JP2004315864A - アルミ鋳物素地の表面処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミホイール鋳物素地のショットブラスト処理で用いたショット材を効果的に除去し、塗装後の製品の耐食性を改善する。また、アルミホイール製造工程におけるショットレス化が可能な表面処理を提供する。
【解決手段】アルミ鋳物素地表面をショットブラスト処理後、該素地表面上に付着したショット材を、塗装前にブラシ研磨及び/又は酸洗にて除去する。ショット材が鉄成分含有粒子であり、且つ塗装前の鋳物品表面上に付着した鉄成分量を350mg/m以下とすることが好適である。また、アルミ鋳物素地表面上に付着した離型剤を、ショットブラスト処理することなく、塗装前に、ブラシ研磨、酸洗又はアルカリ洗の少なくとも一つで除去する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミ鋳物素地の表面処理方法、特にアルミホイール鋳物素地の耐食性や、塗膜の密着性等を阻害する物質の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウムやアルミニウム合金は、軽量で加工性が良く、様々な分野で利用されている。アルミホイールもその一つであり、その一般的な製造過程は、アルミニウム合金の熔融液を、離型剤を塗布した金型に流し込み、冷却・凝固後、金型から取り出し、これをさらに加工、塗装して製品とするものである。
【0003】
このようなアルミ合金鋳物(以下、アルミ鋳物)の素地表面には離型剤や汚れなどが付着しており、このまま塗装を行うと塗膜の密着性や均一性が損なわれる。そこで、アルミホイール等においては、このような離型剤等を広範囲に簡便に除去する表面処理として、ショット材を素地表面にあてて取り除くいわゆるショットブラスト処理が広く行われている。また、ショットブラスト処理は、アルミホイール等の意匠面を梨地仕上げするためにも利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ショットブラストに使用するショット材は、衝突により壊れたり角が落ちたりして微粉化するためアルミ素地表面に付着して残存しやすく、このまま塗装を行うと、鋳物素地表面に付着していたショット材中の耐食性阻害物質(例えば鉄成分)が起点となってアルミホイール素地の腐食が著しく促進され、腐食生成物の隆起(体積膨張)により塗膜の破断を生じることがあった。この結果、耐食性や意匠性などアルミホイール塗装品の商品価値が大きく損なわれるという問題があった。
【0005】
また、アルミホイール鋳物においては上記のようにショットブラスト処理を塗装前に行うことが一般に行われているが、このような表面処理はコスト引き上げの要因の一つであり、製造工程におけるショットレス化が望まれていた。
本発明は上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その第1の目的は、アルミ鋳物、特にアルミホイール鋳物素地表面に残存するショット材中の耐食性阻害物質を効果的に除去して、製品の耐食性を改善する表面処理方法を提供することである。また、第2の目的は、アルミ鋳物、特にアルミホイール鋳物素地表面に残存する離型剤や汚れを効果的に除去して、製造工程におけるショットレス化を可能にする表面処理方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、ショットブラスト処理後にブラシ研磨あるいは酸洗を行うことにより、塗装品の耐食性が向上することを見い出した。また、鋳物素地をブラシ研磨、酸洗あるいはアルカリ洗すれば、ショットブラスト処理なしでも良好な耐食性が得られ、ショットレス化可能であることも判明し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1の目的達成のための本発明にかかる表面処理方法は、アルミ鋳物素地表面をショットブラスト処理後、該素地表面上に付着したショット材(主には、微粉化したもの)を、塗装前にブラシ研磨及び/又は酸洗にて除去することを特徴とする。
【0007】
