JP2007056169A - 熱可塑性樹脂組成物、それを用いた熱可塑性樹脂組成物成形品、及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、それを用いた熱可塑性樹脂組成物成形品、及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Mitsumasa Matsushita
光正 松下
Kenzo Fukumori
健三 福森
Yoshihide Katagiri
好秀 片桐
Koichiro Hayashi
浩一郎 林
Daisuke Tsutsumi
大輔 堤
Takaaki Ando
貴章 安藤
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Abstract

【課題】 より高度な低温耐衝撃性を発揮することが可能な熱可塑性樹脂組成物、その熱可塑性樹脂組成物の製造方法、並びに、それを用いた熱可塑性樹脂組成物成形品を提供すること。
【解決手段】 (A)成分:飽和ポリエステル樹脂、
(B)成分:酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体、及び、
(C)成分:エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体、
からなり、(A)成分の含有量が30〜80質量%であり、(B)成分と(C)成分との含有量があわせて20〜70質量%であり、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)が質量基準で20/1〜2/1であり、且つ、(C)成分の含有量が15質量%以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、それを用いた熱可塑性樹脂組成物成形品、並びに、熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関し、より詳しくは、自動車の内外装部品、家電部品、工業用部品、スポーツ用品、医療部品、雑貨、家具類等に好適に利用することが可能な熱可塑性樹脂組成物、それを用いた熱可塑性樹脂組成物成形品、並びに、熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
今日では、自動車の内外装部品、家電部品、工業用部品、スポーツ用品、医療部品、家具類等の用途に熱可塑性樹脂組成物が幅広く利用されるようになってきている。このような熱可塑性樹脂組成物としては、2種以上の異なる樹脂成分を用いて得られる様々な特性が付与された熱可塑性樹脂組成物が注目されてきている。そして、このような熱可塑性樹脂組成物として、ポリエステル系樹脂に、オレフィン系樹脂等のゴムを混合した熱可塑性樹脂組成物が研究、開示されてきている。
例えば、特開2004−285198号公報(特許文献1)においては、(A)エチレン−α−オレフィン系共重合体を、ラジカル開始剤を用いて架橋し、かつ不飽和結合とカルボキシル基または酸無水物基とを共に有する単量体で変性したゴム質重合体、(B)ポリエステル系樹脂、及び(C)分子内にエポキシ基又はその誘導体を有する変性オレフィン系樹脂とを反応させて得た熱可塑性エラストマーの組成物であり、(A)成分が20〜55重量部、(B)成分が80〜45重量部の合計100重量部に対し、(C)成分が0.1〜30重量部である熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
また、特開平6−122794号公報(特許文献2)においては、(a)ポリエステルと、(b)ポリエチレン2〜70重量%とオレフィン系エラストマー98〜30重量%との混合物を不飽和グリシジル化合物で変性したオレフィン系エラストマーを30重量%以上含有するオレフィン系エラストマーと、(c)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリエチレンとを含有し、成分(a)と成分(b)+(c)の割合が重量比で(a)/((b)+(c))=98/2〜30/70であり、成分(b)と成分(c)の割合が重量比で(b)/(c)=98/2〜2/98である熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、このような特許文献1や特許文献2に記載された熱可塑性樹脂組成物においては、低温耐衝撃性が未だ十分なものではなかった。そのため、このような熱可塑性樹脂組成物としては、より高度な低温耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂組成物が望まれている。
特開2004−285198号公報 特開平6−122794号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、より高度な低温耐衝撃性を発揮することが可能な熱可塑性樹脂組成物、それを用いた熱可塑性樹脂組成物成形品、並びに、その熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、先ず、上記従来の熱可塑性樹脂組成物においては、下記の点で十分な低温耐衝撃性を発揮できないことを見出した。すなわち、前記特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物においては、架橋体となっているゴム質重合体を用いていたため、ポリエステル系樹脂相中への前記ゴム質重合体の分散性が低いということを見出し、更に、このような熱可塑性樹脂組成物の製造の際には、変性オレフィン系樹脂からなる変性剤はオレフィン系共重合体の架橋体である前記ゴム質重合体との親和性が高く、ゴム質重合体相内及びその界面に移行しやすいということを見出した。また、変性オレフィン系樹脂からなる前記変性剤のエポキシ基又はその誘導体基はオレフィン鎖にあるため、前記ゴム質重合体と前記変性剤とが優先的に反応することになる。つまり、前記ゴム質重合体とポリエステル系樹脂との界面結合性を改善するために用いる変性剤がゴム質重合体と優先的に反応することから、前記特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物においては充分な低温耐衝撃性を発揮できないことを見出した。また、前記特許文献2に記載の熱可塑性樹脂組成物においては、オレフィン系エラストマー相内に不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性したポリエチレン(変性剤)が分散してしまうため、前記オレフィン系エラストマーと前記変性剤とが優先的に反応してしまい、ポリエステル相とオレフィン系エラストマー相との界面における両成分の結合性が低くなって十分な低温耐衝撃性を発揮できないということを本発明者らは見出した。
