JP2007039828A - キャスト塗被紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲル化キャスト方式において、特に白紙光沢に優れ、光沢ムラやピンホールの発生が極めて少なく、高効率で生産し得るキャスト塗被紙を提供する。
【解決手段】原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗被液を塗被して塗被層を設け、該塗被層にゲル化剤を付与して塗被層をゲル化した後、該塗被層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接して、強光沢仕上げするキャスト塗被紙であって、該塗被層中に顔料として、pHが12.0未満のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗被液を塗被して塗被層を設け、該塗被層にゲル化剤を付与して塗被層をゲル化した後、該塗被層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接して、強光沢仕上げするキャスト塗被紙であって、該塗被層中に顔料として、pHが12.0未満のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、キャスト塗被紙に関し、特に白紙光沢に優れ、光沢ムラやピンホールがなく、かつ、高効率で生産し得るキャスト塗被紙に関する。
キャスト塗被紙は表面光沢が非常に高く、また優れた平滑性を有し、印刷適性に優れるため、高級印刷用紙として、一般の書籍等の表紙は勿論、高級ラベル、ファッションバッグ等に亘って広く利用されている。このような高光沢と高平滑性を有するキャスト塗被紙の製造法には代表的なものとして3つの方法がある。即ち、湿潤状態にある塗被層を鏡面仕上げした加熱ドラムの表面に圧接、乾燥、離型させて光沢仕上げするウェットキャスト法、湿潤状態の塗被層を一旦乾燥した後、再湿潤液により、再び湿潤、可塑化させた後、加熱されたキャストドラム面に圧接、離型して仕上げるリウェットキャスト法、さらに湿潤状態の塗被層をゲル化させた後、加熱されたキャストドラム面に圧接、離型して仕上げるゲル化キャスト法である。これらのキャスト仕上げ方法は、いずれの方法も湿潤、可塑化状態にある塗被層を加熱ドラム表面に圧接、乾燥し、加熱ドラムより離型させて、その鏡面を写し取る点で共通している。
このようなキャスト塗被紙の製造方法においては、塗被層が加熱ドラム面に接して乾燥させられるために、塗被層中の水分、または塗被層を再湿潤化するために使用した再湿潤液の水分は全て紙層中を通過して裏面(非キャスト面側)へ抜けて蒸発することになる。そのために、キャスト塗被紙の製造においては、塗被紙の両面から乾燥される一般のアート紙やコート紙の生産の場合と比較し極めて低速での操業を余儀なくされているのが現状である。
上記のキャスト塗被紙の製造方法の中で比較すると、リウェットキャスト法は、塗被層がキャストドラムに圧接する前に乾燥されているため、表面温度が100℃以上のキャストドラムに圧接してキャスト仕上げができるために他のキャスト法に比較し、相対的にかなり早い速度で生産が可能であるという利点をもっている。また、ゲル化キャスト法も、塗被層がキャストドラムに圧接する前にゲル化されているため、表面温度が90℃以上のキャストドラムに圧接してキャスト仕上げができるため、リウェットキャスト法に比べて遅いものの、ウェットキャスト法に比べて速い速度で生産が可能である。しかし、一方で、リウェットキャスト法の場合は一旦乾燥された塗被層を再湿潤化するため、そして、ゲル化キャスト法の場合は一旦塗被層をゲル化するため、ウェットキャスト法に比べて、塗被層の可塑化の度合が低い。その結果として、塗被層が加熱キャストドラム面に均一に密着され難く、高速度での操業になるほど、ピンホールや光沢むらが発生し、塗被面の均一性が失われ、光沢も低下し易いといった難点を抱えている。
ところで、キャスト塗被紙は、強光沢を得るのに主眼が置かれているために、キャスト塗被層中の顔料成分として、板状結晶のカオリンが主要顔料として使用されている。この場合、顔料として使用されるカオリンは、塗被層表面で配向するだけでなく、塗被層中においても同じように配向する傾向がある。そのために、高光沢は得やすいが、反面、水分の透過性が悪くなるために光沢ムラや印刷時の白抜けの原因となるピンホールが生じ易くなり、かつ生産性も非常に低下するといった難点を抱えている。
そこで、キャスト塗被紙の生産性を向上させるために、カオリンに比べて水分透過性の良い水酸化アルミニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、酸化亜鉛、あるいは粒子形態が米粒状、紡錘状、球状、無定型の軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウム等をカオリンと併用または単独で使用することが知られている。
しかし、このような顔料を使用したキャスト塗被紙では、カオリン単独の場合に比べて水分の透過性は顕著に改善されるものの、キャスト塗被紙の特徴である光沢が著しく低下するといった問題が生じてしまう。
上記の如き問題を改良するために、塗被組成物中に顔料として平均粒子径0.1〜1.0μmの立方形炭酸カルシウムを使用する方法(特許文献1を参照)や、平均粒子径0.5μm以下のカオリンと長径1〜3μmの柱状もしくは針状炭酸カルシウムを併用する方法(特許文献2を参照)が提案されているが、何れもピンホールや光沢むらは改良されるものの、光沢は不十分となり、キャスト速度が速くなると、塗被層の一部がドラムに取られる、所謂ドラムピックが発生する問題がある。
また、顔料としてトリスルホアルミン酸カルシウム(以下サチンホワイト)を塗被層に配合すると、塗被層面が高い表面平滑性を発現する特徴があり、一般のアート紙やコート紙の塗被層に使用して高い白紙光沢や高い表面平滑性が得られることが知られている(特許文献3〜6を参照)。サチンホワイトのキャスト塗被紙への使用としては、少量のサチンホワイトをカゼインの耐水化剤として使用する方法(特許文献7を参照)、カゼインを使用せず、カオリン、サチンホワイト、およびカチオン性樹脂を配合する方法(特許文献8を参照)が提案されているが、何れの方法も、長時間の操業は不安定であり、キャスト速度を上げた場合には、キャストドラムにおける所謂ドラムピックが発生する問題がある。
なお、キャスト塗被液にサチンホワイト顔料を使用し、塗被液のpHを8.0〜11.0に調整して30℃以上に加熱させて塗被液が凝固する性質を利用する方法(特許文献9を参照)が提案されているが、この方法は、サチンホワイトを使用した塗被液が、pHや温度に対して不安定であることを示しており、実際のキャスト塗被紙の生産において、この製造方法は採用されていないのが実状である。
また、強光沢を有するキャスト塗被紙を高速度で生産する方法として、顔料以外からも検討されており、例えば特定の接着剤及び金属塩を塗被組成物中に含有させる方法(特許文献10を参照)も提案されているが、ピンホールや光沢むらは改良されるものの、キャスト速度が速くなると、十分な効果を得ることができず、その添加量を増加した場合、塗被組成物の増粘やゲル化をもたらし、安定した条件での操業が難しい。また、この対策として、平均粒子径の大きいラテックスと金属塩を含有させる方法(特許文献11を参照)も提案されており、比較的少量の金属塩類の添加量で、光沢むらやピンホールが改良され、しかも比較的安定した条件での操業が可能とされているが、長時間の操業においては安定性の問題が発生し、更なる改良が望まれているのが実状である。
本発明は、ゲル化キャスト方式において、特に白紙光沢に優れ、光沢ムラやピンホールの発生が極めて少なく、かつ、高効率で生産し得るキャスト塗被紙を提供するものである。
本発明は、原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗被液を塗被して塗被層を設け、該塗被層にゲル化剤を付与して塗被層をゲル化した後、該塗被層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接して、強光沢仕上げするキャスト塗被紙において、該塗被層中に、pHが12.0未満であるサチンホワイトを含有することを特徴とするキャスト塗被紙である。
前記サチンホワイトのpHが8.5以上11.0以下であることが好ましい。
前記サチンホワイトの平均粒子径が0.1〜1.5μmであることが好ましい。
前記サチンホワイトが塗被層中の全顔料中、2〜30質量%含有されることが好ましい。
本発明に用いるサチンホワイトが、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液とを反応させて製造されたものであって、(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を複数段添加するものであり、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の複数段の添加のうち少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行なわれるものであることを特徴とする。
本発明のサチンホワイトの製造方法について、前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加の直前の添加から所定時間が経過した後に行なわれることが好ましい。
本発明のサチンホワイトの製造方法について、前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上で行なわれることが好ましい。
本発明のサチンホワイトについて、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)が、5.5〜7.0であることが好ましい。
本発明のサチンホワイトの製造方法について、前記複数段の添加のうち1段目の添加である第1回添加において、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数の85%以下のモル数である(B)硫酸アルミニウム水溶液を添加し、前記複数段の添加のうち2段目の添加である第2回添加と該第1回添加との(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数が、該基準モル数の98%以下のモル数であることが好ましい。
