前述したように、CSP、WLCSPの様にパッケージングされたデバイス22に対して、デバイス22上の電極11部分をモデル画像として使用するパターンマッチングでは、サーチ出来ない(見つけられない)という問題がある。上記デバイス22に対してパターンマッチングがうまくいかない要因として(正規化相関法の相関値を使用して判断することが難しい要因として)、(A)背景部分に対して電極11部分の面積が小さい、(B)撮像された画像データ上のバラツキ、(C)レファレンスモデル画像の類似性の3点が挙げられる。以下に各要因について詳説する。
最初に、「(A)背景部分に対して電極11部分の面積が小さい」について説明する。先に図26でBGA(Ball Grid Array)およびバンプ電極の例を示したが、BGAやバンプ電極の場合、デバイスの面積に対して、電極11部分の面積が小さい。このように背景部分に対して電極11部分の面積が小さい場合の問題点を図28で示す。
図28は、図26に対して白と黒を反転し、背景を白で、サーチ対象を黒で示したもので、図28(a)で画像モデルを、図28(b)でサーチする画像を、夫々画像として単純化して模式的に示したものである。図28(b)の「+」マークで示した位置を、パターンマッチングにより見つけたとして、それぞれの位置に番号をつける。
図28の場合、画像モデルでは黒い部分が32画素で、26.4%(全画素数121)である。このモデルで図28(b)の画像をサーチすると、「+」マークを付した位置は相関値の高い順に1、2、3、4となる。図28(b)の1の相関値は1.0、2は0.884、3は0.826、4は0.736である。4は特別な位置ではなく、すべて白い場合にはどの点でも、0.736という相関値になる。同じように3と同じ相関値となる点点も、図中に何点か存在する。
パターンマッチングでは、一般的に、0.7以上の相関値となる位置はモデルと同一パターンと見なせると言われているが、背景部分に対して特徴部分の面積が小さい場合には、図28の例で示すように、大変高い相関値の位置でないと判定できないこととなる。
また、画像処理では、常に統計的なノイズの問題がある(同一の対象物が、常に同じ明るさで撮像されることにはならない。)。このため背景部分に対して電極部分の面積が小さいと、正規化相関法を用いたパターンマッチングでは、ノイズの影響で相関値が変化するため、正しい判定が出来ない場合が発生する。さらに後述する画像のバラツキが合わさると、相関値の変化はさらに大きくなり、相関値が正しい結果とならない場合が大変多くなる。
次に、「(B)撮像された画像データ上のバラツキ」について説明する。CSPやWLCSPのうち、BGAでは基本的にはデバイス電極としてハンダボールが使用される。ハンダボールは、表面が滑らかな球面ではなく、凹凸のあるでこぼこの表面である。
このようなハンダボールが撮像されると、ボール表面の凹凸により、照明光が撮像カメラの方向に正反射する部分は明るい領域となり、照明光が撮像カメラの方向に全く反射しない部分は暗い領域となる。撮像されるボールの画像は、表面のでこぼこの状況、照明の大きさや照明の方法等に依存する。ボール内部に暗い斑点が見えることが多く、ボール外周は滑らかな円とはならない。図29は、ボール電極の見え方の例を模式的に示したものである。
取得される画像データは、このようなハンダボール電極の特性(形状精度と表面の特性)と照明装置との関係を反映したものである。ハンダボール電極が規格に従って製作されていても、照明装置との関係までを含めると、いろいろな状況を反映して一様に見えないことを図29では示している。
また照明装置からの光線でボール頂点付近から反射する光線は、撮像光学系の方向とはならないので、ボール頂点付近は暗くなる。更に、図29ではボールの外形はほぼ円で示しているが、ボール外形も個々にばらついている。BGAでは、このようなハンダボール電極が、図26(a)に示すようにチップ表面に分布している。図30は1チップの画像を示したもので、撮像される画像データのバラツキを表している。
図29で1つ1つのハンダボール電極の明るさが変化することを示したが、図30に示すように、1つ1つのハンダボール電極が集合となってデバイス全体の電極11となっている。このように、デバイス全体ではすべての電極11を良好にすることは難しい。
また製造されるデバイス数は膨大で、デバイス間では当然、図30のような“撮像される画像データのバラツキ”がある(よく見えない電極を持つデバイスがある。)。図31は、パターンマッチングでの等価画像を示したもので、図の左側は撮像画像で右側の2つが等価画像である。撮像画像が図31左側の画像のように、ある電極11は明るく見えるが暗く見える電極11もあり、また電極11の大きさも変化するため、画像処理によるパターンマッチングでは、等価画像が図31右の上側の場合もあるが、右下側のようになって相関値が低下する(見つけられない)場合もあるという問題がある。
図31で白く見える所、灰色に見える所、黒く見える所でそれぞれに画像としての明るさの値がある。白と灰色の差異(明るさの値としての差異)と、黒と灰色の差異(明るさの値としての差異)との大小により、結果として等価画像が図31右上側のように見なされることも右下側として見なされることにもなる。
