JP2007039794A - 硬磁性合金のナノ粒子の製造方法およびナノコンポジット磁石の製造方法 - Google Patents

硬磁性合金のナノ粒子の製造方法およびナノコンポジット磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬磁性材料のナノ粒子を製造する方法を提供し、更に、それにより得られた硬磁性材料のナノ粒子と軟磁性のナノ粒子とを複合してナノコンポジット磁石を製造する方法を提供する。
【解決手段】硬磁性合金の構成成分のうちの1種以上の成分が不足する組成の合金前駆体のナノ粒子に、該不足成分を付与して硬磁性合金のナノ粒子とすることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。硬磁性合金のナノ粒子と軟磁性金属または合金のナノ粒子とが均一に混合して成るナノコンポジット磁石の製造方法であって、上記の硬磁性合金のナノ粒子の製造方法を用いて硬磁性合金のナノ粒子を製造する工程、および上記硬磁性合金のナノ粒子と軟磁性金属または合金のナノ粒子とを混合し、加圧成形し、焼結することによりナノコンポジット磁石とする工程を含むことを特徴とするナノコンポジット磁石の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬磁性合金のナノ粒子の製造方法および硬磁性ナノ粒子と軟磁性ナノ粒子とを複合したナノコンポジット磁石の製造方法に関する。
硬磁性材料と軟磁性材料をそれぞれ特徴付ける性質は保磁力と最大磁化である。すなわち両者の対比において、硬磁性材料は保磁力が大きく永久磁石として高性能を発揮するが最大磁束密度(最大磁化)は小さいのに対して、軟磁性材料は保磁力が小さく最大磁束密度が大きいため低鉄損のトランス鉄心等として高性能を発揮する。
永久磁石用の材料としては、保磁力と最大磁束密度が共に大きいほど、すなわち減磁曲線における最大エネルギー積(BHmax)が大きいほど、強力な磁力を安定して維持できる優れた磁石材料と言える。
硬磁性相と軟磁性相とをナノスケール(数十nm以下)で微細に混在させると、両者の長所を併せ持つ優れた性能の磁石が得られることが期待される。
特許文献1には、(Fe,Co)−Cr−B−R(R=Pr,Nd)系または(Fe,Co)−Cr−B−R−M(M=Al,Si,S,Ni,Cu,Zn,Ga,Ag,Pt,Au,Pb)系の合金溶湯を超急冷してアモルファス組織またはアモルファス組織+微細結晶組織とし、これに結晶化熱処理を施すことにより、α−鉄および鉄を主成分とする強磁性合金からなる軟磁性相とNdFe14B型結晶構造を有する硬磁性相とが相互に分散して共存し、各構成相の平均結晶粒径が1nm〜30nmの範囲にある微細結晶集合体からなる鉄基永久磁石とし、これを平均粉末粒径3μm〜500μmに粉砕した鉄基永久磁石合金粉末を樹脂にて結合することにより安価な(Fe,Co)−Cr−B−R系または(Fe,Co)−Cr−B−R−M系のボンド磁石を製造する方法が提案されている。
しかし上記提案の方法で得られるのは、平均結晶粒径が1nm〜30nmである中間生成物としての鉄基永久磁石であって、粉砕して得られる鉄基永久磁石合金粉末は平均粉末粒径3μm〜500μmであり、ナノスケールの粉末は得られない。
特許文献2には、平均結晶粒径が10〜200nmのNdFe14B合金と平均結晶粒径が1〜100nmの強磁性鉄基硼化物とのナノコンポジット磁石が記載されているが、この場合も各構成相の結晶粒径がナノスケールではあっても各構成相自体のサイズは100〜300μmとナノスケールではない。
特許文献3には、平均粒径が約50nmのNdFe14B超急冷アトマイズ粉に非磁性金属を被覆することが示されている。超急冷アトマイズ法で得られた粉末粒子は平均粒径が50nmであっても粒径分布が広く、全体として粒径が揃ったナノ粒子は得られない。
このように従来のNd−Fe−B系磁石材料では、構成する粒子の粒径がミクロンオーダーであるため、磁石としての性能が期待ほどには向上しなかった。粒径数nm〜数十nmの粒子の硬磁性相と軟磁性相とが複合した組織から成るナノコンポジット磁石が実現すれば、小型・高性能磁石が実現する。
