JP2007047595A - 再帰性反射シート - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた再帰性反射性能の持続性を示す再帰性反射シートの提供。
【解決手段】表面保護層と反射素子層から構成される再帰性反射シートの表面保護層に、非共役二重結合を有する単官能性単量体100重量部に対して特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体0.01〜20重量部を共重合したアクリル系樹脂組成物から得られるフィルムを被覆し、反射素子層に再帰性反射特性を有するビーズあるいはプリズム形状を有する反射素子で構成する。
【選択図】なし

Description

優れた再帰性反射性能の持続性を有した再帰性反射シートに関する。
再帰性反射シートは最表面に存在する表面保護層と反射素子層で形成されたものであり、この表面保護層は再帰性反射性能の持続性に大きな影響を与える。例えば、紫外線による着色、変色あるいは化学分解反応等の反射レンズのひずみ変形、さらに表面保護層のクラック発生等による光の散乱が考えられる。再帰性反射シートを交通標識で使用すると、屋外での紫外線照射等による樹脂フィルムの分解及び着色などが原因となり、再帰性反射係数(輝度値)が極端に低下する。
そのため、表面保護層として透明性の高いアクリルフィルム中に紫外線吸収剤を添加することが行なわれているが、一般の紫外線吸収剤はアクリル樹脂との相溶性が悪く、低分子量であるため、押出成形時にその一部が揮発して紫外線遮蔽性能が発揮できず、また、長期使用時にアクリル樹脂組成物から飛散するため、紫外線遮蔽性能が経時的に低下する問題を抱えている。これらの問題点を解決するために、特定の紫外線吸収剤を選定し添加する方法が一般的に知られており、例えば、特定の紫外線吸収剤を単に添加する方法が開示されているが(特許文献1)、この方法では、得られたフィルムは、屋外暴露時に添加している紫外線吸収剤が溶出(ブリードアウト)するため、紫外線遮蔽性能が低下するの問題が解決できていなかった。
特開昭55−55891号
本発明は、優れた再帰性反射性能の持続性を有した再帰性反射シートを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、表面保護層に特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体を共重合したアクリル樹脂組成物から得られるフィルムを被覆し、ビーズあるいはプリズム形状を有する反射素子層からなる再帰反射性シートが、優れた再帰性反射性能の持続性を示す本発明に至った。
すなわち、本発明は、表面保護層と反射素子層で構成された再帰性反射シートであり、この表面保護層は非共役二重結合を有する単官能性単量体100重量部に対して、一般式(1)で示す単量体0.01〜20重量部を共重合してなるアクリル樹脂組成物(C)である。
Figure 2007047595
(式中、XはHまたはハロゲン、R1はH、メチルまたは炭素数4〜6のt−アルキル基、R2は直鎖または枝分かれ鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基、R3はHまたはメチルである。)
アクリル樹脂組成物(C)は、アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)、次いでアクリルエステル重合体(A)である2段2層構造重合体であり、アクリル樹脂組成物(C)のアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%である。
アクリルエステル重合体(A)をアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるアクリル樹脂組成物(C)であって、アクリルエステル重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル50〜0重量%を含む単量体混合物および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合することにより得られるものである。
反射素子層はビーズあるいはプリズム形状であるレンズを樹脂フィルムに配置させたものであり、ビーズ形状のレンズは球状の樹脂及び、ガラス等から選ばれる反射レンズ、プリズム形状のレンズは三角錐、三角錐台、四角錐、四角錐台等から選ばれる形状である樹脂、ガラス等から選ばれる反射レンズである。
表面保護層、反射素子層あるいは支持樹脂シートの樹脂フィルムが、チオキサンテン系、クマリン系、ペリレン系、メチン系、ベンゾピラン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系等の有機染料、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料を添加されてなる再帰性反射シートである。
本発明の再帰反射性シートは、優れた再帰性反射性能の持続性を示すものである。
本発明の再帰性反射シートは、シートに照射された光を照射された方向に再帰させる特性を有したシートであり、反射素子層のレンズには、ビーズあるいはプリズム形状のレンズを使用したものがある。このシートの再帰性性能は、反射素子層のレンズ特性及び表面保護層の表面平滑性等に大きく影響される。
発明者らは、表面保護層に特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体を共重合したアクリル樹脂組成物(C)から得られるフィルムを被覆することによって、再帰性反射シートの表面保護層の表面平滑性及び反射素子層のレンズ特性の耐候劣化を抑制できることを見出した。本発明において用いられるアクリル樹脂組成物(C)は、一般式(1)で示す紫外線吸収性能を有する単量体を共重合してなるアクリル樹脂組成物である。
Figure 2007047595
(式中、XはHまたはハロゲン、R1はH、メチルまたは炭素数4〜6のt−アルキル基、R2は直鎖または枝分かれ鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基、R3はHまたはメチルである。)
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤は、具体的には、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール類であり、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチル−3’−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらのうちでも、より好ましくは、コストおよび取り扱い性から、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤の共重合比率は、アクリル樹脂組成物(C)100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、0.01〜15重量部がより好ましく、0.01〜10重量部がさらに好ましく、0.05〜5重量部が特に好ましく、0.01〜20重量部の範囲ではフィルムの耐候性と乳化重合のバランスが良好な傾向にある。 アクリル樹脂組成物(C)は、アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)、次いでアクリルエステル重合体(A)である2段2層構造重合体であり、アクリル樹脂組成物(C)のアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%であることが好ましい。
