しかしながら、上述した単板方式は、特開平8−114780号公報に提案された手段だけでは、所望の色純度を得ることが困難である。なぜなら、この方式では、ダイクロイックミラーにより分割された各光束R、G、Bは、図7の液晶表示素子8の光源側に配置されているマイクロレンズアレイ7にそれぞれ異なった角度で入射する。このマイクロレンズアレイ7を通過した各色光束はそれぞれに対応した色信号が独立して印加される信号電極により駆動される液晶部位24G,24R,24Bに分配照射される。この時、マイクロレンズアレイ7に設けられた個々のマイクロレンズの繋ぎ部分は鋭利な形状にならず光が発散する。このため、例えば比視感度が最も高く光源の発光スペクトルも強い緑色光束の一部が繋ぎ部分で発散し、光源の発光スペクトルの最も弱い赤色光束に混入し、本来赤色光だけが入射する液晶部位24Rにおいて赤色光束と緑色光束が混色し赤色の色純度が低下するためである。
そこで、赤色の色純度を高くするために赤色を分離するダイクロイックミラーの反射特性を赤色光の純度が良くなるようにすると、得られる赤色光束の光量が減り結果として、3色を加色して得られる白のホワイトバランスが崩れる。
この時、他の2色の光束量を減らしてホワイトバランスを合せると3色加色して得られた白色映像の輝度が低下する。
以上述べたように特開平8−114780号公報に提案された投影型カラー液晶表示装置においも、従来の投写型ブラウン管を用いた投写型画像ディスプレイ装置に比べ明るさも、色純度も充分な水準ではなく、さらに、液晶パネルに黒表示した場合の輝度レベルが高いことからコントラストの低い映像しか得られない。
一方、一般の家庭に設置できるコンパクトな背面投写方式の投写型画像ディスプレイ装置を実現するには、投写距離(投写用レンズ装置からスクリーンまでの距離)の短縮が必須となり、広角な投写用レンズ装置が必要となる。この時、通常の広角な投写レンズ装置を用いると液晶パネルの配光特性のために、周辺光量比は大幅に低下する。この理由は、単板式照明系においては、液晶パネルと白色光源の間に配置した3枚のダイクロイックミラーの分光透過率と反射率が光の入射角によって変化するため、白色光源からの光束は、ほぼ平行光束としてダイクロイックミラーと液晶パネルに入射するため、液晶パネルの各物点から投写用レンズ装置に入射する光束の主光線は、投写用レンズ装置の光軸に略平行となり、その拡がり角はマイクロレンズの開口数に比例する。このような光学系に通常の広角な投写レンズ装置を使用すると、液晶パネル周辺から投写用レンズ装置に取り込める光束が極端に少なくなり、スクリーン上の拡大画像の周辺部が暗くなる。
この他に、投写型画像ディスプレイ装置の光学系に使用される投写用レンズ装置には、(1)画面の隅々までにわたる高いフォーカス性能(倍率の色収差低減を含め)の確保。(2)画面の明るさ向上のためにF値の低減。
(3)コンバージェンス調整が出来ないため、ディストーションの低減。(4)レンズ面での反射を低減し、明るさの損失を押さえ十分なコントラスト性能を確保する。などの課題がある。
以上述べたように、投写用レンズ装置は多くの課題があるが実際には、例えば特開平9−96759号公報に提案されたレトロフォーカス型レンズにおいても半画角が42度程度で投写距離は短いがF値が2.56と大きく、充分な明るさを確保出来ていない。
また、液晶パネルを用いた従来の投写光学系には、通常白色光源と液晶パネル(偏光板も含め)を冷却するための冷却ファン(図示せず)がそれぞれ1個づつ設けられている。このため、コストアップの原因となり、風切り音の低減も課題になっていた。また、このような空冷式では、偏光板を十分に冷却することは困難で、偏光板は、熱の影響により物理的な特性が変化して偏光度が低下し、コントラスト性能が低下する。
一方、使用する透過型スクリーンとしては、例えば特開昭58−59436号公報に提案された従来技術によれば入斜面のレンチキュラーレンズは楕円柱面の一部であり、その楕円は入射面と出射面の厚さ方向を長軸とし、楕円の2焦点の内1焦点が基材の内部に位置し、他の1焦点が出射面付近に位置するように構成されている。また、楕円の離心率は基材の屈折率のほぼ逆数となるように選ばれている。
この結果、楕円の長軸に平行な光線が入射面から入射した場合、全て出射面付近の焦点に収束し、この焦点からスクリーン画面水平方向に拡散される。
一方、出射面に設けたレンチキュラーレンズは、出射面の表面において入射面の楕円柱とほぼ対称な楕円柱面としている。実際のレンチキュラーレンズシートは図31、図32に示したように内部に拡散材が混入されているため光束は1点で集光せず広がりを持つ。このため光吸収層の画面水平方向の幅をレンチキュラーレンズの幅に対して大きく出来ないので、外光の映り込みによる反射光を小さく出来ずコントラスト低下を一定量以内に押え込めない。
以上をまとめると、単板式の投写光学系を搭載した背面投写型画像ディスプレイ装置では、(1)フォーカス性能の向上(2)コントラスト向上の他に(3)色純度と明るさの両立という従来の投写管を用いた背面投写型画像ディスプレイ装置にはない新たな課題がある。
上記第1の目的を達成するため、本発明に係る投写用レンズ装置は、画像発生源からの映像光を拡大してスクリーン上に投影するための複数のレンズエレメントが光軸に沿って配列された構成であって、スクリーン側から順に、第1、第2、第3レンズ群が配置されている。前記第1レンズ群は、そのレンズ群全系が負の屈折力を有し、前記第2レンズ群は、そのレンズ群全系が正の屈折力を有し、前記第3レンズ群は、そのレンズ群全系が負の屈折力を有し、かつ少なくとも中心部分が負の屈折力を持ち、その周辺部が正の屈折力を持つレンズエレメントを含むものである。第1レンズ群は、少なくともスクリーンに対して凸面を設けた負の屈折力を持つメニスカスレンズを含んで構成している。また、第2レンズ群は、少なくとも第1のアッベ数を持つ両凸レンズと、第1のアッベ数よりも小さい第2のアッベ数を持つ両凹レンズとを貼合せた負の屈折力を持つレンズを含んで構成してもよい。さらに、第2レンズ群は、光軸を含む中心部分では正の屈折力を有し、光軸から半径方向に離れた周辺部では殆ど屈折力を持たないもしくは、負の屈折力を有するレンズエレメントを含むものである。
上記の本発明の第1の目的を達成するための投写用レンズ装置は、まず第1に、前述したようにスクリーン側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群から成る3群構成とするものである。この構成は、80度以上の広画角にしても平坦な像面が得られるため、画面の隅々まで良好なフォーカス性能が得られる。また、この構成は正の第2レンズ群を挟んで両側に負の第1レンズ群と第3レンズ群が対称的に配置されているため、像面湾曲の補正に有利であるばかりでなく、ディストーションも低く押さえることが出来る。
