JP2007056379A - ポリエステル複合繊維チーズ状パッケージの製造方法 - Google Patents

ポリエステル複合繊維チーズ状パッケージの製造方法 Download PDF

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剛史 林
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Abstract

【課題】 解舒性良好であり、パッケージ端面周期やパッケージ内層、外層での物性斑が抑制され、且つ、生産性に優れたパッケージ及びその製造方法の提供。
【解決手段】 高粘度成分に、テレフタル酸を酸成分とし、トリメチレングリコールをグリコール成分とするポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度成分にテレフタル酸を酸成分としエチレングリコールをグリコール成分とするポリエチレンテレフタレートを用いた、2成分が繊維長手方向に沿ってサイドバイサイド型に複合された繊維から構成されるマルチフィラメントのチーズ状パッケージを製造する際に、綾角度を5.5〜8.0°とするように、パッケージの巻径によって綾角度を変化させながら巻き取り、特定のパッケージ形状にすることを特徴とするポリエステル複合繊維チーズ状パッケージの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、直接紡糸延伸法にて得られるポリトリメチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートを用いたサイドバイサイド型複合繊維からなるチーズ状パッケージの製造方法に関するものである。
近年、ストレッチブームによりポリエステル系にストレッチ性、捲縮性、嵩高性を与えるため種々の方法が採用されており、その中でも特にポリマー自身が高い伸縮性を有する、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸の低級アルキルエステルと、トリメチレンテレフタレートを重縮合させて得られるポリトリメチレンテレフタレート(以下、3GTと略す)を用いた繊維の工業化への取り組みが活発に行われている。この3GTと、樹脂種、粘度、重合度あるいは熱収縮特性などの性質の異なる熱可塑性ポリマーをサイドバイサイド型複合繊維として溶融紡糸することで、後加工することなく捲縮性を付与する技術が広く知られており、このサイドバイサイド型複合繊維に3GTを用いて繊維に高いストレッチ性を付与することが種々検討されている。しかしながらこのサイドバイサイド型複合繊維は高い捲縮性を有するが故に、巻き取られた後も大きく収縮しコアを締め付け巻取機からの払い出しを困難なものにしたり、またパッケージ端面にバルジと呼ばれる膨みが発生するため、梱包の際にパッケージ端面が梱包資材に接し、端面の毛羽立ち、糸落ちが発生、その結果解舒性不良といった問題にも繋がるものであった。
3GTに関するチーズ状パッケージに関しては、特許文献1及び2において技術開示がなされている。しかし、いずれの技術内容とも3GTを単独で製糸した場合のものであり、サイドバイサイド型複合繊維に関する内容は全く開示されていない。パッケージの耳高率を押さえることが該文献群には記載されているが、本複合繊維に適用した場合、解舒性は確かに良くなり、解舒性不良に起因する染色欠点は減少できることは公知技術の通りであったが、パッケージ内層と外層の物性差やパッケージ端面と中央部での物性差が大きく、布帛としたときに染めを含めた品位が低下するという問題が顕著となることがわかった。さらに、製造方法においても、公知技術では良好なパッケージを得ることが困難であったり、生産性に劣ることがわかった。
また、特許文献3においてはパッケージの巻径によって綾角度を変化させ巻き取ることを技術開示している。該文献では綾角度の最大値と最小値の差を1°以上としており、これによるパッケージのふくらみ率抑制効果は公知技術の通りであるが、該条件では角度差が大きく、パッケージ中の最大綾角度に当たる部分と最小綾角度に当たる部分とで物性差が生じ、布帛としたときに染めを含めた品位の低下に繋がることがわかった。
特開2003−81533号公報 特開2001−348731号公報 国際公開WO02/004332号
本発明は、上記従来の問題点を解決しようとするものであり、良好な解舒性はもとより、パッケージ端面周期やパッケージ内層、外層での物性斑が抑制され、更に、生産性に優れたパッケージの製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の項目を採用することにより達成される。
