JP2007066852A - 燃料電池用の高分子電解質膜及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 100℃から300℃程度の作動温度において、無加湿あるいは相対湿度50%以下の作動条件で良好な発電性能であると共に、これを長期間安定的に持続できる良好な耐酸化性能を備えた燃料電池用の高分子電解質膜および燃料電池を提供する。
【解決手段】 パーフルオロ系ポリマーフィルム基材100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下の塩基性ビニルモノマー及び0.05質量部以上10質量部以下の多官能モノマーがグラフト共重合されてなる高分子膜と、前記高分子膜100質量部に対して10質量部以上400質量部以下の範囲で含有された硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸の中から選ばれる少なくとも1種以上の酸と、からなることを特徴とする燃料電池用の高分子電解質膜を採用する。
【選択図】 なし
【解決手段】 パーフルオロ系ポリマーフィルム基材100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下の塩基性ビニルモノマー及び0.05質量部以上10質量部以下の多官能モノマーがグラフト共重合されてなる高分子膜と、前記高分子膜100質量部に対して10質量部以上400質量部以下の範囲で含有された硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸の中から選ばれる少なくとも1種以上の酸と、からなることを特徴とする燃料電池用の高分子電解質膜を採用する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、特に酸化安定性に優れ、100℃以上300℃以下の作動温度下において、無加湿あるいは相対湿度50%以下であっても良好な発電性能を長期間安定的に示す固体高分子型燃料電池に関する。
電圧を印加することによりイオンが移動するイオン伝導体が知られている。このイオン伝導体は電池や電気化学センサー等の電気化学デバイスとして広く利用されている。
例えば燃料電池においては、発電効率、システム効率、構成部材の長期耐久性の観点から、100℃から300℃程度の作動温度において、無加湿あるいは相対湿度50%以下の低加湿の作動条件で良好なプロトン伝導性を長期安定的にしめすプロトン伝導体が望まれている。従来の固体高分子型燃料電池の開発において、上記要求に鑑みて検討されてきたが、パーフルオロカーボンスルホン酸膜を電解質膜として用いた固体高分子型燃料電池では100℃以上300℃以下の作動温度下、相対湿度50%以下では十分な発電性能を得る事が出来ない欠点があった。
例えば燃料電池においては、発電効率、システム効率、構成部材の長期耐久性の観点から、100℃から300℃程度の作動温度において、無加湿あるいは相対湿度50%以下の低加湿の作動条件で良好なプロトン伝導性を長期安定的にしめすプロトン伝導体が望まれている。従来の固体高分子型燃料電池の開発において、上記要求に鑑みて検討されてきたが、パーフルオロカーボンスルホン酸膜を電解質膜として用いた固体高分子型燃料電池では100℃以上300℃以下の作動温度下、相対湿度50%以下では十分な発電性能を得る事が出来ない欠点があった。
また、プロトン伝導性付与剤を含有させたもの(例えば、特許文献1)や、シリカ分散膜を使用したもの(例えば、特許文献2)、無機−有機複合膜を使用したもの(例えば、特許文献3)、イオン性液体複合膜を使用したもの(例えば、特許文献4、特許文献5)があるが、いずれも100℃以上300℃以下の作動温度下、無加湿あるいは相対湿度50%以下の使用環境下では十分な発電性能性を長期間安定的に発揮することはできないという問題があった。
特許文献6には、ポリベンズイミダゾール膜にリン酸をドープした電解質膜が開示されている。この電解質膜は、ある程度電気化学的な性能は改善されているものの、燃料電池として長時間の使用に耐えるための耐酸化性の性能は十分ではなく、100℃以上300℃以下の作動温度下、無加湿あるいは相対湿度50%以下の使用環境下では十分な発電性能性を長期間安定的に発揮することはできないという問題があった。
さらに、特許文献7には、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体膜にポリビニルピリジンをグラフト重合させ、これにリン酸をドープした高温プロトン伝導性電解質膜が開示されているが、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体にポリビニルピリジンをグラフトする際に同時にエチレンユニット間で架橋反応が進行するためにポリビニルピリジングラフト鎖の分子運動性が損なわれ、その結果リン酸ドープ量が燐/窒素比(P/N比)で0.8から1.3といった低い範囲となり、十分なイオン伝導性を確保することが出来ないという問題があった。十分なイオン伝導性を確保すべくリン酸ドープを加温下で行い強制的にリン酸をドープすると、燐/窒素比は前述の範囲を超えて向上するものの、膜が不均一に膨潤して皺が入るために、これに電極を接合して燃料電池に組み込むなどの以降の手順を進めることはもはや不可能になる。さらに、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体にグラフトしているポリビニルピリジンは耐ラジカル性、耐酸化性に非常に劣ることから、燃料電池に用いる電解質膜としては致命的な欠点を有している。
