JP2007046087A - 金属ボール - Google Patents
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Abstract
【課題】 半田付けしたときの強度を保持し、かつ、半田付けするときの融点を低温化できる金属ボールを提供する。
【解決手段】 金属ボール10は、コアボール1と、反応抑制層2と、めっき層3とを備える。コアボール1は、直径が50μm〜1000μmの範囲である銅(Cu)からなる。反応抑制層2は、ニッケル(Ni)からなり、0.1〜5μmの範囲の膜厚を有する。めっき層3は、錫ビスマス(Sn−Bi合金)からなり、0.1μm〜100μmの範囲の膜厚を有する。そして、めっき層3は、錫(Sn)が最内周から最外周へ向かって減少し、ビスマス(Bi)が最内周から最外周へ向かって増加するように電気めっきにより作製される。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属ボール10は、コアボール1と、反応抑制層2と、めっき層3とを備える。コアボール1は、直径が50μm〜1000μmの範囲である銅(Cu)からなる。反応抑制層2は、ニッケル(Ni)からなり、0.1〜5μmの範囲の膜厚を有する。めっき層3は、錫ビスマス(Sn−Bi合金)からなり、0.1μm〜100μmの範囲の膜厚を有する。そして、めっき層3は、錫(Sn)が最内周から最外周へ向かって減少し、ビスマス(Bi)が最内周から最外周へ向かって増加するように電気めっきにより作製される。
【選択図】 図1
Description
この発明は、電子部品の実装に用いられる金属ボールに関するものである。
電子部品の表面実装においては、BGA(Ball Grid Array)およびCSP(Chip Scale Package)等の実装方法が用いられている。そして、これらの実装方法は、半田、銅 アルミニウム、および外層が半田で覆われた銅コアおよび樹脂コア等の金属ボールを接続端子として用いる方法である。
従来、半導体パッケージにおける半導体素子の内部接続電極に用いる複合マイクロボールが知られている(特許文献1)。この複合マイクロボールは、コアボールと、コアボールを覆う下地層と、下地層上に形成された半田被覆層とからなる。
コアボールは、直径が30μm〜120μmの範囲である銅からなり、下地層は、コバルトおよびニッケルから選択された少なくとも一種からなり、半田被覆層は、膜厚が20μm以上である電気半田めっき層からなる。そして、電気半田めっき層の材料は、鉛-錫であり、複合マイクロボールの外径は、50μm〜200μmの範囲である。
特許第3314269号公報
しかし、半田に関しては、鉛フリー化が要求されているため、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag合金およびSn−Cu合金等の従来のSn−Pb合金系よりも融点の高い合金、またはSn−Bi合金、Sn−Zn合金、Sn−In合金、Sn−Zn−Bi合金およびSn−Ag−Bi−In合金等の従来のSn−Pb合金系よりも融点の低い合金が用いられている。
そして、半田めっきの分野においても、同じ鉛フリー化が要求されており、Sn、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Bi合金、Sn−Zn合金およびSn−In合金等のめっきが使用されており、BGAおよびCSP等の実装技術において用いられる金属ボールとして表面をSn−Ag合金からなるめっき層で覆った銅コアボールが主流になりつつある。
しかし、Sn−Ag合金からなるめっき層を用いた場合、銅コアボールを半田付けするときの融点が高くなるという問題がある。
一方、Sn−Bi合金は低融点であるため、銅コアボールをSn−Bi合金からなるめっき層で覆うことにより、銅コアボールを半田付けするときの融点を低温化できる。
しかし、Biの組成比が大きくなると、Sn−Bi合金が脆くなり、半田付けした銅コアボールが接合材料として不適切になるという問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、半田付けしたときの強度を保持し、かつ、半田付けするときの融点を低温化できる金属ボールを提供することである。
この発明によれば、金属ボールは、電子部品の実装に用いられる金属ボールであって、コアボールと、めっき層とを備える。コアボールは、金属からなる。めっき層は、半田付け用の合金を構成するSnおよびBiからなり、コアボールを覆う。そして、Biの組成比は、めっき層の最内周から最外周へ向かって第1の組成比から第2の組成比へ増加する。第1の組成比は、当該金属ボールが半田付けされたときのめっき層の強度を基準強度以上に設定する組成比であり、第2の組成比は、めっき層の融点を基準融点よりも低い温度に設定する組成比である。