最後に、「(C)レファレンスモデル画像の類似性」について説明する。図32は、BGAを4チップ並べた画像を示している。この画像の中で1デバイスチップの大きさをモデル画像とした場合を図32(a)の白枠で示している。また、サーチした場合モデル画像と間違える可能性のあるパターンを類似パターンと定義して、図32(b)の白枠の画像を例として示す。
図32(b)に示すように7つの電極11が暗く見えた場合、サーチでは正しい位置か類似パターンの位置かいずれかが見つけられる。しかし正しい位置か類似パターン位置かは、人間の判断では簡単であるが、画像処理では判断できない。サーチでは正規化相関法で計算したスコアの高い点を見つけた位置とするしかない。モデル画像として登録した画像と同じような画像がはっきり見えている場合には、類似パターンをサーチすることはない。
しかし画像データは、対象物と照明により変化する。図30、図31で説明したように同一の照明条件でも、対象物が変わるとよく見えない電極11も出現する。このようにいくつかの電極11が見えないため、図32のような類似パターンが発生する。図32では、少し偶然的な感じがあるが、BGAでは電極11が単純な繰り返しパターンであるため類似パターンの存在する確率はかなり高い。図28の場合では、何もないところでも既に類似パターンとなる可能性がある。
また図32では配列上の全ての位置に電極11を配しているが、一般のBGAでは配列が大きくなると配列上で電極11がない位置もある。実際に製作されるBGAやバンプ電極のデバイス22の場合では、2次元配列として配列の大きさと並び(配列上でのボール電極有無の情報)に多様性がある。この多様性は、類似パターンを減らす場合もあるが増やす場合もある。一般的にBGAやバンプ電極では、類似パターンがあることを前提として、サーチを実施することとなる。
類似パターンがあると、パターンマッチングでスコアの高い位置が複数となる。そのため、複数のなかから1つを選び出す(判定または確認を行う)プロセスが必要になる。しかし現状このプロセスは完全ではない(完全に実施することは大変難しい。)。類似性が発生する可能性を想定し、その各場合に対応することが必要であるが、ボール電極数が多くなると可能性の数は膨大となるため、簡易的な対応しかできていない。
簡易的な対応の方法としては、デバイスには四隅があり、その周辺は特徴的になっているという特性を使う。すなわち図32の例では、デバイス右下隅の電極周辺をサーチする(図32中破線でこれを示す。)。類似パターンから求めた位置では電極1つ分右にずれた位置となるので判定できる。しかしこの方法も、電極11がある程度よく見えないと有効性はない。即ち、右下隅周辺の電極11はよく見えている必要があり、よく見えていないと判定は出来ない。
このように画像処理によるパターンマッチングでは、類似パターンを判定する基準は簡単ではなく、類似パターンがあると判定を間違えることが起こる。そして複数の点がサーチされると、正しく判定できないという問題がある。
以上説明したように、CSP、WLCSPの様にパッケージングされたデバイス22に対して、デバイス22上の電極11部分をモデル画像として使用するパターンマッチングでは、背景部分に対して電極部分11の面積が小さいこと、撮像された画像データ上のバラツキ(特に電極の画像のバラツキ)があること、及び類似パターンが存在することのため、相関値を使用して判断することが難しく、正しい位置検出が困難であった。
また、ダイシングテープ上の個片化されたデバイス22をアライメントするときの、検出されたデバイス位置のウェーハマップとの整合性をとる場合、前述したように、パターンマッチングによりデバイス位置が測定されても、そのデバイスがマップデータ上でどの位置かを確定できない(2次元配列上での位置は決められない。)。
個片化される前のウェーハでは、“ターゲットセンス”としていくつかの方法がとられている。しかし個片化された後では、デバイスチップの間隔が変位する。そのためデバイスチップの変位(ズレ)は、ウェーハ上の位置により変化する。とくにデバイスサイズが小さい場合(1mm以下)では、1/2デバイス以上変位する可能性があるためウェーハマップと整合性をとることは容易ではない。
前述したように、位置決め用レファレンスチップをウェーハ内に配置して、ウェーハマップと整合性をとることもある。レファレンスチップ数が小さい場合(たとえば2×2以下)には、判定は容易である。1つの場合では、レファレンスチップをサーチして見つければ、そのデバイスがマップデータ上のレファレンスチップのインデックス位置となる。2つの場合では、まず1つを見つけ、次にその隣を見つければよい。
しかし、画像処理によるパターンマッチングでは、レファレンスチップがあってもサーチ出来ないということがあり得るため、デバイスサイズが小さい場合には、レファレンスチップ数を増やすことが多い。前述したように、レファレンスチップ数が増えて、3×3以上の配列で表現するようなレファレンスチップ数になると、結果の組み合わせの数が大きな数となり、判定が複雑で難しくなる。このためレファレンスチップ数が多い場合、全てのレファレンスチップをサーチ出来なくても判定できることが望ましい。このような条件を取り入れた合理的で簡単な判定方法を作ることが本発明の課題である。
