JP2007057075A - ステアリング用ころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】負荷容量の増大および耐久性の向上が可能で、かつゴリ感やガタツキを解消できるステアリング用ころ軸受を提供する。
【解決手段】ステアリング装置の操舵動作伝達系に設けられたクラッチに用いられるステアリング用ころ軸受である。それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケット4を有するリング状に形成された内外2つの保持器3,13と、これら2つの保持器3,13のポケット4に渡って保持される複数のころ2とを備える。内側の保持器3は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間で前記ころ2を内径側から保持し、前記柱部5の外径d3oはころ配列のピッチ円直径PCDよりも小径である。外側の保持器13は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間で前記ころ2を外径側から保持し、前記柱部5の内径d13iはころ配列のピッチ円直径PCDよりも大径である。
【選択図】図2
【解決手段】ステアリング装置の操舵動作伝達系に設けられたクラッチに用いられるステアリング用ころ軸受である。それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケット4を有するリング状に形成された内外2つの保持器3,13と、これら2つの保持器3,13のポケット4に渡って保持される複数のころ2とを備える。内側の保持器3は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間で前記ころ2を内径側から保持し、前記柱部5の外径d3oはころ配列のピッチ円直径PCDよりも小径である。外側の保持器13は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間で前記ころ2を外径側から保持し、前記柱部5の内径d13iはころ配列のピッチ円直径PCDよりも大径である。
【選択図】図2
Description
この発明は、ステアリング装置の操舵動作伝達系に設けられた操舵の自動・手動切換用のクラッチ等に用いられるころ軸受に関する。
近年、自動車の自動運転制御技術においては、センターラインの認知のほか、他車との位置関係を認知して速度や操舵を制御する等、高度化が図られている。自動操舵システムについては、自動運転中でも必要に応じてドライバーが操作できるように手動運転に切り換える機能が要求される。例えば、緊急事態に対処するために、自動操舵モードからドライバーが操舵力を発生させる手動操作モードに切換可能であることが要請される。
この要請に応えるものとして、自動運転中でも必要に応じてドライバーが操舵できるように手動運転に切り換える機能を備えた各種のステアリング装置が提案されている(例えば特許文献1〜3)。ステアリング装置の操舵の自動・手動の切換には、様々なクラッチ機構を利用している。
この要請に応えるものとして、自動運転中でも必要に応じてドライバーが操舵できるように手動運転に切り換える機能を備えた各種のステアリング装置が提案されている(例えば特許文献1〜3)。ステアリング装置の操舵の自動・手動の切換には、様々なクラッチ機構を利用している。
このようなステアリング装置の操舵の自動・手動切換えに使用されるクラッチ機構の一例を図12に示す。このクラッチ機構は、クラッチ出力側の軸となるセンターシャフト34の外周に複数のカム32を配置し、カム32とハウジング35の内径面との間に、滑り軸受33を介在させたものである。カム32は、くさび形のものであり、互いにセンターシャフト34の円周方向の逆方向に向く一対ずつが組となり、円周方向に一組又は複数組配置されている。これら各カム32は、センターシャフト34の軸心と垂直な平面内で揺動自在なように各組毎に保持されている。これらのカムはハンドルの回転操作によって滑り軸受33に噛み込む。各組の1対のカム32の間には、ガタツキを抑えるために、ばね36によって予圧が与えられている。自動操舵用の駆動系(図示せず)はセンターシャフト34に接続されている。
上記クラッチ機構は、常時は、センターシャフト34が空転自在であり、センターシャフト34は自動操舵用の駆動系から回転が与えられる。ハンドルを回転させると、カム32が滑り軸受33に噛む込み、くさび効果によってクラッチがロックする。そのため、滑り軸受33とセンターシャフト34とハウジング35が共に回転する。上記カム32は、互いに逆向きのものが対として設けられているため、正逆いずれの回転方向に対しても、ハンドルを回転させるとロックが生じる。
このため、自動操舵中にスリップによる衝突等の危険が発生しそうな緊急時において、ドライバーのハンドル手動操作による干渉力が発生したときは、クラッチのカム32が作動し、滑り軸受33を拘束することによりクラッチがロック状態となり、自動操舵の動きにかかわらず、手動操舵が優先される。
図13は、図12のクラッチ機構において、滑り軸受33に代えて従来のころ軸受(転がり軸受)43を用いた例を示す。クラッチ動作については図12の例と同じである。
特開平10−226354号公報
特開平10−258756号公報
特開2000−203436号公報
特開平6−307456号公報
特開平7−238940号公報
上記したクラッチ機構に用いられる滑り軸受33やころ軸受43に求められる機能は、空転時に回転トルクが小さく、かつゴリ感,ガタツキ等のフィーリング不良がないこと、および緊急時などの必要時にカム32により確実にロックされ、クラッチのロック機能を損なわないことである。
