JP2007187287A - ラック・ピニオン機構用ころ軸受 - Google Patents

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英樹 赤松
Kosuke Obayashi
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Abstract

【課題】軌道輪を有しない簡単な構成で、非脱落形式で、十分な定格荷重が得られ、耐久性の向上が可能で、組立性が良好なラック・ピニオン機構用ころ軸受を提供する。
【解決手段】それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケット4を有するリング状に形成された内外2つの保持器3,13と、これら2つの保持器3,13のポケット4に渡って保持される複数のころ2とを備える。これら複数のころ2は、ピニオンギアのピニオン軸24aの外周面およびハウジング27の軸受取付孔の内周面に転接する。内側の保持器3は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間でころ2を内径側から保持し、外側の保持器13は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間で前記ころ2を外径側から保持する。内外の保持器3,13は、円周方向の複数箇所に、その各保持器3,13の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリット7を有する。
【選択図】図3

Description

この発明は、回転運動を直線運動に変換するラック・ピニオン機構のピニオンギア支持部に使用されるころ軸受に関する。
ラック・ピニオン機構は、旋盤等の工作機械の送り機構や、塗装機、洗浄機などの生産設備、あるいは自動車のステアリング装置等の様々な分野で広く使用されている。ピニオンギアの支持には各種軸受が使用されている。
ところで、転がり軸受は、深溝玉軸受やアンギュラ玉軸受のような玉軸受と、針状ころ軸受のようなころ軸受とに大別されるが、両者には次のような一般的な特徴がある。すなわち、玉軸受は、ラジアル荷重およびアキシアル荷重の両方を受けることができるが、ころ軸受(ラジアルタイプ)は、ラジアル荷重しか受けることができない。しかし、ころ軸受は、同じ定格荷重なら玉軸受に比べコンパクトな設計が可能である。
ラック・ピニオン機構を各種機器に組み込む場合、上記両軸受の特徴を活かして、玉軸受ところ軸受とを組み合わせて使用することが多い。例えば、特許文献1、2では、ラック・ピニオン機構を収容するハウジングにおける中央部および端部でピニオン軸を支持する場合において、設置スペースの制約が比較的少ないハウジングの中央部では玉軸受でピニオン軸を支持し、かつ設置スペースの余裕がないハウジングの端部ではころ軸受でピニオン軸を支持するようにして、ラジアル荷重を受けつつ、ハウジングのコンパクト化を図っている。なお、両文献は共に、自動車のステアリング装置にラック・ピニオン機構を使用した例である。
従来、ラック・ピニオン機構のピニオンギアをサイズの小さい軸受で支持しようとする場合、一般的には図8に示すような保持器つき針状ころ軸受30が用いられていた。また、図9に示すような滑り軸受31を用いる場合もある。
特開2001−71918号公報 特開2001−213334号公報
ラック・ピニオン機構のピニオンギアは、滑らかに回転する必要があり、ピニオンギア自体またはピニオンギアを取付けた軸が軸受によって回転自在に支持される。このピニオンギア支持部の軸受には、ラック・ピニオン機構が組み込まれる機器の用途やラック・ピニオン機構の組付け位置に応じた耐荷重性能、コンパクト性および組立性が求められる。
従来の図8に示すような保持器つき針状ころ軸受30は、同じサイズの総ころ軸受と比べて定格容量が小さいため、耐荷重性能が不足することがある。耐荷重性能が不足すると、転走面や転動面に圧痕が生じ、作動時に大きな振動音やゴリ感が発生する。
保持器を有しない総ころ軸受は、一般的には、機器への組付け前の取扱時にころが脱落する状態となっている。このため、組立性が悪く、ハウジングの奥まった位置に軸受を組付けることはほとんど不可能である。
非脱落タイプの総ころ軸受もあるが、キーストンタイプの場合、ころ本数が20本以上となると設計が困難である。
また、非脱落タイプの総ころ軸受でC端面のころタイプのものは、幅寸法が大きくなり、さらに有効接触長さも短く、かつころ端面およびころ端面との接触部が摩耗する問題がある。詳しくは、C端面ころタイプとは、ころ端面に尖り部を設けるタイプであり、その尖り部をプレス製の外輪に設けられた鍔で抱え込むことで脱落防止される。このように、ころ端面を尖り形状とするため、平面、丸面(F、A面)の端面ころと比べて高価となる。しかも、ころ端面が尖り形状であるため、誘起スラストが大きい使用形態ではころ端面の摩耗が顕著となる。また、ころ端面の尖り形状の寸法分だけ、ころの有効長さが短くなる。
