JP2007039624A - 繊維補強耐熱ゴム製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強繊維の強度、耐熱性、ゴムとの接着性、化学的安定性等、特に耐熱性及びゴムとの接着性に著しく優れ、高温加硫条件や高温環境下での使用においても劣化することなく、高い強度を維持し得る繊維補強耐熱ゴム製品を提供する。
【解決手段】ポリケトン繊維で補強されてなる繊維補強耐熱ゴム製品。ポリケトン繊維は、その分子構造上、耐熱性に著しく優れ、且つゴム中の成分、酸素、水分、油類、薬品類に対しても安定であると共に、ゴムとの接着性にも優れている。このため、EPDMなどの硫黄架橋以外の耐熱ゴムに対しても、優れた接着性が得られる。また、その優れた耐熱性から、高温で加硫しても劣化せず、且つゴムとの接着性も十分に確保することができることから、加硫時間短縮による生産性の向上とゴム物性の確保の両立が可能となる。

Description

本発明は、ホース、ベルト、自動車部品などの高温環境下で使用される繊維補強耐熱ゴム製品に係り、特に補強繊維の強度、耐熱性、ゴムとの接着性、化学的安定性に優れるため、高温加硫条件や高温環境下での使用においても劣化することなく、長期に亘り、優れた繊維補強効果で高い強度を維持し得る繊維補強耐熱ゴム製品に関する。
従来、ゴム本体内に補強繊維を埋設することにより、弾性等のゴム本来の特性を維持した上で、補強繊維による機械的強度の向上を図った繊維補強ゴム製品が、幅広い分野で使用されている。
このような繊維補強ゴム製品は、未加硫ゴム材料内に補強繊維を埋設した状態で加硫し、ゴムを硬化させると共に、ゴムと繊維とを接着させることにより製造されている。
繊維補強ゴム製品のうち、常温付近で使用されるものにおいては、ゴム成分として、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の汎用のジエン系ゴムが用いられる。
一方、高温用途にあっては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)等の耐熱性に優れた特殊ゴムが使用され、これらの特殊ゴムは、一般に硫黄ではなく、有機過酸化物、樹脂、アミン類を加硫剤として用いて加硫(架橋)成形される。また、要求される耐熱性によっては、上述の汎用ジエン系ゴムの有効加硫(低硫黄量、高加硫促進剤量による加硫であり、EV加硫とも称される。)、或いはN,N’−m−フェニレンジマレイミド等の有機加硫剤による加硫ゴムも用いられる。これらの高温用途のゴムは架橋形態が汎用の硫黄加硫による場合と異なるため、補強繊維との接着性の確保が難しい。
一方、繊維補強ゴム製品に用いられる補強繊維には、補強のための十分な機械的強度、剛性、弾性率、耐疲労性に加えて、ゴムとの接着性が要求される。更に、高温環境下で使用される繊維補強ゴム製品の補強繊維にあっては、使用環境温度における高い耐熱性が要求されると共に、高温下での剛性、弾性率、強度、耐疲労性に加えて、高熱ゴム中の成分、酸素、水分、薬品類、油類に対する安定性(耐劣化性、耐久性)も要求される。
また、前述の耐熱ゴム配合においては、ゴムの弾性等の物性を確保するために、170℃以上の高温で加硫を行うことが望ましいが、補強繊維の耐熱性が十分でない場合には、加硫成形時の補強繊維の熱劣化を防止するために加硫温度を低くする必要がある。この場合には、加硫時間を延長することによる、生産性の低下のみならず、低温加硫のために架橋が十分でなく、ゴム物性の低下を引き起こす。このため、製品としての用途においてだけでなく、加硫成形条件に適応するためにも、補強繊維の耐熱性は極めて重要な要件となる。
従来、繊維補強ゴム製品の補強繊維としては、一般に、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド繊維等が用いられているが、これらの補強繊維では、各々、次のような欠点があり、高温環境下で使用される繊維補強ゴム製品には不適当である。
(1) ナイロンはゴムとの接着に優れるが、耐熱性が劣る。
(2) PETは加水分解によって劣化するため耐熱用途には不向きで、且つゴムとの接着性が劣る。
(3) アラミドは耐熱性に優れるが、ゴムとの接着性の確保が難しい。
本発明は上記従来の問題点を解決し、補強繊維の機械的強度、耐熱性、ゴムとの接着性、化学的安定性等、特に耐熱性及びゴムとの接着性に著しく優れ、高温加硫条件や高温環境下での使用においても劣化することなく、長期に亘り、優れた繊維補強効果で高い強度を維持し得る繊維補強耐熱ゴム製品を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の繊維補強耐熱ゴム製品は、ポリケトン繊維で補強されてなることを特徴とする。
請求項2の繊維補強耐熱ゴム製品は、請求項1において、ポリケトン繊維が下記一般式(I)で表されるポリケトンの繊維であることを特徴とする。
