JP2007046153A - 陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法 - Google Patents

陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007046153A
JP2007046153A JP2006180457A JP2006180457A JP2007046153A JP 2007046153 A JP2007046153 A JP 2007046153A JP 2006180457 A JP2006180457 A JP 2006180457A JP 2006180457 A JP2006180457 A JP 2006180457A JP 2007046153 A JP2007046153 A JP 2007046153A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
film
aluminum alloy
anodized
stripping solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006180457A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4994719B2 (ja
Inventor
Katsuyuki Iijima
勝之 飯島
Tetsuo Suzuki
哲雄 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2006180457A priority Critical patent/JP4994719B2/ja
Publication of JP2007046153A publication Critical patent/JP2007046153A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4994719B2 publication Critical patent/JP4994719B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)

Abstract

【課題】陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の陽極酸化被膜を選択的に除去すること。
【解決手段】アルカリ成分、二価亜鉛イオン、三価鉄イオン、キレート剤、及び、硝酸イオンを含むことを特徴とする剥離液を用いることによって、アルミニウム又はアルミニウム合金製部材の陽極酸化被膜を選択的に除去することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金製部材を陽極酸化して得られる陽極酸化被膜を選択的に剥離する剥離液、及び、該剥離液を用いた陽極酸化被膜の剥離方法に関する。
アルミニウム又はアルミニウム合金製部材には、その表面を硬化したり、或は、表面に耐食性を付与する目的で陽極酸化処理が施されている場合がある。陽極酸化処理により形成された陽極酸化被膜を、部分的に除去したり再処理する必要がある場合には、化学エッチング法やショットブラスト法などにより、陽極酸化被膜の除去が行われている。
化学エッチング法では、剥離液(エッチング液)として、(1)リン酸とクロム酸の混合液(2)水酸化ナトリウム水溶液(3)硫酸とフッ酸との混合液(4)硫酸とフッ化カリウムの混合液(5)硝酸とフッ酸との混合液などが用いられている(非特許文献1)。また、特許文献1には、半導体製造装置用アルミニウム部品の再生方法の中で、酸化被膜を除去する方法として、リン酸・クロム酸溶液、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液によるエッチングが開示されている。特許文献2には、従来用いられている硫酸系薬液が下地を腐食したり、有害であることに鑑み、化学的な方法ではなくショットブラストによるアルマイト剥離処理方法が開示されている。
特開2004−211128号公報 特開昭61−90777号公報 軽金属協会編「アルミニウム百科事典」
リン酸とクロム酸との混合液は、下地金属であるアルミニウム又はアルミニウム合金製部材を傷めることはないが、陽極酸化被膜を効率的に溶解させるためには溶解温度を95℃〜100℃と高く保つ必要があり、また環境に有害なクロムを含むために、廃液や排水の処理が大掛かりになる。水酸化ナトリウム水溶液は、常温から60℃程度の温度で効率的に陽極酸化被膜を溶解除去できるが、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金も溶解するため、被膜剥離過程で部材の寸法変化が大きく生じる。硫酸とフッ酸の混合液、硫酸とフッ化カリウムの混合液、硝酸とフッ酸の混合液もいずれも常温で効率的に陽極酸化被膜を除去できるが、水酸化ナトリウム水溶液と同様に、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金も溶解するため、被膜除去過程で部材の寸法変化が大きく生じる。
半導体デバイス製造装置に使用される部品のように、高い寸法精度が要求される部材の陽極酸化被膜を除去する目的には、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金を溶解する剥離方法は好ましくない。ショットブラスト等の機械的な剥離方法は、板、棒などの単純な形状の材料に対しては適用可能であるが、複雑な形状の部材に対しては適用できない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の陽極酸化被膜を選択的に除去することである。
上記課題を解決することのできた本発明は、アルカリ成分、二価亜鉛イオン、三価鉄イオン、キレート剤、及び、硝酸イオンを含むことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の陽極酸化被膜の剥離液である。剥離液に陽極酸化被膜を溶解するアルカリ成分と、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の表面に新たな被膜を形成する二価亜鉛イオンとを共存させることによって、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金の溶解を抑制しつつ、陽極酸化被膜を選択的に除去することができる。
