JP2007061872A - 鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産効率を向上させることが可能な、鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の冷却床及び第2の冷却床並びに、複数の後工程精整ラインを備えた製造ラインで使用される、鋼板の製造方法であって、複数の工程のうち、所要時間が最長となる第1の工程、所要時間が2番目に長い第2の工程とするとともに、第1の冷却床から搬出される鋼板を第1の鋼板、第2の冷却床から搬出される鋼板を第2の鋼板とし、第1の工程における第1の鋼板の処理時間をT11、第2の工程における第1の鋼板の処理時間をT12、第1の工程における第2の鋼板の処理時間をT21、第2の工程における第2の鋼板の処理時間をT22、とするとき、複数の工程から、第1の工程及び第2の工程を抽出する抽出工程と、処理時間T11、T12、T21、T22に基づいて、第1の鋼板か第2の鋼板を選択して、精整ラインへ搬出する、鋼板選択工程と、を備える、鋼板の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、鋼板の製造方法に関し、特に、生産効率を向上させることが可能な、鋼板の製造方法に関する。
冷却床は、圧延工程と、精整工程との中間に配設され、工場能力を大きく左右する重要な設備である。圧延工程において所定の板厚および板幅、板長に調整され、その後の矯正作業を経た鋼板は、600〜800℃程度の高温下にあり、これを材質に影響のないゆるやかな冷却速度でかつ形状を損わない均一冷却を行なうため、冷却床において100〜200℃程度まで冷却される。
一方で、冷却床は、圧延ライン(熱間圧延工程)と精整ライン(せん断加工工程)との処理能力の差を吸収するバッファとしての役割をも担っている。そのため、冷却床には、上記冷却を行い得る面積を有し、かつ、物流バッファとしての機能を有することが必要とされる。
冷却床に関する技術は、これまでに開示されてきている。例えば、特許文献1には、鋼板冷却床の自動制御装置に関する技術が開示されており、かかる技術によれば、鋼板を冷却する冷却床の自動運転制御を行うことが可能になる、としている。
特開平9−108722号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術では、冷却床から精整ラインへ搬出すべき鋼板の順番を制御することが困難であるため、鋼板の生産効率を向上させ難いという問題があった。
そこで、本発明では、生産効率を向上させることが可能な、鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明は、第1の冷却床(3a)及び第2の冷却床(3b)、並びに、これらの冷却床(3a、3b)から搬出された鋼板(5a、5b)を複数の工程で処理すべき精整ライン(2)、を備えた製造ライン(100)で使用される、鋼板の製造方法であって、複数の工程のうち、所要時間が最長となる工程を第1の工程、所要時間が2番目に長い工程を第2の工程とするとともに、第1の冷却床(3a)から搬出される鋼板を第1の鋼板(5a)、第2の冷却床(3b)から搬出される鋼板を第2の鋼板(5b)とし、第1の工程で要する第1の鋼板(5a)の処理時間をT11、第2の工程で要する第1の鋼板(5a)の処理時間をT12、第1の工程で要する第2の鋼板(5b)の処理時間をT21、第2の工程で要する第2の鋼板(5b)の処理時間をT22、とするとき、複数の工程から、前記第1の工程及び第2の工程を抽出する抽出工程と、前記処理時間T11、T12、T21、T22に基づいて、第1の鋼板(5a)か第2の鋼板(5b)を選択して、精整ライン(2)へ搬出する、鋼板選択工程と、を備えることを特徴とする、鋼板の製造方法により、上記課題を解決する。