Figure 2007039624
((I)式中、Rはエチレン性不飽和化合物由来の連結基であり、各繰り返し単位において、同一であっても異なっていても良い。)
請求項3の繊維補強耐熱ゴム製品は、請求項1又は2において、ゴム成分が、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、及び水素添加ニトリルゴムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を主成分とすることを特徴とする。
請求項4の繊維補強耐熱ゴム製品は、請求項1ないし3のいずれか1項において、加硫剤として有機過酸化物、樹脂及びアミンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いて加硫されてなることを特徴とする。
請求項5の繊維補強耐熱ゴム製品は、請求項1ないし4のいずれか1項において、165℃以上で加硫されてなることを特徴とする。
請求項6の繊維補強耐熱ゴム製品は、請求項1ないし5のいずれか1項において、加硫剤を含む未加硫ゴム材料とポリケトン繊維とを加圧下加熱加硫成形してなることを特徴とする。
請求項7の繊維補強耐熱ゴム製品は、請求項1ないし6のいずれか1項において、120℃以上の高温環境下で使用されることを特徴とする。
ポリケトン繊維は、その分子構造上、耐熱性に著しく優れ、且つゴム中の成分、酸素、水分、油類、薬品類に対しても安定であると共に、ゴムとの接着性にも優れている。このため、汎用ジエン系ゴムを有効加硫する場合や、有機加硫剤で加硫する場合はもとより、EPDM、EPM、IIR、ACM、AEM、HNBRなどの硫黄架橋以外の耐熱ゴムに対しても、優れた接着性が得られる。また、その優れた耐熱性から、高温で加硫しても劣化せず、且つゴムとの接着性も十分に確保することができることから、加硫時間短縮による生産性の向上とゴムとの接着性及びゴム物性の確保の両立が可能となる。
従って、本発明によれば、高温加硫条件や高温環境下での使用においても、長期に亘り劣化することなく、高い強度を維持し得る繊維補強耐熱ゴム製品が提供される。
本発明において、ポリケトン繊維としては、下記一般式(I)で表されるポリケトンの繊維が好ましい(請求項2)。
Figure 2007039624
((I)式中、Rはエチレン性不飽和化合物由来の連結基であり、各繰り返し単位において、同一であっても異なっていても良い。)
また、ゴム成分としては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)等の耐熱ゴムを主成分とすることが好ましく(請求項3)、これらは、加硫剤として有機過酸化物、樹脂、アミンを用いて加硫されたものであることが好ましい(請求項4)。
本発明によれば、165℃以上での高温加硫も可能であり(請求項5)、これにより加硫時間の短縮による生産性の向上、ゴム物性の向上を図ることができる。
本発明の繊維補強耐熱ゴム製品は、具体的には、加硫剤を含む未加硫ゴム材料とポリケトン繊維とを加圧下加熱加硫成形することにより製造され(請求項6)、120℃以上の高温環境下での用途に好適に使用される(請求項7)。
以下に本発明の繊維補強耐熱ゴム製品の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の繊維補強耐熱ゴム製品は、補強繊維としてポリケトン繊維を用いたものである。本発明で用いるポリケトン繊維は、好ましくは下記一般式(I)で表されるポリケトンを原料として製造される。
Figure 2007039624
((I)式中、Rはエチレン性不飽和化合物由来の連結基であり、各繰り返し単位において、同一であっても異なっていても良い。)
上記ポリケトンは、分子中にCO単位(カルボニル基)とエチレン性不飽和化合物由来の単位とが配列された交互共重合体、即ち、高分子鎖中で各CO単位の隣に、例えばエチレン単位等のオレフィン単位が一つずつ位置する構造である。このポリケトンは、一酸化炭素と特定のエチレン性不飽和化合物の1種との共重合体であってもよく、一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物の2種以上との共重合体であってもよい。
上記(I)中のRを形成するエチレン性不飽和化合物としては、エチレン,プロピレン,ブテン,ペンテン,ヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン等の不飽和炭化水素化合物、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,ウンデセン酸等の不飽和カルボン酸又はその誘導体、更にはウンデセノール,6−クロロヘキセン,N−ビニルピロリドン,及びスルニルホスホン酸のジエチルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、特にポリマーの力学特性や耐熱性等の点から、エチレン性不飽和化合物としてエチレンを主体とするものを用いたポリケトンが好ましい。