そこで、本発明者らは、更に鋭意研究を重ねた結果、飽和ポリエステル樹脂と、カルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体と、特定の変性剤とを用いることにより、熱可塑性樹脂組成物の製造の際に前記飽和ポリエステル樹脂相中に前記エチレン−α−オレフィン系共重合体が均一に分散するとともに、前記特定の変性剤が前記エチレン−α−オレフィン系共重合体相と前記飽和ポリエステル樹脂相との界面上に優先的に移行して前記飽和ポリエステル樹脂と前記エチレン−α−オレフィン系共重合体とが相界面上で化学結合することから、前記飽和ポリエステル樹脂と前記エチレン−α−オレフィン系共重合体との界面結合性が大幅に向上して得られる熱可塑性樹脂組成物により高度な低温耐衝撃性を発揮させることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分:飽和ポリエステル樹脂、
(B)成分:酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体、及び、
(C)成分:エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体、
からなり、(A)成分の含有量が30〜80質量%であり、(B)成分と(C)成分との含有量があわせて20〜70質量%であり、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)が質量基準で20/1〜2/1であり、且つ、(C)成分の含有量が15質量%以下であることを特徴とするものである。
上記本発明の熱可塑性樹脂組成物としては、前記熱可塑性樹脂組成物中において、(B)成分と(C)成分とからなるゴム組成物の平均粒子径が2μm以下であることが好ましい。
上記本発明の熱可塑性樹脂組成物としては、(B)成分が有する酸基と、(C)成分が有するエポキシ基との比率(酸基/エポキシ基)がモル基準で0.3〜6.0であることが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、(A)成分:飽和ポリエステル樹脂と、
(B)成分:酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体と、
(C)成分:エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体とを、
(A)成分の含有量が30〜80質量%となり、(B)成分と(C)成分との含有量があわせて20〜70質量%となり、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)が質量基準で20/1〜2/1となり、且つ、(C)成分の含有量が15質量%以下となるように混合し、溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得ることを特徴とする方法である。
上記本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、(B)成分と(C)成分とを60〜170℃の温度条件で溶融混練して得られた混合物を、溶融させた(A)成分に混合し、溶融混練することが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物成形品は、上記本発明の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形により成形したことを特徴とするものである。
本発明によれば、より高度な低温耐衝撃性を発揮することが可能な熱可塑性樹脂組成物、その熱可塑性樹脂組成物の製造方法、並びに、それを用いた熱可塑性樹脂組成物成形品を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分:飽和ポリエステル樹脂、
(B)成分:酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体、及び、
(C)成分:エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体、
からなり、(A)成分の含有量が30〜80質量%であり、(B)成分と(C)成分との含有量があわせて20〜70質量%であり、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)が質量基準で20/1〜2/1であり、且つ、(C)成分の含有量が15質量%以下であることを特徴とするものである。
本発明において、(A)成分として含有される飽和ポリエステル樹脂としては特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等を挙げることができる。このような飽和ポリエステル樹脂としては、機械的特性、成形性等の観点から、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、前記飽和ポリエステル樹脂のJIS K 7210(〔測定条件〕250℃、2160g荷重(ISO 1133又はASTM D 1238に対応、)に準拠して測定したメルトマスフローレイト(以下「MFR」と略す。)は1〜80g/10分であることが好ましく、10〜50g/10分であることがより好ましい。このようなMFRの値が前記下限未満では、射出成形の際に充填不良が生じたり、表面品質が低下したりする場合があり、他方、前記上限を超えると力学特性が低下したり、ゴム組成物の分散粒径が大きくなる場合がある。
さらに、このような飽和ポリエステル樹脂を製造する方法は特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができ、例えば、適宜公知の飽和カルボン酸と、適宜公知の飽和2価アルコールとを重縮合反応させて製造する方法を挙げることができる。また、このような飽和ポリエステル樹脂としては、適宜市販の飽和ポリエステル樹脂を用いることができる。
本発明において(B)成分として含有される酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体としては特に制限されず、エチレン−α−オレフィン系共重合体をカルボン酸やその誘導体で酸変性させたものを用いることができる。このような酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体としては、例えば、アクリル酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体、マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体、フマル酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体、テトラヒドロフタル酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体、イタコン酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体、シトラコン酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体、クロトン酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体、イソクロトン酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体等が挙げられる。
