JP2007048650A - 燃料電池システム及び燃料電池システムの水分除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池システムを搭載した車両が目的地に到着するときに燃料電池内の水分の除去が完了しているように制御することのできる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の燃料電池システム1は、カーナビゲーションシステム11からの情報に基づいて自車の目的地を予測する目的地予測部12と、予測された目的地まで所定の距離以内に到達したと判断したときには、水分除去動作を開始して自車が目的地に到着するときには燃料電池2内の水分除去動作が終了するように制御する制御部4とを備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の燃料電池システム1は、カーナビゲーションシステム11からの情報に基づいて自車の目的地を予測する目的地予測部12と、予測された目的地まで所定の距離以内に到達したと判断したときには、水分除去動作を開始して自車が目的地に到着するときには燃料電池2内の水分除去動作が終了するように制御する制御部4とを備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応により反応させて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムに係り、特に燃料電池システムを搭載した車両が目的地に到着するときには燃料電池内の水分除去が完了しているように制御する燃料電池システム及びその方法に関する。
燃料電池システムは、燃料が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置であり、電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうち陽極に水素を含有する燃料ガスを供給するとともに、他方の陰極に酸素を含有する酸化剤ガスを供給し、これら一対の電極の電解質膜側の表面で生じる酸素と水素の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギーを取り出すものである。このような燃料電池システムの従来例として、例えば特開平8−106914号公報(特許文献1)が開示されている。
ここで、陽極に供給される燃料ガスは、水素貯蔵装置から直接供給する方法や水素を含有する燃料を改質し、改質した水素含有ガスを供給する方法が知られている。水素貯蔵装置としては、高圧ガスタンク、液化水素タンク、水素吸蔵合金タンク等がある。水素を含有する燃料としては、天然ガス、メタノール、ガソリン等が考えられる。一方、陰極に供給される酸化剤ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
ところで、例えば燃料電池を自動車の動力源として使用する場合や、寒冷地での定置用として使用する場合には、燃料電池が0℃以下の雰囲気にさらされる場合があり、このような状況下でも燃料電池が起動できて正常に発電できることが望まれている。しかしながら、0℃以下の低温状態では、燃料電池セルの中に残留した水分が凍結して反応ガス流路を閉塞してしまったり、電極近傍に残留している水分が凍結して反応ガスの拡散を阻害してしまったりすることがあり、発電ができなくなってしまうという問題がある。
そこで、燃料電池を0℃以下から起動させるためには、あらかじめ燃料電池内部から水分を除去しておくことが必要であり、例えば特開2004−39527号公報(特許文献2)に開示されているように、燃料電池システムの運転停止後に、保有する水の凍結可能性を外気温センサやナビゲーション情報により推定し、所定の待ち時間の後、水の排水や加熱及び保温などの凍結防止手段を動作させる技術が知られている。
ところが、このように単に燃料電池システムからの排水によって水の凍結を防止しようとすると、水タンク、水配管等の水路中の水分の凍結は防止できるものの、燃料電池内部の水分除去が不十分になるという問題がある。
そのような問題に対応するために、特開2002−246054号公報(特許文献3)に開示されているように、燃料電池の運転終了後、空気経路および水素経路に所定の乾燥空気を供給すると共に、燃料電池の冷媒流路を加熱部が含まれる流路に切り替え、加熱された冷媒を燃料電池に流通させることにより、燃料電池を所定温度に昇温させながら水分を除去するという技術が公知となっている。
特開平8−106914号公報
特開2004−39527号公報
特開2002−246054号公報
しかしながら、上述した従来の燃料電池システムでは、燃料電池の通常の運転を停止した後に水分除去動作を開始するので、燃料電池システムの停止に時間を要し、システムの停止動作中に運転者を煩わせることがあるとともに、パージする空気を供給するための空気供給装置の作動音等によって騒音が発生してしまうという問題点があった。特に、燃料電池を車両用として使用する場合には深夜帰宅時の住宅街等のように静寂な場所における騒音発生は、車両用電源として燃料電池を使用する上で大きな問題であり、車両の運転停止時における燃料電池の運転時間は極力短くすることが要求され、しかも低騒音であることが必要であった。