しかし、図12のようにクラッチ機構に滑り軸受33を用いた場合、空転時の回転トルクが大きくなる。また、耐久性も劣り摩耗が発生するので、ロックしなくなるという問題がある。
図13のようにころ軸受43を用いた場合は、空転時の回転トルクは小さくなる。しかし、従来のころ軸受43では、ころピッチが大きいことから、ころがカム32に断続的に乗ることになる。そのため、動作時にゴリ感,ガタツキが発生し、滑り軸受33に比べてドライバーの操舵フィーリングが悪くなる。
図13のようにころ軸受43を用いた場合は、空転時の回転トルクは小さくなる。しかし、従来のころ軸受43では、ころピッチが大きいことから、ころがカム32に断続的に乗ることになる。そのため、動作時にゴリ感,ガタツキが発生し、滑り軸受33に比べてドライバーの操舵フィーリングが悪くなる。
なお、ころピッチが小さなころ軸受としては、保持器を有しない総ころ軸受があるが、一般的な総ころ軸受は保持器脱落タイプとなる。上記クラッチ機構では、ころはカム33のカム面を転走面とするので、保持器脱落タイプの総ころ軸受では、カム面に乗らないころが脱落してしまうという不具合がある。
非脱落タイプの総ころ軸受を用いることも考えられるが、キーストンタイプの場合、ころ本数が20本以上になると設計が困難である。
非脱落タイプの総ころ軸受でC端面のころタイプのもの(例えば特許文献4)では、幅寸法が大きくなり、さらに有効接触長さも短く、かつころ端面およびころ端面との接触部が摩耗する問題がある。詳しくは、C端面ころタイプとは、ころ端面に尖り部を設けるタイプであり、その尖り部をプレス製の外輪に設けられた鍔で抱え込むことで脱落防止される。このように、ころ端面を尖り形状とするため、平面,丸面(F,A面)の端面ころと比べて高価となる。しかも、ころ端面が尖り形状であるため、誘起スラストが大きい使用形態ではころ端面の摩耗が顕著となる。また、ころ端面の尖り形状の寸法分だけ、ころの有効長さが短くなる。
これらの他に、熱固化性グリースを充填して非脱落タイプとする総ころ軸受(例えば特許文献5)があるが、このタイプは回転トルクが大きくなる。さらに、熱固化性グリースの使用温度範囲内に軸受の使用温度が限られる。そして、軸受潤滑の手段であるグリースの種類,油の種類等が限られる。
非脱落タイプの総ころ軸受でC端面のころタイプのもの(例えば特許文献4)では、幅寸法が大きくなり、さらに有効接触長さも短く、かつころ端面およびころ端面との接触部が摩耗する問題がある。詳しくは、C端面ころタイプとは、ころ端面に尖り部を設けるタイプであり、その尖り部をプレス製の外輪に設けられた鍔で抱え込むことで脱落防止される。このように、ころ端面を尖り形状とするため、平面,丸面(F,A面)の端面ころと比べて高価となる。しかも、ころ端面が尖り形状であるため、誘起スラストが大きい使用形態ではころ端面の摩耗が顕著となる。また、ころ端面の尖り形状の寸法分だけ、ころの有効長さが短くなる。
これらの他に、熱固化性グリースを充填して非脱落タイプとする総ころ軸受(例えば特許文献5)があるが、このタイプは回転トルクが大きくなる。さらに、熱固化性グリースの使用温度範囲内に軸受の使用温度が限られる。そして、軸受潤滑の手段であるグリースの種類,油の種類等が限られる。
この発明の目的は、ころ非脱落形式としながら、組み込まれるころ本数を多くできて負荷容量の増大および耐久性の向上が可能で、かつゴリ感やガタツキを解消できるステアリング用ころ軸受を提供することである。
この発明の他の目的は、クラッチが、円周方向に間隔を開けて並ぶ複数のカムを有し、これら複数のカムの並びの外周に形成される断続的な円周状面をころが転走するものである場合にも、ゴリ感やガタツキを生じることが回避できるものとすることである。
この発明の他の目的は、クラッチが、円周方向に間隔を開けて並ぶ複数のカムを有し、これら複数のカムの並びの外周に形成される断続的な円周状面をころが転走するものである場合にも、ゴリ感やガタツキを生じることが回避できるものとすることである。
この発明のステアリング用ころ軸受は、ステアリング装置の操舵動作伝達系に設けられたクラッチに用いられるステアリング用ころ軸受であって、それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケットを有するリング状に形成された内外2つの保持器と、これら2つの保持器のポケットに渡って保持される複数のころとを備え、内側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを内径側から保持し、前記柱部の外径がころ配列のピッチ円直径よりも小径であり、外側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを外径側から保持し、前記柱部の内径がころ配列のピッチ円直径よりも大径であることを特徴とする。
この構成によると、内外2つの保持器を設けたため、軌道輪を有しない保持器付きころ軸受でありながら、機器への未組込み状態でころが非脱落形式のころ軸受とできる。この場合に、内外の保持器の柱部がころを内径側および外径側から保持するものであり、その内側の保持器柱部の外径をころ配列のピッチ円直径よりも小径とし、外側の保持器柱部の内径をころ配列のピッチ円直径よりも大径としたため、保持器柱部がころ配列のピッチ円直径上に存在しないものとすることができる。そのため、柱部によってころの配列間隔が広がらず、保持器を用いてころ非脱落形式としながら、総ころ形式と同程度のころ本数を有するものとでき、同じ断面高さの従来の外輪付きころ軸受に比べて、より大きな負荷容量を付与できる。そのため、脱落防止スリーブを用いることなく少ない工数で組立が可能となる等、総ころ形式の各種の課題を解消することができる。
したがって、ステアリング装置に用いた場合、特にステアリング装置の操舵動作伝達系に設けられたクラッチに用いた場合に、組み込まれるころ本数を多くできることから、負荷容量の増大および耐久性の向上が可能で、かつゴリ感やガタツキを解消できる。
