JP2007042521A - 電線・ケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】 電線・ケーブル全般における介在物及び/又は押え巻テープに用いられるプラスチック樹脂の使用量の削減を図ってケーブルの軽量化を図ると共に環境を配慮することができるようにする。
【解決手段】 導体1の上にポリオレフィン系樹脂からなる絶縁体2を被覆してなる絶縁線心3を2本撚り合わせ介在物4を介在して成形した上に押え巻テープ5を巻き回し、その押え巻テープ5の上にポリオレフィン系樹脂組成物をシース6被覆してなるケーブル10において、介在物4及び/又は押え巻テープ5は、プラスチック樹脂からなるベース材料に対し、樹木成分の充填材が配合され、介在物4の場合、ベース材料100重量部に対し、充填材を50〜200重量部配合し、押え巻テープ5の場合、ベース材料100重量部に対し、充填材を50〜200重量部配合して構成することにより実現される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電線・ケーブルに係り、特に軽量化を図ると共に環境を配慮することのできる電線・ケーブルに関する。
電線・ケーブルの搬送は、電線・ケーブルを電線・ケーブルドラムに巻き付け、この電線・ケーブルドラムを運搬して行われている。従来の電線・ケーブルは、電線・ケーブルの介在物及び押え巻テープにプラスチック100%の材料が用いられていたため、この介在物及び押え巻テープのケーブル単位長さ当たりの使用量が非常に多くなり、ケーブルの単位長さ当たりの重量が大きくなっていた。そのため、電線・ケーブルドラムに木を使用するなど軽量化を図っていたが限界があった。
また、この従来の電線・ケーブルは、ケーブル全体としての重量が重いため、電力送電に当って架空電線に用いられる場合、両側支持点間(鉄塔間)においては所定の弛みを持たせて高架するため、特に、ケーブルの重量が問題となっていた。
そこで、電線・ケーブルの介在物に用いられるプラスチック使用量の削減を図ることによって、ケーブル全体の軽量化を図ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載の発明は、介在を構成するベース材料のプラスチック樹脂に充填剤を配合し、この充填剤の一部または全部に軽比重のウッドチップを使用する構成を有している。そして、この構成から、比重が小さく、軽量である電気ケーブル用介在が得られている。
特開平9−274815号公報(第2〜3頁)
この特許文献1に記載の発明に係る電気ケーブル用介在は、ベース樹脂に配合される充填材にウッドチップを使用しているが、このウッドチップの原料には木材が用いられるため、将来的には木材資源の枯渇を招くという問題点を有している。
また、ケーブル全体の軽量化を図るためには、介在物だけでなく押え巻テープの軽量化も必要であるが、従来の押え巻テープは、プラスチック100%の材料が用いられているため、ケーブル全体の重量が重くなるという問題点を有している。
本発明の目的は、電線・ケーブル全般における介在物及び/又は押え巻テープに用いられるプラスチック樹脂の使用量の削減を図ってケーブルの軽量化を図ると共に環境を配慮することのできる電線・ケーブルを提供することにある。
請求項1に記載の電線・ケーブルは、導体の上にポリオレフィン系樹脂からなる絶縁体を被覆してなる絶縁線心を複数本撚り合わせ介在物を介在して成形した上に押え巻テープを巻き回し、その押え巻テープの上にポリオレフィン系樹脂組成物をシース被覆してなる電線・ケーブルにおいて、前記介在物及び/又は前記押え巻テープは、プラスチック樹脂からなるベース材料に対し、樹木成分の充填材が配合され、前記介在物の場合、前記ベース材料100重量部に対し、前記充填材を50〜200重量部配合し、前記押え巻テープの場合、前記ベース材料100重量部に対し、前記充填材を50〜200重量部配合して構成していることを特徴とする。
ここで、介在物のベース材料のプラスチック樹脂100重量部に対し、樹木成分からなる充填材を50〜200重量部配合したのは、この充填材が50重量部を下回ると、軽量化とリサイクル性が悪くなり、充填材が200重量部を超えると、介在物の押出成形性が悪くなるからである。また、押え巻テープのベース材料のプラスチック樹脂100重量部に対し、樹木成分からなる充填材を50〜200重量部配合したのは、樹木成分からなる充填材が50重量部を下回ると、軽量化とリサイクル性が悪くなるからである。一方、樹木成分からなる充填材が200重量部を超えると、押え巻テープの引張強さが低下するからである。