好ましくは、金属ボールは、反応抑制層をさらに備える。反応抑制層は、コアボールとめっき層との間に挿入される。
好ましくは、反応抑制層は、Ni、Ni−P合金、Ni−B合金、CoおよびPtのいずれかからなる。
好ましくは、第1の組成比は、15〜20%の範囲であり、第2の組成比は、29〜44%の範囲である。
好ましくは、コアボールは、Cuからなる。
この発明においては、SnおよびBiからなる半田付け用の合金によりめっき層を構成し、めっき層中におけるBiの組成比を最内周から最外周へ向かってめっき層の強度を基準強度以上に設定する組成比から半田付けするときの融点を基準融点よりも低くする組成比へ変化させて電気めっきによりめっき層を形成する。そうすると、金属ボールを半田付けするとき、めっき層が基準融点よりも低い融点でリフローし、金属ボールは、低温で半田付けされるとともに、半田付け後の強度が基準強度以上に保持される。
したがって、この発明によれば、金属ボールを半田付けしたときの強度を保持し、かつ、半田付けするときの融点を低温化できる。たとえば、半田ちぎれを抑制できる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による金属ボールの構成を示す断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による金属ボール10は、コアボール1と、反応抑制層2と、めっき層3とを備える。
コアボール1は、銅(Cu)からなり、直径が50μm〜1000μmの範囲である。そして、コアボール1の融点は、600〜1600℃の範囲である。
反応抑制層2は、Ni、NiP合金、NiB合金、CoおよびPtのいずれかからなり、コアボール1とめっき層3との間に形成される。そして、反応抑制層2の膜厚は、1モノレイヤー〜5μmの範囲である。反応抑制層2は、コアボール1を構成する銅とめっき層3を構成する錫(Sn)およびビスマス(Bi)との反応を抑制する。
めっき層3は、電気めっきにより形成され、コアボール1および反応抑制層2を覆う。そして、めっき層3は、Sn−Bi合金からなり、膜厚が0.1μm〜100μmの範囲である。めっき層3において、Biの組成比は、めっき層3の最内周から最外周へ向けて第1の組成比から第2の組成比まで増加する。
ここで、第1の組成比は、金属ボール10が半田付けされたときのめっき層3の強度を基準強度以上に設定する組成比であり、第2の組成比は、めっき層3の融点を基準融点よりも低い温度に設定する組成比である。
反応抑制層2およびめっき層3は、電気めっきにより形成される。図2は、図1に示す金属ボール10を作製するバレルめっき装置の概略図である。図2を参照して、バレルめっき装置100は、めっき槽20と、枠板30と、バレルドラム40と、歯車50,60と、モータ70と、陰極80と、陽極90と、ノズル110,120と、直流電源130とを備える。
めっき槽20には、めっき浴140が入れられる。枠板30は、バレルドラム40を略水平状態で回転可能に保持する。バレルドラム40は、6個の側板41と、6個の網材42とからなる。6個の側板41は、六角柱形状に組まれる。そして、6個の網材42は、それぞれ、6個の側板41に張着される。したがって、バレルドラム40は、六角柱形状からなり、内部に被めっき物品(=コアボール1)を収納する。
歯車50は、枠板30を介してバレルドラム40に連結される。歯車60は、歯車50と噛合うように枠板30に取り付けられる。モータ70は、シャフト71を介して歯車60に連結される。
そして、枠板30、バレルドラム40および歯車50,60は、枠板30およびバレルドラム40の一部がめっき浴140に浸漬されるようにめっき槽20内に収納される。
モータ70は、シャフト71および歯車60,50を介してバレルドラム40を矢印21の方向に一定の回転速度で回転させる。陰極80は、その先端部がバレルドラム40の内部においてめっき浴140に浸漬されるように枠板30に取り付けられる。陽極90は、その先端部がめっき浴140に浸漬される。
ノズル110,120は、その先端部がめっき浴140上に位置するように支持部材(図示せず)によって支持される。直流電源130は、陰極80と陽極90との間に接続され、陰極80および陽極90を介してめっき浴140に一定の電流密度の電流を流す。
