JP2007040391A - 真空断熱材および真空断熱材を使用した断熱箱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空断熱材の周囲に発泡断熱材を充填する場合に、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する。
【解決手段】一部に繊維系芯材を使用し芯材23をガスバリア性の積層包装材からなる外被材22で被覆して、外被材22内部を減圧密閉してなり、外周にヒレ部27を有する真空断熱材21であって、少なくとも一組の相対向するヒレ部27が真空断熱材21の同一面上に密着するように折り曲げられており、積層包装材の各層間の接着層34の接着剤の弾性率を10MPa以下とした。これによって、内部の芯材23が積層包装材を突き破る外方向に力が働いた場合にも、接着層34がその歪みを吸収することで突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができるため、外被材22の厚みを減らして、ヒレ部27を真空断熱材21に容易に密着させることができ、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する。
【選択図】図3

Description

本発明は、真空断熱材、および真空断熱材を使用した冷蔵庫等の断熱箱体に関するものである。
近年、地球環境保護が大きく叫ばれるなか、家電製品の省エネルギー化は緊急に取り組むべき重要な課題となってきている。この解決方法の一つとして、無駄な熱の伝熱を防ぐ目的での真空断熱材の適用がある。
真空断熱材は、二枚の外被材を重ね合せて三方の外被材の外周を熱溶着し、袋状となった外被材の開口部から発泡樹脂や繊維材等を芯材として挿入して、外被材の内部を、減圧して開口部を熱溶着により密閉した断熱材であり、外周の四辺にはヒレ部が形成されており、断熱材内部を減圧して真空に保つことにより気体の熱伝導率を著しく低下させており、例えば冷蔵庫の硬質ポリウレタンフォ−ム等の発泡断熱材内に埋設して使用される。
しかし、発泡断熱材を一体発泡させる際に真空断熱材のヒレ部付近で、発泡断熱材の流動性が悪くなり、ボイドや未充填部を発生させ、結果として冷蔵庫の断熱性能が悪化してしまうという課題がある。
そこで、断熱性能を劣化させるボイドや未充填部の発生を抑制するための真空断熱材の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
図5は、従来の真空断熱材の断面図である。図5に示すように、真空断熱材1は芯材2と、外被材3とから構成されている。外被材3は、二枚の外被材で芯材2を覆って内部を減圧してなり、外被材3の外周の四辺のヒレ部4で熱溶着により封止されている。また、ヒレ部4は真空断熱材1の同一面上に密着するように固着部材5で固定されている。
図6は、従来の真空断熱材を使用した断熱体6の断面図である。図6に示すように、外箱7に真空断熱材1の固着部材5のない側の面をホットメルト等の接着剤を介して取り付け、外板7と内箱8の間に発泡断熱材9を充填している。
このようにして外被材3のヒレ部4を真空断熱材1の同一面上に密着するように固定部材5で固定することにより、発泡断熱材の流動性を阻害することもなく、断熱性能を劣化させるボイドや未充填部の発生を抑制でき、真空断熱材を使用した断熱体の断熱性能を維持することができるというものである。
特公昭64−4111号公報
しかしながら、上記従来の構成のように、二枚の外被材3で芯材2を覆っているために、芯材2が外被材3を突き刺して、外被材3にピンホ−ルが発生する。そのために、外被材3の厚みを大きくしたり、ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのような硬いフィルムを使用していた。その結果、ヒレ部4を真空断熱材1の同一面上に密着させた際のスプリングバックが非常に大きくなり、作業性が困難で工数と材料費が高くかかっていた。さらに、固定部材5が外れるという課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、真空断熱材の周囲に発泡断熱材を充填する場合に、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する真空断熱材を提供し、更にこの真空断熱材を使用した省エネルギーの冷蔵庫等の断熱箱体を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の真空断熱材は、芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、少なくとも前記芯材の一部に繊維系芯材を使用し、内部を減圧密閉してなり、外周にヒレ部を有する真空断熱材であって、少なくとも一組の相対向する前記ヒレ部が前記真空断熱材の同一面上に密着するように折り曲げられており、前記外被材が積層包装材であり、前記積層包装材の各層間の接着剤の弾性率を10MPa以下としたのである。
