JP2007063047A - 炭化物成型体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 炭化物成型体について、製造コストを高騰させることなく消臭能や物質吸着能等の炭化物が有する有用な機能を充分に発揮できるようにする。
【解決手段】 木質系炭化物の細片同士を、比表面積5000cm/g以上の粉末度を有するセメント系バインダで互いに結合させて所定形状に成型してなるものであって、20%以上の空隙率を有する多孔質の炭化物成型体とした。
【選択図】 図3

Description

本発明は、炭化物成型体およびその製造方法に関し、殊に、木質系炭化物の細片をセメント系バインダで所定形状に成型することにより流体透過性を備えながら炭化物が有する機能を充分に発揮することのできる炭化物成型体およびその製造方法に関する。
従来より、所定のイオンに対し吸着能を発揮する活性炭等の細片を所定のバインダで結合させて所定形状にしたものに、排気や廃液などの流体を通過させることで有害物質を吸着・捕捉させてこれを浄化する成型体が知られており、廃液や排気の通路に配設される濾過材、或いは構成材を兼ねたものとして用いられている。
例えば、特開平8−325076号公報には、炭化物を混入した多孔質の水質浄化用コンクリートブロックが記載され、特開平11−278958号公報にはアルミナセメントに木質系炭化物および活性アルミナを含有させて成型し、上記コンクリートブロックよりも成型体の強度と耐久性を増した炭化物成型体が記載されている。
しかし、斯かるコンクリート系の成型体は構造材も兼ねており、成型体の強度・耐久性を確保する必要性から空隙率がさほど大きくないため、一般的な排気フィルタや浄水フィルタと比べて流体透過性が不充分であり、主として成型体の表面付近で有害物質を吸着・捕捉することを想定したものである。従って、単位面積当たりの流体通過量が少ないとともに単位体積当たりの吸着総表面積は小さく、有害物質吸着能が充分ではないため流体の流量が大きい場合等に充分な浄化能を発揮できない。
これに対し、特開2000−233107号公報には、活性炭からなる物理吸着剤にバインダおよび通気孔付形剤を混練してブロックを形成し、加熱等の方法により通気孔付形剤を除去することで内部に通気孔を形成した空気清浄用フィルタが提案されている。このようにして作成された流体透過性に富むフィルタ材を用いることで、一定時間に比較的大量の流体を浄化することが可能となる。
しかし、このフィルタ材を作成するためには、通気孔付形剤を添加するとともに焼成等の除去作業が必要となるため、製造コストが嵩む点が問題となる。また、フィルタ材に所定の強度を確保するためには物理吸着剤同士を覆って結合させるバインダ被膜に所定の厚さを必要とするため、物理吸着剤内外の流通性が阻害されて炭化物の吸着能が充分に発揮されにくくなる、という問題もある。
一方、上述のようなフィルタ材としての成型体とは異なり、炭化物を所定のバインダで板状に成型した建築材等の構造材として、これに触れる空気を浄化または無臭化したり、室内の調湿作用を発揮したりするものも知られている。例えば、セルロース系バインダで炭化物を成型した建築材として、建築物内の有害ガス等を吸着させる技術が特開2002−265248号公報に記載され、特開2003−137629号公報にはセメント系水硬性材料と繊維補強材に多孔質充填材および炭化物を混練して成型した機能性建築材が記載されている。
前者の成型体は、炭化物を物質透過性に優れたセルロース系バインダで成型することで炭化物の機能を損ないにくいものとしており、後者の成型体は炭化物をセメント系バインダで成型する際に多孔質充填材を混合することで、セメント系バインダが炭化物表面を完全に覆わないものとして、炭化物の機能を発揮しやすいものとしている。また、両者に共通して、繊維材を混入したことで建築材としても充分な強度を与えた点も特徴としている。
しかしながら、これらの建築材は炭化物をバインダのみで結合させて成型体としたものと比べて、他の構成材料の含有量が多いことから炭化物含有量が相対的に少なくなるとともに空隙率が小さく、その吸着総面積も相対的に小さいものとなる。従って、単位面積当たりの物質吸着量が比較的少なくなることから、有害物質の量が多い場合等にはこれを迅的且つ充分に除去することができない。
特開平8−295578号公報 特開平11−278958号公報 特開2000−233107号公報 特開2002−265248号公報 特開2003−137629号公報