上述したように、バレルドラム40は、網材42が張着された側板41を略六角柱形状に組付けた構造からなり、一部がめっき浴140に浸漬される。そして、めっき浴140に浸漬された側板41に被めっき物品が溜まる。また、陰極80の先端は、めっき浴140に浸漬された側板41に近接して配置される。
したがって、めっき浴140は、浸漬された網材42を介してバレルドラム40の内部に入り、一定の電流密度の電流が陰極80と陽極90との間に流れることにより、電気分解され、被めっき物品の表面に析出する。
また、バレルドラム40は、モータ70によって一定の回転速度で矢印21の方向へ回転されるので、めっき浴140に浸漬される側板41が順次変えられ、バレルドラム40内の被めっき物品は、回転されながらめっきされる。これにより、球形状からなるコアボール1の表面に反応抑制層2およびめっき層3を均一に形成できる。
めっき浴140は、硫酸、硫酸錫、硫酸ビスマス、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルおよびピロカテコールからなる。ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルおよびピロカテコールは、めっき層3の光沢剤として用いられる。
めっき浴140は、硫酸錫および硫酸ビスマスを含み、硫酸錫および硫酸ビスマスを電気分解して反応抑制層2が形成されたコアボール1に錫およびビスマスからなる半田合金(Sn−Bi合金)をめっきする。
ノズル110は、硫酸錫を含む溶液をめっき浴140に導入するノズルであり、ノズル120は、硫酸ビスマスを含む溶液をめっき浴140へ導入するノズルである。
この発明においては、電気めっきによりめっき層3を形成するとき、硫酸錫を含む溶液の滴下量を徐々に減少させ、かつ、硫酸ビスマスを含む溶液の滴下量を徐々に増加させながら電気めっきによりめっき層3を形成する。つまり、この発明においては、めっき層3を構成するSn−Bi合金におけるBiの組成比がめっき層3の最内周から最外周に向かって第1の組成比から第2の組成比まで増加するように電気めっきによりめっき層3を形成する。
図3は、Sn−Bi合金におけるBiの組成比の変化を示す図である。図3において、横軸は、めっき層3の膜厚方向を表し、縦軸は、Biの組成比を表す。図3を参照して、直線k1は、Biの組成比を、めっき層3の最内周における第1の組成比からめっき層3の最外周における第2の組成比まで一定の増加率で増加させる場合を示す。
また、曲線k2は、めっき層3の最内周と最外周との間でBiの組成比の増加率を変化させながら、Biの組成比を第1の組成比から第2の組成比まで増加させる場合を示す。
さらに、曲線k3は、めっき層3の最内周と最外周との間でBiの組成比の増加率を2つの増加率に変化させながら、Biの組成比を第1の組成比から第2の組成比まで増加させる場合を示す。
この発明においては、Biの組成比は、直線k1および曲線k2,k3のいずれかに従って変化される。なお、Biの組成比を直線k1および曲線k2,k3のいずれかに従って変化させる場合、曲線k4に示すように、階段状にBiの組成比を増加させてもよい。
図3に示す直線k1および曲線k2,k3のいずれかに従ってBiの組成比が変化するめっき層3を形成するために、硫酸錫を含む溶液の滴下量を徐々に減少させ、かつ、硫酸ビスマスを含む溶液の滴下量を徐々に増加させながら、電気めっきによりめっき層3を形成する。
図4は、図1に示す金属ボール10の作製工程を示すフローチャートである。金属ボール10を作製する動作が開始されると、銅からなるコアボール1がニッケルめっき用のめっき浴に浸漬される(ステップS1)。すなわち、図2に示すバレルめっき装置100において、所定量の硫酸ニッケル、所定量の塩素ニッケルおよび所定量のホウ酸とからなるめっき浴140にコアボール1が浸漬される。
その後、モータ70は、シャフト71および歯車60,50を介してバレルドラム40を矢印21の方向に一定の回転速度で回転させ、直流電源130は、陰極80と陽極90との間に一定の電流密度の電流を流す。そうすると、コアボール1は、その表面がニッケルによってめっきされ、コアボール1を覆うように反応抑制層2が形成される(ステップS2)。
そして、反応抑制層2が形成されたコアボール1を錫−ビスマスめっき用のめっき浴140に浸漬させる(ステップS3)。すなわち、図2に示すバレルめっき装置100において、所定量の硫酸、所定量の硫酸錫、所定量の硫酸ビスマス、所定量のポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルおよび所定量のピロカテコールからなるめっき浴140に、反応抑制層2が形成されたコアボール1が浸漬される。