なお、樹木成分とは、後述するリグニン、セルロース、ヘミセルロースなどをいう。
請求項2に記載の電線・ケーブルの押え巻テープは、前記ベース材料100重量部に対し、生分解性ポリマーを10〜50重量部配合して構成していることを特徴とする。ここで、押え巻テープのベース材料のプラスチック樹脂100重量部に対し、生分解性ポリマーを10〜50重量部配合したのは、生分解性ポリマーが10重量部を下回ると、リサイクル性が悪くなるからである。一方、生分解性ポリマーが50重量部を超えると、押え巻テープのコストが高くなるからである。なお、生分解性ポリマーとは、使用中は通常のプラスチック樹脂と同様に使えて、使用後は自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解される特性があるものをいい、具体的には、後述するポリカプロラクトン、ポリ乳酸、コポリエステルなどをいう。
請求項3に記載の電線・ケーブルの前記プラスチック樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、再生ポリエチレンテレフタレート(再生PET)のうち少なくとも1種又は2種以上が用いられていることを特徴とする。再生ポリエチレンテレフタレート(再生PET)は、例えば廃PETボトルのフレーク材を押出成形して得られる。
請求項4に記載の電線・ケーブルの前記充填材は、リグニン、セルロース、ヘミセルロースのうち少なくとも1種又は2種以上が用いられていることを特徴とする。ここで、リグニンは、木または木質植物の維管束細胞壁成分として存在する無定形高分子物質であり、分子構造はフェニルプロパン系の構成単位が複雑に縮合したものである。また、セルロースは、繊維素ともいい、植物体の木質,表皮の細胞を構成する主成分である。また、ヘミセルロースは、植物体でセルロースに伴って存在する多糖類で、木材パルプ中に多く存在している。これらの樹木成分のうち、リグニンは、紙製造業等で副産物として生成し、そのほとんどが廃棄処分やサーマルリサイクルされており、安価に購入することができる。
請求項5に記載の電線・ケーブルの前記生分解ポリマーは、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、コポリエステルのうち少なくとも1種又は2種以上が用いられていることを特徴とする。ここで、ポリカプロラクトン(PCL)は、脂肪族ポリエステルの1つで、ポリプロピレンに近似した半硬質系結晶性プラスチックである。ポリ乳酸(PLA)はトウモロコシのデンプンなどを発酵させて乳液を取出し、触媒や熱を加えて乳酸の分子を結合して得られたものであり、環境負荷の低い素材である。また、コポリエステルは、脂肪族芳香族ポリエステルであり、低密度ポリエチレンに類似した軟質材料である。
請求項1に記載の発明によれば、介在物及び/又は押え巻テープのベース材料にリサイクルされた樹木成分が配合されているため、軽量化を図ることができるとともに、環境の配慮及びコストの低減を図ることができる電線・ケーブルを得ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができ、さらに押え巻テープのベース材料には環境負荷の小さい生分解性ポリマーが配合されているため、より一層環境を配慮することができる電線・ケーブルを得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができ、特にベース材料にリサイクル可能な再生PETを用いる場合には、より一層環境を配慮することができる電線・ケーブルを得ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができ、特にリグニンは、安価な材料であるため、コストの低減をより一層図ることができる電線・ケーブルを得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができ、さらに押え巻テープベース材料には環境負荷の小さい生分解性ポリマーのポリカプロラクトン、ポリ乳酸、コポリエステルが配合されているため、環境負荷が小さい電線・ケーブルを得ることができる。