(1)高粘度成分に、テレフタル酸を酸成分とし、トリメチレングリコールをグリコール成分とするポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度成分にテレフタル酸を酸成分としエチレングリコールをグリコール成分とするポリエチレンテレフタレートを用いた、2成分が繊維長手方向に沿ってサイドバイサイド型に複合された繊維から構成されるマルチフィラメントのチーズ状パッケージを製造する際に、綾角度を5.5〜8.0°の範囲とするように、パッケージの巻径によって綾角度を変化させながら巻き取り、下記(ア)〜(ウ)を満足することを特徴とするポリエステル複合繊維チーズ状パッケージの製造方法。
(ア)パッケージの耳高率が0〜5%
(イ)パッケージのふくらみ率が−10〜10%
(ウ)ふくらみ率の経時変化率が50%以下
(2)チーズ状パッケージを製造するに際に、下記(ア)〜(ウ)を満足することを特徴とする請求項1記載のポリエステル複合繊維チーズ状パッケージ。
(ア)Vc=α×Vp α=1.001〜1.01
(イ)Tc=0.1〜0.3(cN/dtex)
(ウ)Vp=3800〜5000(m/分)
但し、Vpはチーズ状パッケージに巻き取られる際の繊維の速度、Vcはパッケージに接するコンタクトロールの速度(m/分)、Tcはコンタクトロール入り口の繊維張力を表す。
本発明により、従来技術では成し得なかった、生産性がよく、布帛にしたときに均一な表面感、染色の均一性が得られるポリエステル複合繊維が巻きつけられたパッケージを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明のパッケージに巻き付けられる複合繊維について説明する。該複合繊維は高粘度成分に、3GTを用い、低粘度成分にPETを用いた、2成分が繊維長手方向に沿ってサイドバイサイド型に複合された繊維である。繊度や断面形状に特に規定はなく、対象となる最終製品や生産性を考慮し設定すると良い。
高粘度成分の3GTは90モル%以上がトリメチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリトリメチレンテレフタレートである。ポリトリメチレンテレフタレートとはテレフタル酸を主たる酸成分とし、トリメチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化合物として、たとえばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。
また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
本発明における3GTの好ましい極限粘度は、0.7〜2.0であり、極限粘度を0.7以上とすることで充分な伸度を兼ね備えた繊維を製造することが容易となる。より好ましい極限粘度は0.8以上である。また極限粘度を2.0以下とすることで、生産安定性が得られやすい。より好ましい極限粘度は1.5以下である。
また、低粘度成分のPETは90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートである。ポリエチレンテレフタレートとはテレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化合物として、たとえばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。
また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
本発明におけるPETの好ましい極限粘度は、0.4〜0.7であり、極限粘度を0.4以上とすることで充分な強度を兼ね備えた繊維を製造することが容易となる。より好ましい極限粘度は0.5以上である。また極限粘度を0.7以下とすることで、生産安定性が得られやすい。より好ましい極限粘度は0.65以下である。
該複合繊維の物性は特に規定されないが、3GTの特徴を活かした複合繊維とするためには、以下の範囲が好ましい。
強度については、2.8〜5.0cN/dtexが好ましい。さらに、伸度は20〜60%であると、発色性に優れ、後加工でのハンドリングも良好な複合繊維が得られる。より3GTの特徴を活かすには、伸度は25%以上であると、良好な発色性が得ることが容易となる。