上述した課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応により反応させて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、当該燃料電池システムを搭載した自車の目的地を予測する目的地予測手段と、前記自車が前記目的地に到着するときに前記燃料電池内の水分除去動作が終了するように、前記水分除去動作の実施を制御する制御手段とを備えていることである。
また、本発明の第2の特徴は、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応により反応させて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムの水分除去方法であって、前記燃料電池システムを搭載した自車の目的地を予測する目的地予測ステップと、前記自車が前記目的地に到着するときに前記燃料電池内の水分除去動作が終了するように、前記水分除去動作の実施を制御する制御ステップとを含むことを特徴とする。
本発明に係る燃料電池システムでは、自車の目的地を予測し、自車が目的地に到着するときには燃料電池内の水分除去動作が終了するように制御するので、自車が目的地に到着して停車した後に燃料電池システムを停止するまでの時間を短縮することができ、乗員を煩わせることを防止できる。また、自車の停車後に燃料電池内の水分除去のために作動するコンプレッサの作動時間を短縮することができるので、停車後の騒音を抑えることができる。さらに、次回の始動時には燃料電池の中に水分が残留していることがないので、自車の停止中に燃料電池が0℃以下の雰囲気にさらされた場合であっても、燃料電池内で水分が凍結して反応ガス流路を閉塞したり、電極近傍に残留している水分が凍結して反応ガスの拡散を阻害したりすることを防止して、再始動を確実に行うことができる。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一あるいは類似の部分には同一あるいは類似な符号を付している。
<第1の実施形態>
図1は本実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されて電気化学反応により発電する燃料電池2と、燃料電池2から取り出された電力によって駆動される負荷3と、燃料電池システム1を制御する制御装置(制御手段)4と、燃料電池2のアノードに供給される水素ガスを貯蔵する高圧水素ボンベ5と、高圧水素ボンベ5から供給される高圧水素を減圧して圧力を調節する水素調圧弁6と、空気を加圧して燃料電池2のカソードに供給するコンプレッサ7と、冷却流路の冷却水を循環させる冷却液ポンプ8と、ラジエータファン9からの冷却風によって冷却水を放熱させるラジエータ10と、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)を利用して車両を目的地まで案内するカーナビゲーションシステム11と、カーナビゲーションシステム11からの情報に基づいて自車の目的地を予測する目的地予測部(目的地予測手段)12とを備えている。
図1は本実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されて電気化学反応により発電する燃料電池2と、燃料電池2から取り出された電力によって駆動される負荷3と、燃料電池システム1を制御する制御装置(制御手段)4と、燃料電池2のアノードに供給される水素ガスを貯蔵する高圧水素ボンベ5と、高圧水素ボンベ5から供給される高圧水素を減圧して圧力を調節する水素調圧弁6と、空気を加圧して燃料電池2のカソードに供給するコンプレッサ7と、冷却流路の冷却水を循環させる冷却液ポンプ8と、ラジエータファン9からの冷却風によって冷却水を放熱させるラジエータ10と、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)を利用して車両を目的地まで案内するカーナビゲーションシステム11と、カーナビゲーションシステム11からの情報に基づいて自車の目的地を予測する目的地予測部(目的地予測手段)12とを備えている。
ここで、燃料電池システム1は、燃料電池車に搭載されたシステムであって、燃料電池2によって発電された電力を車両の各部に供給して制御している。
燃料電池2は、燃料極に燃料ガスである水素ガスが供給され、酸化剤極に酸化剤ガスである空気ガスが供給されて以下に示す電気化学反応によって発電を行っている。
燃料極:H2→2H++2e- (1)
酸化剤極:2H++2e-+(1/2)O2→H2O (2)
負荷3は、燃料電池車に搭載されているモータなどであって、燃料電池2から取り出される電力の供給を受けて駆動されている。