これによって、接着剤の弾性率が10MPa以下と小さいことから、内部の芯材が積層包装材を突き破る外方向に力が働いた場合にも、接着層がその歪みを吸収することで突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができるため、外被材の厚みを減らして、ヒレ部を真空断熱材に容易に密着させることができる。
また、別の本発明の真空断熱材は、上記積層包装材の各層間の少なくとも一つの層間の接着剤がウレタン樹脂からなり、前記ウレタン樹脂が脂肪属系ポリイソシアネートからなるものである。
これによって、接着剤であるウレタン樹脂の弾性率がより小さいことから、内部の芯材が積層包装材を突き破る外方向に力が働いた場合にも、接着層がその歪みを吸収することで突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができるため、外被材の厚みを減らして、ヒレ部を真空断熱材に容易に密着させることができる。
また、一般的に、接着剤の弾性率と接着剤のせん断強度とは比例関係にあり、弾性率の低下に伴いせん断強度が低下する。よって、低弾性率の接着剤を適用することで接着剤のせん断強度が低下することから、芯材が突き刺さった場合、積層包装材を突き抜ける前に接着層の破断が生じるため、芯材の突き刺し力の伝播が抑制されることでピンホールの抑制が実現できる。
このような接着剤の弾性率を低下させる手段としては、接着剤となるウレタン樹脂が、脂肪属系ポリイソシアネートからなるウレタン樹脂である場合に特に効果的であった。
本発明の真空断熱材は、外被材の厚みを減らして、ヒレ部を真空断熱材に容易に密着させることができるので、工数と材料費を低減でき、低価格で真空断熱材を提供することができる。また、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する真空断熱材を提供し、更にこの真空断熱材を使用した省エネルギーの冷蔵庫等を提供することができる。
請求項1に記載の真空断熱材の発明は、芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、少なくとも前記芯材の一部に繊維系芯材を使用し、内部を減圧密閉してなり、外周にヒレ部を有する真空断熱材であって、少なくとも一組の相対向する前記ヒレ部が前記真空断熱材の同一面上に密着するように折り曲げられており、前記外被材が積層包装材であり、前記積層包装材の各層間の接着剤の弾性率を10MPa以下としたことを特徴とする。
一般的に、接着剤の弾性率と接着剤のせん断強度とは比例関係にあり、弾性率の低下に伴いせん断強度が低下する。よって、低弾性率の接着剤を適用することで接着剤のせん断強度が低下することから、芯材が突き刺さった場合、積層包装材を突き抜ける前に接着層の破断が生じるため、芯材の突き刺し力の伝播が抑制されることでピンホールの抑制が実現できる。
本発明では、外被材に用いる積層包装材の各層間の接着剤の弾性率が10MPa以下と小さいことから、内部の芯材が積層包装材を突き破る外方向に力が働いた場合にも、接着層がその歪みを吸収することで突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができるため、外被材の厚みを減らして、ヒレ部を真空断熱材に容易に密着させることにより、工数と材料費を低減でき、低価格で本発明の真空断熱材を提供することができる。また、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する本発明の真空断熱材を提供することができる。
請求項2に記載の真空断熱材の発明は、芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、少なくとも前記芯材の一部に繊維系芯材を使用し、内部を減圧密閉してなり、外周にヒレ部を有する真空断熱材であって、少なくとも一組の相対向する前記ヒレ部が前記真空断熱材の同一面上に密着するように折り曲げられており、前記外被材が積層包装材であり、前記積層包装材の各層間の少なくとも一つの層間の接着剤がウレタン樹脂からなり、前記ウレタン樹脂が脂肪属系ポリイソシアネートからなることを特徴とする。
一般的に、接着剤の弾性率と接着剤のせん断強度とは比例関係にあり、弾性率の低下に伴いせん断強度が低下する。よって、低弾性率の接着剤を適用することで接着剤のせん断強度が低下することから、芯材が突き刺さった場合、積層包装材を突き抜ける前に接着層の破断が生じるため、芯材の突き刺し力の伝播が抑制されることでピンホールの抑制が実現できる。
このような接着剤の弾性率を低下させる手段としては、接着剤となるウレタン樹脂が、脂肪属系ポリイソシアネートからなるウレタン樹脂である場合に特に効果的であった。
これにより、接着剤であるウレタン樹脂の弾性率を低下させることができることから、内部の芯材が積層包装材を突き破る外方向に力が働いた場合にも、接着層がその歪みを吸収することで突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができるため、外被材の厚みを減らして、ヒレ部を真空断熱材に容易に密着させることにより、工数と材料費を低減でき、低価格で本発明の真空断熱材を提供することができる。また、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する本発明の真空断熱材を提供することができる。
