JP2007047649A - 掲示板用合板 - Google Patents

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宣彦 佐守
Kiyotaka Fujiwara
清孝 藤原
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Abstract

【課題】止め具を突き刺すための押圧力に対して全体が撓むおそれがなく、また、止め具の針が突き刺さっても、割れが生じるおそれがなく、しかも、止め具の針が突き刺さり易くかつ抜けにくい軽量かつ耐久性のある掲示板用合板を提供する。
【解決手段】掲示板用合板1はラワン単板より成る表層板2,3をファルカタ材より成る心板4の表裏両面にそれぞれ積層して形成されている。前記心板4は、2枚のファルカタ材41,42が重ねられて接着されている。2枚のファルカタ材41,42は繊維方向が交差するように重ねてもよく、繊維方向が一致するように重ねてもよい。
【選択図】図1

Description

この発明は、掲示物を画鋲などの針状の止め具で固定するための掲示板に関し、特にこの発明は、掲示板に用いられる掲示板用合板に関する。
従来、掲示板用合板として、ラワン単板を3層または5層に積層して成るラワン合板が用いられている。ラワン合板は、表面に節がなく平滑であり、湿気に対する寸法安定性や強度に優れ、しかも加工が容易であるなどの優れた特徴がある。しかし、ラワン原木の乱伐などによって、近年、ラワン合板が用いにくい状況下にある。
しかも、掲示板に画鋲などの止め具を突き刺したとき、ラワン合板が用いられた掲示板では、突き刺さった止め具の抜けに対する阻止力、すなわち、止め具の保持力が大きいという利点を有する反面、止め具の針が突き刺さりにくいという欠点がある。そのために止め具を掲示板に突き刺すのに大きな力が必要となり、また、力が余って止め具の針を変形させるなどの問題がある。
そこで、先般、ラワン合板に代えて、心板として発泡スチロールが用いられた掲示板用合板が提案された(例えば、特許文献1参照)。この掲示板用合板は、発泡スチロールより成る心板の表裏両面に表層板としてのベニヤ板がそれぞれ積層されたもので、従来のラワン合板より成る掲示板用合板より軽量であり、しかも、止め具の針が突き刺さり易いため、止め具を突き刺すのに大きな力を必要とせず、止め具の針が変形するおそれがない。
特開平6−51712号公報
しかしながら、心板である発泡スチロールは脆弱であって強度に劣り、止め具を突き刺すための押圧力が表層板に作用すると、発泡スチロールが押されて変形するため、合板全体が撓み、止め具を突き刺す作業が行いづらいものとなる。また、発泡スチロールは、止め具の針が突き刺さり易い反面、針が突き刺さったときに割れや破損が生じ易く、耐久性に欠け、しかも、止め具の保持力が小さいため、止め具が抜けて掲示物の脱落を招くという問題がある。
この発明は、上記問題に着目してなされたもので、止め具を突き刺すための押圧力に対して全体が撓むことがなく、また、止め具の針が突き刺さっても、割れなどが生じるおそれがなく、しかも、止め具の針が突き刺さり易くかつ抜けにくい軽量かつ耐久性のある掲示板用合板を提供することを目的とする。
この発明による掲示板用合板は、ラワン単板より成る表層板をファルカタ材またはビヌアン材より成る心板の表裏両面にそれぞれ積層して形成されて成るものである。
この発明の上記した構成において、表層板としてラワン単板を用いたのは、従来のラワン合板の節のない平滑なきめのよさを残すためであり、しかも、ラワン材に代わる掲示板に好適な材料が存在しないからである。例えば、パーティクルボードは、湿気に対する寸法安定性、曲げ強度、加工の容易性、軽量性などにおいてラワン材に及ばない。また、中質繊維板は、価格が高く、湿気に対する寸法安定性が悪い。さらに針葉樹は、節が多く、表面の平滑性が著しく劣る。このように、いずれの材料もラワン材の代替物とはなり得ない。