特開2001−035509号公報
特開平6−111827号公報
特開2000−090946号公報
特開2001−167629号公報
特開2003−123791号公報
米国特許第5525436号公報
特開2001−213987号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、100℃から300℃程度の作動温度において、無加湿あるいは相対湿度50%以下の作動条件で良好な発電性能を示すと共に、こうした発電性能を長期間安定的に持続できる良好な耐酸化性能を備えた燃料電池用の高分子電解質膜およびこれを備えた燃料電池を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明者らは、パーフルオロ系ポリマーフィルムに塩基性ビニルモノマーと多官能性ビニルモノマーとをグラフト共重合することにより基材部分の耐酸化性能を向上させると共に、グラフト鎖部分に多官能性モノマーによる架橋構造を導入して、グラフト鎖部分の耐酸化性能を向上させることにより、従来の技術に比べて飛躍的に耐酸化性能を向上させつつ、イオン伝導度を損なうことのない酸ドープ量を確保することが出来ることを見いだした。
すなわち、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の燃料電池用の高分子電解質膜は、パーフルオロ系ポリマーフィルム基材100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下の塩基性ビニルモノマー及び0.05質量部以上10質量部以下の多官能モノマーがグラフト共重合されてなる高分子膜と、前記高分子膜100質量部に対して10質量部以上400質量部以下の範囲で含有された硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸の中から選ばれる少なくとも1種以上の酸と、からなることを特徴とする。
次に、本発明の燃料電池は、酸素極と、燃料極と、前記酸素極および前記燃料極に挟持されたプロトン伝導性高分子電解質膜を備え、酸化剤流路が設けられてなる酸化剤配流板を酸素極側に配置させ、燃料流路が設けられてなる燃料配流板を燃料極側に配置させたものを単位セルとする燃料電池において、前記プロトン伝導性高分子電解質膜が先に記載の燃料電池用の高分子電解質膜であることを特徴とする。
本発明の燃料電池用の高分子電解質膜は、パーフルオロ系ポリマーフィルム基材100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下の塩基性ビニルモノマー及び0.05質量部以上10質量部以下の多官能モノマーがグラフト共重合されてなる高分子膜と、前記高分子膜100質量部に対して10質量部以上400質量部以下の範囲で含有された硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸の中から選ばれる少なくとも1種以上の酸と、からなることを特徴とする。
次に、本発明の燃料電池は、酸素極と、燃料極と、前記酸素極および前記燃料極に挟持されたプロトン伝導性高分子電解質膜を備え、酸化剤流路が設けられてなる酸化剤配流板を酸素極側に配置させ、燃料流路が設けられてなる燃料配流板を燃料極側に配置させたものを単位セルとする燃料電池において、前記プロトン伝導性高分子電解質膜が先に記載の燃料電池用の高分子電解質膜であることを特徴とする。
本発明の固体高分子電解質膜によれば、耐酸化性に優れるとともに、イオン伝導度にも優れた高分子電解質膜を得ることが出来る。
また本発明の燃料電池によれば、高分子電解質膜をプロトン伝導性高分子電解質膜として備えることで、作動温度が100℃以上300℃以下で、無加湿あるいは相対湿度50%以下であっても良好な発電性能を長期間安定的に示す燃料電池を得ることが出来る。
また本発明の燃料電池によれば、高分子電解質膜をプロトン伝導性高分子電解質膜として備えることで、作動温度が100℃以上300℃以下で、無加湿あるいは相対湿度50%以下であっても良好な発電性能を長期間安定的に示す燃料電池を得ることが出来る。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施形態のプロトン伝導性の高分子電解質膜は、パーフルオロ系ポリマーフィルム基材に、塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーがグラフト重合されてなる高分子膜と、硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸から選ばれる少なくとも1種以上の酸とから概略構成されている。硫酸、オルトリン酸等の酸は、前記高分子膜に含浸されて保持されている。
以下、本実施形態の高分子電解質膜に含まれる各成分について説明する。
本実施形態のプロトン伝導性の高分子電解質膜は、パーフルオロ系ポリマーフィルム基材に、塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーがグラフト重合されてなる高分子膜と、硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸から選ばれる少なくとも1種以上の酸とから概略構成されている。硫酸、オルトリン酸等の酸は、前記高分子膜に含浸されて保持されている。
