JP2007043777A - 回転機用ブラシ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、火花の発生によるブラシや整流子の摩耗に悪影響が少なくし、粉体のぬけ落ちにより発生する整流子との接触抵抗の不安定が生じず、ピグテールをほどくという手間のかかる作業が必要とせず、かつブラシの摩耗によって次第に電流が中央に集中する変化が起きない回転機用ブラシを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、回転機の整流子と摺接する棒状のブラシ体と、整流子との摺接面の反対端側に接続されるピグテールを有する回転機用ブラシにあって、ブラシ体は、黒鉛を主成分とするブラシ層と、このブラシ層の導電率と異なる導電率の導体板とを有し、導体板は、周囲が前記ブラシ層に囲われるようにブラシ層内に内置され、かつ摺接面側の端側からピグテールが接続される端側に延在することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は回転機の整流子に摺接するブラシに関するものである。
〔公知技術1〕
整流子とブラシを摺接させ、回転機内部の回転子との電気的接続を行うものについてはその摺接面での接触抵抗による電気的損失を低減するために特公昭35−15156号公報(特許文献1)にあるようにブラシ表面にブラシ本体の材料よりも電気抵抗の少ない材料をメッキする、あるいはブラシと外部電極を接続する導線(主に銅より線)を整流子との接触面まで延ばすなどしてブラシの電気抵抗を低減して電気的損失を低減させる方法が知られている。
〔公知例2〕
また、ブラシと外部電極を接続する導線を差し込むためにブラシ端面に設ける穴を整流子との接触面まで貫通させ、その穴にブラシ本体よりも導電性の高い粉体を充填することで同様の効果を得る方法も知られている。
さらに整流子とブラシは、その電気的接続のために常に機械的に接触しており,その接触面の摩擦による機械的損失を低減するためには主にブラシ本体の材質の改良によっていた。
特公昭35−15156号公報
従来、上記のように整流子とブラシとの接触抵抗による電気的損失の低減のためにブラシ表面へのメッキ処理や粉体の充填などが行われている。
メッキ処理の場合はブラシの整流子との接触面を除いた面にのみ実施可能であり、メッキを施した面の電気抵抗を下げることができる。
一般に電動機の設計において、整流子への通電はブラシの中心と整流子の接触面を基準として設計されるため、前記メッキによる方法では整流子とブラシ中心の接触面での電気抵抗を下げることはできない。
またブラシ全面にメッキを施した場合は、電動機の回転中にブラシによって短絡されるコイルに生ずる短絡電流が電気抵抗の低いメッキ面を流れ、火花の発生を助長し、ブラシや整流子の摩耗に悪影響を与える場合があった。
また、ブラシ内に粉体を充填する方法では、ブラシと外部を電気的に接続する導体を接続するための穴の延長線上に粉体を充填するのみである。材料が粉体であることから回転機の運転中に充填された穴から粉体がぬけ落ちる。このため、整流子との接触抵抗が不安定である。
また充填される粉体は前記ブラシと外部を電気的に接続するための導体をブラシ本体に固定する必要が有る。このため、その材料を自由に選択することができず、小型回転機の場合は必然的にブラシも小さくなる。粉体を充填する穴も小さくなるため、この粉体の充填作業は非常に困難なものであった。
また、特許文献1(特公昭35−15156号公報)には、一般にピグテールと呼ばれるブラシ本体と外部を電気的に接続するための導線(より線)をほどき,扇状に広げるという事例が紹介されている。
しかし、この方法ではピグテールをほどくという、大変手のかかる作業が発生する。それに加え、その広げ方が扇状になるため、ブラシの摩耗によって次第に電流が中央に集中するという問題があった。
本発明は、上記の問題に対処し、火花の発生によるブラシや整流子の摩耗に悪影響が少なくし、粉体のぬけ落ちにより発生する整流子との接触抵抗の不安定が生じず、ピグテールをほどくという手間のかかる作業が必要とせず、かつブラシの摩耗によって次第に電流が中央に集中する変化が起きない回転機用ブラシを提供することを目的とする。
本発明は、回転機の整流子と摺接する棒状のブラシ体と、整流子との摺接面の反対端側に接続されるピグテールを有する回転機用ブラシにあって、ブラシ体は、黒鉛等を主成分とするブラシ層と、このブラシ層の導電率と異なる導電率の導体板とを有し、導体板は、周囲が前記ブラシ層に囲われるようにブラシ層内に内置され、かつ摺接面側の端側からピグテールが接続される端側に延在することを特徴とする。