その後、モータ70は、シャフト71および歯車60,50を介してバレルドラム40を矢印21の方向に一定の回転速度で回転させ、直流電源130は、陰極80と陽極90との間に一定の電流密度の電流を流す。また、ノズル110を介してめっき浴140に供給する硫酸錫を含む溶液の量を徐々に減少させ、ノズル120を介してめっき浴140に供給される硫酸ビスマスを含む溶液の量を徐々に増加させる。
そうすると、Biの組成比が最内周から最外周に向かって第1の組成比から第2の組成比まで増加するめっき層3が反応抑制層2の表面に形成される(ステップS4)。すなわち、Biの組成比が図3に示す直線k1および曲線k2,k3のいずれかに従って増加するめっき層3が反応抑制層2の表面に形成される。これにより、金属ボール10の作製が終了する。
このように、金属ボール10は、バレルめっき装置100を用い、電気めっき中にめっき浴140に供給する硫酸錫および硫酸ビスマスの量を制御して、Biの組成比が最内周から最外周へ向かって増加するめっき層3(=Sn−Bi合金)をコアボール1の表面に形成することによって作製される。
図5は、Sn−Bi合金中におけるBi濃度とSn−Bi合金の状態の液相線を示す図である。図5において、横軸は、Bi濃度を表し、縦軸は、温度を表す。図5を参照して、曲線k5は、各Bi濃度におけるSn−Bi合金の固相と液相との境界を示す。たとえば、Bi濃度が約60[mass%]である場合、Sn−Bi合金は、約150℃の温度において液相となる。
Bi濃度が0[mass%]であるSnが液相になる温度(=融点)は、約230℃であり、Sn−Bi合金の融点は、Snに添加するBi濃度が増加するに従って低下し、Bi濃度が約60[mass%]のときに最も低くなる。そして、Sn−Bi合金の融点は、Bi濃度が60[mass%]以上である領域においては、Bi濃度の増加に伴って高くなる。
一方、Bi濃度が増加すると、Sn−Bi合金が脆くなる。そこで、この発明においては、強度が基準強度以上であり、融点が基準融点(=例えば、200℃)よりも低いSn−Bi合金を形成するために、めっき層3の最内周においてBi濃度を15〜20[mass%]の範囲に設定し、めっき層3の最外周においてBi濃度を29〜44[mass%]の範囲に設定し、さらに、最内周から最外周へ向かってBi濃度を増加させながら電気めっきによりめっき層3を形成する。
すなわち、めっき層3の最内周部を融点が200℃以上であるSn−Bi合金により形成し、めっき層3の最外周部を融点が200℃よりも低いSn−Bi合金により形成する。つまり、めっき層3は、最内周部で強度を保持し、かつ、最外周部で融点を低下させる組成のSn−Bi合金により形成される。
図6は、図2に示すバレルめっき装置100を用いてBi濃度を最内周から最外周へ向かって増加させながら電気めっきした金属ボール10の電子顕微鏡写真である。図6において、曲線k6は、めっき層3の深さ方向におけるBi量の変化を表し、曲線k7は、めっき層3の深さ方向におけるSn量の変化を示す。なお、めっき層3の深さ方向におけるBi量およびSn量は、EDX(Energy Dispersive X−ray Spectrometry)の線分析によって測定された。
図6を参照して、めっき層3において、Bi量は、最内周から最外周へ向かって増加しており(曲線k6参照)、Sn量は、最内周から最外周へ向かって減少しており(曲線k7参照)、Bi組成比が最内周から最外周へ向かって増加するめっき層3を有する金属ボール10が作製されていることが確認された。
次に、強度を基準強度以上に保持し、かつ、融点を基準融点よりも低くするSn−Bi合金の実験結果について説明する。この発明による金属ボール10として3種類の金属ボール(実施例1〜3)を作製し、比較例として4種類の金属ボール(比較例1〜4)を作製した。
表1は、この発明による金属ボール10としての金属ボール10A(実施例1)、金属ボール10B(実施例2)および金属ボール10C(実施例3)を電気めっきにより作製するときのめっき浴140を示す。
金属ボール10A(実施例1)を電気めっきにより作製する場合、めっき浴140は、80g/Lの硫酸と、5g/Lのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルと、0.1g/Lのピロカテコールと、濃度が所定範囲A1で変化する硫酸Snと、濃度が所定範囲B1で変化する硫酸Biとからなる。
そして、所定範囲A1は、電気めっきの開始時における27g/Lから電気めっきの終了時における25g/Lまでの範囲であり、所定範囲B1は、電気めっきの開始時における3.7g/Lから電気めっきの終了時における10g/Lまでの範囲である。