前記剥離液中の硝酸イオンは、均一な亜鉛被膜が形成されるのを促進するために添加されるものであり、三価鉄イオンは、亜鉛被膜が過度に析出するのを抑制するものである。また、キレート剤は、三価鉄イオンをキレートして、三価鉄イオンが水に不溶の水酸化物を形成するのを抑制する。
前記剥離液としては、水酸化物イオン濃度として10g/l〜100g/lのアルカリ成分、2g/l〜20g/lの二価亜鉛イオン、0.1g/l〜1g/lの三価鉄イオン、0.3g/l〜3g/lの硝酸イオンを含有するものが好適である。前記剥離液は、さらに500ppm〜5,000ppmの第2級アミンを含むことができる。
本発明の陽極酸化被膜の剥離方法は、陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材を、陽極酸化被膜を溶解する成分とアルミニウム又はアルミニウム合金表面に新たな被膜を形成する成分とを共存させた剥離液に浸漬して、陽極酸化被膜を除去するとともに新たな被膜を形成させた後、新たに形成された被膜を除去することを特徴とする。具体的には、陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材を、前記剥離液に浸漬して、陽極酸化被膜を除去するとともに、アルミニウム又はアルミニウム合金製部材の表面に亜鉛被膜を付着させ、フッ素イオンを2g/l〜24g/l含む濃度100g/l〜360g/lの硝酸に浸漬して、前記亜鉛被膜を除去することが好ましい。
本発明によれば、陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の陽極酸化被膜を選択的に除去することが可能である。そのため、寸法精度が要求される半導体デバイス製造装置などに使用されるアルミニウム又はアルミニウム合金製部品から陽極酸化被膜を除去するのに適している。
本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の陽極酸化被膜の剥離液は、アルカリ成分、二価亜鉛イオン、三価鉄イオン、キレート剤、及び、硝酸イオンを含むことを特徴とする。
まず、前記アルカリ成分について説明する。前記アルカリ成分は、陽極酸化被膜を除去(好適には溶解除去)するための成分であり、水に溶けて水酸化物イオンを生じる物質であれば、特に限定されない。前記アルカリ成分の剥離液中の濃度は、水酸化物イオン濃度として10g/l以上、より好ましくは25g/l以上であって、100g/l以下、より好ましくは75g/l以下であることが望ましい。水酸化物イオンの濃度が10g/l未満では、陽極酸化被膜を効率的に溶解させることが困難であり、水酸化物イオンの濃度が100g/l超では、アルカリ成分と陽極酸化被膜との反応速度が速くなりすぎて、制御が困難になるとともに、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金などを溶解する速度も速くなり、被膜除去前後での寸法変化を抑制することが困難になるからである。前記アルカリ成分として好適なものとしては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの強アルカリ成分を挙げることができる。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの強アルカリ成分を使用すれば、常温から40℃程度の温度で効率的に陽極酸化被膜を溶解除去できるからである。
剥離液中の二価亜鉛イオンは、陽極酸化被膜が除去されて、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金が露出した際に、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に析出し新たな被膜を形成することで、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金がアルカリ成分によって溶解されるのを抑制する。前記二価亜鉛イオンは、高濃度のアルカリ水溶液中では、亜鉛酸[(Zn(OH)42−]の形で溶解していると言われている。前記二価亜鉛イオン濃度としては、2g/l以上、より好ましくは4g/l以上であって、20g/l以下、より好ましくは10g/l以下であることが望ましい。二価亜鉛イオン濃度が2g/lより低いと、陽極酸化被膜が除去された後、アルミニウム又はアルミニウム合金表面に効率的に亜鉛被膜が形成されない。また、二価亜鉛イオン濃度が20g/lより濃くなると、亜鉛被膜の析出速度が速くなり過ぎて被膜がポーラスとなり、アルカリ成分に対する防御機能が低下するからである。亜鉛イオンは、塩化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等の形態で剥離液に添加することができる。
アルミニウム又はアルミニウム合金表面への亜鉛の析出は、電気化学的な反応により生じるが、亜鉛の過度な析出を抑制するために三価の鉄イオン(Fe3+)の添加が効果的である。但し、強アルカリ水溶液中では、三価の鉄イオンは不溶性の水酸化物を形成するので、これを抑制するためにキレート剤を併せて添加する必要がある。キレート剤としては、カルボキシル基を有していることが好ましく、最も適したキレート剤は、分子内にカルボキシル基と水酸基とを有するヒドロキシカルボン酸であり、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、又は、その金属塩等である。
前記三価の鉄イオンの濃度は、0.1g/l〜1g/lが好ましく、0.1g/l未満では過剰な亜鉛の析出を十分に抑制できず、また、1g/lを超えると亜鉛の析出が不十分となり一様な亜鉛被膜が形成されにくくなる。
前記キレート剤の濃度は、水酸化鉄の生成を抑制するのに十分な濃度であれば良く、溶液中において、前記キレート剤のカルボキシル基のモル数が、鉄イオンのモル数の10倍から100倍となるのが好ましく、10倍から60倍となるのがより好ましく、10倍から50倍となるのがより好ましい。キレート剤のカルボキシル基のモル数が、鉄イオンのモル数の10倍に満たない場合には、不溶性の水酸化鉄が沈殿する場合がある。また、鉄イオンのモル数の100倍を超えてもその効果は変わらない。