また、エチレン−α−オレフィン系共重合体としては特に制限されず、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)が挙げられる。更に、エチレン−α−オレフィン系共重合体を構成するα−オレフィンとしては特に制限されず、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−1−トリデセン、1−テトラデセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン及びこれらの組み合わせが挙げられる。このようなα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテンであることが好ましい。
このような酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体の中でも、マレイン酸又は無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、マレイン酸又は無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、マレイン酸又は無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体が好ましく、マレイン酸又は無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を用いることが特に好ましい。また、このようなマレイン酸又は無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体中におけるジエンとしては特に制限されず、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、ブタジエン、イソプレン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
また、(B)成分中に含有されている酸基の割合としては0.05〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.0質量%であることがより好ましい。酸基の割合が前記下限未満では、親和性と反応性の低下により、飽和ポリエステル樹脂中に(B)成分が粗大粒子として分散し、低温衝撃性が低下する場合があり、他方、前記上限を超えると、(B)成分の早期ゲル化によって、飽和ポリエステル樹脂中への(B)成分の分散性が低下する場合がある。
また、(B)成分のJIS K 7210(〔測定条件〕250℃、2160g荷重(ISO 1133又はASTM D 1238に対応、)に準拠して測定したMFRは0.01〜100g/10分であることが好ましく、0.1〜40g/10分であることがより好ましい。このようなMFRの値が前記下限未満では、飽和ポリエステル樹脂中への(B)成分の分散性が低下する場合があり、他方、前記上限を超えると得られる熱可塑性樹脂組成物の力学特性が低下する場合がある。
また、(B)成分のガラス転移温度は得られる熱可塑性樹脂組成物の用途等に応じて適宜選択されるものではあるが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
さらに、このような(B)成分の製造方法としては特に制限されず、(B)成分を製造可能な適宜公知の方法を採用することができる。また、(B)成分としては、適宜市販のものを用いることもできる。更に、本発明においては、公知の方法を採用して前記エチレン−α−オレフィン系共重合体を動的架橋させることができる。
本発明にかかる(C)成分は、エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体である。本発明においては、このようなエチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体を変性剤及び分散剤として用いることで、(B)成分からなる相の相界面にエチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体が移行し、(A)成分と(B)成分との相界面で(A)成分と(B)成分とが化学結合して界面結合性が大幅に向上する。
(C)成分を構成するアクリル酸エステル及びメタクリル酸としては特に制限されず、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが挙げられる。このようなアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの中でも、アクリル酸メチルを用いることが好ましい。また、(C)成分を構成する不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては特に制限されず、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等が挙げられる。このような不飽和カルボン酸グリシジルエステルの中でも、グリシジルメタクリレートを用いることが好ましい。従って、本発明にかかる(C)成分としては、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル三元共重合体を用いることが好ましい。
このようなエチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体としては、エチレンが50〜79質量%含有されていることが好ましく、不飽和カルボン酸グリシジルエステルが1〜10質量%含有されていることが好ましく、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルが20〜40質量%含有されていることが好ましい。
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの含有量が前記下限未満では、(A)成分への分散性、相溶性が低下する場合があり、他方、前記上限を超えると(B)成分への分散性、相溶性が低下する場合がある。
また、不飽和カルボン酸グリシジルエステルの含有割合が前記下限未満では、(A)成分と(B)成分との化学結合による界面結合性が低下する場合があり、他方、前記上限を超えると(C)成分の反応性が増大するため、(A)成分の粘度増加やゲル化、更には(B)成分の分散不良が生じる場合がある。