より具体的には、第1の冷却床(3a)及び第2の冷却床(3b)、並びに、これらの冷却床(3a、3b)から搬出された鋼板(5a、5b)を複数の工程で処理すべき精整ライン(2)、を備えた製造ライン(100)で使用される、鋼板の製造方法であって、複数の工程のうち、所要時間が最長となる工程を第1の工程、所要時間が2番目に長い工程を第2の工程とするとともに、第1の冷却床(3a)から搬出される鋼板を第1の鋼板(5a)、第2の冷却床(3b)から搬出される鋼板を第2の鋼板(5b)とし、第1の工程で要する第1の鋼板(5a)の処理時間をT11、第2の工程で要する第1の鋼板(5a)の処理時間をT12、第1の工程で要する第2の鋼板(5b)の処理時間をT21、第2の工程で要する第2の鋼板(5b)の処理時間をT22、ΔT1=|T12−T21|、ΔT2=|T11−T22|、とするとき、複数の工程から、第1の工程及び第2の工程を抽出する抽出工程と、ΔT1とΔT2とを比較して、ΔT1>ΔT2であれば、第2の鋼板(5b)を選択し、ΔT1<ΔT2であれば、第1の鋼板(5a)を選択し、ΔT1=ΔT2であれば、さらにT11とT21とを比較して、T11≧T21であれば、第2の鋼板(5b)を選択し、T11<T21であれば、第1の鋼板(5a)を選択して、精整ライン(2)へ搬出する、鋼板選択工程と、を備えることを特徴とする、鋼板の製造方法により、上記課題を解決する。
ここに、「所要時間が最長となる工程」、「所要時間が2番目に長い工程」とは、過去の操業データに基づいて特定可能な工程を意味する。例えば、精整ラインに、鋼板の幅方向両端を切断する工程(以下において、「幅方向両端切断工程」と記述する。)と、鋼板の長手方向両端を切断する工程と、鋼板の端部以外を切断する工程と、鋼板の形態(寸法、表面粗さ等)を検査する検査工程と、が備えられ、過去の操業データから、工程終了までの所要時間が最長となるのが幅方向両端切断工程であるとともに、その次に所要時間が長い工程が検査工程であると特定される場合、幅方向両端切断工程が第1の工程であり、検査工程が第2の工程となる。加えて、「精整ライン(2)へ搬出する」とは、第1の鋼板(1a)が選択された場合には、第1の冷却床(3a)から精整ライン(2)へ鋼板(1a)が搬出され、第2の鋼板(1b)が選択された場合には、第2の冷却床(3b)から精整ライン(2)へ鋼板(1b)が搬出されることを意味している。
本発明によれば、精整ライン(2)の処理工程における所要時間に応じて、冷却床(3a、3b)から搬出すべき鋼板(1a、1b)を選択することが可能になるので、精整ライン(2)において全ての鋼板の処理が終わるまでに要する時間を短縮することが可能になる。したがって、本発明によれば、精整ライン(2)における処理時間を短縮することで生産効率を向上させることが可能な、鋼板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の鋼板の製造方法(以下において、「本発明の製造方法」と記述する。)を適用可能な、製造ラインの形態例を示す概略図である。図示の製造ライン100は、圧延ライン1及び精整ライン2と、これら圧延ライン1と精整ライン2との間に配設される第1の冷却床3a及び第2の冷却床3bと、精整ライン2へと搬出される鋼板を選択する鋼板選択制御手段4と、を備えている。そして、鋼板選択制御手段4によって動作を制御される鋼板搬出手段7によって、選択された鋼板5a、5bが、精整ライン2へと搬出される。圧延ライン1には、加熱炉11、粗圧延機12、仕上圧延機13、及び、冷却装置14が備えられている。一方、精整ライン2には、切断機21、22、検査手段23、及び、倉庫24が備えられている。精整ライン2上を搬送される鋼板は、切断機21、22による切断工程、及び、検査手段23による検査工程を経て、倉庫24へ収容される。加えて、冷却床3aには、入側搬送手段31a、床内搬送手段32a、及び、出側搬送手段33aが、冷却床3bには、入側搬送手段31b、床内搬送手段32b、及び、出側搬送手段33bが、それぞれ備えられている。
