JP2007042893A - セラミック基板の製造方法およびセラミック基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】未焼成セラミック体10の少なくとも一方主面に、金属材料を主成分とする柱状の電極形成用部材を有する、難焼結材料からなる補助層が密着し、かつ、少なくとも一方主面に段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成し、この補助層付き未焼成セラミック体を、補助層を備えた状態のまま、補助層が実質的に焼結しない温度で焼成した後、補助層を除去して、段差部分を有する主面と同一面に、電極形成用部材が焼結することにより形成され、段差部分を有する主面から突出したスタッド電極を備えたセラミック焼結体を取り出す。
【選択図】図2
Description
(A)未焼成セラミック体の少なくとも一方の主面に、前記未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなり、かつ、前記未焼成セラミック体の焼成温度で焼結する金属材料を主たる成分とし、一部が前記未焼成セラミック体と接する柱状の電極形成用部材を有する補助層が密着し、かつ、少なくとも一方の主面に段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(B)前記段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、前記補助層を備えた状態のまま、前記未焼成セラミック体および前記電極形成用部材が焼結し、前記補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と、
(C)前記補助層を除去して、前記段差部分を有する主面と同一面に、前記電極形成用部材が焼結することにより形成され、前記段差部分を有する主面から突出したスタッド電極を備えたセラミック焼結体を取り出す工程と
を具備することを特徴としている。
なお、未焼成セラミック体の表面に補助層が配設されているので、曲げ加工時に補助層付き未焼成セラミック体の補助層に表面割れが発生した場合にも、未焼成セラミック体には影響がなく、所望の特性を備えたセラミック基板を得ることが可能になる。
なお、補助層付き未焼成セラミック体は、セラミックグリーンシートを積層し、一括して圧着する一括圧着の方法により製造することも可能であり、また、一枚または所定の複数枚のセラミックグリーンシートを積層するごとに圧着する逐次圧着の方法で形成することが可能である。なお、本願発明は、一括圧着および逐次圧着のいずれの方法を用いる場合にも適用することが可能であり、所望の特性を備えた多層セラミック基板を効率よく製造することができる。
すなわち、例えば、深い段差部分を形成しようとすると、補助層付き未焼成セラミック体を強く変形させることが必要になり、補助層付き未焼成セラミック体の表面に深い割れの発生するおそれが大きくなるが、割れが発生しやすい部分(強く変形する部分)に、予め変形や割れに強い補強材(例えば、ガラスペーストや導電性ペーストなど)を配設しておくことにより、欠陥の発生を効率よく防止することが可能になる。
なお、補強材としては、上述のガラスペーストや導電性ペーストなどの焼成後に残存する材料の他に、脱バインダ時に消失する樹脂材料を用いることが可能であり、その具体的な材料の種類に特別の制約はない。
なお、この実施例1では、CaO−SiO2−Al2O3−B2O3系ガラスを用いたが、800〜1000℃で焼結する他のガラスを用いてもよい。
このときに用いる導体ペーストとしては、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt、Cu粉末などを導電成分とする導体ペーストを使用する。必要に応じて、導体ペーストとともに、あるいは、導体ペーストの代わりに、抵抗ペーストやガラスペーストを印刷することも可能である。
補助層用(拘束層用)グリーンシート2は、たとえば、有機ビヒクル中にアルミナ粉末を分散させてスラリーを調製し、これをキャスティング法によってシート状に成形することにより得ることができる。このようにして得られた補助層用(拘束層用)グリーンシート2の焼結温度は、1500〜1600℃であるため、基板用グリーンシート1が焼結する温度(例えば、800〜1000℃)では焼結せず、この補助層用(拘束層用)グリーンシート2を接合させた状態で基板用グリーンシート1を焼成することにより、基板用グリーンシート1の平面方向に関する収縮を抑制しつつ焼結させることが可能になる。
なお、この補助層用(拘束層用)グリーンシート2は、プレス時に未焼成セラミック体10を傷めることなく加工することができるように、基板用グリーンシート1よりも、硬くなるように物性を調整したものを用いる。
この型30の凸部22は補助層用(拘束層用)グリーンシート2の一部であって、ある程度の弾力性を有しているため、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の損傷を抑制しつつ、所望の形状を有する段差部分15(図2,図3)を形成することができる。