また、金属ボール10B(実施例2)を電気めっきにより作製する場合、めっき浴140は、80g/Lの硫酸と、5g/Lのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルと、0.1g/Lのピロカテコールと、濃度が所定範囲A2で変化する硫酸Snと、濃度が所定範囲B2で変化する硫酸Biとからなる。
そして、所定範囲A2は、電気めっきの開始時における28g/Lから電気めっきの終了時における21g/Lまでの範囲であり、所定範囲B2は、電気めっきの開始時における3.9g/Lから電気めっきの終了時における14g/Lまでの範囲である。
さらに、金属ボール10C(実施例3)を電気めっきにより作製する場合、めっき浴140は、80g/Lの硫酸と、5g/Lのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルと、0.1g/Lのピロカテコールと、濃度が所定範囲A3で変化する硫酸Snと、濃度が所定範囲B3で変化する硫酸Biとからなる。
そして、所定範囲A3は、電気めっきの開始時における27g/Lから電気めっきの終了時における23g/Lまでの範囲であり、所定範囲B3は、電気めっきの開始時における3.5g/Lから電気めっきの終了時における12g/Lまでの範囲である。
金属ボール10A(実施例1)、金属ボール10B(実施例2)および金属ボール10C(実施例3)を電気めっきにより作製する場合、直径が400μmであるコアボール(=Cuボール)を図2に示すバレルドラム40の中に所定数入れ、モータ70によりバレルドラム40を所定の回転数で回転させ、直流電源130により0.2A/dm2の電流密度からなる電流を陰極80および陽極90を介してめっき浴140に流し、ノズル110を介してめっき浴140に注入される硫酸Snの濃度およびノズル120を介してめっき浴140に注入される硫酸Biの濃度を表1に示す範囲で変化させながら電気めっきを行なう。この場合、電気めっきの時間は、たとえば、4時間である。
このように、金属ボール10A(実施例1)、金属ボール10B(実施例2)および金属ボール10C(実施例3)は、硫酸Snの濃度を徐々に減少させ、硫酸Biの濃度を徐々に増加させながら電気めっきを行なうことにより作製される。そして、硫酸Snおよび硫酸Biの濃度は、上述しためっき時間において直線的に変化された。この場合、硫酸Snおよび硫酸Biの濃度を最も多く変化させて金属ボール10B(実施例2)を作製し、硫酸Snおよび硫酸Biの濃度を2番目に多く変化させて金属ボール10C(実施例3)を作製し、硫酸Snおよび硫酸Biの濃度を最も少なく変化させて金属ボール10A(実施例1)を作製する。
なお、金属ボール10A(実施例1)および金属ボール10B(実施例2)は、反応抑制層2を有さず、金属ボール10C(実施例3)は、ニッケルからなる反応抑制層2を有する。
表2は、比較例としての金属ボール20A(比較例1)、金属ボール20B(比較例2)、金属ボール20C(比較例3)および金属ボール10D(比較例4)を電気めっきにより作製するときのめっき浴140を示す。
金属ボール20A(比較例1)を電気めっきにより作製する場合、めっき浴140は、80g/Lの硫酸と、5g/Lのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルと、0.1g/Lのピロカテコールと、27g/Lの硫酸Snと、1.3g/Lの硫酸Biとからなる。そして、硫酸Snおよび硫酸Biは、めっき浴140中における濃度がそれぞれ27g/Lおよび1.3g/Lになるようにノズル110,120を介して補充される。
また、金属ボール20B(比較例2)を電気めっきにより作製する場合、めっき浴140は、80g/Lの硫酸と、5g/Lのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルと、0.1g/Lのピロカテコールと、27g/Lの硫酸Snと、2.1g/Lの硫酸Biとからなる。そして、硫酸Snおよび硫酸Biは、めっき浴140中における濃度がそれぞれ27g/Lおよび2.1g/Lになるようにノズル110,120を介して補充される。
さらに、金属ボール20C(比較例3)を電気めっきにより作製する場合、めっき浴140は、80g/Lの硫酸と、5g/Lのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルと、0.1g/Lのピロカテコールと、24g/Lの硫酸Snと、3.0g/Lの硫酸Biとからなる。そして、硫酸Snおよび硫酸Biは、めっき浴140中における濃度がそれぞれ24g/Lおよび3.0g/Lになるようにノズル110,120を介して補充される。