請求項3に記載の真空断熱材の発明は、芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、少なくとも前記芯材の一部に繊維系芯材を使用し、内部を減圧密閉してなり、外周にヒレ部を有する真空断熱材であって、少なくとも一組の相対向する前記ヒレ部が前記真空断熱材の同一面上に密着するように折り曲げられており、前記外被材が積層包装材であり、前記積層包装材の各層間の少なくとも一つの層間の接着剤がウレタン樹脂からなり、前記ウレタン樹脂が脂肪属系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネートからなることを特徴とする。
これにより、請求項2記載の発明の作用、効果に加えて、ポリオール成分についても脂肪属系ポリエステルポリオールを適用することで、より一層、接着層を構成するウレタン樹脂の弾性率を低下させた本発明の真空断熱材を提供することができる。
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項2または3に記載の発明における接着剤の弾性率を10MPa以下としたことを特徴とする。
これにより、請求項2または3記載の発明の作用、効果に加えて、接着剤の弾性率が10MPa以下と小さいことから、内部の芯材が積層包装材を突き破る外方向に力が働いた場合にも、接着層がその歪みをより吸収することで突き刺しによるピンホールの発生をより抑制することができるため、より高品位な本発明の真空断熱材を提供することができる。
請求項5に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明における外被材が熱溶着層を有し、前記熱溶着層がポリエチレンであることを特徴とする。
これにより、ポリエチレンの弾性率が小さいために、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明の作用、効果に加えて、より一層、積層包装材全体の弾性率を低減できるため、より高品位な本発明の真空断熱材を提供することができる。さらに、低コストで、比較的低温で熱溶着できる本発明の真空断熱材を提供することができる。
請求項6に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明に加えて、ゲッター材を内部に設けたことを特徴とする。
これにより、外部から侵入してくるガスを吸収することができ、長期信頼性を有する本発明の真空断熱材を提供することができる。さらに、本発明の外被材を使用することにより、芯材の突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができる効果と同様に、ゲッター材の外周を構成している金属による積層包装材の破れに対しても、抑制することができるため、ゲッター材全体を芯材で覆うようにして、芯材内に埋設する必要がなく、作業性が大幅に改善でき、低価格で本発明の真空断熱材を提供することができる。
請求項7に記載の断熱箱体の発明は、外箱と内箱で形成される空間に配された請求項1から請求項6のいずれか一項記載の真空断熱材と、前記外箱と前記内箱と前記真空断熱材によって形成される空間に充填された発泡断熱材とを備えたことを特徴とする。
これにより、低価格でボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する本発明の断熱箱体を提供することができる。たとえば、この断熱箱体を冷蔵庫に適用すれば、長期間省エネルギーを保つ冷蔵庫を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例又は先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における真空断熱材のヒレ部折り曲げ前の状態の断面図、図2は同実施の形態の真空断熱材の外被材の要部断面図、図3は同実施の形態における真空断熱材のヒレ部折り曲げ後の状態の断面図である。
図1、図3において、真空断熱材21は、外周にヒレ部27を有し、芯材23と吸着剤24とゲッター材25を外被材22に挿入し、内部を減圧して構成している。真空断熱材21の作製は、芯材23を140℃の乾燥炉で30分間乾燥した後、積層包装材の三方を熱溶着によりシールして袋状に成形した外被材22に挿入し、減圧チャンバー内で外被材22内部が10Pa以下になるように減圧し、開口部を熱溶着により密閉封止している。
この時、ゲッター材25は、ゲッター材25全体を芯材で覆うようにして、芯材23内に埋設するのではなく、芯材23の上に載せて外被材22に挿入し、内部を減圧して構成している。
吸着剤24は、水分吸着剤として酸化カルシウムを適用している。ゲッター材25は、外周の一部が金属26で構成され、内部にガス吸着剤としてバリウムリチウム系の材料を適用している。