本発明によれば、火花の発生によるブラシや整流子の摩耗に悪影響を少なくし、粉体のぬけ落ちにより発生する整流子との接触抵抗の不安定が生じず、ピグテールをほどくという手間のかかる作業が必要とせず、かつブラシの摩耗によって次第に電流が中央に集中する変化が起きない回転機用ブラシを提供することができる。
本発明の実施例について、図を用いて以下に詳説する。
図2は、回転機(電動送風機)1の内部構造を示したものである。
回転機1は、外枠2と外枠2に固定された固定子3、外枠2に設けられた軸受4a,4bによって支持される回転軸5、回転軸5に固定された回転子6、回転軸5に固定された整流子7、整流子7との電気的接続を行うブラシ8とそれを保持するとともに外枠2に固定するためのホルダ9によって構成される。
整流子7は、その円周面に整流子片を有し、各整流子片は回転子6内のコイルと接続されている。
ブラシ8はホルダ9内に格納され、ばね10により整流子7に押し付けられ、整流子7に摺接している。11はブラシ8と外部電極を接続するためブラシ8と電気的に接続された一般にピグテールと呼ばれるリード線であり、ホルダ9に設けられた端子(図示せず)と接続されている。
回転機1が運転を開始すると回転子6が回転し、回転子6と同軸に設けられた整流子7も回転する。整流子7は複数の整流子片をその円周面を有する。ホルダ9内に格納されたばね10によりブラシ8は、整流子7に押し付けられて接触する。整流子7の回転によりブラシ8と接触する整流子片の位置も変わる。
このブラシ8と整流子7は機械的に接触している上、ブラシ8はばね10により整流子7に押し付けられているため、ブラシ8の摺動面は回転機1の運転とともに磨耗していく。
ところで、回転機の効率は入力電力と出力される機械的出力の割合で表され、入力電力と機械的出力との差が損失となる。この損失は、主に回転機1内のコイルの電気抵抗による銅損,回転子,固定子のコイルから発生する磁界による回転子、固定子での鉄損、軸受けなどでの機械損である。
回転機のうち、整流子とブラシを有するものではブラシ、及びブラシと整流子の接触面の電気抵抗による電気的損失、ブラシと整流子の接触(摩擦)による機械損がある。
図1は本実施例におけるブラシ8の外観である。
ブラシ8は、ブラシ体80とリード線であるピグテール11を有する。
ブラシ体80は、棒状の形に形成されている。
このブラシ体80は、図1中に示す一方の端面16が整流子7と接する摺接面である。摺接面16は、整流子7の外周に合う円弧形状を有する。ピグテール11は、摺接面16の反対側になるブラシ体80の端面に接続される。
ブラシ体80は、図1に示されるように、ブラシ材8a,8cと金属箔の導体板8bを有する。ブラシ材8a,8cは、ブラシ層を形成する。このブラシ層(ブラシ材8a,8c)は、主成分の黒鉛、バインダ材等から形成される。
導体板8bは、ブラシ層よりも導電率の高い金属、例えば、銅,アルミニュームで形成される。導体板8bはブラシ材8a,8cで挟持される。このため、導体板8bは回りかブラシ層で囲まれるようにブラシ層内に内置される。
導体板8bは、ブラシ体80の摺接面16側の端側からピグテール11が接続される端側に亘り延在している。導体板8bは、導体板8bの延在方向が摺接面16と直交している。
ブラシ体80は、図1に示されるように、摺接面16側の端側ないしピグテール11が接続される端側の形状が矩形状をなし、導体板8bの長辺長さはブラシ層の長辺長さよりも短く、導体板8bの短辺長さは前記ブラシ層の短辺長さよりも短い。
一般にブラシは材料となる黒鉛などの粉体を押し固め、その後焼成し、規定の外形寸法に研磨されて完成する。
図3は、ブラシ体の成型の一例を示す。
雌型13のくぼみ14内に、押し固める規定量の粉体(黒鉛、バインダ、研磨材等)を充填し、上方より雄型12を油圧などにより押しつけ、圧縮することによりブラシ体80が成型される。このブラシ体80を雌型13から取り出し、焼結することにより完成される。
本実施例のように金属箔の導体板8bを用いる場合は、粉体を充填する型にスリット15を設け、ここから導体板8bを挿入する。導体板8bの挿入は、くぼみ14内に粉体を充填してから行なう。
この導体板8bは、雌型13に雄型12を押し付けることにより切断される。図示されていないが、雄型12にはカッターが設けられている。このカッターにより、導体板8bは切断される。既存の製作機器(雌型・雄型等)にカッターを設ける等、若干の改造で、転用可能である。
