JP2008261023A - 延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板及びその製造方法 - Google Patents

延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】延性に優れた高強度低比重鋼板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.1%超〜0.5%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.2%超〜3.0%、Al:3.0〜10.0%、N:0.003〜0.01%、Ti:0.1%超〜1.0%を含有し、P:0.02%以下、S:0.01%以下に制限し、0.2<C+Ti≦1.5を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、比重<7.5であることを特徴とする延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。さらに必要に応じて、Nb、Cr、Ni、Mo、Cu、B、V、Ca、Mg、Zr、REMの1種又は2種以上を含有させても良い。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車部品などに用いられる延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板及びその製造方法に関する。
近年、環境問題への対応のため炭酸ガス排出低減や燃費低減を目的に自動車の軽量化が望まれている。自動車の軽量化のためには鋼材の高強度化が有効な手段であるが、部材の剛性によって板厚の下限が制限されている場合には、高強度化しても板厚を低減することができず、軽量化が困難であった。
そこで、鉄にアルミを多量に添加して比重を小さくした高Al含有鋼板が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。これらの特許文献で提案されている技術は、高Al含有鋼板の、(i)製造性が劣ること(特に圧延時に割れが発生すること)、(ii)延性が低いこと、という問題を解決したものである。
しかし、工業規模で生産するためには、熱間加工性及び冷間加工性の更なる改善が必要であり、また、自動車部品としての適用部位を拡張するには、延性及び加工性の更なる向上も要求されているなかで、これら特許文献に開示されている技術では対応しえないという問題がある。
特開2005−15909号公報 特開2005−29889号公報 特開2005−273004号公報 特開2006−176843号公報 特開2006−176844号公報
本発明は、上記したような問題点を解決しようとするものであって、Alを添加した低比重鋼板の製造性を改善し、延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高Al含有鋼の延性、熱間加工性及び冷間加工性が劣っているのは、凝固組織が粗大な柱状晶組織であることに起因していると考え、多量のAlを含有し、成分の異なる種々の鋼について、鋳造後の凝固組織を微細な等軸晶組織とするための方法について成分と鋳造条件の両面から研究を重ねた。その結果、Al含有量を3.0〜10.0%としたうえで、0.1%超のCと0.1%超のTiを複合添加し、C+Tiを0.2超〜1.5%以下の範囲に制御し、窒素含有量を0.003〜0.01%の範囲に制御し、鋳造時の溶鋼過熱度を50℃以下とすることで、液相中でTiN又はTi(C、N)が晶出し、これがフェライトの凝固核となって、凝固組織が微細な等軸晶組織になるという新しい知見を得た。さらに、このようにして鋳造した微細な等軸晶組織を持つ鋳片を適切な製造条件で熱間圧延、冷間圧延、焼鈍することにより、延性及び加工性が大幅に向上することを知見した。
本発明はこのような知見に基づいて構成したものであり、その要旨は、以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.100%超、0.500%以下、Si:0.20〜3.00%、Mn:0.20%超、3.00%以下、Al:3.0〜10.0%、N:0.0030〜0.0100%、Ti:0.100%超、1.000%以下を含有し、P:0.0200%以下、S:0.0100%以下に制限し、
0.200<C+Ti≦1.500
を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、比重が7.5未満であることを特徴とする延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。
(2) さらに質量%で、Nb:0.005〜0.300%を含有することを特徴とする上記(1)記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。
