JP2007051535A - 建具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】召合せ部空間149が室外空間と等圧な等圧空間とされるとともに、強風を伴った雨水が下枠と室内側障子10Aとの隙間から吹き込んだとしても、この雨水が越えることができない高さ寸法h(=100mm)を有したAT材148によって阻止されるので、AT材147,148同士の間に雨水が浸入しないようにできる。従って、室内空間との境界位置に設けられたAT材147位置への雨水の浸入を防止することができるので、内外の召合せ框14A,14B間から室内空間への雨水の浸入を防止して水密性能の向上を図ることができる。
【選択図】図3
Description
特許文献1に記載された従来の気密構造では、対向面における室外寄りおよび室内寄りの2箇所に気密材が内召合せ框の長手方向に連続して設けられており、これら2箇所の気密材でタイトラインを形成することで、対向面間の隙間を介して外気や雨水等が室内空間に入り込まないようになっている。
従って、強風を伴った雨水であっても止水部材によって縦気密材の位置までの浸入を防止することができるので、内外の召合せ框間から室内空間への雨水の浸入を防止して水密性能の向上を図ることができる。
このような構成によれば、止水部材の下端縁に接続される下枠止水部材が設けられているので、下枠部分(障子の下方)から召合せ框間に浸入しようとする雨水が阻止され、召合せ框の対向面間における止水部材と縦気密部材との間の空間への雨水の浸入を防止することができる。さらに、召合せ框の対向面間における止水部材と縦気密部材との間の空間に万一雨水が浸入したとしても、縦気密材と下枠止水部材とが接続されていることで、縦気密材よりも室内側への雨水の浸入が防止できる。
このような構成によれば、止水部材を必要以上に長くしないことで、召合せ框の対向面間における止水部材と縦気密部材との間の空間が狭くならず、前記召合せ部空間と連続した一体的な空間になるため、導入された外気が行き渡りやすくなって等圧空間が構成しやすくできる。
この際、障子の下端縁から止水部材の上端縁までの高さ寸法としては、次の式(1)を満足することが好ましい。ここで、gは、重力加速度であり、Ci ,Co は、それぞれ室内側および室外側の空気流量係数であり、Ai ,Ao は、それぞれ室内側および室外側の隙間面積であり、ΔPは、室内外の圧力差であり、ρは、空気密度である。そして、室内側の隙間面積(Ai )としては、例えば縦気密部材の下端縁と下枠止水部材との隙間の面積などが適用可能である。また、室外側の隙間面積(Ao )としては、召合せ框の対向面間における止水部材と縦気密部材とで囲まれた空間の横断面積が適用可能である。
図1は、本発明の実施形態に係る建具である引違い窓1を示す縦断面図である。図2は、引違い窓1を示す横断面図である。図3は、引違い窓1の障子の召合せ部を拡大して示す横断面図である。図4(A),(B)は、それぞれ内召合せ框14Aを示す横断面図および側面図である。
図1および図2において、引違い窓1は、建物の外壁開口部に固定される窓枠2と、窓枠2の内部に開閉自在に支持された室内外一対の障子10(室内側障子10A、室外側障子10B)とを有して構成されている。窓枠2は、それぞれアルミ形材製の上枠3、下枠4、および左右の縦枠5を四周枠組みして形成されている。障子10は、それぞれアルミ形材製の上框11、下框12、左右の縦框である戸先框13および召合せ框14(内召合せ框14A、外召合せ框14B)と、これらを四周框組みした内部に嵌め込んだガラスパネル15とを有して構成されている。そして、室内側障子10Aおよび室外側障子10Bは、各々の戸先框13が縦枠5に当接するとともに、内外の召合せ框14A,14Bが見込み方向に重なって閉じ、内召合せ框14Aに設けたクレセント16Aと外召合せ框14Bに設けたクレセント受け16Bとが係合することで施錠されるようになっている。
一方の気密材保持部145には、外召合せ框14Bの室内側側面142に当接可能な縦気密材であるAT材147が、内召合せ框14Aの長手方向略全長に渡って連続して取り付けられている。また、他方の気密材保持部146には、外召合せ框14Bの室内側側面142に当接可能な止水部材であるAT材148が取り付けられている。このAT材148は、図4に示すように室内側障子10Aの下端縁から所定高さ(高さ寸法h、例えば、h=100mm)の範囲にのみ設けられている。
このように室内外の障子10A,10Bを閉じた状態において、内外の召合せ框14A,14Bの間には、室外側側面141、室内側側面142、係合した煙返し143,144、および室内側側面142に当接したAT材147によって囲まれた召合せ部空間149が形成されるようになっている。