ポリケトンを構成するエチレン性不飽和化合物として、エチレンと他のエチレン性不飽和化合物とを併用する場合、エチレンは、全エチレン性不飽和化合物に対し、80モル%以上になるように用いるのが好ましい。この割合が80モル%未満では得られるポリマーの融点が200℃以下になり、得られるポリケトン繊維の耐熱性が不充分となる場合がある。ポリケトン繊維の力学特性や耐熱性の点から、エチレンの使用量は、特に全エチレン性不飽和化合物に対し90モル%以上が好ましい。前記のポリケトンは、公知の方法、例えばヨーロッパ特許公開第121965号,同第213671号,同第229408号及び米国特許第3914391号明細書に記載された方法に従って製造することができる。
上記ポリケトンの重合度は、m−クレゾール中、60℃で測定した溶液粘度が1.0〜10.0dL/gの範囲にあるのが好ましい。溶液粘度が1.0dL/g未満では、得られるポリケトン繊維の力学強度が不充分となる場合があり、ポリケトン繊維の力学強度の観点から、溶液粘度が1.2dL/g以上であるのが更に好ましい。一方、溶液粘度が10.0dL/gを超えると、繊維化時の溶融粘度や溶液粘度が高くなりすぎて紡糸性が不良となる場合があり、紡糸性の観点から、溶液粘度が5.0dL/g以下であるのが更に好ましい。繊維の力学強度及び紡糸性などを考慮すると、この溶液粘度は1.3〜4.0dL/gの範囲が特に好ましい。
上記ポリケトンの繊維化方法は、特に限定されないが、一般的には溶融紡糸法又は溶液紡糸法が採用される。溶融紡糸法を採用する場合には、例えば特開平1−124617号公報に記載の方法に従って、ポリマーを通常、融点より20℃以上高い温度、好ましくは融点より40℃程度高い温度で溶融紡糸し、次いで、通常、融点より10℃以下低い温度、好ましくは融点より40℃程度低い温度において、好ましくは3倍以上の延伸比で、更に好ましくは7倍以上の延伸比で延伸処理することにより、容易に所望の繊維を得ることができる。
一方、溶液紡糸法を採用する場合、例えば特開平2−112413号公報に記載の方法に従って、ポリマーを例えばヘキサフルオロイソプロパノール,m−クレゾール等に0.25〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n−ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴、好ましくはアセトン浴中で溶剤を除去、洗浄して紡糸原糸を得、更に(融点−100℃)〜(融点+10℃)、好ましくは(融点−50℃)〜(融点)の範囲の温度で延伸処理することにより、所望のフィラメントを得ることができる。また、このポリケトンには、熱,酸素等に対して十分な耐久性を付与する目的で酸化防止剤を加えることが好ましく、また必要に応じて艶消し剤,顔料,帯電防止剤等も配合することができる。
また、かかるポリケトン繊維を補強繊維として使用し、補強繊維使用量の低減(補強材の積層枚数の低減、コード打ち込み本数の低減、コード太さの細糸化等)により繊維補強ゴム製品の軽量化、省資源化、コスト低減、生産性向上等の目的を達成するためには、使用するポリケトン繊維の原糸強度が15g/d以上であることが好ましく、特に18g/d以上であることが好ましい。
更に、上記ポリケトン繊維の単糸繊度は、1.5デニール以下であるのが好ましい。単糸繊度が1.5デニールを超えると、曲げ変形時にフィラメントの表面歪が大きくなり、熱時衝撃後の強力や耐疲労性が低下する。
このようなポリケトン繊維は用途に応じた繊維本数、撚り数のコードに成形されて用いられる。
なお、本発明においては、補強繊維としてポリケトン繊維を用いることを必須とするが、ポリケトン繊維と、ナイロン、PET、アラミド等の他の補強繊維とを組み合わせて用いても良い。この場合、他の補強繊維とポリケトン繊維とを合わせてコードを成形しても良く、ポリケトン繊維コードと他の補強繊維コードとを用いても良い。
本発明の繊維補強耐熱ゴム製品を構成するゴム材料のゴム成分としては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)等の耐熱ゴムの1種又は2種以上を主成分とするものが好ましく用いられる。
ただし、これらの耐熱ゴムの1種又は2種以上と、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の汎用のジエン系ゴムの1種又は2種以上とのブレンドゴムであっても良く、また、加硫方法によっては、上記汎用ジエン系ゴムを主成分とするものであっても良い。