しかしながら、このような3群構成の投写レンズ装置は、第1レンズ群と第3レンズ群のレンズ口径が大きくなり製造コストが高くなるという問題がある。そこで本発明の投写レンズ装置では、第3レンズ群に、光軸近傍は負の屈折力(発散作用)、周辺部は正の屈折力(集光作用)を持つような非球面形状を有するレンズを配置することで、前述した基本構成の長所を生かしつつ、レンズの口径を小さく押さえることが出来る。
第2レンズ群には、光軸近傍は正の屈折力(集光作用)、周辺部は負またはほとんど屈折力の無い(発散作用または発散作用のほとんど無い)非球面レンズを設け、上述した第3レンズ群の非球面レンズと組み合わせることで、液晶パネルからの光束を光軸方向に圧縮できるビームエクスパンダー(光束の幅を変換する)光学系の作用を持たすことが出来る。この結果、実効的な物面の高さを低く出来るので倍率色収差を含め収差補正が容易になる。
さらに第1の目的を実現する第2の手法として、第2群を構成するレンズエレメントの屈折率と分散を最適化することで赤、青色光束により生じる単色収差と倍率色収差をキャンセルさせる。この構成の投写レンズ装置は、光軸上の射出瞳サイズより画面周辺で結像する光束が通過する射出瞳の方が大きくなるためと、光束の主光線が投写レンズ装置の光軸にほぼ平行になるテレセントリックな構成となるため高いフォーカス性能と十分な周辺光量比を確保することが出来る。
スクリーン側から、負、正、負の屈折力となるように配列された3群構成のレンズ装置でなくとも液晶パネルの如く、物点である液晶パネルから射出される光線が光軸と略平行となるものであれば、液晶パネルに最も近い位置に、光軸近傍は負の屈折力(発散作用)、周辺部は正の屈折力(集光作用)を持つような非球面形状のレンズエレメントを配置することにより、光束を光軸方向に圧縮できることは自明である。
すなわち、液晶パネルを用いた投写型画像ディスプレイ装置において、光束を圧縮してレンズ口径を小さくしたい場合には、液晶パネルに最も近い位置に、光軸近傍は負の屈折力(発散作用)、周辺部は正の屈折力(集光作用)を持つような非球面形状のレンズエレメントを配置することが有効である。
さらに、スクリーン全面においてハイフォーカスを実現し、同時に明るい画像を得るために本発明の投写用レンズ装置は、スクリーン中心で結像する光線束とスクリーン最外周部で結像する光線束が重ならない位置に非球面レンズを設けるようにしている。非球面レンズとしては量産数量が確保できれば安価なプラスチックレンズを使用する。しかしながら、このプラスチックレンズには、温度変化や吸湿に伴う形状と屈折率の変化によって屈折力が変動し、焦点位置の変化やフォーカス性能が低下するという大きな問題点がある。そこで、本発明では(1)プラスチックレンズを出来るだけ均一な肉厚にして、温度変化や吸湿に伴う形状と屈折率変化による屈折力の変動を軽減する。(2)プラスチック非球面レンズの局部的な形状により得られる屈折力の温度、湿度変化による変動を複数枚のプラスチック非球面レンズを組み合わせることで相殺する構成とする。
更に、本願発明の第1の目的を実現する第3の手法として、照明系の工夫によってもセットのフォーカス性能を向上させる。本願発明の照明系はダイクロイックミラーによって白色光束を赤、青、緑の順に三原色の光束に分離し、それぞれの光束を異なる角度で同一の液晶パネルに入射させる構成となっている。このため、液晶パネルにより変調された三原色の光束が投写用レンズ装置の入射瞳を通過する時、液晶パネルの画面水平方向に分かれて通過する。そこで、入射瞳の周辺を通過すると発生する収差が最も大きい青色光束が入射瞳の中心を通過するように、ダイクロイックミラーによって白色光束を色分離する。さらに、赤色光束によって発生する収差の向き(符号)を倍率色収差(緑色光束と赤色光速束の結像位置のずれ)をキャンセルする方向に補正する。
次に本発明の第2の目的を達成するための技術手段について述べる。まず本願発明の投写用レンズ装置に採用した技術については前述した通りである。
第2の手法としては、本願発明の投写用光学装置から透過型スクリーンに入射する光束をp偏光として投写用レンズ装置を構成するレンズエレメントとスクリーンでの反射損失を低減する。
第3の手法として、照明系において用いる白色光源からの白色光束を三原色の光束に分離し、かつそれぞれの光束を異なる角度で液晶パネルに入射させるダイクロイックミラーを、白色光源側から順にシアン(青と緑)透過のダイクロイックミラーと黄色(緑と赤)透過のダイクロイックミラーと赤透過のダイクロイックミラーとを組み合わせる。この時、それぞれのダイクロイックミラーの反射率が50%以上となる波長を明るさと色純度を考慮して最適値とする。
また第4の手法として、白色光源から表示素子までの間に、偏光ビームスプリッタを配置し偏光合成することで所望の偏光成分のみを約50%増やすことができる。この時、p偏波成分のみを取り出すことで複数のレンズ素子から成るマルチレンズアレイでの反射損失を低減できる。更に、前述のダイクロイックミラーと光路折り返しミラーを、偏光ビームスプリッタと光学的に直交する位置に配置し、両者にとってs偏光とする。これにより光路折り返しミラーの反射率が大きくなるので明るさが向上する。
第5の手法としては、白色光源に近い第1のマルチレンズアレイに設けた個々のレンズにより分割された光束は液晶パネル側に位置する第2のマルチレンズアレイの対向するレンズにより拡大され液晶パネルに投影されるが、この時、白色光源の分光エネルギー分布が弱い順(赤、青、緑)に分離する。この結果、第2のマルチレンズアレイから液晶パネルまでの光路は赤色光束が最も短くなるので投影倍率が小さくなり、収差によるボケが少なく赤色光束のエネルギー密度が大きくなる。
また、青色光束は比視感度が低いことと、白色光源から出る紫外線を反射するフィルターを光路中に設けるので、有効に使用できる青色光束のエネルギーも小さくなる。そこで、前述したように投写用レンズ装置の入射瞳の中央を青色光束が通過するように、赤色に次いで分離する。この結果、スクリーン上で3色加色した場合に得られる白色光の明るさ並びに各3原色の明るさを最大にできる。
更に、上記本発明の第3の目的を達成する第1の手法として、本発明に係る投写型画像ディスプレイ装置は、液晶パネルと偏光板とを有し、液晶パネルと投写用レンズ装置の最も液晶パネル側に近いレンズエレメントとの間に形成された空間内に、冷却用液体を充填する。液晶パネルとその前面に配置された偏光板は、温度が高くなる(70℃程度)と熱の影響によりその物理的な特性が変化し、偏光特性が低下してコントラスト性能が低下する場合がある。上記本発明の構成では、液晶パネル及び偏光板を液体(冷媒)によりに冷却するので、空冷式のものに比べ、効率良く両者を冷却することができる。このため、温度上昇の影響により生じる偏光特性の劣化に伴うコントラスト性能の低下を防止して高画質の映像を得ることができる。
また、上記冷却用液体を、波長587.6(nm)の光に対する屈折率が1.2以上の媒質にすれば、映像光の反射が軽減されるので更なる高コントラスト化が可能となる。
