JP2007039566A - ガソリン組成物 - Google Patents

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Yasushi Akimoto
恭志 秋元
Tsutomu Uchiyama
勉 内山
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Abstract

【課題】 ベンゼン及び硫黄の含有量が少なく、排気ガス中に含まれる一酸化炭素や炭化水素を低減すると共に、排気ガス中に含まれる1,3−ブタジエンをも低減させることができ、さらには、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドをも低減させることのできるガソリン組成物を提供すること。
【解決手段】ガソリンを組成する成分、蒸留性状及び1,3−ブタジエンの排出指数を特定してなるガソリン組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガソリン組成物に関し、さらに詳しくは、排気ガス中に含まれる1,3−ブタジエンを低減させることができ、さらには、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドをも低減させることのできるガソリン組成物に関する。
自動車の排気ガスによる環境汚染が重大な社会問題とされて以来、これまでの運転性能の向上という課題をさらに追求すると共に、排気ガス中に含まれる有害物質を低減させた環境対応型ガソリンの開発が強力に進められ、種々の環境対応型ガソリンが提案され、上市されてきた。
このようなガソリンとしては、例えば、排気ガス中の硫黄酸化物(SOx)の増加を防止すると共に、有害物質を除去する三元触媒の活性を維持するために、ガソリン中の硫黄分を極度に低減させたガソリン、また、排気ガス中のベンゼンの発生を抑制するために、ガソリン中のベンゼンなどの芳香族成分を低減するなどによって環境汚染を生起するおそれの少ないガソリン、さらに、蒸留性状を制御することによって運転性能をも改良したガソリンなどの提案が多数なされている(例えば、特許文献1〜4参照)。
また、環境保全の見地から、排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)や炭化水素(THC)を低減させることが要求され、このために、ガソリンに含酸素化合物を配合することも提案されている。
この含酸素化合物としては、メチル−tert−ブチルエーテル(以下、「MTBE」ということがある。)が注目され、有用なガソリン配合材として用いられてきた。
しかし、このMTBEは、水質汚染が懸念されることから、MTBEに代わる含酸素化合物が要求されるようになってきた。
そこで近年、地球温暖化防止の見地からも、含酸素化合物として、バイオマス由来のエチルアルコールを原料として精製されたエチルアルコールを用いることが提案されている(例えば、特許文献5〜10参照)。
しかしながら、このエチルアルコールを配合したガソリンは、その排気ガス中に、1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドが増加するという問題があった。
これら1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドは、環境汚染の原因となり、生体に対する悪影響のおそれをも指摘されている。
特開平7−207286号公報 特開平9−111258号公報 特開平9−111260号公報 特開2000−73073号公報 特開2004−238574号公報 特開2004−238575号公報 特開2004−238576号公報 特開2005−244532号公報 特開2005−29761号公報 特開2005−54102号公報
本発明は、このような従来の問題を解消し、ベンゼン及び硫黄の含有量が少なく、排気ガス中に含まれる一酸化炭素や炭化水素を低減すると共に、排気ガス中に含まれる1,3−ブタジエンをも低減させることができ、さらには、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドをも低減させることのできるガソリン組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、ガソリンの組成と排気ガスの組成の関係を研究した結果、特定の組成を有するガソリン組成物がその目的を達成できることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、
1.下記(A)〜(J)の条件を満たしてなることを特徴とするガソリン組成物,
(A)リサーチ法オクタン価が89以上であること。
(B)芳香族成分の含有量が45容量%以下であること。
(C)ベンゼンの含有量が1容量%以下であること。
(D)オレフィン成分の含有量が25容量%以下であること。
(E)エチル−tert−ブチルエーテルの含有量が1〜15容量%であること。
(F)硫黄の含有量が10質量ppm以下であること。
(G)50%留出温度が75〜105℃であること。
(H)70%留出温度が100〜135℃であること。