(3) さらに質量%で、Cr:0.05〜3.00%、Ni:0.05〜5.00%、Mo:0.05〜3.00%、Cu:0.10〜3.00%、B:0.0003〜0.0100%、V:0.01〜0.50%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。
(4) さらに質量%で、Ca:0.0010〜0.0100%、Mg:0.0005〜0.0100%、Zr:0.0010〜0.0500%、REM:0.0010〜0.0500%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。
(5) 引張強度が440MPa以上であり、伸びが25%以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の高強度低比重鋼板。
(6) 上記(1)〜(5)の何れか1項に記載の高強度低比重鋼板を製造する方法であって、上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の成分からなる鋼を、溶鋼過熱度を50℃以下として鋳造し、得られたスラブを熱間圧延することを特徴とする延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法。
(7) スラブを鋳造した後、1100℃以上の温度に加熱し、仕上げ圧延温度を800℃以上として熱間圧延し、600〜750℃で巻き取ることを特徴とする上記(6)記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法。
(8) 鋼板を巻き取った後、700〜1100℃の温度で焼鈍することを特徴とする上記(6)又は(7)記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法。
(9) 上記(6)〜(8)の何れか1項に記載の方法で製造した熱延鋼板を酸洗し、冷間圧延を行い、600〜1100℃で焼鈍した後、20℃/s以上の冷却速度で200℃以下の温度まで冷却することを特徴とする延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法。
本発明によれば、製造性が良好で、延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板を得ることができる。
以下に、本発明における各要件の意義及び限定理由について具体的に説明する。
本発明者らは、Fe−4%Al-0.006%Nを基本成分とし、CとTiの添加量を種々に変えた鋼を実験室で溶解し、鋳造し、凝固組織を観察して等軸晶率を測定した。鋳造時の溶鋼過熱度は50℃以下とした。ここで、溶鋼過熱度[℃]とは、成分組成から求められる液相線温度[℃]から、鋳造時の溶鋼温度[℃]を減じた値、即ち、
溶鋼過熱度[℃]=溶鋼温度[℃]−液相線温度[℃]
である。
Cの含有量[質量%]とTiの含有量[質量%]の合計、C+Ti量[質量%]と等軸晶率の関係を図1に示す。図1より、C+Tiが0.200%超、1.500%以下の範囲のとき等軸晶率が80%以上になり、特に、C+Tiが0.5〜1.0%以下の範囲のとき等軸晶率が100%になることがわかる。ただし、C又はTiのどちらか一方が0.1%以下であると等軸晶率は大幅に低下する。また、C+Tiが1.5%を超えると鋳片に割れが発生しやすくなることを知見した。したがって、C+Tiを0.2超〜1.5%以下の範囲に制限した。
次に、本発明における延性に優れた高強度低比重鋼板の成分限定理由について説明する。
C:Cは、凝固組織を微細な等軸晶組織とするために必須の元素であり、0.100%超の添加が必要である。一方、0.500%を超えるCの添加によって、靭性や溶接性が劣化する。したがって、C含有量は、0.100%超〜0.500%以下とした。
Ti:Tiも、凝固組織を微細な等軸晶組織とするために必須の元素であり、0.100%超の添加が必要である。一方、1.000%を超えるTiの添加は、靭性を劣化させる。したがって、Ti含有量は0.100%超〜1.000%以下とした。より微細な等軸晶組織を得るためには、Ti含有量の下限を0.300%とすることが好ましい。
なお、上述のように、CとTiの添加量の合計、即ち、C+Tiを、0.200%超、1.500%以下とすることにより、凝固組織を微細な等軸晶組織とすることができる。
Si:Siは、固溶強化により鋼板の強度を増大させるのに有用な元素である。この効果を発現させるには、Siを0.20%以上添加することが必要である。一方、3.00%を超えるSiの添加は、熱間加工性を低下させるとともに熱間圧延で生じるスケールの剥離性や化成処理性を著しく劣化させる。したがって、Si含有量は、0.20〜3.00%とした。
Mn:Mnは、MnSを形成して固溶Sによる粒界脆化を抑制するために有効な元素である。しかし、Mn量が0.20%以下ではその効果が発現されず、3.00%を超えて過剰に添加すると靭性が劣化する。したがって、Mn含有量は0.20%超、3.00%以下とした。