また、第2の手法としては、投写レンズ装置のレンズ鏡筒に、液晶パネルにより変調された光束のうち結像に関与する光束を通過し、結像に関与しない光束を吸収遮光する形状を有する開口孔を設ける。この結果、結像に関与しない光束がスクリーン上に到達しないのでコントラスト性能が向上する。
更に、第3の手法としては、透過型スクリーンに白色光源の発光スペクトルが最も強い緑色光を吸収するフィルター特性を備える。これにより、外光がスクリーン面に入射しても、得られる画像のコントラスト性能が低下し難くなる。
最後に、前記第4の目的を達成するための第1の手法は、前述のダイクロイックミラーを、偏光ビームスプリッタと直交する位置に光学的に配置し、ダイクロイックミラーにとってs偏光とすることで実現できる。この結果、ダイクロイックミラーの分光反射率特性の立ち上がり部分が急峻に成り色純度が向上する。
また、第2の手法としては、白色光源に近い第1のマルチレンズアレイに設けた個々のレンズにより分割された光束は、液晶パネル側に位置する第2のマルチレンズアレイの対向するレンズにより拡大され液晶パネルに投影されるが、この時、白色光源の分光エネルギー分布が弱い順(赤、青、緑)に分離する。この結果、第2のマルチレンズアレイから液晶パネルまでの光路は赤色光束が最も短くなるので投影倍率が小さくなり、赤色光束のエネルギー密度が大きくなり色純度も向上する。さらに、液晶パネルのマイクロレンズアレイに入射する際に比視感度が最も高く光源の発光スペクトルも強い緑色光束と同一マイクロレンズアレイ内で隣接していないため、この一部がマイクロレンズ相互の繋ぎ部分で発散し、光源の発光スペクトルの最も弱い赤色光束に混色し難くなるため色純度が向上する。
さらに、第3の手法としてダイクロイックミラーの分光反射率特性のリップル成分を低減することで迷光が発生し難くなるため、分割した各光束の色純度が高く、色再現範囲の広い画像を得ることが出来る。
さらに、白色光源に近い第1のマルチレンズアレイに設けた個々のレンズの繋ぎ部分の面精度不良により、分割された光束は液晶パネル側に位置する第2のマルチレンズアレイの対向するレンズに全て入射せず、一部は隣あったレンズに入射する。この結果、拡大された光束は液晶パネルに正規の角度で入射せず混色を起こす原因となる。またこの異常光が投写光学装置の側面や上下面で反射し、ダイクロイックミラーに入射する。このため、これらの反射光については波長シフトが生じ、所望の波長以外の光束が液晶パネルに入射し色純度が低下する。そこで、第4の手法として、投写光学装置の側面や上下面に鋸歯状の凹凸を設けたりシボ加工またはマット処理等を施し、反射率を低減させる。また、光束が通過する場所に複数の開口絞りを設け、不要な光束を遮光吸収することでダイクロイックミラーに入射する異常光束を低減し、色純度の低下を押さえる。
更に第5の手法として、透過型スクリーンに白色光源の発光スペクトルが最も強い緑色光を吸収するフィルター特性を備える。これにより、赤色光と青色光に混色した発光スペクトルが最も強い緑色光を減衰させることで残りの色光の色純度を向上させる。
本発明によれば、(1)投写用レンズ装置を、スクリーン側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群から成る3群構成とする。この為、90度近い広画角でも平坦な像面が得られ、画面の隅々まで良好なフォーカス性能が得られる。(2)また、この構成は正の第2レンズ群を挟んで両側に負の第1レンズ群と第3レンズ群が対称的に配置されているため、90度近い広画角でもディストーションを1%以下に押さえることができる。(3)第3レンズ群に、光軸近傍は負の屈折力を持ち周辺部は正の屈折力を持つような非球面形状とすることで、第3レンズ群と第2レンズ群のレンズを小口径化できる。更に光束径を小さくでき見かけ上の物高さを低くでき収差補正が容易になる。(4)本願発明の投写用レンズ装置は、テレセントリックな構成であり、90度近い広画角でも十分な周辺光量比を確保することが出来る。(5)投写用レンズ装置に、プラスチック非球面レンズを使用しても、レンズを出来るだけ均一な肉厚にすることで、また、局部的な形状により得られる屈折力の温度、湿度変化による変動を複数枚のプラスチック非球面レンズを組み合わせ相殺する構成として温度変化や吸湿に伴う形状と屈折率変化によるフォーカス性能の変動を軽減する。(6)投写用レンズ装置において、レンズと液晶パネルの間を屈折率1.2以上の媒質(冷却液)で光学的に結合させ映像光の反射による損失の軽減と反射によるコントラストの低下を軽減する。(7)液晶パネルとレンズの間に冷却用の液体を充填して液晶パネルや偏光板を冷却する構造なので、液晶パネルと偏光板の温度上昇を低減出来る。さらに、た投写用レンズ装置を適用すれば画面の全領域にわたって明るく、ハイフォーカスな画像が得られ、かつコンパクトな背面投写型ディスプレイ装置が実現できる。また本願発明の単板式の投写光学系を搭載した背面投写型画像ディスプレイ装置では、(1)フォーカス性能の向上(2)コントラスト性能の向上(3)色純度と明るさの両立が実現できる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1及び図2は、後述する本発明に係る光学系が適用される背面投写型画像ディスプレイ装置の全体図を示すものであって、当該背面投写型画像ディスプレイ装置の画像観視方向(画像光出射方向)と水平方向に直交する側から見た断面図である。
図1及び図2において、11は白色光源や液晶パネルなどを含む光学ユニットであり、該光学ユニット11から出力された光は、該光学ユニット11に接続された投写用レンズ12により拡大される。この投写用レンズ12からの拡大光は
、折り返しミラー13によって所定の角度を以って反射され、スクリーン14に背面から投写される。これにより、スクリーン14の画像観視側において画像が表示される。上記光学ユニット11、投写用レンズ12及び折り返しミラー13は、キャビネット15内に収納され、スクリーン14はキャビネット15の前面(画像観視側)に配置されている。尚、上述した各種光学系とは、ここでは、光学ユニット11、投写用レンズ12、折り返しミラー13及びスクリーン14を指し、本発明は、このうち光学ユニット11、投写用レンズ12及びスクリーン14について改良を加えたものである。
尚、図2に示した背面投写型画像ディスプレイ装置は、図1に示したものに比べ、折り返しミラー13による投写用レンズ12からの拡大光の反射角度を小さくし、かつ投写距離を短くしてセットの奥行きを短縮したものである。また、図2に示されたセットは、図1に示したものに比べ若干垂直方向の寸法(高さ)が大きくなっている。本発明に係る光学系は、図1及び図2の両方のセットに適用できるものである。
まず、本発明に係る光学系の一実施の形態として、投写用レンズ12の一具体例について説明する。図5は、本発明の一実施の形態としての投写用レンズ8のレンズ主要部を示す断面図である。図5において、7は液晶パネル、8は光出射側に設けた偏光板、9は冷却液、L11は第11レンズ、L10は第10レンズ、L9は第9レンズ、L8は第8レンズ、L7は第7レンズ、L6は第6レンズ、L5は第5レンズ、L4は第4レンズ、L3は第3レンズ、L2は第2レンズ、L1は第1レンズである。