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤の共重合は、アクリル樹脂組成物(C)のいずれの層において共重合されていても構わないが、アクリルエステル共重合体(A)ばかりではなく、アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)に共重合されていることが好ましく、紫外線吸収剤はアクリル樹脂組成物(C)全体に均一に共重合されることがより好ましい。
本発明における表面保護層のアクリル樹脂組成(C)におけるアクリルエステル重合体(A)は、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を少なくとも1段以上で重合させてなるものであるが好ましい。より好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル60〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜40重量%である。アクリル酸アルキルエステルが0〜40重量%の範囲では、得られるアクリル樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐熱性および硬度が良好な範囲にある。
本発明におけるアクリルエステル重合体(A)を構成するメタクリル酸アルキルエステルは、重合反応性やコストの点からアルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましく、直鎖状でも分岐状でもよい。その具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等があげられ、これらの単量体は1種または2種以上が併用されてもよい。
本発明におけるアクリルエステル重合体(A)を構成するアクリル酸アルキルエステルは、重合反応性やコストの点からアルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましく、直鎖状でも分岐状でもよい。その具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等があげられ、これらの単量体は1種または2種以上が併用されてもよい。
また、本発明のアクリルエステル重合体(A)においては、必要に応じて、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルに対し共重合可能なエチレン系不飽和単量体を共重合してもかまわない。これらの共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル誘導体、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸およびその塩、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体、メタクリル酸、メアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸カルシウム等のメタクリル酸およびその塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられ、これらの単量体は2種以上が併用されてもよい。
本発明において用いられるアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)は、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル50〜0重量%を含む単量体混合物(b)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体からなる混合物を少なくとも1段以上で共重合させてなるものである。単量体混合物(b)は、より好ましくは、アクリル酸アルキルエステル60〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル40〜0重量%である。
また、本発明のアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)においては、必要に応じて、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルと共重合可能なエチレン系不飽和単量体を共重合してもかまわない。
本発明におけるアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)は、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体が共重合されているため、得られる重合体が架橋弾性を示す。また、アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の重合時に反応せずに残った一方の反応性官能基(二重結合)がグラフト交叉点となって、一定割合のアクリルエステル共重合体(A)が、アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)にグラフト化される。このことにより、アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)が、アクリルエステル共重合体(A)中に不連続かつ均一に分散することが好ましい。
本発明において用いられる多官能性単量体としては、アリルメタクリレ−ト、アリルアクリレ−ト、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルフタレ−ト、ジアリルマレ−ト、ジビニルアジペ−ト、ジビニルベンゼンエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ジビニルベンゼンエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラメタクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラアクリレ−ト、ジプロピレングリコ−ルジメタクリレ−トおよびジプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト等があげられ、これらは2種以上が併用されてもよい。
本発明のアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)における多官能性単量体の添加量は、前記単量体混合物(b)100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましく、耐衝撃性および耐折曲げ割れ性が良好となる傾向にある。
本発明のアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)で用いられるアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよび、これらと共重合可能なエチレン系不飽和単量体の具体例は、前記アクリルエステル重合体(A)に使用したものがあげられる。
本発明において用いられるアクリル樹脂組成物(C)は、アクリルエステル重合体(A)をアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られる2層構造重合体が好ましい。これに対し、例えば、アクリルエステル重合体(A)、アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)さらに、アクリルエステル重合体(A)と順次段階的に重合するような3層構造重合体では、得られるアクリル樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐折曲げ割れ性が低下する傾向にある。
本発明におけるアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の含有量は、アクリル樹脂組成物(C)全体を100重量%とした場合に、5〜45重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、15〜35重量%がさらに好ましく、5〜45重量%で得られるアクリル樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性および耐折曲げ割れ性が良好となる。