また、収縮性能は、沸騰水収縮率で4〜15%、160℃乾熱収縮率で6〜20%、熱収縮応力ピーク値で0.2〜0.5cN/dtexの範囲が良好な発色性を得るうえで適当である。
上記のような複合繊維が、各種衣料用途や資材用途への展開では好ましい複合繊維であるが、この複合繊維の物性むらを抑制する上では、以下に記載するパッケージ形状が必要である。
本発明のチーズ状パッケージは、内径50.8mm(2インチ)〜152.4mm(6インチ)、外径55〜170mm、長さ50〜300mmのコアを用い、図1に示すような形状に繊維が巻きつけられたパッケージをいう。本パッケージは、ふくらみ率が−10〜10%、耳高率が0〜5%である。ここで、ふくらみ率、耳高率とは、図1に示すように、パッケージの最大幅Wmax、パッケージの最小幅Wmin、パッケージの最大径Dmax、パッケージの最小径Dminとすると、以下の式にて算出される値である。
ふくらみ率(%) B={(Wmax−Wmin)/Wmin}×100
耳高率(%) S={(Dmax−Dmin)/Dmin}×100
ふくらみ率は上記の規定範囲を超えると、パッケージの巻締りが起こり、パッケージ内層部の物性が変化する。特に収縮特性が変化し、布帛とした後、染色したときに染色むらが顕著となり好ましくない。より好ましいふくらみ率の範囲は−8〜8%である。また、耳高率が上記の範囲を超えると、パッケージ端面と中央部での巻硬度が異なるため、端部と中央部での収縮特性等の物性差が起こり、やはり染色したときにスジ状の欠点となるため好ましくない。より好ましい耳高率の範囲は0〜3.5%である。さらに、ふくらみ率は巻取り直後からの経時変化率が少ないことが必要である。ここで、経時変化率とは、巻取り10分後に測定したふくらみ率をB0、巻取り後、25℃、65%RHの雰囲気にて24時間放置した後のふくらみ率をB1とすると、以下の式にて算出される値である。
ふくらみ率の経時変化率(%) R(B)={(B1−B0)/B0}×100
この経時変化率は50%以下である必要がある。50%以下とすることで、パッケージ内層と外層の物性差やパッケージ端面と中央部での物性差を抑制することができる。たとえ、24時間後のふくらみ率が4%であったとしても、巻取り直後のふくらみ率が2%であると、経時変化率が100%となる。これは、巻取り後に大きく物性が変化していることを意味し、物性差が大きくなることから、好ましくないのである。これらの経時変化率のより好ましい範囲は40%以下、さらに好ましい範囲は30%以下である。
本発明のチーズ状パッケージはパッケージの巻径によって綾角度が異なってもよく、各巻径における綾角度は5.5〜8.0°の範囲であり、且つパッケージ中の綾角度の最小値と最大値の差が1°以下であることが好ましい。綾角度が規定の範囲以下では、満足するふくらみ率抑制効果が発揮されないため好ましくない。より好ましくは5.8°以上である。また、綾角度が規定の範囲以上では、屈曲角が大きいため綾角度を形成する際の繊維に対するダメージも大きくなり、内外層やパッケージ端面での物性差、毛羽の発生、更には糸切れにも繋がるため好ましくない。より好ましくは7.3°以下である。また、綾角度の最小値と最大値の差が1°を上回った場合は、角度差が大きく、パッケージ中の最大綾角度に当たる部分と最小綾角度に当たる部分とで物性差が生じ、布帛としたときに染めを含めた品位の低下が発生するため好ましくない。
綾角度とは、巻取速度とトラバース速度の比によってパッケージに形成される繊維の成す角度であり、図2に示すようにチーズ状パッケージに綾状に巻かれる繊維の成す角度θである。但し、巻き取り中の糸の重なり、いわゆるリボンを回避するための目的で実施されるリボンブレークとは区別される。
本発明のチーズ状パッケージは、コアへの巻き取り開始部すなわちパッケージの最内層において綾角度を低くし、巻径の増加と共に綾角度を大きくし、パッケージ中層部にて最大角度とする。その後、巻き取り完了部すなわち最外層に至るまで再び綾角度を小さくする。
最大巻厚み103mmのパッケージの場合は、巻厚み10mm以内の内層部の綾角度を6.3°〜6.6°から、巻厚み10mm超〜70mmの中層部の綾角度を6.6°超〜7.3°から、巻厚み70mm超〜103mmの外層部の綾角度を5.8°〜7.3°未満から選択することが好ましい。また、最内層部と最外層部の綾角度は同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