金属箔以外の、例えば複数のブラシ材料を用いるのであれば、その厚みの比に従って雌型13内のくぼみ14に充填し、圧縮することで製作可能である。
上記製法では、導体板8bを内置するブラシ体80のブラシ層(ブラシ材8a,8c)は雌型・雄型で一体に成形されるが、二分割のブラシ層を合わせるようにして構成することも可能である。
すなわち、導体板8bが内置されるように合わさる二分割のブラシ層の接合面、導体板8bとの接合面に接着材を施すことにより、一体成形されたブラシ体80と同様な機械的強度の強い丈夫なブラシ体を作ることができる。
さらに、図4を引用して整流子について説明する。
図4は、円形の整流子7を平面状に展開したところを示している。
整流子7は、整流子片7a.7b.7c,7d等を有する。
整流子片7a.7b.7c,7dは、図中の矢印方向に進行してブラシ体80と接触する。このとき、ブラシ体80内の導体板8bの短辺側の幅が、整流子片の間隔幅より厚いと、導体板8bにより整流子片同士が短絡される。
この短絡により、短絡された整流子片に接続されたコイルに発生している誘導起電力により大きな短絡電流が流れる。この短絡電流の流れはじめ(短絡初期)と流れ終わり(短絡終了時)には電機子コイルのインダクタンスにより大きな火花が発生する。
この火花のエネルギにより、付近のブラシ材が損傷を受けてしまうため,本実施例では図4のように整流子片間の間隔幅よりも導体板8bの厚みを薄くし、短絡電流が生じないようにしているのである。
逆に、本実施例のように導体板8bのような導電性の高いものではなく、逆に導電率の低いものをブラシ8内の8bの位置に設けることで、積極的に火花の発生を抑えることも可能である。
また、ブラシ体80は、導電性の高い導体板8bをブラシ層(ブラシ材8a,8c)内に内置することにより、ブラシ中心で最もブラシ体80の抵抗を低くすることができ、効率が良く、またブラシ寿命の長い回転機を得ることができる。
さらにブラシ体80の中央に設けた導電性の高い導体板8bを介して周りのブラシ層(ブラシ材8a,8c)に電流が流れるので、電流の流れが均一になる。
さらに、ブラシ体80は、導電性の高い導体板8bをブラシ層(ブラシ材8a,8c)内に内置する構成であるので、導体板8bの両面をブラシ材で単に挟む構成に比べ、機械的強度の強い丈夫なブラシ体80を得ることができる。
また、ブラシ層(ブラシ材8a,8c)の中央に導体板8bを有するブラシ体80は、従来のブラシ全面にメッキ処理をしたものに比べ、火花の発生によるブラシや整流子の摩耗に悪影響が少ない。
さらに、導体板8bであるので、従来のような粉体のぬけ落ちにより発生する整流子との接触抵抗の不安定が生じない。
また、導体板8bであるので、従来のようなピグテールをほどくという手間のかかる作業が不要である。
さらにまた、導体板8bであるので、従来のようなブラシの摩耗によって次第に電流が中央に集中する変化は生じない。
本実施例に於ける図5を引用してピグテールの接続について説明する。
図5(a)は、ブラシの断面図を示す。図5(b)、図5(c)、図5(d)は、ブラシの外観図を示す。図5(b)は、ブラシをピグテール側から見た図。図5(c)は、ブラシを正面から見た図。図5(d)は、ブラシを摺接面から見た図。
ブラシ体80は、図5(a),図5(b)に示すように、ピグテール11が接続される端側に、摺接面16に向けて窪むピグテール接続穴81を有する。このピグテール接続穴81は、ブラシ体80を焼結した後にドリル等の機械加工により形成する。
ピグテール接続穴81の位置は、導体板8bの中央とし、ピグテール接続穴81の径は導体板8bの板厚(短辺長さ)よりも大きくする。
ピグテール11は、図5(a)中のハッチングで示すように、ピグテール接続穴81に挿入後にピグテール11の外周側の隙間に導電粉末(接続媒体)を充填して押し固める。これにより、ピグテール11はブラシ体80に接続される。充填した導電粉末(接続媒体)が押し固められているので、ピグテール11はブラシ体80に強い機械的な接続が提供される。
ピグテール接続穴81は、導体板8bのところに形成したので、ピグテール11と導体板8bが接続媒体で接続されるので、ピグテール11をブラシ層(ブラシ材8a,8c)に接続するものに比べ、導電性が増す。
