上記特許文献1や2に開示された接続構造においては、ガスケットが挟み込まれた一対のフランジ部どうしを所定の面圧に達するまでボルトを締付けることにより、有効なシール性能を出すようになる。しかしながら、ボルトの締付け力が時間と共に低下することは避けられないので、締付け力低下、即ちトルクダウンによる接続部からの漏れを防止するには定期的に増し締めを行う必要があった。ガスケットを用いてシールする場合は非常に高い締付け力が必要になるので、集積パネルや流体デバイスの流体給排口部には高い強度が必要になるとともに、その接続連結するための作業性の点でも不利なものであった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流体の配管系統における集積パネルと流体デバイスとの接続構造に工夫を凝らすことにより、増し締めを殆ど行わなくても良好なシール性が維持できるとともに、その組付け作業性も改善される集積パネルと流体デバイスとの接続構造を提供することにある。
請求項1に係る発明は、集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、
管状の流体通路3が開口する第1流体給排口部1Aを備えた集積パネル1の前記第1流体給排口部1Aと、管状の流体通路7が開口する第2流体給排口部2Aを備えた流体デバイス2の前記第2流体給排口部2Aとを、これら第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとの間に介在されるリング状のガスケットGによって前記流体通路3,7をシールする状態で連通接続するにあたり、
前記第1流体給排口部1A及び前記第2流体給排口部2Aには、各端面に開口する前記各流体通路3,7の外径側部分に前記ガスケットGに当接自在な環状被シール部t11,t21が形成され、
前記ガスケットGは、前記第1,第2流体給排口部1A,2Aの相対応する前記流体通路3,7どうしを連通すべく形成された流体経路Wと、前記各環状被シール部t11,t21の夫々に当接自在な環状端部g11,g12とを有する可撓性を備えた材料から構成されており、
前記第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが互いに前記ガスケットGを介して引寄せられることによって、前記第1流体給排口部1Aの前記環状被シール部t11と前記ガスケットGの一端の環状端部g11とが、及び前記第2流体給排口部2Aの前記環状被シール部t21と前記ガスケットGの他端の前記環状端部g12とが夫々圧接されてシール部S1が形成される接合状態が構成され、
前記シール部S1は、前記第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心Pの方向に対して傾斜する状態で前記各環状被シール部t11,t21に形成されるテーパ周面12a,13a,22a,23aと、前記テーパ周面12a,13a,22a,23aと同方向に傾斜し、かつ、前記テーパ周面12a,13a,22a,23aに当接自在な状態で前記各環状端部g11,g12に形成されるテーパ周面52a,53aとを有して構成されていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記シール部S1が、前記第1及び第2流体給排口部1A,2Aのテーパ周面12a,13a,22a,23aと前記ガスケットGのテーパ周面52a,53aとの前記環状突起11,21から径方向で遠い側の端部どうしのみの圧接によって形成されるように、前記第1及び第2流体給排口部1A,2Aのテーパ周面12a,13a,22a,23aの傾斜角と前記ガスケットGのテーパ周面52a,53aの傾斜角とを異ならせて設定してあることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記シール部S1は、前記軸心Pの方向に対して傾斜し、かつ、互いに逆方向に傾斜する状態で前記各環状被シール部t11,t21に形成される内外のテーパ周面12a,13a,22a,23aと、前記内テーパ周面12a,22aと同方向に傾斜し、かつ、前記内テーパ周面12a,22aに当接自在な状態で前記各環状端部g11,g12に形成される内テーパ周面52a,52aと、前記外テーパ周面13a,23aと同方向に傾斜し、かつ、前記外テーパ周面13a,23aに当接自在な状態で前記各環状端部g11,g12に形成される外テーパ周面53a,53aと、を有して構成されていることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記環状被シール部t11,t21と前記環状端部g11,g12のうちの前記内外のテーパ周面52a,53aによって凸状の断面形状を呈するものg11,g12には、それら内テーパ周面52aと外テーパ周面53aとの間に凹状の断面形状を呈する環状溝51が形成されるとともに、前記環状被シール部t11,t21と前記環状端部g11,g12のうちの前記内外のテーパ周面12a,13a,22a,23aによって凹状の断面形状を呈するものt11,t21には、それら内テーパ周面12a,22aと外テーパ周面13a,23aとの間に凸状の断面形状を呈する環状突起11,21が形成され、
前記接合状態においては、前記環状溝51,51と前記環状突起11,21とが嵌合する状態に構成されていることを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記環状突起11,21の前記軸心P方向での突出量が、その内外のテーパ周面12a,13aにおける前記軸心P方向への最大突出量を上回る状態に設定されていることを特徴とするものである。
請求項6に係る発明は、請求項3〜5の何れか一項に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記第1流体給排口部1Aと前記第2流体給排口部2Aとが互いに前記ガスケットGを介して引寄せられて対応する前記テーパ周面12a,52a,13a53a,22a,52a,23a,53aどうしが圧接することによる分力により、前記環状溝51を形成すべくその環状溝51の内外径側の夫々に存在する周壁端部51u,51sが、それらのうちの内径側の前記周壁端部51uが拡径変位し、かつ、外径側の前記周壁端部51sが縮径変位して前記環状突起11,21に圧接されて二次シール部S2を形成する状態に構成されていることを特徴とするものである。
請求項7に係る発明は、請求項3〜6の何れか一項に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記ガスケットGの断面形状が略H型形状を呈するものに構成されていることを特徴とするものである。
請求項8に係る発明は、請求項3〜7の何れか一項に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記第1及び第2流体給排口部1A,2Aに前記環状突起11,21が形成され、かつ、前記ガスケットGに前記環状溝51,51が形成されていることを特徴とするものである。
請求項9に係る発明は、請求項3〜8の何れか一項に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記環状溝51,51に前記環状突起11,21を入れ易くすべく、前記環状突起11,21がその先端の内周角部及び/又は外周角部が面取りされた断面先細り形状に形成されていることを特徴とするものである。
請求項10に係る発明は、請求項3〜9の何れか一項に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記第1及び第2流体給排口部1A,2Aには、前記管状の流体通路3,7の外径側に一以上の環状の流体通路4,8が互いに同心状に形成されており、これら第1及び第2流体給排口部1A,2Aを、それぞれの複数の流体通路3,7,4,8が相対応され、かつ、前記第1流体給排口部1Aと前記第2流体給排口部2Aの間に前記ガスケットの複数G1,G2が介装されることによって各流体通路3,7,4,8がシールされる状態で連通接続するにあたり、