本発明におけるアクリル樹脂組成物(C)の製造方法は特に限定されず、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法または溶液重合法が適用可能であるが、乳化重合法が特に好ましい。
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤の共重合方法も特に限定されず、アクリル樹脂組成物(C)の製造中に共重合することが好ましい。共重合方法としては、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法または溶液重合法が適用可能であるが、乳化重合法が特に好ましい。
本発明のアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の重合における開始剤としては、公知の有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ化合物などの開始剤を使用することができる。具体的には、例えば、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパ−オキサイド、スクシン酸パ−オキサイド、パ−オキシマレイン酸t−ブチルエステル、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物や、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの開始剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、ヒドロキシアセトン酸、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウムの錯体なとの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使用してもよい。好ましくは、クメンハイドロパーオキサイドである。
前記有機系過酸化物は、重合系にそのまま添加する方法、単量体に混合して添加する方法、乳化剤水溶液に分散させて添加する方法など、公知の添加法で添加することができるが、透明性の点から、単量体に混合して添加する方法あるいは乳化剤水溶液に分散させて添加する方法が好ましい。
また、前記有機系過酸化物は、重合安定性、粒子径制御の点から、2価の鉄塩等の無機系還元剤および/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ソ−ダ、還元糖、アスコルビン酸等の有機系還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤として使用するのが好ましい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。具体的には、例えばアルキルスルフォン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノ−ル類、脂肪族アルコ−ル類とプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤等が示される。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に要すれば、アルキルアミン塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
本発明における得られたアクリル樹脂組成物(C)ラテックスの平均粒子径は、1000Å以上4000Å以下が好ましく、1000Å以上3500Å以下がより好ましく、1000Å以上2000Å以下がさらに好ましく、1000Å以上4000Å以下で得られるアクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性、耐折曲げ割れ性と透明性のバランスが良好となる傾向にある。
得られたアクリル樹脂組成物(C)ラテックスは、通常の凝固、洗浄および乾燥の操作により、または、スプレ−乾燥、凍結乾燥などによる処理により、樹脂組成物が分離、回収される。
本発明で得られるアクリル樹脂組成物(C)は、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形などの各種プラスチック加工法によって様々な成形品に加工できる。
本発明のアクリル樹脂組成物(C)は、特にフィルムとして有用であり、例えば、通常の溶融押出法であるインフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、更には溶剤キャスト法等により良好に加工される。また、必要に応じて、フィルムを成形する際、フィルム両面をロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、特にガラス転移温度以上の温度に加熱したロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、表面性のより優れたフィルムを得ることも可能である。また、目的に応じて、フィルムの積層成形や、二軸延伸によるフィルムの改質も可能である。
また、本発明のアクリル樹脂組成物(C)には、必要に応じて、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸ポリマー、ラクトン環化メタクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等を配合することも可能である。ブレンドの方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明のアクリル樹脂組成物(C)には、着色のために無機系顔料または有機系染料を、熱や光に対する安定性を更に向上させるために抗酸化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを、あるいは、抗菌、脱臭剤、滑剤等を、単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物(C)から得られるフィルムの厚みは、10〜400μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、10〜400μmではフィルムの加工性および透明性が良好となる傾向にある。
本発明の表面保護層は、最表面がアクリル樹脂組成物(C)フィルムであれば良く、その他の樹脂フィルムを積層しても構わない。
本発明の再帰性反射シートは再帰性反射素子面と表面保護層から構成されおり、再帰性反射素子にビーズあるいはプリズム形状を使用した2タイプがある。
再帰性反射素子がビーズ形状であるガラスビースをレンズに使用した再帰性反射シートについて説明する。ガラスビーズタイプの再帰性高輝度反射シートの製造方法を以下、図面を用いて本発明の態様を具体的に説明する。 図1〜図7は本発明の一態様の工程を示すものであり、これに限定されるものではない。図1に示す通り、ポリエステルフィルム8上にラミネートされたポリエチレンのガラス球仮固着層7の表面に透明のガラス球2を複数平面上に埋め込む。ポリエチレンラミネートフィルム(ガラス球仮固着層7及びポリエステルフィルム8)を加熱しポリエチレンを軟化させ、上記ガラス球2を埋め込む。このガラス球2は、粒子径約5〜200μmであり、約1.8〜2.1の屈折率を持つ微粒子である。とりわけガラス球2として好適なものは、約1.9〜1.95(特に好適なものは1.92〜1.93)の屈折率を持ち、粒子径が約20〜90μm(特に好適なものは40〜80μm)程度のものである。