酸化剤極:2H++2e-+(1/2)O2→H2O (2)
負荷3は、燃料電池車に搭載されているモータなどであって、燃料電池2から取り出される電力の供給を受けて駆動されている。
制御装置4は、図示していないが、圧力センサや温度センサなどの各種センサからの情報に基づいて燃料電池システム1を制御し、通常の発電を行わせるとともに、自車を停車させるときには燃料電池2の水分除去処理を実施する。
カーナビゲーションシステム11は、GPSによって自車の位置を検出してマップ上に表示するとともに、運転者によって目的地が入力されると目的地までの経路を案内する。また、運転者の自宅や車両の保管場所など頻繁に行く場所については登録することができる。さらに、過去に車両が通った道や目的地などの履歴情報も記録されている。
目的地予測部12は、カーナビゲーションシステム11からの情報に基づいて燃料電池システム1を搭載した自車の目的地を予測し、制御装置4に出力している。
次に、本実施形態の燃料電池システム1による水分除去処理を図2のフローチャートに基づいて説明する。図2に示すように、燃料電池システム1を搭載した車両の走行中に、目的地予測部12はカーナビゲーションシステム11からの情報に基づいて車両の目的地を予測し、制御装置4は予測された目的地までの残距離を算出する(ステップS101)。
ここで、目的地予測部12は、車両の使用開始時に運転者がカーナビゲーションシステム11に入力した目的地を、目的地として予測してもよいし、一般的なカーナビゲーションシステムで設定可能な自宅や車両保管場所などのデータに基づいて目的地を予測してもよい。さらに、通勤に使用される車両や路線バス等の毎回ほぼ決まった経路を走行する車両では、GPSの測位データなどの履歴情報を学習することによって推定した到着地点を目的地として予測するようにしてもよい。
このように目的地予測部12が、カーナビゲーションシステム11に入力された目的地やカーナビゲーションシステム11に登録されている場所、カーナビゲーションシステム11に記録されている履歴情報に基づいて目的地を予測するので、目的地を正確に予測して確実に目的地までの距離を算出することができる。また、車両使用開始時には運転者が毎回目的地を設定する必要がなくなるので、運転者への利便性を高めることもできる。
こうしてステップS101において予測した目的地までの残距離が算出されると、次に算出した残距離が所定の距離以下であるか否かを判断する(S102)。
ここで、この所定の距離の設定方法としては、この後に実施される燃料電池2の水分除去動作に要する時間を考慮して、水分除去動作が完了した後に車両が目的地に到達するように設定すればよい。例えば、市街地における平均的な車速と水分除去動作に要する時間とに基づいて水分除去動作を行っている間に車両が走行する距離を求め、この距離を目的地までの所定の距離として設定すればよい。
これにより、車両が目的地に到着するまでに燃料電池2内部の水分除去動作が完了するので、車両が停車した後に燃料電池システム1を停止するまでの時間を短縮することができ、乗員を煩わせることがなくなる。また、車両の停車後に燃料電池2内部の水分を除去するために、コンプレッサ7を駆動する必要がなくなるので、停車後の騒音を防止することができる。
こうしてステップS102において目的地までの残距離が所定の距離以下に到達したか否かを判断し、所定の距離以下に到達したと判断した場合には燃料電池2の水分除去動作を開始する(S103)。
ここで、この水分除去動作は、制御装置4によって燃料電池2の発電中にコンプレッサ7の回転数を通常の発電時よりも上昇させてカソードに供給される空気量を増加させることによって行なわれる。これによって、燃料電池2の内部において水分が最も生成しやすいカソード側の空気ガス流路をパージすることができる。
そして、所定の時間が経過すると(S104)、水分除去動作を終了し(S105)、車両が目的地に到着して運転者によって車両のイグニッションスイッチがOFFにされるのを待ち(S106)、イグニッションスイッチがOFFにされると、カソード及びアノードへのガスの供給を中止し、燃料電池システム1を停止して(S107)本実施形態の燃料電池システム1による水分除去処理を終了する。
このように、本実施形態の燃料電池システム1では、自車の目的地を予測し、自車が目的地に到着するときには燃料電池2内の水分除去動作が終了するように制御するので、自車が目的地に到着して停車した後に燃料電池システム1を停止するまでの時間を短縮することができ、これによって乗員を煩わせることを防止できる。また、自車の停車後に燃料電池2内の水分除去のために作動するコンプレッサ7の作動時間を短縮することができるので、停車後の騒音を抑えることができる。さらに、次回の始動時には燃料電池2の中に水分が残留していることがないので、自車の停止中に燃料電池2が0℃以下の雰囲気にさらされた場合であっても、燃料電池2内で水分が凍結して反応ガス流路を閉塞したり、電極近傍に残留している水分が凍結して反応ガスの拡散を阻害したりすることを防止して、再始動を確実に行うことができる。