前記複数のガスケットG1,G2のうち、前記接合状態において内径側及び外径側の双方に前記流体通路が存在する中間ガスケットG1は、これの外周面55aが、前記中間ガスケットG1の外径側に存する前記第1流体給排口部1Aの前記環状の流体通路4と前記第2流体給排口部2Aの前記環状の流体通路8とを連通する環状の流体経路W2を形成するための壁面となる状態に形成されていることを特徴とするものである。
請求項11に係る発明は、請求項1〜10の何れか一項に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記シール部S1が形成される接合状態を維持する維持手段Iが装備されていることを特徴とするものである。
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の集積パネルと流体デバイスとの接続構造において、前記維持手段Iは、前記第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとを引寄せて前記接合状態を得るための引寄せ機能を発揮するものに構成されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、第1、第2流体給排口部が互いに引寄せられると、それぞれに形成された環状被シール部と、ガスケットの一端面及び他端面にそれぞれ形成された環状端部とが、軸線方向の相対移動によって互いに嵌り合うことでガイド機能が発揮され、第1及び第2流体給排口部が位置ずれすることなく良好に相対接近されながら、環状被シール部のテーパ周面と環状端部のテーパ周面とを圧接する接合状態が得られる。この接合状態では、各テーパ周面どうしが圧接されてシール部が形成され、このシール部によって第1及び第2流体給排口部とをこれらの接続部位からの流体の漏れが確実に阻止される状態で接続することができる。
第1及び2流体給排口部の夫々のテーパ周面は、それらの軸心の方向に対して傾斜する角度が付けられているので、軸心方向の圧接だけではなく径方向にも圧接されるようになり、第1及び2流体給排口部どうしの引寄せ力が低下する等によって軸心方向の圧力が低下した場合のシール部の圧接力低下は緩やかなものとなる。従って、少しぐらい圧接力が低下してもシール機能は維持されるようになり、これは、単純に軸心方向に圧接される従来の構造に比べて明らかに有利な効果である。また、このテーパ周面による径方向の分力により、ガスケットの環状端部が各流体給排口部に径方向に押圧される力が生じるようになり、シール部の形成によって各流体給排口部とガスケットとの嵌合がきつくなり、各流体給排口部とガスケットとの抜け止め作用が強化される利点もある。
その結果、ガイド機能によって良好なシール状態が確実に得られ、増し締めを殆ど行わなくても良好なシール性が維持できて信頼性に優れるようになるとともに、その組付け作業性も改善される集積パネルと流体デバイスとの接続構造を提供することができる。例えば、半導体製造設備における洗浄装置の配管系統にこのような接続構造を用いれば、良好なシール性を確保し得ながら装置の占有面積を減少できてコスト上有利であるとともに、大流路が確保されることによって循環流量を多くし、薬液の高純度化を高めて歩留まり向上に寄与できるという効果を奏することが可能である。
請求項2の発明によれば、シール部は環状溝から径方向で遠い側の端部(最内径側端又は最外径側端)のみが圧接される状態となるから、より強い面圧によって確実なシール作用が得られるようになる。また、それによってテーパ周面どうしの間に流体が入り込むことが防止されるようになるから、流体自身、或いは流体中の混合物や異物等が入り込んで停滞し、流体の純度を低下させる要因になる不利が生じないという利点もある集積パネルと流体デバイスとの接続構造を提供することができる。この場合、請求項3のように、互いに逆方向に傾斜する一対のテーパ周面どうしの圧接によってシール部が構成されるようにすれば、実質的にシール部が内外の二箇所に形成されるとともに、各流体給排口部又はガスケットに作用する径方向の分力は、内外径の両方向に作用して相殺されて小さなもの又は解消されることとなる利点がある。
請求項4の発明によれば、第1、第2流体給排口部がガスケットを介して互いに引寄せられると、内外のテーパ周面によって凸状の断面形状を呈するものに形成された環状溝と、内外のテーパ周面によって凹状の断面形状を呈するものに形成された環状突起とが、軸線方向(軸心方向)の相対移動によって互いに嵌り合うことでガイド機能が発揮され、第1及び第2流体給排口部が位置ずれすることなく良好に相対接近されて、各流体給排口部の内外のテーパ周面とガスケットの内外のテーパ周面どうしが所期通りに圧接され、機能に優れるシール部が形成される接合状態を得ることができる。
請求項5の発明によれば、第1及び第2流体給排口部どうしが互いうに引寄せられるに伴って、まず環状突起が環状溝に入り込み、その後にテーパ周面どうしが当接するように順序が付くことになるから、環状突起と環状溝との嵌合によるガイド機能が確実に発揮されるようになる。その結果、多少乱雑にガスケットを介して集積パネルと流体デバイスとが組付けられても、各テーパ周面どうしの圧接によるシール部が所期通り確実に発揮される構成となる利点がある。
請求項6の発明によれば、テーパ周面どうしの圧接によるシール部が形成されるには、環状被シール部と環状端部とが互いに強く押圧されることが必要であるが、その押圧力によって各テーパ周面の持つ傾斜に起因した分力が生じ、内径側の周壁端部に関しては拡張変位して、また、外径側の周壁端部に関しては縮径変位して、環状突起における内径側及び外径側の各側周面に押されて圧接することになり、それによって二次シール部が形成されるようになる。つまり、テーパ周面どうしが圧接する構造に起因して、環状突起と環状溝との嵌合状態の如何(圧入、摺動自在な密嵌合、隙間を伴う嵌合等)に拘らず、環状突起と環状溝との間においてもシール部が構成されることになるのである。従って、これら二箇所のシール部(一次及び二次シール部)によってよりシール機能が強化され、より優れるシール性を有する集積パネルと流体デバイスとの接続構造を提供することができる。
請求項7の発明によれば、ガスケットの断面形状が略H型のものに形成されるので、例えば横倒しT型形状のものに比べてガスケットやこれと嵌合される部分である第1、第2流体給排口部の設計、製作が容易化されるとともに、集積パネルや流体デバイスに嵌合される場合のバランス(強度バランス、組付けバランス)に優れたものにできる。
請求項8の発明によれば次のような作用効果がある。即ち一般に、凹に凸を挿入しての嵌合構造においては、例えこれら両者が互いに同じ材質のものであっても、凸側の部材は殆ど変化(圧縮変形)せず、凹側の部材が拡がり変形する傾向のあることが知られている。そこで、本請求項8においては、流体デバイスや集積パネルに凸である環状突起を、かつ、ガスケットに凹である環状溝を形成する構成としてあるので、クリープや経時変化によって変形するのは、集積パネルや流体デバイスに比べて小さな部品であるガスケット側であって集積パネルや流体デバイス側は殆ど変形しないから、ガスケットを交換することで長期に亘って良好なシール性能を維持し得る利点が廉価に実現される効果もある。
請求項9の発明によれば、環状突起の内周角部及び/又は外周角部を面取りした先細り形状として、環状突起が環状溝に入り易くなるようにしてあるから、第1,第2流体給排口部とガスケットとの相対位置が多少ずれている状態でも、これら両者が引寄せられることによる環状突起と環状溝との嵌合が確実に行われるようになる。その結果、ガスケットを介して第1,第2流体給排口部を引寄せる組付け操作が多少粗いものであっても、環状突起と環状溝とが嵌合されることによる前述のガイド機能を確実に発揮させることができる好ましい集積パネルと流体デバイスとの接続構造を提供することができる。