以下、本実施形態の高分子電解質膜に含まれる各成分について説明する。
パーフルオロ系ポリマーフィルム基材(以下、フィルム基材と表記する場合がある)としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)等の分子中に水素原子を含まないフッ素系ポリマーを用いることができる。
また、これらのフィルム基材に対して電子線やγ線の等放射線を1〜1000kGy照射することにより架橋させたものを用いても良い。
また、これらのフィルム基材に対して電子線やγ線の等放射線を1〜1000kGy照射することにより架橋させたものを用いても良い。
上述した中で本発明においては、特に、架橋構造ポリテトラフルオロエチレンをフィルム基材として用いることが好ましい。架橋構造ポリテトラフルオロエチレンは、ポリテトラフルオロエチレンを300〜360℃の温度範囲、10−2〜10Torrの減圧下、または10−3〜2Torr(1Torrは1mm水銀柱)の酸素分圧の不活性ガス雰囲気下でγ線や電子線などの放射線を1〜1000kGy照射して得ることが出来る。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン。ヘリウムガスなどを用いる。本発明において、架橋構造ポリテトラフルオロエチレンは薄膜を用いることが好ましく、薄膜を得るにはポリテトラフルオロエチレンフィルム単独あるいは金属箔等の基材上に形成させたポリテトラフルオロエチレンフィルムを上記の条件下で照射しても得ることができるが、シンターしたブロック状のポリテトラフルオロエチレンを同様の条件下で放射線照射し、削り出すことによっても得ることができる。詳細は、特開平6−116423号公報、特開2002−30166号公報、特開2003−266455、特開2004−238447号公報などに記載された技術を適用することが出来る。
ポリテトラフルオロエチレンに架橋構造を導入することにより、後の工程で放射線グラフト重合を行う際の放射線照射に対する耐久性を付与することができる。また、上記の架橋によりポリテトラフルオロエチレンの結晶構造が変化し、非晶質部分が増加することにより、高いグラフト率を得ることが可能となる。
本発明におけるフィルム基材の厚さは、特に限定されるものではないが、5〜500μmが好ましく、10〜200μmの範囲が特に好ましい。5μm以上であれば膜の機械的強度が十分に高くなり、また200μm以下であれば膜抵抗を低くすることが出来る。
本発明における高分子膜は、上記の方法によって得られたフィルム基材に、塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーを放射線照射によってグラフト共重合させて得ることができる。
放射線グラフト重合の方法としては、フィルム基材に放射線を照射して活性基を生成させた後、このフィルム基材を重合性モノマーと接触させる方法(いわゆる前照射法)、あるいはこのフィルム基材を重合性モノマーと接触させた状態で放射線を照射する方法(いわゆる同時照射法)の何れを採用しても良い。グラフト重合に際して照射する電子線、α線、β線、γ線、X線などの放射線量は、塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーの種類、グラフト重合時の温度など種々の要因に応じて設定するが、通常、約1〜200kGyである。
放射線グラフト重合の方法としては、フィルム基材に放射線を照射して活性基を生成させた後、このフィルム基材を重合性モノマーと接触させる方法(いわゆる前照射法)、あるいはこのフィルム基材を重合性モノマーと接触させた状態で放射線を照射する方法(いわゆる同時照射法)の何れを採用しても良い。グラフト重合に際して照射する電子線、α線、β線、γ線、X線などの放射線量は、塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーの種類、グラフト重合時の温度など種々の要因に応じて設定するが、通常、約1〜200kGyである。
上記グラフト重合に用いられて高分子膜を構成する塩基性ビニルモノマーとしては、N−ビニルフェニルアミン、アリルアミン、トリアリルアミン、ビニルピリジン、メチルビニルピリジン、エチルビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、アミノスチレン、アルキルアミノスチレン、ジアルキルアミノスチレン、トリアルキルアミノスチレン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノメタクリレート、ジシクロヘキシルアミノエチルメタクリレート、ジ−n−プロピルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどが挙げられる。
また、上記グラフト重合に用いられて前記塩基性ビニルモノマーとともに高分子膜を構成する多官能モノマーとしては、1分子中にビニル基またはアリル基を複数個有するものや、1分子中にビニル基と縮合性のメチロール基を有するものを用いることができる。前者のモノマーとしては、ジビニルベンゼン、ビス-ビニルフェニルエタン、ビス-ビニルフェニルスルフォン、トリアリルシナヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメリット酸トリアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレートを挙げることができる。また、後者のモノマーとしては、N−メチロールアクリルアミドを挙げることができる。