第11レンズL11と液晶パネル7は、それぞれOリングを介してブラケット6に固定され、得られた空間に偏光板8を配置し、冷却液9を封入する。この冷却液9の対流により、入射した光の吸収により発熱した液晶パネルと偏光板の温度を奪いかつ均一化して、ブラケット6に形成された放熱板5によって、外部へ放熱する。液晶パネル7の照明光入射面には反射による光損失を低減するため反射防止コートを施すとよい。(入射側に設ける偏光板は図示せず。)
第1レンズから第4レンズまでは全て負の屈折力を有するレンズであり、第1レンズ群を形成している。第5レンズから第10レンズまでが第2レンズ群を形成し、投写レンズ装置の全系の正の屈折力を分担している。(ただし、軸上色収差を低減させるために設けた貼り合わせレンズ(第7レンズと第8レンズ)の合成の屈折力は負の値)第1レンズ群から第2レンズ群までを内鏡筒1に組み込み固定ネジ(図示せず)で外鏡筒2へ止めて固定する。さらにこの外鏡筒2を押さえ板4を介してブラケット6へネジ止め(図示せず)固定する。そして物面である液晶パネル上の画像をスクリーン(図示せず)上に拡大投写する構成である。
第3レンズ群の焦点距離の計算には、第11レンズL11と偏光板8、冷却液9、液晶パネル7を含めて計算している。
図6は、本発明の一実施例としての投写用レンズ装置のレンズの配置を示す構成図で、表1に具体的なレンズデータを示す。図7は本発明の他の実施例としての投写レンズ装置のレンズの配置を示す構成図で表3に具体的なレンズデータを示す。図6から図7に示した投写用レンズ装置のレンズ配置を示した図には、レンズ鏡筒の他の構造部品は説明の都合上省略してある。
本発明の実施例の投写レンズ装置は、1.6インチの液晶パネルに表示された映像をスクリーン上に50インチに拡大投写した場合に最良の性能が得られるように構成している。投写レンズの半画角は44.3度で広画角を実現している。このため、図1に示すようなセットの高さを押さえたセットや図2に示すような奥行きを大幅に低減したセットを、折り返しミラー13が1枚でも実現できる。
本発明にかかる投写用レンズ装置の取り得る具体的なレンズデータを表1から表3に示す。
次に、このレンズデータの読み方を表1を基に図6と対比させて説明しておく
。表1は、主に光軸近傍のレンズ領域を扱う球面系とその外周部についての非球面系とに分けてデータを記載している。まずスクリーンは曲率半径が無限大(即ち平面)であり、スクリーンから第1レンズ群の第1レンズL1の面S1まで光軸上の距離(面間隔)が650mm、その間の媒質の屈折率が1.0であること
が示されている。またレンズ面S1の曲率半径が−57.14mm(曲率中心が
スクリーン側に存在する時符号は正、即ちこの場合は、曲率中心が液晶パネル側に存在する)であり、レンズ面S1からレンズ面S2まで光軸上の距離(面間隔
)が4.55mm、その間の媒質の屈折率が1.49291であることが示されている。以下同様にして最後は液晶パネルのTFTが形成されている面S25の曲率半径が無限大(即ち平面)で、パネルの厚さが4.1mm、屈折率が1.46624であることが示されている。
第1レンズ群G1の第1レンズL1のレンズ面S1、S2、第2レンズ群G2の第10レンズL10のレンズ面S18、S19、第3レンズ群G3の第11レンズL11のレンズ面S20については非球面係数が示されている。ここで、非球面係数とは、レンズ形状を次式で表現したときの係数である。
ただし、Z(r)はレンズ形状の定義を説明する図8に見られる如く映像発生源からスクリーンに向かう光軸方向をZ軸にとり、レンズの半径方向をr軸にとった時のレンズ面の高さを表している。rは半径方向の距離、RDは曲率半径、を示している。従って、CC、AE、AF、AG、AH等の各係数が与えられれば上記式に従ってレンズ面の高さ、つまりレンズ形状が定まる。
以上が表1に示したデータの読み方である。表2から表3までは他の実施例に対応したデータを示している。表4は表1から表3に示した本願発明の投写用レンズ装置を構成するレンズエレメントの焦点距離とアッベ数を纏めて示す。
次に本発明の投写用レンズ装置の各レンズ群の作用を説明する。
本発明の投写用レンズ装置は、図5、図6、図7に示すように、第1レンズ群が負の屈折力を、第2群が正の屈折力を、第3群が負の屈折力を持つ構成である
。
このため、本発明の実施例では、ほぼ90度の広画角でも平坦な像面が得られ
、画面の隅々まで良好なフォーカス性能が得られる。また、正屈折力を持つ第2レンズ群を挟んで両側に負の第1レンズ群と第3レンズ群を対称的に配置しているので、レンズ構成上ディストーションの低減にも有利である。本発明の実施例では、ディストーションは0.5%以下となっている。
本発明の投写レンズ装置は、第1レンズ群を成す第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3は全てスクリーン側に凸面を向けた負メニスカスレンズとすることで収差の発生を押さえながら像面湾曲を補正している。特に軸上物点P0からの光束と、画面最外周部の物点P1からの光束が全く別の部分を通過する第1レンズL1をプラスチック非球面レンズとして、軸上の収差に影響をほとんど与えること無く、コマ収差や非点収差をより高精度に補正をしている。また、出来るだけ均一な肉厚のレンズ形状とすることでプラスチックレンズ特有の温度変化や吸湿に伴う形状と屈折率変化による屈折力の変動を軽減する設計としている。さらに、軸上物点P0からの光束が最も広がる場所に近接して配置した第4レンズL4は球面収差の補正と像面湾曲及びコマ収差の補正を一部分担している
。
第2レンズ群は、投写レンズ装置全系の正屈折力の全てを分担している。このなかで、第5レンズL5はアッベ数30以下の高分散材料から成り正の屈折力を有し、第6レンズL6もアッベ数45以下の高分散材料から成り正の屈折力を有する。両レンズとも屈折率1.8以上の高屈折材料で正の屈折力の分担するとと
もに、色消し条件を満足させかつ、それぞれを通過する光線高さと第1レンズ群に入射する光線高さを制御することで倍率の色収差を低減している。
第7レンズL7はアッベ数25以下の高分散材料を使用し、第8レンズL8にはアッベ数50以上の低分散材料を使用することで、主に軸上色収差を低減している。
第9レンズL9はアッベ数60.3の低分散材料から成る両凸のレンズで全系の正の屈折力の一部を分担している。
第10レンズL10はプラスチック製レンズで全系の正の屈折力の一部を分担しており、第1レンズL1と同様に、軸上物点P0からの光束と、画面最外周部の物点P1からの光束が全く別の部分を通過する位置に配置し、レンズ面S18
、及びS19を非球面形状としている。このため、軸上の収差補正と、軸外の高次のコマ収差や非点収差の補正を両立している。
第3レンズ群G3の第11レンズL11はプラスチック製レンズで、レンズ面S20も光軸近傍は負の屈折力(発散作用)を持ち周辺部は正の屈折力(集光作用)を持つような非球面形状を成している。本発明の実施例では液晶パネルと第11レンズL11の間に屈折率1.44671の冷却液を充填し、液晶パネルや