請求項10の発明によれば、二以上の流体通路を同心状に多重配管することにより、複数の流体通路を独立して配列する構造に比べて接続構造部分のコンパクト化を図ろうとする手段である。第1、第2流体給排口部が互いに引寄せられると、それぞれに形成された環状突起又は環状溝のうちの一方と、ガスケットの一端面及び他端面にそれぞれ形成された環状突起又は環状溝のうちの他方とが、軸線方向の相対移動によって互いに嵌り合うことでガイド機能が発揮され、第1及び第2流体給排口部が位置ずれすることなく良好に相対接近されて、各流体給排口部のテーパ周面とガスケットのテーパ周面とが所期通りに圧接されてシール部を形成する接合状態が得られる。
加えて、ガスケットの内外に流体通路が形成されることとなる中間ガスケットにおいては、その内周部だけでなく、外周部も流体経路の壁面に兼用される構造としたので、内外で隣り合う流体通路の間隔は中間ガスケットの厚みだけとなって、複数の流体通路を極力径方向に近づけて配置することが可能になり、集積パネルと流体デバイスとの接続構造部分の一層のコンパクト化が可能となる利点がある。その結果、複数の流体通路を同心状に配列して接続させる集積パネルと流体デバイスとの接続構造を実現できたことにより、モジュール化やコンパト化に有利な流体デバイスの集積化を促進するに寄与できるとともに、良好なシール性能を長期に亘って維持できて信頼性に優れ、しかもさらにコンパクト化が可能となる集積パネルと流体デバイスとの接続構造を提供することができる。
請求項11の発明によれば、維持手段によって、両流体給排口部どうしが互いにガスケットを介して引寄せられた接合状態を維持できるので、集積パネルと流体デバイスとが液漏れなく良好なシール性を確保し得る状態を長期に亘って維持可能となり、信頼性に優れる集積パネルと流体デバイスとの接続構造を提供することができる。その結果、増し締めを殆ど行わなくても良好なシール性が維持できるとともに、その組付け作業性も改善される集積パネルと流体デバイスとの接続構造を提供することができる、という作用効果をより強化することが可能になる。
請求項12の発明によれば、維持手段は第1流体給排口部と第2流体給排口部との接合状態を維持するだけでなく、第1流体給排口部と第2流体給排口部とを引寄せて接合状態を得るための引寄せ機能も発揮できるので、他に引寄せ手段を用意する必要が無くなり、全体としての組付け手間の省略化やコストダウンが可能となる利点がある。
以下に、本発明による集積パネルと流体デバイスとの接続構造の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図5は実施例1の、図6〜図10は実施例2の、そして図16は実施例3の集積パネルと流体デバイスとの接続構造を示す各図であり、図11〜図15は環状突起の別構造を示す断面図である。
〔実施例1〕
実施例1による集積パネルと流体デバイスとの接続構造を図1、図2に示す。この集積パネルと流体デバイスとの接続構造は、一対の円管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル1と、これの上面1aにリング状のガスケットGを介して搭載されるバルブ(開閉バルブ、ストップバルブ等)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する単流路型のものである。つまり、給排用として一対の接続構造が互いに同一のものとして構成されている。
集積パネル1は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3a,4aと横向きの横通路3b,4bとから成る一対の円管状の供給側流体通路3,4が形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路3,4が開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、円管状の縦通路3a,4aのそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起21を有する下第1環状被シール部t21及び下第2環状被シール部t22が形成されている。
バルブ(流体デバイスの一例)2は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aから下方突出する状態で縦向きに配された円管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の横側方に離れて開口する状態で縦向きに配された円管状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、円管状の供給側流体通路7,8のそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。つまり、バルブケース6下端には、一対のボルト挿通孔9aを有するPFAやPTFE又はその他の材料によるフッ素樹脂製の取付フランジ9の一対が下方突出形成されており、流体通路7,8を有する管部9Aとフランジ部(外向きフランジ)9Bとで各取付フランジ9が形成されている。供給側の取付フランジ9が、下方突出する環状突起11を有する上第1環状被シール部t11に形成され、排出側の取付フランジ9が、上方突出する環状突起11を有する上第2環状被シール部t12に形成されている。
一対のガスケットGは互いに同一のものであり、その構造を供給側のガスケットGを例に挙げて説明する。さて、ガスケットGは、図2,図3に示すように、供給側の上下の流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路である縦通路3a及び供給側流体通路7どうしを連通すべく形成された管状の流体経路Wと、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端面に形成された上第1環状被シール部t11の環状突起11と上第2環状被シール部t12の環状突起21のそれぞれに嵌合すべく流体経路Wの外径側部分に形成された上下一対の環状溝51,51とを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製のものに構成されている。
つまり、ガスケットGの断面形状は、上下一対の環状溝51,51と、これら環状溝51,51を形成するための内周壁54及び外周壁55とを有するとともに、上下の環状溝51,51は深さ及び幅が同一となる上下対称であり、かつ、内及び外周壁54,55も左右対称であって、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心P方向に沿う縦中心Z、及び、その縦中心線Zに直交する横中心線Xの双方に関して線対称(ほぼ線対称でも良い)となる略H状の形状に形成されている。内周壁54の上下端部は、内周面54aである流体経路Wの上下端部が先拡がり状に外向き傾斜する内テーパ周面52a,52aに形成されるとともに、外周壁55の上下端部も、その外周面55aの上下端部が内向き傾斜するテーパ外周面53a,53aに形成されている。
そして、第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2AとがガスケットGを介して維持手段I(後述)によって互いに引寄せられることにより、集積パネル1の第1流体給排口部1Aの下第1環状被シール部t21の環状突起21及びバルブ2の第2流体給排口部2Aの上第1環状被シール部t11における環状突起11の内及び外径側に、環状溝51と環状突起11,21との嵌合を伴うこれら両者(第1,2流体給排口部1A,2AとガスケットG)の当接による内外の一次シール部(シール部の一例)S1,S1を形成するための環状受止め部12,13,22,23が形成されている。