高分子膜をグラフト重合処理によって製造する際において、フィルム基材と塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーとの接触は、フィルム基材を塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーを含む混合溶液に浸漬する方法、フィルム基材に塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーを含む混合溶液を塗布する方法などにより行うことができる。なお、この際に、ハイドロキノン、ヒドラジンなどの重合禁止剤を添加しておくことにより、塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーの単独重合を防止することができる。
パーフルオロ系ポリマーフィルム基材と塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーを含む混合溶液との接触時間および温度は、用いるモノマーの種類や照射する放射線の線量に応じて適宜設定するが、通常、−20℃からモノマーの沸点の温度範囲において10秒〜24時間接触させるものである。
パーフルオロ系ポリマーフィルム基材への塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーのグラフト率は、パーフルオロ系ポリマーフィルム基材100質量部に対して、塩基性ビニルモノマーが5質量部以上200質量部以下の範囲であり、多官能モノマーが0.05質量部以上10質量部以下の範囲である。
この塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーの合計グラフト率は、グラフト重合によって得られた高分子膜の質量からグラフト重合前のパーフルオロ系ポリマーフィルム基材の質量を減じた値を、グラフト重合前のパーフルオロ系ポリマーフィルム基材の質量で除し、これに100を乗じて求めることができる。
また、塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーのそれぞれのグラフト率は、パーフルオロ系ポリマーフィルム基材に接触させる塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーを含む混合溶液中の塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーの比率に応じたものとなる。塩基性ビニルモノマーのグラフト率が5質量部以上であれば、高分子電解質膜の酸ドープ量が十分に多くなり、イオン伝導度が高められて燃料電池の出力を向上することが出来る。また、グラフト率が200質量部以下であれば、高分子電解質膜の機械強度の低下を防止できる。
また、多官能モノマーのグラフト率が0.05質量部以上であれば、高分子電解質膜の耐酸化性を十分に向上させることが出来、またグラフト率が10質量部以下であれば、高分子電解質膜の酸ドープ量が十分に多くなり、イオン伝導度を高めて燃料電池の出力を向上することが出来る。
この塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーの合計グラフト率は、グラフト重合によって得られた高分子膜の質量からグラフト重合前のパーフルオロ系ポリマーフィルム基材の質量を減じた値を、グラフト重合前のパーフルオロ系ポリマーフィルム基材の質量で除し、これに100を乗じて求めることができる。
また、塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーのそれぞれのグラフト率は、パーフルオロ系ポリマーフィルム基材に接触させる塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーを含む混合溶液中の塩基性ビニルモノマーおよび多官能モノマーの比率に応じたものとなる。塩基性ビニルモノマーのグラフト率が5質量部以上であれば、高分子電解質膜の酸ドープ量が十分に多くなり、イオン伝導度が高められて燃料電池の出力を向上することが出来る。また、グラフト率が200質量部以下であれば、高分子電解質膜の機械強度の低下を防止できる。
また、多官能モノマーのグラフト率が0.05質量部以上であれば、高分子電解質膜の耐酸化性を十分に向上させることが出来、またグラフト率が10質量部以下であれば、高分子電解質膜の酸ドープ量が十分に多くなり、イオン伝導度を高めて燃料電池の出力を向上することが出来る。
本発明の高分子電解質膜は、上記の方法により得られた高分子膜に、硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸から選ばれる少なくとも1種以上の酸が含有されて構成される。酸の配合量は、この高分子膜100質量部に対して10質量部以上400質量部以下の範囲であり、好ましくは20質量部以上300質量部以下の範囲である。10質量部以上であれば良好な燃料電池発電性能を発現することができ、400質量部以下であれば酸の溶出もなく長期安定的に燃料電池発電性能を維持することができる。
