JP2007052942A - 回路遮断器 - Google Patents

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健太郎 外山
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佳伸 浜田
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Abstract

【課題】アーク熱により飛散する溶融物から開閉機構部分を遮蔽する。
【解決手段】モールドケースに固定された固定接触子2と絶縁物のホルダ11を介してモールドケースに回動可能に支持された可動接触子3とからなる開閉部と、開閉スプリングの死点超えにより反転するトグルリンク24により可動接触子3を開閉駆動する開閉機構とを備えるとともに、開閉機構を開閉部から遮蔽する隔壁39がモールドケースに形成され、トグルリンク24の第2リンク23は隔壁39の通し穴40を挿通してホルダ11に連結される回路遮断器において、ホルダ11と連結される第2リンク23の端部に、固定・可動接触子2,3の接点32,33側に膨出する突部41を形成し、トリップ動作時に突部41を通し穴40に嵌入させて、この通し穴40の接点32,33側に生じる隙間を塞ぐようにする。
【選択図】 図3

Description

この発明は、低圧電路に用いられる配線用遮断器や漏電遮断器などの回路遮断器に関する。
この種の回路遮断器として、モールドケースに固定された固定接触子とモールドケースに絶縁物のホルダを介して回動可能に支持された可動接触子とからなる開閉部と、開閉スプリングの死点超えにより反転するトグルリンクにより可動接触子を開閉駆動する開閉機構とを備えるものが知られている。トグルリンクは第1及び第2の2つのリンクからなり、第1リンクは引外し機構により鎖錠されたラッチに連結され、第2リンクは可動接触子を保持するホルダに連結されている。第1リンクと第2リンクとを連結する中央ピンとハンドルレバーとの間には開閉スプリングが掛け渡され、トリップ動作時に引外し機構の作動によりラッチの鎖錠が解かれると、予め蓄勢された開閉スプリングの死点超えによりトグルリンクが反転して可動接触子が開極駆動される。このような回路遮断器については、例えば特許文献1に記載されている。
ところで、上記した回路遮断器において、短絡電流などの大電流を遮断すると、アーク熱により溶融した金属材や絶縁材の溶融物を含むアークガスが周辺に拡散し、含まれる溶融物が開閉機構や引外し機構に付着して相間絶縁や可動部の機能を損なうことがある。そのため、開閉機構部を開閉部から遮蔽する隔壁をモールドケースに形成し、開閉機構部の保護を図ったものがあり、そのような回路遮断器については、例えば特許文献2に記載されている。その場合、トグルリンクの第2リンクは、上記隔壁を通過して可動接触子のホルダに連結されるため、隔壁にはトグルリンクの第2リンクを通過させるための通し穴が設けられる。
上記隔壁の通し穴は第2リンクの運動に必要な最小限の大きさで開けられるが、第2リンクの前後には動作スペースとしての隙間が生じざるを得ない。そのため、開閉部と開閉機構部との間に隔壁を設けた場合においても、この隙間を通して開閉機構部にある程度のアークガスが侵入することは避けられない。そこで、特許文献3に記載された回路遮断器においては、この隙間を覆うように、可動接触子ホルダに先端をL字形に折り曲げた板状の突出部を形成し、トリップ動作時にこの突出部で通し穴の隙間を覆うようにしている。この突出部は金属(板金)製のホルダと一体に形成され、絶縁コーティングされたもので、可動接点側のアークが消弧板に移行する際、通し穴の隙間を通して開閉機構側とアークタッチし、相間短絡が生じるのを防止しようとするものである。
特開平5−211024号公報 特開2000−353464号公報 特開平6−5163号公報
特許文献3に記載された可動接触子ホルダの突出部は両側面が開放し、この開放面は隔壁通し穴の隙間に通じている。従って、この突出部は可動接触子から開閉機構部分へのアークの移行を阻止する上では有効であるかもしれないが、アークガスの通過に対しては充分な閉塞作用を有しているとはいえない。そのため、アークガスが突出部の側面から隔壁通し穴の隙間を通り抜け、開閉機構部に達する可能性がある。
そこで、この発明の課題は、アーク熱により飛散する溶融物から相間絶縁部分や開閉機構部分などを確実に遮蔽することにある。