さらに、金属ボール20D(比較例4)を電気めっきにより作製する場合、めっき浴140は、80g/Lの硫酸と、5g/Lのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルと、0.1g/Lのピロカテコールと、18g/Lの硫酸Snと、6.8g/Lの硫酸Biとからなる。そして、硫酸Snおよび硫酸Biは、めっき浴140中における濃度がそれぞれ18g/Lおよび6.8g/Lになるようにノズル110,120を介して補充される。
金属ボール20A(比較例1)、金属ボール20B(比較例2)、金属ボール20C(比較例3)および金属ボール20D(比較例4)を作製する場合、直径が400μmであるコアボール(=Cuボール)を図2に示すバレルドラム40の中に所定数入れ、モータ70によりバレルドラム40を所定の回転数で回転させ、直流電源130により0.2A/dm2の電流密度からなる電流を陰極80および陽極90を介してめっき浴140に流し、ノズル110を介してめっき浴140に注入される硫酸Snの濃度およびノズル120を介してめっき浴140に注入される硫酸Biの濃度を一定に保持しながら電気めっきを行なう。この場合、電気めっきの時間は、たとえば、4時間である。
このように、金属ボール20A(比較例1)、金属ボール20B(比較例2)、金属ボール20C(比較例3)および金属ボール20D(比較例4)は、めっき浴140中の硫酸Snおよび硫酸Biの濃度を一定に保持しながら作製される。
この場合、硫酸Biの濃度(=[硫酸Bi]/([硫酸Sn]+[硫酸Bi])、以下同じ)を最も高くして金属ボール20D(比較例4)を作製し、硫酸Biの濃度を2番目に高くして金属ボール20C(比較例3)を作製し、硫酸Biの濃度を3番目に高くして金属ボール20B(比較例2)を作製し、硫酸Biの濃度を最も低くして金属ボール20A(比較例1)を作製する。
なお、金属ボール20A,20B,20C,20Dは、反応抑制層2を有しない。
表3は、表1に示すめっき浴140を用いて作製した金属ボール10A,10B,10Cと、表2に示すめっき浴140を用いて作製した金属ボール20A,20B,20C,20DとにおけるBi濃度、融点および膜厚を示す。
なお、Bi濃度は、めっき層における濃度であり、[Bi]/([Sn]+[Bi])により計算された。また、融点温度は、金属ボール10A,10B,10C,20A,20B,20C,20Dを半田付けするときの融点である。
金属ボール20A(比較例1)、金属ボール20B(比較例2)、金属ボール20C(比較例3)および金属ボール20D(比較例4)は、それぞれ、7.2%、12.9%、22.6%、および42.0%のBi濃度を有し、219℃、211℃、197℃および142℃の融点を有する。また、金属ボール20A(比較例1)、金属ボール20B(比較例2)、金属ボール20C(比較例3)および金属ボール20D(比較例4)は、それぞれ、35.5μm、32.0μm、37.5μmおよび37.5μmの膜厚からなるめっき層を有する。
したがって、Bi濃度が一定であるめっき層を有する金属ボール20A(比較例1)、金属ボール20B(比較例2)、金属ボール20C(比較例3)および金属ボール20D(比較例4)において、めっき層中のBi濃度が増加すると、金属ボール20A,20B,20C,20Dを半田付けするときの融点が低下する。そして、めっき層中のBi濃度がそれぞれ22.6%,42.0%である金属ボール20C,20Dにおいては、半田付けするときの融点が200℃よりも低くなる。
一方、金属ボール10A(実施例1)は、最内周および最外周においてそれぞれ18.0%および29.2%のBi濃度を有し、24.3%のBiの平均濃度を有する。また、金属ボール10A(実施例1)は、140℃の融点を有する。そして、金属ボール10A(実施例1)において、めっき層3(Sn−Bi合金)の膜厚は、37.3μmである。
また、金属ボール10B(実施例2)は、最内周および最外周においてそれぞれ19.4%および43.8%のBi濃度を有し、27.0%のBiの平均濃度を有する。また、金属ボール10B(実施例2)は、140℃の融点を有する。そして、金属ボール10B(実施例2)において、めっき層3(Sn−Bi合金)の膜厚は、33.1μmである。