位置決め用レファレンスチップが無い場合には、ウェーハ端部分(ウェーハ外周部)の特徴的なパターン(ウェーハ外周部ではデバイス有無が特徴的パターンとなる場合が多い。)を使用してウェーハマップとの整合性をとることがある。
パターンのサイズが小さいと、特徴的なパターンとはならないが、サイズを大きくすると特徴的なものになる(一意性もある。)。このため最低でも3×3以上は必要となるが、特徴的なパターンのサイズが大きくなると組み合わせの数が大きな数となり、判定方法が複雑となる(3×3でも2の9乗の組み合わせがある。)。そのため、ウェーハ外周部の特徴的なパターンを使用する場合においても合理的な判定方法を作ることが本発明の課題である。
このように、ダイシングテープ上の個片化されたデバイスをアライメントするときに、検出されたデバイス位置のウェーハマップとの整合性をとることが困難であった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、CSP、WLCSPの様にパッケージングされたデバイスに対して、デバイス上の電極部分をモデル画像として使用するパターンマッチングにおいて、正しい位置検出が可能な位置検出方法を提供することを目的とする。
また、ダイシングテープ上の個片化されたデバイスをアライメントするときに、検出されたデバイス位置のウェーハマップとの整合性を容易にとることができる位置検出方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の対象物が一定の規則にのっとって配列された領域が複数個2次元的に配列された領域集合体に関し、前記領域内における特定の対象物の位置を検出する位置検出方法において、単一の前記対象物のモデル画像を領域設計データから生成する対象物モデル画像生成ステップと、単一の前記対象物の画像データを取得し、取得された画像データから対象物のモデル画像を登録する対象物モデル画像登録ステップとのうちの、少なくともどちらかのステップと、領域及び領域集合体の設計データを用いて、前記対象物の相対位置から対象物有無配列パターン画像を作成する対象物有無配列パターン画像作成ステップと、前記領域集合体を撮像し、撮像された画像データに対して、前記対象物モデル画像を用いて前記対象物の位置を検出する対象物位置検出ステップと、検出された対象物位置を2次元的にソートして、撮像された範囲の対象物配列パターン画像を作成する撮像対象物配列パターン画像作成ステップと、前記対象物有無配列パターン画像作成ステップで作成された対象物有無配列パターン画像と前記撮像対象物配列パターン画像作成ステップで作成された撮像対象物配列パターン画像との相関演算の結果から前記領域内における特定の対象物の配列位置を確定させる相関演算ステップと、を有することを特徴とする位置検出方法を提供する。
また、請求項2に記載の発明は、複数の対象物が一定の規則にのっとって配列された領域が複数個2次元的に配列された領域集合体に関し、前記領域内における特定の対象物の位置を検出する位置検出方法において、単一の前記対象物のモデル画像を領域設計データから生成する対象物モデル画像生成ステップと、単一の前記対象物の画像データを取得し、取得された画像データから対象物のモデル画像を登録する対象物モデル画像登録ステップとのうちの、少なくともどちらかのステップと、領域及び領域集合体の設計データを用いて、前記対象物の相対位置から対象物有無配列パターン画像を作成する対象物有無配列パターン画像作成ステップと、前記領域集合体を撮像し、撮像した1視野が前記領域の大きさと前記対象物モデル画像の大きさとの和よりも狭い場合に複数の画像データから前記領域の大きさと前記対象物モデル画像の大きさとの和に匹敵する大きさの画像データを構築する1領域サイズ画像構築ステップと、撮像した1視野が前記領域の大きさと前記対象物モデル画像の大きさとの和よりも広い場合に前記領域の大きさと前記対象物モデル画像の大きさとの和に匹敵する大きさの画像データを切り出す1領域サイズ画像切り出しステップとのうちの、少なくともどちらかのステップと、前記1領域サイズ画像構築ステップ又は前記1領域サイズ画像切り出しステップによって得られた1領域サイズ画像データに対して、前記対象物モデル画像を用いて前記対象物の位置を検出する対象物位置検出ステップと、検出された対象物位置を2次元的にソートして、1領域の対象物配列パターン画像を作成する撮像対象物配列パターン画像作成ステップと、前記対象物有無配列パターン画像作成ステップで作成された対象物有無配列パターン画像と前記撮像対象物配列パターン画像作成ステップで作成された撮像対象物配列パターン画像との相関演算の結果から前記領域内における特定の対象物の配列位置を確定させる相関演算ステップと、を有することを特徴とする位置検出方法を提供する。