本発明に係る高分子膜への酸の配合方法は特に制約はないが、高分子膜を酸あるいは酸を含む溶液に浸漬することにより、行うことができる。浸漬させる温度条件、浸漬時間を変えることにより、酸の配合量をコントロールすることができるが、浸漬させる温度としては20℃から150℃の範囲とすることが好ましい。また、浸漬時間は10分から20時間の範囲内であることが好ましい。
本発明の燃料電池は、上記の高分子電解質膜をプロトン伝導性電解質膜として備えた固体高分子型燃料電池である。固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜が酸素極と燃料極とに挟持され、更に、酸化剤流路を形成した酸化剤配流板が酸素極側に設けられ、燃料流路を形成した燃料配流板が燃料極側に設けられてなるものを単位セルとして備えている。
耐酸化性に優れた高分子電解質膜をプロトン伝導性電解質膜として備えることにより、作動温度が100℃以上300℃以下で、無加湿あるいは相対湿度50%以下であっても良好な発電性能を長期間安定的に示す燃料電池となり、自動車用や家庭発電用として有用である。
耐酸化性に優れた高分子電解質膜をプロトン伝導性電解質膜として備えることにより、作動温度が100℃以上300℃以下で、無加湿あるいは相対湿度50%以下であっても良好な発電性能を長期間安定的に示す燃料電池となり、自動車用や家庭発電用として有用である。
以下に本発明の好適な実施の形態を説明する。なお、各種測定は次のように行った。
「高分子膜の耐酸化性(質量減少率)」
高分子膜に対してフェントン試験(高分子膜を20ppm FeSO4・7H2O/H2O230%水溶液のフェントン試薬溶液に浸漬)を実施し、20時間後の高分子膜の質量減少を計測して質量減少率を求めた。尚、質量減少率が少ないほど耐酸化性に優れている。
「イオン伝導性」
高分子電解質膜を白金電極(直径13mm)に挟み、複素インピーダンス測定より得られた抵抗値からイオン伝導度の温度依存性を求めた。
「燃料電池発電特性」
高分子電解質膜を市販の燃料電池用電極(Electrochem社)で挟持して膜電極接合体とし、150℃、無加湿の条件下、水素/空気で燃料電池特性の測定を行った。
高分子膜に対してフェントン試験(高分子膜を20ppm FeSO4・7H2O/H2O230%水溶液のフェントン試薬溶液に浸漬)を実施し、20時間後の高分子膜の質量減少を計測して質量減少率を求めた。尚、質量減少率が少ないほど耐酸化性に優れている。
「イオン伝導性」
高分子電解質膜を白金電極(直径13mm)に挟み、複素インピーダンス測定より得られた抵抗値からイオン伝導度の温度依存性を求めた。
「燃料電池発電特性」
高分子電解質膜を市販の燃料電池用電極(Electrochem社)で挟持して膜電極接合体とし、150℃、無加湿の条件下、水素/空気で燃料電池特性の測定を行った。
「実施例1」
パーフルオロ系ポリマーフィルム基材として、窒素雰囲気中、340℃、線量100kGyにて電子線照射して得られた、厚さ50μmの架橋構造ポリテトラフルオロエチレン(c−PTFE)シートを用いた。該シートを、電子線加速装置を用い、加速電圧200万ボルト、ビーム電流10ミリアンペアの条件で窒素雰囲気中にて45kGyの電子線を照射することにより、活性基を生成させた。次いで、液温が60℃に維持され、ジビニルベンゼン(DVB)が4−ビニルピリジンに対して5質量%の割合で含有されている4−ビニルピリジン(4−VP)の50質量%エタノール溶液中に、活性基が生成された架橋構造ポリテトラフルオロエチレンシートを16時間浸漬してグラフト共重合を行った。その後、エタノール中に1時間浸漬して洗浄した。このようにして、架橋構造ポリテトラフルオロエチレンシート100質量部に対して、50質量部の4−ビニルピリジンと、2.5質量部のジビニルベンゼンとがグラフト共重合されてなる実施例1の高分子膜を製造した。
パーフルオロ系ポリマーフィルム基材として、窒素雰囲気中、340℃、線量100kGyにて電子線照射して得られた、厚さ50μmの架橋構造ポリテトラフルオロエチレン(c−PTFE)シートを用いた。該シートを、電子線加速装置を用い、加速電圧200万ボルト、ビーム電流10ミリアンペアの条件で窒素雰囲気中にて45kGyの電子線を照射することにより、活性基を生成させた。次いで、液温が60℃に維持され、ジビニルベンゼン(DVB)が4−ビニルピリジンに対して5質量%の割合で含有されている4−ビニルピリジン(4−VP)の50質量%エタノール溶液中に、活性基が生成された架橋構造ポリテトラフルオロエチレンシートを16時間浸漬してグラフト共重合を行った。その後、エタノール中に1時間浸漬して洗浄した。このようにして、架橋構造ポリテトラフルオロエチレンシート100質量部に対して、50質量部の4−ビニルピリジンと、2.5質量部のジビニルベンゼンとがグラフト共重合されてなる実施例1の高分子膜を製造した。
得られた高分子膜について前述の耐酸化性試験を実施したところ、質量減少0%で非常に優れた耐酸化性を示した。
次に、この実施例1の高分子膜をオルトリン酸(純度85%、東京化成株式会社)中に室温で2時間浸漬して実施例1の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のオルトリン酸含有量は、浸漬前後の質量変化から計算したところ、高分子膜に対して150質量部であった。
また、得られた高分子電解質膜について、前述の方法によりイオン伝導度の温度依存性および燃料電池発電特性を測定した。表1には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