(6)それから、図1に示すように、複数枚の基板用グリーンシート1を積層した基板用セラミックグリーンシート積層体(未焼成セラミック体)10の両主面(上下)に、補助層用(拘束層用)グリーンシート2に形成した複数の孔33bにスタッド電極形成用の導電ペースト(電極形成用部材)34bが充填された突起電極形成用グリーンシート2aを複数枚積層して補助層20を形成し、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11(図1)を形成する。なお、この実施例1では、下側の補助層の厚みを上側の補助層の厚みよりも薄くしている。
なお、プレス方法は静水圧プレスの方法に限らず、図3に示すように、弾性体7a(例えばシリコンラバー)を介して平板状の圧着用金型8によりプレスして、補助層付き未焼成セラミック体11を変形させる(段差部分15を形成する)ようにすることも可能である。
その結果、補助層付き未焼成セラミック体11を十分に変形させて、意図する形状を有する段差部分15(15a)を形成することができる。
なお、型30による補助層付き未焼成セラミック体11のプレスは、100〜2000kg/cm2、好ましくは1000〜2000kg/cm2のプレス圧力で、30〜100℃、好ましくは50〜80℃の温度で実施する。
また、補助層付き未焼成セラミック体11の主要部を構成する基板用グリーンシート1は、プレス用の型30を構成する型形成用グリーンシート3よりも柔らかいため、未焼成セラミック体10を容易かつ確実に変形させることができる。
なお、補助層20を除去する方法としては、超音波洗浄やアルミナ砥粒を吹き付ける方法などの物理的処理方法や、エッチングなどの化学的処理方法のどちらの方法を用いてもよく、また、物理的処理方法と化学的処理方法を組み合わせて用いることも可能である。
なお、この実施例1において得られるセラミック基板14は、上述のように、電極形成用部材を有する補助層を備えた状態で未焼成セラミック体を変形させる工程を経て製造されているので、スタッド電極5(5a,5b)を備えた、実装対象(例えば、マザーボード)への実装面となる面に、実装信頼性を低下させるような反りやうねりなどの変形がなく、マザーボードに変形を伴うような振動や、撓みが生じた場合にも、脱落や破損などが生じるおそれのない、高い信頼性を備えたセラミック基板を提供することが可能になる。
また、セラミック基板14の凹部15(15b)に表面実装部品16が搭載されることになるため、表面実装部品16を含めたセラミック基板14全体の高さが高くなることを回避して、低背化を図ることが可能になる。
また、通常延性の高い金属材料から構成され、柱状の構造を有するスタッド電極5aを備えたセラミック基板14は、実装後に加わる衝撃などを吸収しやすく、落下などにも強いという特徴を有している。
この図6(b)のモジュール基板114の場合、スタッド電極5bが斜めに突出していることから、スタッド電極5bをマザーボード18の端部まで引き出すことが可能で、かつ、スタッド電極5bの高さも確保することができるため、実装時に、はんだフィレット131aの確認を容易に行うことができるようになる。
また、この図6(b)のモジュール基板の場合にも、セラミック基板14の凹部15(15a)に表面実装部品16が搭載されることになるため、表面実装部品16を含めたセラミック基板14全体の高さが高くなることを回避して、低背化を図ることが可能になる。また、通常延性の高い金属材料から構成され、柱状の構造を有するスタッド電極5bを備えたセラミック基板14は、実装後に加わる衝撃などを吸収しやすく、落下などにも強いという特徴を有している。
1)補助層付き未焼成セラミック体11の、型30を合わせた面と逆側の面がなだらかに変形するので、型30に接する方の面において、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)を形成するようにした場合にも、型30との接触面に大きな応力がかかることを抑制して、未焼成セラミック体10の破断を引き起こすことなく、意図する形状の段差部分15(15a,15b)を形成することが可能になる。
なお、図7において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。
なお、この実施例では、上面側(他方主面F1b側)の補助層20にのみ、複数の孔33bにスタッド電極形成用の導電ペースト(電極形成用部材)34bを充填した突起電極形成用グリーンシート2aが用いられており、下面側(一方主面F1a側)には、上述のように、平板4に、所定の形状の凹部21および凸部22を形成する加工を直接に施すことにより作製した型30が用いられており、他方主面F1b側にのみスタッド電極5b(図8)が形成されることになる。
そして、図7に示すような型30を用い、上記実施例1の場合と同様に、未焼成セラミック体10の両面側に補助層20が配設された積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11を静水圧プレス(または弾性体を介しての圧着)の方法によりプレスして所定形状の圧着体13を形成する。