本発明において、硝酸イオン(NO )は、均一な亜鉛被膜を形成するのに効果的である。硝酸イオンは、硝酸カリウム又は硝酸ナトリウムの形態で添加することが好ましい。前記硝酸イオンの濃度は、0.3g/l〜3g/lが好適である。0.3g/l未満では亜鉛の過剰な析出を効果的に抑制できず、また3g/lを超えると亜鉛の析出が不十分となり、亜鉛被膜が十分に形成されなくなる。
前記剥離液は、さらに500ppm〜5,000ppmの第2級アミンを含むものであることが好ましい。前記剥離液が、第2級アミンを500ppm〜5,000ppm含有することによって、陽極酸化被膜が除去されて、下地のアルミニウム又はアルミニウム合金表面が露出して亜鉛が析出する際に、緻密な亜鉛被膜が形成されやすくなるからである。前記第2級アミンとしては、例えば、ジブチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミンなどを挙げることができる。
前記剥離液を用いて陽極酸化被膜を剥離すると、アルミニウム又はアルミニウム合金製部材の表面に亜鉛が析出して被膜を形成する。従って、後処理として析出した亜鉛被膜を除去する必要がある。亜鉛被膜の除去は、硝酸水溶液に浸漬することで容易に行える。硝酸水溶液は、亜鉛を溶解除去するが、アルミニウム又はアルミニウム合金を実質的に溶解しないので、亜鉛被膜を選択的に除去できる。さらに、硝酸水溶液に微量のフッ素イオンを添加することも好ましい態様である。下地のアルミニウム又はアルミニウム合金を若干溶解するようになるが、亜鉛被膜の除去が一層効果的となるからである。フッ素イオンの濃度は、2g/l〜24g/lが好適である。2g/l未満では、フッ素イオンの添加効果が小さく、24g/lを超えると下地のアルミニウム又はアルミニウム合金を溶解し過ぎるからである。前記フッ素イオンは、フッ化水素酸、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等の形態で添加することが好ましい。
本発明を適用できる陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材としては、特に限定されるものではないが、ドライエッチング、CVD、スパッタリング装置等の半導体デバイス製造に使用される装置において、これらの半導体製造用装置を構成する部品として使用されるものであり、具体例としては、チャンバー、排気分散板、シャワープレート、電極板、静電チャック基板等を挙げることができる。また、前記アルミニウム合金は、特に限定されず、例えば、JIS H 4000に定められている1080、1070、1050、1100、1200、1N00、2014、2017、2024、3003、3203、3004、3005、5005、5052、5652、5154、5254、5454、5082、5182、5083、5086、5N01、6061、6063、7N01、7075等のアルミニウム合金を挙げることができる。
前記剥離液を用いて、陽極酸化被膜の剥離を行うと、まれに下地のアルミニウムの一部に色調の異なる部分(以後、「表面斑」と称する場合がある)が観察される場合がある。表面斑をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)によって調べたが、周囲との違いは認められなかった事から、陽極酸化被膜の残留や不純物の付着により生じたとは考えられない。詳細な原因は不明であるが、表面斑は陽極酸化被膜が剥離する過程で、表面粗度が不均一になることによって生じたと考えられる。例えば、処理部材の表面に汚染物が付着していると、その場所は陽極酸化被膜が剥離し、アルミニウム又はアルミニウム合金が露出した際に亜鉛被膜の形成が阻害されてしまい、アルミニウム又はアルミニウム合金がアルカリ成分によって溶解されるのを抑制できなくなる。その為、周囲とはエッチングのされ方が異なり、表面粗度が周囲とは異なってしまう。
陽極酸化被膜剥離後のアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の表面斑を無くして、意匠性を高めたい場合には、部材表面に硬質微粒子を衝突させて、部材の表面粗度を面内で均一化させる事が好ましい。
部材表面に硬質微粒子を衝突させる方法としては、アルミニウム又はアルミニウム合金製部材の表面を過度に傷つけないものであれば特に限定されないが、エアーブラストやショットブラストなどの処理が好ましい。ここで、硬質微粒子を構成する部材としては、被処理対象のアルミニウム又はアルミニウム合金よりも硬い材料であれば特に限定されず、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、珪砂、アルミナ、ガラスビーズなどを挙げることができる。ここで用いられる硬質微粒子は、最大粒子径が130μm以下の粒子であることが好ましく、体積粒子径分布における累積高さ50%の粒径が105μm以下の粒子であることがより好ましい。最大粒子径が130μmよりも大きいものを硬質微粒子として用いた場合には、部材へのダメージが大きくなる。硬質微粒子として、例えば(株)フジミインコーポレーテッド社のWA(白色アルミナ質研磨材)粒子を用いる場合は、#240から#8000までを用いることができる。
上記硬質微粒子の衝突をエアーブラストによって行う場合には、処理時のエアー圧は、0.1MPa〜1MPaの範囲であることが好ましい。
なお、硬質微粒子の衝突によって処理したアルミニウム又はアルミニウム合金製部材は、(株)KEYENCE社製 超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500を用いてその表面の任意の10ヵ所を1000倍で拡大して撮影した部位を、同社のソフトウェア「形状解析アプリケーションVK−H1A9」を用いて、2001−JIA規格に準拠してカットオフ値をλ=2.5マイクロメートル、λ=250マイクロメートルとして撮影部位全体の算術平均粗さ(Ra)を測定した場合に、該10ヵ所の最大値と最小値の差が2.5マイクロメートル以内になるようにすることが好ましい。
前記処理後のアルミニウムおよびアルミニウム合金製部材は、アルミニウムのエッチングに一般的に使用できる薬剤溶液中でエッチングすることによって、衝突によって表面に付着した硬質微粒子を除去することが可能である。例えば、50℃に加熱した10wt%のNaOH水溶液に2分間浸漬した後、室温下で20wt%の硝酸溶液に浸漬することで達成できる。