本発明のサチンホワイトについて、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12質量%以下であることが好ましい。
前記サチンホワイトのpHが8.5以上11.0以下であることが好ましい。
前記サチンホワイトの平均粒子径が0.1〜1.5μmであることが好ましい。
前記サチンホワイトが塗被層中の全顔料中、2〜30質量%含有されることが好ましい。
本発明に用いるサチンホワイトが、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液とを反応させて製造されたものであって、(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を複数段添加するものであり、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の複数段の添加のうち少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行なわれるものであることを特徴とする。
本発明のサチンホワイトの製造方法について、前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加の直前の添加から所定時間が経過した後に行なわれることが好ましい。
本発明のサチンホワイトの製造方法について、前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上で行なわれることが好ましい。
本発明のサチンホワイトについて、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)が、5.5〜7.0であることが好ましい。
本発明のサチンホワイトの製造方法について、前記複数段の添加のうち1段目の添加である第1回添加において、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数の85%以下のモル数である(B)硫酸アルミニウム水溶液を添加し、前記複数段の添加のうち2段目の添加である第2回添加と該第1回添加との(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数が、該基準モル数の98%以下のモル数であることが好ましい。
本発明のサチンホワイトについて、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12質量%以下であることが好ましい。
本発明に係るキャスト塗被紙は、光沢むらがなく、白紙光沢の極めて優れたものであり、かつ操業性に優れ、効率よく製造することができる特性を有する。
上記の如き実状より、本発明者等はキャスト塗被紙の製造に関し、特にゲル化キャスト法において、操業性は勿論、品質面においても優れたキャスト塗被紙を得るべく鋭意研究を行った。その結果、塗被層中に顔料として特定のサチンホワイトを使用することで、高い光沢を有し、光沢むらやピンホールのないキャスト塗被紙が効率よく(高速度で)得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下に、本発明に使用するサチンホワイトの詳細について述べる。本発明に使用するサチンホワイトは、塗被液の安定性や、キャストドラムでの離型性の点から、pH12.0未満であることが必要であり、pHが8.5以上11.0以下であることが好ましい。因みに、サチンホワイトのpHが12.0以上の場合は、塗被液の安定化を図るために塗被液中への水酸化ナトリウムの過剰添加が必要であり、長時間の操業においてキャストドラムでの離型性に問題が生じる。また、pH8.5未満の場合には、サチンホワイトの結晶形状が崩壊し、水酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物が混在するため、サチンホワイト本来の表面平滑性、白紙光沢などの白紙品質が低下するため好ましくない。また、サチンホワイトのpHが12.0未満の場合、塗被液の安定化のためのアルカリを、少量添加あるいは無添加にできることから、一般の顔料と同じ扱いができる利点もある。
ところで、サチンホワイトとは、水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムとの反応によって生じる、下記一般式(1)によって表される無機錯体化合物である。
3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜32H2O (1)
一般的に、サチンホワイトはpHが12.3〜12.5であり、分散液を安定化させるため、過剰量の分散剤の添加が必要であり、また、サチンホワイトを塗被液に配合した場合、塗被液を安定化させるために、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)等のアルカリを添加してpHを12〜13の強アルカリに調整する必要がある。これは、サチンホワイトの製造の際、残留している未反応の水酸化カルシウム原料から、カルシウムイオンが溶出し、このカルシウムイオンの溶出を抑制させる必要があるためである。
3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜32H2O (1)
一般的に、サチンホワイトはpHが12.3〜12.5であり、分散液を安定化させるため、過剰量の分散剤の添加が必要であり、また、サチンホワイトを塗被液に配合した場合、塗被液を安定化させるために、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)等のアルカリを添加してpHを12〜13の強アルカリに調整する必要がある。これは、サチンホワイトの製造の際、残留している未反応の水酸化カルシウム原料から、カルシウムイオンが溶出し、このカルシウムイオンの溶出を抑制させる必要があるためである。
キャスト塗被紙の製造において、一般的なサチンホワイトを使用した場合、塗被液のpHを12〜13程度に調整した場合でも、長時間の操業において塗被液は不安定となり、また、ドラムピックが発生する場合がある。この理由については明らかではないが、長時間の操業において塗被液中に残留している水酸化カルシウムからカルシウムイオンが溶出し、このカルシウムイオンが、キャストドラム表面や塗被液中の離型剤に吸着し、その離型効果が発揮できなくなるためと推定する。
本発明のキャスト塗被層に使用するサチンホワイトは、特願2005−123689号公報の製造方法による。
即ち、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液とを反応させて製造されたものであって、(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を複数段添加するものであり、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の複数段の添加のうち少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行なわれるものである。
なお、ここに、(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される(A)水酸化カルシウム懸濁液とは、複数段添加のうち第1段目の添加においては(硫酸アルミニウム水溶液の添加が行なわれる前においては)純粋な水酸化カルシウム懸濁液であるが、複数段添加のうち第2段目以降の添加においては(硫酸アルミニウム水溶液の添加が既に行なわれた後においては)水酸化カルシウム懸濁液と硫酸アルミニウム水溶液との混合物(サチンホワイトの生成反応が進行途中である混合組成物)を意味する。
なお、ここに、(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される(A)水酸化カルシウム懸濁液とは、複数段添加のうち第1段目の添加においては(硫酸アルミニウム水溶液の添加が行なわれる前においては)純粋な水酸化カルシウム懸濁液であるが、複数段添加のうち第2段目以降の添加においては(硫酸アルミニウム水溶液の添加が既に行なわれた後においては)水酸化カルシウム懸濁液と硫酸アルミニウム水溶液との混合物(サチンホワイトの生成反応が進行途中である混合組成物)を意味する。
即ち、まず本方法においては、水酸化カルシウム懸濁液に対して添加される硫酸アルミニウム水溶液を複数段に分割して添加することを特徴とする。
水酸化カルシウム懸濁液と硫酸アルミニウム水溶液を反応させてサチンホワイトを製造する場合において、サチンホワイトの反応原料である硫酸アルミニウムは水に完全に溶解して水溶液となり、その全量が直ちに反応が行なえる状態であるのに対して、もう一方の反応原料である水酸化カルシウムは水に対する溶解性が0.2%と極めて低く、ほとんど水に溶けない懸濁液の状態であるため、その全量は直ちに反応が行なえる状態にはない。
このため、反応性の鈍い水酸化カルシウム懸濁液に対して、所定量の硫酸アルミニウム水溶液を一度に添加するのではなく、直ちに反応することができる水酸化カルシウム量に見合うだけの硫酸アルミニウム量の範囲内で、所定量の硫酸アルミニウムを複数段に分割して添加することにより、反応系内において硫酸アルミニウムが過剰になる状態を回避し、酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物の発生を抑制するものである。
水酸化カルシウム懸濁液と硫酸アルミニウム水溶液を反応させてサチンホワイトを製造する場合において、サチンホワイトの反応原料である硫酸アルミニウムは水に完全に溶解して水溶液となり、その全量が直ちに反応が行なえる状態であるのに対して、もう一方の反応原料である水酸化カルシウムは水に対する溶解性が0.2%と極めて低く、ほとんど水に溶けない懸濁液の状態であるため、その全量は直ちに反応が行なえる状態にはない。
このため、反応性の鈍い水酸化カルシウム懸濁液に対して、所定量の硫酸アルミニウム水溶液を一度に添加するのではなく、直ちに反応することができる水酸化カルシウム量に見合うだけの硫酸アルミニウム量の範囲内で、所定量の硫酸アルミニウムを複数段に分割して添加することにより、反応系内において硫酸アルミニウムが過剰になる状態を回避し、酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物の発生を抑制するものである。