ナノコンポジット磁石の開発を目指して、上記特許文献を含めて、メカニカルアロイング法などの固相反応法やメルトスピン法などの急冷凝固法が検討されているが、期待されるほどの性能が得られていない。例えば最大エネルギー積(BHmax)が、バルク材料の従来値が35MGOeであるのに対して、ナノコンポジット磁石の性能理論値は88MGOeであるが、実績値はこれに遥かに及ばない。
また、金属錯体を出発材料として、液相からのナノ粒子合成技術が期待されているが、これまでFePt合金、FePd合金といった限られた系でナノ粒子が得られているのみであり、Nd−Fe−B系ではナノ粒子が得られていない。
これまで、Nd−Fe−B系のナノ粒子が製造できなかったのは、下記の理由による。
(1)Nd有機錯体の活性が高く、FePt系のようなナノ粒子合成プロセスが確立していない。
(2)ナノ粒子合成プロセスでは、適当な試薬が無いため、Nd−Fe系へのB添加が困難である。
更に、高性能の硬磁性合金としてSm−Fe−N系のナノ粒子を用いることも考えられるが、Sm−Fe−N系のナノ粒子と同様の理由によりSm−Fe−N系のナノ粒子もこれまでに得られていない。
このように従来は、実質的にナノスケールの微細相として硬磁性相が得られないため、硬磁性ナノ粒子と軟磁性ナノ粒子とを複合したナノコンポジット磁石を製造することができなかった。
特開平8−203714号公報 特開2003−328014号公報 特開2002−8914号公報
本発明は、硬磁性材料のナノ粒子を製造する方法を提供することを第一の目的とし、更に、上記の方法により得られた硬磁性材料のナノ粒子と軟磁性のナノ粒子とを複合してナノコンポジット磁石を製造する方法を提供することを最終的な目的とする。
第一の目的を達成するために、第一発明によれば、硬磁性合金の構成成分のうちの1種以上の成分が不足する組成の合金前駆体のナノ粒子に、該不足成分を付与して硬磁性合金のナノ粒子とすることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法が提供される。
最終的な目的を達成するために、第二発明によれば、硬磁性合金のナノ粒子と軟磁性金属または合金のナノ粒子とが混合して成るナノコンポジット磁石の製造方法であって、
上記の硬磁性合金のナノ粒子の製造方法を用いて硬磁性合金のナノ粒子を製造する工程、および
上記硬磁性合金のナノ粒子と軟磁性金属または合金のナノ粒子とを混合し、加圧成形し、焼結することによりナノコンポジット磁石とする工程を含むことを特徴とするナノコンポジット磁石の製造方法が提供される。
従来は、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系等の三元合金組成の粒子を直接作製していたため、超急冷アトマイズ等によらざるを得ないため、ナノスケールで均一な粒径の硬磁性粒子を得ることができなかった。また、他のナノ粒子合成プロセスでは特にNd−Fe−B系、Sm−Fe−N系のナノ粒子を合成することができなかった。
これに対して第一発明によれば、硬磁性合金の構成成分のうちの1種以上の成分が不足する組成の合金前駆体を用い、これに不足成分を付与することにより所望の硬磁性合金組成を実現する。すなわち、Nd−Fe−B三元合金、Sm−Fe−N三元合金の粒子ではなく構成成分3種のうちの1種が不足する二元合金組成または2種が不足する単体金属組成の粒子に、不足する1種または2種の成分を付与することで最終的な三元合金組成の粒子を得る。したがって、出発材料は二元合金または単体金属の粒子であり、これらは従来から行なわれているナノ粒子合成プロセスにより微細且つ均一な粒径のナノ粒子を確実に製造できる。
この合金前駆体粒子に不足成分を付与する方法は特に限定する必要はなく、イオン注入、メカノケミカル処理、CVD、PVD(スパッタリング、レーザアブレーション、電子ビーム蒸着他)、ガスとの化合反応等を適宜用い、必要に応じて後処理として熱処理やメカノケミカル処理を行うことができる。ガスとの化合反応は合金前駆体粒子と不足成分のガスとの化合反応であり、一つの典型例としては、不足成分がNである場合に窒素ガス雰囲気中でのガス窒化が挙げられる。例えば、Sm−Fe合金のナノ粒子に窒素を付与してSm−Fe−N合金のナノ粒子粒子にするためのガス窒化がある。