本発明は、導体の上にポリオレフィン系樹脂からなる絶縁体を被覆してなる絶縁線心を複数本撚り合わせ介在物を介在して成形した上に押え巻テープを巻き回し、その押え巻テープの上にポリオレフィン系樹脂組成物をシース被覆してなる電線・ケーブルにおいて、該介在物及び/又は該押え巻テープは、プラスチック樹脂からなるベース材料に対し、樹木成分の充填材が配合され、該介在物の場合、該ベース材料100重量部に対し、該充填材を50〜200重量部配合し、該押え巻テープの場合、ベース材料100重量部に対し、該充填材を50〜200重量部配合して構成することにより実現される。
以下、本発明に係る電線・ケーブルの実施の形態について説明する。
図1には、ケーブルの一実施例が示されている。
図1において、10は本発明に係るケーブルを示している。このケーブル10は、軟銅線によって構成される導体1の上にポリオレフィン系樹脂からなる絶縁体2を被覆してなる絶縁線心3を2本撚り合わせ介在物4を介在して成形した上に押え巻テープ5を巻き回し、その押え巻テープ5の上にポリオレフィン系樹脂組成物をシース6被覆して構成されている。
この絶縁線心3の上に設けられている介在物4は、絶縁線心3を2本以上撚り合わせる際に生じる各絶縁線心3の間の隙間を埋めるために添わせるもので、ケーブル10の断面が略円形になるようにするためのものである。
本実施例のケーブルに係る介在物4は、プラスチック樹脂からなるベース材料100重量部に対し、樹木成分の充填剤50〜200重量部が配合され、構成されている。この介在物4は、電線・ケーブルが製造される際に採用される公知の方法によって得ることができる。
介在物4のベース材料には、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の汎用熱可塑性樹脂やリサイクルされて再生されたポリエチレンテレフタレート(再生PET)などのプラスチック樹脂のうち少なくとも1種又は2種以上が用いられる。なかでも、再生ポリエチレンテレフタレート(再生PET)は、例えば廃PETボトルのフレーク材を押出成形して得られるため、リサイクル性に優れており、環境を配慮する上で好ましい材料である。なお、この再生PETは、介在物4の引張強さを考慮すると、ポリエチレンなどと混合したものを用いるのが好ましく、例えばポリエチレン80〜100重量部に対し、再生PETを0〜20重量部配合するとよい。
また、このプラスチック樹脂100重量部に対し、リグニン、セルロース、ヘミセルロースなどの樹木成分からなる充填材が50〜200重量部配合されている。樹木成分からなる充填材は、プラスチック樹脂と比べて密度が小さい。そのため、樹木成分からなる充填材が介在物4のベース材料に配合されると、介在物4の重量は軽くなる。ここで、介在物4のベース材料のプラスチック樹脂100重量部に対し、リグニン、セルロース、ヘミセルロースなどの樹木成分からなる充填材を50〜200重量部配合するとしたのは、この充填材が50重量部を下回ると、軽量化とリサイクル性が悪くなり、充填材が200重量部を超えると、介在物4の押出し成形性が悪くなるからである。
なお、リグニンは、木または木質植物の維管束細胞壁成分として存在する無定形高分子物質であり、分子構造はフェニルプロパン系の構成単位が複雑に縮合したものである。また、セルロースは、繊維素ともいい、植物体の木質、表皮の細胞を構成する主成分である。また、ヘミセルロースは、植物体でセルロースに伴って存在する多糖類で、木材パルプ中に多く存在している。これらの樹木成分のうち、リグニンは、紙製造業等で副産物として生成し、そのほとんどが廃棄処分やサーマルリサイクルされており、安価に購入することができる。したがって、介在物4にリグニンが用いられると、ケーブル10全体が軽くなるばかりか、従来廃棄処分にされたリグニンがリサイクルされて再使用されるため、ケーブル10の製造コストの低減と、環境の配慮、特に木材の資源枯渇に対しても一層効果的なものとなる。
このように、本実施例に係る介在物4は、プラスチック樹脂からなるベース材料100重量部に対し、樹木成分の充填剤50〜200重量部が配合されて構成されているため、軽量化と環境を配慮することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
また、この介在物4の上に巻き回されている押え巻テープ5は、プラスチック樹脂からなるベース材料100重量部に対し、樹木成分の充填剤50〜200重量部と生分解性ポリマー10〜50重量部が配合されて構成されている。このうち、ベース材料と樹木成分の充填剤は、介在物4のベース材料と充填剤に用いられる材料と同じものが用いられるため、説明は省略する。なお、押え巻テープ5のベース材料のプラスチック樹脂100重量部に対し、樹木成分からなる充填材を50〜200重量部配合したのは、樹木成分からなる充填材が50重量部を下回ると、押え巻テープ5の軽量化とリサイクル性が悪くなるからである。一方、樹木成分からなる充填材が200重量部を超えると、押え巻テープ5の引張強さが低下するからである。