また、(C)成分のJIS K 7210(〔測定条件〕250℃、2160g荷重(ISO 1133又はASTM D 1238に対応、)に準拠して測定したMFRは1〜50g/10分であることが好ましい。このようなMFRの値が前記下限未満では、(A)成分及び(B)成分中への(C)成分の分散性が低下して分散剤としての効果が低下する場合があり、他方、前記上限を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の低温耐衝撃性が低下する場合がある。
さらに、このような(C)成分の製造方法としては特に制限されず、(C)成分を製造可能な適宜公知の方法を採用することができる。また、(C)成分としては、適宜市販のものを用いることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、(A)成分の含有量が30〜80質量%である。前記熱可塑性樹脂組成物中の(A)成分の含有量が30質量%未満では、連続相が(B)成分となって熱可塑性樹脂組成物としての特性を確保できなくなり、80質量%を超えると、低温耐衝撃性が低下する。また、このような(A)成分の含有量としては、熱可塑性樹脂に、より高度な低温耐衝撃性を付与するという観点から、40〜70質量%であることが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、(B)成分と(C)成分との含有量があわせて20〜70質量%である。前記熱可塑性樹脂組成物中の(B)成分と(C)成分との含有量が20質量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の低温耐衝撃性が低下し、70質量%を超えると、(A)成分が分散相となって熱可塑性樹脂組成物としての特性を確保できなくなる場合がある。また、このような(B)成分と(C)成分との含有量としては、熱可塑性樹脂組成物に、より高度な低温耐衝撃性を付与するという観点から、30〜60質量%であることが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)が質量基準で20/1〜2/1である。(B)成分の含有比率が前記下限未満では、(C)成分が過剰となり、(A)成分がゲル化するため表面品質が低下するとともに(B)成分の分散不良の原因となる。他方、(B)成分の含有比率が前記上限を超えると、(A)成分と(B)成分との結合性が低下するため、熱可塑性樹脂組成物の低温耐衝撃性が低下する。更に、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)としては、熱可塑性樹脂組成物に、より高度な低温耐衝撃性を付与するという観点から、質量基準で7/1〜3/1であることが好ましい。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、(C)成分の含有量が15質量%以下である。(C)成分の含有量が15質量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物を製造する際の加工性が低下するとともに、熱可塑性樹脂組成物の低温耐衝撃性が低下する。また、(C)成分の含有量としては3〜15質量%であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物としては、熱可塑性樹脂組成物中に(B)成分と(C)成分とからなるゴム組成物の平均粒子径が2μm以下(より好ましくは0.1〜1.5μm)であることが好ましく、更に、最大粒子径が5μm以下であることが特に好ましい。このようなゴム組成物の平均粒子径が2μmを超えると、前記ゴム組成物の分散性が低下して低温耐衝撃性が低下する傾向にある。また、熱可塑性樹脂組成物中の前記ゴム組成物の最大粒子径が5μmを超えると、前記ゴム組成物の分散性がより低下して低温耐衝撃性が低下する傾向にある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物としては、(B)成分が有する酸基と、(C)成分が有するエポキシ基との比率(酸基/エポキシ基)がモル基準で0.3〜6.0であることが好ましく、0.5〜4.0であることがより好ましい。このような(B)成分が有する酸基と、(C)成分が有するエポキシ基との比率(酸基/エポキシ基)が前記下限未満では、エポキシ基が過剰となり、(B)成分の早期ゲル化によって分散不良が生じたり、熱可塑性樹脂組成物の表面品質が低下したりする場合があり、他方、前記上限を超えるとエポキシ基が不足して、(A)成分と(B)成分との界面結合性が改善されずに低温耐衝撃性が低下する場合がある。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物としては、その熱可塑性樹脂組成物を用いて射出成形したISO180/1Aに準拠した形状の試験片を用い、JIS K7110に準拠した試験方法(ノッチ付き)により測定される試験温度−20℃におけるアイゾット衝撃強度が40kJ/m以上(より好ましくは60kJ/m以上)であることが好ましく、また、試験温度−40℃におけるアイゾット衝撃強度が20kJ/m以上(より好ましくは50kJ/m以上)であることが好ましい。
本発明では必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、ガラス繊維、タルク、シリカ、アルミナ、カーボン繊維、粘土鉱物等の充填剤や補強材、カーボンブラック、顔料等の着色剤、酸化防止剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤及び難燃助剤を配合することができる。
また、本発明においては、2種類以上の(A)成分、2種類以上の(B)成分、2種類以上の(C)成分を含有させても良い。更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の特性を損なわない範囲において、ポリエステル樹脂以外の樹脂、エチレン−α−オレフィン系共重合体以外のゴム、エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体以外の分散剤を併用することができる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するのに好適な本発明の熱可塑性樹脂の製造方法について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、(A)成分:飽和ポリエステル樹脂と、
(B)成分:酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体と、
(C)成分:エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体とを、