上記環状受止め部12,13,22,23に関する構造を、ガスケットGと上第1環状被シール部t11とについて説明する。図2、図3に示すように、内外の環状受止め部12,13はそれらの断面形状がほぼ対称(図9の内外の環状受止め部12,13はそれらの断面形状が完全に対象である)のものであり、これらと環状突起11とで囲まれた谷部14,15が奥窄まり状(上窄まり状)となるように環状突起側の側周面が傾斜した内テーパ周面12a及び外テーパ周面13aを有する先窄まり状の環状突起に形成されている。つまり、上第1環状被シール部t11は、環状突起11とその内外の両側に形成される環状受止め部12,13及び谷部14,15等の総称である。
ガスケットGの内外の周壁54,55の上端部は、環状受止め部12,13の内テーパ周面12aと外テーパ周面13aのそれぞれに当接する内テーパ周面52aと外テーパ周面53aを有して14,15に入り込み自在な先窄まり状の周壁端部52,53を有し、接合状態(図1参照)においては、内外の周壁54,55の上端部である周壁端部52,53が対応する谷部14,15に入り込み、上第1環状被シール部t11の内テーパ周面12aとガスケットGの内テーパ周面52aとが圧接され、かつ、上第1環状被シール部t11の外テーパ周面13aとガスケットGの外テーパ周面53aとが圧接されて夫々に一次シール部S1が形成されるように構成されている。
つまり、ガスケットGの上端部には、環状溝51とその内外の周壁端部52,53とで上環状端部g11が形成され、同様に下端部には下環状端部g12が形成されている。上環状端部g11は上第1環状被シール部t11と嵌合して圧入ではない嵌合部10を形成し、下環状端部g12は下第2環状被シール部t21と嵌合して圧入ではない嵌合部10を形成する。
嵌合部10の嵌合構造を、上第1環状被シール部t11とガスケットGの上環状端部g11について詳細に説明すると、図2〜図4に示すように、内外の谷部14,15どうし、及び内外の周壁端部52,53どうしは互いに対称(又はほぼ対称)であって、内外の谷部14,15の全体の挟角α°と内外の周壁端部52,53全体の向い角β°との間には、α°<β°という関係が設定されており、好ましくはα°+(20〜40°)=β°という関係に設定すると良い。この構成により、上第1環状被シール部t11の上環状突起11と環状溝51とが嵌り合った接合状態(後述)では、内環状受止め部12と内周壁端部52とは、それらの内テーパ周面12aと内テーパ周面52aとが最内径側部分で圧接される状態となり(図3,4の仮想線を参照)、流体通路7,Wを通る流体がこれら外内のテーパ周面12a,52aどうしの間に入り込むことをも阻止する一次シール部S1として機能する。
そして、上環状突起11の幅d1と上環状溝51の幅d2との間には、d1≦d2という関係、即ち圧入ではない嵌合状態(押せば簡単に入る状態や、緩々の嵌合状態等)となる関係に設定されている。そして、上環状突起11の突出長さh1と上環状溝51の深さh2との間にはh1<h2という関係が設定されている。このような構成により、第2流体給排口部2AとガスケットGとが引寄せられると、まず上環状突起11と上環状溝51とが嵌り合ってこれら両者2A,Gを所期の位置関係からずれないように相対姿勢を維持するガイド機能が発揮される。そのガイド機能が生じている状態で、次には内外の環状受止め部12,13の内外のテーパ周面12a,13aと、周壁端部52,53の内外のテーパ周面52a,53aとが圧接されて内外の一次シール部S1が形成されるのである。
嵌合部10については、図3に示すように、環状受止め部12,22(13,23)の軸心P方向に沿う高さh3と環状突起11(21)の突出長さh1との関係は、h1>h3に設定されている。この図3に示すh1>h3という関係以外に、h1=h3という関係の場合や、h1<h3という関係の場合でも良い。また、環状突起11(21)と環状溝51との圧入でない嵌合を実現させるには、これら環状突起11(21)及び環状溝51夫々の軸心Pに対する半径をR1,R2としたときに、R1≧R2が成り立つように設定すると良い。
図4に示すように、第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが互いにガスケットGを介して引寄せられて対応する内テーパ周面12a,52aどうし、及び外テーパ周面13a,53aどうしが圧接することによる分力により、環状溝51を形成すべくその環状溝51の内外径側の夫々に存在する周壁端部52,53が、それらのうちの内径側の周壁端部52が拡径変位し、かつ、外径側の周壁端部53が縮径変位して環状突起11に圧接されて内外の二次シール部S2,S2を形成する状態に構成されている。
即ち、各テーパ周面12a,52a及び13a,53aどうしの圧接により、内径側の周壁端部52には矢印イ方向の分力が、かつ、外径側の周壁端部53には矢印ロ方向の分力が夫々作用することになり、環状溝51の径方向幅が狭まるように内外の周壁端部52,53が変位して環状突起11を締付ける。それにより、溝内側周面51uの先端部と突起内側周面11uの基端部(根元部)とが、かつ、溝外側周面51sの先端部と突起外側周面11s基端部(根元部)とが径方向に圧接されるようになり、従って内外の二次シール部S2,S2が形成されるのである。
一次シール部S1に二次シール部S2が加わることにより、シール性及び耐久性により一層優れる接続構造が実現できている。つまり、ガイドとして機能す嵌合部10が圧入でない嵌合構造としてガスケットGの組付け操作が行い易いものとしながら、一次シール部S1が形成されることによる付随効果として二次シール部S2も形成される利点がある。尚、視覚による作用の理解上、図4においては、環状溝51の径方向幅を環状突起11の径方向幅よりも明確に広くして、内外の周壁端部52,53が環状突起11側に変位する様子を誇張して描いてある。
また、内側の環状受止め部12の先端、及び周壁端部52,53の先端はピン角とならないようにカットされた形状、即ち、傾斜カット面12b、並びにカット面52b,53bに形成されている。これらの構成により、上内環状受止め部12の先端が流体通路W側に若干広がり変形したとしても、もともとカットされた形状であることから、流体通路W途中に大きく開いた断面三角形状の凹みができるだけとなり、その凹みに存在する流体が容易に流れ出すようになって実質的に液溜りが生じないようになる。加えて、その凹みの開き角度、即ち、傾斜カット面12bと内テーパ周面52aとの挟角は十分に大きく、表面張力による液溜りのおそれも回避される。また、環状突起11先端の内周角部及び外周角部は面取り加工された面取り形状部11aとしてあるので、幅の狭い環状溝51への圧入移動をかじり等の不都合なく円滑に行えるものとなっている。
尚、図5(a)に示すように、環状突起11を、その先端の内周角部及び外周角部の面取り形状部11aを明確に大きくした断面先細り形状に形成することにより、環状突起11が環状溝51に入り易くされた構成の嵌合部10としても良い。このように構成すれば、第1,第2流体給排口部1A,2AとガスケットGとの組付け時における相対位置が所期する適性状態から多少ずれていることがっても、テーパ面状の内又は外の面取り形状部11aが嵌合ガイドとなって環状突起11が確実に環状溝51内へ導かれるようになるのである。この場合においても、二次シール部S2は、環状突起11の根元部と環状溝51の先端部との嵌合部によって形成されるようになる。