前記方法において、付着したショット材をブラシ研磨、次いで酸洗で除去することが好適である。また、付着したショット材が鉄成分含有粒子であり、且つ塗装前の鋳物品表面上に付着した鉄成分量を350mg/m以下とすることが好適である。
また、第2の目的達成のための本発明にかかる表面処理方法は、アルミ鋳物素地表面上に付着した離型剤を、塗装前に、ブラシ研磨、酸洗又はアルカリ洗の少なくとも一つで除去することを特徴とする。
【0008】
前記方法において、離型剤をブラシ研磨、次いで酸洗あるいはアルカリ洗で除去することが好適である。また、離型剤をアルカリ洗、次いで酸洗で除去することが好適である。
本発明の方法においては、アルミ鋳物がアルミホイールであることが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
1.従来の工程
アルミホイールの鋳物品の製造工程の概略は、図1のように示すことができる。すなわち、アルミ合金を熔解した熔融液を離型剤を塗布した金型に流し込み、冷却・固化して鋳物品を取り出す鋳物工程1の後、材料の機械的性質を向上させるための熱処理工程を行い、その後、得られた鋳物品表面に付着した離型剤、汚れ等の付着物を除去するショットブラスト工程2、加工工程3、前処理工程4、塗装工程5を経て製品化される。
【0010】
加工工程とは、上記鋳物品を最終製品の規格寸法に機械加工するための工程である。
前処理工程は、必要に応じて塗装工程の前に行われ、一般的には脱脂工程ならびに化成工程で構成される。
脱脂工程とは、表面に付着した油分を除去するために行われる工程であり、通常はアルカリ脱脂や酸脱脂等により行われる。
【0011】
アルカリ脱脂用のアルカリは、例えば苛性ソーダ、ケイ酸ソーダ、炭酸ソーダ、リン酸ソーダ等が用いられ、通常はこのようなアルカリ成分を含む溶液で浸漬もしくはスプレー等により処理される。
酸脱脂用の酸としては、例えば硫酸や硝酸等が用いられ、通常はこのような酸を含む溶液に浸漬もしくはスプレー等を行うことにより処理される。
【0012】
化成工程とは、塗膜の密着性や耐食性を向上させるための化学被膜を形成する工程であり、例えば、クロメート処理、ノンクロメート処理、ベーマイト処理等が用いられる。また、粉体塗装使用のような内部応力の高い厚膜の場合は、必要であれば塗膜の密着性を上げる為に、更にシランカップリング剤等の後処理が行われる。
塗装工程は、通常、防食、防錆、着色等を目的として、各種コート剤や塗料が一段あるいは多段で塗装される。
【0013】
2.本発明の方法▲1▼
本発明の第一の方法は、従来法のショットブラスト工程2の後、塗装工程5の前までの間で、鋳物表面に付着するショット材をブラシ研磨で物理的に除去するか、あるいは酸洗により付着するショット材を溶かして除去することを特徴とする。特に、ブラシ研磨により付着するショット材を物理的にほとんど除去した後に、さらに酸洗で付着するショット材を溶かして除去することが好ましい。
【0014】
ショットブラスト工程で用いられるショット材の材質としては、コストや使いやすさ等の利点から、ステンレス、鉄、鋼等の鉄成分含有粒子が一般に用いられるが、アルミホイール等の表面処理に通常使用可能なものであれば特に制限されない。例えば、鉄、スチール、亜鉛、亜鉛合金、アルミ、アルミ合金等の金属製粒子;シリカ、アルミナ、炭化ケイ素などのセラミックスやガラス等の無機系粒子;あるいは各種プラスティック等の有機系粒子などが挙げられる。
【0015】
本発明者らの検討によれば、ショット材として一般的なステンレス、鉄、鋼等の鉄含有金属や、鉄含有無機物など、鉄成分含有粒子を用いてショットブラスト処理して塗装を行った場合、アルミホイール素地表面と塗膜の間に介在する鉄成分量が多い場合にはアルミホイール素地の腐食が急激に進み、腐食生成物による塗膜の隆起(体積膨張)や破断を生じ、アルミホイール塗装品の商品価値が著しく損なわれる。従って、アルミホイール素地表面に塗料による塗膜を形成する前に、素地表面に付着した鉄成分含有ショット材を除去することが重要であり、素地表面の鉄成分付着量を350mg/m以下のレベルにまで除去することが好適である。
【0016】
このような付着したショット材の除去にブラシ研磨及び/又は酸洗が効果的であり、特にブラシ研磨後、さらに酸洗を行うことが好適である。