(A)成分の含有量が30〜80質量%となり、(B)成分と(C)成分との含有量があわせて20〜70質量%となり、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)が質量基準で20/1〜2/1となり、且つ、(C)成分の含有量が15質量%以下となるように混合し、溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得ることを特徴とする方法である。
このような熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、成分(A)〜(C)を混合し、溶融混練する方法は特に制限されず、溶融していない(A)〜(C)成分を一括で混合し、溶融混練する方法、(A)成分及び(C)成分を溶融混練して得られた混合物に、溶融していない(B)成分を混合し、溶融混練する方法、溶融させた(A)成分に、溶融していない(B)成分及び(C)成分を混合し、溶融混練する方法、(B)成分と(C)成分とを溶融混練して得られた混合物を、溶融させた(A)成分に混合し、溶融混練する方法、(B)成分と(C)成分とを溶融混練して得られた混合物を、溶融させた(A)成分に混合し、溶融混練して一度ベース樹脂(マスターバッチ)を製造した後で、前記マスターバッチに(A)成分を混合し、溶融混練する方法等を採用することができる。
このような、(A)〜(C)成分を混合し、溶融混練する方法の中でも、(B)成分と(C)成分とを60〜170℃(より好ましくは80〜150℃)の温度条件で溶融混練して得られた混合物を、溶融させた(A)成分に混合し、溶融混練する方法を採用することが好ましい。前記混合物を得る際の(B)成分と(C)成分とを溶融混練する温度条件が前記上限を超えると、(B)成分と(C)成分とが架橋し(A)成分への分散性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満では(C)成分が溶融しなくなる傾向にある。
また、(A)〜(C)成分の全てを混合した後に、溶融混練する際の加熱温度の条件としては、(A)成分の溶融温度以上であって、且つ(A)成分の熱分解温度以下の温度範囲であることが好ましく、230〜280℃程度であることがより好ましい。
また、本発明において上記混練に用いる装置としては特に制限されず、例えば、多軸ロール、ニーダ、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機等の多軸押出機等の混練機を用いることができ、このような混練機の中でも二軸押出機が均質な熱可塑性樹脂組成物を連続的に得ることができるので好ましい。
以下、図面を参照しながら、上記本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法の好適な一実施形態について説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を実施するのに好適な製造装置の一実施形態を示す概略縦断面図である。
図1に示す製造装置10は、二軸押出機11と単軸押出機12とを備える。二軸押出機11は、シリンダ21とスクリュー22とを備え、このようなシリンダ21の一端には、材料の定量供給装置が取り付けられたホッパー23が設けられ、その他端にはダイス24が設けられている。また、シリンダ21のホッパー23とダイス24との間には単軸押出機12が接続されている。また、単軸押出機12は、シリンダ25とスクリュー26とを備え、二軸押出機11のシリンダ21と接続されていないシリンダ25の端部に材料の定量供給装置(フィーダ)が取り付けられたホッパー27が設けられている。更に、二軸押出機11と単軸押出機12とが備えるシリンダ21及び25の外周部には、図示を省略したヒータが配置されている。また、二軸押出機11と単軸押出機12とが備えるスクリュー22及び26は、それぞれ図示を省略した駆動装置(モーター)と接続されており、これによってスクリュー22及び26の回転数が調節できるようになっている。
本実施形態においては、図1に示すような製造装置10として、株式会社日本製鋼所製の二軸反応押出機「TEX30α」を用い、スクリューの回転数がそれぞれ250rpmとなるように駆動装置を調節した。また、二軸押出機11のスクリュー21としては、スクリュー長さLとスクリュー径Dとの比(L/D)が77となるスクリューを用いた。ただし、ホッパー23からニーディングゾーンまでの距離における前記L/Dが21となっており、処理に用いたシリンダ長さLとシリンダ径Dとの比(L/D)が56である。単軸押出機12のスクリュー21としてはスクリュー長さLとスクリュー径Dとの比(L/D)が30となるダルメージ構造のスクリューを用いた。
本実施形態においては、(A)〜(C)成分を混合し、溶融混練する方法として、図1に示すような製造装置10を用いて、(B)成分と(C)成分とを150℃の温度条件で溶融混練して得られた混合物を、溶融させた(A)成分に混合し、溶融混練する方法を採用した。
先ず、二軸押出機11が備えるホッパー23に(A)成分を投入し、ホッパー23からシリンダ21に(A)成分を供給する。この時、ホッパー23に取り付けられた定量供給装置(フィーダ)によりシリンダ21に供給される(A)成分の供給量が7kg/hとなるようにする。そして、このようにして二軸押出機11が備えるシリンダ21に供給された(A)成分をシリンダ21内においてヒータにより230℃に加熱して溶融するとともに、スクリュー22の回転によって十分に混練する。
次に、単軸押出機12が備えるホッパー27に(B)成分と(C)成分とを投入し、ホッパー27からシリンダ25に(B)成分と(C)成分とを供給する。この時、ホッパー27に取り付けられた定量供給装置(フィーダ)によってシリンダ25に供給される(B)成分の供給量が2.5kg/hとなるようにし、(C)成分の供給量が5kg/hとなるようにする。そして、このようにして単軸押出機12が備えるシリンダ25に供給された(B)成分と(C)成分とをシリンダ25内においてヒータにより150℃に加熱して溶融するとともに、スクリュー26の回転によって十分に混練して混合物とする。
次に、前述のようにして得られた混合物を、二軸押出機11と単軸押出機12との接続部から二軸押出機11が備えるシリンダ21内に供給して溶融させた(A)成分に混合し、二軸押出機11が備えるシリンダ21内において、(A)成分と、前記混合物とを溶融混練することで熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。そして、このようにして得られる熱可塑性樹脂組成物をダイス24より押出して紐状(ストランド状)に成形した後、図示を省略したペレタイザーによってペレット状に成形する。