このようにして、第一発明によりNd−Fe−B、Sm−Fe−N等の硬磁性多元合金の微細且つ均一な粒径のナノ粒子を確実に製造できる。
第二発明によれば、第一発明により得られた硬磁性多元合金のナノ粒子と軟磁性金属または合金のナノ粒子とを均一に混合し、加圧成形し、焼結することにより、最終的な狙いであるナノコンポジット磁石を製造することができる。混合、加圧成形、焼結は従来からの粉末冶金的なプロセスにより行なう。軟磁性金属または合金は典型的にはα−Fe粒子であり、これは従来のナノ粒子合成プロセスにより微細且つ均一な粒径のものを確実に製造できる。
本発明において、不足成分を付与する工程は、下記の2態様(A)(B)のいずれかで行なうことができる。
(A)合金前駆体ナノ粒子に不足成分をイオン注入またはメカノケミカル処理またはガスとの化合反応により付与し、その際の条件の選定により、個々のナノ粒子の体積全域を最終的な硬磁性合金の組成とする。
(B)下記の2段階(1)(2)を順次行なう。
(1)合金前駆体のナノ粒子の表面に不足成分から成る皮膜を形成するかまたは不足成分を付与する。
(2)熱処理および/またはメカノケミカル処理により上記皮膜または上記不足成分と上記合金前駆体とを反応させて、個々のナノ粒子の体積全域を均一に最終的な硬磁性合金の組成とする。
態様(B)の場合、段階(1)の皮膜の形成または不足成分の付与は、メカノケミカル処理、CVD処理、PVD処理および/またはガスとの化合反応により行なうことができる。PVD処理として、スパッタリング、レーザアブレーションおよび/または電子ビーム蒸着を用いることができる。
本発明によれば、硬磁性合金の構成成分の全種類について個々の単体金属から成るナノ粒子を用いてメカノケミカル処理することにより硬磁性合金のナノ粒子とすることもできる。これにより、硬磁性合金のナノ粒子を直接合成することができる。
本発明において典型的には硬磁性合金はNd−Fe−B合金、特にNd−Fe14−B合金あるいはSm−Fe−N合金、特にSm−Fe17−N合金である。
〔実施例1〕
本発明に従い、硬磁性合金としてのNd−Fe14−B合金のナノ粒子と、軟磁性金属としてのFeのナノ粒子とを複合させたナノコンポジット磁石を下記の手順で製造した。
<Feナノ粒子の製造>
ポリオールであるジ−n−オクチルエーテル(沸点:290℃)を溶媒とし、錯体である鉄(III)アセチルアセトナートを添加し、加熱溶解する。
還元剤である1,2−ヘキサデカンジオールを添加し、230℃まで昇温して30分保持する。
界面活性剤であるオレイルアミン、オレイン酸を添加してFeナノ粒子の分散安定性を保つ。
冷却後、遠心分離と溶液濾過によりFeナノ粒子を取り出す。
<Nd−Fe14−B合金ナノ粒子の製造>
(1) NdFe合金前駆体のナノ粒子の製造
ポリオールであるジ−n−オクチルエーテル(沸点:290℃)を溶媒とし、錯体である鉄(III)アセチルアセトナートおよびネオジウム(III)アセチルアセトナートを添加し、加熱溶解する。
還元剤である1,2−ヘキサデカンジオールを添加し、230℃まで昇温して30分保持する。
界面活性剤であるオレイルアミン、オレイン酸を添加してNdFeナノ粒子の分散安定性を保つ。
冷却後、遠心分離と溶液濾過によりNdFeナノ粒子を取り出す。
(2) NdFe合金前駆体のナノ粒子へのBの付与
上記で得られたNdFeナノ粒子をイオン注入装置のイオン注入室内に設置する。各ナノ粒子に均一にイオン注入ができるように、ナノ粒子に超音波振動等の振動を付与する。
ボロン源としてBFガスを用い、所望の加速電圧でBイオンを加速し、NdFeナノ粒子にイオン注入する。注入量はビーム電流と注入時間により任意の値に制御できる。
イオンエネルギーについては、ナノ粒子のサイズが数nm〜数十nmと小さいため、汎用イオン注入装置のレンジである数十keV〜200keVのエネルギー範囲で個々のナノ粒子の体積全域に注入することができる。
これにより、最終的な硬磁性合金組成のNd−Fe14−B合金ナノ粒子が得られる。