これらの他に、熱固化性グリースを充填して非脱落タイプとする総ころ軸受があるが、このタイプは回転トルクが大きくなる。さらに、熱固化性グリースの使用温度範囲内に軸受の使用温度が限られる。そして、軸受潤滑の手段であるグリースの種類、油の種類等が限られる。
なお、上記文中に記載したころの端面形状はJIS B 1506に示されたものであって、C端面はとがり形、F端面は平面形、A端面は丸面形のことをいう。
図9に示すように滑り軸受31を用いた場合、耐荷重性能および組立性に優れるが、滑り軸受31は、ギア支持部の摩擦抵抗が大きいため、モータや油圧装置等の動力源の必要容量が大きく、また樹脂コーティングの被膜が剥がれたり摩耗したりして、ガタツキが発生しやすいという問題がある。
具体的な適用例として、工作機械や生産設備では以下の課題がある。
(1)例えば、旋盤等の送り装置に使用される場合、ツールの破損時にラック・ピニオン機構のピニオンギア支持部に大きな衝撃荷重が作用するため、軸受には大きな定格荷重が必要とされる。保持器つき針状ころ軸受は同じサイズの総ころ軸受に比べて定格容量が小さい。
(2)コンパクト化、軽量化のために、軸受サイズを小さくする必要がある。保持器つき針状ころ軸受は同じサイズの総ころ軸受に比べて定格容量が小さい。
(3)軸受の組付け位置が、例えばハウジングの奥となる場合、軸受のハウジングへの組立性も考慮しなければならない。脱落タイプ総ころ軸受は、同じサイズなら保持器つき針状ころ軸受より定格荷重が大きく取れるが、ころが脱落するため、組み付ける事がほとんど不可能であり、組立性が保持器つき針状ころ軸受より著しく劣る。
(4)滑り軸受は転がり軸受と比べ、フリクションが大きく、大きな動力が必要となる。
また、ステアリング装置では以下の課題がある。
(1)すえぎりやコーナーリング中にタイヤが乗り上げると、ラック・ピニオン機構のピニオンギア支持部に大きな荷重が作用する。耐荷重性能を向上するために、軸受には大きな定格荷重が必要とされる。
(2)コンパクト化、軽量化のために、軸受サイズを小さくする必要がある。保持器つき針状ころ軸受は同じサイズの総ころ軸受に比べて定格容量が小さい。
(3)軸受の組付け位置が、例えばハウジングの奥となる場合、軸受のハウジングへの組立性も考慮しなければならない。脱落タイプ総ころ軸受は、同じサイズなら保持器つき針状ころ軸受より定格荷重が大きく取れるが、ころが脱落するため、組み付ける事がほとんど不可能であり、組立性が保持器つき針状ころ軸受より著しく劣る。
(4)滑り軸受は転がり軸受と比べ、フリクションが大きく、大きな動力が必要となる。
この発明の目的は、軌道輪を有しない簡単な構成でありながら、総ころ軸受並みのころ本数を非脱落形式で保持できて、小さな軸受サイズにも拘わらず十分な定格荷重が得られ、耐久性の向上が可能で、さらに組立性が良好なラック・ピニオン機構用ころ軸受を提供することである。
この発明のラック・ピニオン機構用ころ軸受は、回転運動を直線運動に変換するラック・ピニオン機構におけるピニオンギアを支持するころ軸受において、それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケットを有するリング状に形成された内外2つの保持器と、これら2つの保持器のポケットに渡って保持される複数のころとを備え、これら複数のころは、ピニオンギアのピニオン軸の外周面およびハウジングの軸受取付孔の内周面に転接するものであって、前記内側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを内径側から保持し、前記柱部の並びの外径寸法がころ配列のピッチ円直径よりも小径であり、前記外側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを外径側から保持し、前記柱部の並びの内径寸法がころ配列のピッチ円直径よりも大径であり、内外の保持器が、円周方向の複数箇所に、その各保持器の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリットを有するものであることを特徴とする。
この構成によると、内外2つの保持器を設けたため、軌道輪を有しない保持器つきころ軸受でありながら、機器への未組込み状態でころが非脱落形式のころ軸受とできる。この場合に、内外の保持器の柱部がころを内径側および外径側から保持するものであり、その内側の保持器柱部の並びの外径寸法をころ配列のピッチ円直径よりも小径とし、外側の保持器柱部の並びの内径寸法をころ配列のピッチ円直径よりも大径としたため、保持器柱部がころ配列のピッチ円直径上に存在しないものとできる。そのため、柱部によってころの配列間隔が広がらず、保持器を用いて非脱落形式としながら、総ころ形式と同程度のころ本数を有するものとできる。このため、例えば次の各利点が得られる。