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、炭化物成型体について、製造コストを高騰させることなく炭化物の有する機能を充分に発揮できるようにすることを課題とする。
そこで、本発明は、木質系炭化物の細片同士を、比表面積5000cm/g以上の粉末度を有するセメント系バインダで互いに結合させて所定形状に成型してなるものであって、20%以上の空隙率を有することを特徴とする炭化物成型体とした。
このように、木質系炭化物の細片を、通常のセメントよりも粉末度が高く結合力の強いセメント系バインダで結合させ、空隙率が20%以上の多孔質体となるように調整したことで、細片間で形成される空隙の合計表面積が極めて大きくなるとともに空隙同士が連通した通気孔となって流体透過性に優れたものとなる。
しかも、結合力の強いバインダを用いることで使用量が少量に抑えられ、細片表面を覆うバインダ被膜が極めて薄く或いは表面の総てを覆わずに点結合の部分を有しながら炭化物の細片同士を堅固に結合させるものとなって、炭化物特有の機能を損ないにくいとともに強度に優れた成型体となり、且つ、バインダ自体がアルカリ性物質であることから、これに触れる多種類の臭い分子や有害物質を分解して無臭化・無害化するものとなって炭化物特有の機能に対する増強効果も期待できる。
また、この炭化物の成型体は、粒径が1mm〜7mmの細片100体積部に対し、セメント系バインダ28〜37体積部および所定量の水を混練して所定形状に成型されてなるものであって、25〜40%の空隙率を有するものとすれば、細片表面のバインダ被膜が極めて薄いか表面の総てを覆わない点結合の状態となって、細片間で形成される空隙の連通性に優れるとともに、炭化物内外の流通性に優れたものとなるため、炭化物の機能を一層発揮しやすいものとなる。
或いは、粒径が1mm〜7mmの木質系炭化物の細片100体積部に対し、比表面積5000cm/g以上の粉末度を有するセメント系バインダ30〜40体積部と粒径1mm〜9mmの骨材30〜40体積部、及び所定量の水を混練して所定形状に成型されてなり、空隙率が20%以上の炭化物成型体とすれば、骨材により強度・耐久性が高まるとともに比重を増して、構造材としても好適なもとすることもできる。
さらに、上述した炭化物成型体において、その炭化物の細片が粒径4mm〜7mmの大細片と粒径1mm〜2mmの小細片とが所定割合で混合されたものであり、成型後に隣接する大細片間に小細片およびバインダが介在するものとすれば、少ないバインダ量でも炭化物同士を一層堅固に結合させることができ、その大細片と小細片との混合比率を、体積比でほぼ同量のものとすれば細片の結合力と流体透過性とのバランスが良好なものとなる。
さらにまた、上述した炭化物成型体において、炭化物の細片を、紙積層体を焼成してなるフレーク状の炭化物からなるものとすれば、細片同士が積層した状態で成型されて一層堅固で耐久性に優れた成型体となる。
加えて、上述した炭化物成型体において、セメント系バインダは、その組成においてポルトランドセメントが90体積%以上を占めるものとすれば、使用するバインダが安価で入手しやすいとともに比較的短時間で固化するものとなり、固化後には優れた強度・耐久性を備えたものとなる。そして、そのセメント系バインダとして、ポルトランドセメントに所定の添加剤を添加することにより得たポルトランドセメント系土壌硬化剤を用いるものとすれば、バインダ自体が炭化物に親和性が高く極めて少量で細片同士を堅固に結合させるとともに炭化物内外の流通性を一層損ないにくいものとなる。
さらに加えて、上述した炭化物成型体を、炭化物の細片に、比表面積5000cm/g以上の粉末度を有するセメント系バインダ、或いはこのセメント系バインダおよび骨材を混入し、所定量の水を混練したものを型枠に投入した後、振動プレスを所定時間与えて成型し、形状が安定してから型枠を取り外して所定時間被覆養生するものとした、炭化物成型体の製造方法により製造されるものとすれば、比較的簡易な工程により低廉なコストでムラの少ない均一な多孔質体を得ることができ、均一な流体透過性および強度を備えたものとなる。
木質系炭化物の細片を粉末度の高いセメント系バインダで結合させて成型して空隙に富む多孔質体である本発明によると、炭化物の有する機能を損なわずに充分に発揮させることのできる成型体とすることができ、且つ、製造コストを高騰させることなく提供することができるものである。