前述の耐熱ゴムを主成分とする場合にあっては、加硫剤として、有機過酸化物、樹脂、アミン類を用いて加硫することが好ましい。この有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−iso−プロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシ−iso−プロピルカルバメート等が挙げられる。また、樹脂としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。また、アミン類としては、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、N,N’−ジサイナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン等のジアミン、その他、安息香酸アンモニウム、トリアジン類、キノンジオキシム類等が挙げられる。
これらの硫黄以外の加硫剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
加硫剤の使用量は、最適な加硫ゴムの物性、耐熱性、加硫速度を得るために適正な範囲があり、その量はゴム種、加硫剤種によって異なるが、概ねゴム成分100重量部に対して1〜10重量部とすることが好ましい。
なお、加硫剤としては、上記有機過酸化物、樹脂、アミン類と共に硫黄を使用することも可能であるが、この場合、硫黄の使用量が多過ぎると耐熱性に優れたゴムを得ることができないことから、硫黄を併用する場合、その使用量はゴム成分100重量部に対して1重量部以下とすることが好ましい。
また、ゴム成分として、前述の汎用ジエン系ゴムを用いる場合には、低硫黄量、高加硫促進剤量、あるいはチウラム類、モルフォリン類、有機多硫化物類により有効加硫するか、N,N’−m−フェニレンジマレイミド等の有機加硫剤を用いた加硫を行うことが好ましい。
本発明の繊維補強耐熱ゴム製品は、通常、加硫剤を含む未加硫ゴム材料とポリケトン繊維とを金型内に配置して、加圧下加熱加硫成形することにより製造される。
この未加硫ゴム材料には、ゴム成分及び加硫剤の他、一般的にゴムの加硫成形に用いられるカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、クレー等の充填材、亜鉛華、その他の加硫促進剤、ステアリン酸等の脂肪酸、オイル老化防止剤が常法に従って配合される。
前述の如く、本発明で用いるポリケトン繊維は、耐熱性に著しく優れることから、165℃以上の高温加硫を行うことも可能である。例えば、165〜180℃の温度で加硫を行うことにより、通常の加硫条件(140〜160℃程度)での加硫の場合に比べて、加硫時間を1/2〜1/10程度に短縮することができ、その生産性を高めることができる。
このような本発明の繊維補強耐熱ゴム製品は、120℃、特に150℃以上の高温環境下に使用される繊維補強ゴム製品として有用であり、例えば、自動車用耐熱ホース等のホース、製鉄所用高耐熱ベルト等のベルト、空気バネ等の自動車部品用途に好適である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例及び比較例において、未加硫ゴム材料としては、下記組成のEPDMゴム材料と、AEMゴム材料を用いた。
(EPDMゴム材料)
EPDM:100重量部
FEFカーボン:50重量部
有機過酸化物(ジクミルパーオキサイド):5重量部
亜鉛華:5重量部
ステアリン酸:1重量部
パラフィン系オイル:10重量部
老化防止剤(TMDQ:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)
:2重量部
(AEMゴム材料)
AEM:100重量部
FEFカーボン:60重量部
ジアミン系加硫剤(ヘキサメチレンジアミンカルバメート):1.25重量部
加硫促進剤(DOTG(ジ−o−トリルグアニジン)):4重量部
ステアリン酸:2重量部
アミン系加工助剤(オクタドデシルアミン):0.5重量部
リン系加工助剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェイト):2重量部
アミン系老化防止剤(4,4−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン)
:2重量部
また、実施例1,2で用いたポリケトン繊維は、前記一般式(I)において、Rがエチレンで、m−クレゾール中、60℃で測定した溶液粘度が4.0dL/gを示す重合度のポリケトンを繊維化してなるものである。
実施例1、比較例1〜3
EPDMゴム材料よりなる未加硫ゴムシート(厚さ4mm)の上に、表1に示す補強繊維の撚りコードを置き、金型内でプレスして5MPaの加圧下、表1に示す温度で表1に示す時間加硫することにより一体化した。
各サンプルについて、下記の方法で接着性、加硫前後の補強繊維の強度保持率、圧縮永久歪の評価を行い、結果を表1に示した。なお、サンプルは同条件にて評価に必要な個数製造して各評価に供した。