<Feナノ粒子とNd−Fe14−B合金ナノ粒子との複合>
以上により得られたFeナノ粒子とNd−Fe14−B合金ナノ粒子を磁界中プレスにより方向を揃えて、所定の形状に圧縮成形する。
得られた成形体を焼結してFe/Nd−Fe14−B焼結複合体を得る。
これを磁石素材として、磁気特性を高めるために熱処理を行う。
以上により、Fe/Nd−Fe14−Bナノコンポジット磁石が得られる。
<磁気特性の評価>
図1に、上記で製造した本発明のFe/Nd−Fe14−Bナノコンポジット磁石の最大エネルギー積(BHmax)および最大磁束密度のシミュレーション計算値を、従来の単相Nd−Fe14−B磁石の実測値と対比して示す。
図示したように、従来のNd−Fe14−B単相硬磁性磁石に比べて本発明のFe/Nd−Fe14−Bナノコンポジット磁石は最大エネルギー積(BHmax)および最大磁束密度がいずれも優れている。特に、本発明のナノコンポジット磁石の最大エネルギー積(BHmax)値は62MGOeであり、これは従来の単相硬磁性磁石の50MGOeに比べて20%以上も高い値が得られている。
<シミュレーション方法の説明>
シミュレーションにおいて数値計算には下記の式を用いた。
LLG型磁気スピン動力学方程式(LLG:ランダウ−リフシッツ−ギルバード)
dM(r)/dt=−γ[M(r)×Heff(r)]+(α/Msat)(M(r)×dM(r)/dt)
自由エネルギー汎関数微分形式の有効磁場方程式
Heff=−δf(r)/δM(r)=Heff−2Kanis(M(r)n)n−2▽(A▽M(r))+Hd(r)
容易磁化方位の空間分布の計算への付与
fd(θ)=(1/(2πσ)1/2)exp(−θ/2σ)
ただし、σ:標準偏差、n=(cosθcosφ,cosθsinφ,sinθ)[φは任意]である。
また、各係数は表1の値を用いた。
Figure 2007039794
単相のNd−Fe14−B磁石について、本シミュレーション計算値と実測値は下記のとおりであった。
計算値:(BHmax)=58.3 MGOe
実測値:(BHmax)=57.8 MGOe
このように計算値と実測値は非常に良く一致しており、本シミュレーション方法の妥当性が検証された。
上記の結果は単相磁石についてのものであるが、同じシミュレーション方法を複数相が共存するナノコンポジット磁石についても適用できる。
すなわち、磁性体において磁気的自由エネルギーに対して局所平衡理論を適用することにより、空間に対して不均質な組織でも磁気特性の評価が可能になる。このとき、磁性相の配置に応じた内在的磁気特性値を空間に対して配置することにより、複数の磁性相を包含した磁性体に関しても磁気特性の計算を行なうことができる。計算において、連続体モデルを離散化する際に定義する体積素片の大きさをナノオーダーで定義していれば、ナノオーダーの複合組織を適切に与えてやることにより、ナノコンポジット磁石の性能も予測できる。このとき、磁気スピンの緩和を既述する動力学的方程式には、上述したようにLLG(ランダウ−リフシッツ−ギルバード)方程式を用いた。
上記の実施例においては、NdFeナノ粒子を特定の液相法により製造したが、特にこれに限定する必要はなく、従来から行なわれている、CVD、スパッタリング、レーザアブレーション等の気相法や、化学反応沈殿法、逆ミセル法等の他の液相法によっても製造することができる。
上記の実施例においては、NdFeナノ粒子にBをイオン注入したが、Nd−Fe14−B合金の構成成分であるNd、Fe、Bのうちの1種または2種から成るナノ粒子に残りの2種または1種をイオン注入することもできる。全ての組合せを表2に示す。
Figure 2007039794
表2において、「合金前駆体の形態」の欄で「ナノ粒子1種類」の場合は、2元合金のナノ粒子に残りの1成分をイオン注入することによりNd−Fe14−B3元合金とする形態と、単体金属のナノ粒子に残りの2成分をイオン注入することによりNd−Fe14−B3元合金とする形態がある。ただし、イオン注入が合金前駆体ナノ粒子の体積全域に行なわれない場合には、後処理として熱処理やメカノケミカル処理を行って、個々のナノ粒子の体積全域に渡って均一にNd−Fe14−B3元組成とする必要がある。