また、得られた高分子電解質膜について、前述の方法によりイオン伝導度の温度依存性および燃料電池発電特性を測定した。表1には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
「実施例2」
ジビニルベンゼンが4−ビニルピリジンに対して2質量%含有されている4−ビニルピリジンの50質量%エタノール溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、c−PTFEシート100質量部に対して、50質量部の4−ビニルピリジンと、1質量部のジビニルベンゼンとがグラフト共重合されてなる実施例2の高分子膜を製造した。
ジビニルベンゼンが4−ビニルピリジンに対して2質量%含有されている4−ビニルピリジンの50質量%エタノール溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、c−PTFEシート100質量部に対して、50質量部の4−ビニルピリジンと、1質量部のジビニルベンゼンとがグラフト共重合されてなる実施例2の高分子膜を製造した。
得られた高分子膜について前述の耐酸化性試験を実施したところ、質量減少10%で優れた耐酸化性を示した。
次に、この実施例2の高分子膜をオルトリン酸(純度85%、東京化成株式会社)中に室温で2時間浸漬して高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のオルトリン酸含有量は浸漬前後の質量変化から計算したところ高分子膜に対して170質量部であった。
得られた高分子電解質膜について前述の方法によりイオン伝導度の温度依存性および燃料電池発電特性を測定した。
表1には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
また、図1には実施例2の高分子電解質膜のイオン伝導度の温度依存性を示し、図2には実施例2の高分子電解質膜を備えた燃料電池の発電初期の電流−電圧特性を示す。更に図3には、実施例2の高分子電解質膜を備えた燃料電池の開回路電圧および流密度0.3A/cm2における出力電圧の経時変化を示す。
表1には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
また、図1には実施例2の高分子電解質膜のイオン伝導度の温度依存性を示し、図2には実施例2の高分子電解質膜を備えた燃料電池の発電初期の電流−電圧特性を示す。更に図3には、実施例2の高分子電解質膜を備えた燃料電池の開回路電圧および流密度0.3A/cm2における出力電圧の経時変化を示す。
「実施例3」
実施例2の高分子膜をビニルホスホン酸(純度85%、東京化成株式会社)中に120℃で2時間浸漬することにより、実施例3の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のビニルホスホン酸含有量は、浸漬前後の質量変化から計算したところ、高分子膜に対して200質量部であった。
実施例2の高分子膜をビニルホスホン酸(純度85%、東京化成株式会社)中に120℃で2時間浸漬することにより、実施例3の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のビニルホスホン酸含有量は、浸漬前後の質量変化から計算したところ、高分子膜に対して200質量部であった。
得られた実施例3の高分子電解質膜について、前述の方法によりイオン伝導度の温度依存性および燃料電池発電特性を測定した。
表1には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
表1には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
「比較例1」
実施例1において製造された厚さ50μmの架橋構造ポリテトラフルオロエチレンシートに、実施例1と同様な方法により、50質量部の4−ビニルピリジンのみをグラフト重合させることにより、比較例1の高分子膜を製造した。
得られた比較例1の高分子膜について前述の耐酸化性試験を実施したところ質量減少率が33%であり、上記実施例1及び2の高分子膜に比べて耐酸化性に劣った高分子膜であった。
実施例1において製造された厚さ50μmの架橋構造ポリテトラフルオロエチレンシートに、実施例1と同様な方法により、50質量部の4−ビニルピリジンのみをグラフト重合させることにより、比較例1の高分子膜を製造した。
得られた比較例1の高分子膜について前述の耐酸化性試験を実施したところ質量減少率が33%であり、上記実施例1及び2の高分子膜に比べて耐酸化性に劣った高分子膜であった。
次に、比較例1の高分子膜をオルトリン酸(純度85%、東京化成株式会社)中に室温で2時間浸漬して比較例1の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のオルトリン酸含有量は浸漬前後の質量変化から計算したところ高分子膜に対して170質量部であった。
また、比較例1の高分子電解質膜について前述の方法によりイオン伝導度の温度依存性および燃料電池発電特性を測定した。表2には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