(I)90%留出温度が110〜175℃であること。
(J)1,3−ブタジエン排出指数(Nb)が115.0以下であること。
ただし、Nbは、下記式(1)により表される。
Nb=5.1×Op+4.5×Oq+1.4×Eb・・・(1)
〔式(1)中、Opは90℃以下の沸点を有するオレフィンの含有量(容量%)を示し、Oqは90℃を超える沸点を有するオレフィンの含有量(容量%)を示し、Ebはエチル−tert−ブチルエーテルの含有量(容量%)を示す。〕
2.(K)ホルムアルデヒド排出指数(Nf)が7.0以下である前記1に記載のガソリン組成物、
ただし、Nfは、下記式(2)により表される。
Nf=0.2×Op+0.9×Oq+0.1×Eb・・・(2)
〔式(2)中、Op、Oq及びEbは、前記と同じである。〕
3.(L)アセトアルデヒド排出指数(Na)が20.0以下である前記1又は2に記載のガソリン組成物、
ただし、Naは、下記式(3)により表される。
Na=0.1×Op+2.1×Oq+0.7×Eb・・・(3)
〔式(3)中、Op、Oq及びEbは、前記と同じである。〕
4. ガソリン組成物を基準として、脱硫分解ガソリンを0〜80容量%、軽質分解ガソリンを0〜40容量%配合したことを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のガソリン組成物、
を提供するものである。
本発明のガソリン組成物は、ベンゼン及び硫黄の含有量が少なく、排気ガス中に含まれる一酸化炭素や炭化水素を低減すると共に、排気ガス中に含まれる1,3−ブタジエンをも低減させることができ、さらには、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドをも低減させることのできるガソリン組成物である。
本発明のガソリン組成物は、下記(A)〜(J)の条件を満たしてなることを特徴とする。
(A)本発明のガソリン組成物は、リサーチ法オクタン価(以下、「RON」ということがある。)が89以上であることが必要である。好ましくは96以上、より好ましくは98以上である。
RONの上限値については特に制限はないが、通常は105程度である。
特に、車両がレギュラーガソリン(REG)仕様の場合、RONが89以上であることにより、プレミアムガソリン(PRG) 仕様の場合、RONが96以上であることにより、ノッキングを生ずるおそれが少なく、運転性能を高く維持することができる。
なお、このRONは、JIS K 2280「オクタン価及びセタン価試験方法」により測定される値である。
(B)本発明のガソリン組成物は、芳香族成分の含有量が45容量%以下であることが必要である。好ましくは40容量%以下、より好ましくは35容量%以下である。
芳香族成分の含有量の下限値については特に制限はないが、運転性能の低下防止の観点から、通常は5容量%程度である。
芳香族成分の含有量が45容量%以下であることにより、排気ガス中の炭化水素やCOを低減することができる共に、点火プラグにくすぶりを生じにくく、運転性能に悪影響を与えることが少ない。
なお、芳香族成分の含有量は、JIS K 2536‐2「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフィーによる全成分試験法により測定される値である。
(C)本発明のガソリン組成物は、ベンゼンの含有量が1容量%以下であることが必要である。好ましくは0.5容量%以下、より好ましくは0.3容量%以下である。
ベンゼンの含有量が1容量%以下であることにより、排気ガス中のベンゼンの量を少なくすることができ、環境汚染を抑制することができる。
なお、ベンゼンの含有量は、JIS K 2536‐2「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフィーによる全成分試験方法によって測定される値である。
(D)本発明のガソリン組成物は、オレフィン成分の含有量が25容量%以下であることが必要であり、好ましくは20容量%以下である。オレフィン成分の含有量が25容量%以下であることにより、オゾン生成能を抑制することができると共に、排気ガス中の1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドを低減することができる。一方、オレフィン成分の含有量の下限については、特に制限はないが、通常5容量%程度である。オレフィン成分の含有量が5容量%以上であれば、直噴車における運転性能の悪化を抑制することができる。
なお、オレフィン成分の含有量は、JIS K 2536‐2「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフィーによる全成分試験方法によって測定される値である。
(E)本発明のガソリン組成物は、エチル−tert−ブチルエーテルの含有量が1〜15容量%であることが必要である。好ましくは3〜12容量%、より好ましくは5〜10容量%である。
エチル−tert−ブチルエーテルの含有量が1容量%以上であれば、排気ガス中の一酸化炭素や炭化水素を抑制する効果が発揮され、一方、15容量%以下であれば、排気ガス中の1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの量を所望の値以下にすることが可能となる。