それから、変形させた圧着体(型30を含む補助層付き未焼成セラミック体11)13から型30を剥がし、補助層20を付けたまま、未焼成セラミック体10が焼結する温度、例えば1000℃以下、好ましくは800〜1000℃の温度で焼成し、両主面に補助層20を備えた状態の焼結基板(セラミック基板)14を得る。
それから、焼結していない補助層20を焼結基板(セラミック基板)14の表面から除去することにより、図8に示すような、他方主面F1bにスタッド電極5bを備え、一方主面F1aにはスタッド電極を備えていないセラミック基板を得る。
また、金属製の型30を用いた場合、繰り返し使用が可能であるばかりでなく、金属が硬く、表面を平滑するための加工性に優れていることから、加工面をよりフラットにすることが可能になり、精度の高い成型を行うことが可能になる。
なお、図9,図10において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。
また、この実施例3において、以下に説明する構成以外は、上記実施例1の場合と同様である。
次に、変形させた圧着体(型30を含む補助層付き未焼成セラミック体11)13から固定面として使用した平板4を剥がし、補助層20ならびに凸部22を付けたまま、未焼成セラミック体10が焼結する温度、例えば1000℃以下、好ましくは800〜1000℃の温度で焼成し、両主面に補助層20を備えた状態の焼結基板(セラミック基板)14を得る。
それから、焼結していない補助層20を焼結基板(セラミック基板)14の表面から除去することにより、図11に示すような構造を有するセラミック基板14を得る。
なお、このセラミック基板14は、表裏の両主面に段差部分(凹部)15(15a,15b)を備えているとともに、一方主面F1a側に、該一方主面F1aに垂直に突出したスタッド電極(突起電極)5aを備え、他方主面F1bに、段差部分15bの傾斜面17から、他方主面F1bに対して斜め方向に突出したスタッド電極(突起電極)5bを備えている。
図12のモジュール基板114においては、セラミック基板14として、上面側に、側面がなだらかに傾斜した形状の凹部15(15b)を備え、下面側にテーパ形状を有するシャープな凸部115aを備えたセラミック基板が用いられている。また、セラミック基板14の下面側の、凸部115aの頂上面(下面)117aに膜状電極118aが配設されており、凸部115aの周囲の平面116aには、下方に垂直に突出したスタッド電極5aが配設されている。
また、図13のセラミック基板(モジュール基板)114においては、セラミック基板14として、上面側に、側面がシャープに傾斜したテーパ形状を有する凹部15(15a)を備え、下面側に側面がなだらかに傾斜した凸部115bを備えたセラミック基板が用いられている。また、セラミック基板14の下面側の、凸部115bの頂上面(下面)117bには膜状電極118bが配設されており、凸部115bのなだらかに傾斜した傾斜面17には、斜め下方に突出したスタッド電極5bが配設されている。
また、図14のモジュール基板114においては、セラミック基板14として、上面側に、側面がシャープに傾斜したテーパ形状を有する凸部115aが配設され、下面側に、側面がなだらかに傾斜した形状の凹部15(15b)が配設された、いわゆるダウンキャビティ構造を有するセラミック基板14が用いられている。また、セラミック基板14の、下面側の凹部15(15b)の周囲の平面116bには、スタッド電極5(5b)が、図14における、左右両側の平面116bのそれぞれに2本ずつ下方に垂直に突出するような態様で配設されている。
また、図15のモジュール基板114においては、セラミック基板14として、上面側が平坦で、下面側に凹部15が配設された、いわゆるダウンキャビティ構造を有するセラミック基板が用いられている。また、セラミック基板14の、下面側の凹部15の周囲の平面116には、スタッド電極5が、図15における左右両側の平面116のそれぞれに2本ずつ、下方に垂直に突出するように配設されている。
したがって、本願発明は、セラミック基板と、セラミック基板に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えた種々のセラミック基板や、該セラミック基板に各種の表面実装部品を搭載したモジュール基板などの分野に広く適用することができる。
2 補助層用(拘束層用)グリーンシート
2a 突起電極形成用グリーンシート
3 グリーンシート(型形成用グリーンシート)
4 固定面(平板)
5(5a,5b) スタッド電極(突起電極)
6 可撓性フィルム
7 水
7a 弾性体
8 平板状の圧着用金型
10 基板用セラミックグリーンシート積層体(未焼成セラミック体)
11 積層体(補助層付き未焼成セラミック体)
13 圧着体(型を含む補助層付き未焼成セラミック体)
14 焼結基板(セラミック基板)
15(15a,15b) 凹部(段差部分)