第1の鋼板5a、又は第2の鋼板5bを精整ライン2へ搬出すべき鋼板搬出手段7の動作は、鋼板選択制御手段4によって制御されている。鋼板選択制御手段4には、鋼板搬出手段7の動作制御を実行するCPU41と、そのCPU41に対する記憶装置とが設けられている。CPU41は、マイクロプロセッサユニットおよびその動作に必要な各種周辺回路を組み合わせて構成され、CPU41に対する記憶装置は、例えば、鋼板搬出手段7の動作制御に必要なプログラムや各種データを記憶するROM42と、CPU41の作業領域として機能するRAM43等を組み合わせて構成される。当該構成に加えて、さらに、CPU41が、ROM42に記憶されたソフトウエアと組み合わされることにより、製造ライン100における鋼板選択制御手段4が機能する。
過去の操業データに基づく情報は、入力ポート45を介して、入力信号としてCPU41へと到達する。CPU41は、上記信号、及びROM42に記憶されたプログラムに基づいて、出力ポート46を介して、鋼板搬出手段7に対する動作指令を制御する。鋼板搬出手段7は、CPU41から与えられた動作指令に応じて、選択された鋼板5a、5bを精整ライン2へ搬出する。
圧延ライン1上を搬送され、冷却床3aへと装入される鋼板5aは、入側搬送手段31a、床内搬送手段32a、出側搬送手段33a、及び、鋼板搬出手段7を経て、精整ライン2へと搬出される。一方、圧延ライン1上を搬送され、冷却床3bへと装入される鋼板5bは、入側搬送手段31b、床内搬送手段32b、出側搬送手段33b、及び、鋼板搬出手段7を経て、精整ライン2へと搬出される。ここに、鋼板5a、5bが精整ライン2へ搬出されると、鋼板5a、5bは、切断機21、22による切断工程、及び、検査手段23による検査工程を経由して、倉庫24へ達する。これら各工程では、先に搬送されてきた鋼板の処理を終えた後に、後から搬送されてくる鋼板の処理が行われるため、同一工程の同一部位において複数鋼板の処理を同時に行うことはできない。それゆえ、操業トラブルを回避する等の観点から、製造ライン100では、精整ライン2の各工程における鋼板の処理状況に応じて、冷却床3a、3bから搬出する鋼板の搬出時期を制御する。本発明では、精整ラインにおいて、所要時間の観点からネックとなる2つの工程をピックアップし、これらの工程へ搬送すべき鋼板の順番を制御することで、鋼板の生産効率を向上させ得る製造方法を提供している。
以下、本発明にかかる鋼板の選択形態について、図を参照しつつ、具体的に説明する。
図2及び図3は、本発明にかかる鋼板の選択形態と、処理時間との関係を簡略化して示す概念図である。図2及び図3において、図1に示す構成要素と同様の構成をとるものには、図1にて使用した符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。また、図2及び図3において、紙面左右方向は時間と対応しており、各ブロックの紙面左右方向長さは、処理時間の長短と対応している。以下に示す条件を仮定して、本発明の鋼板の選択形態について説明する。
<条件>
・圧延ライン1上には、下記4形態の鋼板A〜鋼板Dが搬送され得る。
鋼板A;全長が長く幅が広い、 鋼板B;全長が長く幅が狭い、
鋼板C;全長が短く幅が広い、 鋼板D;全長が短く幅が狭い
・第1の冷却床3aには、鋼板A、鋼板B、鋼板C、鋼板Dが装入され得る。
・第2の冷却床3bには、鋼板B、鋼板C、鋼板Dが装入され得る。
・第1の工程が幅方向切断工程、第2の工程が検査工程であり、精整ラインへ搬出された鋼板は、第1の工程終了後に、第2の工程で処理される。
・第1の工程と第2の工程との間に、他の工程は存在しない。
・鋼板Aは、第1の工程及び第2の工程ともに、長時間(Tx)を要する。
・鋼板Bは、第1の工程で長時間(Tx)を要し、第2の工程は短時間(Ty)で処理できる。
・鋼板Cは、第1の工程は短時間(Ty)で処理可能だが、第2の工程で長時間(Tx)を要する。
・鋼板Dは、第1の工程及び第2の工程ともに、短時間(Ty)で処理できる。
・Tx>Ty
上述のように、第1の冷却床3aには、鋼板A〜Dが装入可能であり、第2の冷却床3bには鋼板B〜Dが装入可能である。そのため、冷却床3aから搬出される鋼板(第1の鋼板)と冷却床3bから搬出される鋼板(第2の鋼板)との組み合わせ(以下において、「(3a、3b)」の形態で記載する。)は、(鋼板A、鋼板B)、(鋼板A、鋼板C)、(鋼板A、鋼板D)、(鋼板B、鋼板B)、(鋼板B、鋼板C)、(鋼板B、鋼板D)、(鋼板C、鋼板B)、(鋼板C、鋼板C)、(鋼板C、鋼板D)、(鋼板D、鋼板B)、(鋼板D、鋼板C)、(鋼板D、鋼板D)の12通りが考えられる。そこで、これらの場合における、鋼板の選択形態を、以下に記述する。