本発明のポリエステル複合繊維は、いずれの公知の方法においても製造されるが、複合構造の安定性、生産性を考慮すると、溶融紡糸法が最も優れている。該複合繊維を溶融紡糸する上では、高粘度成分の3GTは、240℃〜280℃にて溶融されるのが好ましい。また、低粘度成分のPETは、3GTと同様にエクストルーダーを用い、260〜300℃にて溶融されるのが好ましい。
別々に溶融されたポリマーは別々の配管を通り、計量された後、口金パックへ流入する。この際、熱劣化を抑制する観点から、配管通過時間が5〜30分であることが好ましい。パックへ流入したポリマーは口金により合流され、公知の技術により同心円芯鞘型の形態に複合され口金より吐出される。この際のポリマー温度は、263〜280℃が適当である。この範囲であれば、生産性の低下を防止することができ、3GTの特徴を活かした複合繊維が製造できる。
口金から吐出されたポリマーは冷却、固化され、油剤が付与された後、引き取られる。引き取り速度は500〜6000m/分のいずれの速度においても可能である。2工程法と呼ばれる未延伸糸を一旦巻き取って後、延伸を行う方法においては、引き取り速度は500〜2000m/分で行うのが定法である。また、4000m/分までの領域で引き取り、部分配向糸を一旦巻き取って後、延伸を行っても良い。部分配向糸を得る際には巻き取る前に、熱処理を行い、熱による結晶化を促進させたのち巻き取る方法が均一な諸物性を得るうえで好ましい。一方、1工程法では、4000〜6000m/分の速度で一気に延伸糸を得る方法が挙げられる。この際も、巻取り前に熱処理を行うことが効果的である。さらに、直接紡糸延伸法と呼ばれる方法も挙げられる。この方法は、500〜4000m/分の未延伸糸または部分配向糸領域において引き取り、一旦巻き取ることなく、予熱、延伸、熱処理を行い延伸糸とした後巻き取る方法である。以上挙げた紡糸、延伸方法においては、延伸倍率は延伸糸伸度が目標とした値となるように適宜設定するのが良い。また、紡糸、延伸いずれかの工程において、巻き取りまでで公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回付与することで交絡数を上げることが可能となる。さらには、巻取直前に、追加で油剤を付与するのも良い。
パッケージへの巻取り条件は、Vpをチーズ状パッケージに巻き取られる際の糸条の速度(m/分)、Vcをパッケージに接するコンタクトロールの速度、Tcをコンタクトロール入口の糸条張力とおくと、
(1)Vc=α×Vp α=1.001〜1.01
(2)Tc=0.1〜0.3(cN/dtex)
(3)Vp=3800〜5000(m/分)
と設定することが好ましい。コンタクトロールの速度をパッケージの巻取り速度に対して、1.001〜1.01倍早く設定することで得られるパッケージの良好なふくらみ率と耳高率が容易に得られる。α(以下、αをオーバーフィードと称す)が1.001以上であると、パッケージに巻き取られる際の張力を抑制し、ふくらみ率、耳高率を低く保つことができるため好ましい。より好ましい範囲は、1.0015以上である。さらに、1.01以下であると、パッケージ端面の糸落ちの発生が無く、解舒性良好なパッケージが得られるため好ましい。より好ましい範囲は1.008以下である。さらに、コンタクトロール入口での糸条の張力は、0.1〜0.3cN/dtexであることが好ましい。張力が0.1cN/dtex以上であると、ゴデーローラーからの糸条の剥離性が良く、ゴデーローラーから巻取機間の糸条の揺れが抑えられ、糸切れの抑制に繋がるため好ましい。より好ましい張力は0.12cN/dtex以上である。張力が0.3cN/dtex以下であると、ゴデーロールから巻取機までの糸条の揺れが安定し、良好なパッケージを得ることができるため好ましい。より好ましい張力は0.25cN/dtex以下である。さらには、巻取り速度は3800〜5000m/分であることが好ましい。3800m/分以上であると生産性が向上するため好ましく、5000m/分以下であると、強度、伸度等糸質のばらつきが抑制できるため好ましい。より好ましい速度の範囲は3900〜5000m/分である。
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
Figure 2007056379
定義式のηrは、純度98%以上のO−クロロフェノールで溶解した3GTの希釈溶液の25℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されているものである。また、cは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