・ 本発明の保持器を採用することにより、総ころ軸受並みのころ本数を保持することができる。
・ 総ころ軸受並みのころ本数を非脱落にて保持できるため、同じサイズの深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受および保持器つき針状ころ軸受に対して、定格荷重が大きく、耐荷重性能向上、コンパクト化、長寿命化が可能となる。
・ 組込みころを非脱落にて保持できるため、脱落タイプ総ころ軸受に対して、組立性が向上する。
・ 滑り軸受(樹脂コーティング品)のようにコーティング膜剥がれや摩耗することがなく、摩耗等によるガタツキが発生することがない。
・ 滑り軸受(コーティングの有無関係なし)と比べ、低トルクである。
また、内外の保持器が、円周方向の複数箇所に、その各保持器の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリットを有するものとしているので、組立時に外側の保持器のスリットの挿入側部分を拡径させ、内側の保持器の挿入側部分を縮径させながらころ配列の内外に保持器を挿入することができる。この後、保持器が材質の持つ弾性で元の径に自然復元させることで、ポケット内に各ころが入り、軸受が組み立てられる。上記保持器の挿入においては、上記スリットがあるため、保持器をその材質の弾性域内で変形させることができ、そのため保持器の撓み変形が少なく、変形に伴う精度低下を防止できる。これにより組立性の向上および精度向上を図ることができ、また組立の自動化も可能となる。
この発明において、内外の保持器のスリットの円周方向位置が互いにずれた位置であることが好ましい。これにより、スリットを設けながら、内外の保持器によるころの保持強度を十分確保できる。
この発明において、内外の保持器のいずれか片方が、円周方向の複数箇所に、その各保持器の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリットを有するものであっても良い。
例えば、外側の保持器のみにスリットを有する場合、軸受の組立に際して、内側の保持器の外周にころを配置した後に、外側の保持器をそのスリットの開口端側からころ配列の外側へ、この保持器の挿入側部分を拡径させながら挿入することができる。この後、外側の保持器が材質の持つ弾性で元の径に自然復元させることで、ポケット内に各ころが入り、軸受を容易に組み立てることができる。
内側の保持器のみにスリットを有する場合は、外側の保持器のポケットにころを配置した後に、内側の保持器をそのスリットの開口端側からころ配列の内側へ軸方向に挿入する。このとき、内側の保持器を縮径させながら挿入し、挿入後は内側の保持器が材質の持つ弾性で元の径に戻る。
これら片方の保持器のみにスリットを設けた場合においても、上記保持器の挿入においては、上記スリットがあるため、保持器をその材質の弾性域内で変形させることができ、そのため保持器の撓み変形が少なく、変形に伴う精度低下を防止できる。これにより組立性の向上および精度向上を図ることができ、また組立の自動化も可能となる。
この発明において、前記スリットが、ころを保持するポケットを兼ねるものであっても良い。換言すれば、保持器の側縁のリング状部に、ポケットの箇所で除去部分を設け、その除去部分とポケットとで上記スリットが構成されたものであっても良い。
スリット内にもころを配置することで、スリットを設けながら、ころ本数を増やすことができ、ころ軸受の負荷容量を増大させることができる。
この発明において、内外の保持器のいずれか片方または両方が、円周方向の一箇所に、その各保持器の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリットを有するものであっても良い。
この発明において、内側の保持器と外側の保持器とを互いに一体化させても良い。これにより、組立性が向上する。