1.(鋼板A、鋼板B)の場合
第1の鋼板が鋼板Aであり、第2の鋼板が鋼板Bである場合、上記条件から、T11=Tx、T12=Tx、T21=Tx、T22=Tyなので、ΔT1=|T12−T21|=0、ΔT2=|T11−T22|=Tx−Ty>0より、ΔT1<ΔT2となる。この場合に、鋼板Bよりも先に鋼板Aを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Aが第2の工程で処理されている間に、鋼板Bを第1の工程で処理することができ、第1の工程を経た鋼板Bを、引き続き、第2の工程で処理することが可能になる(図2(A)参照)。
これに対し、(鋼板A、鋼板B)である場合に、鋼板Aよりも先に鋼板Bを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Bを第2の工程で処理している時に、鋼板Aを第1の工程で処理することができる。しかし、T22=Ty<Tx=T11であるため、第1の工程における鋼板Aの処理と第2の工程における鋼板Bの処理とを同時に開始しても、第2の工程における鋼板Bの処理が終了してから、第2の工程における鋼板Aの処理を開始するまで、少なくともTx−Tyの時間が生じる。その結果、第2の工程における鋼板Aの処理終了時刻(図2(A)参照)が、第2の工程における鋼板Bの処理終了時刻(図2(B)参照)よりも後になる。そのため、(鋼板A、鋼板B)の場合には、鋼板の生産効率を向上させるという観点から、冷却床3aの鋼板Aを選択して、鋼板Bよりも先に鋼板Aを精整ライン2へ搬出することが好ましい。したがって、本発明では、ΔT1<ΔT2であれば第1の鋼板を選択し、当該第1の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
2.(鋼板A、鋼板C)の場合
第1の鋼板が鋼板Aであり、第2の鋼板が鋼板Cである場合、上記条件から、T11=Tx、T12=Tx、T21=Ty、T22=Txなので、ΔT1=|T12−T21|=Tx−Ty>0、ΔT2=|T11−T22|=0より、ΔT1>ΔT2となる。この場合に、鋼板Cよりも先に鋼板Aを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Aを第2の工程で処理している時に、鋼板Cを第1の工程で処理することができる。しかし、T12=Tx>Ty=T21であるため、第1の工程における鋼板Cの処理と第2の工程における鋼板Aの処理とを同時に開始しても、第1の工程における鋼板Cの処理が終了してから、第2の工程における鋼板Aの処理が終了するまで、少なくともTx−Tyの時間が生じる。したがって、第1の工程の処理を終えた鋼板Cに対して、第2の工程の処理を施すには、少なくとも、当該時間の経過を待つ必要があり、鋼板の生産性を向上させ難い(図2(C)参照)。
これに対し、(鋼板A、鋼板C)である場合に、鋼板Aよりも先に鋼板Cを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Cが第2の工程で処理されている間に、鋼板Aを第1の工程で処理することができ、第1の工程を経た鋼板Aを、引き続き、第2の工程で処理することが可能になる(図2(D)参照)。したがって、本発明では、ΔT1>ΔT2であれば第2の鋼板を選択し、当該第2の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
3.(鋼板A、鋼板D)の場合