ブラシ研磨で用いるブラシの形態としては、本発明の目的を達成できるものであれば特に限定されないが、毛ブラシ状、布状(バフ等)、研磨紙状等が挙げられる。その材質としては、樹脂をベースに無機系の研磨剤を配合したものが好適に用いられる。
【0017】
酸洗用の酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、フッ酸あるいはこれら酸の化合物を単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。このような酸を含有する溶液に鋳物素地を浸漬するか、あるいはスプレー等により溶液を素地表面に接触させて酸洗する。更に酸洗効果を高めるために、溶液に酸化剤を配合してもよい。このような酸化剤としては、例えば、低酸化数のMo化合物、過酸化水素、亜硝酸塩等である。
【0018】
ブラシ研磨工程や酸洗工程は、ショットブラスト工程2後で塗装工程5の前までに行えばよいが、前処理工程4中に酸洗工程を入れる場合には、脱脂工程→酸洗工程→化成工程とするか、あるいは脱脂工程に酸洗効果も付与して脱脂/酸洗工程とすることが好ましい。
脱脂/酸洗工程とする場合、用いる溶液は、硫酸、硝酸、リン酸などの酸化力のある酸の水溶液、あるいは酸性水溶液に低酸化数のMo化合物、過酸化水素、亜硝酸塩等の酸化剤を主体として添加したものなどである。
なお、本発明においては、各工程の後に、必要に応じて水洗や乾燥を行うこともできる。
【0019】
3.本発明の方法▲2▼
また、本発明の第2の方法によれば、鋳物工程1で得られた鋳物素地に対して、ブラシ研磨、酸洗、あるいはアルカリ洗を行うことにより、従来のショットブラスト工程2を省略しても十分な塗膜形成性や耐食性を得ることができる。特に、鋳物表面をブラシ研磨により離型剤等を物理的にほとんど除去した後に、さらに酸洗及び/又はアルカリ洗で離型剤等を溶かして除去するか、あるいは鋳物表面をアルカリ洗後さらに酸洗することが好ましい。
ブラシ研磨及び酸洗については、上記▲1▼記載のものを用いて行うことができる。
【0020】
アルカリ洗用のアルカリとしては、離型剤や汚れ等の付着物を良好に除去できるものであれば特に制限されないが、苛性アルカリなどの強アルカリ、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属のホウ酸塩などが挙げられる。
なお、前処理工程4にアルカリ洗を入れる場合には、従来の脱脂工程をアルカリ洗工程に置き換えてアルカリ洗工程→化成工程とすることが好ましい。
また、前処理工程にアルカリ洗及び酸洗を入れる場合には、従来の脱脂工程をアルカリ洗工程に置き換え、アルカリ洗工程→酸洗工程→化成工程とすることが好ましい。
なお、本発明においては、各工程の後に、必要に応じて水洗や乾燥を行うこともできる。
【0021】
【実施例】
以下、具体例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、本発明で用いた試験方法を説明する。
(1)密着性試験
試験片の塗膜にカッターナイフにより、2mm間隔で縦横11本の平行線を碁盤目状に引き、その上にセロファンテープを密着させた後、上方に引きはがし、残存したます目(n)をカウントし、「n/100」で表示した。全面が剥がれた場合は「0/100」、剥がれが全くない場合は「100/100」として表示した。
【0022】
(2)塩水噴霧試験
試験片の表面にカッターナイフでクロスカットを入れ、5%重量濃度、50℃の塩水噴霧を1200時間行い、カット部の片側の錆あるいはフクレの最大幅(mm)を測定した。錆あるいはフクレの最大幅が2mm以下のものを合格とした。
【0023】
(3)複合腐食試験
試験片の表面にカッターナイフでクロスカットを入れ、5%重量濃度、50℃の塩水噴霧17時間→70℃3時間乾燥→5%重量濃度、50℃塩水に2時間浸漬→2時間自然乾燥というサイクルを60回繰り返した後、カット部の片側の錆あるいはフクレの最大幅(mm)を測定した。錆あるいはフクレの最大幅が2mm以下のものを合格とした。
【0024】
(4)耐水性試験
試験片を40℃の温水中に240時間浸漬後、水中より引き上げて24時間自然放置し、その後前記(1)の密着性試験を行った。
【0025】
(5)ショット材の鉄成分分析