図2において、外被材22は、外側から第1層目にナイロンフィルム(15μm)31、第2層目にナイロンフィルム(25μm)31、第3層目にアルミ箔(6μm)32、第4層目に熱溶着層33として超低密度ポリエチレン(VLDPE)フィルム(50μm)を適用しており、各層間にウレタン樹脂からなる接着層34を適用し積層包装材として構成している。
積層包装材は、接着層34の接着剤量(固形分量)が3.5g/m2となるようにドライラミネーション法により作成している。
芯材23は、ガラス短繊維からなるウェブ間が物理的交絡により結合されたガラス繊維の積層体であり、平均繊維径3.5μmのグラスウールを所定密度になるまで積層したものを使用し、ガラス繊維の品温がガラスの歪点よりも低い450℃で5分間加熱プレスすることでボード状に成形している。
このように作製した真空断熱材21は、外被材22の耐ピンホール製が従来品と比較して大幅に改善することが判った。
これは、接着剤として脂肪族系ポリエステルポリオールと脂肪族系ポリイソシアネートからなるウレタン樹脂を適用しているため、接着層34のウレタン樹脂が低弾性率であり、適度な柔軟性を有しているためである。
その結果、ウレタン樹脂の弾性率が接着している被着材の弾性率より小さく、内部の異物が積層包装材を突き破る方向に力が働いた場合、接着層34がその歪みを吸収することで突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができる。
更に、接着剤の弾性率と接着剤のせん断強度とは比例関係にあり、弾性率の低下に伴いせん断強度が低下する。そのため、異物がシーラント層(熱溶着層)34に突き刺さった場合は、シーラント層34を貫通後、せん断強度の低い接着層34の破断が生じるため、異物の突き刺し力の伝播が抑制され、それより上層のフィルムに対するピンホールの発生を抑制できると考える。
この時の、ウレタン樹脂の弾性率は、3.0MPaであった。
以下にウレタン樹脂の弾性率の測定方法を示す。
10mm×100mm×厚さ100μmのサンプルを作成する。島津製作所製・オートグラフ・EZTest機を用い、ロードセルは100N荷重を使用して、引張り速度100mm/min、測定温度23℃、湿度60%Rhで引張り強度を測定した。測定した引張り強度(A)と変位(B)から弾性率を求めた。弾性率=強度(A)÷断面積÷変位(B)
この時、断面積=10mm×厚さ100μmであった。
図3において、ヒレ部27は、真空断熱材21の同一面上に密着するように折り曲げられており、固着部材40で固着している。固着方法は、両面テ−プ等でも可能で、特に限定はしない。
以上のように、ウレタン樹脂が、脂肪属系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネート接着剤で、弾性率を10MPa以下にしたことにより、内部の芯材23が積層包装材(外被材)22を突き破る外方向に力が働いた場合にも、接着層34がその歪みを吸収することで突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができるため、外被材22の厚みを減らして、ヒレ部27を真空断熱材21に容易に密着させることにより、工数と材料費を低減でき、低価格で本発明の真空断熱材を提供することができる。また、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する本発明の真空断熱材を提供することができる。
また、熱溶着層33に使用する材料を超低密度ポリエチレン(VLDPE)にすることにより、超低密度ポリエチレンの弾性率が小さいために、より一層、外被材22となる積層包装材全体の弾性率を低減できるため、突き刺しによるピンホールの発生をより抑制することができ、より高品位な本発明の真空断熱材を提供することができる。さらに、低コストで、比較的低温で熱溶着できる本発明の真空断熱材を提供することができる。
また、ゲッター材25を外被材22の内部に設けたことにより、外部から侵入してくるガスを吸収することができ、長期信頼性を有する本発明の真空断熱材を提供することができる。さらに、本発明の外被材22を使用することにより、芯材23の突き刺しによるピンホールの発生を抑制することができる効果と同様に、ゲッター材の外周を構成している金属による積層包装材(外被材)22の破れに対しても、抑制することができる。
そのため、ゲッター材25は、芯材23をめくって、芯材23で覆うようにして、芯材23内に埋設する必要がなくなり、芯材23の上に載せて外被材22に挿入することができるため、作業性が大幅に改善でき、低価格で本発明の真空断熱材を提供することができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫本体(断熱箱体)の概略断面図である。
冷蔵庫本体41は、鋼板からなる外箱42と、ABS樹脂からなる内箱43とで構成される空間の片面に真空断熱材21を配設し、真空断熱材21以外の空間を硬質ウレタンフォームの発泡断熱材44で発泡充填している。真空断熱材21は、ヒレ部を折り曲げていない平面部にホットメルトを塗布して、外箱42と内箱43に接合している。