陽極酸化被膜剥離後のアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の表面斑を無くす方法としては、前処理として、アルミニウム又はアルミニウム合金製部材の表面に付着している汚染物を予め除去しておくことも有効である。例えば、陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材を、実質的に陽極酸化被膜を溶解させない化学薬品に浸漬して、陽極酸化被膜上に付着した汚染物を予め除去しておく方法を挙げることができる。汚染物として、皮脂などの易溶性の有機物が付着している場合にはアセトンやエタノール等の溶媒を用いることができ、樹脂等の難溶性の物質が付着している場合には、過酸化水素、過酸化水素と炭酸ナトリウムとの混合溶液、オゾン水等に浸漬することが有効である。
陽極酸化被膜上に付着した汚染物を予め除去しておく場合に、汚染物のすべてが除去されずに一部残留し、それが原因で剥離液に浸漬した場合に表面斑が発生した場合は、エアーブラストやショットブラストの様な物理的処理を併用することも可能である。
(実験例1)
幅20mm×長さ60mm×厚さ4mmの6063アルミニウム合金に、硫酸系処理液を用いて厚さ10μmの陽極酸化被膜を形成させた後、封孔処理を行った試験片を用い、以下の剥離試験を実施した。試験片の長手方向に沿って端から30mmまでの表面を粘着テープで覆い、剥離液と接触しないようにした。この試験片を表1に示した剥離液にそれぞれ5枚ずつ浸漬し、浸漬してから5分後、10分後、15分後、20分後、25分後にそれぞれから1枚ずつ取出した。取出した試験片を水洗した後、5g/lのフッ素イオンを含む濃度200g/lの硝酸に1分間浸漬し、水洗、乾燥を行った。その後、粘着テープを剥がし、テープでマスクされた面と剥離液に接触した面との段差を触針式段差計を用いて測定した。結果を図1に示した。
図1から明かなように、通常のNaOH水溶液(剥離液3)を使用した場合、陽極酸化被膜が除去された後も、下地のアルミニウム合金が溶解するため、段差が時間とともに大きくなることが分かる。これに対して、本発明の剥離液1及び2を使用した場合、段差が大きくなる速度が顕著に遅くなっていることが分かる。これは、陽極酸化被膜が除去されて、下地のアルミニウム合金が露出すると、その表面に亜鉛被膜が析出して下地のアルミニウム合金が溶解するのを抑制したためだと考えられる。
(実験例2)
外径270mm×厚さ5mmの6061アルミニウム合金製のプレートに、直径0.5mmの孔が多数形成されたシャワープレートの陽極酸化被膜の除去を行った。陽極酸化被膜は、孔の内壁を含めて全面に設けられている。
前記シャワープレートを常温で表1の剥離液2及び3に20分浸漬した後、水洗し5g/lのフッ素イオンを含む濃度200g/lの硝酸に3分間浸漬した。さらに、水洗、乾燥を行い、孔の状態を光学顕微鏡で観察した。結果を図2(a)〜(c)に示した。
図2(a)は、剥離液で処理前のシャワープレートの孔の状態(平面図)を示す図面代用写真である。孔の内壁には厚さ約30μmの陽極酸化被膜が形成されている。図2(b)は、本発明の剥離液を用いて処理したシャワープレートの孔の状態(平面図)を示す図面代用写真である。図2(c)は、剥離液として従来のNaOH水溶液を用いて処理したシャワープレートの孔の状態(平面図)を示す図面代用写真である。図2(a)と図2(b)とを比較すると、本発明の剥離液2を使用した場合、シャワープレートに設けられた孔の直径がほとんど変化せず、陽極酸化被膜が選択的に除去されていることが分かる。一方、図2(a)と図2(c)とを比較すると、陽極酸化被膜はきれいに除去されているものの、孔の直径が約30μmほど大きくなっていることから、下地のアルミニウム合金が溶解除去されていることが分かる。
(実験例3)
幅20mm×長さ60mm×厚さ4mmの6061アルミニウム合金に、硫酸系処理液を用いて厚さ10μmの陽極酸化被膜を形成させた後、封孔処理を行った試験片を作製した。試験片に日東電工(株)製の表面保護材SPV−224を貼り付けて6ヶ月放置した後、表面保護材SPV−224を剥がす事により、汚染物を模擬した粘着成分が付着した試験片を作製した。
粘着成分が付着した模擬試験片を実施例1記載の剥離液1に30分間浸漬した。取り出した試験片を水洗した後、5g/lのフッ素イオンを含む濃度200g/lの硝酸に1分間浸漬し、水洗、乾燥を行った。その際、試験片表面はほとんどが白くなったが、一部に金属光沢を持った銀色の場所(表面斑)が確認できた。
次に、表面斑を持った試験片にエアーブラスト処理を行った。ブラスト条件は、粒子種:フジミインコーポレーテッド社製のWA−400(最大粒子径:75μm、累積高さ50%点の粒子径:30.9±2.0μm、アルミナ粒子)、エアー圧:0.4MPa、試験片と吹きつけ部との距離:100mm、吹きつけ時間:4秒である。その後、10wt%の水酸化ナトリウム水溶液に50℃で2分間浸漬した後、2分間水洗し、さらに20wt%硝酸水溶液中で2分間浸漬した。取り出した試験片は、全体が白くなっており、銀色の部分は確認できなかった。
(実験例4)
幅20mm×長さ60mm×厚さ4mmの6063アルミニウム合金に、硫酸系処理液を用いて厚さ10μmの陽極酸化被膜を形成させた後、封孔処理を行った試験片を作製した。試験片に日東電工(株)製の表面保護材SPV−224を貼り付けて6ヶ月放置した後、表面保護材SPV−224を剥がす事により、汚染物を模擬した粘着成分が付着した試験片を作製した。
粘着成分が付着した試験片を3wt%H,5wt%NaCO水溶液に50℃で60分間浸漬し、水洗を行った後、実施例1記載の剥離液1に30分間浸漬した。取り出した試験片を水洗した後、5g/lのフッ素イオンを含む濃度200g/lの硝酸に1分間浸漬し、水洗、乾燥を行ったところ、表面斑の無い試験片が得られた。
本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金製部材に設けられた陽極酸化被膜の除去に好適である。
陽極酸化被膜の除去の様子を経時的に示すグラフである。 剥離液で処理前後のアルミニウム合金製シャワープレートの孔に設けられた陽極酸化被膜の剥離状態を示す図面代用写真である。