第1の鋼板が鋼板Aであり、第2の鋼板が鋼板Dである場合、上記条件から、T11=Tx、T12=Tx、T21=Ty、T22=Tyなので、ΔT1=|T12−T21|=Tx−Ty、ΔT2=|T11−T22|=Tx−Tyより、ΔT1=ΔT2であり、T11>T21である。この場合に、鋼板Dよりも先に鋼板Aを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Aを第2の工程で処理している時に、鋼板Dを第1の工程で処理することができる。しかし、T12=Tx>Ty=T21であるため、第2の工程における鋼板Aの処理と第1の工程における鋼板Dの処理とを同時に開始しても、第1の工程における鋼板Dの処理が終了してから、第2の工程における鋼板Aの処理が終了するまで、少なくともTx−Tyの時間が生じる。したがって、第1の工程の処理を終えた鋼板Dに、第2の工程の処理を施すには、少なくとも、当該時間の経過を待つ必要があり、鋼板の生産性を向上させ難い(図2(E)参照)。
これに対し、(鋼板A、鋼板D)である場合に、鋼板Aよりも先に鋼板Dを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Dを第2の工程で処理している時に、鋼板Aを第1の工程で処理することができる。この場合、T11=Tx>Ty=T22であるため、第2の工程における鋼板Dの処理が終了してから、第1の工程における鋼板Aの処理が終了するまで、少なくともTx−Tyの時間が生じるものの、第1の工程における鋼板Aの処理が終了した時には、既に第2の工程における鋼板Dの処理は終了していると考えられるため、待機時間を経ることなく、引き続き、鋼板Aに第2の工程の処理を施すことが可能になる(図2(F)参照)。ここで、図2(E)及び図2(F)を比較すると、第2の工程における鋼板Dの処理終了時刻(図2(E)参照)と、第2の工程における鋼板Aの処理終了時刻(図2(F)参照)とは、ほぼ同時刻であると考えられる。しかし、図2(E)では時間の経過を待つ必要があった反面、図2(F)では当該時間は不要であったことから、図2(F)の形態の方が、生産性向上効果が高いと考えられる。したがって、本発明では、ΔT1=ΔT2であって、T11>T21であれば、第2の鋼板を選択し、当該第2の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
4.(鋼板B、鋼板B)の場合
第1の鋼板及び第2の鋼板がともに鋼板Bである場合、T11=T21=Tx、T12=T22=Tyなので、ΔT1=|T12−T21|=Tx−Ty=|T11−T22|=ΔT2となる。この場合、どちらの冷却床から鋼板を先に搬出しても、鋼板の生産効率に差異は生じないと考えられる。そのため、かかる場合には、鋼板選択制御手段の判断基準を明確にするという観点から、第2の鋼板を選択する。同様の理由から、(鋼板B、鋼板B)の場合に、第1の鋼板を選択する形態としても、上記目的を達成可能な発明を提供することができる。
5.(鋼板B、鋼板C)の場合
第1の鋼板が鋼板Bであり、第2の鋼板が鋼板Cである場合、T11=Tx、T12=Ty、T21=Ty、T22=Txなので、ΔT1=|T12−T21|=0、ΔT2=|T11−T22|=0より、ΔT1=ΔT2であり、T11>T21である。この場合に、鋼板Cよりも先に鋼板Bを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Bが第2の工程で処理されている間に、鋼板Cを第1の工程で処理することができ、第1の工程を経た鋼板Cを、引き続き、第2の工程で処理することが可能になる(図3(A)参照)。
これに対し、(鋼板B、鋼板C)である場合に、鋼板Bよりも先に鋼板Cを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Cが第2の工程で処理されている間に、鋼板Bを第1の工程で処理することができ、第1の工程を経た鋼板Bを、引き続き、第2の工程で処理することが可能になる(図3(B)参照)。
ここで、図3(A)に示す形態、及び、図3(B)に示す形態の何れの形態でも、上記待機時間は発生していない。しかし、精整ラインへと搬出すべき鋼板の順番を変え、第2の鋼板を先に搬出することで、全体の処理時間を短縮することが可能になる(図3(A)及び(B)参照)。したがって、本発明では、ΔT1=ΔT2であってT11>T21であれば、第2の鋼板を選択し、当該第2の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