また、この押え巻テープ5には、介在物4と異なり、生分解性ポリマーがテープ補強材として、ベース材料100重量部に対し、さらに10〜50重量部配合されている。ここで、ベース材料100重量部に対し、生分解性ポリマーが10〜50重量部配合されているのは、生分解性ポリマーが10重量部を下回ると、押え巻テープ5の強度又はリサイクル性が悪くなるからである。一方、生分解性ポリマーが50重量部を超えると、押え巻テープ5のコストが高くなるからである。なお、生分解性ポリマーとは、使用中は通常のプラスチックと同様に使えて、使用後は自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解される特性があるものをいい、環境負荷の小さい樹脂材料である。具体的な生分解性ポリマーとしては、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、コポリエステルなどがある。ここで、ポリカプロラクトン(PCL)は、脂肪族ポリエステルの1つで、ポリプロピレンに近似した半硬質系結晶性プラスチックである。ポリ乳酸(PLA)はトウモロコシのデンプンなどを発酵させて乳液を取出し、触媒や熱を加えて乳酸の分子を結合して得られたものである。また、コポリエステルは、脂肪族芳香族ポリエステルであり、低密度ポリエチレンに類似した軟質材料である。
このように構成される押え巻テープ5は、電線・ケーブルが製造される際に採用される公知の方法によって得ることができる。
この押え巻テープ5について、実施例として具体的に示したのが表1である。
この表1に示されている実施例1〜実施例2および比較例1〜比較例3の組成物は、以下のような組成から構成されている。
〔実施例1〕
実施例1の組成物には、押え巻テープ5のベース材料のプラスチック樹脂にポリエチレン(日本ユニカー(株)社製、商品名NUC−9025)が用いられ、このポリエチレン100重量部に対してリグニン(日本製紙ケミカル(株)社製、商品名パールレックスCP)が50重量部、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)社製、商品名セルグリーンRH)が10重量部配合されている。
〔実施例2〕
実施例2の組成物には、押え巻テープ5のベース材料のプラスチック樹脂にポリエチレン(日本ユニカー(株)社製、商品名NUC−9025)が用いられ、このポリエチレン100重量部に対してリグニン(日本製紙ケミカル(株)社製、商品名パールレックスCP)が200重量部、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)社製、商品名セルグリーンRH)が50重量部配合されている。
〔比較例1〕
比較例1の組成物には、押え巻テープ5のベース材料であるプラスチック樹脂のポリエチレン(日本ユニカー(株)社製、商品名NUC−9025)のみが用いられている。
〔比較例2〕
比較例2の組成物には、押え巻テープ5のベース材料のプラスチック樹脂にポリエチレン(日本ユニカー(株)社製、商品名NUC−9025)が用いられ、このポリエチレン100重量部に対してリグニン(日本製紙ケミカル(株)社製、商品名パールレックスCP)が30重量部、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)社製、商品名セルグリーンRH)が5重量部配合されている。
〔比較例3〕
比較例3の組成物には、押え巻テープ5のベース材料のプラスチック樹脂にポリエチレン(日本ユニカー(株)社製、商品名NUC−9025)が用いられ、このポリエチレン100重量部に対してリグニン(日本製紙ケミカル(株)社製、商品名パールレックスCP)が250重量部、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)社製、商品名セルグリーンRH)が70重量部配合されている。
Figure 2007042521
また、この表1には、実施例1〜実施例2および比較例1〜比較例3による押え巻テープ5について、「環境配慮」の評価と「引張強さ」の評価が示されている。ここで、「環境配慮」の評価は、押え巻テープ5のベース材料のプラスチック樹脂に対し、配合されている充填材と補強材の重量割合を百分率で評価したものであり、50%以上をリサイクル性が大きいと評価したものである。表1に示されている評価『○』は、配合されている充填材と補強材の重量割合が50%以上であり、リサイクル性が大きいことを示し、評価『△』は配合されている充填材と補強材の重量割合が50%未満であり、リサイクル性が小さいことを示している。