P:Pは、粒界に偏析して粒界強度を低下させ、靱性を劣化させる不純物元素であり、低減させることが望ましい。Pの含有量の上限は、現状の精錬技術と製造コストを考慮し、0.0200%に制限した。
S:Sは、熱間加工性及び靭性を劣化させる不純物元素であり、低減させることが望ましい。Sの含有量の上限は、現状の精錬技術と製造コストを考慮し、0.0100%に制限した。
Al:Alは、低比重化を達成するための必須の元素である。Alの含有量が3.0%未満では、低比重化の効果が不十分であり、比重を7.5未満とすることができない。一方、Alの含有量が10.0%を超えると金属間化合物の析出が顕著となり延性、熱間加工性及び冷間加工性が劣化する。したがって、Alの含有量を3.0〜10.0%とした。より良好な延性を得るためには、Alの含有量の上限を6.0%とすることが好ましい。
N:Nは、Tiの窒化物及び炭窒化物、即ち、TiN及びTi(C、N)を形成し凝固組織を微細な等軸晶組織とするために必須の元素である。この効果は、N量が0.0030%未満では発現されず、0.0100%を超えるNを添加すると、粗大なTiNの生成により靭性が劣化する。したがって、N含有量は0.0030〜0.0100%とした。
以上が本発明の基本成分であり、通常、上記以外はFe及び不可避的不純物からなるが、所望の強度レベルやその他の必要特性に応じて、Nb、Cr、Ni、Mo、Cu、B、V、Ca、Mg、Zr、REMの1種又は2種以上を添加しても良い。
Nb:Nbは微細な炭窒化物を形成し結晶粒粗大化を抑制する効果があるが、0.005%未満ではその効果が発現されず、0.300%を超えて過剰添加すると靭性が劣化するため、Nbの含有量を0.005〜0.300%とした。
Cr:Crは延性及び靭性を向上させる有効な元素である。この効果は0.05%未満では発現されず、3.00%を超える過剰添加は靭性を劣化させる。したがって、Crの含有量を0.05〜3.00%とした。
Ni:Niは延性及び靭性を向上させる有効な元素である。この効果は0.05%未満では発現されず、5.00%を超える過剰添加は靭性を劣化させる。したがって、Niの含有量を0.05〜5.00%とした。
Mo:Moは延性及び靭性を向上させる有効な元素である。この効果は0.05%未満では発現されず、3.00%を超える過剰添加は靭性を劣化させる。したがって、Moの含有量を0.05〜3.00%とした。
Cu:Cuは延性及び靭性を向上させる有効な元素である。この効果は0.10%未満では発現されず、3.00%を超える過剰添加は靭性を劣化させる。したがって、Cuの含有量を0.10〜3.00%とした。
B:Bは自ら粒界に偏析することにより粒界結合力を向上させるとともにP及びSの粒界偏析を抑制し、粒界強度を高め、延性、靭性、及び熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。これらの効果は0.0003%未満では発現されず、0.0100%を超えて過剰添加すると粒界に粗大な析出物が生成し熱間加工性が劣化するため、Bの含有量を0.0003〜0.0100%とした。
V:Vは微細な炭窒化物を形成し結晶粒粗大化を抑制する効果があるが、0.01%未満ではその効果が発現されず、0.50%を超えて過剰添加すると靭性が劣化するため、Vの含有量を0.01〜0.50%とした。
Ca、Mg、Zr、REM:Ca、Mg、Zr、REMは何れもSによる熱間加工性や靭性の劣化を抑制する有効な元素である。この効果は、Caは0.0010%未満、Mgは0.0005%未満、Zrは0.0010%未満、REMは0.0010%未満では発現されず、Caは0.0100%、Mgは0.0100%、Zrは0.0500%、REMは0.0500%を超える過剰添加は靭性を劣化させる。したがって、Caの含有量を0.0010〜0.0100%、Mgの含有量を0.0005〜0.0100%、Zrの含有量を0.0010〜0.0500%、REMの含有量を0.0010〜0.0500%とした。
次に、本発明の高強度低比重鋼板の特性について述べる。
比重は、7.5以上では自動車用鋼板として通常使用されている鋼板の比重(鉄の比重7.86と同程度)と比較して軽量化効果が小さいので7.5未満とする。鋼板の比重は成分組成によって決まるものであり、特に、軽量化に寄与するAlの含有量と、選択的に添加される、Cr、Ni、Mo、Cuの添加量の関係が重要である。したがって、Alの含有量が少ない場合は、Cr、Ni、Mo、Cuの添加量を制限する必要がある。
強度及び延性は自動車用鋼板として必要な特性を考慮すると、引張強度440MPa以上、伸び25%以上であることが好ましい。
次に製造条件の限定理由について述べる。
本発明においては、上記の成分からなる鋼を、溶鋼過熱度を50℃以下として鋳造し、得られたスラブを熱間圧延する。更に、酸洗、冷間圧延及び焼鈍を施しても良い。