上記課題を解決するために、この発明は、モールドケースに固定された固定接触子と絶縁物のホルダを介して前記モールドケースに回動可能に支持された可動接触子とからなる開閉部と、開閉スプリングの死点超えにより反転するトグルリンクにより前記可動接触子を開閉駆動する開閉機構とを備えるとともに、この開閉機構を前記開閉部から遮蔽する隔壁が前記モールドケースに形成され、前記トグルリンクの第2リンクは前記隔壁に設けられた通し穴を挿通して前記ホルダに連結される回路遮断器において、前記ホルダと連結される前記第2リンクの端部に、前記固定・可動接触子の接点側に膨出する突部を形成し、前記開閉機構のトリップ動作時に前記突部を前記通し穴の前記接点側の隙間に嵌入させて、この隙間を塞ぐようにするものである。
この発明によれば、トグルリンクの第2リンクに形成した突部を隔壁通し穴の接点側の隙間に嵌入させることにより、この突部で通し穴の隙間にいわば栓をして、この隙間をアークガスに対して閉塞し、アークガス中の溶融物が開閉機構部分に侵入することを確実に防止することができる。その結果、大電流遮断後の相間絶縁性能や開閉機構の動作機能の信頼性が高まるとともに、各相の絶縁構造を簡素化することによる回路遮断器の小型化が可能になる。
以下、図1〜図5に基づいて、発明の実施の形態を説明する。まず、図1は3極回路遮断器の中央極部分を示す投入状態の縦断面図である。図1において、電流は電源側端子1から、固定接触子2と可動接触子3とからなる開閉部4、リード線5、リード板6、過電流引外し装置7のヒータ導体8、中継導体9を経由して負荷側端子10に流れる。可動接触子3は絶縁物からなるホルダ11に軸12を介して回動可能に保持され、図示しない接触スプリングにより図1の左回りに付勢されている。また、各極のホルダ11は開閉軸13により一体に連結されるとともに、開閉軸13を介してモールドケース14に回動可能に支持されている。
可動接触子3は公知の開閉機構(例えば、特許文献1参照)15により開閉駆動され、開閉機構15は常時は引外し機構16により鎖錠されている。以下、その構成について簡単に説明する。開閉機構15は左右に側板を有するフレーム17上に一体構成され、図1の左右に回動可能に支持されたハンドルレバー18、その頭部に装着された操作ハンドル19、一端をピン20により回動可能に支持されたラッチ21、第1リンク22と第2リンク23とからなり、第1リンク22はラッチ21に連結され、第2リンク23はホルダ11に連結されたトグルリンク24、第1リンク22と第2リンク23とを連結する中央ピン25に下端部が連結され、上端部がハンドルレバー18に連結された開閉スプリング26等を備えている。
また、引外し機構16は、ラッチ21の図1の右端を係止するラッチ受け27、ラッチ受け27を係止するとともに、各極の過電流引外し装置7と対向するトリップクロスバー28等を備え、ラッチ受け27はピン29を介してフレーム17に支持され、トリップクロスバー28はモールドケース14に回動可能に支持されている。
次に、開閉機構15及び引外し機構16の動作について説明する。図2は図1の開閉機構部分の拡大図で、図2(A)は閉極状態、図2(B)は開極状態を示している。図1及び図2(A)において、ホルダ11はトグルリンク24を介して開閉スプリング26の力を受け、可動接触子3を固定接触子2に接触させている。この状態から操作ハンドル19を図1の右方向に開操作すると、開閉スプリング26の死点越えによりトグルリンク24が反転し、可動接触子3はホルダ11を介して右回りに開駆動されて図2(B)に示すように開極する。開極状態から操作ハンドル19を逆方向に閉操作すると図2(A)の閉極状態に復帰する。
図1において、回路遮断器を流れる電流が過負荷状態になると、ヒータ導体8の発熱により過電流引外し装置7のバイメタル30が左方向に湾曲し、トリップクロスバー28を押す。これにより、トリップクロスバー28は左回りに回動し、ラッチ受け27との係合が外れる。そのため、ラッチ受け27は右回りに回動し、ラッチ21との係合が外れる。その結果、ラッチ21は左回りに回動し、開閉スプリング26の死点越えが生じてトグルリンク24が反転し、回路遮断器は図3に示すように開極する(トリップ動作)。
一方、図1において、回路遮断器を短絡電流のような大電流が流れると、ヒータ導体8を流れる電流の磁束により、過電流引外し装置7のアーマチュア31が瞬時に固定コアに吸引され、トリップクロスバー28を押す。これにより、過負荷状態のときと同様にトグルリンク24が反転し、回路遮断器が開極する。その場合、固定接点32と可動接点33との間にアーク42が発生し、このアーク42は消弧装置34(図1)に引き込まれて消弧されるが、その際、アーク熱により金属材や絶縁材が溶融し、アークガスと一緒に周辺に飛散する。この溶融物が開閉機構15や引外し機構16などの可動部に付着すると、それらの機能が損なわれたり相間短絡を生じたりする恐れがある。そこで、次に述べるように、開閉機構部をアーク熱による溶融物の飛散から隔離する手段が講じられている。