また、図1には比較例1の高分子電解質膜のイオン伝導度の温度依存性を示し、図2には比較例1の高分子電解質膜を備えた燃料電池の発電初期の電流−電圧特性を示す。更に図3には、比較例1の高分子電解質膜を備えた燃料電池の開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧の経時変化を示す。
また、図1には比較例1の高分子電解質膜のイオン伝導度の温度依存性を示し、図2には比較例1の高分子電解質膜を備えた燃料電池の発電初期の電流−電圧特性を示す。更に図3には、比較例1の高分子電解質膜を備えた燃料電池の開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧の経時変化を示す。
「比較例2」
比較例1の高分子膜をビニルホスホン酸(純度85%、東京化成株式会社)中に120℃で2時間浸漬することにより、比較例2の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のビニルホスホン酸含有量は、浸漬前後の質量変化から計算したところ、高分子膜に対して220質量部であった。
比較例1の高分子膜をビニルホスホン酸(純度85%、東京化成株式会社)中に120℃で2時間浸漬することにより、比較例2の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のビニルホスホン酸含有量は、浸漬前後の質量変化から計算したところ、高分子膜に対して220質量部であった。
次に、比較例2の高分子電解質膜について前述の方法によりイオン伝導度の温度依存性および燃料電池発電特性を測定した。表2には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
「比較例3」
市販のエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)シートに、250質量部の4−ビニルピリジンをグラフト重合させて比較例3の高分子膜を製造した。
得られた高分子膜について前述の耐酸化性試験を実施したところ質量減少率が70%であり、上記実施例1及び2の高分子膜に比べて耐酸化性に劣った高分子膜であった。
市販のエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)シートに、250質量部の4−ビニルピリジンをグラフト重合させて比較例3の高分子膜を製造した。
得られた高分子膜について前述の耐酸化性試験を実施したところ質量減少率が70%であり、上記実施例1及び2の高分子膜に比べて耐酸化性に劣った高分子膜であった。
また、比較例3の高分子膜をオルトリン酸(純度85%、東京化成株式会社)中に室温で2時間浸漬することにより、比較例3の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のオルトリン酸含有量は、浸漬前後の質量変化から計算したところ、高分子膜に対して80質量部(P/N=1.19)であった。また、得られた高分子電解質膜は不均一に膨潤したことによる皺が多数発生したものであった。
比較例3の高分子電解質膜について前述の方法によりイオン伝導度の温度依存性を測定したが、燃料電池発電特性は高分子電解質膜に皺が入っていたため高分子電解質膜に電極を接合することができず測定を行うことができなかった。
「比較例4」
米国特許第3313783号公報、米国特許第3509108号公報、米国特許第3555389号公報などに記載されている製造方法を参考として、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール(PBI)を得た。このポリマー1gをジメチルアセトアミド(DMAC)10gにオイルバス上で溶解し、ホットプレート上のガラス板にキャストし、フィルム状になるまでDMACを留去した。更に120℃で12時間真空乾燥しDMACを完全に留去した20μmの厚みの比較例4の高分子膜を得た。
米国特許第3313783号公報、米国特許第3509108号公報、米国特許第3555389号公報などに記載されている製造方法を参考として、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール(PBI)を得た。このポリマー1gをジメチルアセトアミド(DMAC)10gにオイルバス上で溶解し、ホットプレート上のガラス板にキャストし、フィルム状になるまでDMACを留去した。更に120℃で12時間真空乾燥しDMACを完全に留去した20μmの厚みの比較例4の高分子膜を得た。
比較例4の高分子膜について、前述の耐酸化性試験を実施したところ、膜が粉々に崩壊してしまい、上記実施例1及び2の高分子膜に比べて耐酸化性に劣った高分子膜であることが判明した。
この比較例4の高分子膜に室温にてオルトリン酸(純度85%、東京化成株式会社)を室温で2時間浸漬させて比較例4の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のオルトリン酸含有量は、浸漬前後の質量変化から計算したところ、高分子膜に対して450質量部であった。
この比較例4の高分子膜に室温にてオルトリン酸(純度85%、東京化成株式会社)を室温で2時間浸漬させて比較例4の高分子電解質膜を得た。この高分子電解質膜のオルトリン酸含有量は、浸漬前後の質量変化から計算したところ、高分子膜に対して450質量部であった。