偏光板を冷却するとともに、映像光の反射による損失を軽減して、高コントラストな画像が得られるようにしている。第3レンズ群G3の屈折力は上記した冷却液、液晶パネル、偏光板を含めて計算評価している。
本発明の投写レンズ装置は第3レンズ群に、光軸近傍は負の屈折力(発散作用
)、周辺部は正の屈折力(集光作用)を持つような非球面形状とすることで、第
3レンズ群と第2レンズ群のレンズ口径を小さくし、製造コストを低く抑えかつ前述した3群基本構成の長所を生かしている。また第2レンズ群に、光軸近傍は正の屈折力(集光作用)、周辺部は負またはほとんど屈折力の無い(発散作用ま
たは発散作用のほとんど無い)非球面レンズを配置しているので、上述した第3レンズ群の非球面レンズと組み合わせて、液晶パネルからの光束を半径方向に圧縮できるビームエクスパンダー(光束の幅を変換する)光学系の作用を持たすことが出来る。このため実効的な物高さ(パネル中心からコーナーに向かう距離)を低く出来るので倍率色収差を含め収差補正が容易になる。
非球面レンズとしては、量産数量が確保できれば安価なプラスチックレンズがを採用している。本発明では、第11レンズL11と第10レンズL10のプラスチック非球面レンズとし、それぞれの局部的な形状の組み合わせにより、屈折力の温度、湿度変化による変動を相殺する構成としている。以下にこの技術について詳解する。
図6の、本発明の第1の実施例において第11レンズL11と第10レンズL10に光軸l,l´に平行な光束を入射させた場合、第11レンズ11の光軸l
,l´近傍は発散(凹レンズ)作用が、周辺部では集光(凸レンズ)作用がある
。一方、第10レンズL10の光軸l,l´近傍は集光(凸レンズ)作用があり
、逆に周辺部では、発散(凹レンズ)作用がある。すなわち、プラスチック非球面レンズである第11レンズL11と第10レンズL10において、軸上物点P0からの光束が通過する光軸近傍の領域では、第11レンズL11において発散(凹レンズ)作用と第10レンズL10においては集光(凸レンズ)作用がある
。一方、画面最外周部の物点P1からの光束が通過する周辺部では反対に、第11レンズL11においては集光(凸レンズ)作用と、第10レンズL10において、発散(凹レンズ)作用がある。
このため、温度変化や吸湿に伴う形状と屈折率の変化によって屈折力が変動しても相殺し合うので焦点位置の変化やフォーカス性能が低下するという問題点を解決できる。
本発明の投写レンズ装置において第1レンズL1と第10レンズL10と第11レンズL11は、軸上物点P0からの光束と、画面最外周部の物点P1からの光束が全く別の部分を通過するため、これらのレンズを非球面形状として、軸上の収差補正と軸外の高次のコマ収差や非点収差の補正を両立している。
また、レンズ図5から図7に示したように、画面最外周部の物点P1からの光束が通過する第11レンズL11のレンズ形状が、単純な凹レンズでなく周辺部が集光(凸レンズ)作用を持つ非球面形状であるため、光束が広がらず、スクリーン側に配置された第10レンズL10の以降のレンズ径を小さく出来るのでコスト低減に有利になるばかりでなく、倍率色収差やその他の収差補正にも有利となる。
次に、第11レンズL11の冷却液に接触するレンズ面S21の取り得る形状について、図6、図7によって説明する。
プラスチック非球面レンズである第11レンズL11のスクリーン側レンズ面S20は上述したような非球面形状である。一方、冷却液に接触するレンズ面S21が、例えば曲率中心がスクリーン側に存在する球面形状とすると、レンズのコバ部分が薄肉になりすぎるため成形時の樹脂の流れが悪くなり所望の形状が得られない。反対にコバ厚を十分に確保しようとすると、レンズの中心肉厚が増加し、樹脂の使用量が増えるばかりで無く、成形時間が長くなり製造コストが大幅に増加する。このため、冷却液に接触するレンズ面S21の形状は、平面もしくは、液晶パネル側に曲率中心が存在する形状とすると、コバ厚とレンズ中心厚の差が少ないより均一な肉厚のレンズとなり、上述した成形上の問題点が解決できる。
次に、以上説明した本発明にかかる投写用レンズ装置をもちいて1.6インチ
の単板液晶パネルに画像を表示し、スクリーン上に50インチに拡大投写した場合に発生する収差を図10〜図18に示す。
ここで図10〜図12は表1に対応した特性図で、図10は軸上の収差図を示す特性図でBは450nmの光線により発生する収差を、Gは555nmの光線により発生する収差を、Rは650nmの光線により発生する収差を示している
。図11は40%像高での収差図を、図12は80%像高での収差図を示している。
同様に、図13〜図15は表2に対応した特性図、図16〜図18は表3に対応した特性図を示している。表1及び表2に示した実施例では、それぞれ図10
、図13に示すように、軸上の収差の内、緑色(555nm)光束と赤色(650nm)光束により発生する収差については良好に補正されている。が青色(450nm)光束では最大1.7mmの収差が発生する。
本願発明の照明系はダイクロイックミラーによって白色光束を赤、青、緑の順に三原色の光束に分離し、それぞれの光束を異なる角度で同一の液晶パネルに入射させる構成となっている。このため、図19、図20に示すように液晶パネルにより変調された三原色の光束が投写用レンズ装置の入射瞳を通過する時、液晶パネルの画面水平方向に分かれて通過する。そこで、入射瞳の周辺を通過すると発生する収差が最も大きい青色光束が入射瞳の中心を通過するように、ダイクロイックミラーによって白色光束を色分離する。さらに、図11、図12及び図14、図15に示すように赤色光束によって発生する収差の向き(正符号)を倍率
色収差(緑色光束と赤色光速束の結像位置のずれで表し、通常は負符号)をキャンセルする方向に補正すると良い。以上が表1、表2に示した本願発明の実施例を基に照明光学系を含めて、フォーカス性能を向上させる具体例である。比較のため表3に示した本願発明の実施例では、図16に示すように軸上の収差については、、緑色光束と赤色光束、青色光束全てにおいて発生する収差が良好に補正
されている。一方、軸外については図17、図18に示すように赤色光束によって発生する収差が一旦負符号を持ち(特に80%像幸高)倍率色収差(緑色光束と赤色光速束の結像位置のずれで表し、通常は負符号)と重なってスクリーン上の像が色ごと大きくずれ、観た目のフォーカス性能が著しく低下する。
表1表2に示された投写用レンズ装置と表3に示された投写用レンズ装置の違いは、第5、第6レンズの焦点距離と分散及び、第7、第8レンズの合成焦点距離に基ずき、
P78/P0< −0.2
0.4> P6/P0
νd6>37.3
但し、 P78:第7、第8レンズの合成焦点距離の逆数(屈折力)、
P0:投写用レンズ全系の合成焦点距離の逆数(屈折力)、
P6:第6レンズの合成焦点距離の逆数(屈折力)、
νd6:第6レンズのアッベ数
である。