さらに、金属ボール10C(実施例3)は、最内周および最外周においてそれぞれ16.0%および39.0%のBi濃度を有し、27.5%のBiの平均濃度を有する。また、金属ボール10C(実施例3)は、140℃の融点を有する。そして、金属ボール10C(実施例3)において、反応抑制層2(=Ni)の膜厚は、2.0μmであり、めっき層3(Sn−Bi合金)の膜厚は、35.8μmである。
このように、この発明による金属ボール10A(実施例1)、金属ボール10B(実施例2)および金属ボール10C(実施例3)は、比較例である金属ボール20A(比較例1)、金属ボール20B(比較例2)、金属ボール20C(比較例3)および金属ボール20D(比較例4)とほぼ同じ膜厚のめっき層(=Sn−Bi合金)を有し、金属ボール20A,20B,20C,20Dよりも低い融点を有する。
したがって、めっき層3中のBi濃度を最内周および最外周においてそれぞれ15.0%〜20.0%の範囲および29.0%〜44.0%の範囲に設定することによって金属ボール10A,10B,10Cの融点を140℃まで大幅に低温化できる。
また、金属ボール10A(実施例1)、金属ボール10B(実施例2)、金属ボール10C(実施例3)、金属ボール20A(比較例1)、金属ボール20B(比較例2)、金属ボール20C(比較例3)および金属ボール20D(比較例4)について剪断強度を測定するとともに、半田付けした金属ボール10A,10B,10C,20A,20B,20C,20Dの基板からの剥離モードを解析した。
図7は、剪断強度を測定する方法を説明するための概念図である。図7を参照して、冶具11は、開口部111を有する。開口部111は、金属ボール10が入るサイズを有する。基板(図示せず)上に半田付けした金属ボール10が開口部111に入るように冶具11を矢印12の方向へ移動させる。そして、金属ボール10が開口部111に入ると、矢印12の方向から冶具11に印加する力を金属ボール10が基板から剥離するまで徐々に強くする。そして、金属ボール10が基板から剥離したときに冶具11に印加されていた力を剪断強度として検出する。
図8は、金属ボール10が基板から剥離する剥離モードの概念図である。図8を参照して、半田付けした金属ボール10が基板13から剥離する場合、金属ボール10および半田15が一体的にランド14から剥離するモード(図8の(a)参照)、および半田15がちぎれて半田15A,15Bが形成され、金属ボール10が基板13から剥離するモード(図8の(b)参照)が存在する。
そして、図8の(a)に示す剥離モードは、“界面剥離”であり、図8の(b)に示す剥離モードは、“半田ちぎれ”である。
図9は、界面剥離および半田ちぎれを示す写真である。図9の(a)は、半田ちぎれを示し、図9の(b)は、界面剥離を示す。剥離モードが半田ちぎれである場合、半田付けによって金属ボールのめっき層が脆くなっている。(図9の(a)参照)。
一方、剥離モードが界面剥離である場合、半田付けによって金属ボールのめっき層の強度が保持される(図9の(b)参照)。
半田付けした金属ボール10A,10B,10C,20A,20B,20C,20Dの剪断強度を図7に示す方法によって測定するとともに、半田付けした金属ボール10A,10B,10C,20A,20B,20C,20Dの剥離モードを解析した。
図10は、剪断強度の測定結果を示す図である。図10において、横軸は、金属ボールの種類を表し、縦軸は、剪断強度を表す。なお、図10に示す剪断強度は、220℃のリフロー温度で半田付けした金属ボール10A,10B,10C,20A,20B,20C,20Dについて測定された。また、剪断強度の測定に用いられた金属ボール10A,10B,10C,20A,20B,20C,20Dの個数は、20個である。
金属ボール20A(比較例1)は、約160[gf]〜約530[gf](平均値:約420[gf])の範囲の剪断強度を有し、金属ボール20B(比較例2)は、約200[gf]〜約590[gf](平均値:約350[gf])の範囲の剪断強度を有し、金属ボール20C(比較例3)は、約160[gf]〜約570[gf](平均値:約370[gf])の範囲の剪断強度を有し、金属ボール20D(比較例4)は、約590[gf]〜約760[gf](平均値:約650[gf])の範囲の剪断強度を有する。
一方、金属ボール10A(実施例1)は、約570[gf]〜約920[gf](平均値:約720[gf])の範囲の剪断強度を有し、金属ボール10B(実施例2)は、約520[gf]〜約910[gf](平均値:約680[gf])の範囲の剪断強度を有し、金属ボール10C(実施例3)は、約430[gf]〜約900[gf](平均値:約620[gf])の範囲の剪断強度を有する。