さらに本方法では、前記した硫酸アルミニウム水溶液の分割添加に加えて、(A)水酸化カルシウム懸濁液に対して(B)硫酸アルミニウム水溶液の複数段の添加のうち、少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行なうことを特徴とする。
これは、本発明において、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液の添加に対しては、所定量の水酸化カルシウム懸濁液に硫酸アルミニウム水溶液を長時間に渡って徐々に添加する、いわゆる「バッチ」方式を行なっても良いが、生成するサチンホワイトの粒子径を微小、かつ均一に制御することに関しては、「バッチ」方式よりも連続的に移送される水酸化カルシウム懸濁液に対して硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する「連続添加」方式の方が優れていることから、本発明に用いるサチンホワイトでは、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液のいずれかの添加において、前記「連続添加」方式による添加を、少なくとも最低1回は行なうものである。
これは、本発明において、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液の添加に対しては、所定量の水酸化カルシウム懸濁液に硫酸アルミニウム水溶液を長時間に渡って徐々に添加する、いわゆる「バッチ」方式を行なっても良いが、生成するサチンホワイトの粒子径を微小、かつ均一に制御することに関しては、「バッチ」方式よりも連続的に移送される水酸化カルシウム懸濁液に対して硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する「連続添加」方式の方が優れていることから、本発明に用いるサチンホワイトでは、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液のいずれかの添加において、前記「連続添加」方式による添加を、少なくとも最低1回は行なうものである。
また、本方法では、本発明の「連続添加」方式による硫酸アルミニウム水溶液の添加については、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち、第1段目の添加を「連続添加」方式とすることもでき、さらに、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち、最終の添加を除く全ての添加を「連続添加」方式とすることもできる。なお、最終の添加を含む全ての添加を「連続添加」方式とすることもできる。
また、本発明のサチンホワイトの生成においては、水酸化カルシウムの反応性を回復させて適正なサチンホワイト生成反応を維持させるために、該後続添加の直前の添加から所定時間の間隔を空けた後に、後続の硫酸アルミニウム水溶液を添加するものであり、安定化するのに要する所要時間は、混合組成物の状態にもよるが、15秒以上が必要である。
また、本方法においては、前記複数段に分割して行なわれる(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち、2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上で行なわれてもよい。
ここにいう「後続添加」とは、水酸化カルシウム懸濁液に対して、複数段に分割して硫酸アルミニウム水溶液を添加する場合において、2段目〜最終段に行なわれる、それぞれの硫酸アルミニウム水溶液の添加をいう。
そして、ここにいう「該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物」とは、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液の混合物であって、まだ(B)硫酸アルミニウム水溶液の所定量(全量)が混合されておらず(即ち、最終段の添加がなされていない)、該後続添加によって(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される直前の組成物をいい、具体的には生成したサチンホワイトと未反応の水酸化カルシウムが残留する組成物のことを示す。
ここにいう「後続添加」とは、水酸化カルシウム懸濁液に対して、複数段に分割して硫酸アルミニウム水溶液を添加する場合において、2段目〜最終段に行なわれる、それぞれの硫酸アルミニウム水溶液の添加をいう。
そして、ここにいう「該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物」とは、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液の混合物であって、まだ(B)硫酸アルミニウム水溶液の所定量(全量)が混合されておらず(即ち、最終段の添加がなされていない)、該後続添加によって(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される直前の組成物をいい、具体的には生成したサチンホワイトと未反応の水酸化カルシウムが残留する組成物のことを示す。
後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上であることの意義は次のように考えられる。
サチンホワイトの製造に関して、硫酸アルミニウム水溶液を添加する際に、原料である水酸化カルシウムの反応性を維持、回復させることが重要であることは前記した通りであるが、水酸化カルシウム懸濁液に対して硫酸アルミニウム水溶液を混合して得られた混合組成物のpHの変動状態を観測することにより、混合組成物における水酸化カルシウムの反応性の回復状況を把握することができることから、該混合組成物においては、硫酸アルミニウムを添加する前に充分に反応性を回復(=pHの上昇回復)しておくことが不可欠である。
したがって、本発明において、硫酸アルミニウムが添加される前の混合組成物のpHについては、11.0以上であることが好ましく、12.0以上とすることがより好ましく、水酸化カルシウムの反応性を完全に安定した状態まで回復させるためには、12.5〜13.0のpH範囲まで調整することが特に好ましい。硫酸アルミニウムを添加する前の混合組成物のpHが、11.0未満であると、混合組成物中の水酸化カルシウムの反応性回復が不十分である可能性が高く、該状態の混合組成物に対して硫酸アルミニウム水溶液を追添加すると、サチンホワイトの生成反応を適性、かつ安定して行なうことが困難となり、酸化アルミニウムや硫酸カルシウムといった反応副生成物が多量に生じるため好ましくない。
サチンホワイトの製造に関して、硫酸アルミニウム水溶液を添加する際に、原料である水酸化カルシウムの反応性を維持、回復させることが重要であることは前記した通りであるが、水酸化カルシウム懸濁液に対して硫酸アルミニウム水溶液を混合して得られた混合組成物のpHの変動状態を観測することにより、混合組成物における水酸化カルシウムの反応性の回復状況を把握することができることから、該混合組成物においては、硫酸アルミニウムを添加する前に充分に反応性を回復(=pHの上昇回復)しておくことが不可欠である。
したがって、本発明において、硫酸アルミニウムが添加される前の混合組成物のpHについては、11.0以上であることが好ましく、12.0以上とすることがより好ましく、水酸化カルシウムの反応性を完全に安定した状態まで回復させるためには、12.5〜13.0のpH範囲まで調整することが特に好ましい。硫酸アルミニウムを添加する前の混合組成物のpHが、11.0未満であると、混合組成物中の水酸化カルシウムの反応性回復が不十分である可能性が高く、該状態の混合組成物に対して硫酸アルミニウム水溶液を追添加すると、サチンホワイトの生成反応を適性、かつ安定して行なうことが困難となり、酸化アルミニウムや硫酸カルシウムといった反応副生成物が多量に生じるため好ましくない。
本方法においては、サチンホワイトを生成させる際の、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段に分割して添加される(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)は、5.5〜7.0が好ましい。
(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aと、複数段に分割して添加される(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bと、の割合(a/b)は、理論的にはa/b=6.0であり、これは1モルのサチンホワイトの生成には、6モルの水酸化カルシウムと1モルの硫酸アルミニウムが必要であることを示している。したがって本発明におけるサチンホワイトが生成する際の水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)についてはa/b=6.0として、反応における無駄を最小限とすることが極めて好ましい。
しかしながら、水酸化カルシウムの反応性が非常に鈍いことから、完全な反応終了点で反応を終了させることは極めて困難である。したがって、本発明におけるサチンホワイトが生成する際の水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の範囲の下限については、a/b=5.5以上とすることが好ましく、5.8とすることがより好ましく、6.0とすることが特に好ましい。また水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の上限については、7.0以下とすることがより好ましく、6.0とすることが特に好ましい(通常、水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の範囲としては、a/b=5.5〜7.0が好ましく、a/b=5.8〜7.0の範囲内とすることが特に好ましい。)。サチンホワイトが生成する際の水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)について、5.5未満とすることは、水酸化カルシウムに対する硫酸アルミニウムの比率が過剰になり、酸化アルミニウムや硫酸カルシウム等の反応副生成物が多量に発生するため好ましくなく、また該反応モル比が7.0を超えることは、pHが12.0未満のサチンホワイトを得ることが難しくなり好ましくない。