6.(鋼板B、鋼板D)の場合
第1の鋼板が鋼板Bであり、第2の鋼板が鋼板Dである場合、T11=Tx,T12=Ty、T21=Ty、T22=Tyなので、ΔT1=|T12−T21|=0、ΔT2=|T11−T22|=Tx−Ty>0より、ΔT1<ΔT2となる。この場合に、鋼板Dよりも先に鋼板Bを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Bが第2の工程で処理されている間に、鋼板Dを第1の工程で処理することができ、第1の工程を経た鋼板Dを、引き続き、第2の工程で処理することが可能になる(図3(C)参照)。
これに対し、(鋼板B、鋼板D)である場合に、鋼板Bよりも先に鋼板Dを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Dを第2の工程で処理している時に、鋼板Bを第1の工程で処理することができる。しかし、T22=Ty<Tx=T11であるので、第1の工程における鋼板Bの処理と第2の工程における鋼板Dの処理とを同時に開始しても、第2の工程における鋼板Dの処理が終了してから、第2の工程における鋼板Bの処理を開始するまで、少なくともTx−Tyの時間が生じる(図3(D)参照)。そのため、鋼板の生産効率を向上させるという観点から、ΔT1<ΔT2であれば第1の鋼板を選択し、当該第1の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
7.(鋼板C、鋼板B)の場合
第1の鋼板が鋼板Cであり、第2の鋼板が鋼板Bである場合、T11=Ty、T12=Tx、T21=Tx、T22=Tyなので、ΔT1=|T12−T21|=0、ΔT2=|T11−T22|=0より、ΔT1=ΔT2であり、T11<T21である。ここで、(鋼板C、鋼板B)の場合とは、上記「5.(鋼板B、鋼板C)の場合」と比較して、第1の鋼板及び第2の鋼板を逆にした場合に相当し、上記「5.(鋼板B、鋼板C)の場合」では、全体の処理時間を短縮可能とする観点から、第2の鋼板(上記5.(鋼板B、鋼板C)の場合には鋼板C)を先に精整ラインへ搬出した。すなわち、同様の観点から、(鋼板C、鋼板B)の場合にも、鋼板Cを先に精整ラインへ搬出することが好ましく、(鋼板C、鋼板B)の場合、鋼板Cは第1の鋼板である。したがって、本発明では、ΔT1=ΔT2であり、T11<T21である場合には、第1の鋼板を選択し、当該第1の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
8.(鋼板C、鋼板C)の場合
第1の鋼板及び第2の鋼板がともに鋼板Cである場合、T11=T21=Ty、T12=T22=Txなので、ΔT1=|T12−T21|=Tx−Ty=|T11−T22|=ΔT2となる。この場合、どちらの冷却床から鋼板を先に搬出しても、鋼板の生産効率に差異は生じないと考えられる。そのため、かかる場合には、鋼板選択制御手段の判断基準を明確にするという観点から、第2の鋼板を選択する。同様の理由から、(鋼板C、鋼板C)の場合に、第1の鋼板を選択する形態としても、上記目的を達成可能な発明を提供することができる。
9.(鋼板C、鋼板D)の場合
第1の鋼板が鋼板Cであり、第2の鋼板が鋼板Dである場合、T11=Ty、T12=Tx、T21=Ty、T22=Tyなので、ΔT1=|T12−T21|=Tx−Ty>0、ΔT2=|T11−T22|=0より、ΔT1>ΔT2である。この場合に、鋼板Dよりも先に鋼板Cを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Cを第2の工程で処理している時に、鋼板Dを第1の工程で処理することができる。しかし、T12=Tx>Ty=T21であるため、第2の工程における鋼板Cの処理と第1の工程における鋼板Dの処理とを同時に開始しても、第1の工程における鋼板Dの処理が終了してから、第2の工程における鋼板Cの処理が終了するまで、少なくともTx−Tyの時間が生じる。したがって、第1の工程の処理を終えた鋼板Dに、第2の工程の処理を施すには、少なくとも、当該時間の経過を待つ必要があり、鋼板の生産性を向上させ難い(図3(E)参照)。