この発明のラック・ピニオン機構用ころ軸受は、回転運動を直線運動に変換するラック・ピニオン機構におけるピニオンギアを支持するころ軸受において、それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケットを有するリング状に形成された内外2つの保持器と、これら2つの保持器のポケットに渡って保持される複数のころとを備え、これら複数のころは、ピニオンギアのピニオン軸の外周面およびハウジングの軸受取付孔の内周面に転接するものであって、前記内側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを内径側から保持し、前記柱部の並びの外径寸法がころ配列のピッチ円直径よりも小径であり、前記外側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを外径側から保持し、前記柱部の並びの内径寸法がころ配列のピッチ円直径よりも大径であり、内外の保持器が、円周方向の複数箇所に、その各保持器の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリットを有するものとしたため、内外の軌道輪を有しない簡単な構成でありながら、総ころ軸受並みのころ本数を非脱落形式で保持できて、小さな軸受サイズにも拘わらず十分な定格荷重が得られるため、耐久性の向上が可能で、さらに組立性が良好となった。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。このラック・ピニオン機構用ころ軸受は、図1に示すラック・ピニオン機構20のピニオンギア支持部21に使用される。このラック・ピニオン機構20は、例えば旋盤等の工作機械の送り機構や、塗装機、洗浄機などの生産設備、あるいは自動車のステアリング装置等に使用されるものである。
図1のラック・ピニオン機構20は、モータ22の回転力を減速部23で増幅(減速)し、その増幅された回転力をピニオンギア24およびラック25により直線動作に変換する。ピニオンギア24の軸心方向両端にピニオン軸24aが一体に形成されており、そのピニオン軸24aが、本発明のころ軸受26と図示しない別の軸受とにより回転自在に支持されている。ころ軸受26は、ラック・ピニオン機構20を収容するハウジング27の端部に設けられたものである。また、ラック25は、図示しないラックブッシュにより、軸方向に摺動自在に支持されている。
図2および図3に示すように、上記ころ軸受26は内外の軌道輪を有しない軸受であって、内外2つの保持器3,13と、これら2つの保持器3,13のポケット4に渡って保持された複数のころ2とを備える。内外いずれの保持器3,13も、円周方向に並ぶ複数のポケット4を有するリング状に形成されたものである。内側の保持器3は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間でころ2を内径側から保持するものとする。外側の保持器13は、各ポケット4間の柱部5が各ころ2間でころ2を外径側から保持するものとする。これら内外の保持器3,13は、幅方向の両端はリング状部6とされ、両側のリング状部6の間に柱部5を円周方向に等間隔で複数設けたものである。各柱部5の間の空間が、ころ2の入るポケット4となる。
このようにして内外の保持器3,13によって保持された複数のころ2は、ピニオンギア24のピニオン軸24aの外周面、およびハウジング27の軸受取付孔28の内周面に転接している。
内外の2つの保持器3,13は、ポリアミド(例えばPA66,PA46)、またはポリアセタール等の弾性変形が可能な合成樹脂製とされている。保持器3,13は、これらの合成樹脂を、非強化の状態、あるいはカーボンファイバやグラスファイバ等の強化繊維を30%以下添加した状態のものとして使用することにより、軸受寸法や軸受用途等に応じた適度の強度と柔軟性を持たせたものとしてある。
図3(B)に示すように、内側の保持器3の内径寸法d3iは、ころ配列の内接円径の最大径d2iよりも0.1mm以上大きくする。この0.1mmの寸法は、軸受サイズにかかわらず、この値以上であることが好ましい。保持器3の柱部5の並びの外径寸法d3oは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも小さくする。例えば、ピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上小さくする。このピッチ円直径PCDよりも小さくする寸法は、軸受寸法等に応じて設計される所定割合以上としても良い。保持器3の柱部5の太さBは、ころ径の15〜30%とすることが好ましい。
外側の保持器13の外径寸法d13oは、ころ配列の外接円径の最大径d2oよりも0.1mm以上小さくする。この0.1mmの寸法は、軸受サイズにかかわらず、この値以上であることが好ましい。保持器13の柱部5の並びの内径寸法d13iは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも大きくする。例えば、ピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上大きくする。このピッチ円直径PCDよりも大きくする寸法は、軸受寸法等に応じて設計される所定割合以上としても良い。