数種の既知の鉄量(mg/m)を蛍光X線で分析し、鉄量と蛍光X線の回折強度の相関図(検量線)を求めた。この検量線と試験片の蛍光X線回折強度とから、試験片表面に付着したショット材の鉄成分量(mg/m)を求めた。
【0026】
(6)CASS試験
試験片の表面にカッターナイフでクロスカットを入れ、5%重量濃度の塩化ナトリウムに0.26g/lの濃度となるように塩化第二銅を添加し、さらに酢酸を添加してpH=3.0〜3.1に調整した50℃の溶液を240時間噴霧し、カット部の片側の錆あるいはフクレの最大幅(mm)を測定した。錆あるいはフクレの最大幅が4.3mm以下のものを合格とした。
【0027】
実施例1
アルミニウム合金(JIS H 5202:AC4CあるいはAC4CH)を用いて鋳造後、熱処理して製造したアルミホイール鋳物品を、下記各工程を経て製品とし、これを切断して試験片とした。
【0028】
試験品A1:
鋳物品→ショットブラスト工程→ブラシ研磨工程→脱脂工程→化成工程→塗装工程→製品
試験品A2:
鋳物品→ショットブラスト工程→脱脂工程→酸洗工程→化成工程→塗装工程→製品
試験品A3:
鋳物品→ショットブラスト工程→ブラシ研磨工程→脱脂工程→酸洗工程→化成工程→塗装工程→製品
試験品A4(比較品):
鋳物品→ショットブラスト工程→脱脂工程→化成工程→塗装工程→製品
【0029】
なお、鋳物工程で用いた離型剤は、カオリンを主体として水ガラスを添加したものを使用した。
また、各工程の詳細は次の通り。
【0030】
(ショットブラスト工程)
ショット材は、材質がステンレスSUS430(東洋製鋼製)、粒径が0.6mmφのカットワイヤを使用した。投射密度は2kg/sec、投射時間は35秒であった。
【0031】
(ブラシ研磨工程)
ナイロン製ブラシで、そのブラシ中の研磨剤は炭化ケイ素を使用し、正・反逆転で、各30秒づつブラシ研磨を行った。
【0032】
(脱脂工程)
試験片を脱脂処理液(ケイ酸ソーダ水溶液、濃度2w/v%)に浸漬した。処理温度は50℃、処理時間は3分であった。
【0033】
(酸洗工程)
試験片を酸洗処理液(主成分は硫酸鉄で、濃度は3w/v%)に浸漬した。処理温度は40℃、処理時間は3分であった。
【0034】
(ノンクロメート化成工程)
試験片を化成処理液(主成分はリン酸ジルコニウムで、処理濃度は2.5w/v%)に浸漬した。処理温度は40℃、処理時間は3分であった。
【0035】
(塗装工程)
塗装使用は、粉体プライマー塗料→溶剤シルバー塗料→溶剤トップクリア塗料で、各膜厚は100μm、25μm、25μm、各焼付条件は、160℃×20分、130℃×20分、140℃×20分であった。
【0036】
【表1】
Figure 2004315864
【0037】
上記表1からわかるように、ショットブラスト工程後に塗装を行った従来品(試験品A4)では、密着性や耐水性は良好であったものの、塩水噴霧や複合腐食試験において腐食が大きく、基準値を満足することができなかった。
これに対して、ショットブラスト後にブラシ研磨及び/又は酸洗を行ってから塗装した場合(試験品A1〜A3)では密着性や耐水性はもちろん、塩水噴霧や複合腐食試験における腐食も少なく、耐食性が改善した。特に、ブラシ研磨後酸洗を行った試験品A3では、塩水噴霧試験や複合腐食試験における錆幅が非常に小さく、耐食性が非常に良好であった。
【0038】
実施例2
ショット材として、材質がステンレスSUS304(東洋製鋼製)、粒径が0.4mmφのカットワイヤを使用した以外は、前記実施例1のA1〜A4と同様の工程で処理を行って試験品B1〜B4を得た。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 2004315864
【0040】
表2から、表1の場合と同様に、ブラシ研磨及び/又は酸洗工程を行った場合(試験品B1〜B3)には、これらを行わない従来品(試験品B4)に比べ、塩水噴霧試験及び複合腐食試験の結果が大きく改善し、基準値以下となった。さらに、CASS試験においても基準値を下回り、耐食性に非常に優れることが示された。
【0041】