請求項1又は請求項2の発明によれば、単一の対象物をモデル画像としてサーチするので、背景に対して対象物の面積が小さくても、また撮像されるデータにバラツキがあっても、容易に対象物を検出することができる。また、撮像された領域内の対象物の検出位置から撮像対象物配列パターン画像を作成し、領域及び領域集合体の設計データから作成した対象物有無配列パターン画像との相関演算の結果から一致点を確定するので、領域内における特定の対象物の位置を容易に検出することができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記領域がウェーハ上に形成されたデバイスチップであり、前記領域集合体がウェーハであり、前記対象物が前記デバイスチップのボール状又はバンプ状の電極であることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記領域がダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップであり、前記対象物が前記デバイスチップのボール状又はバンプ状の電極であり、前記領域集合体がダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップがウェーハ状に配列されたデバイスチップ集合体であることを特徴とする。
請求項3又は請求項4の発明によれば、ウェーハ上に形成されたデバイスチップの電極位置、又はウェーハ上に形成されダイシングされてダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップの電極位置を容易に検出することができる。
請求項5に記載の発明は、複数の対象物が一定の規則にのっとって配列された領域内における特定の対象物の位置を検出する位置検出方法において、前記領域内には位置決め用の複数のレファレンス対象物がパターン状に配列されており、前記位置決め用の複数のレファレンス対象物の2次元並びをレファレンス対象物配列パターン画像として登録するレファレンス対象物配列パターン画像登録ステップと、前記領域内をサーチして、前記位置決め用のレファレンス対象物がサーチされたかを識別し、識別された結果をレファレンス対象物2次元配列データとしてメモリーに格納するレファレンス対象物配列データ格納ステップと、前記レファレンス対象物配列パターン画像登録ステップで登録されたレファレンス対象物配列パターン画像と前記レファレンス対象物配列データ格納ステップで格納されたレファレンス対象物2次元配列データとの相関演算の結果から前記領域内における特定の対象物の配列位置を確定させる相関演算ステップと、を有することを特徴とする位置検出方法を提供する。
また、請求項6に記載の発明は、複数の対象物が一定の規則にのっとって配列された領域内における特定の対象物の位置を検出する位置検出方法において、前記領域内で前記対象物の2次元的並びの特徴的な範囲をレファレンス対象物配列パターン画像として登録するレファレンス対象物配列パターン画像登録ステップと、前記領域内をサーチして、前記対象物がサーチされたかを識別し、識別された結果を対象物2次元配列データとしてメモリーに格納する対象物配列データ格納ステップと、前記レファレンス対象物配列パターン画像登録ステップで登録されたレファレンス対象物配列パターン画像と前記対象物配列データ格納ステップで格納された対象物2次元配列データとの相関演算の結果から前記領域内における特定の対象物の配列位置を確定させる相関演算ステップと、を有することを特徴とする位置検出方法を提供する。
請求項5又は請求項6の発明によれば、複数のレファレンス対象物の2次元並び又は対象物の2次元的並びの特徴的な範囲をレファレンス対象物配列パターン画像とするとともに、領域内をサーチして対象物2次元配列データを作成し、レファレンス対象物配列パターン画像と対象物2次元配列データとの相関演算の結果から一致点を確定するので、領域内における特定の対象物の位置を容易に検出することができる。
また、請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6の発明において、前記対象物がダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップであり、前記領域がダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップがウェーハ状に配列された全領域を含む領域であることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、ダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップのウェーハ状に配列された全領域内における位置を容易に検出することができる。
以上説明したように本発明の位置検出方法によれば、CSP、WLCSPのようにパッケージングされたデバイスに対して、デバイス上の電極部分をモデル画像としてパターンマッチングを実施し、正しい位置検出を行うことができる。
また、ダイシングテープ上の個片化されたデバイスをアライメントするにあたり、検出されたデバイス位置のウェーハマップとの整合性を容易にとることができる。
以下添付図面に従って本発明に係る位置検出方法の好ましい実施の形態について詳説する。尚、各図において同一部材には同一の番号または記号を付している。
最初に、本発明の領域をウェーハ上に形成されたデバイスチップ22とし、領域集合体をウェーハとし、対象物をデバイスチップ22のボール状又はバンプ状の電極11とした時の、デバイスチップ22内の電極位置を検出する方法として本発明の実施形態を説明する。