内側の保持器3の柱部5の横断面形状は、例えば最内径部5cが略一定幅の部分とされ、この最内径部よりも外径側の部分5dが外径側へ先狭まりとなる形状とされる。外径側の部分5dの先端部は、例えば角部または全体が円弧状に丸められた形状とされている。
外側の保持器13の柱部5の横断面形状は、四角形あるいは五角形の形状とされている。
外側の保持器13の柱部5の横断面形状は、最外径部5aが略一定幅の部分とされ、この最外径部よりも内径側の部分5bが内径側へ先狭まりとなる形状とされる。例えば、内径側が先狭まりの略五角形状とされる。
前記保持器3,13の各例を、図4(A)〜(C)に示す。これら保持器3,13の円周方向の複数箇所には、この保持器3,13の一側端から他端側の近傍まで切りかかれた形状のスリット7,7Aが設けられている。
図4(A)は、スリット7が、一側縁(図中の左側)から切り欠かれたもののみである保持器3,13の例を示す。図4(B)は、スリット7に、一側縁から切り欠かれたものと、他側縁から切り欠かれたものとがあって、両側のスリット7が円周方向に千鳥状に並ぶように設けられた保持器3,13の例を示す。
これら図4(A),(B)の例の保持器3,13は、いずれもリング状部6における隣合う柱部5間の部分の略全体を除去した部分と、隣合う柱部5間のポケットを兼用する部分とでスリット7が構成される。
図4(C)に示す保持器3,13のスリット7,7Aは切り欠き形状の例である。切り欠き形状はスリット7Aのようにリング状部6の一部を残しても良い。リング状部を残さないスリット7の場合、角部をRまたはテ−パにしても良い。これにより、保持器3,13の幅面が側板等の他の部材に当たっても引っかかりにくくできる。
図4(A),(B)の例の保持器3,13は、いずれもリング状部6における隣合う柱部5間の部分の略全体を除去した部分と、隣合う柱部5間のポケットを兼用する部分とでスリット7が構成される。
また、図4(A),(B)の各例は、いずれもポケット4とスリット7とが交互に形成されていて、柱部5は、ポケット4とポケットを兼用するスリット7との間に設けられたものとされている。
図4(A),(B)の例のものに限らず、ポケット4とスリット7は交互ではなく、スリット7は複数個のポケット4の並びを開けて設けられたものとしても良い。
柱部5の断面形状は、ポケット4とスリット7の間のものと、隣合う専用のポケット4間のものとのいずれも、前述した形状とされる。
なお、図4(A)〜(C)の保持器3,13の各例において、スリット7,7Aは、円周方向の一箇所にのみ設けたものとしても良い。
図5は、上記各保持器3,13でころ2が保持された状態を示す。図5(A)は片側のみにスリット7を有する保持器3,13(図4(A)の例)を用いた場合を示し、ここではポケット4だけでなく、スリット7内にもころ2が配置されている。これにより、ころ軸受の負荷容量を増大させることができる。図5(B)は両側にスリット7を有する保持器3(図4(B)の例)を用いた場合を示し、この場合もポケット4だけでなく、スリット7内にもころ2が配置されている。
この構成のころ軸受26によると、ころ2を内外の保持器3,13で保持するようにしたため、軌道輪を有しない保持器つきころ軸受でありながら、機器への未組込み状態でころ2が脱落しない非脱落形式のころ軸受とできる。内外の保持器3,13は、柱部5がころ2を内径側および外径側から保持するものであり、その内側の保持器3の柱部5の並びの外径寸法d3oをころ配列のピッチ円直径PCDよりも小径とし、外側の保持器13の柱部5の並びの内径寸法d13iをころ配列のピッチ円直径PCDよりも大径としたため、保持器3,13の各柱部5がころ配列のピッチ円直径PCD上に存在しないものとすることができる。そのため、柱部5によってころ2の配列間隔が広がらず、保持器3,13を用いてころ非脱落形式としながら、総ころ形式と同程度のころ本数を有するものとでき、同じ断面高さの従来の外輪つきころ軸受に比べて、より大きな負荷容量を付与できる。そのため、脱落防止スリーブを用いることなく少ない工数で組立が可能となる等、総ころ形式の各種の課題を解消することができる。
この実施形態のころ軸受26の場合、さらに次の利点が得られる。
例えば、内側の保持器3の内径寸法d3iを、ころ配列の内接円径d2iの最大径よりも0.1mm以上大きくしたため、ピニオン軸24aと保持器3との間に0.1mm以上の隙間が生じる。そのため、ピニオン軸24aに保持器3が強く接触することがなく、保持器3によって摩擦トルクが増大することが回避される。また、潤滑油の流れの阻害も回避でき、潤滑性の低下を防止できる。