また、本実施形態の燃料電池システム1では、自車が目的地まで所定の距離以内に到達したと判断したときに水分除去動作を開始するので、自車が目的地に到着するのとほぼ同時に燃料電池2内の水分除去を完了することができる。
さらに、本実施形態の燃料電池システム1では、水分除去動作に要する時間に基づいて所定の距離を設定するので、より正確に自車が目的地に到着するまでの時間を予測することができ、これによって自車が目的地に到着するのと同時に燃料電池2内の水分除去を完了することができる。
また、本実施形態の燃料電池システム1では、目的地予測部12がカーナビゲーションシステム11に入力された目的地、カーナビゲーションシステム11に登録されている場所、カーナビゲーションシステム11に記録されている履歴情報に基づいて目的地を予測するので、正確に目的地を予測することができ、目的地までの距離を確実に算出することができる。また、カーナビゲーションシステム11で設定可能な自宅等の車両保管場所のデータを利用して目的地を予測したり、毎回ほぼ決まった経路を走行する車両ではカーナビゲーションシステム11の測位データを学習することによって推定した到着地点を目的地として予測したりできるので、車両使用開始時に乗員が毎回目的地を設定する必要がなくなり、乗員への利便性を高めることができる。
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図3は本実施形態の燃料電池システムによる水分除去処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図3は本実施形態の燃料電池システムによる水分除去処理を示すフローチャートである。
図2で説明した第1の実施形態の水分除去処理では、ステップS101において目的地までの残距離を算出し、ステップS102において算出した残距離が所定の距離以下になったか否かを監視していたのに対して、本実施形態の水分除去処理では、図3に示すようにステップS201において予測した目的地までの到達時間を算出し、ステップS202において算出した到達時間が所定の時間以下になったか否かを監視するようにしたことが第1の実施形態と異なっている。
ただし、ステップS203以降の処理及び燃料電池システムの構成は第1の実施形態と同一なので詳しい説明は省略する。
このように、本実施形態の燃料電池システムでは、目的地までの到達時間が所定の時間以内になったと判断したときに水分除去動作を開始するので、自車が目的地に到着するのとほぼ同時に燃料電池2内の水分除去を完了することができる。
さらに、本実施形態の燃料電池システムでは、水分除去動作に要する時間に基づいて所定の時間を設定するので、より正確に自車が目的地に到着するまでの時間を予測することができ、これによって自車が目的地に到着するのと同時に燃料電池2内の水分除去を完了することができる。
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。図4は本実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。図4は本実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態の燃料電池システム41は、自車の停車後における燃料電池2の凍結可能性を予測する凍結予測部(凍結予測手段)42と、水分除去動作を実施するか否かを自車の運転者が選択して入力する選択部(選択手段)43と、水分除去動作が実施されていることを自車の運転者に告知する告知部(告知手段)44とをさらに備えたことが第1の実施形態と異なっている。ただし、その他の構成は第1の実施形態と同一なので詳しい説明は省略する。
ここで、凍結予測部42は、カレンダーや外気温センサ、FM文字放送等の気象情報を受信可能なラジオ等を備えており、カーナビゲーションシステム11からの位置情報に加え、カレンダーによる季節情報及び外気温センサによる外気温情報に基づいて、場所、時期、環境に応じて車両停止後の最低外気温を予測し、燃料電池2の凍結可能性を推定している。このとき、FM文字放送からの気象情報を取得し、この気象情報に含まれる最低外気温に関する情報から凍結可能性を推定するようにすれば、より確実な凍結可能性を推定することができる。
選択部43は、例えばインストルメントパネルに設けられたスイッチとして構成することができ、運転者が水分除去動作を実施するか否かを切り替えることができるようになっている。
告知部44は、インストルメントパネルに設けられたパイロットランプであり、水分除去動作を実施するときには点灯して運転者に水分除去動作の実施を告知する。
次に、本実施形態の燃料電池システム41による水分除去処理を図5のフローチャートに基づいて説明する。図5に示すように、まず乗員によって選択部43が操作されて水分除去動作を実施するか否かが選択され(S301)、水分除去動作を実施することが選択されているときには水分除去実行モードがONされ、次に凍結予測部42によって車両停止後の燃料電池2のセル内残存水分の凍結可能性が推定される(S302)。
そして、推定した凍結可能性の有無を判定し(S303)、凍結可能性が高いと判断された場合には、ステップS304に進み、以下ステップS304〜ステップS310まで第1の実施形態と同一の処理を実施する。
一方、ステップS301において水分除去動作を実施しないことが選択されている場合と、ステップS303において凍結可能性がないと判断された場合には車両のイグニッションスイッチがOFFになっているか否かを判定し(S311)、OFFになっていないときにはステップS301に戻って上述した処理を繰り返し行い、OFFになっているときには燃料電池システム41を停止して(S310)本実施形態の燃料電池システム41による水分除去処理を終了する。
このように、本実施形態の燃料電池システム41では、自車の停車後における燃料電池2の凍結可能性を予測する凍結予測部42をさらに備え、予測された凍結可能性に基づいて水分除去動作を実施するので、水分の凍結が予測される場合にのみ水分除去動作を実施し、凍結の可能性がない場合には水分除去動作を実施しないように制御することができる。これによって無駄に水分除去動作を実施することがなくなり、水分除去動作に必要なエネルギー消費を抑制してシステム効率を向上させることができる。
また、本実施形態の燃料電池システム41では、水分除去動作が実施されていることを自車の運転者に告知する告知部44を備えているので、水分除去動作が実施されていることを乗員に認識させることができ、水分除去動作が実施されることによって乗員が違和感を覚えるといった不都合を回避することができる。
さらに、本実施形態の燃料電池システム41では、水分除去動作を実施するか否かを自車の運転者が選択して入力する選択部43を備えているので、帰宅直後に車両を再使用するような目的地付近での例外的な車両の使用時においても、乗員によって水分除去動作の実施を選択することができ、不要な水分除去動作の実施を避けることができる。その結果、水分除去動作に必要なエネルギー消費を抑制してシステム効率を向上させることができる。
<第4の実施形態>
以下、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。図6は本実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。図6は本実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施形態の燃料電池システム61は、燃料電池2の酸化剤ガス流路と燃料ガス流路とを接続した接続部に設置された遮断弁62と、負荷3に電力を供給する二次電池(電力供給手段)63とをさらに備えたことが第3の実施形態と異なっている。ただし、その他の構成は第3の実施形態と同一なので詳しい説明は省略する。
ここで、遮断弁62は、制御装置4の制御に基づいて通常の運転時には閉じられてガスの流通を遮断している。そして、水分除去動作が開始されると、遮断弁62は開放されてコンプレッサ7から供給されている空気ガスを燃料電池2のカソードだけでなくアノードにも供給できるようにしている。
二次電池63は、車両走行に必要となる電力を単独で供給することのできる電池であり、水分除去動作が開始されて燃料電池2が停止すると負荷3に電力を供給して自車の走行を継続させる。
次に、本実施形態の燃料電池システム61による水分除去処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。図7に示すように、まず乗員によって選択部43が操作されて水分除去動作を実施するか否かが選択され(S401)、水分除去動作を実施することが選択されているときには水分除去実行モードがONされ、次に凍結予測部42によって車両停止後の燃料電池2のセル内残存水分の凍結可能性が推定される(S402)。
そして、推定した凍結可能性の有無を判定し(S403)、凍結可能性が高いと判断した場合には、目的地予測部12がカーナビゲーションシステム11からの情報に基づいて車両の目的地を予測し、制御装置4が予測された目的地までの残距離を算出する(S404)。そして、算出した目的地までの残距離が所定の距離以下に到達したか否かを判断し(S405)、所定の距離以下に到達していない場合にはステップS401に戻って上述した処理を繰り返し行い、所定の距離以下に到達したと判断した場合には、次に二次電池63からの単独の電力供給による走行を許可し(S406)、制御装置4は燃料電池2から電力を取り出すのを中止するとともに、燃料電池2のアノードへ燃料ガスを供給するのを中止して燃料電池2の発電を停止させる(S407)。そして、二次電池63による単独での電力供給を行いながら走行を継続し、燃料電池2の水分除去動作を開始する(S408)。
ここで、この水分除去動作は、コンプレッサ7から燃料電池2のカソードに空気を供給してパージするとともに、遮断弁62を開放して燃料電池2のアノードにも空気が供給されるようにして、アノードのパージも行なうようにする。