また、表2には鉄成分付着量を示したが、この結果から、耐食性が鉄成分付着量に関係していることがわかる。例えば、CASS錆幅は、塗装前の鋳物表面に付着している鉄成分量に比例して大きくなる。塩水噴霧試験や複合腐食試験においても、鉄成分量が大きいほど錆あるいはフクレ幅が大きくなる傾向が認められる。
本発明者等の検討によれば、十分な耐食性を得るためには、塗装前の鋳物表面の鉄成分付着量を350mg/mとすることが好適である。
【0042】
実施例3
さらに、ショットレス化についても検討を行った。アルミニウム合金(JISH 5202:AC4CあるいはAC4CH)を用いて鋳造後、熱処理して製造したアルミホイール鋳物品を、下記各工程を経て製品とし、これを切断して試験片とした。
試験品C1:
鋳物品→ブラシ研磨工程→脱脂工程→化成工程→塗装工程→製品
試験品C2:
鋳物品→アルカリ洗工程→酸洗工程→化成工程→塗装工程→製品
試験品C3:
鋳物品→ブラシ研磨→脱脂工程→酸洗工程→化成工程→塗装工程→製品
試験品C4(比較品):
鋳物品→脱脂工程→化成工程→塗装工程→製品
【0043】
なお、離型剤は前記実施例1と同じである。アルカリ洗工程は下記の通りであり、それ以外の各工程は前記実施例1と同一である。
(アルカリ洗工程)
試験片をアルカリ洗処理液(主成分はアルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属の縮合リン酸塩、アルカリ金属の硼酸塩および界面活性剤で、処理濃度は5w/v%)に浸漬した。処理温度は70℃、処理時間は10分であった。
【0044】
【表3】
Figure 2004315864
【0045】
上記表3を前記表1と比較すればわかるように、従来品においてショットブラスト工程を省略して塗装を行った場合(比較品C4)では、塩水噴霧や複合腐食試験において腐食が著しく、密着性や耐水性も非常に低下してしまう。
これに対して、試験品C1〜C3のようにブラシ研磨、酸洗又はアルカリ洗を単独あるいは組み合わせて行うことにより、ショットブラスト工程を省略しても、密着性や耐水性、塩水噴霧試験、複合腐食試験の何れにおいても優れる製品とすることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来のアルミホイール製造工程で使用されていたショット材に含まれる耐食性阻害物質(例えば鉄成分)を塗装前にブラシ研磨及び/又は酸洗で除去することにより、製品の耐食性を改善することができる。また、塗装前にブラシ研磨、酸洗又はアルカリ洗を行えば、ショットブラスト処理を省略しても、塗膜の密着性や耐水性、素地の耐食性に優れた製品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミホイールの鋳物品の一般的な製造工程の概略を示すフローチャートである。

Claims (7)

  1. アルミ鋳物素地表面をショットブラスト処理後、該素地表面上に付着したショット材を、塗装前にブラシ研磨及び/又は酸洗にて除去することを特徴とするアルミ鋳物素地の表面処理方法。
  2. 請求項1記載の方法において、付着したショット材をブラシ研磨、次いで酸洗で除去することを特徴とするアルミ鋳物素地の表面処理方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法において、付着したショット材が鉄成分含有粒子であり、且つ塗装前の鋳物品表面上に付着した鉄成分量を350mg/m以下とすることを特徴とするアルミ鋳物素地の表面処理方法。
  4. アルミ鋳物素地表面上に付着した離型剤を、塗装前に、ブラシ研磨、酸洗又はアルカリ洗の少なくとも一つで除去することを特徴とするアルミ鋳物素地の表面処理方法。
  5. 請求項4記載の方法において、離型剤をブラシ研磨、次いで酸洗あるいはアルカリ洗で除去することを特徴とするアルミ鋳物素地の表面処理方法。
  6. 請求項4記載の方法において、離型剤をアルカリ洗、次いで酸洗で除去することを特徴とするアルミ鋳物素地の表面処理方法。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の処理方法において、アルミ鋳物がアルミホイールであることを特徴とするアルミ鋳物素地の表面処理方法。
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