以上、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法の好適な一実施形態について説明したが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態においては、(A)〜(C)成分を混合し、溶融混練する方法として、(B)成分と(C)成分とを150℃の温度条件で溶融混練して得られた混合物を、溶融させた(A)成分に混合し、溶融混練する方法を採用したが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法においては、成分(A)〜(C)を混合し、溶融混練する方法はこれに制限されるものではなく、前述の種々の方法を用いることができる。このような成分(A)〜(C)を混合し、溶融混練する方法として、例えば、(A)〜(C)成分を溶融させずに一括で混合し、溶融混練する方法を採用する場合には、単軸押出機12を使用せず、二軸押出機11のホッパ23に(A)〜(C)成分を一括で投入し、シリンダ21に(A)〜(C)成分を供給して、ヒータで230℃に加熱して溶融するとともに、スクリュー22の回転によって混練する方法を挙げることができる。
また、前記実施形態においては、図1に示すような製造装置10を用いているが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に用いることができる製造装置はこれに制限されるものではなく、前述のような公知の単軸押出機、二軸押出機等を適宜用いることができる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物成形品について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物成形品は、上記本発明の熱可塑性樹脂組成物を射出成形により成形したことを特徴とするものである。
このような射出成形に用いる装置は特に制限されず、適宜公知の射出成形装置を用いることができ、その金型も得られる熱可塑性樹脂組成物成形品の用途に応じて適宜調製することができる。また、射出成形方法としても特に制限されず、適宜公知の方法を採用することができる。
このような本発明の熱可塑性樹脂組成物成形品としては、例えば、ホース類、パッキン、ベルト、ウェザーストリップ、ガラスラン、バンパー、ボディ外板等の自動車用内外装部品や自動車用燃料系樹脂部品、ケース類、カバー類、チューブ、棒材、板材等の構造材、水中メガネのストラップまたはパッド、足ヒレ、スキー用ゴーグル、ゴルフクラブ、テニスラケット、バイク、スキーストック等のスポーツ用品、各種玩具、ボールペン、ドライバー、歯ブラシ等の雑貨品等が挙げられる。特に低温耐衝撃性が要求される自動車用の燃料系樹脂部品や内外装部品に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜10)
図1に示すような製造装置10(株式会社日本製鋼所製:二軸反応押出機「TEX30α」)を用い、表1に記載した配合量で(A)〜(C)成分を配合し、上記実施形態と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を製造し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。製造装置10に施した設定条件及び表1に示す各成分の詳細を以下に示す。
[各成分]
(A)成分:飽和ポリエステル
ジュラネックス2002
(ポリプラスチックス製:ポリブチレンテレフタレート)
ジュラネックス201A
(ポリプラスチックス製:ポリブチレンテレフタレート)。
(B)成分:酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体
ロイヤルタフ498
(ユニロイヤル化学製:無水マレイン酸変性EPDM:酸基の割合1質量%)
ロイヤルタフ485
(ユニロイヤル化学製:無水マレイン酸変性EPDM:酸基の割合0.5質量%)
変性EPM T7741SP
(JSR製:無水マレイン酸変性EPM:酸基の割合0.5質量%)。
(C)成分:エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体(エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル三元共重合体)
ボンドファーフト7M
(住友化学製:グリシジルメタクリレート(以下「GMA」と略す。)の割合6質量%、エポキシ基の割合1.8質量%に相当)
ボンドファーフト7L
(住友化学製:GMAの割合3質量%、エポキシ基の割合0.9質量%に相当)。
(比較例1〜15)
表2に記載した配合量で(A)〜(C)成分を配合した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。表2に示す各成分の詳細を以下に示す。なお、表2に示す各成分のうち表1に記載された成分と同一の成分については説明を省略する。
[各成分]
比較用の(B)成分
タフマーA0550
(三井化学製:エチレン−ブテン共重合ゴム:酸基の割合0質量%)
ノフアロイ IE205
(日本油脂製:グリシジルメタクリレート変性EPM:エポキシ基の割合0.8質量%)。
比較用の(C)成分
ボンドファーフト2C
(住友化学製:エチレン−グリシジルメタクリレートの共重合体:GMAの割合6質量%、エポキシ基の割合1.8質量%に相当)
ボンドファーフトE
(住友化学製:エチレン−グリシジルメタクリレートの共重合体:GMAの割合12質量%、エポキシ基の割合3.6質量%に相当)
モディパーA4200
(日本油脂製:エチレン−グリシジルメタクリレート−g−ポリメチルメタクリレート共重合体:GMAの割合5.25質量%(遊離成分として同量のエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体とポリメチルメタクリレートとを含む。))
モディパーA4400
(日本油脂製:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−アクリロニトリル−スチレン共重合体:GMAの割合5.25質量%(遊離成分として同量のエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体とアクリロニトリル−スチレン共重合体とを含む。))
ユーメックス2000
(三洋化成製:無水マレイン酸変性ポリエチレン:酸基の割合2.6質量%)
モディックAP H503
(三菱化学製:無水マレイン酸変性ポリエチレン:酸基の割合不明)。
(実施例1〜10及び比較例1〜15で得られた熱可塑性樹脂組成物の評価)
<試験片の製造>
実施例1〜10及び比較例1〜15で得られた熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ用いて、シリンダ温度245℃、金型温度80℃の条件で射出成形することで、ISO180/1Aに準拠した形状の試験片(縦10mm、横4mm、高さ80mm)をそれぞれ製造した。
<耐衝撃性>