Claims (9)

  1. アルカリ成分、二価亜鉛イオン、三価鉄イオン、キレート剤、及び、硝酸イオンを含むことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金製部材の陽極酸化被膜剥離液。
  2. 水酸化物イオン濃度として10g/l〜100g/lの前記アルカリ成分、
    2g/l〜20g/lの前記二価亜鉛イオン、
    0.1g/l〜1g/lの前記三価鉄イオン、
    0.3g/l〜3g/lの前記硝酸イオンを含有する請求項1に記載の剥離液。
  3. 前記キレート剤がカルボキシル基を有する請求項1に記載の剥離液。
  4. 前記剥離液は、さらに500ppm〜5,000ppmの第2級アミンを含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の剥離液。
  5. 陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離液に浸漬した後、次いで、フッ素イオンを2g/l〜24g/l含む濃度100g/l〜360g/lの硝酸に浸漬することを特徴とする陽極酸化被膜の剥離方法。
  6. 陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材を、陽極酸化被膜を溶解する成分とアルミニウム又はアルミニウム合金表面に新たな被膜を形成する成分とを共存させた剥離液に浸漬して、陽極酸化被膜を除去するとともに新たな被膜を形成させた後、新たに形成された被膜を除去することを特徴とする陽極酸化被膜の剥離方法。
  7. 陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離液に浸漬した後、次いで、フッ素イオンを2g/l〜24g/l含む濃度100g/l〜360g/lの硝酸に浸漬した後、硬質微粒子を表面に衝突させて、さらに表面をエッチングすることを特徴とする陽極酸化被膜の剥離方法。
  8. 前記硬質微粒子を表面に衝突させる手段が、エアーブラスト又はショットブラストである請求項7に記載の陽極酸化被膜の剥離方法。
  9. 表面上に付着している汚染物を予め除去した陽極酸化処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金製部材を用いる請求項5、7、又は、8のいずれか一項に記載の陽極酸化被膜の剥離方法。
JP2006180457A 2005-07-15 2006-06-29 陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法 Expired - Fee Related JP4994719B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006180457A JP4994719B2 (ja) 2005-07-15 2006-06-29 陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005207585 2005-07-15
JP2005207585 2005-07-15
JP2006180457A JP4994719B2 (ja) 2005-07-15 2006-06-29 陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007046153A true JP2007046153A (ja) 2007-02-22
JP4994719B2 JP4994719B2 (ja) 2012-08-08