また、「引張強さ」の評価は、押え巻テープの樹脂組成物の引張強さを評価したものである。この「引張強さ」の評価は、日本工業規格のJIS C3005に準拠した方法により行われる。この引張強さの評価方法は、引張試験と呼ばれ、以下の手順にて行われる。
先ず、評価用試験試料として、実施例1〜実施例2、比較例1〜比較例3の組成に基づいて作製された樹脂組成物を押出機で押し出して1〜2mmの厚さのシートが作製される。作製されたシートは、常温で押出後24時間以上放置された後に、評価用試験試料として所定の試験片(JIS3号ダンベル片)の形状に作製される。
次に、この試験片は、試験中に試験片が歪みその他の不都合を生じないように、引張り試験機のチャックに正しく、かつ、確実に一端が取り付けられる。そして、試験機に取り付けられた試験片は、所定の引張速さ(200mm/min)で引張られ、やがて破断される。この破断された試験片に基づいて、引張強さと伸びを求めることができる。
引張強さは、どの程度の力で試験片を引張ったときに、試験片が引き千切れるかを示したものであり、引き千切れたときの荷重、すなわち最大引張荷重(N)を試験片の断面積(mm)で割ったもので示される。この引張強さを評価することによって、試験片に用いられた樹脂組成物の機械的強さが評価される。この樹脂組成物の引張強さの目標値は、『10MPa以上』である。
ここで、この引張強さの目標値を10MPa以上としたのは、引張強さが10MPaを下回るようでは、引張強さが小さいため、機械的強さが充分に確保された樹脂組成物を得ることができないからである。
この表1に示されている評価結果によれば、環境配慮の評価で『○』とされたのは、実施例1、実施例2、比較例3である。実施例1においては、ベース材料のポリエチレン100重量部に対し、リグニンが50重量部、ポリカプロラクトンが10重量部配合されているため、配合されている充填材と補強材の重量割合が60%となり、評価基準の50%以上となるからである。また、実施例2においては、ベース材料のポリエチレン100重量部に対し、リグニンが200重量部、ポリカプロラクトンが50重量部配合されているため、配合されている充填材と補強材の重量割合が250%となり、評価基準の50%以上となるからである。同様に、比較例3においては、ベース材料のポリエチレン100重量部に対し、リグニンが250重量部、ポリカプロラクトンが70重量部配合されているため、配合されている充填材と補強材の重量割合が320%となり、評価基準の50%以上となるからである。一方、環境配慮の評価で『△』とされたのは、比較例1、比較例2である。比較例1においては、ベース材料のポリエチレンに対し、リグニンとポリカプロラクトンが配合されていないため、配合されている充填材と補強材の重量割合が0%となり、評価基準の50%未満となるからである。比較例2においては、ベース材料のポリエチレン100重量部に対し、リグニンが30重量部、ポリカプロラクトンが5重量部配合されているため、配合されている充填材と補強材の重量割合が35%となり、評価基準の50%未満となるからである。
また、この表1に示されている引張強さの評価結果によれば、目標値の10MPa以上を満たしているのは、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2である。すなわち、実施例1の引張強さは、16MPaであり、目標値の10MPaを超えている。これは、ベース材料のポリエチレン100重量部に対し、リグニンが50重量部配合されていても、補強材としてのポリカプロラクトンが10重量部配合されているため、引張強さの低下が小さかったからである。また、実施例2の引張強さは、12MPaであり、目標値の10MPaを超えている。これは、ベース材料のポリエチレン100重量部に対し、リグニンが200重量部と多量に配合されていても、ポリカプロラクトンが50重量部配合されているため、引張強さの低下が大きくなかったからである。比較例1は、ベース材料のポリエチレンのみで構成されているため、引張強さの低下はなく、得られた引張強さは20MPaであり、目標値の10MPaを超えている。また、比較例2の引張強さは、18MPaであり、目標値の10MPaを超えている。これは、ベース材料のポリエチレン100重量部に対し、リグニンが30重量部配合され、補強材としてのポリカプロラクトンが5重量部配合されているため、引張強さの低下が小さかったからである。一方、引張強さの評価で『△』とされたのは比較例3である。比較例3の引張強さは、8MPaであり、目標値の10MPaを超えていない。比較例3の引張強さが目標値を超えることができないのは、ベース材料のポリエチレン100重量部に対し、リグニンが250重量部と多量に配合されているため、補強材のポリカプロラクトンが70重量部配合されていても、引張強さの低下が大きかったからである。