なお、エチル−tert−ブチルエーテルの含有量は、JIS K 2536‐2「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフィーによる全成分試験方法によって測定される値である。
(F)本発明のガソリン組成物は、硫黄の含有量が10質量ppm以下であることが必要である。好ましくは5質量ppm以下、より好ましくは3質量ppm以下である。
硫黄の含有量が10質量ppm以下であることにより、排ガス中のSOxの量を低減することができ、また、有害物質を除去するための三元触媒の活性低下を抑制することができ、その結果、排気ガス中のCO、炭化水素、NOxなどを低減させることができる。
なお、硫黄の含有量は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」の微量電量滴定酸化法に準拠して測定される値である。
(G)また、本発明のガソリン組成物は、50%留出温度(以下、「T50」ということがある。)が75〜105℃であることが必要である。好ましくは78〜100℃、より好ましくは80〜98℃である。
T50が75〜105℃であることにより、加速性などの運転性能の向上を図ることができる。
なお、T50は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に基づいて測定される蒸留性状から求められる値である。
(H)本発明のガソリン組成物は、70%留出温度(以下、「T70」ということがある。)が100〜135℃であることが必要である。好ましくは105
〜130℃、より好ましくは110〜128℃である。
T70が100〜135℃であることにより、加速性などの運転性能の向上を図ることができる。
なお、T70は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に基づいて測定される蒸留性状から求められる値である。
(I)本発明のガソリン組成物は、90%留出温度(以下、「T90」といことがある。)が110〜175℃であることが必要である。好ましくは130〜170℃、より好ましくは140〜165℃である。
T90が110〜175℃であることにより、加速性などの運転性能の向上を図ることができる。
なお、T90は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に基づいて測定される蒸留性状から求められる値である。
(J)さらに、本発明のガソリン組成物は、1,3−ブタジエン排出指数(Nb)が115.0以下であることを要する。好ましくは100以下、より好ましくは
80以下である。Nbの下限値については特に制限はないが、ガソリンの組成上、通常は5程度である。
前記Nbは、下記式(1)により表される。
Nb=5.1×Op+4.5×Oq+1.4×Eb・・・(1)
前記式(1)中、Opは90℃以下の沸点を有するオレフィン(以下、「軽質オレフィン」ということがある。)の含有量(容量%)を示し、Oqは90℃を超える沸点を有するオレフィン(以下、「重質オレフィン」ということがある。)の含有量(容量%)を示し、Ebはエチル−tert−ブチルエーテルの含有量(容量%)を示す。
軽質オレフィンの具体例としては、例えば、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ブテン、2−ブテン、イソプレン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、2−エチル−1−ブテンなどを挙げることができ、重質オレフィンの具体例としては、例えば、1−オクテン、2−オクテン、cis−4−オクテン、trans−4−オクテン、2−メチル−1−オクテン、2,4−ジメチル−1−ヘプテン、2,5−ジメチル−3−ヘプテン、1−デセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、1−ウンデセンなどを挙げることができる。
本発明のガソリン組成物においては、Opは、通常0〜15容量%、好ましくは0〜10容量%であり、Oqは、通常0〜7容量%、好ましくは0〜5容量%である。
Nbが115.0以下であることにより、燃焼によって生じる排気ガス中に含まれる1,3−ブタジエンを低減することができる。
なお、Op及びOqは、JIS K 2536‐2「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフィーによる全成分試験方法によって測定される値である。
本発明のガソリン組成物は、下記(K)の条件を満たしていることが好ましい。すなわち、(K)ホルムアルデヒド排出指数(Nf)が7.0以下の条件を満たすものである。Nfは、6.5以下であることがより好ましく、5.0以下であることが更に好ましい。
Nfの下限値については特に制限はないが、ガソリンの組成上、通常は0.5程度である。
前記Nfは、下記式(2)により表される。
Nf=0.2×Op+0.9×Oq+0.1×Eb・・・(2)