図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。尚、本発明において、空隙率とは気中時空隙率を指すとともに試料への液体の浸潤を細片間に形成された空隙への浸潤のみを想定し、細片内部への浸潤を想定しない5分程度の短時間とした場合を指す。また、比表面積とは、JISのセメントの物理試験法のうち、比表面積試験:R5201による比表面積を指す。さらに、平均粒径とは、ふるい分け試験においてふるいの目開きの寸法で表現したものを指す。
図1は、本発明における第一の実施の形態である炭化物成型体の製造方法のフローチャートを示している。フローチャートに従って説明すると、用いる炭化物は木質系のものであって、予め細片に粉砕したものを複数の網目サイズのふるいを用いて粒径4mm〜7mmの大細片および粒径1〜2mmの小細片の2種類のサイズとしたものである。
そして、大細片と小細片とを同容量で混合したものを100体積部となるよう計量してミキサに投入し、これに比表面積5000cm/g以上の粉末度を有するセメント系バインダを28〜37体積部を加える。斯かるセメント系バインダは、所謂超早強セメントや所定のポルトランドセメント系土壌硬化剤をそのまま用いることができる。
そして、ミキサを回して撹拌混合しながら適当量の水を加える。水は、天候に応じて変動する材料の湿度に応じて量を調整し、適度な粘性を持つまで混練しながら注水するものとするが、通常は15〜25体積部の範囲となる。例えば、細片16リットルにセメント系バインダ5リットルを加えた場合、通常の湿度であれば注水量は4リットル程度となるが、適度な粘性を備えた混練状態となるように適宜調整する。
そして、充分に混練してから型枠に投入し、振動プレスを所定時間実施してムラのないように平板状またはブロック状に成型する。尚、この振動プレスは通常10秒程度で充分である。斯かる振動を与えることで、成型・固化後に均一な多孔質体となって均一な流体透過性および強度を備えたものとなる。その後、形状が安定してから型枠を取り外し、所定期間被覆養生することで目的とする成型体を得る。
このように比較的簡易な手順で完成した成型体は、粉末度の高いセメント系バインダが炭化物の細片同士を強力に結合させるため、強度・耐久性に優れたものとなり、有害物質吸着材として使用しやすいものとなる。また、このように成型することで、空隙率が25〜40%の多孔質体となるとともに空隙の連通性が高いものとなり、流体透過性に優れて比較的大量の流体を処理可能となるため、流体浄化フィルタとしても優れた機能を発揮する。
そして、製造に焼成工程を必要としないことに加えて、用いる炭化物は粒度を所定範囲に揃えれば木炭等の安価なものを使用できるとともに、バインダに比較的安価なセメント系のものを用いていることから、製造コストを低廉に抑えることが可能となる。また、固化後に安定性の高いセメント系のバインダを用いたことで、長期間の使用でフィルタ性能が低下した場合であっても、これを洗浄するだけでほぼ当初の性能に戻すことができるため、維持コストも低廉に抑えることができる。
尚、この成型体の作成において、炭化物の細片を大小2種類としてほぼ同量(体積)を混練したことにより、少ないバインダ量でも充分な結合力を発揮できるものとなっている。また、細片表面に付着するバインダは細片表面の総てを覆わずに細片同士を点結合する部分を多く有するものとなることから、炭化物内外の流通性を殆ど阻害せずにその物質吸着能等の機能を充分に発揮させるものとなる。
図2は、本発明における第二の実施の形態である、構造材を兼ねる炭化物成型体の製造方法に関するフローチャートを示している。フローチャートに従って説明すると、前記同様に、炭化物の細片は大細片と小細片とを同容量で混合するものとして100体積部となるように計量してミキサに投入し、これに粒径が1mm〜9mmの骨材を30〜40体積部を加えるとともに、比表面積5000cm/g以上の粉末度を有するセメント系バインダを30〜40体積部を加えて製造するものである。尚、骨材は粒径1mm〜粒径9mmの市販のセメント用砂を用いることができる。
そして、ミキサを回して撹拌混合しながら、所定量(通常15〜30体積部)の水を上記同様に湿度等の条件を加味しながら適度な粘性を有するように加え、充分に混練してから型枠に投入し、上記同様に振動プレスを所定時間実施してムラのないように所定厚さの平板やブロックに成型する。その後、形状が安定してから型枠を取り外し、所定期間被覆養生することで炭化物成型体を得る。