これによって、燃料電池2の発電を停止した状態で燃料電池2内の残留水をより確実に除去できるだけではなく、カソード側に加えてアノード側のガス流路や電極近傍に残留した水分も急速に蒸発させて除去することが可能になる。
このようにして水分除去動作を行って所定の時間が経過すると(S409)、水分除去動作を終了し(S410)、車両が目的地に到着して運転者によって車両のイグニッションスイッチがOFFにされるのを待ち(S411)、イグニッションスイッチがOFFにされると、燃料電池システム61を停止して(S412)本実施形態の燃料電池システム61による水分除去処理を終了する。
一方、ステップS401において水分除去動作を実施しないことが選択されている場合と、ステップS403において凍結可能性がないと判断された場合には車両のイグニッションスイッチがOFFになっているか否かを判定し(S413)、OFFになっていないときにはステップS401に戻って上述した処理を繰り返し行い、OFFになっているときには燃料電池システム61を停止して(S412)本実施形態の燃料電池システム61による水分除去処理を終了する。
このように、本実施形態の燃料電池システム61では、酸化剤ガス流路と燃料ガス流路とを接続し、この接続部に遮断弁62を設置して水分除去動作を実施するときに開放するので、コンプレッサ7から供給される酸化剤ガスによって燃料電池2のカソード側だけでなく、アノード側のガス流路や電極近傍に残留した水分も急速に蒸発させて除去することが可能になる。
また、本実施形態の燃料電池システム61では、二次電池63を備え、水分除去動作を実施するときに燃料電池2を停止させて二次電池63によって負荷3に電力を供給するようにしたので、燃料電池2を停止させたことによって、より確実に燃料電池2内の残留水をパージすることが可能になる。
以上、本発明の燃料電池システムについて、図示した実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応により反応させて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムに係り、特に燃料電池システムを搭載した車両が目的地に到着するときには燃料電池内の水分の除去が完了しているように制御するための技術として極めて有用である。
1、41、61 燃料電池システム
2 燃料電池
3 負荷
4 制御装置(制御手段)
5 高圧水素ボンベ
6 水素調圧弁
7 コンプレッサ
8 冷却液ポンプ
9 ラジエータファン
10 ラジエータ
11 カーナビゲーションシステム
12 目的地予測部(目的地予測手段)
42 凍結予測部(凍結予測手段)
43 選択部(選択手段)
44 告知部(告知手段)
62 遮断弁
63 二次電池(電力供給手段)
2 燃料電池
3 負荷
4 制御装置(制御手段)
5 高圧水素ボンベ
6 水素調圧弁
7 コンプレッサ
8 冷却液ポンプ
9 ラジエータファン
10 ラジエータ
11 カーナビゲーションシステム
12 目的地予測部(目的地予測手段)
42 凍結予測部(凍結予測手段)
43 選択部(選択手段)
44 告知部(告知手段)
62 遮断弁
63 二次電池(電力供給手段)
Claims (22)
- 燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応により反応させて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、
当該燃料電池システムを搭載した自車の目的地を予測する目的地予測手段と、
前記自車が前記目的地に到着するときに前記燃料電池内の水分除去動作が終了するように、前記水分除去動作の実施を制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記制御手段は、前記自車が前記目的地まで所定の距離以内に到達したと判断したときに、前記水分除去動作を開始することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、前記水分除去動作に要する時間に基づいて前記所定の距離を設定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、前記目的地までの到達時間が所定の時間以内になったと判断したときに、前記水分除去動作を開始することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、前記水分除去動作に要する時間に基づいて前記所定の時間を設定することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