次に上記ガラス球仮固着層7の表面から露出するガラス球2の半球面に金属反射膜3を蒸着法により形成する。この蒸着は、ガラス球仮固着層7の表面全面に行なわれる。そして後述するガラス球仮固着層7の表面ガラス球2以外の部分へ蒸着した金属反射膜3は、そのままガラス球仮固着層7の表面に残り、ガラス球2と共に支持樹脂シート4へ移されるのである。上記反射膜3としては、アルミニウム反射膜が好適であり、又金、銀、銅、ニッケル、クロム等の他の金属によって形成されるものであっても実施可能である。
次のステップとして、プライマー層5が存在するものと、しないものの2種類の構造を有する反射シートの製造方法があり、プライマー層5がある場合はプライマー層の裏面に、プライマー層5がない場合は支持樹脂シートの裏面に粘着剤が積層される。ガラス球仮固着層のガラスビーズを転写埋設させる支持樹脂フィルムのガラスビーズ転写性能の調整のため、支持樹脂シートに高分子または低分子可塑剤等を使用する場合がある。それら可塑剤等は経時的に粘着剤と支持樹脂シートとの界面または粘着剤層に移行して当該粘着剤の性能を低下させる。すなわち、粘着剤と支持樹脂シートの界面接着力の低下、粘着剤の基板への接着性能の低下等がおこる。この問題点を解消するため、すなわち支持樹脂シートから粘着剤層への可塑剤等の移行を防止するためにプライマーが積層されることがある。
前記のプライマー層5があるタイプは、前記した官能基を有する樹脂、又はそれらの樹脂およびそれらの樹脂の官能基と反応する官能基を持った硬化剤の中より、支持樹脂シートと層間接着性に優れる樹脂をプライマー層5用の樹脂として選択する。そして別途準備されたポリエステルフィルム6上にそれらのプライマー層5用として選択された樹脂溶液をコートして、熱風乾燥機を使用して乾燥を行なう。この時のプライマー層5の膜厚は3μm〜100μm好ましくは6μm〜50μmが好適であり、3μm〜100μmの範囲では可塑剤等の移行防止の効果及び反射シートの貼り付け等の作業性が良好な傾向にある。
次に、上記で作成されたプライマー層5の上方に、約10〜200μm、好ましくは約20〜100μmの一定の厚さを有する支持樹脂シート4を作製する。この支持樹脂シート4に使用することができる樹脂は前記した官能基を有する樹脂が好適である。
前記のプライマー層5のないタイプは、上記した再帰性反射シートの製造方法において、プライマー層作製の工程を省略して実施することができる。次に図3に示す通り、前記のような支持樹脂シート4をガラス球仮固着層7の表面に沿わす。そして図4に示すように、支持樹脂シート4をガラス球仮固着層7の表面へ押圧する。この押圧は、ガラス球2の金属反射膜3を蒸着した半球面が支持樹脂シート4内に埋設するよう行なう。この時、支持樹脂シート4のガラス球2の固着力を上げる為には、さらに支持樹脂シート4へのカップリング剤等の添加が効果的である。そして、図5に示すように、支持樹脂シート4表面から、ポリエステルフィルム8と共にガラス球仮固着層7を剥がす。このとき図5に示す通りガラス球2は、支持樹脂シート4に残り、支持樹脂シート4によって半球が埋没された状態に保持される。その後、常温で反応が進行する硬化形態(例えばイソシアネート硬化等)をプライマー及び/又は支持樹脂シートに適用した場合には、次工程の加熱成形加工時の結合部の性能のバラツキをなくしたり、その後の自立形態の安定化を計る為に20〜40℃の環境でエージング処理を行ない実質的に反応を終結しておく必要がある。又ガラス球と支持樹脂シートの固着性を向上させるために120〜150℃での熱処理工程も効果的である。図6に示した状態に形成された支持樹脂シート4表面を透明な表面保護層1で覆う。この表面保護層1を熱可塑性樹脂に採用することにより支持樹脂シート4との熱融着が良好に行なえる。熱融着適性の低い樹脂、例えば一部の熱硬化性樹脂やフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等は熱融着適性の必要な面について、熱融着適性の優れた樹脂との積層構造を採ることにより、実用上何ら問題なく表面保護層1として使用することが可能である。この表面保護層1と支持樹脂シート4を構成する樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂およびセルロース系樹脂からなる群より選ばれた1種または2種以上混合してなる樹脂を用いることができる。表面保護層1と支持樹脂シート4の樹脂フィルムを構成する樹脂中には、必要に応じて、耐候性を向上させる目的で、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系およびトリアジン系から選ばれる紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系から選ばれる光安定剤を、熱安定性を向上させる目的でフェノール系、フォスファイト系の酸化防止剤を、また、成形性を改良させる目的でモンタン酸エステル、ステアリン酸金属塩等の滑剤を添加してもよい。表面保護層1と支持樹脂シート4の樹脂フィルムを構成する樹脂中には、着色の目的で必要に応じ、チオキサンテン系、クマリン系、ペリレン系、メチン系、ベンゾピラン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系等の有機染料やフタロシアニン等の有機顔料を添加することができる。表面に表面保護層1が配された支持樹脂シート4の裏面ポリエステルフィルム側6より、柄付きエンボスロール9で加熱圧着成形を行なう(図7)。この加熱圧着の手段として、ロール表面温度が150〜240℃好ましくは170〜220℃の加熱ロールを通過させるのが好適である。150℃未満の温度で加熱成形が可能で、表面フィルムとの接着性が発現する支持樹脂シートは長期間のシートの自立形態を保持できず好ましくない。また、240℃を越えて加熱成形が可能な支持樹脂シートは、加熱成形加工を実施する時の保護フィルムとしてのポリエステルフィルムが溶融する等の加熱成形時の作業性低下を引き起こして好ましくない。加熱成形加工の後に裏面ポリエステルフィルム6は剥離され、離型加工された紙、フィルム等に皮膜化された粘着剤、接着剤と貼り合わせて再帰性高輝度反射シートは完成される。本発明のビーズは、互いに屈折率の異なる2種類以上の透明微小球を組み合わせて使用することもできるし、あるいは、互いに直径の異なる2種類以上の透明微小球を組み合わせて使用することもできる。また、透明微小球を、光透過性を保ちつつ着色材により着色することにより、入射光と異なる色に着色された反射光を得る様にすることもできる。
再帰性反射素子がプリズム形状である再帰性反射シートについて説明する。このプリズム形状をした再帰性反射要素には三角錐、三角錐台、四角錐、四角錐台等があり、特に、三角錐台プリズム形状が好適であり、この三角錐台プリズム形状の再帰性反射シートについて説明する。図10において、三角錐台型プリズムの好適な構造例の一態様を示す。図10において、12は三角錐台型マイクロプリズム(再帰性反射素子)が一方の面に最密充填状に配置された反射素子層、11は反射素子を含有する反射素子含有層(プリズムシート)である。反射素子層12および反射素子含有層11は通常一体であるが、別々の層を積層しても構わない。本発明における再帰性反射シートには、使用目的、使用環境に応じて、汚染や傷、光や熱による劣化などの物理的または化学的な損傷から防護するための表面保護層10および、反射素子(三角錐台プリズム)層の背面に空気の密封封入構造を達成するための裏打ちシート(裏打ちフィルム)13を設けることができる。本発明における再帰性反射シートには、さらに、裏打ちシート(裏打ちフィルム)13の外側に、該再帰性反射シートを他の構造体に貼付するために用いる接着剤層および剥離剤層も設けることができる。再帰性反射シートにおける裏打ちフィルム(裏打ちシート)13は、裏打ちフィルム(裏打ちシート)上にエンボス加工により部分的に設けられた凸状支持部14において、反射素子層を有するフィルム(反射素子含有層)11面上に接着されることにより、反射素子(三角錐台プリズム)層12の背面に空気を密封封入させた複数の気密室を形成することができる。反射素子(三角錐台プリズム)の側面(傾斜面)と空気との界面を確保することにより、マイクロプリズムでの総内部反射条件を満足することができ、再帰性反射を向上させることができる。