図5(b)に示すように、面取り形状部11aをさらに大きくし、環状突起11の内外の側周面が全て傾斜したテーパ側周面11aとなるよう、顕著に先細り形状化させた構成の嵌合部10としても良い。この場合には、嵌合ガイドの機能が強化されて、環状突起11の環状溝51への入り易さがさらに容易になる。この場合の二次シール部S2は、環状突起11が環状溝51を押し広げる楔効果も生じるので、環状溝51の先端部と環状突起11の根元部とが線接触又は極小さい面積でもって周状に圧接されることとなり、さらに確実にシール機能を発生させることが可能となる。これら図5(a)、(b)に示す構造を、他の環状突起21に適用しても良い。
一方、外側の環状受止め部13は、環状受止め部13の外テーパ周面13aに続く状態で、バルブケース6の下端部を形成するための下端内周部9bが存在しており、内側の環状受止め部12とは全体としての形状はやや異なる。そして、下第1環状被シール部t21に関しても、環状受止め部23のテーパ内周面23aに続く状態で、パネル材5の上端部を形成するための上端内周部5bが存在しており、やはり、内側の環状受止め部22とは全体としての形状が異なる。これら上及び下端内周部5b,9bは、ガスケットGの上及び下環状端部g11,g12を上及び下第1環状被シール部t11,t21に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、外テーパ周面13a,23aと共にガスケットGの外周壁55の拡がり変形を阻止する機能も発揮可能である。
嵌合部10についてさらに詳述する。図2、図3に示すように、環状受止め部12,13のテーパ周面12a,13aの開き角(谷部14,15の開き角)Dは50〜70度の範囲の値(50°≦D°≦70°)に設定されるとともに、周壁端部52,53のテーパ周面52a,53aの尖り角Eは60〜80度の範囲の値(60°≦D°≦80°)に設定されている。そして、開き角Dと尖り角Eとには、開き角Dに10〜20度を加えたものが尖り角Eとなる[D°+(10〜20°)=E°]ように設定されている。より好ましい値としては、開き角Dが69〜71度(D°=70±1°)、尖り角Eが79〜81度(E°=80±1°)、及び尖り角Eは開き角D+9〜11度(E°−D°=10±1°)に設定すると良い。
また、環状受止め部12の傾斜カット面12bのカット角Dsは49〜51度(Ds°=50°±1°)に設定されており、周壁端部52,53の先端カット面52b,53bの迎え角Esは124〜126度(Es°=125°±1°)に設定されている。このような角度設定により、内テーパ周面12aと内テーパ周面52aとは環状の線接触状態で当接されるようになり、シールリップ効果が一次シール部S1において発揮されるようになる。また、外テーパ周面13aと外テーパ周面53aとの間にも、それらの外径側端部においてシール作用が生じる。尚、下端内周部9bが存在しない場合(集積パネルや流体デバイスにおけるガスケットGとの嵌合部の断面形状が左右対称である場合:図9参照)は、外側の環状受止め部13にも傾斜カット面12bと同様な傾斜カット面が形成され、前記シールリップ効果が生じる。
つまり、第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが互いに引寄せられる方向である引寄せ方向に対する周壁端部52,53のテーパ周面52a,53a(内テーパ周面52a、外テーパ周面53a)の尖り角Eが、引寄せ方向に対する環状受止め部12,13における環状突起11側のテーパ周面12a,13a(内テーパ周面12a、外テーパ周面13a)の開き角Dに10〜20度、好ましくは10度又はほぼ10度加えた値に設定されている。そして、尖り角Eが60〜80度、好ましくは80度又はほぼ80度に設定されている。このように尖り角E及び開き角Dを90度に近い鈍角的な値に設定する構成とすれば、環状受止め部12,13は、その径方向幅に比べて引寄せ方向(軸方向)の突出量が小さくなって相対的に強度、剛性が向上することとなり、周壁端部52,53の過度な拡縮変位を規制しながらも、自身(環状受止め部12,13)が拡縮変位するおそれをより効果的に抑制することができる利点がある。
次に、維持手段Iについて説明する。維持手段Iは、図2、図3に示すように、集積パネル1の第1流体給排口部1Aとバルブ2の第2流体給排口部2Aとが互いにガスケットGを介して引寄せるとともに、その引寄せ作用によって、第1流体給排口部1Aの上第1環状被シール部t11と、ガスケットGの上環状端部g11とが、及び第2流体給排口部2Aの下第1環状被シール部t21と、ガスケットGの下環状端部g12とがそれぞれ嵌め合わされて各嵌合部10が形成される接合状態を維持するものに構成されている。即ち、第2流体給排雄口部2Aの環状突起11とガスケットGの上側の環状溝51とが、及び第1流体給排雄口部1Aの環状突起21とガスケットGの下側の環状溝51とがそれぞれ嵌め合わされる。
維持手段Iの具体構造は、第2流体給排口部2Aのフランジ部9Bのボルト挿通孔9aに挿通される一対のボルト66と、一対のボルト挿通孔9a,9aに対応して第1流体給排口部1Aに(パネル材5に)形成されたナット部67,67とで構成されており、ボルト66をナット部67に螺着させての締め付け操作により、バルブ2を集積パネル1に引寄せ、かつ、その引寄せ状態を維持することができる引寄せ機能付の維持手段Iに構成されている。また、経時変化やクリープ等が生じて一次シール部S1の圧接力が低下した場合には、ボルト66を増し締めすることで対処することができ、良好なシール性能を維持することが容易能である。
〔実施例2〕
実施例2による集積パネルと流体デバイスとの接続構造を図6、図7に示す。この集積パネルと流体デバイスとの接続構造は、複数の管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル1と、これの上面1aに内外の計2個のリング状のガスケットG1,G2を介して搭載されるバルブ(開閉バルブ、ストップバルブ等)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する同心状二重流路型のものである。
集積パネル1は、図6、図7に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3aと横向きの横通路3bとから成る管状の供給側流体通路3と、縦通路3aの外径側に形成されてパネル上面1aに開口する環状の縦リング通路4aとこれの底部に連通される横向きの横通路4bとで成る排出側流体通路4とが形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路3,4が二重配管状に開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、管状の縦通路3aと環状の縦リング通路4aとが互いに同一の軸心Pを有する同心状の通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起21,41を有する下第1環状被シール部t21及び下第2環状被シール部t22が形成されている。
バルブ(流体デバイスの一例)2は、図6、図7に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aに開口する状態でその中心に縦向きに配された管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の外径側に形成されて底面6aに開口する状態で縦向きに配された環状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、管状の供給側流体通路7と環状の排出側流体通路8が互いに同一の軸心Pを有する同心状の通路に形成されている。そして、バルブケース6下端の外周部には、一対のボルト挿通孔9aを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂又はその他の材料による取付フランジ9が融着によって一体化されている。尚、バルブケース6と取付フランジ9とは、切削加工や成形加工によって一体形成された一体型のものでも良い。また、第2流体給排口部2Aには、その下端面に開口する各流体通路7,8の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起11,31を有する上第1環状被シール部t11及び上第2環状被シール部t12が形成されている。
内外のガスケットG1,G2は径が異なるのみで断面形状は同一のものに形成されている。その構造を内側の第1ガスケットG1を例に挙げて説明する。尚、説明を省略する外側の第2ガスケットG2には、第1ガスケットG1に対応する箇所には対応した符号を付す(例:54a→64a)ものとする。さて、第1ガスケットG1は、図7,図8に示すように、第1,第2流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路である縦通路3a及び供給側流体通路7どうしを連通すべく形成された管状の流体経路W1と、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端面に形成された上第1環状被シール部t11の環状突起11と上第2環状被シール部t12の環状突起31のそれぞれに嵌合すべく流体経路W1の外径側部分に形成された上下一対の環状溝51,51とを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製のものに構成されている。
つまり、第1ガスケットG1の断面形状は、上下一対の環状溝51,51と、これら環状溝51,51を形成するための内周壁54及び外周壁55とを有するとともに、上下の環状溝51,51は深さ及び幅の夫々が互いに同一となる上下対称で、かつ、左右対称であって、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心P方向に沿う縦中心Z、及び、その縦中心線Zに直交する横中心線Xの双方に関して線対称(ほぼ線対称でも良い)となる略H状の形状に形成されている。内周壁54の上下端部は、内周面54aである流体経路W1の上下端部が先拡がり状に外向き傾斜する内テーパ周面52a,52aに形成されるとともに、外周壁55の上下端部も、その外周面55aの上下端部が内向き傾斜する外テーパ周面53a,53aに形成されている。
集積パネル1の第1流体給排口部1Aの下第1及び下第2環状被シール部t21,t22の環状突起21,41及びバルブ2の第2流体給排口部2Aの上第1及び上第2環状被シール部t11、t12における環状突起11,31の内及び外径側に、各ガスケットG1,G2における環状溝51,61を形成するために軸心P方向に突出形成された内外の周壁端部52a,53a,62a,63aが、相対応する環状溝51,61と相対応する環状突起11,21,31,41との嵌合によって拡がり変形するのを阻止する環状受止め部12,13,22,23,32,33,42,43が形成されている。
上記環状受止め部に関する構造を、第1ガスケットG1と上第1環状被シール部t11とについて説明する。内外の環状受止め部12,13は対称のものであり、これらと環状突起11とで囲まれた谷部14,15が奥窄まり状(上窄まり状)となるように環状突起側の側周面が傾斜した内テーパ周面12a及び外テーパ周面13aを有する先窄まり状の環状突起に形成されている。つまり、上第1環状被シール部t11は、環状突起11とその内外の両側に形成される環状受止め部12,13及び谷部14,15の総称である。
第1ガスケットG1の内外の周壁54,55の上端部は、環状受止め部12,13の内テーパ周面12aと外テーパ周面13aのそれぞれに当接する内テーパ周面52aと外テーパ周面53aを有して14,15に入り込み自在な先窄まり状の周壁端部52,53を有し、接合状態(図1参照)においては、内外の周壁54,55の上端部である周壁端部52,53が対応する谷部14,15に入り込み、上第1環状被シール部t11の内テーパ周面12aと第1ガスケットG1の内テーパ周面52aとが圧接され、かつ、上第1環状被シール部t11の外テーパ周面13aと第1ガスケットG1の外テーパ周面53aとが圧接されるように構成されている。
つまり、第1ガスケットG1の上端部には、環状溝51とその内外の周壁端部52,53とで上環状端部g11が形成されており、同様に下端部には下環状端部g12が形成されている。上環状端部g11は上第1環状被シール部t11と嵌合して嵌合部10を形成し、下環状端部g12は下第2環状被シール部t21と嵌合して嵌合部10を形成する。同様に、第2ガスケットにも上環状端部g21と下環状端部g22とが形成されており、それぞれ上第2環状被シール部t12と下第2環状被シール部t22と嵌合して嵌合部10を形成する。
嵌合部10の嵌合構造を、上第1環状被シール部t11と第1ガスケットG1の上環状端部g11について詳細に説明すると、図7〜図9に示すように、内外の谷部14,15どうし、及び内外の周壁端部52,53どうしは互いに対称であって、内外の谷部14,15全体の挟角α°と内外の周壁端部52,53全体の向い角β°との間には、α°<β°という関係が設定されており、好ましくはα°+(20〜40°)=β°という関係に設定すると良い。この構成により、上第1環状被シール部t11の上環状突起11と環状溝51とが嵌り合った接合状態(後述)では、上内環状受止め部12と上内周壁端部52とは、それらの内テーパ周面12aと内テーパ周面52aとが最内径側部分で圧接される状態となり(図8,9の仮想線を参照)、流体通路7,W,3aを通る流体がこれら内テーパ周面12a,52aどうしの間に入り込むことをも阻止する一次シール部S1として機能する。
そして、上環状突起11の幅d1と上環状溝51の幅d2との間には、d1≦d2という関係、即ち圧入ではない嵌合状態(押せば簡単に入る状態や、緩々の嵌合状態等)となる関係に設定されている。そして、上環状突起11の突出長さh1と上環状溝51の深さh2との間にはh1<h2という関係が設定されている。このような構成により、第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが引寄せられることで、第2流体給排口部2AとガスケットGとが押合われると、まず上環状突起11と上環状溝51とが嵌り合ってこれら両者2A,Gを所期の位置関係からずれないように相対姿勢を維持するガイド機能が発揮される。そのガイド機能が生じている状態で、次には内外の環状受止め部12,13の内外のテーパ周面12a,13aと、周壁端部52,53の内外のテーパ周面52a,53aとが夫々圧接されて内外の一次シール部S1が形成されるのである。尚、このような関係は、下環状突起21と下環状溝51との間や、第2ガスケットG2の環状溝61と上下の環状突起31,41との間においても成り立つと良い。
嵌合部10については、図8に示すように、環状受止め部12,13の軸心P方向に沿う高さh3と環状突起11の突出長さh1との関係は、h1>h3に設定されている。この図8に示すh1>h3という関係以外に、h1=h3という関係の場合や、h1<h3という関係の場合でも良い。また、環状突起11と環状溝51との圧入でない嵌合を実現させるには、環状突起11と環状溝51夫々の軸心Pに対する内外径の半径をR1,R3,R2,R4としたときに、R1≧R2、かつ、R4≧R3が成り立つように設定すると良い。尚、このような関係は、下環状突起21と下環状溝51との間や、第2ガスケットG2の環状溝61と上下の環状突起31,41との間においても成り立つと良い。
図9に示すように、第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが互いに第1ガスケットG1を介して引寄せられて対応する内テーパ周面12a,52aどうし、及び外テーパ周面13a,53aどうしが圧接することによる分力により、環状溝51を形成すべくその環状溝51の内外径側の夫々に存在する周壁端部52,53が、それらのうちの内径側の周壁端部52が拡径変位し、かつ、外径側の周壁端部53が縮径変位して環状突起11に圧接されて内外の二次シール部S2,S2を形成する状態に構成されている。