したがって、ステアリング装置に用いた場合、特にステアリング装置の操舵動作伝達系に設けられたクラッチに用いた場合に、組み込まれるころ本数を多くできることから、負荷容量の増大および耐久性の向上が可能で、かつゴリ感やガタツキを解消できる。
この発明において、前記クラッチが、円周方向に間隔を開けて並ぶ複数のカムを有し、前記複数のころは、前記複数のカムの並びの外周に形成される断続的な円周状面を転走するものであっても良い。
この構成の場合、断続的なカム面にころが乗り移ることになるが、この発明のステアリング用ころ軸受は、保持器を用いたころ非脱落形式であって、かつころ本数を多くできるため、ころが円滑にカム面間に乗り移ることができて、ゴリ感やガタツキを生じることが回避できる。
この構成の場合、断続的なカム面にころが乗り移ることになるが、この発明のステアリング用ころ軸受は、保持器を用いたころ非脱落形式であって、かつころ本数を多くできるため、ころが円滑にカム面間に乗り移ることができて、ゴリ感やガタツキを生じることが回避できる。
この発明において、外側の保持器の柱部の横断面形状を、外径部よりも内径側の部分が、内径側へ先狭まりとなる形状としても良い。例えば、略三角形状としても良い。
ころ配列における隣合うころ間の隙間は、外径側が次第に大きくなる三角形状の隙間となるため、ころ間の間隔を広げることなく柱部の断面積を大きくするには、柱部を内径側へ先狭まりとなる断面形状とすることが好ましい。しかし、柱部の幅が最も広がる最外径部は、ころ表面に沿って広げずに、略一定幅としてころ表面と柱部表面との隙間を広げることにより、潤滑油の流れが阻害されるのを回避でき、潤滑性の低下を防止できる。
ころ配列における隣合うころ間の隙間は、外径側が次第に大きくなる三角形状の隙間となるため、ころ間の間隔を広げることなく柱部の断面積を大きくするには、柱部を内径側へ先狭まりとなる断面形状とすることが好ましい。しかし、柱部の幅が最も広がる最外径部は、ころ表面に沿って広げずに、略一定幅としてころ表面と柱部表面との隙間を広げることにより、潤滑油の流れが阻害されるのを回避でき、潤滑性の低下を防止できる。
この発明において、保持器を合成樹脂製としても良い。保持器が合成樹脂製であると、保持器にある程度の弾性が得られるため、軸受組立時に保持器を変形させることができ、保持器、あるいはころの組み込みを容易に行える。
この発明において、ころ本数を総ころ形式と同じか、または2本以下の本数だけ少なくしても良い。
上記外側の保持器の外径寸法は、ころ配列の外接円径の最小径(d2o)よりも0.1mm以上小さくすることが好ましい。ころ配列の外接円径の最小径(d2o)は、各ころ2を軸の転走面に接するように配列した場合の外接円径のことである。各ころが転接する軸受箱内面に対して0.1mm以上の隙間があると、保持器が強く接触することがなく、保持器によって摩擦トルクが増大することが回避される。
また、上記外側の保持器の内径寸法を、ころ配列のピッチ円径よりも0.1mm以上大きくすることが好ましい。これにより、柱部の横断面における最内径部の幅が薄くなり過ぎて強度不足になることが、ころ配列の間隔を広げる必要なく回避される。
この発明において、内側の保持器と外側の保持器とを互いに一体化させても良い。これにより、組立性が向上する。
この発明のステアリング用ころ軸受は、ステアリング装置の操舵動作伝達系に設けられたクラッチに用いられるステアリング用ころ軸受であって、それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケットを有するリング状に形成された内外2つの保持器と、これら2つの保持器のポケットに渡って保持される複数のころとを備え、内側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを内径側から保持し、前記柱部の外径がころ配列のピッチ円直径よりも小径であり、外側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを外径側から保持し、前記柱部の内径がころ配列のピッチ円直径よりも大径であるため、内外の軌道輪を有しない軸受でありながら、ころ非脱落形式とでき、また少ない工程で組立可能で、大きくな負荷容量を付与することができる。しかも、組み込まれるころ本数を多くできて負荷容量の増大および耐久性の向上が可能で、かつゴリ感やガタツキを解消できる。
特に、クラッチが円周方向に間隔を開けて並ぶ複数のカムを有し、前記複数のころが、複数のカムの並びの外周に形成される断続的な円周状面を転走するものである場合に、このステアリング用ころ軸受は、保持器を用いたころ非脱落形式であって、かつころ本数を多くできるため、ころが円滑にカム面間に乗り移ることができて、ゴリ感やガタツキを生じることが回避できる。
特に、クラッチが円周方向に間隔を開けて並ぶ複数のカムを有し、前記複数のころが、複数のカムの並びの外周に形成される断続的な円周状面を転走するものである場合に、このステアリング用ころ軸受は、保持器を用いたころ非脱落形式であって、かつころ本数を多くできるため、ころが円滑にカム面間に乗り移ることができて、ゴリ感やガタツキを生じることが回避できる。
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。このステアリング用ころ軸受は、図1(A)に示す自動車のステアリング装置20に用いられるものである。このステアリング装置20は、自動操舵システムの一部を構成し、この自動操舵システムは、自動操舵モードからドライバーが操舵力を発生させる手動操作モードに切り換える機能を備える。この切換えのために、ステアリング装置20におけるハンドル27からセンターシャフト24への操舵動作伝達系30に、同図(B)のクラッチ機構21が設けられている。