冷蔵庫本体41の庫内は冷蔵室41aと冷凍室41bからなり、圧縮機45は機械室46に設置されている。なお、真空断熱材1は実施の形態1に示したものと同様の構成のものを用いている。
本発明によって、外被材22の厚みを減らして、ヒレ部27のスプリングバックを抑制できるため、低価格でボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する本発明の真空断熱材21を装着することができ、長期間省エネルギーを保つ冷蔵庫を提供することができる。
従って、冷蔵庫の消費電力量を測定したところ、真空断熱材21を装着しない冷蔵庫よりもおよそ20%消費電力の削減を維持できた。
以下、実施例を用いて、本発明の真空断熱材を構成する外被材22の接着層34のウレタン樹脂について具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
(表1)にドライラミネーション時の接着剤を種々変更した場合の真空断熱材の耐ピンホール性について、実施例1〜3、及び比較例1〜2に示した。
Figure 2007040391
真空断熱材21は、基本的には実施の形態1と同様の方法で作製しているが、真空断熱材21を構成する外被材22の厚みと接着層34の弾性率のみを各種変更して作製している。
また、真空断熱材21の耐ピンホール性を確認するため、真空断熱材21は、予め、所定の粒径に調整したガラスショットを規定量だけ芯材23表面に配設して作製し、減圧封止後における真空断熱材21のリーク有無、ヒレ部27のスプリングバックによる固定部材40の剥がれの有無について評価した。
(実施例1)
接着層34を構成するウレタン樹脂は、脂肪族系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネートから構成され、弾性率は10MPaである。外被材22は、外側から第1層目にナイロンフィルム(15μm)31、第2層目にナイロンフィルム(25μm)31、第3層目にナイロンフィルム(25μm)31、第4層目にアルミ箔(6μm)32、第5層目に熱溶着層33として超低密度ポリエチレン(VLDPE)フィルム(50μm)を適用しており、ナイロンフィルム31の厚みは65μmである。
上記構成からなる真空断熱材21は、ピンホール及び固着部材40の剥がれについては問題なかった。しかし、ナイロンフィルム31の厚みを65μmよりも小さくすると、ピンホ−ルが多数発生し、破袋した。
(実施例2)
接着層34を構成するウレタン樹脂は、脂肪族系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネートから構成され、弾性率は5MPaである。外被材22は、外側から第1層目にナイロンフィルム(25μm)31、第2層目にナイロンフィルム(25μm)31、第3層目にアルミ箔(6μm)32、第4層目に熱溶着層33として超低密度ポリエチレン(VLDPE)フィルム(50μm)を適用しており、ナイロンフィルム31の厚みは50μmである。
上記構成からなる真空断熱材21は、ピンホール及び固着部材40の剥がれについては問題なかった。しかし、ナイロンフィルム31の厚みを50μmよりも小さくすると、ピンホ−ルが多数発生し、破袋した。
(実施例3)
接着層34を構成するウレタン樹脂は、脂肪族系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネートから構成され、弾性率は3MPaである。外被材22は、外側から第1層目にナイロンフィルム(15μm)31、第2層目にナイロンフィルム(25μm)31、第3層目にアルミ箔(6μm)32、第4層目に熱溶着層33として超低密度ポリエチレン(VLDPE)フィルム(50μm)を適用しており、ナイロンフィルム31の厚みは40μmである。
上記構成からなる真空断熱材21は、ピンホール及び固着部材40の剥がれについては問題なかった。しかし、ナイロンフィルム31の厚みを40μmよりも小さくすると、ピンホ−ルが多数発生し、破袋した。
(比較例1)
接着層34を構成するウレタン樹脂は、脂肪族系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネートから構成され、弾性率は12MPaである。外被材22は、外側から第1層目にナイロンフィルム(25μm)31、第2層目にナイロンフィルム(25μm)31、第3層目にナイロンフィルム(25μm)31、第4層目にアルミ箔(6μm)32、第5層目に熱溶着層33として超低密度ポリエチレン(VLDPE)フィルム(50μm)を適用しており、ナイロンフィルムの厚みは75μmである。
上記構成からなる真空断熱材は、ピンホールについては問題がなかったが、固着部材40の剥がれが発生した。
このように、接着層34の弾性率が12では耐ピンホールを満足するには、ナイロンフィルム31の厚みが75μm必要であるが、外被材22の厚みが大きく、スプリングバックにより、固定部材40の剥がれが発生したと考える。
(比較例2)