本発明では、電極11一個の画像をモデル画像としてサーチを実施する。前述したBGAやバンプ電極の場合のパターンマッチングにおいて、相関値を使用して判断することが難しい要因としてあげた「(A)背景部分に対して電極11部分の面積が小さい」ことは、電極11を全体として集合としてみるからであって、1つ1つを個別にサーチする場合には、前出の図30に示すような画像の場合でも、電極11ひとつひとつは識別できるように見える。従って通常のパターンマッチングで実施可能である。
例えば、図1に示すような電極1つの画像をモデル画像として、図2に示す3つの見え方の異なる電極11をそれぞれサーチしたとすると、正規化相関法では、画像の明るさがリニアに変化しても相関値には影響しないので、図2(b)と図2(c)でも、十分に高い相関値になる(そのため中心位置を求められる。)。
図2(c)はボールの部分が胡麻塩状であるため、平均の明るさからの差異が影響する分だけ相関値は低下する。しかし十分にサーチ可能なスコアとなる。すなわち電極11一個のモデル画像では、図2(a)、(b)、(c)の3つの見え方の異なる電極11の場合でもサーチ可能である。従って、電極11一個を含む狭い範囲であれば、通常のパターンマッチングでもサーチ可能である。
図2の3つの例がサーチ可能であれば、図30の画像の場合でも1つ1つの電極はサーチできることとなる。このように電極11一個の画像モデルでサーチを実施すると、電極11を1つ1つ見つけることができるため、課題である「(A)背景部分に対して電極11部分の面積が小さい」と「(B)撮像された画像データ上のバラツキ)」に対しては大きく改善される。そして電極一個の画像モデルであるので、基本的には、「(C)レファレンスモデル画像の類似性」は問題とならない。
次に、本発明に係る位置検出方法の実施の形態の処理の流れを、ボール電極を有するデバイスチップ22内の電極位置を検出する方法を例として詳説する。図3は処理の流れを表すフローチャートである。最初に電極一個のモデル画像を作成する。モデル画像の作成では設計データを基に、ボール電極の中心を原点とし、図4(a)に示すように原点に対して円を描く。
この場合、円の外周部分では1画素が完全に円の内部となることはない。このような画素に対しては、当該画素に含まれる面積を求めてその画素の明るさとする(図4は見易くするため、白黒を反転して記載した)。一般的に画素の明るさは256階調であるので、面積の算定法は1/256程度の精度であればよい。完全に円の内部にある画素の明るさを255、完全に円の外部の画素の明るさを0とし、一部が円にかかる画素はその面積×255の明るさとする。
各画素Xサイズ・Yサイズは正確にキャリブレーションされた大きさを使用する。1画素のX解像度・Y解像度が正確にキャリブレーションされているとボールの大きさをmmで与えて電極画像モデルを作成できる。またBGAでは図1及び図2において灰色で示したように、ボール頂点付近が暗く撮像されることが多々ある。そのため図4(b)のように中心付近にdon’t care画像を設定する。don't care画像は相関値を算出する時に算入されない画素である。通常不確定な部分をdon't care画像としている(ステップS1)。これが対象物モデル画像生成ステップである。
なお、設計データからモデル画像を生成する代わりに、ボール電極を撮像して画像データを取得し、この画像データからモデル画像を生成して登録してもよい。これが対象物モデル画像登録ステップである。
次に、ウェーハを撮像して「1チップの大きさ+モデルの大きさの画像」を構築する。ウェーハでは1チップが基本単位であるので、1チップの大きさがサーチされることが望ましい。1チップの大きさをサーチするためには、「1チップの大きさ+モデルの大きさの画像」が必要となる。
ここで「1チップの大きさ+モデルの大きさの画像」は、X方向の大きさがデバイスのX方向大きさ+モデル画像のX方向大きさの和に等しく、Y方向の大きさがデバイスのY方向大きさ+モデル画像のY方向大きさの和に等しい画像を意味する。
「1チップの大きさ+モデルの大きさ」が視野より小さい場合には、図5に示すように撮像画像から「1チップの大きさ+モデルの大きさの画像」を切り出す。1視野からその内部の画像を切り出す処理はほとんど時間を要しないので、このような場合には、必ず「1チップの大きさ+モデルの大きさの画像」を切り出す(1領域サイズ画像切り出しステップ)。
一方、「1チップの大きさ+モデルの大きさ」が視野より大きい場合には、図6に示すように、いくつかの画像を合成して「1チップの大きさ+モデルの大きさの画像」を作成する(1領域サイズ画像構築ステップ)。図6では4つの画像を合成した場合を模式的に示している(ステップS2)。
画像を合成すると、毎回合成する枚数分移動するので、画像を合成するため処理時間が増加する。そのため1視野だけで処理することもある。1視野をサーチした結果から作成された撮像電極(対象物)配列パターン画像が、特徴のない領域である場合には、後述する“ソートされた2次元的電極配列からチップの電極配列を確定する”相関演算プロセスで、確定した答えが得られない。この場合には、1視野分移動させて、新たな位置の画像で実施する。1視野だけで処理する場合には、順次移動させて1チップをカバーするルーティーンを用意しておく必要がある。