Family

ID=37849222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006180457A Expired - Fee Related JP4994719B2 (ja) 2005-07-15 2006-06-29 陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4994719B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114318461A (zh) * 2021-12-31 2022-04-12 深圳市晋铭航空技术有限公司 一种铝合金零件实现局部润滑的表面处理方法
CN114395785A (zh) * 2022-01-04 2022-04-26 富泰华工业(深圳)有限公司 一种用于阳极氧化后的铝合金件的处理方法
JP7090486B2 (ja) 2018-06-21 2022-06-24 株式会社アルバック アルミニウム表面処理方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60181282A (ja) * 1984-02-24 1985-09-14 Okuno Seiyaku Kogyo Kk アルミニウム合金の表面処理法
JPS6130684A (ja) * 1984-07-19 1986-02-12 Tateyama Alum Kogyo Kk アルミニウム又はアルミニウム合金の表面処理方法
JPS6196086A (ja) * 1984-10-15 1986-05-14 Tateyama Alum Kogyo Kk アルミニウム又はアルミニウム合金の表面処理方法
JPS62256995A (ja) * 1986-04-30 1987-11-09 Fujita Shoji Kk 酸化皮膜を有するアルミニウム系金属の表面処理方法
JPH11293476A (ja) * 1998-04-16 1999-10-26 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属の表面処理方法、および該表面処理方法により得られた表面を有する金属部材
JP2003171793A (ja) * 2001-12-06 2003-06-20 Fuji Kogyo Co Ltd アルミニウム合金上への陽極酸化皮膜の形成方法
JP2004211128A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Creative Technology:Kk 半導体製造装置用アルミニウム製部品の再生方法
JP2004323913A (ja) * 2003-04-24 2004-11-18 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属の潤滑表面処理方法、および該潤滑表面処理方法により得られた潤滑表面を有する潤滑性金属部材
JP2004536228A (ja) * 2001-07-20 2004-12-02 アルキャン・インターナショナル・リミテッド 粗面化された表面を備えたアルミニウム合金シート