16(16a,16b,16c) 表面実装部品
17 傾斜面
18 マザーボード
19 接続用ランド
20 補助層
21 型の凹部
22 型の凸部
30 型
31 表面導体
32 内層導体
33a 層間接続用のビアホール
33b 孔
34a ビアホール導体
34b スタッド電極形成用の導電ペースト(電極形成用部材)
114 モジュール基板
115a,115b 凸部
116 凹部の周囲の平面
116a 凸部の周囲の平面
116b 凹部の周囲の平面
117a,117b 凸部の頂上面
118a,118b 膜状電極
131 はんだ
131a はんだフィレット
140 樹脂
F1a 一方主面
F1b 他方主面
Claims (12)
- (A)未焼成セラミック体の少なくとも一方の主面に、前記未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなり、かつ、前記未焼成セラミック体の焼成温度で焼結する金属材料を主たる成分とし、一部が前記未焼成セラミック体と接する柱状の電極形成用部材を有する補助層が密着し、かつ、少なくとも一方の主面に段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(B)前記段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、前記補助層を備えた状態のまま、前記未焼成セラミック体および前記電極形成用部材が焼結し、前記補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と、
(C)前記補助層を除去して、前記段差部分を有する主面と同一面に、前記電極形成用部材が焼結することにより形成され、前記段差部分を有する主面から突出したスタッド電極を備えたセラミック焼結体を取り出す工程と
を具備することを特徴とするセラミック基板の製造方法。 - 前記補助層付き未焼成セラミック体を、前記未焼成セラミック体の厚みがその全面でほぼ一定になるように維持したまま、前記未焼成セラミック体と前記補助層とが密着した状態を保ちつつ、前記補助層付き未焼成セラミック体の所定の領域を変形させることにより、前記補助層付き未焼成セラミック体の両主面に段差部分を形成することを特徴とする、請求項1記載のセラミック基板の製造方法。
- 前記未焼成セラミック体の少なくとも一方の主面に、前記電極形成用部材が、前記未焼成セラミック体の前記段差部分以外の部分と接するように前記補助層を配設しておき、少なくとも前記一方の主面に対して略垂直方向に延びるスタッド電極を形成することを特徴とする、請求項1または2記載のセラミック基板の製造方法。
- 前記未焼成セラミック体の少なくとも一方の主面に、前記電極形成用部材が、前記未焼成セラミック体の前記段差部分と接するように前記補助層を配設しておき、少なくとも前記一方の主面に対して斜め方向に延びるスタッド電極を形成することを特徴とする、請求項1または2記載のセラミック基板の製造方法。
- 前記未焼成セラミック体が、複数のセラミックグリーンシートを積層してなる未焼成セラミック積層体であって、その内部には、各セラミックグリーンシート層の層間を接続するための層間接続導体パターンおよび各セラミックグリーンシート層の界面に設けられた面内導体パターンが配設されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
- 焼成後のセラミック基板に、表面実装部品を搭載する工程を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
- 未焼成セラミック体を焼成して得られるセラミック基板であって、少なくとも一方の主面に段差部分を有し、前記段差部分を有する主面と同一面に、前記未焼成セラミック体との同時焼成によって形成された、前記段差部分を有する主面から突出したスタッド電極を有することを特徴とする、セラミック基板。
- 厚みが全面でほぼ一定で、両主面に前記段差部分が形成されていることを特徴とする、請求項7記載のセラミック基板。
- 前記スタッド電極が、前記段差部分以外の部分に形成されており、前記主面に対して垂直方向に延びていることを特徴とする、請求項7または8記載のセラミック基板。
- 前記スタッド電極が、前記段差部分に形成されており、前記主面に対して斜め方向に延びていることを特徴とする、請求項7または8記載のセラミック基板。
- 前記セラミック基板は、
積層された複数のセラミック層を備えた多層構造を有し、内部には、前記セラミック層の層間を接続するための層間接続導体パターンおよびセラミック層間に設けられた面内導体パターンが配設されたセラミック多層基板であることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載のセラミック基板。 - 前記段差部分によって形成される低い方の面上に、表面実装部品が搭載されていることを特徴とする、請求項7〜11のいずれかに記載のセラミック基板。
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