「合金前駆体の形態」の欄で「ナノ粒子2種類」の場合は、異なる単体金属から成る2種類のナノ粒子(例としてNd粒子とFe粒子)に残りの1成分(B)をそれぞれイオン注入して2元合金から成る2種類のナノ粒子(NdB粒子とFeB粒子)を得る。その後、熱処理やメカノケミカル処理により2種類のナノ粒子を反応させることにより、てNd−Fe14−B3元合金とする。したがって、この場合には後処理としての熱処理やメカノケミカル処理を常に行なう必要がある。
上記のイオン注入に代えてメカノケミカル処理を用いて同様に不足成分を付与することができる。その場合、不足成分の付与がナノ粒子の体積全域に渡って行なわれない場合(表面部に不足成分が付与される場合)には、後処理として熱処理を行うこともできる。この場合の合金前駆体の形態と付与する不足成分との組合せは、表2のナノ粒子の組成(合金前駆体)と注入イオン種との組合せと同様に種々の形態が可能である。
メカノケミカル処理は、高速回転するローター、ステーター、循環回路から成る混合粉砕機を用いて行なう。
以上の実施例おいては、イオン注入により合金前駆体ナノ粒子に不足成分を付与したが、合金前駆体ナノ粒子に不足成分の皮膜を形成した後に、上記と同様に後処理として熱処理やメカノケミカル処理を施すことによっても、Nd−Fe14−B3元組成のナノ粒子を得ることができる。この皮膜形成には、CVDやPVD(スパッタリング、レーザアブレーション、電子ビーム蒸着等)を用いることができる。この場合の合金前駆体の形態と付与する不足成分との組合せは、表2のナノ粒子の組成(合金前駆体)と注入イオン種との組合せと同様に種々の形態が可能である。3元組成は上記に限定する必要はなく、被覆率を変えることで3元組成を種々に制御することができる。
〔実施例2〕
本発明に従い、硬磁性合金としてのSm−Fe17−N合金のナノ粒子と、軟磁性金属としてのFeのナノ粒子とを複合させたナノコンポジット磁石を下記の手順で製造した。本実施例においては、Sm−Fe17−N合金のナノ粒子は、Sm錯体とFe錯体との液相合成により得られたSmFeナノ粒子を窒化して製造した。
<Feナノ粒子の製造>
実施例1と同様にしてFeナノ粒子を製造した。
<Sm−Fe17−N合金ナノ粒子の製造>
(1) SmFe合金前駆体のナノ粒子の製造
高分子配位子により配位されたSm錯体(サマリウムアセチルアセトナート)およびFe錯体(鉄アセチルアセトナート)の還元により合成する。還元剤はヘキサデカンジオール、NaBHなどが利用できる。本実施例での具体的な手順は下記のとおりであった。
ポリオールであるジ−n−オクチルエーテル(沸点:290℃)を溶媒とし、Sm錯体(サマリウムアセチルアセトナート)およびFe錯体(鉄アセチルアセトナート)を添加し、加熱溶解する。
還元剤である1,2−ヘキサデカンジオールを添加し、230℃まで昇温して30分保持する。
界面活性剤であるオレイルアミン、オレイン酸を添加してSmFeナノ粒子の分散安定性を保つ。
冷却後、遠心分離と溶液濾過によりSmFeナノ粒子を取り出す。
(2) SmFe合金前駆体のナノ粒子へのNの付与
上記で得られたSmFeナノ粒子を真空チャンバ内に設置し、真空度10−6Torr程度で窒素ガスを供給し、フィラメントからの熱電子により窒素プラズマを生成させ、SmFeナノ粒子を窒化した。このとき、個々のナノ粒子の体積全域に亘って均一に窒化するために、試料ホルダーに加振(攪拌)機構を設けてもよい。
これにより、最終的な硬磁性合金組成のSm−Fe17−N合金ナノ粒子が得られる。
<Feナノ粒子とSm−Fe17−N合金ナノ粒子との複合>
以上により得られたFeナノ粒子とSm−Fe17−N合金ナノ粒子を磁界中プレスにより方向を揃えて、所定の形状に圧縮成形する。
得られた成形体を焼結してFe/Sm−Fe17−N焼結複合体を得る。
これを磁石素材として、磁気特性を高めるために熱処理を行う。
以上により、Fe/Sm−Fe17−Nナノコンポジット磁石が得られる。
〔実施例3〕