本発明の再帰性反射シートの裏打ちフィルム13に用いられる樹脂も、プリズムシート11に用いた樹脂と同一でも異なるものでもよい。
本発明の再帰性反射シートの裏打ちシート13と反射素子含有層11との接着方法は特に限定されない。それ自身公知の熱融着性樹脂接合法、熱硬化樹脂接合法、紫外線硬化性樹脂接合法、電子線硬化性樹脂接合法などが挙げられる。
一般に、反射素子層12と凸状支持部14が接着される箇所においては、マイクロプリズムでの総内部反射条件を満足することができず、得られる再帰性反射シートの再帰反射性は低下することが知られている。
本発明の三角錐台型プリズム再帰性反射シートは、先端部が三角錐型プリズムのようにシャープではないために、三角錐型プリズムでの、プリズム形状を付与された樹脂フィルム(樹脂シート)の保管中、または、裏打ちシートとの接着時に、先端部が擦れ、プリズム形状が変化し、再帰反射性にばらつきを生じさせるという問題点を軽減することが可能である。
本発明の再帰性反射シートの裏打ちシート13と反射素子含有層11との接着方法は特に限定されない。それ自身公知の熱融着性樹脂接合法、熱硬化樹脂接合法、紫外線硬化性樹脂接合法、電子線硬化性樹脂接合法などが挙げられる。
本発明の三角錐台は、三角形である下底面(b)および下底面を共有する3つの側面(傾斜面)を有する三角錐(以下、仮想三角錐と称する)を平面(上底面(c))で切り、上側の三角錐(以下、仮想三角錐の上部と称する場合がある)を取り除いてできる多面体である、上底面(c)、下底面(b)および3つの側面(傾斜面)を有するものである。
本発明の三角錐台の形状のうち、下底面(b)は、一辺の長さ(a)が50〜500μmであり、好ましくは60〜500μmであり、さらに好ましくは100〜300μmであり、かつ、最長の辺と最短の辺との差が200μm以下、好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である三角形が好ましい。
本発明の下底面(b)である三角形の一辺の長さ(a)が50μm以上500μmの場合は、プリズムの加工性、入射角特性、再帰反射性のバランスがとれるため、好ましい。また、下底面(b)である三角形の3辺のうち、最長の辺と最短の辺との差が200μm以下であれば、入射角特性が良好になる傾向にある。
下底面(b)の三角形においては、方向特性の観点から、3辺の長さは互いに異なる方が好ましい。
本発明の三角錐台における仮想三角錐は、最長の稜線(d)の長さが20〜400μmであり、好ましくは50〜400μmであり、さらに好ましくは80〜200μmであり、かつ、3本の稜線のうち、最長の稜線と最短の稜線との差が、100μm以下であり、好ましくは90μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下である三角錐が好ましい。
本発明の仮想三角錐における最長の稜線(d)の長さが、20〜400μmの場合、入射角特性や再帰反射性が良好な傾向にある。仮想三角錐における3本の稜線のうち、最長の稜線と最短の稜線の差が100μm以下の場合は、入射角特性や再帰反射性が良好な傾向にある。
本発明の三角錐台の上底面(c)は、仮想三角錐の上部を切り取る平面であり、仮想三角錐の3本の稜線との交点を結ぶ三角形である。
本発明の三角錐台においては、下底面(b)から垂線を引き、上底面(c)に対し、仮想三角錐の3本の稜線との各交点と交わる3本の線の中で、最も長い線の長さ(e)(以下、上底面(c)と下底面(d)との最長距離(e)という)は20〜250μmであり、好ましくは50〜200μmであり、さらに好ましくは70〜150μmである。
本発明の上底面(b)と下底面(c)との最長距離(e)が、20〜250μmの場合、再帰反射性が良好な傾向にある。
本発明の三角錐台における上底面(c)は、下底面(b)に対して平行であることが好ましい。三角錐台の上底面(c)が下底面に対して平行であることにより、正面からの光線(小さい入射角の光線)に対する上底面(c)での鏡面反射による正面再帰性を向上できる。また、裏打ちフィルムとの接着の際にマイクロプリズムの総内部反射条件を損なわず再帰性反射の低下を防止することができる。さらに、プリズム加工を施す際の加工性も向上される。ただし、本発明の上底面(c)は、下底面(b)に対して僅かに傾いていても構わない。
一般に、三角錐台の上底面(c)が下底面(b)に対して平行である場合、上底面(c)の三角形は、下底面(b)の三角形に対して相似形となる。この際、底面(c)の三角形と下底面(b)の三角形の面積比は、仮想三角錐の上部の高さと仮想三角錐の頂点からの想定高さとの比の2乗に比例することが知られている。なお、上底面(c)が下底面(b)と平行な三角錐台においては、上底面(c)と下底面(d)の最長距離(e)は、仮想三角錐の頂点からの想定高さから、仮想三角錐の上部の高さを差し引いた値である。
本発明の三角錐台においては、三角錐台の上底面(c)の面積が、下底面(b)の面積の1/100〜1/16であることが好ましく、1/80〜1/25であることがより好ましく、基材との密着性と再帰性反射性の両立が良好になる傾向である。
本発明の三角錐台の稜線と稜線の成す角度(f)は、89〜91°であり、好ましくは89.5〜90.5°であり、さらに好ましくは89.8〜90.2°であり、最も好ましくは89.95〜90.05°であり、89〜91°の範囲では再帰反射性が良好な傾向にある。
本発明の三角錐台プリズムの大きさは、全て統一されていても、大小が混合していても、構わない。
本発明の三角錐台型再帰性反射シートは、一般に、三角錐台型マイクロプリズムが反転された凹形状として金属製金型上に最密充填状に配置された成形用金型(雌型)を用い、柔軟でかつ光学的透明性に優れた樹脂シート(樹脂フィルム)に転写されることにより、該金型の形状を樹脂シート(樹脂フィルム)上に付与させて製造することができる。
三角錐台プリズムを付与させる樹脂シート(樹脂フィルム)は、厚みが20〜500μmであり、好ましくは50〜300μmであり、さらに好ましくは100〜200μmであり、かつ、全光線透過率が20%以上であり、好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。
樹脂シート(樹脂フィルム)の厚みが20μm未満の場合は、プリズム形状を付与する際、ピンホール等の欠陥が発生しやすい傾向があり、500μmを超える場合は、再帰性が低下する傾向がある。また、樹脂シート(樹脂フィルム)の全光線透過率が20%を超えるの場合は、再帰性が向上する傾向にある。
三角錐台プリズムを付与させる反射素子層の樹脂シート(樹脂フィルム)を構成する樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂およびセルロース系樹脂からなる群より選ばれた1種または2種以上混合してなる樹脂を用いることができる。
表面保護層と反射素子層の樹脂フィルムを構成する樹脂中には、必要に応じて、耐候性を向上させる目的で、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系およびトリアジン系から選ばれる紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系から選ばれる光安定剤を、熱安定性を向上させる目的でフェノール系、フォスファイト系の酸化防止剤を、また、成形性を改良させる目的でモンタン酸エステル、ステアリン酸金属塩等の滑剤を添加してもよい。
表面保護層と反射素子層の樹脂フィルムを構成する樹脂中には、着色の目的で必要に応じ、チオキサンテン系、クマリン系、ペリレン系、メチン系、ベンゾピラン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系等の有機染料やフタロシアニン等の有機顔料を添加することができる。