一方、本願発明の投写用レンズ装置は、画角が90度近い超広角であるにも拘わらず0.5%と実用上問題の無いレベルにある。
また、本発明にかかる投写用レンズ装置の明るさを示すFナンバーは、1.5程度と、従来技術による画角90度を超える超広角の投写用レンズ装置Fナンバー2.4から4.5に比べ非常に小さく、十分な明るさが確保出来る。
また、スクリーン全面においてハイフォーカスを実現し、明るい画像を得るために本発明の投写レンズ装置はスクリーン中心で結像する光線束とスクリーン最外周部で結像する光線束が重ならない位置に非球面レンズを設けている。
さらに、本願発明の3群構成の投写レンズ装置は光軸上の射出瞳サイズより画面周辺で結像する光束が通過する射出瞳サイズの方が大きくなるため、さらに光束の主光線が投写レンズ装置の光軸にほぼ平行になるテレセントリックな構成のため十分な周辺光量比を確保することが出来る。画角が90度近い超広角であるにも拘わらず、液晶パネルの各位置から入射する光束の主光線が投写レンズ装置の光軸にほぼ平行となるテレセントリックな構成とすることで画面最外周部(100%コーナー)で50%以上と実用上問題の無いレベルにある。
本発明の実施例では、前述したように、投写用レンズ装置全系の正屈折力を全て第2レンズ群に集め、そのスクリーン側と液晶パネル側に負の屈折力を有するレンズ群を配置している。
次に、第1レンズ群G1を構成する4枚のレンズは、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3が、前述したように、全てスクリーン側に凸面を向けた負メニスカスレンズで、収差の発生を押さえながら像面湾曲を補正している。
また、本発明の投写用レンズ装置において、投写距離を変えてスクリーン上に拡大投影する映像の倍率を変化させた場合のフォーカス調整は、図5に示すように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔を変えることで実現出来る。この時、発生する像面湾曲と倍率色収差の変化は、第4レンズL4を光軸に沿って移動させることで吸収できる。
図5に示す投写レンズ装置の外鏡筒2に、図9に示すような液晶パネルにより変調された光束のうち結像に関与する光束を通過し、結像に関与しない光束を吸収遮光する円形以外の形状を有する開口孔9−1を設ける。さらにこの光束入射面であるL11側面9−3に凹凸の光吸収構造9−4を設ける。この形状はヘアーライン状の筋もしくはシボ加工、マット面等にして反射光線は液晶パネル側に戻るのを防ぐ構成としても良い。この結果、結像に関与しない光束がスクリーン上に到達しないのでコントラスト性能が向上する。
次に、本発明の実施例に示した投写用レンズ装置における3枚のプラスチック非球面レンズのうち、第1レンズL1は、レンズの屈折力を出来るだけ小さくし
、さらに、均一な肉厚のレンズ形状とすることでプラスチックレンズ特有の温度変化や吸湿に伴う形状と屈折率変化による屈折力の変動を軽減する設計としている。
また、第10レンズL10と第11レンズL11は、レンズの屈折力の絶対値をほぼ等しくして、それぞれのレンズにより生じる温度変化や吸湿に伴う形状と屈折率変化による屈折力の変動を相殺する設計としている。
第7レンズは高分散材料から成る両凹レンズで両凸レンズである第8レンズエレメントと貼り合わせて主に軸上色収差の補正を行っている。
以上、本発明の実施例としての投写用レンズ装置のレンズデータを基に、その特徴を述べた。
本実施例においては、10次の非球面係数AHまで使用した非球面について述べたが、この他に12次以上の高次の係数が含まれている場合の構成についても
、本発明に含まれることは言うまでもない。
ところで、液晶パネルと偏光板は、温度が上昇する(例えば70℃)と、その偏光特性、特に偏光度(偏光板の偏光面に対して0°と90°の角度をなす光の
、偏光板を通過したときの光の量の比率)が低下する性質を持っている。よって
、温度が上昇すると画面のコントラスト性能が低下する。これを防止すべく、本発明では、液晶パネルと偏光板とを冷却用の液体により冷却する。このようにすれば、空気を用いて強制的に冷却する方式に比べ、液晶パネルと偏光板の温度を約7℃〜10℃低下させることができるので、ディスプレイ装置のコントラスト性能を約10%程向上させることができる。
また、液晶パネル及び偏光板は、高温下(例えば最大70℃)で使用し続けると、コントラスト性能が低下する。しかしながら、液晶パネル及び偏光板を冷却液中で使用すれば、例えば、その使用温度が10℃低下した場合、それらの寿命を約1.5もしくは2倍ほど延ばすことができる。
図5に示したように、偏光板8を冷却液9内に配置して冷却するためには、偏光板8は、一対のガラス板でサンドウィッチし、周辺部の全てを覆うように(外部から冷却液が侵入しないように)、例えばシリコンのような粘着性を有するも
のをその材料とするリング状のシール部材によりシールして密封すると良い。
通常、冷却液9は、エチレン・グリコール、デシレン・グリコール、グリセリン、もしくはそれらの混合液等の有機溶剤が使用されおり、樹脂を延伸して形成した偏光板8を直接冷却液に浸すと偏光板を溶解させる恐れがある。従って、本実施例では、偏光板8を一対のガラス板の間に配置することにより、偏光板8が冷却液9に直接的に接触しないように保護する構成としている。
次に明るさを向上させるため、本願発明の実施例では、上述した投写用レンズ装置を採用する他に、第2の手段として透過型スクリーンに入射する光束をp偏光として投写用レンズ装置を構成するレンズエレメントとスクリーンでの反射損失を低減する。この結果、レンズエレメント間での多重反射が低減され、投影像のコントラストも向上する。一方、スクリーンにおいても多重反射(特にフレネルレンズ面)が低減でき、投影像のコントラストが大幅に向上する。
明るさ向上の第3の手法として、図3に示すように白色光源からの白色光束を三原色の光束に分離し、かつそれぞれの光束を異なる角度で液晶パネルに入射させるダイクロイックミラーとして、白色光源La1側から順に、シアン(青と緑
)透過のダイクロイックミラーDM3と、黄色(緑と赤)透過のダイクロイックミラーDM2と、赤透過のダイクロイックミラーDM1とを組み合わせる。尚、図3中のマイクロレンズアレイMLBの光出射側に配置されたFL1、及びダイクロイックミラーDM1,DM2,DM3の光出射側に配置されたFL2は、マルチレンズアレイMLA、MLBからの光束を略平行にするためのフィールドレンズである。
このとき、それぞれのダイクロイックミラーの反射率が50%以上となる波長T50%を明るさと色純度を考慮して最適値とする。白色光源La1としては、超高圧水銀ランプ(例えば、フィリップス社製:UHPランプ)など発光効率の優れたものが上市されている。しかしながら、このランプは水銀ランプを基にしているため図23に示すように、青色光の波長領域側に比べて赤色光の波長領域の発光エネルギーが弱く、セットの赤色純度と明るさの両立が難しい。そこで本発明者らは、図23に示す発光エネルギー分布を有する超高圧水銀ランプを使用して照明光学系を試作した。超高圧水銀ランプからPBSの間には、図24に示す分光透過率特性を有するフィルターF1を設け、紫外線と赤外線をカットした