これに対し、(鋼板C、鋼板D)である場合に、鋼板Cよりも先に鋼板Dを精整ラインへ搬出すると、第1の工程を経た鋼板Dを第2の工程で処理している間に、鋼板Cを第1の工程で処理することができ、第1の工程を経た鋼板Cを、引き続き、第2の工程で処理することが可能になる(図3(F)参照)。したがって、本発明では、ΔT1>ΔT2であれば第2の鋼板を選択し、当該第2の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
10.(鋼板D、鋼板B)の場合
第1の鋼板が鋼板Dであり、第2の鋼板が鋼板Bである場合、T11=Ty、T12=Ty、T21=Tx、T22=Tyなので、ΔT1=|T12−T21|=Tx−Ty>0、ΔT2=|T11−T22|=0より、ΔT1>ΔT2となる。ここで、(鋼板D、鋼板B)の場合とは、上記「6.(鋼板B、鋼板D)の場合」と比較して、第1の鋼板及び第2の鋼板を逆にした場合に相当し、上記「6.(鋼板B、鋼板D)の場合」では、鋼板の生産効率を向上させる観点から、第1の鋼板(鋼板B)を先に精整ラインへ搬出した。すなわち、同様の観点から、(鋼板D、鋼板B)の場合にも、鋼板Bを先に精整ラインへ搬出することが好ましく、(鋼板D、鋼板B)場合、鋼板Bは第2の鋼板である。したがって、本発明では、ΔT1>ΔT2であれば第2の鋼板を選択し、当該第2の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
11.(鋼板D、鋼板C)の場合
第1の鋼板が鋼板Dであり、第2の鋼板が鋼板Cである場合、T11=Ty、T12=Ty、T21=Ty、T22=Txなので、ΔT1=|T12−T21|=0、ΔT2=|T11−T22|=Tx−Ty>0より、ΔT1<ΔT2となる。ここで、(鋼板D、鋼板C)の場合とは、上記「9.(鋼板C、鋼板D)の場合」と比較して、第1の鋼板及び第2の鋼板を逆にした場合に相当し、上記「9.(鋼板C、鋼板D)の場合」では、鋼板の生産効率を向上させる観点から、第2の鋼板(鋼板D)を先に精整ラインへ搬出した。すなわち、同様の観点から、(鋼板D、鋼板C)の場合にも、鋼板Dを先に精整ラインへ搬出することが好ましく、(鋼板D、鋼板C)の場合、鋼板Dは第1の鋼板である。したがって、本発明では、ΔT1<ΔT2であれば第1の鋼板を選択し、当該第1の鋼板を精整ラインへ先に搬出する。
12.(鋼板D、鋼板D)の場合
第1の鋼板及び第2の鋼板がともに鋼板Dである場合、T11=T21=Ty、T12=T22=Tyなので、ΔT1=|T12−T21|=0=|T11−T22|=ΔT2となる。この場合、どちらの冷却床から鋼板を先に搬出しても、鋼板の生産効率に差異は生じないと考えられる。そのため、かかる場合には、鋼板選択制御手段の判断基準を明確にするという観点から、第2の鋼板を選択する。同様の理由から、(鋼板D、鋼板D)の場合に、第1の鋼板を選択する形態としても、上記目的を達成可能な発明を提供することができる。
なお、上記説明では、第1の工程と第2の工程との間に他の工程が存在しない形態の製造ラインを仮定したが、本発明の製造方法を適用可能な製造ラインは当該形態に限定されるものではない。第1の工程と第2の工程との間に他の工程が備えられる製造ラインであっても、本発明の製造方法を適用することができる。
図4は、本発明の製造方法を概略的に示すフローチャートである。本発明の製造方法では、過去の操業データから、第1の工程及び第2の工程を抽出する(工程S1:抽出工程)。次に、過去の操業データに基づいて、T11、T12、T21、T22を導出し、ΔT1、ΔT2を算出する(工程S2)。そして、工程S2に引き続き、ΔT1とΔT2とを比較する(工程S3)。ΔT1>ΔT2であれば、工程S3で肯定判断されるため、鋼板選択制御手段4において、第2の鋼板5bが選択され(工程S4)、鋼板搬出手段7により、第2の鋼板5bが精整ライン2へ搬出される(工程S5)。