本実施の形態においても、上述した第一の実施の形態の炭化物成型体とほぼ同様の構成となってほぼ同様の作用を発揮し、流体浄化フィルタや有害物質捕捉材として使用することができる。尚、骨材を混入したことで、第一の実施の形態の炭化物成型体と比べて機能を有する炭化物の割合が減るものの、強度が増すとともに比重も重くなるため、壁材や床材等の構造材としての用途にも適したものとなる。
また、構造材として使用する場合でも、空隙率が20%以上と比較的高いものであり、上記同様に炭化物の細片の表面をバインダが総て覆わずに細片同士を点結合した部分を有するため、炭化物が空気に触れる表面積が大きくその本来の機能を十分に発揮できるものとなる。例えば、内壁材として使用することで、屋内空気に含まれるホルムアルデヒドなどの有害物質や他の臭い分子等を効率的に吸着したり、或いは湿度が高い時に吸湿し低い時に水分を放出する調湿能を発揮したりすることができる。
以下に、本発明の炭化物成型体について実施例によりさらに詳細に説明する。本発明による炭化物成型体からなるエアフィルタの有害物質除去能について、以下の条件により実験を行い、検証した。
図4を参照して、前述した第二の実施の形態の製造方法による炭化物成型体として、25cm×25cm×1.5cmの平板状に成型したプレート10を準備し、本願発明者らが作成した換気扇11を内蔵するエアクリーナ1の吸込み側の開口部を総てカバーするようにセットし、吸込み側に臭いの発生源となる検体2a(ホルマリン)をフラスコ2に入れて配置し、エアクリーナ1の吸込み口および吹き出し口に臭気モニタ装置の測定端子3a,3bをそれぞれ設置して臭い強度を測定した。
炭化物成型体のプレート10の作成は、炭化物の細片として、紙フェノール積層板を細かく粉砕後焼成して炭化物とした粒径3mm〜5mmの細片(商品名:セラチップ、品番:S5020、日本シイエムケイ株式会社製)を6リットル、粒径1.5mm〜2mmの細片(商品名:セラチップ、品番:S2005、日本シイエムケイ株式会社製)5.5リットルに対し、セメント系バインダとしてポルトランドセメント系の土壌硬化剤(商品名:トライスィル(登録商標)、銘柄:R、株式会社松村綜合化学研究所製)4リットルおよび骨材として粒径1mm〜9mmの砂4リットル、および水4リットルを用いて作成した。尚、この土壌硬化剤の組成は、パンフレットによるとSiO:23%、CaO:60%、Al:5%、Fe:2%、SO:2.2%、MgO:2%、不溶残分:0.3%、その他残り:4.5%、強熱減量1%である。
作成手順として、上記細片、土壌硬化剤および骨材をミキサ内に投入し、充分に撹拌混合を行いながら注水した。充分に練り混ぜてから、平板状に成型するための型枠に投入し、下方から振動を1秒間与えて成型し、さらに成型後に上方から振動プレスを10秒間与え、形状が安定した所定時間後に型枠を取り外して所定期間被覆養生させて作成した。
図3のプレート10の断面の状態を示す外観写真を参照して、作成された炭化物成型体のプレート10は、細片表面がセメント系バインダで表面を総て覆った場合に灰色を呈するのに対し、炭化物の黒色にやや灰色がかった色調を呈しており、細片表面がバインダで完全に覆われていないことが分かり、細片同士の結合も殆どが点結合になっていると考えられる。また、細片間に無数の空隙を形成してこれらが連通した多孔質材料となっている。尚、寸法測定による見掛け体積から水中水位上昇分の真体積を引いて空隙体積を算出し見掛け体積で割ることにより導いた、その空隙率は33.718%であった。また、平均圧縮強度は6.16N/mmであり、木炭塊等と比べて極めて堅固な成型体であるということが言える。
実験において、検体2aとしてホルマリン(日本薬局方、36%ホルムアルデヒド水溶液)100mlを用い、エアクリーナ1の吸込み口から10cmに検体2aを入れたフラスコ2を配置した。また、臭気モニタ装置(商品名:ハンディにおいモニタ、品番:OMX―GR、新栄株式会社製)の測定端子3a,3bは、吸込み口および吹き出し口の直近位置に配置し、測定間隔5秒で開始から7分間測定した。図5に、その実験結果のグラフを示す(臭い強度のレベルはポイントで示し、4分以降の結果は省略した)。