。更に、この時用いたダイクロミラーの特性として、白色光源側から順に図27に示す分光透過率特性を有するシアン(青と緑)透過のダイクロイックミラーDM1と図26に示す分光透過率を有する黄色(緑と赤)透過のダイクロイックミラーDM2と図25に示す分光透過率を有する赤透過のダイクロイックミラーDM3とを組み合わせ、透過率特性が急峻に変化する部分の傾きを、DM1が6.4%/nm、DM2が6.8%/nm、DM3が6.8%/nm以上とし、かつそれぞれのダイクロイックミラーの反射率が50%以上T50%となる波長が次の条件を満足させることで明るさと色純度が両立された投写用光学装置を実現できることを確認した。但し、λDM1はシアン(青と緑)透過のダイクロイックミラーDM1の反射率が50%以上T50%となる波長、λDM2は黄色(緑と赤)透過のダイクロイックミラーDM2の反射率が50%以上T50%となる波長、λDM3は赤透過のダイクロイックミラーDM3の反射率が50%以上T50%となる波長を示している。
λDM1 ≧ 585
λDM2 ≦ 520
λDM3 ≧ 580
また明るさ向上のための第4の手法として、図3に示す白色光源La1から表液晶パネル7までの間に、偏光ビームスプリッタPBSを配置し偏光合成することで所望の偏光成分のみを約50%増やすことができる。この時、p偏波成分のみを取り出すことで複数のレンズ素子から成り一対のマルチレンズアレイMLA
、MLBでの反射損失を低減できる。マルチレンズアレイの一実施例を図38に示す。381は保持枠で基準平面を有し、光学装置筐体に高精度に取り付けが可能となる。また、382はマイクロレンズアレイを構成するレンズ素子である。
マイクロレンズアレイにp偏光を入射させるとs偏波入射と比べて一面当たり反射率が約3%低減できる。更に、前述のダイクロイックミラーDM1、DM2
、DM3と反射ミラーM1、M2を偏光ビームスプリッタPBSに対して光学的に垂直になるように配置し偏光成分がs偏光となるようにする。これにより光路折り返しミラーの反射率が大きくなるので明るさが向上する。
更に、明るさ向上のための第5の手法としては、白色光源La1に近い第1のマルチレンズアレイMLAに設けた個々のレンズにより分割された光束は液晶パネル側に位置する第2のマルチレンズアレイMLBの対向するレンズにより拡大され液晶パネル7に投影されるが、この時、白色光源の分光エネルギー分布が弱い順(赤、青、緑)に分離する。この結果、第2のマルチレンズアレイMLBから液晶パネル7までの光路は赤色光束が最も短くなるので投影倍率が小さくなり
、収差によるボケが少なく赤色光束のエネルギー密度を大きくできる。
一方、図28に示すように青色光束は比視感度が低いことと、投写用レンズ装置の青色光束の透過率が低いこと。更には、白色光源から出る紫外線を反射するフィルターF1を光路中に設けるので、有効に使用できる青色光束のエネルギーが小さくなる。そこで、図19、図20に示すように、前述したように投写用レンズ装置の入射瞳の中央を青色光束が通過し液晶パネルの中央のTFT開口部を通過するように、赤色に次いで色分離を行う。この結果、スクリーン上で3色加色した場合に得られる白色光の明るさ並びに各3原色の明るさを最大にできる。
尚、図19の構成は画素がインライン配列されているのに対し、図20の構成ではデルタ配列の実施例である。
一方、紫外線は投写用光学装置の筐体である合成樹脂を劣化させる。このため
、直接白色光が筐体に入射しないように金属製の絞り31を設け保護すると良い
。
更に、本発明の実施例においてコントラスト性能を向上させるための第1の手法として、本発明に係る投写型画像ディスプレイ装置は、図5に示すように液晶パネル7と偏光板8(入射側偏光板は図示せず)とを有し、液晶パネル7と投写用レンズ装置の最も液晶パネル側に近いレンズエレメントL11との間に形成された空間内に、冷却用液体を充填する。液晶パネルとその前面に配置された偏光板は、温度が高くなる(70℃程度)と熱の影響により偏光特性が低下してコントラスト性能が低下する場合がある。上記本発明の構成では、液晶パネル及び偏光板を液体(冷媒)によりに冷却するので、空冷式のものに比べ、効率良く両者を冷却することができる。このため、温度上昇の影響により生じる偏光特性の劣化に伴うコントラスト性能の低下を防止して高画質の映像を得ることができる。
また、上記冷却用液体は表1から表3に示すように、波長587.6(nm)
の光に対する屈折率が1.2以上の媒質にすれば、映像光の反射が軽減されるの
で更なる高コントラスト化が可能となる。
また、第2の手法は、前述したように投写レンズ装置のレンズ鏡筒に、液晶パネルにより変調された光束のうち結像に関与する光束を通過し、結像に関与しない光束を吸収遮光する形状を有する開口孔を設けることで結像に関与しない光束がスクリーン上に到達しないのでコントラスト性能が向上する。
更に、第3の手法としては、図31から図36に示した透過型スクリーンに白色光源La1の発光スペクトル(図23のランプの発光エネルギーと図28から図30に示した比視感度の積)が最も強い緑色光を吸収するフィルター特性を備えてより成る。本発明者らは、図37に示す吸収特性を持つ透過型スクリーンを試作してコントラスト性能の確認を行った。555nm近傍の吸収を11%増加させることでコントラスト性能が6%向上した。透過型スクリーンの形態としては、図31及び図32に示されたように、レンチキュラーシート27b、28bとフレネルレンズシート27a、28aの2枚構成のものと図33及び図34に示すレンチキュラーシート27b、28bとフレネルレンズシート27a、28aと波長選択性フィルター29c、30cの3枚構成のものがある。それぞれの構成において映像観視側に最も近い位置に配置した構成部品に波長選択性フィルターを設けることがコントラスト性能の改善に最も効果が大きい。
他の実施例としては、図35に示すように映像光束出射面にフレネルレンズを設けたフレネルレンズシート28a(映像光束入射面は画面水平方向を長手方向としたレンチキュラーレンズを画面垂直方向に並べた形状として図示)と、第1の構成要素としてスクリーン画面垂直方向を長手方向としたレンチキュラーレンズを画面水平方向に連続して配置した形状を成し、それぞれのレンチキュラーレンズの焦点近傍には映像光束が通過するための光透過窓316が設けてある。さらに隣りあった光通過窓の間には光吸収層313を設け外光の影響によるコントラストの低下を防止している。第1の構成要素の光軸方向の厚さはレンズ形状が楕円の場合にはレンズピッチの1.5倍程度であり仮に非球面を用いて焦点位置をずらしても5倍程度である。このため、レンズピッチを細かくすると厚さも薄くなり機械的な強度が低下する。そこで、本願発明においては、第2の構成要素(コスト面から熱可塑性樹脂を用いるのが一般的)に前記第1の構成要素を接着または、粘着する。本発明者らは、この第2の構成要素に染料または顔料を混入し図37に示す吸収特性を持つ透過型スクリーンを試作してコントラスト性能の確認を行った。555nm近傍の吸収を12%増加させることでコントラスト性能が6%向上した。また、この第2の構成要素の映像観視側表面に反射防止膜311を設けると外光がスクリーンに入射した場合のコントラスト性能低下が大幅に改善できる。図36は図35に示した透過型スクリーンの観視側に波長選択性フィルター321を設け3枚構成としたものである。