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60181282A (ja) * 1984-02-24 1985-09-14 Okuno Seiyaku Kogyo Kk アルミニウム合金の表面処理法
JPS6130684A (ja) * 1984-07-19 1986-02-12 Tateyama Alum Kogyo Kk アルミニウム又はアルミニウム合金の表面処理方法
JPS6196086A (ja) * 1984-10-15 1986-05-14 Tateyama Alum Kogyo Kk アルミニウム又はアルミニウム合金の表面処理方法
JPS62256995A (ja) * 1986-04-30 1987-11-09 Fujita Shoji Kk 酸化皮膜を有するアルミニウム系金属の表面処理方法
JPH11293476A (ja) * 1998-04-16 1999-10-26 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属の表面処理方法、および該表面処理方法により得られた表面を有する金属部材
JP2004536228A (ja) * 2001-07-20 2004-12-02 アルキャン・インターナショナル・リミテッド 粗面化された表面を備えたアルミニウム合金シート
JP2003171793A (ja) * 2001-12-06 2003-06-20 Fuji Kogyo Co Ltd アルミニウム合金上への陽極酸化皮膜の形成方法
JP2004211128A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Creative Technology:Kk 半導体製造装置用アルミニウム製部品の再生方法
JP2004323913A (ja) * 2003-04-24 2004-11-18 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属の潤滑表面処理方法、および該潤滑表面処理方法により得られた潤滑表面を有する潤滑性金属部材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7090486B2 (ja) 2018-06-21 2022-06-24 株式会社アルバック アルミニウム表面処理方法
CN114318461A (zh) * 2021-12-31 2022-04-12 深圳市晋铭航空技术有限公司 一种铝合金零件实现局部润滑的表面处理方法
CN114318461B (zh) * 2021-12-31 2023-02-28 深圳市晋铭航空技术有限公司 一种铝合金零件实现局部润滑的表面处理方法
CN114395785A (zh) * 2022-01-04 2022-04-26 富泰华工业(深圳)有限公司 一种用于阳极氧化后的铝合金件的处理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4994719B2 (ja) 2012-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6590060B2 (ja) プリント配線板の製造方法
JP5370014B2 (ja) 陽極酸化皮膜の封孔処理方法
US8337634B2 (en) Methods and removers for removing anodized films
CN105000530B (zh) 制造强化的钟表组件的方法和相应的钟表组件和钟表
JP2008190033A (ja) 陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法
JP4994719B2 (ja) 陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法
JP2011137206A (ja) アルミニウム合金のめっき前処理方法
TW201325744A (zh) 具有氧化釔包覆層的工件的污染物的處理方法
KR101792078B1 (ko) 반응기 표면의 선택적 에칭
JP2003277960A (ja) マグネシウム合金の表面処理方法
JPS6320489A (ja) めつきの剥離方法
JP2002162755A (ja) 半導体素子の製造方法
JP4285649B2 (ja) アルミニウムダイカスト素材のエッチング時発生する珪素成分及び還元性金属塩を除去するための表面処理組成物及び処理方法
JP2008031038A (ja) 石英ガラス表面の洗浄方法
TWI569894B (zh) Pollutant Treatment Method for Sprinkler with Silicon Carbide Coated
JP3124127B2 (ja) 半導体製造装置等の清掃方法
JP2004315864A (ja) アルミ鋳物素地の表面処理方法
US11377745B2 (en) Stripping of coatings Al-containing coatings
TWI567510B (zh) 具有烷基醯胺混合物之剝離組成物
JP3252186B2 (ja) エッチング剤
KR20050034491A (ko) 세라믹 코팅용 알루미늄 전처리제 조성물 및 전처리 방법
KR20090043899A (ko) 불순물 제거용 세정액 및 이를 이용한 불순물 제거방법
JPH0718476A (ja) 鋼をエッチング加工した後の洗浄方法
JPH03180496A (ja) 鋼の表面の平滑清浄化処理方法
JPH0598468A (ja) プレエツチング法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110720

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120501

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120509

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150518

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4994719

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees