JPH0649888U - 環状シール部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この考案は、十分なシール機能を発揮する環
状シール部材を提供する。 【構成】 この考案は、流通孔４ａ、４ｂの内壁面から
フランジ部４ｃ、４ｄの接合面に向って拡開するテーパ
部５ａ、５ｂを有する一対の管フランジ２Ａ、２Ｂを備
えた管継手３に装着され一対の管フランジ２Ａ、２Ｂ間
のシールを行う環状シール部材１において、前記テーパ
部５ａ、５ｂに一部が接合するとともにフランジ部４
ｃ、４ｄの接合面側に至るほど大径となる前記管フラン
ジ２Ａ、２Ｂのテーパ部５ａ、５ｂよりもテーパ角度が
小さい外周テーパ部６を有する環状体８により構成した
ものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、一対の管フランジを備えた自緊式構造の管継手に装着され、両管 フランジ間のシールを行う環状シール部材の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術と発明が解決しようとする課題】

従来、グレイロック（登録商標）と称される自緊式の管継手に装着されて使用 されるシール部材が存在している。

【０００３】 この自緊式の管継手は、一対の管フランジを相対向して配置し、管フランジ間 に、断面が逆Ｔ字型になっている環状のシールリングを介装する。そして、クラ ンプで管フランジを緊締することにより、管継手が接続される。前記断面が逆Ｔ 字型をしたシールリングは、両側にテーパ面を有してリップ部と外周面から突出 するリブ部とを有する。そして、この管フランジにおける前記シールリングが装 着される内壁面もテーパ面に形成されているのであるが、前記シールリングにお けるテーパ面とこの管フランジの内壁面のテーパ面とはそのテーパ角度が相違し ている。クランプで一対の管フランジを緊締すると、シールリングのリップ部が 撓み、スプリングバックと称される反発力で初期締めつけが達成される。そして 、この管継手内を流通する流体の高い内圧がシールリングの環状内壁に加わると 、このシールリングのテーパ面が管フランジの内壁面に密着し、シール効果が増 大する。

【０００４】 しかし、このシールリングの場合、その断面が逆Ｔ字状であるという特殊構造 を有している上に、この自緊式の管継手は元々高圧用の管継手であるから、小型 で低圧の管継手用としてはコストもかかって適切ではないという問題があった。

【０００５】 また、自緊式の管継手ではなくガスケットシールを用いた管継手もある。

【０００６】 ガスケットシールを用いた管継手は、自緊式管継手に比べて大型でしかも非常 に重量が大きい。そして、一対の管継手を結合するのに非常に多くのボルトが必 要であり、管継手の締め付け作業や分解作業が煩雑であり、しかも熱サイクルな どの外力に弱いという欠点がある。その上、一度使用されたガスケットは再使用 することができないという問題もある。

【０００７】 この考案は、上記事情に基づいて完成されたものである。この考案の目的は、 小型で低温低圧の管継手用としても十分なシール機能を発揮するとともに、再使 用が可能で過激な熱サイクルの繰り返しにも耐えることができる環状シール部材 を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するための請求項１に記載のこの考案は、流通孔の内壁面から フランジ部の接合面に向かって拡開するテーパ部を有する一対の管フランジを備 えた管継手に装着され一対の管フランジ間のシールを行う環状シール部材におい て、前記テーパ部に一部が接合すると共にフランジ部の接合面側に至るほど大径 となる前記管フランジのテーパ部よりもテーパ角度が小さい外周テーパ部を有す る環状体により構成してなることを特徴とする環状シール部材である。

【０００９】 請求項２に記載の考案は、外周面の全周にわたって凹陥部を設けてなる前記請 求項１に記載の環状シール部材である。

【００１０】 請求項３に記載の発明は、内周面の全周にわたって凹陥部を設けてなる前記請 求項１または２に記載の環状シール部材である。

【００１１】

【作用】

上述した構成の環状シール部材によれば、一対の管フランジの流通孔の内壁面 から管フランジの接合面に向って拡開するテーパ部に対して、このテーパ部に一 部が接合するとともにフランジ部の接合面側に至るほど大径となる外周テーパ部 を具備し、この外周テーパ部のテーパ角度を前記管フランジのテーパ部のテーパ 角度よりも小さく設定した環状体により構成したので、一対の管フランジの締め 付け時には前記環状体が管フランジのテーパ部に一部のみが接合しつつ弾性領域 で撓み、スプリングバックによる反発力で管フランジのテーパ部に一部のみが密 接する。

【００１２】 また、一対の管フランジの実際の使用時には、前記流通孔内の内圧が高くなる ほど管フランジのテーパ部に密接している環状体の一部のシール面圧が高まり高 いシール性能が得られる。

【００１３】 前記環状体の外周テーパ部の全周に亘って、又は、内周に全周に亘って凹陥部 を設けることより、前記流通孔内の内圧に対する均一な応力を得ることができる 。

【００１４】

【実施例】

以下にこの考案の実施例を詳細に説明する。

【００１５】 図１に示す環状シール部材１は、一対の管フランジ２Ａ、２Ｂからなる管継手 ３に装着され、前記一対の管フランジ２Ａ、２Ｂ間のシールを行うようになって いる。

【００１６】 前記管継手３の一対の管フランジ２Ａ、２Ｂは、流通孔４ａ、４ｂの内壁面か らフランジ部４ｃ、４ｄの相互の接合面に向って拡開するテーパ部５ａ、５ｂを 有している。

【００１７】 前記環状シール部材１は、前記テーパ部５ａ、５ｂに一部が接合するとともに フランジ部４ｃ、４ｄの接合面側に至るほど大径となる前記管フランジ２Ａ、２ Ｂのテーパ部５ａ、５ｂよりもテーパ角度が小さい外周テーパ部６と、前記流通 孔４ａ、４ｂと等しい内径の抜穴７とを設けた環状体８により構成している。 このような形状の環状シール部材１は、図２に示すように、市販の弾性体からな る円環状のシールリング１０の外周部分（点線部分）を切削加工することで安価 に形成することができる。

【００１８】 次に、前記環状シール部材１の作用を図３をも参照して説明する。

【００１９】 上述した構成の環状シール部材１によれば、一対の管フランジ２Ａ、２Ｂの流 通孔４ａ、４ｂの内壁面からフランジ部４ｃ、４ｄの接合面に向って拡開するテ ーパ部５ａ、５ｂに対して、このテーパ部５ａ、５ｂに一部が接合するとともに フランジ部４ｃ、４ｄの接合面側に至るほど大径となる外周テーパ部６を具備し 、この外周テーパ部６のテーパ角度を前記テーパ部５ａ、５ｂのテーパ角度より も小さく設定した環状体８により構成したので、一対の管フランジ２Ａ、２Ｂの 締め付け時には前記環状体８が管フランジ２Ａ、２Ｂのテーパ部５ａ、５ｂに一 部のみが接合しつつ弾性領域で撓みスプリングバックによる反発力で管フランジ ２Ａ、２Ｂのテーパ部５ａ、５ｂに外周テーパ部６の一部のみが密接する。 ま た、管継手３の一対の管フランジ２Ａ、２Ｂの実際の使用時には、前記流通孔４ ａ、４ｂ内の内圧が高くなるほど前記テーパ部５ａ、５ｂに密接している環状体 ８の一部の図３に示すシール面圧Ｐが高まり、これにより、一対の管フランジ２ Ａ、２Ｂに対する高いシール性能が得られる。

【００２０】 また、この環状シール部材１は、環状体８により構成しているので、再使用が 可能であるとともに過激な熱サイクルの繰り返しにも耐えることが可能である。

【００２１】 尚、前記環状体８の外周全体に所定材料のコーティングを施すと、一対の管フ ランジ２Ａ、２Ｂとの接触による傷の発生を未然に防止できる。

【００２２】 また、前記管継手３として自緊式のものを用いる場合には、小さい径の管フラ ンジ２Ａ、２Ｂを使用することができ、この場合には、締め付けボルトの本数を 減らすことが可能となる。

【００２３】 図４に示す環状シール部材１１は、前記環状体８の外周テーパ部６の全周に亘 って凹陥部１２を設けたことが特徴である。

【００２４】 このような環状シール部材１１によれば、上述した環状シール部材１の作用に 加えて、前記凹陥部１２により塑性変形を防止でき、また、前記流通孔４ａ、４ ｂ内の内圧の不均一性が生じた場合でも環状体８に均一な応力を発揮させること ができる利点がある。

【００２５】 図５に示す環状シール部材２１は、前記環状体８の抜穴７の全周に亘って凹陥 部２２を設けたことが特徴である。

【００２６】 このような環状シール部材２１によれば、上述した環状シール部材１の作用に 加えて、前記凹陥部２２により塑性変形を防止でき、また、前記流通孔４ａ、４ ｂ内の内圧の不均一性が生じた場合でも環状体８に均一な応力を発揮させること ができる利点がある。

【００２７】 この考案は、上述した実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で 種々の変形が可能である。

【００２８】

【考案の効果】

以上詳述したこの考案によれば、上述した環状弾性体特有の形状により高いシ ール性能を発揮する環状シール部材を提供することができる。

【００２９】 また、前記環状体の外周テーパ部の全周に亘って、又は、内周に全周に亘って 凹陥部を設けることより、前記流通孔内の内圧に対する均一な応力を得ることが できる環状シール部材を提供することができる。。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この考案の実施例である環状シール部
材を管継手に装着した状態を示す断面図である。

【図２】図２は、本実施例の環状シール部材の製造例を
示す拡大断面図である。

【図３】図３は、本実施例の環状シール部材の動作説明
図である。

【図４】図４は、本実施例の環状シール部材の他例を示
す一部切欠断面図である。

【図５】図５は、本実施例の環状シール部材のさらに別
の例を示す一部切欠断面図である。

【符号の説明】

１ 環状シール部材 ２Ａ、２Ｂ 管フランジ ３ 管継手 ４ａ、４ｂ 流通孔 ４ｃ、４ｄ フランジ部 ５ａ、５ｂ テーパ部 ６ 外周テーパ部 ８ 環状体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 東 政一 東京都東村山市野口町２丁目16番２号 日 機装株式会社東村山製作所内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 流通孔の内壁面からフランジ部の接合面
   に向かって拡開するテーパ部を有する一対の管フランジ
   を備えた管継手に装着され一対の管フランジ間のシール
   を行う環状シール部材において、前記テーパ部に一部が
   接合すると共にフランジ部の接合面側に至るほど大径と
   なる前記管フランジのテーパ部よりもテーパ角度が小さ
   い外周テーパ部を有する環状体により構成してなること
   を特徴とする環状シール部材。
2. 【請求項２】 外周面の全周にわたって凹陥部を設けて
   なる前記請求項１に記載の環状シール部材。
3. 【請求項３】 内周面の全周にわたって凹陥部を設けて
   なる前記請求項１または２に記載の環状シール部材。