前記試験片を用い、室温(24℃)、−20℃、−40度のそれぞれの温度条件下において、JIS K7110に準拠したアイゾット衝撃試験(ノッチ付き)を行った。このような試験によって求められたアイゾット衝撃強度の値をそれぞれ表1及び表2に示す。なお、表1及び表2中のNBは試験がnon−breakで行われたことを示す。
<ゴム組成物((B)成分と(C)成分からなる成分)の分散性>
前記試験片を液体窒素中に浸漬せしめた状態で破断し、その凍結破面を走査電子顕微鏡により観察した。実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片に関する走査電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示し、比較例1、3、6で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片に関する走査電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ図3、4、5に示す。
<ゴム組成物の凝集構造>
前記試験片を4%の四酸化オスニウム水溶液の蒸気中に2時間放置した後、さらに0.5%の四酸化ルテニウム水溶液の蒸気中に2時間放置した。その後、ミクロトームで前記試験片の切片を切出し、その切片を透過電子顕微鏡(加速電圧:200kV)により観察した。実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片に関する透過電子顕微鏡(TEM)写真を図6に示し、比較例3、6で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片に関する透過電子顕微鏡(TEM)写真をそれぞれ図7、8に示す。
<力学応答(弾性率)分布>
前記試験片を液体窒素中に浸漬せしめた状態で破断し、その試験片をエポキシ樹脂で包埋処理した後、ミクロトームを用いて面出しを行い、その面出した面に対して走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いてタッピングモードによる位相差測定(チップ:Si型プローグ)を行い、力学応答(弾性率)分布を測定した。実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片に関する走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真を図9に示し、比較例3、6で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片に関する走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真をそれぞれ図10、11に示す。
表1及び表2の結果からも明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜10)においては、試験温度−20℃におけるアイゾット衝撃強度の値が64.6KJ/m以上で、且つ、試験温度−40℃におけるアイゾット衝撃強度の値が52.6KJ/m以上となっており、低温耐衝撃性が従来の熱可塑性樹脂組成物(比較例1〜15)と比べて大幅に向上していることが確認された。
また、図2〜5に示す走査電子顕微鏡(SEM)写真からも明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1)においては、ゴム組成物の平均粒径が2μm以下で、且つ最大粒径が5μm以下であることが確認され、更に、飽和ポリエステル相中へのゴム組成物の分散性が高いことが確認された。これに対して従来の熱可塑性樹脂組成物(比較例1、3、6)においては、ゴム組成物の最大粒径が5μm以上であり、しかも比較例1と3で得られた熱可塑性樹脂組成物に至ってはゴム組成物の最大粒径が25μm以上であることが確認され、更には、飽和ポリエステル相中へのゴム組成物の分散性が低いことが確認された。
さらに、図6〜8に示す透過電子顕微鏡(TEM)写真からも明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1)においては、ゴム組成物が凝集することなく、高度に分散されていることが確認された。これに対して従来の熱可塑性樹脂組成物(比較例3、6)においては、ゴム組成物が凝集してゴム組成物の分散性が低いことが確認された。
また、図9〜11に示す走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真からも明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1)においては、連続相(PBT)と分散相(ゴム組成物)との間に明確な弾性率差が認められ、ゴム組成物はゴム弾性を維持した状態で分散していることが確認された。これに対して、比較例3で得られた従来の熱可塑性樹脂組成物においては、連続相と分散相との間の弾性率差が明確でなくゴム的な性質が充分に維持されていない状態にあることが確認された。また、比較例6で得られた従来の熱可塑性樹脂組成物においては、連続相(PBT)と分散相(ゴム組成物)との間に明確な弾性率差が認められたが、その分散構造はゴム組成物が不定形の角張った粒子として分散したものであり、良好な分散状態でないことが確認された。
(実施例16)
(A)〜(C)成分を混合し、溶融混練する方法として、溶融していない(A)〜(C)成分を二軸押出機11が備えるホッパー23に一括で投入して混合し、溶融混練する方法を採用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
(実施例17)
(A)〜(C)成分の混合し、溶融混練する方法として、二軸押出機11が備えるホッパー23に(A)成分及び(C)成分を投入して溶融混練して得られた混合物に、溶融していない(B)成分を混合し、溶融混練する方法を採用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
(実施例18)
(A)〜(C)成分を混合し、溶融混練する方法として、二軸押出機11が備えるホッパー23に(A)成分を投入して溶融混練して得られた溶融させた(A)成分に、単軸押出機12の接合部から溶融していない(B)成分及び(C)成分を混合し、溶融混練する方法を採用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
(実施例19)
(B)成分と(C)成分とを溶融混練して得られた混合物を得る際の加熱温度を100℃とした以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
(実施例20)