(2)ふくらみ率、ふくらみ率の経時変化率
ふくらみ率(%) B={(Wmax−Wmin)/Wmin}×100
ただし、Wmax、Wminは図3に示すように、パッケージの最大幅、最小幅である。ふくらみ率の経時変化率(%) R(B)={(B1−B0)/B0}×100
ただし、B0は巻取り10分後のふくらみ率、B1は巻取り後、25℃、65%RHの雰囲気にて24時間放置後のふくらみ率を表す。
(3)耳高率
耳高率(%) S={(Dmax−Dmin)/Dmin}×100
ただし、Dmax、Dminは図3に示すように、パッケージの最大径、最小径であり、巻取り後、25℃、65%RHの雰囲気にて24時間放置後の耳高率を表す。
(4)強度、伸度
JIS L1013(1999)に従い測定した。
(5)沸騰水収縮率
沸騰水収縮率(%)={(L0−L1)/L0}×100
L0:原糸をかせ取りし、測定荷重0.029cN/dtexでのかせ長
L1:原糸を無荷重の状態で100℃の沸騰水にて15分間処理し、風乾後、測定荷重0.029cN/dtexを掛けたときのかせ長
(6)染色均一性
パッケージ外層部(サンプルA)とパッケージ内層部(サンプルB)を筒編みし、染料としてテトラシールネイビーブルーSGL0.275%owf、助剤としてテトロシンPE−C5.0%owf、分散剤としてニッカサンソルト#12001.0%owfを用い、浴比1:100にて50℃15分、さらに90℃20分にて染色を行った。染色後のサンプルは染色むら、サンプルA、B間の染色差を総合的に官能検査し3段階評価した。尚、合格レベルは○以上である。
○○:非常に優れている(染色差無し)
○ :優れている
× :均一性に乏しい(顕著な染色差有り)
実施例1
極限粘度1.13の3GTと極限粘度0.51のPETをそれぞれエクストルーダーを用い、それぞれ285℃、260℃にて溶融後、ポンプによる計量を行い、ポリマー温度270℃にてサイドバイサイド型断面形状を形成すべく公知の口金に流入させた。複合比は3GT:PET=50:50の割合とした。各ポリマーの配管通過時間は、3GTが12分、PETは8分であった。口金から吐出された糸条は、冷却、油剤付与後、1250m/分の速度で55℃に加熱された第1ホットローラーに引き取られ、一旦巻き取ることなく、4200m/分の速度で155℃に加熱された第2ホットローラーに引き回し、延伸、熱セットを行った。さらに、3990m/分にて2個のゴデットローラーを引き回した後、コンタクトロール速度3980m/分、パッケージ巻取り速度3948m/分、すなわちオーバーフィードを1.003として巻き取り、56dtex―24fのポリエステル複合繊維を得た。コンタクトロール入口での張力は0.15cN/dtexであった。巻き取り綾角度は、巻厚み10mmにて6.5°、巻厚み20mmにて6.65°、巻厚み30mmにて6.75°、巻厚み40mmにて6.80°、巻厚み55mmにて6.80°、巻厚み70mmにて6.75°、巻厚み80mmにて6.60°、巻厚み90mmにて6.35°、巻厚み103mmにて5.8°とした。得られたパッケージの形状および複合糸の物性、染色性評価の結果は表1の通りであり、染色均一性に優れたものであった。
実施例2
巻き取り綾角度について、巻厚み10mmにて6.5°、巻厚み20mmにて6.70°、巻厚み30mmにて6.85°、巻厚み40mmにて7.00°、巻厚み55mmにて7.00°、巻厚み70mmにて6.80°、巻厚み103mmにて6.0°とし、中層部のふくらみ率の抑制効果を高めた以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、56dtex―24fのポリエステル複合繊維を得た。得られたパッケージの形状および複合糸の物性、染色性評価の結果は表1の通りであり、パッケージの耳高率やふくらみ率及びその経時変化率は優れたものであり、染色性も良好であった。
実施例3
巻き取り綾角度について、巻厚み10mmにて6.30°、巻厚み20mmにて6.60°、巻厚み30mmにて6.75°、巻厚み40mmにて6.80°、巻厚み55mmにて6.80°、巻厚み70mmにて6.75°、巻厚み80mmにて6.60°、巻厚み90mmにて6.35°、巻厚み103mmにて6.30°とした以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、56dtex―24fのポリエステル複合繊維を得た。得られたパッケージの形状および複合糸の物性、染色性評価の結果は表1の通りであり、パッケージの耳高率やふくらみ率及びその経時変化率は優れたものであり、染色性も良好であった。