次に、ステップS1で作成した電極モデル画像を使用し、ステップS2で切り出した「1チップの大きさ+モデルの大きさの画像」(図7(a)の画像)をサーチする。電極11一個の画像モデルでサーチすると、電極11の数だけサーチ結果が得られる。図7(a)では白丸の位置が電極11である(対象物位置検出ステップ)。
電極位置(電極11の中央位置)は、画像データ上の2次元座標としてサーチされる。サーチされた結果の1つ1つは、電極画像モデルとの適合度(相関値)の高い順、即ちパターンマッチングの得点(スコア)順にランダムなデータである。これが電極11の数だけ並んだ点列として得られる。(ステップS3)。
このような得点順のデータでは、サーチされた電極11がどの位置の電極11か(電極配列のどの位置か)を識別することは難しい。しかし、サーチされた結果は、整理すれば2次元の配列となる筈である。このため次のステップでは、サーチされた電極座標データを2次元的にソートして、2次元配列データを作成する。2次元的にソートすると、配列上のどの電極位置が見つけられたか(あるいは見つけられないか)が判明する。
図8を用いて2次元的ソートの方法を説明する。サーチされた電極の位置は図8に示される座標系で表示されるとする。サーチされた電極の中から、まずX座標が最小値となる電極を選び出す。次にX座標が最小値と(最小値+0.9×電極間隔)の間にある電極11を抽出し、それを一次元配列に格納する。電極間隔が設計上複数存在する場合は、最小電極間隔を採用する。
全データに対するチェックが終了した後,得られた一次元配列をY座標の小さい順に並べ替える(図8の1列目の↓で示す。)。このようにX座標が最小値と(最小値+0.9×電極間隔)の間にある電極11という条件をつけると、1列目の電極11(図8のBx1[i], By1[i])が抽出される。抽出されず残った電極11に対して1列目の電極11を抽出したのと同様の手順を実施すると、2列目の電極11(図8のBx2[i], By2[i])が抽出される。順次同様な手順で、図8に示されるように最後の列までを求める。図8で下向き破線で示される列位置(4列目)ではデータは検出されない。
このようにして得られた(Bx1[i], By1[i])〜(Bxk[i], Byk[i])の中からY座標の最小値を求め、Y座標が最小値と(最小値+0.9×電極間隔)の間にある電極11を(Bx1[i], By1[i])〜(Bxk[i], Byk[i]) の中から抽出する。このようにして抽出された電極位置に対して、2次元配列を対応させる。
2次元配列としては、2次元電極配列位置での有無コードIbl[i][j]、2次元電極配列位置での後述する多重度Nbl[i][j]、2次元電極配列位置での電極位置Xbl[i][j][k]、Ybl[i][j][k]を含んでいる。
電極配列位置として2次元配列[i][j]を決める手順を次に説明する。X方向の最小電極間隔を Lx、Y方向の最小電極間隔を Lyとする。ボールグリッドアレイ(BGA)デバイスでは通常LxとLyは同じ値となる。[i][j]は、X座標が最小値と(最小値+0.9×Lx)にあり、かつY座標が最小値と(最小値+0.9×Ly)にあるものに対して[0][0]となるようにする。
X方向の指数iは、図8の列番号により決める。Y方向の指数jは、Y座標が最小値と(最小値+0.9×Ly)の間にあるものを0として、順次同様の手順で1つづつ指数を増やしていく。このような手順を繰り返すことで、図8に実線で示すY方向↓と破線で示すX方向→の交点を指数とする2次元電極配列が得られる。
電極2次元配列に、多重度を加えたのは、図8の1列目6番目の点位置の近くに破線の○で示すようなゴミ等が測定された場合の対応のためである。このような場合には、多重度Nbl[0][5] = 2として、2点の電極位置(Xbl[0][5][0]、Ybl[0][5][0])、(Xbl[0][5][1]、Ybl[0][5][1])をまず登録しておく。図8の2次元電極配列全てに対する処理が終了した後で、各点に対する多重度をチェックし、多重度のある配列位置は、その周りの点の座標値から最も適合している点1点を選び出す。このようにして2次元的ソートされた結果は、2次元電極配列位置での有無コードIbl[i][j]と電極座標(Xb[i][j]、Yb[i][j])となる。
図8を用いて説明した2次元的ソートの方法は、前記電極列に本来隣の列に属する電極11が混入するほどデバイスが傾いていると有効な方法とはならないが、通常の場合ではプリアライメントにおいてデバイスの傾きは2〜3度以内となるので、問題となることはない(個々の電極11のずれは代表的な電極間隔500μmについて500×sin(3deg) ≒26μm程度でしかない。)。
ここまでで作成した2次元配列[i][j]中には、図8にY方向破線で示したような電極間隔およびデバイス間隔の情報は、それらがもともと検出されていないゆえに含まれていない。ところでこれらの間隔はデバイス内の電極配列を一意に決定するために非常に重要な情報である。そこで次のステップとして上記2次元配列[i][j]中に電極間隔およびデバイス間隔の情報を反映させる処理を実施する。これは以下の手順による。