このクラッチ機構21は、クラッチ出力側の軸となるセンターシャフト24の外周に複数のカム22を配置し、カム22とハウジング25の内径面との間に、このステアリング用ころ軸受23を介在させたものである。カム22は、くさび形のものであり、互いにセンターシャフト24の円周方向の逆方向に向く一対ずつが組となり、円周方向に一組又は複数組配置されている。これら各カム22は、センターシャフト24の軸心と垂直な平面内で揺動自在なように各組毎に保持されている。これらのカムは、ハンドルの回転操作によってころ軸受23に噛み込む。各組の1対のカム32の間には、非ロック状態である回転自在時のガタツキを抑えるために、ばね26によって予圧が与えられている。自動操舵用の駆動系30はセンターシャフト24に接続されている。ハンドルシャフト28およびセンターシャフト24は、支持部材29に他の軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。
上記クラッチ機構21は、常時は、センターシャフト24が空転自在であり、センターシャフト24は自動操舵用の駆動系31から回転が与えられる。ハンドル27を回転させると、カム22がころ軸受23に噛む込み、くさび効果によってクラッチがロックする。そのため、ころ軸受23とセンターシャフト24とハウジング25が共に回転する。上記カム22は、互いに逆向きのものが対として設けられているため、正逆いずれの回転方向に対しても、ハンドル27を回転させるとロックが生じる。
このため、自動操舵中にスリップによる衝突等の危険が発生しそうな緊急時において、ドライバーのハンドル27の手動操作による干渉力が発生したときは、クラッチのカム22が作動し、ころ軸受32を拘束することによりクラッチがロック状態となり、自動操舵の動きにかかわらず、手動操舵が優先される。
図2に示すように、上記ころ軸受23は内外の軌道輪を有しないころ軸受であって、内外2つの保持器3,13と、これら2つの保持器3,13のポケット4に渡って保持された複数のころ2とを備える。内外のいずれの保持器3,13も、円周方向に並ぶ複数のポケット4を有するリング状に形成されたものである。内側の保持器3は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間でころ2を内径側から保持するものとする。外側の保持器13は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間でころ2を外径側から保持するものとする。
内外の2つの保持器3,13は、ポリアミド(例えばPA66,PA46)、またはポリアセタール等の弾性変形が可能な合成樹脂製とされている。保持器3,13は、これらの合成樹脂を、非強化の状態、あるいはカーボンファイバやグラスファイバ等の強化繊維を30%以下添加した状態のものとして使用することにより、軸受寸法や軸受用途等に応じた適度の強度と柔軟性を持たせたものとしてある。
保持器3,13は、幅方向の両端がリング状部6とされ、両側のリング状部6の間に柱部5を円周方向に等間隔で複数設けたものである。各柱部5の間の空間がころ2の入るポケット4となる。
図2(B)に示すように、内側の保持器3の内径寸法d3iは、ころ配列の内接円径の最大径d2iよりも0.1mm以上大きくする。この0.1mmの寸法は、軸受サイズにかかわらず、この値以上であることが好ましい。保持器3の柱部5の並びの外径寸法d3oは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも小さくする。例えば、ピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上小さくする。このピッチ円直径PCDよりも小さくする寸法は、軸受寸法等に応じて設計される所定割合以上としても良い。保持器3の柱部5の太さBは、ころ径の15〜30%とすることが好ましい。
外側の保持器3の外径寸法d13oは、ころ配列の外接円径の最小径d2oよりも0.1mm以上小さくする。この0.1mmの寸法は、軸受サイズにかかわらず、この値以上であることが好ましい。保持器3の柱部5の並びの内径寸法d13iは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも大きくする。例えば、ピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上大きくする。このピッチ円直径PCDよりも大きくする寸法は、軸受寸法等に応じて設計される所定割合以上としても良い。
外側の保持器3の外径寸法d13oは、ころ配列の外接円径の最小径d2oよりも0.1mm以上小さくする。この0.1mmの寸法は、軸受サイズにかかわらず、この値以上であることが好ましい。保持器3の柱部5の並びの内径寸法d13iは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも大きくする。例えば、ピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上大きくする。このピッチ円直径PCDよりも大きくする寸法は、軸受寸法等に応じて設計される所定割合以上としても良い。
内側の保持器3の柱部5の横断面形状は、例えば最内径部5cが略一定幅の部分とされ、この最内径部よりも外径側の部分5dが外径側へ先狭まりとなる形状とされる。外径側の部分5dの先端部は、例えば角部または全体が円弧状に丸められた形状とされている。 外側の保持器3の柱部5の横断面形状は、四角形あるいは五角形の形状とされている。 外側の保持器13の柱部5の横断面形状は、最外径部が略一定幅の部分とされ、この最外径部よりも内径側の部分が内径側へ先狭まりとなる形状とされる。例えば、内径側が先狭まりの略5角形状とされる。