実施例4
巻き取り開始から巻き取り完了まで、綾角度を6.3°一定で巻き取った以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、56dtex―24fのポリエステル複合繊維を得た。得られたパッケージの形状および複合糸の物性、染色性評価の結果は表1の通りであり、パッケージの耳高率やふくらみ率及びその経時変化率は優れたものであり、染色性も良好であった。
実施例5
コンタクトロール速度を3980m/分、パッケージ巻き取り速度を3960m/分、すなわちオーバーフィードを1.005として巻き取った以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、56dtex―24fのポリエステル複合繊維を得た。得られたパッケージの形状および複合糸の物性、染色性評価の結果は表1の通りであり、パッケージの耳高率やふくらみ率及びその経時変化率は優れたものであり、染色性も良好であった。
比較例1
巻き取り開始から巻き取り完了まで、綾角度を9.0°一定で巻き取った以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、56dtex―24fのポリエステル複合繊維を得た。得られたパッケージの形状および複合糸の物性、染色性評価の結果は表1の通りであり、パッケージの耳高率やふくらみ率及びその経時変化率が大きく、また染色性を含めた物性評価ではパッケージ内外層差、中央部と端面での差が顕著であり、実用に耐えないものであった。
比較例2
コンタクトロール速度とパッケージ巻き取り速度を3960m/分の同速度、すなわちオーバーフィードを掛けずに巻き取った以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、56dtex―24fのポリエステル複合繊維を得た。得られたパッケージの形状および複合糸の物性、染色性評価の結果は表1の通りであり、ふくらみ率、耳高率が大きく、またパッケージ内外層での沸水収縮率差、染色差があり、実用に耐えないものであった。
Figure 2007056379
適用できる用途はこれに限ったことではなく、綿などの天然繊維との交織、交編が可能であり、各種織編物のほか、資材用途にも適用可能である。また本発明は、細繊度多フィラメントに限らず太繊度寡フィラメントやモノフィラメントにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
本発明のパッケージにおける耳高率及びふくらみ率の測定部を示すパッケージ図 本発明のパッケージにおける綾角度を示すパッケージ図

Claims (2)

  1. 高粘度成分にテレフタル酸を酸成分としトリメチレングリコールをグリコール成分とするポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度成分にテレフタル酸を酸成分としエチレングリコールをグリコール成分とするポリエチレンテレフタレートを用いた、2成分が繊維長手方向に沿ってサイドバイサイド型に複合された繊維から構成されるマルチフィラメントのチーズ状パッケージを製造する際に、綾角度を5.5〜8.0°の範囲とするように、パッケージの巻径によって綾角度を変化させながら巻き取り、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とするポリエステル複合繊維チーズ状パッケージの製造方法。
    (1)パッケージの耳高率が0〜5%
    (2)パッケージのふくらみ率が−10〜10%
    (3)ふくらみ率の経時変化率が50%以下
  2. チーズ状パッケージを製造する際に、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする請求項1記載のポリエステル複合繊維チーズ状パッケージの製造方法。
    (1)Vc=α×Vp α=1.001〜1.01
    (2)Tc=0.1〜0.3(cN/dtex)
    (3)Vp=3800〜5000(m/分)
    但し、Vpはチーズ状パッケージに巻き取られる際の繊維の速度、Vcはパッケージに接するコンタクトロールの速度(m/分)、Tcはコンタクトロール入り口の繊維張力を表す。
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