式(2)中、Op、Oq及びEbは、前記と同じである。
Nfが7.0以下であることにより、燃焼によって生じる排気ガス中に含まれるホルムアルデヒドを低減することができる。
また、本発明のガソリン組成物は、下記(L)の条件を満たしていることが好ましい。すなわち、(L)アセトアルデヒド排出指数(Na)が20.0以下の条件を満たすものである。Naは17.0以下であることがより好ましく、15.0以下であることが更に好ましい。
Naの下限値については特に制限はないが、ガソリンの組成上、通常は3.0程度である。
前記Naは、下記式(3)により表される。
Na=0.1×Op+2.1×Oq+0.7×Eb・・・(3)
式(3)中、Op、Oq及びEbは、前記と同じである。
Naが15.0以下であることにより、燃焼によって生じる排気ガス中に含まれるアセトアルデヒドの量を低減することができる。
本発明のガソリン組成物は、種々のガソリン基材及びエチル−tert−ブチルエーテルを用いて、前記(A)〜(J)の条件、好ましく、はさらに(K)及び(L)の条件を満たすように適宜、配合することによって調製することができる。
前記ガソリン基材としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる軽質ナフサ、脱硫軽質ナフサ、接触分解法や水素化分解法により得られる分解ガソリン、脱硫分解ガソリン、接触改質法により得られる改質ガソリン、さらに改質ガソリン中のベンゼンを蒸留などによって取り除いた留分(脱ベンゼン改質ガソリン)、オレフィンの重合により得られる重合ガソリン、イソブタンなどの炭化水素に低級オレフィンを付加して得られるアルキレートガソリン、直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化により得られる異性化ガソリン、脱n―パラフィン油及びこれらの特定範囲の留分や芳香族炭化水素(エチルベンゼン、トルエン、キシレンなど)、さらに、含酸素化合物などを挙げることができる。
前記ガソリン基材のうち、分解ガソリンとしては、接触分解法や水素化分解法により得られる分解ガソリンをさらに分留して得られる90%留出温度(T90)が110℃以下、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下の軽質分解ガソリンや、分解ガソリンから軽質分解ガソリンを除いた蒸留終点が170℃以上の重質分解ガソリンを脱硫処理して、得られた脱硫重質分解ガソリンと前記軽質分解ガソリンとを混合した脱硫分解ガソリンなどを使用することができる。
本発明のガソリン組成物においては、前記軽質分解ガソリンや脱硫分解ガソリンを次のような配合割合で用いることが好ましい。すなわち、軽質分解ガソリンについては、ガソリン組成物を基準にして0〜40容量%、さらには5〜35容量%、特に5〜33容量%の範囲で配合する。一方、脱硫分解ガソリンについては、ガソリン組成物を基準にして0〜80容量%、さらには5〜70容量%、特に5〜60容量%の範囲で配合する。
上記のように分解ガソリンを配合することにより、重質分解ガソリンの含有量が抑制され、その結果、全オレフィン分の含有量、特に重質オレフィン分の含有量を低減し1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの発生を低減できる。
また、エチル−tert−ブチルエーテルは、エチルアルコールとイソブチレンを反応させて製造するが、反応効率を高めるため、通常過剰のエチルアルコールを用いて製造する。そのため、反応生物のエチル−tert−ブチルエーテルには、数容量%程度のエチルアルコールが含まれる。しかしながら、エチルアルコールは1,3−ブタジエン等を排出する原因となるから、本発明においてはエチルアルコールの含有量が1容量%未満のエチル−tert−ブチルエーテルを使用することが好ましい。
本発明のガソリン組成物には、所望により、各種の添加剤が配合されていてもよい。
この添加剤としては、フェノール系やアミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール又はエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両面界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルコハク酸エステルなどのさび止め剤、キニザリン、クマリンなどの識別剤、天然精油、合成香料などの着臭剤、アゾ染料などの着色剤など、常用のガソリン添加剤を挙げることができる。
これら添加剤は、1種又は2種以上添加することができる。また、これら添加剤の添加量は、使用目的に応じて適宜、選定すればよいが、添加剤の合計量としてガソリン組成物全量に対し、0.1質量%以下とすることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1〜2
表1に示すガソリン基材を、表2に示す割合で混合し、表2に示すガソリン組成物を調製した。
表1及び表2のLFGは軽質分解ガソリン、PGPZは脱ベンゼン改質ガソリン,ALKはアルキレートガソリン、FGは脱硫分解ガソリン,ETBEはエチル−tert−ブチルエーテル、DLNは脱硫軽質ナフサを示す。
この調製されたガソリン組成物について、表3に示す三種の供試車両を用いて、TRIAS23−1991の「ガソリン自動車アイドリング、11モード排出ガス試験法」に準じ、排気ガス中の1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドを分析した。その結果を表4、表5及び表6に示す。なお、1,3−ブタジエン等の具体的分析方法は下記の通りである。
<1,3−ブタジエンの具体的分析方法>
1.CVS(Constant Volume Sampler)システムにより得られた排気ガスをテドラーバッグに捕集し、その中の排気ガスを一定量サンプリングし、プレカットシステムにて炭素数8以上の炭化水素を除去した。
2.次いで、炭素数7を含む軽質分を−30℃でクライオフォーカスした後、急速加熱して、水素イオン化検出器(FID)ガスクロへ導入しガスクロマトグラフにより分析した。
カラム:Al23/Na2SO4PLOT(アジレント・テクノロジー社製)
カラム長さ:0.32mm×4m(プレカラム)、0.32mm×7m(メインカラム)
温度条件:110〜130℃(昇温5℃/分),130〜200℃(昇温20℃/分)
<ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの具体的分析方法>
テドラーバッグに捕集した排気ガスからホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドを市販のDNPH(2,4−dinitrophenylhydrazine)カートリッジを用いて捕集し、次いでそれをアセトニトリルで抽出し、その抽出物を高速液体クロマトグラフで分析した。
カラム:ZORBAX XDB‐C18(横河アナリティカルシステムズ社製)
カラム長さ:4.6mm×12.5mm(プレカラム)、4.6mm×250mm(メインカラム)
Figure 2007039566
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表4〜6から分るように、実施例1〜4の本発明のガソリン組成物を使用した場合の排気ガス中に含まれる1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの量は、比較例1及び2のガソリンを用いた場合に比較して著しく低減されている。
本発明のガソリン組成物は、ベンゼン及び硫黄の含有量が少なく、排気ガス中に含まれる一酸化炭素や炭化水素を低減すると共に、排気ガス中に含まれる1,3−ブタジエンをも低減させることができ、さらには、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドをも低減させることのできるガソリン組成物である。そのため、本発明のガソリン組成物は、環境保全に寄与する燃料として有用である。

Claims (4)

  1. 下記(A)〜(J)の条件を満たしてなることを特徴とするガソリン組成物。
    (A)リサーチ法オクタン価が89以上であること。
    (B)芳香族成分の含有量が45容量%以下であること。
    (C)ベンゼンの含有量が1容量%以下であること。
    (D)オレフィン成分の含有量が25容量%以下であること。
    (E)エチル−tert−ブチルエーテルの含有量が1〜15容量%であること。
    (F)硫黄の含有量が10質量ppm以下であること。
    (G)50%留出温度が75〜105℃であること。
    (H)70%留出温度が100〜135℃であること。
    (I)90%留出温度が110〜175℃であること。
    (J)1,3−ブタジエン排出指数(Nb)が115.0以下であること。
    ただし、Nbは、下記式(1)により表される。
    Nb=5.1×Op+4.5×Oq+1.4×Eb・・・(1)
    〔式(1)中、Opは90℃以下の沸点を有するオレフィンの含有量(容量%)を示し、Oqは90℃を超える沸点を有するオレフィンの含有量(容量%)を示し、Ebはエチル−tert−ブチルエーテルの含有量(容量%)を示す。〕
  2. (K)ホルムアルデヒド排出指数(Nf)が7.0以下である請求項1に記載のガソリン組成物。
    ただし、Nfは、下記式(2)により表される。
    Nf=0.2×Op+0.9×Oq+0.1×Eb・・・(2)
    〔式(2)中、Op、Oq及びEbは、前記と同じである。〕
  3. (L)アセトアルデヒド排出指数(Na)が20.0以下である請求項1又は2に記載のガソリン組成物。
    ただし、Naは、下記式(3)により表される。
    Na=0.1×Op+2.1×Oq+0.7×Eb・・・(3)
    〔式(3)中、Op、Oq及びEbは、前記と同じである。〕
  4. ガソリン組成物を基準として、脱硫分解ガソリンを0〜80容量%、軽質分解ガソリンを0〜40容量%配合したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガソリン組成物。
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