この構成のころ軸受23によると、ころ2を内外の保持器3,13で保持するようにしたため、軌道輪を有しない保持器付きころ軸受でありながら、機器への未組込み状態でころ2が脱落しない非脱落形式のころ軸受とできる。内外の保持器3,13は、柱部5がころ2を内径側および外径側から保持するものであり、その内側の保持器3の柱部5の外径d3oをころ配列のピッチ円直径PCDよりも小径とし、外側の保持器13の柱部5の内径d13iをころ配列のピッチ円直径PCDよりも大径としたため、保持器3,13の各柱部5がころ配列のピッチ円直径PCD上に存在しないものとすることができる。そのため、柱部5によってころ2の配列間隔が広がらず、保持器3,13を用いてころ非脱落形式としながら、総ころ形式と同程度のころ本数を有するものとでき、同じ断面高さの従来の外輪付きころ軸受に比べて、より大きな負荷容量を付与できる。そのため、脱落防止スリーブを用いることなく少ない工数で組立が可能となる等、総ころ形式の各種の課題を解消することができる。
この構成のころ軸受23を上記ステアリング装置20のクラッチ機構21に用いると、ころ2がカム面22(図1(B))の断続的に並ぶカム面間に乗り移ることになるが、ころピッチが小さく、かつころ非脱落形式であるため、円滑に乗り移ることができて、ゴリ感やガタツキを低減でき、操舵フィーリングが向上する。また、操舵フィーリングの向上により、低振動となる。
この構成のころ軸受23を上記ステアリング装置20のクラッチ機構21に用いると、ころ2がカム面22(図1(B))の断続的に並ぶカム面間に乗り移ることになるが、ころピッチが小さく、かつころ非脱落形式であるため、円滑に乗り移ることができて、ゴリ感やガタツキを低減でき、操舵フィーリングが向上する。また、操舵フィーリングの向上により、低振動となる。
この実施形態のころ軸受の場合、さらに次の利点が得られる。例えば、内側の保持器3の内径寸法d3iを、ころ配列の内接円径d2iの最大径よりも0.1mm以上大きくしたため、軸と保持器3との間に0.1mm以上の隙間が生じる。そのため、軸に保持器3が強く接触することがなく、保持器3によって摩擦トルクが増大することが回避される。
また、外側の保持器13の外径寸法d13oを、ころ配列の外接円径d2oの最小径よりも0.1mm以上小さくしたため、軸受箱と保持器13との間に0.1mm以上の隙間が生じる。そのため、軸受箱に保持器13が強く接触することがなく、保持器13によって摩擦トルクが増大することが回避される。
また、外側の保持器13の外径寸法d13oを、ころ配列の外接円径d2oの最小径よりも0.1mm以上小さくしたため、軸受箱と保持器13との間に0.1mm以上の隙間が生じる。そのため、軸受箱に保持器13が強く接触することがなく、保持器13によって摩擦トルクが増大することが回避される。
また、内側の保持器3の柱部5の並びの外径寸法d3oは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも小さくし、その小さくする程度を、例えばピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上としたため、ころ配列の間隔を広げる必要がなく、また柱部5の横断面における最外径部の幅が薄くなりすぎて強度不足になることが回避される。
また、外側の保持器13の上記柱部5の並びの内径寸法d13iは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも大きくし、その大きくする程度を、例えばピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上としたため、ころ配列の間隔を広げる必要がなく、また柱部5の横断面における最内径部の幅が薄くなりすぎて強度不足になることが回避される。
そのため、内外の保持器3,13の柱部5によってころ2の配列間隔が広がらず、総ころ形式と同じころ本数あるいは1〜2本少ないころ本数を有するものとできる。
また、外側の保持器13の上記柱部5の並びの内径寸法d13iは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも大きくし、その大きくする程度を、例えばピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上としたため、ころ配列の間隔を広げる必要がなく、また柱部5の横断面における最内径部の幅が薄くなりすぎて強度不足になることが回避される。
そのため、内外の保持器3,13の柱部5によってころ2の配列間隔が広がらず、総ころ形式と同じころ本数あるいは1〜2本少ないころ本数を有するものとできる。
さらに、内側の保持器3の柱部5の横断面形状を、最内径部5cが略一定幅の部分とされ、この最内径部5cよりも外径側の部分5dが外径側へ先狭まりとなる形状としたため、ころ2の間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくでき、かつ潤滑性にも優れる。すなわち、ころ配列における隣合うころ2の間の隙間は、内径側が次第に大きくなる三角形状の隙間となるため、ころ2間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくするには、柱部5を外径側へ先狭まりとなる三角形状の断面形状とすることが好ましい。しかし、柱部5の幅が最も広がる最内径部5cは、ころ表面に沿って広げずに、略一定としてころ表面と柱部表面との隙間を広げることにより、潤滑油の流れの阻害が回避でき、潤滑性の低下が防止できる。また、柱部5に無駄部分が生じず、樹脂材料が節減される。