また、心板としてファルカタ材またはビヌアン材を用いたのは、これらの木材は成長の早い早生植林木であるため、安定した供給が可能であるからである。それに加えて、ファルカタやビヌアンの木質は軽軟であり、加工や乾燥が容易であるため、表層板としてのラワン単板と組み合わせて用いたとき、従来のラワン合板を用いた掲示板用合板や心板として発泡スチロールを用いた掲示板用合板より好ましい特性の掲示板用合板が得られるからである。すなわち、ファルカタ材やビヌアン材は、軟らかい材質であるので、止め具の針が突き刺さり易く、そのうえ、発泡スチロールのように、止め具を突き刺したとき、割れや破損が生じるおそれがない。しかも、止め具の保持力は、発泡スチロールのように小さ過ぎることはなく、保持力がきわめて大きい表層のラワン材との組み合わせによって、程良い保持力が得られる。
上記したラワン単板より成る表層板とファルカタ材またはビヌアン材より成る心板とは接着剤を用いて積層されるが、この場合、接着強度を保持するために、掲示板が使用される環境に応じて接着剤が選定される。例えば、常時湿潤状態にある場所で使用される場合はフェノール樹脂接着剤などが、断続的に湿潤状態の場所で使用される場合はメラミン樹脂接着剤などが、多少湿気のある場所で使用される場合はユリア樹脂接着剤などが、それぞれ使用される。
前記心板は、1枚のファルカタ材またはビヌアン材で構成してもよいが、好ましい実施態様においては、2枚のファルカタ材またはビヌアン材を重ねかつ接着して構成する。
ファルカタ材やビヌアン材は軟質であるため、心板を1枚のファルカタ材またはビヌアン材で構成すると、心板の反りの発生を抑制することができず、表層板との間に剥離が生じるおそれがある。これに対して、心板として2枚のファルカタ材またはビヌアン材を重ねて接着したものを用いると、接着剤の層が中間に介在することでファルカタ材やビヌアン材の強度を高められ、反りに対する応力も高められる。特に、ファルカタは凹凸が多いため、心板を1枚の厚いファルカタ材で構成すると、凹凸が目立って表層板の表面に浮き出るおそれがあるが、これを2枚のファルカタ材で構成すれば、凹凸が目立たず、表層板の表面に浮き出るのを抑制できる。
一方、心板を3枚以上のファルカタ材またはビヌアン材で構成すると、接着剤の影響が大きくなり、心板全体が硬いものとなり、止め具の針が突き刺さりにくくなる。
なお、2枚のファルカタ材またはビヌアン材の接着には、表層板と心板との接着に用いる接着剤を用いるが、異なるものを用いてもよい。
好ましい一実施態様においては、前記心板は、2枚のファルカタ材またはビヌアン材を繊維方向が交差するように重ねて形成される。また、他の好ましい実施態様においては、2枚のファルカタ材またはビヌアン材を繊維方向が一致するように重ねて形成される。
ここで、「繊維方向が交差する」とは、換言すれば、木目が直交することであり、「繊維方向が一致する」とは、換言すれば、木目が揃うことである。
2枚のファルカタ材またはビヌアン材を繊維方向が交差するように重ねると、繊維方向に直交する方向における曲げ強度が高められ、心板の方向性を低減させることができる。
この発明によれば、心板としてファルカタ材またはビヌアン材を用いたから、従来の発砲スチロールを用いた合板のように、心板が割れたり破損したりするようなことはなく、耐久性を向上できる。また、従来のラワン合板を用いたものと比較して、止め具が突き刺さり易く、そのうえ、適度な固さと適度な保持力とがあり、止め具が抜けて掲示物が脱落することもない。
また、止め具を突き刺すための押圧力に対して合板全体が撓むようなことがなく、止め具を突き刺す作業を円滑に行い得る。
さらに、表層板としてラワン単板を用いているから、従来のラワン合板の節のない平滑なきめのよさを残すことができ、しかも、ラワン合板で構成されたものと比較して、軽量である。加えて、心板のファルカタ材やビヌアン材は成長の早い早生植林木であるから、安定した供給が可能である。
図1および図2は、この発明の一実施例である掲示板用合板1の積層構造を示す。
図示例の掲示板用合板1は、学校などの各種施設において、主として屋内に設置される掲示板を製作するのに用いられるが、これに限らず、屋外に設置される各種の掲示板用にも用いることができる。