まず2次元電極配列の各列についてX座標の平均を計算する。列kのX座標の平均値Xmkは次式(1)で算出できる。
[数1]
Xmk = (ΣXb[i][k])/列 k中の電極個数 …(1)
これによって得られるXm1, Xm2,… について、隣り合う列間での差を取り、それが設計上の電極間隔の最小値Lxの何倍(整数値)にあたるかを判定する。その際に、隣り合う列間の実測距離にある程度の誤差が含まれることを考慮する必要がある。具体的には次式(2)を満足する整数値nを求める。
[数2]
Xmk−Xmk-1−Lx×0.5 < n×Lx ≦ Xmk−Xmk-1+Lx×0.5 …(2)
nの値が1である場合は隣り合う電極列の間に余分な間隔が存在しないということであり、次の(k を k + 1とした)隣同士の列間隔の評価に移る。nが2以上である場合は、配列のk列の次に有無コードが「無」のn - 1列を挿入し、その後にkをk + nとしてその次の隣同士の列間隔の評価に移る。このようにして最後の列まで評価を行う。
列方向の評価が終わると、次に行方向について同様の操作を行ない、必要に応じて電極間ギャップまたはデバイス間ギャップを配列内に行として挿入する。この際の電極間最小距離はY方向のLyを用いる。以上により、電極間隔およびデバイス間隔の2次元配列への反映を終える。
2次元的ソートされた2次元電極配列位置での有無コードIbl[i][j]から電極11の有無を2次元配列とし、図7(b)に示す白黒画像(2値画像)を作成する。これを撮像電極配列パターン画像と称する(撮像対象物配列パターン画像作成ステップ)。
図7(b)において白で示される位置は、電極11が測定された配列上の位置を示す。図7(b)の画像データは1デバイスの電極配列と同じサイズで、最小電極間隔を単位として11×11のサイズである(ステップS4)。
ソートされた2次元的電極配列からデバイス四隅コーナーの電極11を見つける方法を以下に示す。先ず最初に、設計データを基に登録されているチップの電極配列(設計値)から、図7の白黒画像データを作成したのと同様に、図9に示すように4つのチップに対して電極有無を配列パターンとして表し、チップ4つ分の白黒画像を作成する。これを電極有無配列パターン画像と称する(対象物有無配列パターン画像作成ステップ)。
図9の画像データのサイズは23×23で、(11、11)が中心となる。左上のデバイスで(1、1)の位置は左上の電極位置、(1、10)の位置は左下の電極位置、(10、1)の位置は右上の電極位置、(10、10)の位置は右下の電極位置である。同様に左下のデバイス、右上のデバイスおよび右下のデバイスにおいても、四隅コーナーの電極位置は確定した配列上の位置である(ステップS5)。
次に、図7(b)で示される画像をサーチモデル画像として、図9の画像をサーチする(パターンマッチングを行う。)。これにより図7(b)の画像モデルがどこに重なるかは容易に判明する。図9の各ボール電極の配列位置は既知であるので、パターンマッチングで得られる位置から図7(b)の画像において個々の電極位置が判明する(2次元配列位置が判る。)。
従って、図7(b)の画像の(0、0)位置は、図9画像の(1、5)と(12、5)に対応することがわかる。2個所対応する位置が得られるが、デバイス22の大きさを11×11と登録しているため図9において11離れた位置はデバイス電極11としては同じ位置である。
図7(b)の(0、0)と図9の(1、5)とが対応するとして、四隅コーナーの電極位置を算定する。図9では、(1、10)の位置は左下の電極位置、(10、10)の位置は右下の電極位置であり、(1、12)の位置は左上の電極位置、(10、12)の位置は右上の電極位置である。図7(b)画像でこれらに対応する位置を求める。図7(b)画像では、(0、5)が左下の電極位置、(9、5)が右下の電極位置、(0、7)が左上の電極位置、(9、7)が右上の電極位置となる。このようにして同一デバイスに属さない電極に対しても、電極の配列位置を決めることができる(相関演算ステップ:ステップS6)。
図7と異なる位置でサーチされた電極配列の例を図10に示す。図10(a)は、図7とは別の位置の1領域サイズ画像であり、図10(b)は、図10(a)の画像をサーチして、得られた電極位置を2次元的にソートして作成した撮像電極配列パターン画像である。
図10(b)画像の(0、0)位置は、図9画像の(7、10)に対応する。図10(b)で四隅コーナーの電極位置を求める。図9では、(10、10)の位置は右下の電極位置、(10、12)の位置は右上の電極位置であり、(12、10)の位置は左下の電極位置、(12、12)の位置は左上の電極位置である。図10(b)でこれらに対応する位置を求めると、図10(b)では、(3、0)が右下の電極位置、(3、2)が右上の電極位置、(5、0)が左下の電極位置、(5、2)が左上の電極位置となる(相関演算ステップ:ステップS6)。
既に記述したが、図9との対応をとると、1個所、2個所および4個所対応する位置が検出される場合がある。これらが11離れている場合は、すべて同一点と見なしてよい。対応点はすべてデバイス間隔の長さだけ離れた同一電極11の位置である。