また、外側の保持器13の外径寸法d13oを、ころ配列の外接円径d2oの最小径よりも0.1mm以上小さくしたため、ハウジング27の軸受取付孔28の内周面と保持器13との間に0.1mm以上の隙間が生じる。そのため、ハウジング27に保持器13が強く接触することがなく、保持器13によって摩擦トルクが増大することが回避される。また、潤滑油の流れの阻害も回避でき、潤滑性の低下を防止できる。
内側の保持器3の柱部5の並びの外径寸法d3oは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも小さくし、その小さくする程度を、例えばピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上としたため、内側の保持器3の柱部5がころ配列のピッチ円上に存在しないものとできる。
さらに、外側の保持器13の柱部5の並びの内径寸法d13iは、ころ配列のピッチ円直径PCDよりも大きくし、その大きくする程度を、例えばピッチ円直径PCDよりも0.1mm以上としたため、外側の保持器13の柱部5がころ配列のピッチ円上に存在しないものとできる。
そのため、内外の保持器3,13の柱部5によってころの配列間隔が広がらず、保持器を用いて非脱落形式としながら、総ころ形式を同じ本数あるいは1〜2本少ない本数を有するものとできる。
また、ころと保持器の柱部との間の潤滑油の流れの阻害も回避でき、潤滑性の低下を防止できる。
さらに、内側の保持器3の柱部5の横断面形状を、最内径部5cが略一定幅の部分とされ、この最内径部5cよりも外径側の部分5dが外径側へ先狭まりとなる形状としたため、ころ2の間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくでき、かつ潤滑性にも優れる。すなわち、ころ配列における隣合うころ2の間の隙間は、内径側が次第に大きくなる三角形状の隙間となるため、ころ2間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくするには、柱部5の外径側へ先狭まりとなる三角形状の断面形状とすることが好ましい。しかし、柱部5の幅が最も広がる最内径部5cは、ころ表面に沿って広げずに、略一定幅としてころ表面と柱部表面との隙間を広げることにより、潤滑油の流れの阻害が回避でき、潤滑性の低下が防止できる。また、柱部5に無駄部分が生じず、樹脂材料が節減される。
また、外側の保持器13の柱部5の横断面形状は、最外径部5aが略一定幅の部分とされ、この最外径部5aよりも内径側の部分5bが内径側へ先狭まりとなる形状としたため、ころ2の間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくでき、かつ潤滑性にも優れる。すなわち、ころ配列における隣合うころ2の間の隙間は、外径側で次第に大きくなる三角形状の隙間となるため、ころ2間の間隔を広げることなく柱部5の断面積を大きくするには、柱部5の外径側へ先狭まりとなる三角形状の断面形状とすることが好ましい。しかし、柱部5の幅が最も広がる最外径部5aは、ころ表面に沿って広げずに、略一定としてころ表面の柱部表面との隙間を広げることにより、潤滑油の流れの阻害が回避でき、潤滑性の低下が防止できる。また、柱部5の無駄部分が生じず、樹脂材料が節減される。
また、保持器3,13の円周方向の複数箇所に、保持器3,13の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリット7,7Aを設けたので、組立時に保持器3,13の挿入側部分を拡径あるいは縮径させながら挿入することができる。スリット7,7Aを円周方向の一箇所に設けた場合も同様である。そのため、保持器3,13をその材質の持つ弾性域内で変形させることができて、保持器3,13の撓み変形が少なく、変形に伴う精度低下を防止でき、組立性の向上および精度向上を図ることができる。
図6は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。このラック・ピニオン機構用ころ軸受26は、図3に示す実施形態において、内外の保持器3,13を、それらの一側部で連結して互いに一体化させたものである。ここでは内外の保持器3,13の連結部10は、円周方向にころ2が3個並ぶ間隔ごとに設けられており、連結部10と内外の保持器3,13のリング状部6で囲まれる窓部が長円状とされている。なお、内外の保持器3,13の連結部10と反対側の側縁部3a,13aはテ−パ状の先狭まり形状とされている。すなわち、内側の保持器3の外径面の連結部10と反対側の側縁3a、および外側の保持器13の内径面の連結部10と反対側の側縁13aの両方を、テ−パ状の先狭まり形状おとしている。