[接着性]
加硫後の試料から補強繊維コードを50mm/minの速度でハギ取り、ゴム/補強繊維界面の剥離の有無、剥離面積割合を調べた。
[加硫前後の補強繊維の強度保持率]
加硫前の補強繊維のコード1本あたりの強度をJIS L1017に準じて測定し、加硫後、補強繊維を取り出し、再び同様にコード1本あたりの強度を測定し、加硫前の強度に対する加硫後の強度の百分率で示した。
[圧縮永久歪]
試験片の形状、試験方法はJIS K6262に準じて行ない、圧縮条件は150℃×70hrで実施し、比較例1の場合を100として相対値で示した。
Figure 2007039624
表1より明らかなように、66ナイロン繊維を用いた比較例1,2のうち、加硫温度の低い比較例1では、接着性も十分ではないが、長時間加硫によりゴム物性としての圧縮永久歪が劣る。また、加硫時間が長いことにより生産性が悪い。高温加硫を行った比較例2では、加硫前後の補強繊維の強度保持率が劣る。アラミド繊維を用いた比較例3では、ナイロン66に比べて加硫前後の補強繊維の強度保持率は良好であるが、ゴムとの接着性が劣る。これに対して、ポリケトン繊維を用いた実施例1では、高温加硫にて生産性を高めても、加硫による繊維の強度の低下の問題はなく、また、ゴムとの接着性も良好でゴム物性においても優れた物性を示す。
実施例2、比較例4〜6
AEMゴム材料よりなる未加硫ゴムシート(厚さ4mm)の上に、表2に示す補強繊維の撚りコードを置き、金型内でプレスして5MPaの加圧下、180℃で15分間加硫することにより一体化した。
各サンプルについて、下記の方法で接着性、老化後接着性、老化前後の補強繊維の強度保持率の評価を行い、結果を表2に示した。なお、サンプルは同条件で評価に必要な個数製造して各評価に供した。
[接着性]
加硫後の試料から補強繊維コードを50mm/minの速度でハギ取り、ゴム/補強繊維界面の剥離の有無、剥離面積割合を調べた。
[老化後接着性]
サンプルを150℃の温度条件に72時間放置した後、上記と同様にして接着性を評価した。
[老化前後の補強繊維の強度保持率]
加硫直後のサンプルから補強繊維を取り出してコード1本あたりの強度をJIS L1017に準じて測定し、サンプルを150℃の温度条件に72時間放置した後に補強繊維を取り出し、同様にコード1本あたりの強度を測定し、加硫直後の強度に対する老化後の強度の百分率で示した。
Figure 2007039624
表2より明らかなように、66ナイロン繊維を用いた比較例4では、接着性、老化前後の補強繊維の強度保持率が劣る。また、PET繊維を用いた比較例5では、接着性も老化前後の補強繊維の強度保持率が更に劣る。アラミド繊維を用いた比較例6では、老化前後の補強繊維の強度保持率に良好であるがゴムとの接着性に劣る。これに対して、ポリケトン繊維を用いた実施例2では、ゴムとの接着性も良好で老化後の繊維の強度低下の問題もない。

Claims (7)

  1. ポリケトン繊維で補強されてなることを特徴とする繊維補強耐熱ゴム製品。
  2. 請求項1において、ポリケトン繊維が下記一般式(I)で表されるポリケトンの繊維であることを特徴とする繊維補強耐熱ゴム製品。
    Figure 2007039624
    ((I)式中、Rはエチレン性不飽和化合物由来の連結基であり、各繰り返し単位において、同一であっても異なっていても良い。)
  3. 請求項1又は2において、ゴム成分が、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、及び水素添加ニトリルゴムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を主成分とすることを特徴とする繊維補強耐熱ゴム製品。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、加硫剤として有機過酸化物、樹脂及びアミンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いて加硫されてなることを特徴とする繊維補強耐熱ゴム製品。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、165℃以上で加硫されてなることを特徴とする繊維補強耐熱ゴム製品。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、加硫剤を含む未加硫ゴム材料とポリケトン繊維とを加圧下加熱加硫成形してなることを特徴とする繊維補強耐熱ゴム製品。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、120℃以上の高温環境下で使用されることを特徴とする繊維補強耐熱ゴム製品。
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