グラフに示すように、吸込み口側の臭い強度が、3分以降10ポイント前後を記録していたのに対し、吹出し口側の臭い強度はほぼ継続的にゼロであった。尚、吹出し口側から鼻で感じるホルムアルデヒド臭については、初期(10秒〜40秒)に僅かに感じられたが、その後臭いは全く感じられなかった。尚、エアクリーナ1による風速は、吸込み側0.6m/秒、吹出し口は2.5m/秒であった。
以上より、本発明による炭化物成型体は、僅か1.5cmの厚さのフィルタとして用いても、炭化物の有する消臭機能が十分に発揮されていることが分かり、成型・固化することによる炭化物が有する機能の阻害は小さいものであることが言える。また、換気扇の吹出し口側において、風速2.5m/秒を有していたことから、優れた流体透過性を有していることが分かり、消臭フィルタとして有用な素材であるということが言える。
臭いの発生源である検体2aをホルムアルデヒドの代わりにブチセロ(ブチルセロソルブ)として、他の実施条件は実施例1と同じにして消臭テストを実施した。尚、今回は換気扇の吹き出し口側にもプレート10を設置して2枚とした場合も加えて測定した。図6にその実験結果を示す。
グラフに示すように、吸込み口側の臭い強度が、10秒後に90ポイント前後を記録し、徐々に増加して2分後には100ポイント前後を記録していたのに対し、吹出し口側の臭い強度は開始から25秒までは4ポイント前後を記録したものの、その後はほぼ継続的にゼロであった。尚、吹出し口側から鼻で感じる臭いについては殆ど感じられなかった。
また、吹き出し口側にもプレート10を配置した場合については、開始直後から臭いポイントが継続して0ポイントであった。尚、エアクリーナ1による風速は、吸込み側0.55m/秒、吹出し口2.5m/秒であり、吹き出し口にもプレート10を配置して2枚とした場合は、吸込み側0.5m/秒、吹出し口2.0m/秒であった。
以上の結果から、本発明の炭化物成型体であるプレート10は、臭い強度においてホルマリンの倍以上のポイントを示したブチセロについても、極めて優れた消臭効果を発揮したことが分かる。また、詳細は示さないが、たばこの煙について同様の試験を行った場合も、上記2例と同様に優れた消臭効果を発揮した。
上述した二つの実験結果より、本実施例の炭化物成型体は炭化物の有する有用な機能を損なうことなく充分に発揮したということが言える。尚、この極めて優れた消臭効果から、炭化物自体の消臭効果がさらに増強されていることも考えられるが、これにはマイナスイオン系材料であるセメント系バインダ自体の特性が影響していると想定される。
即ち、臭いの発生源として特に人に不快感を与えるものを挙げると、アルデヒド・ケトン類、カルボン酸類(有機酸類)、エステル類等があるが、これらとアルカリ性素材であるセメント系バインダのOHとの間で以下の反応が生じると考えられる。
アルデヒド・ケトン類:アルデヒドとケトンの炭素に、OHが求核付加し、ジオールを与え、これらが水溶性の陰イオンとなる。カルボン酸類:カルボン酸はアルカリ性条件下でプロトンが乖離し、水溶性の陰イオンとなる。例えば不快な臭いを持つ洛酸や吉草酸などはアルカリと反応させることで無臭となる。エステル類:化粧品や果物等に含まれるエステルはアルカリ性条件下で加水分解し、水溶性のカルボン酸アニオンとアルコールを与える。
従って、炭化物による吸着のみでなく、臭いの原因分子がバインダに触れて無臭化されることもその消臭機能に関与していると考えられる。また、上述した反応物は総て水洗により容易に除去できるものであるため、消臭フィルタとして交換を要さずに長期間に亘って使用できることでメンテナンスコストが低廉に抑えられることが期待されるものである。
尚、本発明に係る炭化物成型体の開発にあたり、本願発明者らは用いる炭化物の細片について様々な形状・サイズ・混合比率で実施し、また、セメント系バインダについて様々な粉末度のものを様々な混合比率で用いて、成型後の流体透過性、強度、耐久性、有害物質吸着能について調べた。その結果、上述の解決手段に示した各構成がこれらの観点において優れていたことから採用した。また、セメント系バインダとしてポルトランドセメント系土壌硬化剤を使用した場合に、同等の比表面積の早強型ポルトランドセメントよりも強度に優れていたことから、これを採用したものである。