図5は、召合せ部の水密構造を説明する内召合せ框14Aの側面図である。
図5に示すように、室外空間の気圧がPo 、室内空間の気圧がPi であり、召合せ部空間149のうちのAT材147,148同士の間の隙間空間149Aの水平断面積がAo であり、風止板40と室内側障子10A下端との間に開口面積Ai の隙間ができたと仮定し、室内空間に流入する通気量がQi であるとした場合に、AT材147を乗り越えようとする水の流速Vは、次の式(2)のように求められる。
V=Qi /(Co ・Ao ) ・・・・・(2)
そして、通気量Qi は、次の式(3)で算出される。
mgh=1/2・mV2 ・・・・・(4)
この式(4)では、左辺がAT材148を水が越えるのに必要な位置エネルギであり、右辺が水の運動エネルギであるので、左辺が右辺よりも大きくなるような高さ寸法hに設定すれば、AT材148を越えて召合せ部空間149の隙間空間149Aへの雨水の浸入が防止できる。式(4)において、mは質量であり、gは重力加速度である。
Qi =2.35×10-4(m3/s)
そして、この通気量Qi により流速Vは、次のように算出される。
V=1.30(m/s)
この流速Vを前記式(4)に代入することで、AT材148の必要高さ寸法hreq が以下のように算出される。
hreq>0.0865(m)=87(mm)
従って、AT材148の高さ寸法hが87(mm)よりも大きければ、このAT材148を越えて召合せ部空間149の隙間空間149Aへ雨水が浸入しないことが分かり、本実施形態では、AT材148の高さ寸法hが100mmに設定されている。
(1)すなわち、召合せ部空間149が室外空間と等圧な等圧空間とされるとともに、強風を伴った雨水が下枠4と室内側障子10Aとの隙間から吹き込んだとしても、この雨水が越えることができない高さ寸法h(=100mm)を有したAT材148によって阻止されるので、AT材147,148同士の間の隙間空間149Aに雨水が浸入しないようにできる。
従って、室内空間との境界位置に設けられたAT材147位置への雨水の浸入を防止することができるので、内外の召合せ框14A,14B間から室内空間への雨水の浸入を防止して水密性能の向上を図ることができる。
例えば、前記実施形態においては、室内外一対(二枚)の障子10を有した引違い窓1について説明したが、本発明の建具は、片引き窓でもよく、引き違い窓でもよい。そして、建具が片引き窓の場合には、固定障子の室内側または室外側に沿って可動障子がスライド開閉可能に設けられ、固定障子および可動障子の召合せ框同士が重なって閉じるように構成され、これらの召合せ框間に前記実施形態のAT材147,148が設けられていればよい。
また、建具が引き違い窓の場合には、三枚建てや四枚建ての引き違い窓であってもよく、これら複数の可動障子のうちの任意の一対の障子における召合せ框同士が重なって閉じるように構成され、これらの召合せ框間に前記実施形態のAT材147,148が設けられていればよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (3)
- 上枠、下枠、および左右の縦枠を有する窓枠と、この窓枠内に支持されて室内外一対の召合せ框同士が見込み方向に重なることで閉じる障子とを備えた建具であって、
前記室内外一対の召合せ框の対向面における室外空間寄りの位置には、互いに係合する一対の係合片が当該召合せ框の長手方向に連続して設けられ、
前記対向面における室内空間寄りの位置には、一方または他方の対向面に取り付けられて他方または一方の対向面に当接する縦気密材が当該召合せ框の長手方向に連続して設けられ、
前記対向面における前記係合片と前記縦気密材との間には、一方または他方の対向面に取り付けられて他方または一方の対向面に当接する止水部材が、前記障子の下端縁から所定高さの範囲に設けられている建具。 - 閉じた状態の前記障子における召合せ框の下方位置の前記下枠には、下枠止水部材が設けられ、この下枠止水部材と前記縦気密材および止水部材の各々の下端縁とが接続されている請求項1に記載の建具。
- 前記障子の下端縁から前記止水部材の上端縁までの高さ寸法が100mm以下に設定されている請求項1または請求項2に記載の建具。
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2006
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