三角錐台型プリズムが反転された凹形状として金属製金型上に最密充填状に配置された成形用金型(雌型)の製造方法は、例えば、以下のような方法を採用することができる。具体的には、表面を平坦に研削された銅などの金属材料である基材の上に、想定三角錐形状から計算される先端角度を有する超硬質のバイト(例えば、ダイアモンドバイト、タングステンカーバイド製バイト等)を用いて、目的の仮想三角錐形状に即して、それぞれの方向の繰り返しピッチ(a1、a2、a3)および溝の深さ(仮想三角錐の高さ)並びに相互の辺のなす角度に従って、断面形状がV字型の平行溝を切削することにより得られる三角錐の上部を、上底面(c)と下底面(d)との距離が所定の高さとなるように切り取ることにより、凸状の微小な三角錐台が最密充填状に配置された雄型金型を作製する。次いで、得られた雄型金型を用いて、電鋳法によりニッケル製の形状が反転された凹形状の雌型金型を作製する。
本発明の反射素子(三角錐台プリズム)を樹脂シート(樹脂フィルム)に転写させる方法は特に限定されない。上記金型を加熱しプレスする方法、金型をロール又はベルト上に形成し、シートを送りながら、転写させる方法など、公知の方法を採用することができる。
以上のように、本発明の表面保護層に特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体を共重合したアクリル樹脂組成物から得られるフィルムを被覆し、ビーズあるいはプリズム形状を有する反射素子層からなる再帰反射性シートは、優れた再帰性反射性能の持続性を示すものである。そのため、本発明の再帰性反射シートは、道路標識、工事標識等の標識類、自動車やオートバイ等の車輛のナンバープレートや追突防止板類、衣料、救命具等の安全資材類に好適に使用されうる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
なお、以下の実施例および比較例で測定した物性の各測定方法は次のとおりである。
(重合転化率の評価)
得られたアクリル樹脂組成物(C)ラテックスを、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、100×固形成分量/仕込み単量体(%)により重合転化率(%)を算出した。
(ラテックスの平均粒子径の評価)
得られたアクリル樹脂組成物(C)ラテックスを固形分濃度0.02%に希釈したものを試料として、温度23℃±2℃、湿度50%±5%にて、分光光度計(HITACHI製、Spectrophotometer U−2000)を用いて546nmの波長での光線透過率より、平均粒子径を求めた。
(透明性の評価)
得られたフィルムの透明性は、JIS K6714に準じて、温度23℃±2℃、湿度50%±5%にてヘイズを測定した。
(鉛筆硬度の評価)
得られたフィルムの鉛筆硬度を、JIS S−1005に準じて測定した。
(耐折曲げ割れ性の評価)
得られたフィルムを1回180度折り曲げて、折り曲げ部の変化を目視で評価した。
○:割れが認められない。
×:割れが認められる。
(評価方法)
<再帰性反射係数の算出>
実施例および比較例で得られたプリズムシートを用い、下記の条件に基づき、再帰反射性等を評価した。
JIS Z8714に準拠し、図5に示す配置図にて次の各項目を測定し、式1および式2に従い、再帰反射係数を算出した(単位:Cd/Lx・m2)。
I = Er*L2 −(1)
R’= I/(En*A) −(2)
R’:再帰反射係数
I :受光位置から観測する試料の光度(単位:Cd)
Er:図4の配置(入射角α、観測角β)における、受光器上での照度(単位:Lx)
En:試料中心位置における、入射光に垂直な平面上の照度(単位:Lx)
L:試料表面中心から受光器間の距離(単位:m)
A :試料面の面積(単位:m2
<促進耐候性>
JIS Z 9117に準拠し、ブラックパネル温度 : 63±3℃、サイクル条件:降雨18分、照射102 分で、サンシャインによる促進耐候性試験を行い、試験前後の入射角:0.2°、観測角:+20°の再帰反射係数を算出した。
本発明の紫外線吸収剤0.01〜20重量部を共重合してなるアクリル樹脂組成物のフィルムを表面保護層としたものは、優れた再帰反射性の持続性を示すものである。
(略語の説明)
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリドデシルメルカプタン
AlMA:メタクリル酸アリル
RUVA:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2−H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、RUVA−93)。
表面保護層のアクリル樹脂組成物(C)の製造例1を示す。製造例、実施例および比較例中の「部」は重量部、「%」は重量%を表す。また、略号はそれぞれ下記の物質を表す。
(製造例1)アクリル系樹脂組成物の製造
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 0.25部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.001部
硫酸第一鉄 0.00025部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、表1中(製造例1)に示した単量体混合物(B)<すなわち、BA100%およびMMA0%からなる単量体混合物100部に対しAlMA2部およびCHP0.2部からなる単量体混合物15部、およびRUVA1.0部>を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であった。
その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.05部を仕込んだ後、内温を60℃にし、表1中(製造例1)に示した単量体混合物(A)<すなわち、BA10%およびMMA90%からなる単量体混合物100部に対しtDM0.5部およびCHP0.5部からなる単量体混合物85部、およびRUVA4.0部>を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、アクリル樹脂組成物(C)を得た。重合転化率は98.7%であった。得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末を得た。さらに、40ミリφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を240℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化した。
Figure 2007047595
(製造例2〜5)
製造例2〜5は、単量体組成を表1のように変更した以外は、製造例1と同様に重合を行い、凝固、水洗、乾燥して樹脂粉末を得て、さらに溶融混練を行い、ペレット化した。詳しく、製造例2〜5を説明する。
製造例2に示した単量体混合物(B)<すなわち、BA90%およびMMA10%からなる単量体混合物100部に対しAlMA3部およびCHP0.2部からなる単量体混合物20部、およびRUVA0.4部>を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.05部を仕込んだ後、内温を60℃にし、表1中(製造例2)に示した単量体混合物(A)<すなわち、BA10%およびMMA90%からなる単量体混合物100部に対しtDM0.5部およびCHP0.5部からなる単量体混合物80部、およびRUVA0.6部>を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、アクリル樹脂組成物(C)を得た。
