の範囲を外れて小さく、強度、伸びバランスに劣る鋼板となった。鋼種CC、CD、CEは、Ti、Nb、Ni、Mo等の添加元素の少なくとも一種が本発明の範囲を超えて高い。このため延性が不足して割れが多発し、冷延が不可能であった。
鋼種A〜Lは、化学成分は本発明の範囲内にある。しかし、処理番号3,6,10,13,17,19のものは、鋳片の冷却速度が本発明の範囲を外れて小さいものであった。このため、窒化物の粒子の密度が本発明の範囲を外れて小さいものとなってしまったので、鋼を高強度、高延性化することができなかった。
また、処理番号8,16のものは熱間圧延前の加熱温度が低かったので、窒化物が粗大化し、密度が低いものとなってしまい、鋼を高強度、高延性化することができなかった。
以上のような比較鋼に対して、処理番号1,2,4,5,7,9,11,12,14,15,18,20〜25のものは、加工条件が本発明の範囲内で適切であったので、微細な析出物を多数析出させることができ、この結果、強度、伸びバランスに優れた高強度鋼板を製造することができた。
本発明方法を従来方法と比較して示す説明図である。

Claims (6)

  1. 質量%にて、
    C:0.001〜0.25%、Si:2.0%以下、Mn:0.01〜3%、P:0.0010〜0.1%、S:0.0010〜0.05%、N:0.020〜0.010%、Al:0.01〜2.0%で、
    さらに、Ti:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5%、V:0.001〜0.5%の何れか1種または2種以上を式(1)および(2)を満たす範囲で含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼組成を有し、
    Alと、Ti、Nb、Vのうちの少なくとも一種との、複合窒化物または複合炭窒化物の粒径2〜10nmの粒子が密度1×1010〜1×1015個/mで存在することを特徴とする高強度鋼板。
    Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12 < 0のとき、
    Al/27 ≧ 3.0×(N/14) ・・・(1)
    Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12 ≧ 0のとき、
    Al/27 + (Ti/48+Nb/93+V/51 - C/12)≧ 3.0×(N/14) ・・・(2)
  2. 鋼組成中にさらに、Cr:0.01〜5%、Ni:0.01〜5%、Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%、W:0.01〜5%、Mo:0.01〜1.0%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 鋼組成中にさらに、Zr、Hf、Taの1種または2種以上を、単独または合計で0.001〜1%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度鋼板。
  4. 鋼組成中にさらに、B:0.0001〜0.0050%を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の高強度鋼板。
  5. 鋼組成中にさらに、Mg、Ca、Y、REMの1種または2種以上を、単独または合計で0.0001〜0.5%含有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の高強度鋼板。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の高強度鋼板を鋳片から製造する高強度鋼板の製造方法であって、
    鋳造後冷却途中の鋳片を、鋳片の厚みtの1/4tの位置における平均冷却速度を3℃/sec以上として1400℃以下、1000℃以上の温度域を冷却した後に、そのまま若しくは1100℃以上に再加熱し、
    次いで、仕上げ温度を850〜970℃として熱間圧延を行い、引き続き750〜650℃までの温度域を10〜100℃/secの平均冷却速度で冷却した後、750〜550℃の温度で巻き取ることを特徴とする高強度鋼板の製造方法。


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