このように、内外の保持器3,13を、それらの一側部で連結して互いに一体化させることにより、組立時に内外の保持器3,13をころ配列の内外に挿入する作業を容易に行うことができ、組立性が向上する。また、内外の保持器3,13の連結部10と反対側の側縁部3a,13aをテ−パ状の先狭まり形状としているので、両保持器3,13を連結部10と反対側からころ配列の外側へ挿入するときに、その挿入を円滑に行うことができる。
図7(A),(B)は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。図7(A)のころ軸受26は、図6の実施形態において、円周方向にころ2が1個並ぶ間隔ごとに連結部10を設けたものであり、連結部10と内外の保持器3,13のリング状部6で囲まれる窓部は矩形とされている。また、図7(B)のころ軸受26は、図6の実施形態において、円周方向にころ2が2個並ぶ間隔ごとに連結部10を設けたものであり、その連結部10は内側の保持器リング状部6から外側の保持器リング状部6に向けて先狭まりとなる扇状に形成されている。また、先拡がりとなる扇状としてもよい。
この発明の実施形態にかかるラック・ピニオン機構用ころ軸受を備えたラック・ピニオン機構の一部断面斜視図であり、主要部を拡大して表示してある。 (A)は同ラック・ピニオン機構の一部の断面図、(B)はIIb−IIb断面図である。 (A)ラック・ピニオン機構用ころ軸受の部分縦断面図、(B)はその部分横断面図である。 保持器の各例を示す部分正面図である。 同保持器へのころ配列状態の各例を示す部分正面図である。 (A)はこの発明における他の実施形態のころ軸受の部分縦断面図、(B)はその部分側面図である。 (A)はこの発明におけるさらに他の実施形態のころ軸受の部分側面図、(B)はこの発明におけるさらに他の実施形態のころ軸受の部分側面図である。 (A)は保持器つきころ軸受を用いた従来のラック・ピニオン機構の一部の断面図、(B)はVIIIb−VIIIb断面図である。 (A)は滑り軸受を用いた従来のラック・ピニオン機構の一部の断面図、(B)はIXb−IXb断面図である。
符号の説明
1…外輪
1a…転走面
2…ころ
3,13…保持器
4…ポケット
5…柱部
20…ラック・ピニオン機構
21…ピニオンギア支持部
22…モータ
23…減速部
24…ピニオン
24a…ピニオン軸
25…ラック
26…ころ軸受
27…ハウジング
28…軸受取付孔

Claims (6)

  1. 回転運動を直線運動に変換するラック・ピニオン機構におけるピニオンギアを支持するころ軸受において、
    それぞれ円周方向に並ぶ複数のポケットを有するリング状に形成された内外2つの保持器と、これら2つの保持器のポケットに渡って保持される複数のころとを備え、これら複数のころは、ピニオンギアのピニオン軸の外周面およびハウジングの軸受取付孔の内周面に転接するものであって、
    前記内側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを内径側から保持し、前記柱部の外径がころ配列のピッチ円直径よりも小径であり、前記外側の保持器は、各ポケット間の柱部が各ころ間で前記ころを外径側から保持し、前記柱部の内径がころ配列のピッチ円直径よりも大径であり、内外の保持器が、円周方向の複数箇所に、その各保持器の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリットを有するものであることを特徴とするラック・ピニオン機構用ころ軸受。
  2. 請求項1において、内外の保持器のスリットの円周方向位置が互いにずれた位置であるラック・ピニオン機構用ころ軸受。
  3. 請求項1または請求項2において、内外両方の保持器が前記スリットを有する形状とする構成に代えて、内外の保持器のいずれか片方が、円周方向の複数箇所に、その各保持器の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリットを有するものとしたラック・ピニオン機構用ころ軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記スリットが、ころを保持するポケットを兼ねるものであるラック・ピニオン機構用ころ軸受。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、内外の保持器のいずれか片方または両方が、円周方向の一箇所に、その各保持器の一側縁から他側縁の近傍まで切り欠かれた形状のスリットを有するものであるラック・ピニオン機構用ころ軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、内側の保持器と外側の保持器とを互いに一体化させたラック・ピニオン機構用ころ軸受。
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