また、外側の保持器13の柱部5の横断面形状を、最外径部5aが略一定幅の部分とされ、この最外径部5aよりも内径側の部分5bが内径側へ先狭まりとなる形状としたため、ころ2の間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくでき、かつ潤滑性にも優れる。すなわち、ころ配列における隣合うころ2の間の間隔は、外径側が次第に大きくなる三角形状の隙間となるため、ころ2間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくするには、柱部5を内径側へ先狭まりとなる三角形状の断面形状とすることが好ましい。しかし、柱部5の幅が最も広がり最外径部5aは、ころ表面に沿って広げずに、略一定としてころ表面と柱部表面との隙間を広げることにより、潤滑油の流れの阻害が回避でき、潤滑性の低下が防止できる。また、柱部5に無駄部分が生じず、樹脂材料が節減される。
また、外側の保持器13の柱部5の横断面形状を、最外径部5aが略一定幅の部分とされ、この最外径部5aよりも内径側の部分5bが内径側へ先狭まりとなる形状としたため、ころ2の間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくでき、かつ潤滑性にも優れる。すなわち、ころ配列における隣合うころ2の間の間隔は、外径側が次第に大きくなる三角形状の隙間となるため、ころ2間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくするには、柱部5を内径側へ先狭まりとなる三角形状の断面形状とすることが好ましい。しかし、柱部5の幅が最も広がり最外径部5aは、ころ表面に沿って広げずに、略一定としてころ表面と柱部表面との隙間を広げることにより、潤滑油の流れの阻害が回避でき、潤滑性の低下が防止できる。また、柱部5に無駄部分が生じず、樹脂材料が節減される。
図3は、この発明における他の実施形態を示す。このころ軸受23は、図2の実施形態において、内側の保持器3における外径面の左右両縁部3a、および外側の保持器13における内径面の左右両縁部13aが、テーパ状の先狭まり形状とされている。その他の構成は図2の実施形態と同じである。
このように、内側の保持器3の外径面の縁部3a、および外側の保持器13の内径面の縁部13aをテーパ状の先狭まり形状とすることにより、組立時のころ配列の内側への保持器3の挿入および外側への保持器13の挿入を円滑に行うことができ、組立性がさらに向上する。また、保持器3,13の両縁部3a,13aともテーパ状の先狭まり形状としているので、保持器3,13をいずれの側縁からころ配列の内外へ挿入しても、その挿入を円滑に行うことができる。なお、両縁部3a,13aをテーパ状の先狭まり形状とするのは、内外の保持器3,13のうち、いずれか一方のみとしても良い。
このように、内側の保持器3の外径面の縁部3a、および外側の保持器13の内径面の縁部13aをテーパ状の先狭まり形状とすることにより、組立時のころ配列の内側への保持器3の挿入および外側への保持器13の挿入を円滑に行うことができ、組立性がさらに向上する。また、保持器3,13の両縁部3a,13aともテーパ状の先狭まり形状としているので、保持器3,13をいずれの側縁からころ配列の内外へ挿入しても、その挿入を円滑に行うことができる。なお、両縁部3a,13aをテーパ状の先狭まり形状とするのは、内外の保持器3,13のうち、いずれか一方のみとしても良い。
図4は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。このころ軸受23は、図2の実施形態において、内側の保持器3を、両側のリング状部6が柱部5よりも外径側へ厚くなる形状とすると共に、外側の保持器13を、両側のリング状部6が柱部5よりも内径側へ厚くなる形状としたものである。その他の構成は図2の実施形態と同じである。この構成の場合も、図2の実施形態で示した各作用、効果が得られる。なお、両側のリング状部6が柱部5よりも上記のように厚くするのは、内外の保持器3,13のうちのいずれか一方のみとしても良い。
図5は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。このころ軸受23は、図2に示す実施形態において、内外の保持器3,13を、例えば図8(D)に示すように一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリット7を有するものとし、このスリット7で図2のポケット4を代用したものである。ここでは、外側の保持器13のスリット7の円周方向位置と、このスリット7に対向する内側の保持器3のスリット7の円周方向位置とが互いにずれた位置となるように設定されている。保持器3,13のスリット構造は、図8(D)の例のものに限らず、図8(A)〜(C)の例のものであっても良い。その他の構成は図2の実施形態と同じである。
このように、内外の保持器3,13をスリット7を有するものとすることにより、組立時に外側の保持器13の挿入側部分を拡径させ、内側の保持器3の挿入側部分を縮径させながらころ配列の内外に保持器3,13を挿入することができる。
また、内外の保持器3,13のスリット7の円周方向位置が互いにずれた位置とされているので、内外の保持器3,13によるころ2の保持強度を十分確保できる。
また、内外の保持器3,13のスリット7の円周方向位置が互いにずれた位置とされているので、内外の保持器3,13によるころ2の保持強度を十分確保できる。
なお、図5の実施形態では、内外の保持器3,13の両方にスリット7を設けた場合を示したが、図6のように内側の保持器3にのみスリット7を設けたものでも、図7のように外側の保持器13にのみスリット7を設けたものでも良い。これらの場合も、スリット7を設けた保持器のスリット7側を挿入側として縮径あるいは拡径させることにより、ころ配列の内外に保持器3,13を容易に挿入することができる。すなわち、例えば、図6のように内側の保持器3にのみスリット7を設けた実施形態の場合には、外側の保持器13のポケット4にころ2を配置した後に、内側の保持器3をそのスリット7形成側を挿入側として縮径させ、ころ配列の内側へ軸方向に挿入する。挿入後は、保持器3の材質の持つ弾性により元の径に自然に復元される。