即ち、各テーパ周面12a,52a及び13a,53aどうしの圧接により、内径側の周壁端部52には矢印イ方向の分力が、かつ、外径側の周壁端部53には矢印ロ方向の分力が夫々作用することになり、環状溝51の径方向幅が狭まるように内外の周壁端部52,53が変位して環状突起11を締付ける。それにより、溝内側周面51uの先端部と突起内側周面11uの基端部(根元部)とが、かつ、溝外側周面51sの先端部と突起外側周面11s基端部(根元部)とが径方向に圧接されるようになり、従って内外の二次シール部S2,S2が形成されるのである。
一次シール部S1に二次シール部S2が加わることにより、シール性及び耐久性により一層優れる接続構造が実現できている。つまり、ガイドとして機能す嵌合部10が圧入でない嵌合構造として第1ガスケットG1の組付け操作が行い易いものとしながら、一次シール部S1が形成されることによる付随効果として二次シール部S2も形成される利点がある。このような構成は、第1流体給排口部1A及び第2流体給排口部2Aと第2ガスケットG2とにおいても同様である。尚、視覚による作用の理解上、図9においては、環状溝51の径方向幅を環状突起11の径方向幅よりも明確に広くして、内外の周壁端部52,53が環状突起11側に変位する様子を誇張して描いてある。
また、環状受止め部12,13の先端、及び周壁端部52,53の先端はピン角とならないようにカットされた形状、即ち、傾斜カット面12b,13b、並びにカット面52b,53bに形成されている。これらの構成により、上内環状受止め部12の先端が流体通路W1側に若干広がり変形したとしても、もともとカットされた形状であることから、流体通路W1途中に大きく開いた断面三角形状の凹みができるだけとなり、その凹みに存在する流体が容易に流れ出すようになって実質的に液溜りが生じないようになる。加えて、その凹みの開き角度、即ち、傾斜カット面12bと内テーパ周面52aとの挟角は十分に大きく、表面張力による液溜りのおそれも回避される。また、環状突起11先端の内角及び外角は面取り加工された形状11aとしてあるので、幅の狭い環状溝51への圧入移動をかじり等の不都合なく円滑に行えるものとなっている。
尚、図10(a)に示すように、環状突起11を、その先端の内周角部及び外周角部の面取り形状部11aを明確に大きくした断面先細り形状に形成することにより、環状突起11が環状溝51に入り易くされた構成としても良い。このように構成すれば、第1,第2流体給排口部1A,2Aと第1ガスケットG1との組付け時における相対位置が所期する適性状態から多少ずれていることがっても、テーパ面状の内又は外の面取り形状部11aが嵌合ガイドとなって環状突起11が確実に環状溝51内へ導かれるようになるのである。この場合に嵌合部10(二次シール部S2)を設けるには、環状突起11の根元部と環状溝51の先端部との嵌合部によって形成される構成となる。このような構造は、他の環状突起31,21,41や第2ガスケットG2においても同様に構成可能である。
図10(b)に示すように、面取り形状部11aをさらに大きくし、環状突起11の内外の側周面が全て傾斜したテーパ側周面11aとなるよう、顕著に先細り形状化させても良い。この場合には、嵌合ガイドの機能が強化されて、環状突起11の環状溝51への入り易さがさらに容易になる。この場合に嵌合部10(二次シール部S2)を設けるには、環状突起11が環状溝51を押し広げる楔効果が生じて、環状溝51の先端部と環状突起11の根元部とが線接触又は極小さい面積でもって周状に圧接されることとなり、より確実にシール機能を発生させることが可能となる。このような構造は、他の環状突起31,21,41や第2ガスケットG2においても同様に構成可能である。
一方、第2ガスケットG2に当接する上下の第2環状被シール部t12,t22における外径側の環状受止め部33,43は、それらの外テーパ周面33a,43aに続く状態で、バルブケース6の下端部を形成するための下端内周部9bが存在するとともに、環状受止め部23のテーパ内周面23aに続く状態で、パネル材5の上端部を形成するための上端内周部5bが存在しており、上下の第1環状被シール部t11,t21における外径側の環状受止め部13,23とは全体としての形状はやや異なるものであって、図4,5に示す実施例1の場合と同様な構成である。これら上及び下端内周部5b,9bは、第2ガスケットG2の上及び下環状端部g21,g22を上下の第2環状被シール部t12,t22に嵌め合わす際の外径側のガイドとして機能することができる。
嵌合部10についてさらに詳述する。図7,図8に示すように、環状受止め部12,13における環状突起側のテーパ周面12a,13aの開き角(谷部14,15の開き角)Dは50〜70度の範囲の値(50°≦D°≦70°)に設定されており、周壁端部52,53のテーパ周面52a,53aの尖り角Eは60〜80度の範囲の値(60°≦D°≦80°)に設定されている。そして、開き角Dと尖り角Eとには、開き角Dに10〜20度を加えたものが尖り角Eとなる[D°+(10〜20°)=E°]ように設定されている。より好ましい値としては、開き角Dが69〜71度(D°=70±1°)、尖り角Eが79〜81度(E°=80±1°)、及び尖り角Eは開き角D+9〜11度(E°−D°=10±1°)に設定すると良い。
また、環状受止め部12,13の傾斜カット面12b,13bのカット角Dsは49〜51度(Ds°=50°±1°)に設定されており、周壁端部52,53の先端カット面52b,53bの迎え角Esは124〜126度(Es°=125°±1°)に設定されている。このような角度設定により、内テーパ周面12aと内テーパ周面52a及び外テーパ周面13aと外テーパ周面53aの夫々は環状の線接触状態で当接されるようになり、シールリップ効果が二次シール部S2において発揮されるようになる。
つまり、前記第1流体給排口部1Aと前記第2流体給排口部2Aとが互いに引寄せられる方向である引寄せ方向に対する前記周壁端部52,53のテーパ周面52a,53a(内テーパ周面52a、外テーパ周面53a)の尖り角Eが、前記引寄せ方向に対する前記環状受止め部12,13における環状突起11側のテーパ周面12a,13a(内テーパ周面12a、外テーパ周面13a)の開き角Dに10〜20度、好ましくは10度又はほぼ10度加えた値に設定されている。そして、前記尖り角Eが60〜80度、好ましくは80度又はほぼ80度に設定されている。このように尖り角E及び開き角Dを90度に近い鈍角的な値に設定する構成とすれば、環状受止め部12,13は、その径方向幅に比べて引寄せ方向(軸方向)の突出量が小さくなって相対的に強度、剛性が向上することとなり、周壁端部52,53の過度な拡縮変位を規制しながらも、自身(環状受止め部12,13)が拡縮変位するおそれをより効果的に抑制することができる利点がある。
一方、第1及び第2ガスケットG1,G2のうち、接合状態において内径側及び外径側の双方に流体通路7,8が存在する中間ガスケットである第1ガスケットG1は、これの外周部である外周面55aが、第1ガスケットG1の外径側に存する第1流体給排口部1Aの環状の流体通路4aと第2流体給排口部2Aの環状の流体通路8とを連通する環状の流体経路W2を形成するための壁面となる状態に形成されている。このように第1ガスケットG1の内外周面54a,55aの双方が流体通路W1,W2を形成する壁面を兼ねる構成とすれば、「第1ガスケットG1の厚み」=「環状流体通路3a,7と管状流体通路4a,8との間隔」となり、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの接続部をよりコンパクト化することが可能になる。