まず、図5に示すように、モールドケース14は、ケース本体35と、その上面に装着されるミドルカバー36と、このミドルカバー36の上面に装着されるトップカバー37と、このトップカバー37の上面を覆う補助カバー38とから構成されている。そして、図1に示した開閉部4、過電流引外し装置7、消弧装置34はケース本体35に収納され、フレーム17上に一体構成された開閉機構15及び引外し機構16はミドルカバー36に搭載されている。
図5において、ミドルカバー36の底部には各極に跨る隔壁39が形成されており、図1に示した開閉機構15は、隔壁39上の中央極部分に取り付けられる。隔壁39には左右一対のスリット状の通し穴40が設けられており、トグルリンク24の第2リンク23は、通し穴40を挿通して下方に引き出される。開閉機構15が取り付けられたミドルカバー36は、ケース本体35に上方から装着され、第2リンク23がホルダ11に連結される。なお、ケース本体35に収納されるホルダ11は、開閉軸13が本体ケース35の半円状の溝35aとミドルカバー36の半円状の溝36aとの間に嵌め込み保持され、ミドルカバー36に搭載されるトリップクロスバー28はミドルカバー36の半円状の溝36bとトップカバー37の半円状の溝37aとの間に嵌め込み保持される。
図4は、図3のIV−IV線に沿う要部断面図である。トグルリンク24の第2リンク23は鋼板製で左右2枚からなり、隔壁39の通し穴40は2枚の第2リンク23をそれぞれ挿通させる左右一対のスリット状の長穴からなっている。ここで図6は、従来構成における開閉機構部分のトリップ状態を示すものである。通し穴40の幅は第2リンク23の板厚になるべく近く、通し穴の長さは第2リンク23の動作範囲を満たしながらなるべく短く形成されているが、第2リンク23の前後幅(図6の左右幅)は、当然ながら第2リンク23の運動範囲に渡る通し穴40の長さより小さく、その前後に隙間40a,40bを生じる。その結果、すでに述べたように通し穴40からアークガスの侵入が生じる。
そこで、図示実施の形態においては、図2(A)に示すように、ホルダ11と連結される第2リンク23の端部に、固定・可動接触子2,3の接点32,33(図1)側に膨出する突部41が形成されている。突部41は隔壁39と向き合う輪郭面が円弧状に形成された三角形状で、この突部41が膨出する側の通し穴40の端縁40cには、突部41の円弧面に沿う傾斜面が形成されている。
図3及び図4のトリップ時において、突部41は図示の通り通し穴40の接点32,33側に生じる隙間40a(図6参照)に嵌入し、この隙間40aを塞ぐように作用する。これにより、短絡電流などの遮断時に溶融物を含むアークガスが隙間40aを挿通して、開閉機構15等に吹き付けられることが防止される。その場合、突部41は通し穴40に入り込んで、隙間40aにいわば栓をする形になるため、単にカバーで覆う場合に比べて閉塞作用が大きい。なお、トリップ時において通し穴40には反接点側に隙間40bが残るが、この隙間40bはアーク42が生じる接点32,33側からは、可動接触子3、ホルダ11、第2リンク23等の陰になるため、アークガスの通り抜けは少なく実用上の問題にならない。図2(B)に示すように、突部41は開極時においても隙間40aに嵌入する。
この発明の実施の形態を示す回路遮断器の閉極状態の縦断面図である。 図1の回路遮断器における開閉機構部分の拡大図で、(A)は閉極状態(B)は開極状態を示す。 図2の開閉機構部分のトリップ状態を示す図である。 図3のIV−IV線に沿う要部断面図である。 図1の回路遮断器におけるモールドケースの分解縦断面図である。 従来の回路遮断器における開閉機構部分のトリップ状態を示す図である。
符号の説明
2 固定接触子
3 可動接触子
4 開閉部
7 過電流引外し装置
11 ホルダ
14 モールドケース
15 開閉機構
16 引外し機構
21 ラッチ
22 第1リンク
23 第2リンク
24 トグルリンク
26 開閉スプリング
34 消弧装置
38 隔壁
40 貫通孔
40a 隙間
41 突部
42 アーク

Claims (1)

  1. モールドケースに固定された固定接触子と前記モールドケースに絶縁物のホルダを介して回動可能に支持された可動接触子とからなる開閉部と、開閉スプリングの死点超えにより反転するトグルリンクにより前記可動接触子を開閉駆動する開閉機構とを備えるとともに、この開閉機構を前記開閉部から遮蔽する隔壁が前記モールドケースに形成され、前記トグルリンクの第2リンクは前記隔壁に設けられた通し穴を挿通して前記ホルダに連結される回路遮断器において、
    前記ホルダと連結される前記第2リンクの端部に、前記固定・可動接触子の接点側に膨出する突部を形成し、前記開閉機構のトリップ動作時に前記突部を前記通し穴の前記接点側に生じる隙間に嵌入させて、この隙間を塞ぐようにしたことを特徴とする回路遮断器。

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