図8および図9は、上記スリット7の各種の具体例を示す。この実施形態のステアリング用ころ軸受23は、図1〜図7に示す各実施形態において、保持器3,13を、図8(A)〜(D)に各例を示すように、その円周方向の複数箇所に、この保持器3,13の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリット7,7Aを設けたものとしてある。その他の構成は、図1〜図7に示す各実施形態と同じである。
図8(A)は、スリット7が、一側縁(図中の左側)から切り欠かれたもののみである保持器3,13の例を示す。
図8(B)は、スリット7に、一側縁から切り欠かれたものと、他側縁から切り欠かれたものとがあって、両側のスリット7が円周方向に千鳥状に並ぶように設けられた保持器3,13の例を示す。
これら図8(A),(B)の例の保持器3,13は、いずれもリング状部6における隣合う柱部5間の部分の略全体を除去した部分と、隣合う柱部5間のポケットを兼用する部分とでスリット7が構成される。
図8(B)は、スリット7に、一側縁から切り欠かれたものと、他側縁から切り欠かれたものとがあって、両側のスリット7が円周方向に千鳥状に並ぶように設けられた保持器3,13の例を示す。
これら図8(A),(B)の例の保持器3,13は、いずれもリング状部6における隣合う柱部5間の部分の略全体を除去した部分と、隣合う柱部5間のポケットを兼用する部分とでスリット7が構成される。
図8(C)の、スリット7,7Aは切り欠き形状の例である。切り欠き形状はスリット7Aの様にリング状部6の一部を残しても良い。リング状部を残さないスリット7の場合、角部をR又はテーパにしても良い。これにより、保持器3,13の幅面が側板などの他の部材に当っても引っかかりにくくできる。
図8(D)は、図8(B)と同様に、一側縁から切り欠かれたスリット7と他側縁から切り欠かれたスリット7とを、円周方向に千鳥状に並べた保持器3,13の例であるが、この場合には専用のポケット4を省略して、一側縁から切り欠かれたスリット7と、他側縁から切り欠かれたスリット7とが円周方向に交互に並ぶようにされている。
図8(D)は、図8(B)と同様に、一側縁から切り欠かれたスリット7と他側縁から切り欠かれたスリット7とを、円周方向に千鳥状に並べた保持器3,13の例であるが、この場合には専用のポケット4を省略して、一側縁から切り欠かれたスリット7と、他側縁から切り欠かれたスリット7とが円周方向に交互に並ぶようにされている。
図8(A),(B),(D)の例の保持器3,13は、いずれもリング状部6における隣合う柱部5間の部分の略全体を除去した部分と、隣合う柱部5間のポケットを兼用する部分とでスリット7が構成される。
また、図8(A),(B)の各例は、いずれもポケット4とスリット7とが交互に形成されていて、柱部5は、ポケット4とポケットを兼用するスリット7との間に設けられたものとされている。
図8(A),(B)の例のものに限らずポケット4とスリット7は交互ではなく、スリット7は複数個のポケット4の並びを開けて設けられたものとしても良い。
柱部5の断面形状は、ポケット4とスリット7の間のものと、隣合う専用のポケット4間のものとのいずれも、前述した形状とされる。
また、図8(A),(B)の各例は、いずれもポケット4とスリット7とが交互に形成されていて、柱部5は、ポケット4とポケットを兼用するスリット7との間に設けられたものとされている。
図8(A),(B)の例のものに限らずポケット4とスリット7は交互ではなく、スリット7は複数個のポケット4の並びを開けて設けられたものとしても良い。
柱部5の断面形状は、ポケット4とスリット7の間のものと、隣合う専用のポケット4間のものとのいずれも、前述した形状とされる。
図9は、上記各保持器3,13でころ2が保持された状態を示す。図9(A)は片側のみにスリット7を有する保持器3,13(図8(A)の例)を用いた場合を示し、ここではポケット4だけでなく、スリット7内にもころ2が配置されている。これにより、ころ軸受の負荷容量を増大させることができる。図9(B)は両側にスリット7を有する保持器3(図8(B)の例)を用いた場合を示し、この場合もポケット4だけでなく、スリット7内にもころ2が配置されている。図9(C)はスリット7だけの保持器3,13(図8(D)の例)を用いた場合を示し、この場合は全てのスリット7内にころ2が配置されている。
これら図8,図9の各例のころ軸受によると、保持器3,13の円周方向の複数箇所に、保持器3,13の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリット7,7Aを設けたので、組立時に保持器3,13の挿入側部分を拡径あるいは縮径させながら挿入することができる。そのため、保持器3,13をその材質の弾性域内で変形させることができて、保持器3,13の撓み変形が少なく、変形に伴う精度低下を防止でき、組立性の向上および精度向上を図ることができる。
図10は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。このころ軸受は、図2に示す実施形態において、内外の保持器3,13を、それらの一側部で連結して互いに一体化させたものである。ここでは内外の保持器3,13の連結部10は、円周方向にころ2が3個並ぶ間隔ごとに設けられており、連結部10と内外の保持器3,13のリング状部6で囲まれる窓部が長円状とされている。なお、内外の保持器3,13の連結部10と反対側の側縁部3a,13aはテーパ状の先狭まり形状としている。すなわち、内側の保持器3の外径面の連結部10と反対側の側縁3a、および外側の保持器13の内径面の連結部10と反対側の側縁13aの両方を、テーパ状の先狭まり形状としている。