本発明に従い、硬磁性合金としてのSm−Fe17−N合金のナノ粒子と、軟磁性金属としてのFeのナノ粒子とを複合させたナノコンポジット磁石を下記の手順で製造した。本実施例においては、Sm−Fe17−N合金のナノ粒子は、Sm錯体とFe錯体との液相合成により得られたSmFeナノ粒子に窒素イオン注入して製造した。
<Feナノ粒子の製造>
実施例1と同様にしてFeナノ粒子を製造した。
<Sm−Fe17−N合金ナノ粒子の製造>
(1) SmFe合金前駆体のナノ粒子の製造
実施例2と同様にしてSmFeナノ粒子を製造した。
(2) SmFe合金前駆体のナノ粒子へのNの付与
上記で得られたSmFeナノ粒子をイオン注入装置のイオン注入室内に設置する。個々のナノ粒子の体積全域に均一にイオン注入できるように、ナノ粒子に超音波振動等の振動を付与する。
窒素源としてNガスを用い、所望の加速電圧でNイオンを加速し、SmFeナノ粒子にイオン注入する。イオンエネルギーについては、ナノ粒子のサイズが数nm〜数十nmと小さいため、汎用イオン注入装置のレンジである数十keV〜200keVのエネルギー範囲で個々のナノ粒子の体積全域に注入することができる。ドーズ量はビーム電流と注入時間により任意の値に制御可能であり、予め調べたSm−Fe−N組成と磁石性能との関係に基づいて最適なドーズ量でイオン注入する。
これにより、最終的な硬磁性合金組成のSm−Fe17−N合金ナノ粒子が得られる。
<Feナノ粒子とSm−Fe17−N合金ナノ粒子との複合>
実施例2と同様に、1)Feナノ粒子とSm−Fe17−N合金ナノ粒子を磁界中プレスにより方向を揃えて、所定の形状に圧縮成形し、2)得られた成形体を焼結してFe/Sm−Fe17−N焼結複合体とし、3)これを磁石素材として磁気特性を高めるために熱処理を行う工程1)2)3)により、Fe/Sm−Fe17−Nナノコンポジット磁石が得られる。
〔実施例4〕
本発明に従い、硬磁性合金としてのSm−Fe17−N合金のナノ粒子と、軟磁性金属としてのFeのナノ粒子とを複合させたナノコンポジット磁石を下記の手順で製造した。本実施例においては、Sm−Fe17−N合金のナノ粒子は、窒化鉄ナノ粒子にSmイオン注入して製造した。
<Feナノ粒子の製造>
実施例1と同様にしてFeナノ粒子を製造した。
<Sm−Fe17−N合金ナノ粒子の製造>
(1) FeN合金前駆体のナノ粒子の製造
従来法により、窒化鉄ナノ粒子を製造する。すなわち、鉄酸化物(γ−Fe、Fe)をアンモニア気流中で窒化物に変換する方法やプラズマCVD法、鉄カルボニルとアンモニアとの反応により窒化鉄微粒子コロイドを製造する方法などの公知技術を利用できる。
(2) FeN合金前駆体のナノ粒子へのNの付与
上記で得られたFeNナノ粒子をイオン注入装置のイオン注入室内に設置する。個々のナノ粒子の体積全域に均一にイオン注入できるように、ナノ粒子に超音波振動等の振動を付与する。
Sm源として固体サマリウムまたは塩化サマリウムを用い、所望の加速電圧でSmイオンを加速し、FeNナノ粒子にイオン注入する。イオンエネルギーについては、ナノ粒子のサイズが数nm〜数十nmと小さいため、汎用イオン注入装置のレンジである数十keV〜200keVのエネルギー範囲で個々のナノ粒子の体積全域に注入することができる。ドーズ量はビーム電流と注入時間により任意の値に制御可能であり、予め調べたSm−Fe−N組成と磁石性能との関係に基づいて最適なドーズ量でイオン注入する。
これにより、最終的な硬磁性合金組成のSm−Fe17−N合金ナノ粒子が得られる。
<Feナノ粒子とSm−Fe17−N合金ナノ粒子との複合>
実施例3と同様に、Feナノ粒子とSm−Fe17−N合金ナノ粒子を磁界中プレスにより方向を揃えて、所定の形状に圧縮成形し、得られた成形体を焼結してFe/Sm−Fe17−N焼結複合体とし、これを磁石素材として磁気特性を高めるために熱処理を行うことにより、Fe/Sm−Fe17−Nナノコンポジット磁石が得られる。
磁気特性の評価については、実施例1において図1に示したFe/Nd−Fe14−Bナノコンポジット磁石と同様の結果が得られた。その際のシミュレーション方法についても同様の説明が適用できる。
Sm−Fe17−Nナノ粒子の製造は、実施例2〜4で説明した窒化やイオン注入による方法以外にも、Fe/Nd−Fe14−Bナノ粒子について説明したのと同様なメカノケミカル処理によって行なうことができる。