製造例3に示した単量体混合物(B)<すなわち、BA90%およびMMA10%からなる単量体混合物100部に対しAlMA1部およびCHP0.2部からなる単量体混合物30部、およびRUVA0.03部>を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.05部を仕込んだ後、内温を60℃にし、表1中(製造例3)に示した単量体混合物(A)<すなわち、BA10%およびMMA90%からなる単量体混合物100部に対しtDM0.5部およびCHP0.5部からなる単量体混合物70部、およびRUVA0.07部>を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、アクリル樹脂組成物(C)を得た。
製造例4に示した単量体混合物(B)<すなわち、BA90%およびMMA10%からなる単量体混合物100部に対しAlMA1部およびCHP0.2部からなる単量体混合物30部、およびRUVA0部>を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.05部を仕込んだ後、内温を60℃にし、表1中(製造例4)に示した単量体混合物(A)<すなわち、BA10%およびMMA90%からなる単量体混合物100部に対しtDM0.5部およびCHP0.5部からなる単量体混合物70部、およびRUVA0部>を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、アクリル樹脂組成物(C)を得た。
これらのアクリル樹脂組成物(C)を、凝固、水洗、乾燥して樹脂粉末を得て、さらに溶融混練を行い、ペレット化し、40ミリφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を240℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化した。
製造例4に関しては、得られた樹脂粉末に紫外線吸収剤として下記一般式(2)で示されるチヌビンP(チバスペシャルケミカル社製)を2部ブレンドしてから溶融混練を行い、ペレット化した。
Figure 2007047595
製造例5のアクリル系樹脂組成物(C)は、RVAが20部(UVAトータル量)を超えており、乳化重合時にラテックスが凝集した為、樹脂粉体が得られず、フィルムを作製することができなかった。
得られたフィルムを用いた種々の特性を評価し、その結果を表1に示した。
アクリル樹脂組成物(C)の単量体組成比、平均粒子径、およびアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が、本発明の範囲であると、透明性、硬度、耐折曲げ割れ性に優れたフィルムを得ることができた。
Figure 2007047595
(実施例1)
表面保護層にアクリル樹脂組成物から得られるフィルムを被覆し、三角錐台プリズム形状を有する反射素子層からなる再帰反射性シートの再帰性反射性能の持続性を評価し、
表2に示す。この実施例1の反射素子層は、実施例1に示す寸法を有する三角錐台プリズムが最密充填状に配列された雌型金型を用い、表1の製造例1のフィルムシート(透明、厚さ50μm)とポリカーボネート樹脂シート(帝人化成(株)製、パンライトフィルムPC-2151:透明、厚さ200μm)を重ね合わせ、ポリカーボネート樹脂上に、三角錐台プリズムを熱プレス及びラミ加工したシートを、さらに裏打ちシート13(白)を設け、図10のような構成とした。この再帰性反射シートの色相は、(x、y、Y)=(0.206、0.322、45.9)であった。得られた再帰性反射シートを下記の評価に供した。
この雌型金型作製について説明する。この金型の三角錐台プリズム形状は、実施例1に示す各寸法から計算される下底面と各側面の成す角度に従って、該先端角度を有するダイアモンドバイト(刃)を製作し、以下の工程により、高さ90μmの凸形状である多数の三角錐台プリズムが、最密充填状に配置された銅製雄型を作製した。この銅製雄型を用いて、電鋳法によりニッケル製の形状が反転された凹形状の雌型金型を作製した。例えば、実施例1では、先端角度が64.24゜、64.54゜、82.18゜の3種類のダイアモンドバイトを用意し、表面を平坦に研削した200mm×200mmの銅板上に、先端角度が64.24゜のダイアモンドバイトを用いて、繰り返しピッチが222μm、溝の深さが100μmとなるように、断面形状がV字の平行溝を、繰り返しパターンで切削した。その後、先端角度が64.54゜のダイアモンドバイトを用いて、繰り返しピッチが221μm、深さ100μmであって、辺a1との交差角度が66.64°となるように、断面形状がV字の平行溝を、繰り返しパターンで切削した。さらに、先端角度が82.18゜のダイアモンドバイトを用いて、繰り返しピッチが202μm、深さ100μmであって、辺a1との交差角度が56.81°、辺a3との交差角度が56.56°となるように、断面形状がV字の平行溝を、繰り返しパターンで切削した。得られた三角錐において、上平面が下平面と平行であり、上平面と下平面との距離が90μmとなるように、上部を切り取った。
(実施例2〜6、比較例1〜3)
実施例2〜3、比較例1は実施例1と同じ三角錐台プリズム形状(表2)の雌型金型を使用し、製造例2、3、4の表面保護層のフィルムシート(透明、厚さ50μm)をそれぞれ被覆したものである。その他の仕様は、実施例1と同様である。これらの再帰性反射シートの色相は、(x、y、Y)=(0.205、0.323、45.5)、(0.205、0.324、45.6)、(0.206、0.323、45.5)であった。この表面保護層に特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体を共重合したアクリル系樹脂組成物(製造例1、2、3)から得られるフィルムを被覆したものは、促進耐候性試験後の良好な再帰性反射係数を示した。
実施例4、比較例2は実施例1と異なる三角錐台プリズム形状(表2)の雌型金型を使用し、製造例2、4の表面保護層のフィルムシート(透明、厚さ50μm)をそれぞれ被覆したものである。この三角錐台プリズム形状の違いは、稜線と稜線とのなす角度の一部は、実施例1の90.0°と異なる90.2°である。この稜線と稜線とのなす角度が90.0°から外れるほど、再帰性反射特性が低下する傾向である。その他の仕様は、実施例1と同様である。これらの再帰性反射シートの色相は、(x、y、Y)=(0.206、0.322、45.9)、(0.206、0.322、45.7)であった。この表面保護層に特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体を共重合したアクリル系樹脂組成物(製造例2)から得られるフィルムを被覆したものは、促進耐候性試験後の良好な再帰性反射係数を示した。
実施例5、6、比較例3は実施例1と異なる三角錐台プリズム形状(表2)の雌型金型を使用し、製造例1、2、4の表面保護層のフィルムシート(透明、厚さ50μm)をそれぞれ被覆したものである。この雌型金型のプリズム形状は、実施例1と異なり、より大きな三角錐台プリズム形状である。この三角錐台プリズム形状が小さいほど、再帰性反射特性が良好となる傾向である。その他の仕様は、実施例1と同様である。これらの再帰性反射シートの色相は、(x、y、Y)=(0.205、0.321、45.9)、(0.206、0.323、45.7)、(0.204、0.322、45.3)であった。この表面保護層に特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体を共重合したアクリル系樹脂組成物(製造例1、2)から得られるフィルムを被覆したものは、促進耐候性試験後の良好な再帰性反射係数を示した。
Figure 2007047595
(実施例7)
表面保護層にアクリル樹脂組成物から得られるフィルムを被覆し、ガラスビーズを有する反射素子層からなる再帰反射性シートの再帰性反射性能の持続性を評価し、