これに対し、ΔT1≦ΔT2であれば、工程S3で否定判断されるので、さらに、ΔT1<ΔT2であるか否かが判断される(工程S6)。工程S6で肯定判断されると、鋼板選択制御手段4において、第1の鋼板5aが選択され(工程S7)、鋼板搬出手段7により、第1の鋼板5aが精整ラインへ搬出される(工程S8)。これに対し、ΔT1=ΔT2であれば、工程S6で否定判断され、さらに、T11≧T21であるか否かが判断される(工程S9)。工程S9で肯定判断されると、鋼板選択制御手段4において、第2の鋼板5bが選択され(工程S10)、鋼板搬出手段7により、第2の鋼板5bが精整ライン2へ搬出される(工程S11)。これに対し、工程S9で否定判断されると、鋼板選択制御手段4において、第1の鋼板5aが選択され(工程S12)、鋼板搬出手段7により、第1の鋼板5aが精整ライン2へ搬出される(工程S13)。このように、本発明の製造方法では、抽出工程と、工程S3〜S13によって構成される鋼板選択工程とを備える構成とすることで、生産効率を向上させ得る製造方法としている。
本発明の製造方法を適用可能な、製造ラインの形態例を示す概略図である。 本発明にかかる鋼板の選択形態と、処理時間との関係を示す概念図である。 本発明にかかる鋼板の選択形態と、処理時間との関係を示す概念図である。 本発明の製造方法を概略的に示すフローチャートである。
符号の説明
1 圧延ライン
2 精整ライン
3a、3b 冷却床
5a、5b 鋼板
100 製造ライン

Claims (2)

  1. 第1の冷却床及び第2の冷却床、並びに、これらの冷却床から搬出された鋼板を複数の工程で処理すべき精整ライン、を備えた製造ラインで使用される、鋼板の製造方法であって、
    前記複数の工程のうち、所要時間が最長となる工程を第1の工程、所要時間が2番目に長い工程を第2の工程とするとともに、
    前記第1の冷却床から搬出される鋼板を第1の鋼板、前記第2の冷却床から搬出される鋼板を第2の鋼板とし、
    前記第1の工程で要する前記第1の鋼板の処理時間をT11、
    前記第2の工程で要する前記第1の鋼板の処理時間をT12、
    前記第1の工程で要する前記第2の鋼板の処理時間をT21、
    前記第2の工程で要する前記第2の鋼板の処理時間をT22、とするとき、
    前記複数の工程から、前記第1の工程及び第2の工程を抽出する抽出工程と、
    前記処理時間T11、T12、T21、T22に基づいて、前記第1の鋼板か前記第2の鋼板を選択して、前記精整ラインへ搬出する、鋼板選択工程と、を備えることを特徴とする、鋼板の製造方法。
  2. 第1の冷却床及び第2の冷却床、並びに、これらの冷却床から搬出された鋼板を複数の工程で処理すべき精整ライン、を備えた製造ラインで使用される、鋼板の製造方法であって、
    前記複数の工程のうち、所要時間が最長となる工程を第1の工程、所要時間が2番目に長い工程を第2の工程とするとともに、
    前記第1の冷却床から搬出される鋼板を第1の鋼板、前記第2の冷却床から搬出される鋼板を第2の鋼板とし、
    前記第1の工程で要する前記第1の鋼板の処理時間をT11、
    前記第2の工程で要する前記第1の鋼板の処理時間をT12、
    前記第1の工程で要する前記第2の鋼板の処理時間をT21、
    前記第2の工程で要する前記第2の鋼板の処理時間をT22、
    ΔT1=|T12−T21|、ΔT2=|T11−T22|、とするとき、
    前記複数の工程から、前記第1の工程及び第2の工程を抽出する抽出工程と、
    ΔT1とΔT2とを比較して、
    ΔT1>ΔT2であれば、前記第2の鋼板を選択し、
    ΔT1<ΔT2であれば、前記第1の鋼板を選択し、
    ΔT1=ΔT2であれば、さらにT11とT21とを比較して、T11≧T21であれば、前記第2の鋼板を選択し、T11<T21であれば、前記第1の鋼板を選択して、前記精整ラインへ搬出する、鋼板選択工程と、を備えることを特徴とする、鋼板の製造方法。
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