図示例の掲示板用合板1は、ラワン単板より成る2枚の表層板2,3をファルカタ材より成る心板4の表裏両面にそれぞれ積層しかつ接着剤により接着して一体化されたものである。なお、前記心板4は、ファルカタ材に代えてビヌアン材を用いることもできる。この実施例では、前記心板4は、2枚のファルカタ材41,42を繊維方向が一致するように、すなわち、木目が揃うように、上下に重ねかつ接着して形成されている。各表層板2,3と各ファルカタ材41,42とは繊維方向が交差するように積層されている。
なお、図1において、5は接着剤であり、掲示板の使用環境に応じて最適なものを1種または2種以上を組み合わせて用いる。
上記した4層構造の掲示板用合板1は、具体的には、全体の厚みが5.5mmに設定されている。この場合、各表層板2,3の厚みはそれぞれ0.65mmに、各ファルカタ材41,42の厚みはそれぞれ2.1mmに、それぞれ設定されている。なお、各層の厚みは、製作する掲示板の大きさなどに応じて変更される。
なお、掲示板の製作に際しては、上記した掲示板用合板1の表層板2,3の一方の表面に、例えば、オレフィン類を原料とする表地シート7を貼付してもよい。
上記した構成の掲示板用合板1を製作するには、表層板2,3を構成する2枚のラワン単板と、心板4を構成する2枚のファルカタ材41,42とを用意してそれぞれ乾燥した後、2枚のファルカタ材41,42を繊維方向が一致するように積層し、両者を接着剤5により接着する。なお、2枚のファルカタ材41,42は図3に示すように繊維方向が交差するように積層して接着してもよい。
さらに、表層板2,3を構成する各ラワン単板は、各ファルカタ材41,42と繊維方向が交差するように積層して接着剤5により接着する。この場合、表層板2,3同士には繊維方向が一致する。
なお、2枚のファルカタ材41,42を繊維方向が交差するように積層する場合には、一方の表層板2を構成するラワン単板と一方のファルカタ材41とは繊維方向が交差するように積層し、他方の表層板3を構成するラワン単板と他方のファルカタ材42とは繊維方向が交差するように積層するか、または、繊維方向が一致するように積層する。前者の場合は表層板2,3同士は繊維方向が交差するが、後者の場合は表層板2,3同士は繊維方向が一致することになる。
つぎに、接着した合板1を一定時間だけ常温で仮圧締した後、所定の温度下で所定の圧力を作用させることにより接着剤5を熱硬化させる。その後、合板を所定の寸法に裁断し、合板の表面を平滑に研磨する。
上記した構成の掲示板用合板1に画鋲のような止め具6の針を突き刺すと、表層板2はラワン単板で構成されているので、最初は適当な固さがあって指先に抵抗を感じるが、針先が表層板2を貫通して心板4に達したとき、心板4のファルカタ材41,42は軽軟であるから、止め具6の針は心板4に容易に突き刺さる。この場合、押圧力によって合板全体が撓むことがなく、また、止め具6の針が心板4に突き刺さることによって心板4が割れることもなく、止め具6を突き刺す作業を円滑に行い得る。突き刺した後は、止め具6は表層板2や心板4により保持され、止め具6が抜けて掲示物が脱落することがない。
この発明の一実施例である掲示板用合板の積層構造を示す断面図である。 図1の実施例の積層構造を示す分解斜視図である。 他の積層構造を示す分解斜視図である。
符号の説明
1 掲示板用合板
2,3 表層板
4 心板
41,42 ファルカタ材
5 接着剤

Claims (4)

  1. ラワン単板より成る表層板をファルカタ材またはビヌアン材より成る心板の表裏両面にそれぞれ積層して形成されて成る掲示板用合板。
  2. 前記心板は、2枚のファルカタ材またはビヌアン材を重ねて接着されたものである請求項1に記載された掲示板用合板。
  3. 前記心板は、2枚のファルカタ材またはビヌアン材を繊維方向が交差するように重ねられたものである請求項1または2に記載された掲示板用合板。
  4. 前記心板は、2枚のファルカタ材またはビヌアン材を繊維方向が一致するように重ねられたものである請求項1または2に記載された掲示板用合板。
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