- 前記自車の停車後における前記燃料電池の凍結可能性を予測する凍結予測手段をさらに備え、前記制御手段は前記凍結予測手段によって予測された凍結可能性に基づいて前記水分除去動作を実施することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記目的地予測手段は、カーナビゲーションシステムに入力された目的地、カーナビゲーションシステムに登録されている場所、カーナビゲーションシステムに記録されている履歴情報に基づいて目的地を予測することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記水分除去動作が実施されていることを前記自車の運転者に告知する告知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記水分除去動作を実施するか否かを前記自車の運転者が選択して入力する選択手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路と前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス流路とを接続し、この接続部に遮断弁を設置して、前記水分除去動作を実施するときに前記遮断弁を開放することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池からの電力によって駆動されている負荷に対して電力を供給する電力供給手段をさらに備え、前記水分除去動作を実施するときには前記燃料電池を停止させて前記電力供給手段から前記負荷に電力を供給することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応により反応させて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムの水分除去方法であって、
前記燃料電池システムを搭載した自車の目的地を予測する目的地予測ステップと、
前記自車が前記目的地に到着するときに前記燃料電池内の水分除去動作が終了するように、前記水分除去動作の実施を制御する制御ステップと
を含むことを特徴とする燃料電池システムの水分除去方法。 - 前記制御ステップでは、前記自車が前記目的地まで所定の距離以内に到達したと判断したときに、前記水分除去動作を開始することを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記制御ステップでは、前記水分除去動作に要する時間に基づいて前記所定の距離を設定することを特徴とする請求項13に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記制御ステップでは、前記目的地までの到達時間が所定の時間以内になったと判断したときに、前記水分除去動作を開始することを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記制御ステップでは、前記水分除去動作に要する時間に基づいて前記所定の時間を設定することを特徴とする請求項15に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記自車の停車後における前記燃料電池の凍結可能性を予測する凍結予測ステップをさらに備え、前記制御ステップでは前記凍結予測ステップで予測された凍結可能性に基づいて前記水分除去動作を実施することを特徴とする請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記目的地予測ステップでは、カーナビゲーションシステムに入力された目的地、カーナビゲーションシステムに登録されている場所、カーナビゲーションシステムに記録されている履歴情報に基づいて目的地を予測することを特徴とする請求項12から請求項17のいずれか1項に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記制御ステップでは、前記水分除去動作が実施されていることを前記自車の運転者に告知することを特徴とする請求項12から請求項18のいずれか1項に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記制御ステップでは、前記水分除去動作を実施するか否かを前記自車の運転者によって選択させることを特徴とする請求項12から請求項19のいずれか1項に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路と前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス流路とを接続し、この接続部に遮断弁を設置し、前記制御ステップでは前記水分除去動作を実施するときに前記遮断弁を開放することを特徴とする請求項12から請求項20のいずれか1項に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
- 前記燃料電池からの電力によって駆動されている負荷に対して電力を供給する電力供給手段を設置し、前記制御ステップでは前記水分除去動作を実施するときに前記燃料電池を停止させて前記電力供給手段から前記負荷に電力を供給することを特徴とする請求項12から請求項21のいずれか1項に記載の燃料電池システムの水分除去方法。
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