溶鋼過熱温度が50℃を超えると、液相中で晶出したTiN又はTi(C、N)が凝集・粗大化してしまうため、フェライトの凝固核として有効に機能せず、本発明の成分範囲内であっても、凝固組織は粗大な柱状晶組織となってしまう。したがって、溶鋼過熱度は50℃以下とする。溶鋼過熱度の下限は規定しないが、好ましくは10℃以上である。
熱間圧延の加熱温度は、1100℃未満であると炭窒化物が十分に固溶せずに必要な強度や延性が得られないことがある。したがって、加熱温度の下限は1100℃とすることが好ましい。加熱温度の上限は特に規定しないが、1250℃を超えると粒径が大きくなり、熱間加工性が低下することがあるため、1250℃以下とすることが好ましい。
仕上げ圧延温度は、800℃未満であると、熱間加工性が劣化し、熱延中に割れが生じることがある。したがって、仕上げ圧延温度の下限は800℃とすることが好ましい。仕上げ温度の上限は特に規定しないが、1000℃を超えると粒径が大きくなり、冷間圧延時に割れを生じることがあるため、1000℃以下とすることが好ましい。
巻き取り温度は、600℃未満であるとフェライトの回復及び再結晶が不十分になり、加工性を損なうことがある。したがって、巻き取り温度の下限は600℃とすることが好ましい。一方、巻き取り温度が750℃を超えると再結晶したフェライトの結晶粒が粗大化し、延性、熱間加工性及び冷間加工性が低下することがある。したがって、巻き取り温度の上限は750℃とすることが好ましい。
熱延板の延性を向上させるために、再結晶や炭化物析出制御の観点から、熱延板を巻き取った後、700℃以上1100℃以下の温度で焼鈍してもよい。
熱延板の焼鈍温度は、延性の向上の効果を得るために、700℃以上とすることが好ましい。また、熱延板の焼鈍温度が1100℃を超えると結晶粒が粗大化し、粒界脆化が助長されることがある。したがって、熱延板の焼鈍温度の上限は1100℃以下とすることが好ましい。
熱延鋼板に冷間圧延及び焼鈍を施し、冷延鋼板を製造しても良い。以下に、冷延鋼板の好ましい製造条件について述べる。
冷間圧延の冷延率は、特に規定しないが,再結晶や回復の観点から50%以上とすることが望ましい。また,冷延率が95%を超えると冷間圧延時に割れが生じる場合がある。したがって、冷延率の上限は95%以下とすることが望ましい。
冷間圧延後の焼鈍温度は、再結晶及び回復を十分に進行させるため、600℃以上とすることが好ましい。一方、冷間圧延後の焼鈍温度が1100℃を超えると、結晶粒が粗大化し粒界脆化が助長されることがある。したがって、冷延板の焼鈍温度の上限は1100℃以下とすることが好ましい。
冷延鋼板の焼鈍後の冷却速度は、20℃/s以上、冷却停止温度は200℃以下が好ましい。これは、冷却中の粒成長による結晶粒の粗大化や、粒界へPなどの不純物元素の偏析に起因する粒界脆化を防止し、延性を向上させるためである。冷却速度の上限は規定しないが、500℃/sを超えることは技術的に困難である。また、冷却停止温度の下限は冷媒の温度に依存し、室温未満とすることは困難である。
以下、実施例により本発明の効果をさらに具体的に説明する。
表1に示す組成を有する鋼を、表1に示す溶鋼過熱度で鋳造した。得られた鋼片の凝固組織を観察し、等軸晶率を測定した。鋼片を表2に示す条件で熱間圧延し、熱間圧延後に熱延板の割れ発生状況を観察した。熱延板の割れ発生状況は、割れが発生していないものを「○」、微小な耳割れが発生したものを「△」、一部に大きな割れが観察されたものを「×」と評価した。更に、熱延後の板の比重、機械的特性を評価した。
比重の測定はピクノメータを用いて行った。引張試験は、JIS Z 2241に準拠して行った。表2に、比重、降伏応力、引張強度、伸び、割れ発生状況を示す。
熱延No.1〜8は本発明例であり、比重<7.5を満たしており、引張強度は440MPa以上であり、延性に関しては25%以上の高い伸びが得られており、熱延板の割れも発生していない。また、製造条件のみが異なる、熱延No.1と熱延No.6〜8を比較すると、好ましい製造条件により、より良好な延性が得られることがわかる。
一方、成分が本発明の範囲外である鋼F〜Jを用いた熱延No.9〜13では何れも伸びが20%以下であり、延性に劣ることがわかる。また、これらの比較例では熱延板の割れも発生しており、熱間加工性にも劣る。
Figure 2008261023
Figure 2008261023
表2に示した条件で製造した熱延板に、更に、表3に示す条件で焼鈍を施した。これらの熱延焼鈍板についても実施例1と同様に、比重及び機械的特性を評価した。熱延焼鈍板の比重、降伏応力、引張強度、伸び、割れ発生状況を表3に示す。
焼鈍No.1〜8は本発明例であり、比重<7.5を満たしており、引張強度は440MPa以上であり、延性に関しては25%以上の高い伸びが得られている。また、同じ組成を有し、製造条件のみ異なる焼鈍No.1と焼鈍No.6〜8を比較すると、好ましい製造条件を満足することによって、より良好な延性を得られることがわかる。