本発明により製造された硬磁性ナノ粒子を樹脂バインダーとともにコンパウンドすることによりボンド磁石を製造することもできる。
本発明によれば、硬磁性材料のナノ粒子を製造する方法が提供され、更に、この方法により得られた硬磁性材料のナノ粒子と軟磁性のナノ粒子とを複合してナノコンポジット磁石を製造する方法が提供される。
図1は、本発明のFe/Nd−Fe14−Bナノコンポジット磁石の最大エネルギー積(BHmax)および最大磁束密度のシミュレーション計算値を、従来の単相Nd−Fe14−B磁石の実測値と対比して示すグラフである。Fe/Sm−Fe17−Nナノコンポジット磁石についても同様の関係が得られた。

Claims (11)

  1. 硬磁性合金の構成成分のうちの1種以上の成分が不足する組成の合金前駆体のナノ粒子に、該不足成分を付与して硬磁性合金のナノ粒子とすることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  2. 請求項1において、上記不足成分を付与する工程をイオン注入またはメカノケミカル処理またはガスとの化合反応により行い、個々のナノ粒子の体積全域を上記硬磁性合金の組成とすることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  3. 請求項1において、上記不足成分を付与する工程が下記の2段階:
    (1)上記合金前駆体のナノ粒子の表面に上記不足成分から成る皮膜を形成するかまたは不足成分を付与する段階、および
    (2)熱処理および/またはメカノケミカル処理により上記皮膜または上記不足成分と上記合金前駆体とを反応させて、個々のナノ粒子の体積全域を上記硬磁性合金の組成とする段階から成ることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  4. 請求項3において、上記不足成分から成る皮膜を形成するかまたは不足成分を付与する段階を、メカノケミカル処理、CVD処理、PVD処理および/またはガスとの化合反応により行なうことを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  5. 請求項4において、上記PVD処理として、スパッタリング、レーザアブレーションおよび/または電子ビーム蒸着を行なうことを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項において、上記硬磁性合金がNd−Fe−B合金であることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  7. 請求項6において、上記Nd−Fe−B合金がNd−Fe14−B合金であることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  8. 請求項1から5までのいずれか1項において、上記硬磁性合金がSm−Fe−N合金であることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  9. 請求項8において、上記Sm−Fe−N合金がSm−Fe17−N合金であることを特徴とする硬磁性合金のナノ粒子の製造方法。
  10. 硬磁性合金のナノ粒子と軟磁性金属または合金のナノ粒子とが均一に混合して成るナノコンポジット磁石の製造方法であって、
    請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方法を用いて硬磁性合金のナノ粒子を製造する工程、および
    上記硬磁性合金のナノ粒子と軟磁性金属または合金のナノ粒子とを混合し、加圧成形し、焼結することによりナノコンポジット磁石とする工程を含むことを特徴とするナノコンポジット磁石の製造方法。
  11. 請求項10において、上記軟磁性金属または合金のナノ粒子がFeまたはFe基合金のナノ粒子であることを特徴とするナノコンポジット磁石の製造方法。
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