即ち、炭化物細片の粒径が1mm未満になると空隙率が不充分になって流体透過性が大きく低下し、7mmを超えると空隙部分における合計表面積が不充分になって吸着能が急に低下したからであり、また、細片を粒径4mm〜7mmの大細片と粒径1mm〜2mmの小細片の2種類のサイズとしてこれを同量用いたとき、成型体の強度と流体透過性のバランスに優れたものとなったからである。
さらに、セメント系バインダは、28体積部未満になると結合力が急に低下し、37体積部を超えると空隙率が大きく低下するとともに吸着能が急に低下し、比表面積が5000cm/g未満では細片同士の結合力が急に低下して成型体の強度が不充分となったからである。
以上、本発明について炭化物成型体をエアフィルタや液体浄化フィルタ等の流体フィルタとして用いる場合、および建築用壁材などの構造材として用いる場合について述べたが、本発明はこれらの用途に限定されるものではなく、炭の機能を確保しながらこれを多孔質体とした構成およびセメント系バインダの特性を利用するものとして、他の種々の用途が考えられる。
例えば、河川において水没する部分の護岸や川底に配置することで、セメント系バインダがアルカリ性素材であることから汚染により酸性側となった河川のpH調整に有効であり、時間の経過によりアルカリ性から中性に近づけば、多孔質の炭化物成型体は微生物が定着しやすいものとなって、微生物による河川の浄化作用を促進させるものとして利用することができる。
本発明の第一の実施の形態における炭化物成型体の製造方法を示すフローチャート。 本発明の第二の実施の形態における炭化物成型体の製造方法を示すフローチャート。 図2の製造方法による炭化物成型体の断面の状態を示す外観写真。 実施例1における実験装置を示す縦断面図。 本発明の第一の実施例における実験結果を示すグラフ。 本発明の第二の実施例における実験結果を示すグラフ。
符号の説明
1 エアクリーナ、2a 検体、3a,3b 測定端子、10 プレート

Claims (9)

  1. 木質系炭化物の細片同士を、比表面積5000cm/g以上の粉末度を有するセメント系バインダで互いに結合させて所定形状に成型してなるものであって、20%以上の空隙率を有することを特徴とする炭化物成型体。
  2. 請求項1に記載した炭化物成型体において、粒径が1mm〜7mmの前記細片100体積部に対し、前記セメント系バインダ28〜37体積部および所定量の水を混練して所定形状に成型されてなり、25〜40%の空隙率を有することを特徴とする炭化物成型体。
  3. 請求項1に記載した炭化物成型体において、粒径が1mm〜7mmの前記細片100体積部に対し、前記セメント系バインダ30〜40体積部と粒径1mm〜9mmの骨材30〜40体積部、及び所定量の水を混練して所定形状に成型されてなり、20%以上の空隙率を有することを特徴とする炭化物成型体。
  4. 前記細片は、粒径4mm〜7mmの大細片と粒径1mm〜2mmの小細片とが所定割合で混合されたものであり、成型後に隣接する前記大細片間に前記小細片および前記バインダが介在する、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載した炭化物成型体。
  5. 前記大細片と前記小細片との混合比率は、体積比でほぼ同量であることを特徴とする請求項4に記載した炭化物成型体。
  6. 前記細片は紙積層体を焼成してなるフレーク状の前記炭化物からなる、ことを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載した炭化物成型体。
  7. 前記セメント系バインダは、その組成においてポルトランドセメントが90体積%以上を占めている、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載した炭化物成型体。
  8. 請求項7に記載した炭化物成型体において、前記セメント系バインダは、ポルトランドセメントに所定の添加剤を添加することにより得たセメント系土壌硬化剤である、ことを特徴とする炭化物成型体。
  9. 前記細片に、前記セメント系バインダ、或いは前記セメント系バインダおよび骨材を混入し、所定量の水を加えて混練したものを型枠に投入した後、振動プレスを所定時間与えて成型し、形状が安定してから型枠を取り外して所定時間被覆養生する、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載した炭化物成型体の製造方法。
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