以上述べた波長選択性フィルターを設けた透過型スクリーンを用いることで、外光がスクリーン面に入射しても、得られる画像のコントラスト性能が低下し難くなる。
最後に、本願発明の実施例において、色純度を改善するための第1の手法は、前述のダイクロイックミラーDM1,DM2,DM3を、偏光ビームスプリッタPBSに対して光学的に直交する位置に配置することで、ダイクロイックミラーにとってs偏光とすることで実現できる。
白色光源側から順に図27に示す分光透過率特性を有するシアン(青と緑)透過のダイクロイックミラーDM1と図26に示す分光透過率を有する黄色(緑と赤)透過のダイクロイックミラーDM2と図25に示す分光透過率を有する赤透過のダイクロイックミラーDM3とを組み合わせ、透過率特性が急峻に変化する部分の傾きを、DM1が6.4%/nm、DM2が6.8%/nm、DM3が6
.8%/nm以上となり、かつダイクロイックミラーの分光透過率特性の立ち上がり部分の傾きを急峻に成り色純度が向上する。
また、それぞれのダイクロイックミラーは図21に示すように近接して配置されているため、たとえば、図27に示す分光透過率特性を有するシアン(青と緑
)透過のダイクロイックミラーDM1の短波長領域(560nm以下の波長領域
)の透過率が2%程度低下するとDM1において赤色成分の他に緑色と青色成分が反射し、混色が発生して色純度が低下する。さらに、 DM2にも同様の透過
率低下が生じる図21の反射光Dと反射光Eが発生し図22に示すように、正規のTFT開口部以外に反射光が入射して色純度が低下する。
筆者らの検討ではこの透過率低下は1%程度なら実用上問題のないレベルとなるが、0.5%以内とすればさらに優れた色純度が得られる。
また、第2の手法として、図4に示すように、白色光源La1に近い第1のマルチレンズアレイMLAに設けた個々のレンズにより分割された光束は、液晶パネル側に位置する第2のマルチレンズアレイMLBの対向するレンズにより拡大され液晶パネルに投影される。この時、白色光源La1の分光エネルギー分布(
図23のランプの発光エネルギーと図28から図30に示した比視感度の積)が弱い順(赤、青、緑)に分離する。この結果、第2のマルチレンズアレイMLBから液晶パネル7までの光路は赤色光束が最も短くなるので投影倍率が小さくなり、赤色光束のエネルギー密度が大きくなり色純度も向上する。さらに、図22に示すように、液晶パネルのマイクロレンズアレイに入射する際に比視感度が最も高く光源の発光スペクトルも強い緑色光束(DM3の反射光)と同一マイクロレンズアレイ208内で隣接していないため、この一部がマイクロレンズ相互の繋ぎ部分で発散し、光源の発光スペクトルの最も弱い赤色光束(DM1の反射光
)に混色し難くなるため色純度が向上する。
さらに、図4に示すごとく白色光源に近い第1のマルチレンズアレイMLAに設けた個々のレンズの繋ぎ部分の面精度不良により、分割された光束は液晶パネル側に位置する第2のマルチレンズアレイMLBの対向するレンズに全て入射せず、一部は隣あったレンズに入射する。(図4参照)この結果、拡大された光束
は液晶パネルに正規の角度で入射せず混色を起こす原因となる。このとき、ダイクロミラーに異なった角度で入射して波長シフトを起こし色純度が低下する。そこで、第3の手法として、またこの異常光が投写光学装置の側面や上下面に入射しても異常光のエネルギーが減衰するように投写光学装置の側面や上下面に鋸型突起41a、41b、44a、44bやシボ加工またはマット処理等を施し反射率を低減させる。さらに、異常光が通過しないように開口絞り42a、42b、43a、43b、45a、45bを光路中に設け、不要な光束を遮光吸収することでダイクロイックミラーに入射する異常光束を低減し、色純度の低下を押さえる。
更に第5の手法として、透過型スクリーンに白色光源の発光スペクトルが最も強い緑色光を吸収するフィルター特性を備える。これにより、赤色光と青色光に混色した発光スペクトルが最も強い緑色光を減衰させることで残りの色光の色純度を向上させる。実際に図35に示す構成の透過型スクリーンの第2の構成要素に顔料を混入し図37に示す吸収特性を持つ透過型スクリーンを試作して色純度向上の確認を行った。555nm近傍の吸収を12%増加させることで赤色に混色していた緑色光のエネルギーが減衰し、赤色光の色度(x=0.565、y=0.365)が(x=0.581、y=0.371)に改善された。
1…内鏡筒、2…外鏡筒、9−1…開口部、9−2…外鏡筒固定脚、9−3…遮光部、9−4…光吸収構造、3…取り付けネジ、4…押さえ板、5…放熱板、6…ブラケット、7…液晶パネル、8、8a、8b…偏光板(1/2波長板含む)、9…冷却液、10…入射側保護パネル、11…光学ユニット、12…投写用レンズ装置、13…折り返しミラー、14…スクリーン、15…キャビネット、20…スクリーン、21…投写用レンズ装置、22…液晶パネル、DM1、DM2、DM3…ダイクロイックミラー、FL1、FL2…フィールドレンズ、MLA…マルチレンズA、 MLB…マルチレンズB、La1…白色光源、M1,M2…反射ミラー、31…絞り、PBS…偏光ビームスプリッタ、F1…フィルター、41a、41b…鋸型突起、42a、42b…開口絞り、43a、43b…開口絞り、44a、44b…鋸型突起、45a、45b…開口絞り、171、181「…投写レンズ、172、182…投写レンズの瞳、173、183…TFT開口部、174、184…TFT開口部、175、185…TFT開口部、201… TFT開口部、202… TFT開口部、203… TFT開口部、204…ガラス基板、205…液晶層、206…走査電極、207…ガラス基板、208…マイクロレンズアレイ、271、281…突起部、272、282…レンチキュラーレンズ(出射面)、273、283…光吸収層、274、284…拡散材、275、285…レンチキュラーレンズ(入射面)、276、286…フレネルレンズ、277、287…フレネルレンズシートの入射面、288…レンチキュラーレンズ、27a、28a…フレネルレンズシート、27b、28b…レンチキュラーレンズシート、27c、28c、29d、30d…透過型スクリーン、29c、30c…波長選択性フィルター、311…反射防止膜、312…第2の構成要素、313…光吸収層、314…第1の構成要素、315…レンチキュラーレンズ(入射面)、316…光通過窓、317…前面板、31d、32d…透過型スクリーン、321…波長選択性フィルター、381…保持枠、382…レンズ素子。