このように、本実施例に係る押え巻テープ5は、プラスチック樹脂からなるベース材料100重量部に対し、樹木成分の充填剤50〜200重量部と生分解性ポリマー10〜50重量部が配合されて構成されているため、軽量化と環境を配慮することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
以上のように、本実施例に係る介在物を用いたケーブルは、ケーブル全般における介在物に用いられるプラスチック樹脂の使用量の削減を図ってケーブルの軽量化と環境を配慮することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施例に係る押え巻テープを用いたケーブルは、ケーブル全般における押え巻テープに用いられるプラスチック樹脂の使用量の削減を図ってケーブルの軽量化と環境を配慮することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
さらに、本実施例に係る介在物及び押え巻テープを用いたケーブルは、ケーブル全般における介在物及び押え巻テープに用いられるプラスチック樹脂の使用量の削減を図ってケーブルの軽量化と環境を配慮することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
なお、本発明の実施例に係るケーブルにおいては、導体を絶縁体で被覆してなる絶縁線心が2本であり、この2本の絶縁線心に介在物と押え巻きテープを用いたケーブルについて説明したが、これに限られるものではなく、絶縁線心が3本以上であっても、本発明の実施例に係るケーブルと同様の効果を得ることができる。
本発明の実施例に係るケーブルの断面図。
符号の説明
1………導体
2………絶縁体
3………絶縁線心
4………介在物
5………押え巻テープ
6………シース
10……ケーブル

Claims (5)

  1. 導体の上にポリオレフィン系樹脂からなる絶縁体を被覆してなる絶縁線心を複数本撚り合わせ介在物を介在して成形した上に押え巻テープを巻き回し、その押え巻テープの上にポリオレフィン系樹脂組成物をシース被覆してなる電線・ケーブルにおいて、
    前記介在物及び/又は前記押え巻テープは、プラスチック樹脂からなるベース材料に対し、樹木成分の充填材が配合され、
    前記介在物の場合、前記ベース材料100重量部に対し、前記充填材を50〜200重量部配合し、
    前記押え巻テープの場合、前記ベース材料100重量部に対し、前記充填材を50〜200重量部配合して構成していることを特徴とする電線・ケーブル。
  2. 前記押え巻テープは、前記ベース材料100重量部に対し、生分解性ポリマーを10〜50重量部配合して構成していることを特徴とする請求項1に記載の電線・ケーブル。
  3. 前記プラスチック樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、再生ポリエチレンテレフタレート(再生PET)のうち少なくとも1種又は2種以上が用いられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電線・ケーブル。
  4. 前記充填材は、リグニン、セルロース、ヘミセルロースのうち少なくとも1種又は2種以上が用いられていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の電線・ケーブル。
  5. 前記生分解性ポリマーは、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、コポリエステルのうち少なくとも1種又は2種以上が用いられていることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の電線・ケーブル。
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