一方、成分が本発明の範囲外である鋼F〜Jを用いた焼鈍No.9〜13では何れも伸びが20%以下であり、延性に劣ることがわかる。
Figure 2008261023
表1に示す組成を有する鋼を、表2に示す条件で熱間圧延した熱延板について、表4に示す条件で冷間圧延を行い、冷延板の割れ発生状況を観察した。冷延板の割れ発生状況は、割れが発生していないものを「○」、微小な耳割れが発生したものを「△」、一部に大きな割れが観察されたものを「×」と評価した。更に、冷延板に焼鈍を行い、冷延焼鈍板についても実施例1と同様に、比重及び機械的特性を評価した。冷延焼鈍板の比重、降伏応力、引張強度、伸び、割れ発生状況を表4に示す。
冷延No.1〜8では比重<7.5を満たしており、引張強度は440MPa以上であり、延性に関しては25%以上の高い伸びが得られており、冷延板の割れも発生していない。また、同じ組成を有し、製造条件のみ異なる冷延No.1と冷延No.6〜8を比較すると、好ましい製造条件を満足することによって、より良好な延性を得られることがわかる。
一方、成分が本発明の範囲外である鋼F〜Jを用いた冷延No.8〜13では何れも伸びが20%以下であり、延性に劣ることがわかる。また、これらは冷延板の割れも発生しており、冷間加工性にも劣ることがわかる。
Figure 2008261023
凝固組織の等軸晶率とC+Ti量との関係を示す図である。

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C :0.100%超、0.500%以下、
    Si:0.20〜3.00%、
    Mn:0.20%超、3.00%以下、
    Al:3.0〜10.0%、
    N :0.0030〜0.0100%、
    Ti:0.100%超、1.000%以下
    を含有し、
    P :0.0200%以下、
    S :0.0100%以下
    に制限し、
    0.200<C+Ti≦1.500
    を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、比重が7.5未満であることを特徴とする延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。
  2. さらに質量%で、
    Nb:0.005〜0.300%
    を含有することを特徴とする請求項1記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。
  3. さらに質量%で、
    Cr:0.05〜3.00%、
    Ni:0.05〜5.00%、
    Mo:0.05〜3.00%、
    Cu:0.10〜3.00%、
    B :0.0003〜0.0100%、
    V :0.01〜0.50%
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。
  4. さらに質量%で、
    Ca:0.0010〜0.0100%、
    Mg:0.0005〜0.0100%、
    Zr:0.0010〜0.0500%、
    REM:0.0010〜0.0500%
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板。
  5. 引張強度が440MPa以上であり、伸びが25%以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の高強度低比重鋼板。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の高強度低比重鋼板を製造する方法であって、請求項1〜4の何れか1項に記載の成分からなる鋼を、溶鋼過熱度を50℃以下として鋳造し、得られたスラブを熱間圧延することを特徴とする延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法。
  7. スラブを鋳造した後、1100℃以上の温度に加熱し、仕上げ圧延温度を800℃以上として熱間圧延し、600〜750℃で巻き取ることを特徴とする請求項6記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法。
  8. 鋼板を巻き取った後、700〜1100℃の温度で焼鈍することを特徴とする請求項6又は7記載の延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法。
  9. 請求項6〜8の何れか1項に記載の方法で製造した熱延鋼板を酸洗し、冷間圧延を行い、600〜1100℃で焼鈍した後、20℃/s以上の冷却速度で200℃以下の温度まで冷却することを特徴とする延性及び加工性に優れた高強度低比重鋼板の製造方法。
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