しかしながら、水酸化カルシウムの反応性が非常に鈍いことから、完全な反応終了点で反応を終了させることは極めて困難である。したがって、本発明におけるサチンホワイトが生成する際の水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の範囲の下限については、a/b=5.5以上とすることが好ましく、5.8とすることがより好ましく、6.0とすることが特に好ましい。また水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の上限については、7.0以下とすることがより好ましく、6.0とすることが特に好ましい(通常、水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の範囲としては、a/b=5.5〜7.0が好ましく、a/b=5.8〜7.0の範囲内とすることが特に好ましい。)。サチンホワイトが生成する際の水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)について、5.5未満とすることは、水酸化カルシウムに対する硫酸アルミニウムの比率が過剰になり、酸化アルミニウムや硫酸カルシウム等の反応副生成物が多量に発生するため好ましくなく、また該反応モル比が7.0を超えることは、pHが12.0未満のサチンホワイトを得ることが難しくなり好ましくない。
ここに「(C)サチンホワイトを含有する組成物のpH」の測定方法としては、残留する水酸化カルシウムの状態安定化のために、硫酸アルミニウム水溶液の最終添加が終了した後、少なくとも10分以上、好ましくは5時間以上経過した後にpH測定を行なうことが好ましく、pH測定については、測定を行なう当日に少なくとも1回はpH標準校正溶液を用いて校正されたpH計を用いることが好ましい。例えば、硫酸アルミニウム水溶液の最終段添加が終了してから24時間後経過後の25℃の(C)サチンホワイトを含有する組成物のpHを測定するようにしてもよい。また測定器具としては、ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型/アズワン製)を使用し、(C)サチンホワイトを含有する組成物の分散液中に直接pH電極を浸漬させて該組成物のpHを測定する。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行う。
サチンホワイトの製造方法について、従来方法では、硫酸アルミニウムに対して常に水酸化カルシウムが過剰になる状態を堅持することによって、酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物の発生を防止するものであったが、反面、水酸化カルシウムが過剰な状態を堅持するために、生成したサチンホワイト中にも、未反応の水酸化カルシウムが残留する状態が生じ、この残留する水酸化カルシウムが生成したサチンホワイト中に溶出するために、従来のサチンホワイト懸濁液のpHは強アルカリ性(pH12.5〜12.7)となることが短所であった。
しかしながら本方法においては、反応性の鈍い水酸化カルシウム懸濁液に対して、複数段に分割して所定量の硫酸アルミニウム水溶液を添加することによって、反応終了点まで硫酸アルミニウム水溶液を添加して、サチンホワイト懸濁液の中の未反応の水酸化カルシウムの残留を抑制できることから、アルカリ性の低い高品質なサチンホワイトを安定して生成させることができる。
したがって、本方法により、硫酸アルミニウム水溶液の添加量を最適化することにより、生成するサチンホワイトを含有する組成物のpHを12.0未満まで調整することが可能となり、硫酸アルミニウム水溶液の添加量をより最適化することにより、11.0以下の好ましい値、10.5以下のより好ましい値にすることができるようになった。また、pHの下限としては、pHを8.5以上とすることが好ましく、9.2以上とすることが特に好ましい。
このpHは、硫酸アルミニウム水溶液の添加量によって調節することができ、具体的には、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)を変更することでpHを調節することができる。該割合(a/b)を高めればpHは上昇し、該割合(a/b)を低めればpHは低下するので、所定のpHになるように該割合(a/b)を5.5〜7.0の範囲で調節すればよい。
生成するサチンホワイトを含有する組成物のpHが12.0以上の場合には、前記したように、未反応の水酸化カルシウムが多く残留しているために好ましくなく、他方サチンホワイトを含有する組成物のpHが8.5未満である場合には、反応終了点を越えて、過剰に硫酸アルミニウム水溶液が添加され、生成したサチンホワイトの結晶形状が崩壊し、水酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物が発生するため、好ましくない。
また、本発明に使用するサチンホワイトは、平滑性、白紙光沢発現性及びキャストドラムでの離型性の点から、沈降方式による平均粒子径が0.1〜1.5μmの範囲であることが好ましく、特に平均粒子径0.3〜0.8μmの範囲がより好ましい。因みに、サチンホワイトの平均粒子径が1.5μmを越える場合には、塗被層に対して平滑発現性、白紙光沢発現性の効果が少ない。また、平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合には、塗被紙の平滑発現性、白紙光沢発現性付与に対しては有効であるが、印刷用塗被紙として必要とされる強度発現のための接着剤要求量が多くなることや、キャストドラムでの離型性が悪化する場合があり、好ましくない。
この本方法により製造される(C)サチンホワイトの平均粒子径を大きくするには、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加段数を増加させたり、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加における流量を減少(即ち、連続添加における滞留時間を増加させる)させればよい。逆に、本方法により製造される(C)サチンホワイトの平均粒子径を小さくするには、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加段数を減少させたり、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加における流量を増加(即ち、連続添加における滞留時間を減少させる)させたり、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち第1回添加における(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加量を減少させればよい。このためこれらの条件を適宜変更して所望の平均粒子径になるようにすればよい。
前記、沈降方式による平均粒子径測定とは、詳細は以下のものである。米国のマイクロメリティックス社製のセディグラフ5100を使用して、生成したサチンホワイトを含有する組成物の粒度分布を測定し、50累積質量%に該当する平均粒子径(d50)を求めた。なお、測定に供したサチンホワイトを含有する組成物は、反応終了後に得られたサチンホワイトを含有する組成物の分散液に対して、燐酸塩系分散剤(ピロリン酸ソーダ)の0.1%水溶液で、顔料固形分濃度が約4%になるよう希釈・分散して得た。また、測定条件としては、サチンホワイトの比重:1.77g/cm3、測定温度:35℃で測定した。
本方法においては、前記複数段に分割して行なわれる(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち、1段目の添加である第1回添加において、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数の85%以下のモル数である(B)硫酸アルミニウム水溶液を添加し、前記複数段の添加のうち、2段目の添加である第2回添加と該第1回添加との(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数が、該基準モル数の98%以下のモル数となるようにしてもよい(添加モル数制限方法)。
(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12重量%以下であってもよい。
ここに水酸化カルシウム懸濁液の濃度は、硫酸アルミニウム水溶液が全く添加されていない状態(即ち、硫酸アルミニウム水溶液の第1段目の添加を行なう前)の反応を行なう前の状態における水酸化カルシウム懸濁液の濃度であり、水酸化カルシウム懸濁液において、水に溶解した状態の水酸化カルシウム(f1)と、固体のまま水に分散した状態の水酸化カルシウム(f2)と、の2者を併せた水酸化カルシウムの総含有量(質量F=f1+f2)による質量%をいう。
ここに水酸化カルシウム懸濁液の濃度は、硫酸アルミニウム水溶液が全く添加されていない状態(即ち、硫酸アルミニウム水溶液の第1段目の添加を行なう前)の反応を行なう前の状態における水酸化カルシウム懸濁液の濃度であり、水酸化カルシウム懸濁液において、水に溶解した状態の水酸化カルシウム(f1)と、固体のまま水に分散した状態の水酸化カルシウム(f2)と、の2者を併せた水酸化カルシウムの総含有量(質量F=f1+f2)による質量%をいう。
サチンホワイトは塩基である水酸化カルシウム懸濁液と、酸である硫酸アルミニウム水溶液を、瞬時に均一に混合させることが不可欠であるが、この際に各反応原料の濃度が濃すぎる場合には、各反応原料の瞬時、かつ均一な混合を行なうことが困難となり、また反応混合組成物(懸濁液)の粘度が2000mPa・sを越えるような高粘度となって、反応原料の混合を阻害する恐れが生じてしまう。