接着層34を構成するウレタン樹脂は、脂肪族系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネートから構成され、弾性率は12MPaである。外被材22は、外側から第1層目にナイロンフィルム(15μm)31、第2層目にナイロンフィルム(25μm)31、第3層目にナイロンフィルム(25μm)31、第4層目にアルミ箔(6μm)32、第5層目に熱溶着層33として超低密度ポリエチレン(VLDPE)フィルム(50μm)を適用しており、ナイロンフィルム31の厚みは65μmである。
上記構成からなる真空断熱材は、固着部材40の剥がれについては問題なかったが、ピンホールが多数発生し破袋した。このように、接着層34の弾性率を12、ナイロンフィルム31の厚みを65μmにした場合では、固着部材40の剥がれに問題はないが、ピンホ−ルが多数発生し、破袋した。このように、接着層34の弾性率が12では固定部材の剥がれを満足するには、ナイロンフィルム31の厚みを65μmまで低減する必要があるが、薄くなりすぎてピンホ−ルが多数発生し、破袋したと考える。
以上より、接着層34を構成するウレタン樹脂は、脂肪族系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネートから構成され、弾性率は10MPa以下が望ましい。また、ナイロンフィルム31層を3層から2層に低減できるため、弾性率は5MPa以下が望ましい。さらに、低コスト化の観点からは、弾性率は3MPa以下がより望ましい。
以上のように本発明にかかる真空断熱材は、外被材の厚みを減らして、ヒレ部のスプリングバックを抑制できるため、低価格でボイドや断熱材未充填部の発生を抑制する高品位な真空断熱材を提供でき、冷蔵庫や自動販売機の断熱箱体のように、真空断熱材の周囲に発泡断熱材が充填されるような用途に使用することができる。その結果大幅な省エネルギー化に貢献できる。
本発明の実施の形態1における真空断熱材のヒレ部折り曲げ前の状態の断面図 同実施の形態の真空断熱材の外被材の要部断面図 同実施の形態1における真空断熱材のヒレ部折り曲げ後の状態の断面図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫本体の概略断面図 従来の真空断熱材の断面図 従来の真空断熱材を使用した断熱体の断面図
符号の説明
21 真空断熱材
22 外被材
23 芯材
25 ゲッター材
27 ヒレ部
33 熱溶着層
34 接着層
41 冷蔵庫本体
42 外箱
43 内箱
44 発泡断熱材

Claims (7)

  1. 芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、少なくとも前記芯材の一部に繊維系芯材を使用し、内部を減圧密閉してなり、外周にヒレ部を有する真空断熱材であって、少なくとも一組の相対向する前記ヒレ部が前記真空断熱材の同一面上に密着するように折り曲げられており、前記外被材が積層包装材であり、前記積層包装材の各層間の接着剤の弾性率を10MPa以下としたことを特徴とする真空断熱材。
  2. 芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、少なくとも前記芯材の一部に繊維系芯材を使用し、内部を減圧密閉してなり、外周にヒレ部を有する真空断熱材であって、少なくとも一組の相対向する前記ヒレ部が前記真空断熱材の同一面上に密着するように折り曲げられており、前記外被材が積層包装材であり、前記積層包装材の各層間の少なくとも一つの層間の接着剤がウレタン樹脂からなり、前記ウレタン樹脂が脂肪属系ポリイソシアネートからなることを特徴とする真空断熱材。
  3. 芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、少なくとも前記芯材の一部に繊維系芯材を使用し、内部を減圧密閉してなり、外周にヒレ部を有する真空断熱材であって、少なくとも一組の相対向する前記ヒレ部が前記真空断熱材の同一面上に密着するように折り曲げられており、前記外被材が積層包装材であり、前記積層包装材の各層間の少なくとも一つの層間の接着剤がウレタン樹脂からなり、前記ウレタン樹脂が脂肪属系ポリエステルポリオールと脂肪属系ポリイソシアネートからなることを特徴とする真空断熱材。
  4. 接着剤の弾性率を10MPa以下としたことを特徴とする請求項2または3に記載の真空断熱材。
  5. 外被材が熱溶着層を有し、前記熱溶着層がポリエチレンであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  6. ゲッター材を内部に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  7. 外箱と内箱で形成される空間に配された請求項1から請求項6のいずれか一項記載の真空断熱材と、前記外箱と前記内箱と前記真空断熱材によって形成される空間に充填された発泡断熱材とを備えたことを特徴とする断熱箱体。
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