得られた高分子電解質膜について前述の方法によりイオン伝導度の温度依存性および燃料電池発電特性を測定した。表2には、発電初期および500時間経過後における開回路電圧および電流密度0.3A/cm2における出力電圧を記す。
表1には、実施例1ないし実施例3の高分子膜の耐酸化性を示し、表2には比較例1ないし比較例4の高分子膜の耐酸化性を示す。また、表1及び表2には、実施例1〜3、比較例1、2及び4の高分子電解質膜を備えた燃料電池の、初期の開回路電圧および500時間後の開回路電圧と、電流密度0.3A/cm2における初期の電池電圧および500時間後の電池電圧を示す。また、表1には、初期の電圧を100%とした時の500時間後の低下率(%)を併せて示す。尚、表1及び表2における「phr」は「質量部」の略である。
表1および表2に示すように、初期状態では、各実施例および比較例との間で、開回路電圧および電流密度0.3A/cm2の電圧について大きな差は見られないが、500時間経過後では明らかに比較例の電圧が実施例に対して劣化していることがわかる。
図1には、実施例2および比較例1について、イオン伝導度の温度依存性を示す。実施例2の高分子電解質膜と比較例1の高分子電解質膜はイオン伝導性がほぼ同等であることがわかる。
図2には、実施例2および比較例1について、測定初期での電流密度と電池電圧との関係を示す。実施例2の高分子電解質膜と比較例1の高分子電解質膜は燃料電池特性がほぼ同等であることがわかる。
図3には、実施例2および比較例1について、開回路電圧(OCV)および電流密度0.3A/cm2での発電時の電池電圧と、燃料電池の運転時間との関係を示す。図3に示すように、比較例1については、運転時間が長時間になるにつれて、開回路電圧(OCV)および電流密度0.3A/cm2での発電時の電池電圧のどちらも低下していくことがわかる。一方、実施例2については電圧の低下がほとんど見られない。
図2には、実施例2および比較例1について、測定初期での電流密度と電池電圧との関係を示す。実施例2の高分子電解質膜と比較例1の高分子電解質膜は燃料電池特性がほぼ同等であることがわかる。
図3には、実施例2および比較例1について、開回路電圧(OCV)および電流密度0.3A/cm2での発電時の電池電圧と、燃料電池の運転時間との関係を示す。図3に示すように、比較例1については、運転時間が長時間になるにつれて、開回路電圧(OCV)および電流密度0.3A/cm2での発電時の電池電圧のどちらも低下していくことがわかる。一方、実施例2については電圧の低下がほとんど見られない。
以上のように、実施例1ないし実施例3の高分子電解質膜は、比較例1ないし比較例4の高分子電解質膜に対して、電気特性に劣ることなく耐久性に優れていることがわかる。
本発明による高分子電解質膜により、高温無加湿条件で運転可能な高分子電解質膜として、優れたプロトン伝導性を示すだけでなく、耐久性においても十分な実用特性を示す新規な高分子電解質膜を得ることができる。これらの特性を活かして、本発明のプロトン伝導性高分子膜は、各種電池電解質、センサー、コンデンサー、電解膜など幅広い用途で利用することができ、産業界の発展、成長に寄与することができる。
Claims (3)
- パーフルオロ系ポリマーフィルム基材100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下の塩基性ビニルモノマー及び0.05質量部以上10質量部以下の多官能モノマーがグラフト共重合されてなる高分子膜と、
前記高分子膜100質量部に対して10質量部以上400質量部以下の範囲で含有された硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸の中から選ばれる少なくとも1種以上の酸と、
からなることを特徴とする燃料電池用の高分子電解質膜。 - 前記パーフルオロ系ポリマーフィルム基材が架橋構造ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の高分子電解質膜。
- 酸素極と、燃料極と、前記酸素極および前記燃料極に挟持されたプロトン伝導性高分子電解質膜を備え、酸化剤流路が設けられてなる酸化剤配流板を酸素極側に配置させ、燃料流路が設けられてなる燃料配流板を燃料極側に配置させたものを単位セルとする燃料電池において、前記プロトン伝導性高分子電解質膜が請求項1または請求項2に記載の燃料電池用の高分子電解質膜であることを特徴とする燃料電池。
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JP2005255061A JP2007066852A (ja) | 2005-09-02 | 2005-09-02 | 燃料電池用の高分子電解質膜及び燃料電池 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009158373A (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-16 | Samsung Sdi Co Ltd | 燃料電池用高分子電解質とその製造方法、膜電極接合体、及び燃料電池 |
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-
2005
- 2005-09-02 JP JP2005255061A patent/JP2007066852A/ja active Pending
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