図11は、剥離モードの解析結果を示す図である。図11において、横軸は、金属ボールの種類を表し、縦軸は、剥離モードの割合を示す。なお、図11に示す剥離モードは、220℃のリフロー温度で半田付けした金属ボール10A,10B,10C,20A,20B,20C,20Dについて解析された。
図11を参照して、金属ボール20A(比較例1)においては、剥離モードが“半田ちぎれ”のモードMD1である割合が40%であり、剥離モードが“界面剥離”のモードMD2である割合が60%である。
また、金属ボール20B(比較例2),20C(比較例3)においては、全てが“界面剥離”のモードMD2である。
さらに、金属ボール20D(比較例4)においては、剥離モードが“半田ちぎれ”のモードMD1である割合が60%であり、剥離モードが“界面剥離”のモードMD2である割合が40%である。
一方、金属ボール10A(実施例1),10B(実施例2),10C(実施例3)の各々において、全てが“界面剥離”のモードMD2である。
したがって、めっき層3中におけるBi組成比を最内周から最外周へ向かって増加させることによって、剥離モードが全て“界面剥離”である金属ボール10を作製することができる。
また、表3、図10および図11に示す結果から、Bi濃度を最内周から最外周へ向かって増加させながら電気めっきによりめっき層3を形成することによって、剪断強度が400[gf](=基準強度)以上であり、かつ、融点が200℃(=基準融点)よりも低く、さらに、剥離モードが“界面剥離”となる金属ボール10を作製できる。
なお、この発明においては、Biの組成比をめっき層3の最内周から最外周へ向かって増加させるとき、好ましくは、めっき層3の膜厚に対するBiの組成比の増加率が1%以上になるようにBiの組成比をめっき層3の最内周から最外周へ向かって増加させる。
また、上記においては、コアボール1は、銅からなると説明したが、この発明においては、これに限らず、コアボール1は、アルミニウム(Al)からなっていてもよい。
さらに、上記においては、反応抑制層2は、電気めっきにより形成されると説明したが、この発明においては、これに限らず、反応抑制層2は、スパッタリング法により形成されてもよい。
さらに、上記においては、金属ボール10は、反応抑制層2を備えると説明したが、この発明においては、これに限らず、金属ボール10は、反応抑制層2を備えていなくてもよい。
この発明の実施の形態によれば、金属ボール10は、Bi組成比が最内周から最外周へ向かって強度を基準強度以上に保持する組成比から融点を基準融点よりも低くする組成比まで増加するめっき層3を備えるので、金属ボール10を半田付けしたとき、強度を保持し、かつ、融点を低下させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、半田付けしたときの強度を保持し、かつ、半田付けするときの融点を低温化できる金属ボールに適用される。
1 コアボール、2 反応抑制層、3 めっき層、10 金属ボール、11 冶具、12,21 矢印、13 基板、14 ランド、15,15A,15B 半田、20 めっき槽、30 枠板、40 バレルドラム、41 側板、42 網材、50,60 歯車、70 モータ、71 シャフト、80 陰極、90 陽極、100 バレルめっき装置、111 開口部、110,120 ノズル、130 直流電源、140 めっき浴。
Claims (5)
- 電子部品の実装に用いられる金属ボールであって、
金属からなるコアボールと、
半田付け用の合金を構成するSnおよびBiからなり、前記コアボールを覆うめっき層とを備え、
前記Biの組成比は、前記めっき層の最内周から最外周へ向かって第1の組成比から第2の組成比へ増加し、
前記第1の組成比は、当該金属ボールが半田付けされたときの前記めっき層の強度を基準強度以上に設定する組成比であり、
前記第2の組成比は、前記めっき層の融点を基準融点よりも低い温度に設定する組成比である、金属ボール。 - 前記コアボールと前記めっき層との間に挿入された反応抑制層をさらに備える、請求項1に記載の金属ボール。
- 前記反応抑制層は、Ni、Ni−P合金、Ni−B合金、CoおよびPtのいずれかからなる、請求項2に記載の金属ボール。
- 前記第1の組成比は、15〜20%の範囲であり、
前記第2の組成比は、29〜44%の範囲である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属ボール。 - 前記コアボールは、Cuからなる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金属ボール。
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