なお、図6に仮想線で示すように、第2ガスケットG2の外周壁65に横突出するリング状の脱着フランジ1fを一体形成しておけば、第1又は第2流体給排口部1A,2Aから第2ガスケットG2を抜出す際に、工具や手指でフランジ1fを引張る等して外し易くすることができるという利点がある。この場合、脱着フランジ1fの厚みは、接合状態における第1及び第2流体給排口部1A,2Aどうしの間隙よりも小さい値とする。
次に、維持手段Iについて説明する。維持手段Iは、図7,図8に示すように、集積パネル1の第1流体給排口部1Aとバルブ2の第2流体給排口部2Aとが互いに第1及び第2ガスケットG1,G2を介して引寄せるとともに、その引寄せ作用によって、第1流体給排口部1Aの上第1環状被シール部t11及び上第2環状被シール部t12と、第1及び第2ガスケットG1,G2の上環状端部g11,g21とが、及び第2流体給排口部2Aの下第1及び下第2環状被シール部t21,t22と、第1及び第2ガスケットG1,G2の下環状端部g12,g22とがそれぞれ嵌め合わされて各嵌合部10が形成される接合状態を維持するものに構成されている。即ち、第2流体給排口部2Aの環状突起11,31と第1及び第2ガスケットG1,G2の上側の環状溝51,61とが、及び第1流体給排口部1Aの環状突起21,41と第1及び第2ガスケットG1,G2の下側の環状溝51,61とがそれぞれ嵌め合わされる。
維持手段Iの具体構造は、第2流体給排口部2Aの取付フランジ9のボルト挿通孔9aに挿通される一対のボルト66と、一対のボルト挿通孔9a,9aに対応して第1流体給排口部1Aに(パネル材5に)形成されたナット部67,67とで構成されており、ボルト66をナット部67に螺着させての締め付け操作により、バルブ2を集積パネル1に引寄せ、かつ、その引寄せ状態を維持することができる。また、経時変化やクリープ等が生じて各嵌合部10の圧接力が低下した場合には、ボルト66を増し締めすることで対処することができ、良好なシール性能を維持することが可能である。
〔実施例3〕
実施例3による集積パネルと流体デバイスとの接続構造を図16に示す。この接続構造に用いるガスケットGは、図2,3に示すガスケットGにおける内周壁54のみから成るような断面形状(略I型断面形状)を採るものである。即ち、管状の流体通路3が開口する第1流体給排口部1Aを備えた集積パネル1の第1流体給排口部1Aと、管状の流体通路7が開口する第2流体給排口部2Aを備えた流体デバイス2の第2流体給排口部2Aとを、これら第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとの間に介在されるリング状のガスケットGによって流体通路3,7をシールする状態で連通接続する。
第1流体給排口部1A及び第2流体給排口部2Aには、各端面に開口する各流体通路3,7の外径側部分にガスケットGに当接自在な環状被シール部t11,t21が形成され、ガスケットGは、第1,第2流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路3,7どうしを連通すべく形成された流体経路Wと、各環状被シール部t11,t21の夫々に当接自在な環状端部g11,g12とを有する可撓性(フッ素樹脂等)を備えた材料から構成されている。第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが互いにガスケットGを介して引寄せられることによって、第1流体給排口部1Aの環状被シール部t11とガスケットGの一端の環状端部g11とが、及び第2流体給排口部2Aの環状被シール部t21とガスケットGの他端の前記環状端部g12とが夫々当接されて一次シール部(シール部の一例)S1が形成される接合状態が構成され、
一次シール部S1は、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心Pの方向に対して傾斜する状態で各環状被シール部t11,t21に形成されるテーパ周面12a,22aと、これらテーパ周面12a,22aと同方向に傾斜し、かつ、テーパ周面12a,22aに当接自在な状態で各環状端部g11,g12に形成されるテーパ周面52a,52aとを有して構成されている。
ガスケットGの内周面54aは各流体通路3,7どうしを連通するための円管状の流体経路Wに形成されており、外周面55aの上下端部55u,55sは、各流体給排口部1A,2Aの上及び下端内周部9b,5bに沿っている。第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが互いにガスケットGを介して引寄せられて対応するテーパ周面12a,52a,22a,52aどうしが圧接することによる分力により、上下端部55u,55sが拡径変位して各内周部9b,5bに圧接されて二次シール部S2を形成する状態に構成されている。
次に、シール部(一次シール部)S1を構成する種々の別構造を、第2流体給排口部2AとガスケットGの上環状端部g11との嵌合部10について図面を参照しながら簡単に説明する。これら図11〜図15のものは第1ガスケットG1を有する接続構造について描いてあるが、単一のガスケットGを有する接続構造に適用しても良い。
〔第1別構造〕
第1別構造による第2流体給排口部2AとガスケットGとの嵌合部10は、図11に示すように、環状突起11及び環状溝51の双方が、互いに嵌合自在な三角形状に形成された構成を有する接続構造でも良い。それ以外は図2,3等に示す嵌合部10と同じである。この場合、第2流体給排口部2AとガスケットGが強く押し合われるに伴い、環状突起11と環状溝51とがそれらの周面11u,11s,51u,51sどうしが面接触する状態で圧接される二次シール部S2の形成が可能である。
〔第2別構造〕
第2別構造による第2流体給排口部2AとガスケットGとの嵌合部10は、図12に示すように、断面矩形形状の環状溝51に嵌合される環状突起11が三角形状に形成された構成を有する接続構造でも良い。それ以外は図2,3等に示す嵌合部10と同じである。この場合、第2流体給排口部2AとガスケットGが強く押し合われるに伴い、環状突起11の内外の周面11u,11sと、環状溝51の内外の先端角周縁51p,51pとが線接触状態で圧接される二次シール部S2の形成が可能である。
〔第3別構造〕
第3別構造による第2流体給排口部2AとガスケットGとの嵌合部10は、図13に示すように、断面が矩形形状の環状突起11と、断面が三角形状の環状溝51とが嵌合する構成を有する接続構造でも良い。それ以外は図2,3等に示す嵌合部10と同じである。尚、この場合に、環状突起11先端の両角部11a,11aと環状溝51の傾斜内周面51u、傾斜外周面51sとが圧接して二次シール部S2が形成される構成を採っても良い。この場合、第2流体給排口部2AとガスケットGが強く押し合われるに伴い、環状突起11の内外の先端角周縁11p,11pと、環状溝51の内外の周面51u,51sとが線接触状態で圧接される二次シール部S2の形成が可能である。
〔第4別構造〕
第3別構造による第2流体給排口部2AとガスケットGとの嵌合部10は、図14に示すように、断面が矩形形状の環状突起11と、断面が半円弧状の環状溝51とが嵌合する構成を有する接続構造でも良い。それ以外は図2,3等に示す嵌合部10と同じである。この場合、第2流体給排口部2AとガスケットGが強く押し合われるに伴い、環状突起11の内外の先端角周縁11p,11pと、環状溝51の円弧周面51eとが線接触状態で圧接される二次シール部S2の形成が可能である。
〔第5別構造〕
第3別構造による第2流体給排口部2AとガスケットGとの嵌合部10は、図15に示すように、第2流体給排口部2Aが断面凹となる形状で、かつ、ガスケットGが断面凸となる形状に形成されるとともに、図8に示すものから環状突起11及び環状溝51が省略されたような構成の接続構造でも良い。