したがって、本方法においては、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12質量%以下であることが好ましく、少なくとも一方が、6質量%以下であることがより好ましく、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度が、共に6質量%以下であることが最も好ましい。
したがって、本方法においては、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12質量%以下であることが好ましく、少なくとも一方が、6質量%以下であることがより好ましく、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度が、共に6質量%以下であることが最も好ましい。
そして、反応原料を瞬時、かつ均一に混合させて、サチンホワイトの生成反応を安定して行なうためには、前記したように各反応原料の濃度はできる限り低い方が好ましいが、反応原料の濃度が極めて低い場合には、取り扱う反応液量が膨大となり、極めて大きな処理能力を有する製造設備の設置が必要となるため、必要以上に原料を低濃度化することは好ましくない。
したがって、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度の少なくとも一方が、0.1質量%以上であることが好ましく、少なくとも一方が、1質量%以上であることが特に好ましい。
したがって、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度の少なくとも一方が、0.1質量%以上であることが好ましく、少なくとも一方が、1質量%以上であることが特に好ましい。
また、本発明に使用するサチンホワイトは、平滑性や白紙光沢発現性の点から、全顔料に対して2〜30質量%(固形分換算)含有することが好ましい。また、4〜10質量%程度がより好ましい。因みに、サチンホワイトの含有量が30質量%を越える場合には、塗被紙としての強度発現のために必要とされる接着剤量が多くなり、不経済であることや、塗被液の濃度が低くなり、塗被紙の平滑性や白紙光沢が低下する傾向となるため好ましくない。また、含有量が2質量%未満の場合には、塗被紙の平滑発現性、白紙光沢発現性の効果が少ない。
本発明において、塗被層に含有する特定のサチンホワイト以外の顔料としては、例えば、カオリン、タルク、クレー、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料のほか、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料を例示することができ、これらは併用も可能である。
本発明において、キャスト塗被紙の塗被層に、接着剤として、カゼイン、大豆蛋白、等の蛋白質類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体等のビニル系重合体ラテックス、或はこれらの各種重合体をカルボキシル基等の官能基含有単量体により、官能基変性したアルカリ溶解性或はアルカリ非溶解性の重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等の合成樹脂系接着剤、陽性化デンプン、酸化デンプン、エステル化デンプン等のデンプン類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等、一般の塗被紙用として知られる接着剤を単独或は併用で使用することができる。なお、接着剤の使用量は顔料100質量部に対し5〜50質量部、好ましくは10〜30質量部程度である。
また、本発明に係るキャスト塗被紙の塗被層には、上記の顔料と接着剤の他に、本発明の効果を妨げない範囲において、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、第一燐酸ナトリウム、燐酸アンモニウム、燐酸カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、モノクロル酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、乳酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の無機酸や有機酸のアンモニウム塩や金属塩類、メチルアミン、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジイソプロピルアミン等の各種添加剤を適宜使用することができる。また、本発明の効果を妨げない範囲において、青系統或いは紫系統の染料や有色顔料、蛍光染料、増粘剤、保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電処理剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
次に、本発明において、キャスト塗被紙に使用する原紙について述べる。本発明のキャスト塗被紙に使用する原紙は、特に限定されるものではなく、下記の材料が本発明の所望の効果を妨げない範囲において適宜選択して使用される。
パルプとしては、例えば、一般に使用されているLBKPやNBKP等の漂白化学パルプ、砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナ砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、脱墨古紙パルプ(DIP)、損紙などが適宜混合使用される。また、ケナフ等の非木材繊維原料から得られるパルプ繊維、合成パルプ、無機繊維等の1種又は2種以上を原紙に配合することもできる。機械パルプやDIPは、必要に応じて漂白して使用することもでき、漂白の程度も任意に行うことができる。なお、パルプの漂白には、塩素ガスのような分子状塩素や二酸化塩素のような塩素化合物を使用しない漂白工程を採用することが、環境保全の観点から好ましく、このような漂白工程を経たパルプとしては、ECFパルプやTCFパルプを挙げることができる。
原紙に内添される填料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が例示でき、古紙や損紙等に含まれる填料も再使用できる。填料は2種以上の混合使用も可能である。填料の配合量は、一般に、紙(原紙)灰分が3〜20質量%の範囲となるように添加される。
なお、原紙中にはパルプや填料の他に、内添サイズ剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等で例示される各種の抄紙用内添助剤を、必要に応じて添加することができる。内添サイズ剤の具体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤、ロジン系サイズ剤等が挙げられる。また、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。
本発明のキャスト塗被紙に使用する原紙の坪量は、一般的には、30〜400g/m2程度の範囲に適宜調整する。また、原紙の抄造条件は特に限定はない。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。抄紙方式としては、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ性抄紙等のいずれの方式でも良いが、近年、紙の保存性が要求されることから、中性抄紙により抄紙された原紙が好ましい。勿論、澱粉溶液等をサイズプレスすることもできる。また、原紙の片面または両面には必要に応じて、一般の顔料塗被組成物を予め予備塗工した塗工紙、必要があればこの予備塗工した塗工紙を前もって、スーパーキャレンダー、ブラシ掛け、キャスト仕上げ等の平滑化処理したもの等もキャスト用原紙として使用される。
前記材料をもって構成されるキャスト用塗被組成物は、一般に固形分濃度を20〜70質量%程度に調製し、前記のキャスト用原紙上に乾燥重量で10〜50g/m2、より好ましくは20〜30g/m2程度になるように、塗被、乾燥する。塗工装置についても、特に限定するものではなく、当業界で一般的に使用されているトレーリング、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエル等のベベルタイプやベントタイプのブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、チャンプフレックスコーター、ゲートロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スプレーコーター等の塗工装置が適宜使用できる。勿論、これらの装置はオンマシンでもよく、オフマシンであってもよい。また、湿潤塗被層を乾燥する方法としても、特に限定するものではなく、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用できる
上記の方法でキャスト用塗被組成物を原紙上に塗被した後、ゲル化キャスト法、即ち、ゲル化剤を付与して該塗被層をゲル化させ、加熱された鏡面ドラムに圧接して光沢仕上げされる。
なお、ゲル化剤については、特に限定されるものではないが、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、乳酸、塩酸、硫酸、炭酸、ほう酸等の酸、およびこれらのカルシウム、亜鉛、バリウム、鉛、カリウム、ナトリウム、カドミウム、アルミニウム等との塩、およびほう砂等が挙げられる。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、特に断わらない限り例中の「部」および「%」は、それぞれ「固形分質量部」および「固形分質量%」を示す。また、実施例や比較例で使用した顔料の平均粒子径、サチンホワイトを含有する組成物のpHは以下の方法で測定した。
(顔料の平均粒子径)
ピロリン酸ソーダの0.1%液中に顔料を超音波で5分間分散処理し、X線透過式粒度分布測定装置(機種名:セディグラフ5100、マイクロメリティクス社製)を用いて沈降法により測定した。平均粒子径は粗粒子分からの累積質量が50%に相当する点での粒子径で示した。