このように、内外の保持器3,13を、それらの一側部で連結して互いに一体化させることにより、組立時に内外の保持器3,13をころ配列の内外に挿入する作業を容易に行うことができ、組立性が向上する。また、内外の保持器3,13の連結部10と反対側の側縁部3a,13aをテーパ状の先狭まり形状としているので、両保持器3,13を連結部10と反対側からころ配列の外側へ挿入するときに、その挿入を円滑に行うことができる。
図11(A),(B)は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。図11(A)のころ軸受23は、図10の実施形態において、円周方向にころ2が1個並ぶ間隔ごとに連結部10を設けたものであり、連結部10と内外の保持器3,13のリング状部6で囲まれる窓部は矩形とされている。また図11(B)のころ軸受は、図10の実施形態において、円周方向にころ2が2個並ぶ間隔ごとに連結部10を設けたものであり、その連結部10は内側の保持器リング状部6から外側の保持器リング状部6に向けて先狭まりとなる扇状に形成されている。また、先拡がりとなる扇状としてもよい。
2…ころ
3,13…保持器
3a,13a…縁部
4…ポケット
5…柱部
7,7A…スリット
10…連結部
20…ステアリング装置
21…クラッチ機構
22…カム
23…ステアリング用ころ軸受
30…操舵動作伝達系
3,13…保持器
3a,13a…縁部
4…ポケット
5…柱部
7,7A…スリット
10…連結部
20…ステアリング装置
21…クラッチ機構
22…カム
23…ステアリング用ころ軸受
30…操舵動作伝達系
Claims (8)
- ステアリング装置の操舵動作伝達系に設けられたクラッチに用いられるステアリング用ころ軸受であって、それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケットを有するリング状に形成された内外2つの保持器と、これら2つの保持器のポケットに渡って保持される複数のころとを備え、内側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを内径側から保持し、前記柱部の外径がころ配列のピッチ円直径よりも小径であり、外側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを外径側から保持し、前記柱部の内径がころ配列のピッチ円直径よりも大径であることを特徴とするステアリング用ころ軸受。
- 請求項1において、前記クラッチが、円周方向に間隔を開けて並ぶ複数のカムを有し、前記複数のころは、前記複数のカムの並びの外周に形成される断続的な円周状面を転走するものであるステアリング用ころ軸受。
- 請求項1または請求項2において、外側の保持器の柱部の横断面形状を、外径部よりも内径側の部分が、内径側へ先狭まりとなる形状としたステアリング用ころ軸受。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、保持器を合成樹脂製としたステアリング用ころ軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、ころ本数を総ころ形式と同じか、または2本以下の本数だけ少なくしたステアリング用ころ軸受。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、外側の保持器の外径寸法を、ころ配列の外接円径の最小径よりも0.1mm以上小さくしたステアリング用ころ軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、外側の保持器の内径寸法を、ころ配列のピッチ円径よりも0.1mm以上大きくしたステアリング用ころ軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、内側の保持器と外側の保持器とを互いに一体化させたステアリング用ころ軸受。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005246380A JP2007057075A (ja) | 2005-08-26 | 2005-08-26 | ステアリング用ころ軸受 |
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WO2017159467A1 (ja) * | 2016-03-18 | 2017-09-21 | Ntn株式会社 | 円すいころ軸受 |
-
2005
- 2005-08-26 JP JP2005246380A patent/JP2007057075A/ja active Pending
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WO2017159467A1 (ja) * | 2016-03-18 | 2017-09-21 | Ntn株式会社 | 円すいころ軸受 |
CN108700117A (zh) * | 2016-03-18 | 2018-10-23 | Ntn株式会社 | 圆锥滚子轴承 |
CN108700117B (zh) * | 2016-03-18 | 2020-09-29 | Ntn株式会社 | 圆锥滚子轴承 |
US11143235B2 (en) | 2016-03-18 | 2021-10-12 | Ntn Corporation | Tapered roller bearing |
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