(A)〜(C)成分を混合し、溶融混練する方法として、組成比が(A)成分:(B)成分:(C)成分=15:25:5となるようにして、単軸押出機12が備えるホッパー27に(B)成分と(C)成分とを投入して溶融混練して得られた混合物を、二軸押出機11が備えるホッパー23に投入して溶融させた(A)成分に混合し、溶融混練して一度ベース樹脂(マスターバッチ)を製造した後で、組成比が前記マスターバッチ:(A)成分=45:55となるようにして前記MBに(A)成分を混合し、溶融混練する方法等を採用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
<実施例1及び実施例16〜20で得られた熱可塑性樹脂組成物の評価>
実施例1及び実施例16〜20で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて前述の試験片を製造し、前述のアイゾット衝撃試験と同様の試験を行って耐衝撃性の評価を行った。このような試験によって求められたアイゾット衝撃強度の値を表3に示す。
表3に示した結果から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法により得られた熱可塑性樹脂(実施例1及び16〜20)は、低温耐衝撃性が優れたものとなることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、より高度な低温耐衝撃性を発揮することが可能な熱可塑性樹脂組成物、その熱可塑性樹脂組成物の製造方法、並びに、それを用いた熱可塑性樹脂組成物成形品を提供することが可能となる。
したがって、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、低温耐衝撃性に優れるため、特に、低温耐衝撃性が必要とされる自動車用の燃料系樹脂部品や内外装部品等を製造するための素材として有用である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を実施するのに好適な製造装置の一実施形態を示す概略縦断面図である。 実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例3で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例6で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された試験片の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物の切片の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。 比較例3で得られた熱可塑性樹脂組成物の切片の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。 比較例6で得られた熱可塑性樹脂組成物の切片の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物の試験片の走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真である。 比較例3で得られた熱可塑性樹脂組成物の試験片の走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真である。 比較例6で得られた熱可塑性樹脂組成物の試験片の走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真である。
符号の説明
10…製造装置、11…二軸押出機、12…単軸押出機、21…二軸押出機のシリンダ、22…二軸押出機のスクリュー、23…二軸押出機のホッパー、24…ダイス、25…単軸押出機のシリンダ、26…単軸押出機のスクリュー、27…単軸押出機のホッパー。

Claims (9)

  1. (A)成分:飽和ポリエステル樹脂、
    (B)成分:酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体、及び、
    (C)成分:エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体、
    からなり、(A)成分の含有量が30〜80質量%であり、(B)成分と(C)成分との含有量があわせて20〜70質量%であり、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)が質量基準で20/1〜2/1であり、且つ、(C)成分の含有量が15質量%以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物中において、(B)成分と(C)成分とからなるゴム組成物の平均粒子径が2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (B)成分が有する酸基と、(C)成分が有するエポキシ基との比率(酸基/エポキシ基)がモル基準で0.3〜6.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. (A)成分がポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. (B)成分がマレイン酸又は無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. (C)成分がエチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル三元共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. (A)成分:飽和ポリエステル樹脂と、
    (B)成分:酸基としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体と、
    (C)成分:エチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体とを、
    (A)成分の含有量が30〜80質量%となり、(B)成分と(C)成分との含有量があわせて20〜70質量%となり、(B)成分と(C)成分との含有比率((B)成分/(C)成分)が質量基準で20/1〜2/1となり、且つ、(C)成分の含有量が15質量%以下となるように混合し、溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. (B)成分と(C)成分とを60〜170℃の温度条件で溶融混練して得られた混合物を、溶融させた(A)成分に混合し、溶融混練することを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形により成形したことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物成形品。
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