ピロリン酸ソーダの0.1%液中に顔料を超音波で5分間分散処理し、X線透過式粒度分布測定装置(機種名:セディグラフ5100、マイクロメリティクス社製)を用いて沈降法により測定した。平均粒子径は粗粒子分からの累積質量が50%に相当する点での粒子径で示した。
(pH測定方法)
ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型、アズワン製)を使用し、サチンホワイトを含有する組成物の分散液中に直接pH電極を浸漬させてサチンホワイトpHを測定した。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行なった。
ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型、アズワン製)を使用し、サチンホワイトを含有する組成物の分散液中に直接pH電極を浸漬させてサチンホワイトpHを測定した。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行なった。
実施例1
・サチンホワイトの調製
(1)水酸化カルシウム懸濁液に対する第1段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記の6%水酸化カルシウム懸濁液を300g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を185g/分(基準モル数の80%。なお、基準モル数等の計算方法は後述する。)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を14分間連続して行った。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をpH復元タンク(本発明にいう中間槽)に連続的に受け入れ30分間静置して、pH回復を行った。pH回復後の該混合組成物(以下、「第1組成物」という。)のpHは12.8であった。
・サチンホワイトの調製
(1)水酸化カルシウム懸濁液に対する第1段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記の6%水酸化カルシウム懸濁液を300g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を185g/分(基準モル数の80%。なお、基準モル数等の計算方法は後述する。)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を14分間連続して行った。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をpH復元タンク(本発明にいう中間槽)に連続的に受け入れ30分間静置して、pH回復を行った。pH回復後の該混合組成物(以下、「第1組成物」という。)のpHは12.8であった。
ここに基準モル数等の計算方法を簡単に説明しておく。水酸化カルシウム、硫酸アルミニウムの分子量は、それぞれ74.1、および342.16であり、6%水酸化カルシウム懸濁液300g/分は、固形分として18g/分で、そのモル数(単位時間に装入されるモル数)は18/74.1=0.243である。従って、水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数は、0.243×1/6=0.0405モル/分となる。一方、6%硫酸アルミニウム水溶液185g/分には、185g×6%=11.1g/分の硫酸アルミニウムが含まれており、これをモル数に換算すると11.1g/分×1/342.16=0.0324モル/分となる。従って、第1段目に添加する硫酸アルミニウム水溶液の、基準モル数に対する割合の計算は、(0.0324モル/分)/(0.0405モル/分)=80%と計算される。
(2)第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加
前記(1)と同様にして、9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記混合組成物(第1組成物)を485g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を35g/分(基準モル数の15%)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を12分間連続して行った。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をpH復元タンク(本発明にいう中間槽)に連続的に受け入れ30分間静置して、pH回復を行った。pH回復後の混合組成物(以下、「第2組成物」という。)のpHは12.4であった。
前記(1)と同様にして、9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記混合組成物(第1組成物)を485g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を35g/分(基準モル数の15%)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を12分間連続して行った。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をpH復元タンク(本発明にいう中間槽)に連続的に受け入れ30分間静置して、pH回復を行った。pH回復後の混合組成物(以下、「第2組成物」という。)のpHは12.4であった。
(3)第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加(反応終了)
前記(2)と同様にして、9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記混合組成物(第2組成物)を520g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を11g/分(基準モル数の5%)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を10分間連続して行った(反応終了)。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をクッションタンクに連続的に受け入れ、反応終了後の組成物(以下、「反応終了組成物」という。)を得た。反応終了組成物のpHは10.6であった。
前記(2)と同様にして、9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記混合組成物(第2組成物)を520g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を11g/分(基準モル数の5%)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を10分間連続して行った(反応終了)。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をクッションタンクに連続的に受け入れ、反応終了後の組成物(以下、「反応終了組成物」という。)を得た。反応終了組成物のpHは10.6であった。
水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)の計算方法について簡単に説明する。まず、最終的に用いた6%水酸化カルシウムは300g/分×10分間=3000gであり、それに含まれる固形分としては180gであり、Ca(OH)2モル数aとしては
2.43モルである。そして、複数段に分割添加した6%硫酸アルミニウムの総量は231g/分×10分間=2310gであり、それに含まれる固形分としては138.6gであり、Al2(SO4)3モル数bとしては0.405モルである。従って、モル比(Ca(OH)2/Al2(SO4)3=a/b)としては6.0となる。また、硫酸アルミニウムの総添加率としては、基準モル数の100%(=80%+15%+5%)であった。
2.43モルである。そして、複数段に分割添加した6%硫酸アルミニウムの総量は231g/分×10分間=2310gであり、それに含まれる固形分としては138.6gであり、Al2(SO4)3モル数bとしては0.405モルである。従って、モル比(Ca(OH)2/Al2(SO4)3=a/b)としては6.0となる。また、硫酸アルミニウムの総添加率としては、基準モル数の100%(=80%+15%+5%)であった。
反応終了後の組成物(反応終了組成物)をフィルタープレスで脱水することで固形分が約32〜34%の組成物とし、続いて固形分27%となるように該脱水組成物を水に再分散させた。その再分散の際、あらかじめ水にポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成化学社製)を組成物(該脱水組成物)の固形分対比で0.5部の量を添加しておき、さらに該分散剤の添加量を調整して、再分散した該組成物分散液が約10mPa・s程度の低粘度になるように調整した。平均粒子径は0.49μmであった。
・キャスト用塗被液の調製
カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製)65部、軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアントBr−15、白石工業社製)28部、上記サチンホワイト7部(固形分換算)、ポリアクリル酸ナトリウム0.5部をコーレス分散機を用いて水中に分散し、固形分濃度65%の顔料スラリーを調成した。このスラリーに、顔料100質量部に対して、消泡剤としてトリブチルフォスフェート0.5部、離型剤としてステアリン酸アンモニウム1.0部、接着剤としてアンモニアを用いて溶解した15%カゼイン水溶液8部(固形分)及び、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス18部(固形分)を加え、固形分濃度が50%のキャスト用塗被液を調製した。
カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製)65部、軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアントBr−15、白石工業社製)28部、上記サチンホワイト7部(固形分換算)、ポリアクリル酸ナトリウム0.5部をコーレス分散機を用いて水中に分散し、固形分濃度65%の顔料スラリーを調成した。このスラリーに、顔料100質量部に対して、消泡剤としてトリブチルフォスフェート0.5部、離型剤としてステアリン酸アンモニウム1.0部、接着剤としてアンモニアを用いて溶解した15%カゼイン水溶液8部(固形分)及び、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス18部(固形分)を加え、固形分濃度が50%のキャスト用塗被液を調製した。
・原紙の作成
酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたLBKP(CSF430ml)85%と、酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたNBKP(CSF450ml)15%とからなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121、奥多摩工業社製)を原紙灰分が10%となるように添加した後、パルプ固形分に対して硫酸アルミニウム0.5%、カチオン澱粉(商品名:エースK−100、王子コーンスターチ社製)0.5%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)0.1%、ポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン851、荒川化学社製)0.02%を順次添加し、紙料を調製した。得られた紙料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙し、さらにゲートロールサイズプレス装置で酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を両面で1.5g/m2(固形分)塗布・乾燥し、マシンカレンダーで平滑化処理を施して実量70g/m2の原紙を得た。
酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたLBKP(CSF430ml)85%と、酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたNBKP(CSF450ml)15%とからなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121、奥多摩工業社製)を原紙灰分が10%となるように添加した後、パルプ固形分に対して硫酸アルミニウム0.5%、カチオン澱粉(商品名:エースK−100、王子コーンスターチ社製)0.5%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)0.1%、ポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン851、荒川化学社製)0.02%を順次添加し、紙料を調製した。得られた紙料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙し、さらにゲートロールサイズプレス装置で酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を両面で1.5g/m2(固形分)塗布・乾燥し、マシンカレンダーで平滑化処理を施して実量70g/m2の原紙を得た。
・キャスト塗被紙の作成
上記原紙上にロールコーターを用いて、乾燥重量で20g/m2になるように上記塗被液を塗被し、次いで、ゲル化液(0.5%の蟻酸カルシウム水溶液)に接触させて塗被層をゲル化した。この塗被層を、表面温度98℃のキャストドラムに圧接、乾燥した後、ドラムから剥離することによってキャスト塗被紙を得た。
上記原紙上にロールコーターを用いて、乾燥重量で20g/m2になるように上記塗被液を塗被し、次いで、ゲル化液(0.5%の蟻酸カルシウム水溶液)に接触させて塗被層をゲル化した。この塗被層を、表面温度98℃のキャストドラムに圧接、乾燥した後、ドラムから剥離することによってキャスト塗被紙を得た。
実施例2
・サチンホワイトの調製
実施例1の第1段目の硫酸アルミニウム水溶液添加量を104g/分(基準モル数の45%)で添加し、また第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第1組成物)を404g/分、硫酸アルミニウム水溶液を81g/分(基準モル数の35%)で添加し、さらに第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第2組成物)を485g/分、硫酸アルミニウム水溶液を34g/分(基準モル数の15%)で添加して反応終了とした以外は、実施例1と同様にして反応終了後の組成物を得た。この時、第2段目、および第3段目の硫酸アルミニウム水溶液を添加する前の各混合組成物(第1組成物、第2組成物)のpH回復後のpHは、12.7、および12.5であった。また、反応終了後の組成物のpHは11.5であった。平均粒子径は0.44μmであった。
・サチンホワイトの調製
実施例1の第1段目の硫酸アルミニウム水溶液添加量を104g/分(基準モル数の45%)で添加し、また第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第1組成物)を404g/分、硫酸アルミニウム水溶液を81g/分(基準モル数の35%)で添加し、さらに第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第2組成物)を485g/分、硫酸アルミニウム水溶液を34g/分(基準モル数の15%)で添加して反応終了とした以外は、実施例1と同様にして反応終了後の組成物を得た。この時、第2段目、および第3段目の硫酸アルミニウム水溶液を添加する前の各混合組成物(第1組成物、第2組成物)のpH回復後のpHは、12.7、および12.5であった。また、反応終了後の組成物のpHは11.5であった。平均粒子径は0.44μmであった。
なお、最終的に用いた6%水酸化カルシウムは300g/分×10分間=3000gであり、それに含まれる固形分としては180gであり、Ca(OH)2モル数aとしては2.43モルである。そして、複数段に分割添加した6%硫酸アルミニウムの総量は219g/分×10分間=2190gであり、それに含まれる固形分としては131.4gであり、Al2(SO4)3モル数bとしては0.38モルである。従って、モル比(Ca(OH)2/Al2(SO4)3=a/b)としては6.4となる。また、硫酸アルミニウムの総添加率としては、基準モル数の95%であった。
・キャスト用塗被液の調製およびキャスト塗被紙の作成
実施例1のキャスト用塗被液の調製において、上記サチンホワイトを使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例1のキャスト用塗被液の調製において、上記サチンホワイトを使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例3
・サチンホワイトの調製
実施例1の第1段目の硫酸アルミニウム水溶液添加量を58g/分(基準モル数の25%)で添加し、また第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第1組成物)を358g/分、硫酸アルミニウム水溶液を162g/分(基準モル数の70%)で添加し、さらに第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第2組成物)を520g/分、硫酸アルミニウム水溶液を11g/分(基準モル数の5%)で添加して反応終了とした以外は、実施例1と同様にして反応終了後の組成物を得た。この時、第2段目、および第3段目の硫酸アルミニウム水溶液を添加する前の各混合組成物(第1組成物、第2組成物)のpH回復後のpHは、12.8、および12.4であった。また、反応終了後の組成物のpHは9.7であった。平均粒子径は0.46μmであった。
・サチンホワイトの調製
実施例1の第1段目の硫酸アルミニウム水溶液添加量を58g/分(基準モル数の25%)で添加し、また第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第1組成物)を358g/分、硫酸アルミニウム水溶液を162g/分(基準モル数の70%)で添加し、さらに第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第2組成物)を520g/分、硫酸アルミニウム水溶液を11g/分(基準モル数の5%)で添加して反応終了とした以外は、実施例1と同様にして反応終了後の組成物を得た。この時、第2段目、および第3段目の硫酸アルミニウム水溶液を添加する前の各混合組成物(第1組成物、第2組成物)のpH回復後のpHは、12.8、および12.4であった。また、反応終了後の組成物のpHは9.7であった。平均粒子径は0.46μmであった。
なお、最終的に用いた6%水酸化カルシウムは300g/分×10分間=3000gであり、それに含まれる固形分としては180gであり、Ca(OH)2モル数aとしては2.43モルである。そして、複数段に分割添加した6%硫酸アルミニウムの総量は231g/分×10分間=2310gであり、それに含まれる固形分としては138.6gであり、Al2(SO4)3モル数bとしては0.405モルである。従って、モル比(Ca(OH)2/Al2(SO4)3=a/b)としては6.0となる。また、硫酸アルミニウムの総添加率としては、基準モル数の100%であった。
・キャスト用塗被液の調製およびキャスト塗被紙の作成
実施例1において、上記サチンホワイトを使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例1において、上記サチンホワイトを使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例4
実施例1のキャスト塗被液の調製において、カオリンの配合部数を55部、軽質炭酸カルシウムの配合部数を42部、サチンホワイトの配合部数を3部に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例1のキャスト塗被液の調製において、カオリンの配合部数を55部、軽質炭酸カルシウムの配合部数を42部、サチンホワイトの配合部数を3部に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例5