導電粉末(接続媒体)は、銀メッキが施された銅粉末を使用するのが望ましい。銅粉末は延び易いのでダイスで押し固めると、一つの塊になる。このため、ピグテール11はピグテール接続穴81の強く抑えられる。
銅粉末に銀メッキが施されているので、接続媒体としての導電性が更に増す。
ピグテールの接続は、ブラシ体成型時の圧縮方向や導体板の配置により、上記実施例以外の部分で接続させることも可能である。
また、上記実施例では、ブラシ体の摺接面と導体板の延在方向を直交させているが、これを斜めにすることも可能である。さらに、このブラシを使用する回転機の特性に合わせて導体板の材質や配置構成等は、自由に選択することができる。
本発明の実施例に於けるブラシの斜視図。 本発明の実施例に於けるブラシを使用した回転機の断面図。 本発明の実施例に於けるブラシの成型用金型を示す斜視図。 本発明の実施例に於ける整流子片と回転子内のコイルとブラシの接触状態を示す説明図。 本発明の実施例に於けるブラシの断面や外観を示した図。
符号の説明
1…回転機、80…ブラシ体、7…整流子、11…ピグテール、8…ブラシ、にあって、8a,8cブラシ層(ブラシ材)、8b…導体板。

Claims (13)

  1. 回転機の整流子と摺接する棒状のブラシ体と、整流子との摺接面の反対端側に接続されるピグテールを有する回転機用ブラシにあって、
    前記ブラシ体は、黒鉛等を主成分とするブラシ層と、このブラシ層の導電率と異なる導電率の導体板とを有し、
    前記導体板は、周囲が前記ブラシ層に囲われるようにブラシ層内に内置され、かつ前記摺接面側の端側から前記ピグテールが接続される端側に延在することを特徴とする回転機用ブラシ。
  2. 請求項1記載の回転機用ブラシにあって、
    前記ブラシ層は、前記黒鉛等の粉体と、バインダを含むことを特徴とする回転機用ブラシ。
  3. 請求項2記載の回転機用ブラシにあって、
    前記ブラシ体は、成型して焼結されたことを特徴とする回転機用ブラシ。
  4. 請求項1記載の回転機用ブラシにあって、
    前記ブラシ体は、前記摺接面側の端側ないし前記ピグテールが接続される端側の形状が矩形をなし、前記導体板の長辺長さは前記ブラシ層の長辺長さと同じかまたは短く、前記導体板の短辺長さは前記ブラシ層の短辺長さよりも短いことを特徴とする回転機用ブラシ。
  5. 請求項1記載の回転機用ブラシにあって、
    前記導体板は、銅,アルミニュームを含む前記ブラシ層よりも導電率が高い材料で形成されていることを特徴とする回転機用ブラシ。
  6. 請求項1〜5のいずれに記載された回転機用ブラシにあって、
    前記ブラシ体の摺接面と前記導体板の延在方向がほぼ直交することを特徴とする回転機用ブラシ。
  7. 請求項4記載の回転機用ブラシにあって、
    前記導体板の短辺長さは、前記整流子を構成する整流片の間隔幅よりも短いことを特徴とする回転機用ブラシ。
  8. 請求項4記載の回転機用ブラシにあって、
    前記導体板は、周囲が前記ブラシ層に囲われるようにブラシ層内に内置され、かつ前記摺接面側の端側から前記ピグテールが接続される端側に延在することを特徴とする回転機用ブラシ。
  9. 請求項1〜8のいずれに記載された回転機用ブラシにあって、
    前記導体板と前記ピグテールを接続する接続媒体を有することを特徴とする回転機用ブラシ。
  10. 請求項1〜8のいずれに記載された回転機用ブラシにあって、
    前記ピグテールが接続される端側には、摺接面に向けて窪むピグテール接続穴を形成し、前記ピグテール接続穴に挿入したピグテールの周りの接続媒体を充填したことを特徴とする回転機用ブラシ。
  11. 請求項10記載の回転機用ブラシにあって、
    前記接続媒体は、銀メッキが施された銅粉体を含む導電粉体であることを特徴とする回転機用ブラシ。
  12. 請求項10記載の回転機用ブラシにあって、
    前記ピグテール接続穴は、前記導体板の中央に設けたことを特徴とする回転機用ブラシ。
  13. 請求項12記載の回転機用ブラシにあって、
    前記ピグテール接続穴の径は、前記導体板の板厚(短辺長さ)よりも大きいことを特徴とする回転機用ブラシ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009071991A (ja) * 2007-09-13 2009-04-02 Toshiba Corp ブラシ装置及びこれを備えた電動機

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