表3に示す。ポリエステルフィルム上にラミネートされた厚さ25μmのポリエチレンのガラス球仮固着層7の表面に粒径が45〜80μm、屈折率が1.92〜1.93のガラス球をその粒径の約25〜35%を複数平面状に埋め込む。ポリエチレンラミネートフィルム(ガラス球仮固着層7及びポリエステルフィルム8)を加熱し軟化させ、上記のガラス球を埋め込むのである。次に上記ガラス球仮固着層の表面から露出するガラス球の半球面にアルミニウムを蒸着して反射膜を形成した。
次に別途準備されたポリエステルフィルム上に、メチルメタアクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(2−HEMA)からなるアクリル共重合物のトルエン、酢酸ブチル溶液(固形分:50%)83重量部とメチルエーテル化メチロールメラミン(固形物60%)17重量部の配合溶液をコートし熱風乾燥機で乾燥して、厚さ約20μmのプライマー層を形成した。引き続いてこのプライマー層上に既述の水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1)を主体樹脂として支持樹脂層を形成した。配合組成を次に示す。
攪拌機、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス導入口を備えた反応器に、トルエンの700部およびn−ブタノールの200部を仕込んで、窒素雰囲気下に、80℃まで昇温し、メチルメタクリレートの500部、エチルメタクリレートの400部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの100部、アゾビスイソブチロニトリルの8部およびtert−ブチルパーオキシオクトエート(TBPO)の5部からなる混合物を、4時間に亘って滴下し、滴下終了後も、同温度に10時間のあいだ保持して、不揮発分が50%で、かつ、重量平均分子量が32,000で、かつ水酸基が43(mgKOH/g固形分)で、水酸基価から計算した官能基当量が1,200(固形分)である水酸基含有アクリル樹脂の溶液を得た。
水酸基含有アクリル樹脂溶液(固形分:50%) 100部メチルエーテル化メチロールメラミン (固形分:60%) 11部ルチル型二酸化チタン 25部顔料分散用アクリル系樹脂 (固形分:50%) 13部シランカップリング剤 1部前記した配合溶液を前記のプライマー層上にコートし熱風乾燥機で乾燥して、厚さ約60μmの支持樹脂層を形成した。次に既述の方法で形成したガラス球仮固着層の表面に上記で作製した支持樹脂シートを沿わした。そして支持樹脂シートをガラス球仮固着層の表面へ押圧した。この押圧は、ガラス球のアルミニウム反射膜を蒸着した半球面が支持樹脂シート内に埋設されるよう行なった。この押圧の手段として、ロール表面温度170℃の加熱ロールを通過させた。次に支持樹脂シート表面から、ポリエステルフィルムと共にガラス球仮固着層を剥がした。続いてガラス球と支持樹脂シートとの接着性を向上させるために、140℃で熱処理を実施した。そしてガラス球の半球が埋設された支持樹脂シートのガラス球側を製造例2の透明アクリルフィルム(透明、厚さ50μm)で覆った。次に支持樹脂シートの裏面ポリエステル側より、ロール表面温度210℃の柄付きエンボスロールで加熱成形を実施した。そしてこの加熱成形加工後に支持樹脂シート裏面のポリエステルフィルムを剥離して、アクリル系の粘着剤をプライマー層に貼り合わせて、実施例12あるいは比較例7の再帰性反射シートを得た。この再帰性反射シートの色相は、(x、y、Y)=(0.205、0.321、44.5)であった。
表面保護層に特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体を共重合したアクリル系樹脂組成物(製造例2)から得られるフィルムを表面保護層として被覆したものは、表3に示すように促進耐候性試験後の良好な再帰性反射係数を示した。
(比較例4)
比較例4のガラスビーズタイプの再帰性反射シートは、製造例2を製造例4の透明アクリルフィルム(透明、厚さ50μm)に変更した以外は実施例7と同様の方法で作製したものである。その他の仕様は、実施例7と同様である。この再帰性反射シートの色相は、(x、y、Y)=(0.206、0.323、44.7)であった。
ガラスビーズを使用した再帰性反射シートの製造例 ガラスビーズを使用した再帰性反射シートの製造例 ガラスビーズを使用した再帰性反射シートの製造例 ガラスビーズを使用した再帰性反射シートの製造例 ガラスビーズを使用した再帰性反射シートの製造例 ガラスビーズを使用した再帰性反射シートの製造例 ガラスビーズを使用した再帰性反射シートの製造例 三角錐台プリズムの形状と名称 三角錐台プリズム再帰性反射シートの俯瞰図 三角錐台プリズムを使用した再帰性反射シートの構成例 JIS Z8714による再帰性反射係数の測定方法の概念図
符号の説明
1 表面保護層
2 ガラス球
3 金属反射膜
4 支持樹脂シート
5 プライマー層
6 ポリエステルフィルム
7 ガラス球仮固着層
8 ポリエステルフィルム
9 柄付きエンボスロール
10 表面保護層
11 反射素子層
12 プリズム含有層
13 裏打ちフィルム
14 接合箇所(凸状支持部)
15 空気層
21 光源
22 再帰性反射体試料(再帰性反射シート)
α 観測角
β 照射角(入射角)
L 観測距離
23 受光開口
24 分光測光器

Claims (6)

  1. 非共役二重結合を有する単官能性単量体100重量部に対して、一般式(1)で示す単量体0.01〜20重量部を共重合してなるアクリル樹脂組成物(C)からなることを特徴とするフィルムを表面保護層とした再帰反射性シート。
    Figure 2007047595
    (式中、XはHまたはハロゲン、R1はH、メチルまたは炭素数4〜6のt−アルキル基、R2は直鎖または枝分かれ鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基、R3はHまたはメチルである。)
  2. 請求項1記載のアクリル樹脂組成物(C)は、アクリルエステル重合体(A)をアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるものであって、
    アクリルエステル重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
    アクリルエステル架橋弾性体粒子(B)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル50〜0重量%を含む単量体混合物および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合することにより得られ、
    アクリル樹脂組成物(C)のアクリルエステル架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%であるアクリル樹脂組成物からなることを特徴とするフィルムを表面保護層とした再帰反射性シート。
  3. 反射素子層にビーズ形状であるレンズを使用した請求項1〜2のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  4. 反射素子層にプリズム形状であるレンズを使用した請求項1〜2のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  5. 反射素子層に三角錐台プリズム形状であるレンズを使用した請求項1〜2のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  6. 表面保護層、反射素子層あるいは支持樹脂シートの樹脂フィルムが、チオキサンテン系、クマリン系、ペリレン系、メチン系、ベンゾピラン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系等の有機染料、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料を添加されてなる、請求項1〜5のいずれかに記載の再帰性反射シート。
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