実施例1のキャスト塗被液の調製において、カオリンの配合部数を70部、軽質炭酸カルシウムの配合部数を10部、サチンホワイトの配合部数を20部に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例1のキャスト塗被液の調製において、カオリンの配合部数を70部、軽質炭酸カルシウムの配合部数を10部、サチンホワイトの配合部数を20部に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
比較例1
・サチンホワイトの調製
実施例1の第1段目の硫酸アルミニウム水溶液添加量を104g/分(基準モル数の45%)で添加し、また第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第1組成物)を404g/分、硫酸アルミニウム水溶液を81g/分(基準モル数の35%)で添加し、さらに第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第2組成物)を485g/分、硫酸アルミニウム水溶液を11g/分(基準モル数の5%)で添加して反応終了とした以外は、実施例1と同様にして反応終了後の組成物を得た。この時、第2段目、および第3段目の硫酸アルミニウム水溶液を添加する前の各混合組成物(第1組成物、第2組成物)のpH回復後のpHは、12.8、および12.4であった。また、反応終了後の組成物のpHは12.5であった。平均粒子径は0.44μmであった。
・サチンホワイトの調製
実施例1の第1段目の硫酸アルミニウム水溶液添加量を104g/分(基準モル数の45%)で添加し、また第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第1組成物)を404g/分、硫酸アルミニウム水溶液を81g/分(基準モル数の35%)で添加し、さらに第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加において、混合組成物(第2組成物)を485g/分、硫酸アルミニウム水溶液を11g/分(基準モル数の5%)で添加して反応終了とした以外は、実施例1と同様にして反応終了後の組成物を得た。この時、第2段目、および第3段目の硫酸アルミニウム水溶液を添加する前の各混合組成物(第1組成物、第2組成物)のpH回復後のpHは、12.8、および12.4であった。また、反応終了後の組成物のpHは12.5であった。平均粒子径は0.44μmであった。
なお、最終的に用いた6%水酸化カルシウムは300g/分×10分間=3000gであり、それに含まれる固形分としては180gであり、Ca(OH)2モル数aとしては2.43モルである。そして、複数段に分割添加した6%硫酸アルミニウムの総量は196g/分×10分間=1960gであり、それに含まれる固形分としては117.6gであり、Al2(SO4)3モル数bとしては0.405モルである。従って、モル比(Ca(OH)2/Al2(SO4)3=a/b)としては7.1となる。また、硫酸アルミニウムの総添加率としては、基準モル数の85%であった。
・キャスト用塗被液の調製およびキャスト塗被紙の作成
実施例1のキャスト塗被液の調製において、上記サチンホワイトを使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例1のキャスト塗被液の調製において、上記サチンホワイトを使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
比較例2
実施例1のキャスト塗被液の調製において、市販のサチンホワイト(商品名:サチンホワイトBL、白石工業社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。なお、使用したサチンホワイトのpHは12.5、平均粒子径は0.49μmであった。
実施例1のキャスト塗被液の調製において、市販のサチンホワイト(商品名:サチンホワイトBL、白石工業社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。なお、使用したサチンホワイトのpHは12.5、平均粒子径は0.49μmであった。
比較例3
実施例1のキャスト塗被液の調製において、サチンホワイトを重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
実施例1のキャスト塗被液の調製において、サチンホワイトを重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。
各実施例及び比較例で得られたキャスト塗被紙を、下記の方法で評価し、その結果を表1に示した。
・白紙光沢度
キャスト塗被紙のキャスト塗被層面をTAPPI試験法:T 480 om−92(TAPPI Test Method T 480 om−92)に準じて、光沢度計(型式:GM−26D、村上色彩技術研究所社製)を使用して測定した。
キャスト塗被紙のキャスト塗被層面をTAPPI試験法:T 480 om−92(TAPPI Test Method T 480 om−92)に準じて、光沢度計(型式:GM−26D、村上色彩技術研究所社製)を使用して測定した。
・光沢ムラ
キャスト塗被紙表面の光沢ムラを以下の基準に従って、目視で評価した。
◎:光沢ムラが見られない。
○:光沢ムラが僅かにみられるが、実用上問題無い。
△:光沢ムラが見られ、実用上問題がある。
×:光沢ムラが多く見られる。
キャスト塗被紙表面の光沢ムラを以下の基準に従って、目視で評価した。
◎:光沢ムラが見られない。
○:光沢ムラが僅かにみられるが、実用上問題無い。
△:光沢ムラが見られ、実用上問題がある。
×:光沢ムラが多く見られる。
・キャストドラム表面の汚れ
連続的に5000mキャスト塗被紙を生産した後のキャストドラム表面を目視で観察し、ドラム表面の汚れを評価した。
○:ドラム表面に汚れはなく、さらに連続操業が可能である。
△:ドラム表面に白く薄い汚れが若干付着しているが、もう少し連続操業は可能である。
×:ドラム表面に汚れが多く、操業を停止してドラム表面を拭き直す必要がある。
連続的に5000mキャスト塗被紙を生産した後のキャストドラム表面を目視で観察し、ドラム表面の汚れを評価した。
○:ドラム表面に汚れはなく、さらに連続操業が可能である。
△:ドラム表面に白く薄い汚れが若干付着しているが、もう少し連続操業は可能である。
×:ドラム表面に汚れが多く、操業を停止してドラム表面を拭き直す必要がある。
・生産速度
キャスト塗被紙を作成するのにあたり、ドラムピックが発生せず、安定して操業することができる速度(m/分)を示した。
キャスト塗被紙を作成するのにあたり、ドラムピックが発生せず、安定して操業することができる速度(m/分)を示した。
Claims (10)
- 原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗被液を塗被して塗被層を設け、該塗被層にゲル化剤を付与して塗被層をゲル化した後、該塗被層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接して、強光沢仕上げするキャスト塗被紙において、前記塗被層中に、pH12.0未満であるトリスルホアルミン酸カルシウムを含有することを特徴とするキャスト塗被紙。
- 前記トリスルホアルミン酸カルシウムのpHが8.5以上11.0以下である請求項1に記載のキャスト塗被紙。
- 前記トリスルホアルミン酸カルシウムの平均粒子径が0.1〜1.5μmである、請求項1または2に記載のキャスト塗被紙。
- 前記トリスルホアルミン酸カルシウムが塗被層中の全顔料中、2〜30質量%含有された請求項1から3のいずれか一項に記載のキャスト塗被紙。
- 前記トリスルホアルミン酸カルシウムが、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液とを反応させて製造されたものであって、(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を複数段添加するものであり、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の複数段の添加のうち少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行なわれるものである、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャスト塗被紙。
- 前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加の直前の添加から所定時間が経過した後に行なわれるものである、請求項5に記載のキャスト塗被紙。
- 前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上で行なわれるものである、請求項5または6に記載のキャスト塗被紙。
- (A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)が、5.5〜7.0である、請求項5から7のいずれか一項に記載のキャスト塗被紙。
- 前記複数段の添加のうち1段目の添加である第1回添加において、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数の85%以下のモル数である(B)硫酸アルミニウム水溶液を添加し、前記複数段の添加のうち2段目の添加である第2回添加と該第1回添加との(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数が、該基準モル数の98%以下のモル数である、請求項5から8のいずれか一項に記載のキャスト塗被紙。
- (A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12質量%以下である、請求項5から9のいずれか一項に記載のキャスト塗被紙。
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