2次元的ソートされた2次元電極配列位置での有無コードから図7(b)または図10(b)に示すような白黒画像(撮像電極配列パターン画像)を作成して、図9の4チップに対する電極有無配列パターン画像との対応点を見つけ出す方法では、電極11が全てサーチされない場合でも、最大に重なる位置を求めると、容易に四隅コーナーの電極位置を求めることができる。
電極11が全てサーチされない場合には、パターンマッチングのスコアが低くなる。パターンマッチングのスコアは、「1.0−(サーチされない電極の数)/(配列数X×Y)」となる。電極11の数はデバイス品種ごとに違いがあるが、パターンマッチングのスコアとは上記のような関係となるので、サーチされない電極11の数で管理することもできる(前述の例では配列数X×Y=11×11)。サーチされない電極11の数がある程度以上の場合には、別のデバイスに移動して、改めてサーチするようにする。即ち、別のデバイス位置で図3のプロセスを再度実行する。
次に、確定された配列と電極11の位置の適合性を調べることについて説明する。サーチされた電極位置がチップ上の電極配列と対応が取れると、当該デバイス22の中心座標および特定の電極位置の座標も容易に求められる。そして個々のデバイス22の位置決めというアライメントを実施するために使える。
デバイス四隅コーナー電極11が登録されているが、見つけることが出来なかった場合、その座標をどのように確定させるかについて、例えば図11で右下コーナーの電極11がサーチされない場合の対応を例にとって以下に記述する。図11において、右下コーナーの電極位置はサーチされないので破線で表している。
図7(a)で右下電極11が見つけられないと、変更した(右下電極を見つけないとした)撮像電極配列パターン画像をモデルにして図9とパターンマッチングを行う。相関演算の結果は、図7(b)の場合と同一の結果が得られる(右下電極11が1つ見つけられないだけなので、相関値が1/121だけ小さくなる。)。
サーチされた電極11は、チップ上の電極配列と対応がとれる。上側デバイス22の属する電極11、下側デバイス22の属する電極11も容易に判別され、上側デバイス22の各電極11は、登録されている電極配列と対応が採れる。そしてそのサーチされた座標も既知である。
ここでX座標及びY座標の方向が図11の矢印方向を正方向とし、サーチされた電極11の配列位置を(i、j)、その座標を(Xij、Yij)とすると、配列位置と座標は次式(3)、(4)で示す関係となる。図11は左手系であるため、通常の回転変換に対して、Y方向の符号を反転させている。
[数3]
Xij = i×(電極間隔x)×cosθ+j×(電極間隔y)×sinθ+dx …(3)
Yij = i×(電極間隔x)×sinθ−j×(電極間隔y)×cosθ−dy …(4)
上側デバイス22の電極11としてサーチされたすべての電極11の配列位置とその座標を使用して、3つの変数θ、dx、dyを最小二乗法で求めることが出来る。得られたθ、dx、dyを上記式に代入して、サーチされていない右下コーナーの電極11の配列位置(in、jn)を代入すると、右下コーナーの電極11の座標が得られる。なお、デバイス22は個片化されておりデバイス22間の距離は変化するため、下側デバイス22の各電極についてのデータは使用しない。
デバイス四隅コーナー電極11が登録されていない場合(デバイス22の設計データとして四隅位置の電極11が無い場合)にも、上記式(3)、(4)は使える。デバイス四隅コーナー電極位置は設計上で存在しないが、上記式(3)、(4)により仮想的に扱うことが出来る。
最小二乗法による方法は、サーチされない電極位置を補間すること以外、サーチされた電極11の座標値の検定にも用いることができる。最小二乗法で得られた3つの変数θ、dx、dyを使用して、式(3)及び(4)において配列上の位置 (i、j) を入力すると、対応する配列位置の座標データが得られる。この座標値をサーチされた値と比較すると、サーチされた座標値の精度を検定でき、確定された配列と電極11の位置の適合性を調べることができる。
サーチされた位置の精度が悪い場合には、当該点をデータとして使用しないようにするということも出来る。図7および図10のように、十分に多数の電極11がサーチされたデバイス22については、このような取り扱いが可能である。既に記述したが、個片化によりデバイス間隔は違いがあるので、最小二乗法の適用は1つ1つのデバイス単位で処理する方がよい(ステップS7)。
前述の実施の形態では、電極間隔が単一であるBGA(ボールグリッドアレイ)について示したが、本発明はバンプ電極の場合も同じ方法でアライメントに使用できる。図12(a) は、電極間隔が複数となるバンプ電極の場合を示している。図12(a)の例では、デバイス四隅の電極11が大きいため、四隅電極11と隣の電極11の間隔は、他の間隔より大きい。図12(a)の電極配列でこの状況が示されている。
電極間隔が1つでない場合に、電極配列パターンをどのように決めるかは、ソートの方法による。既に図8を使用してソートの方法を説明したが、ソートでは配列が1つ抜けているかどうかが判定できなければならない。それは図12(a)の場合にも同じである。
電極間隔が異なる場合には、最小の電極間隔を基本間隔として、大きい電極間隔が基本間隔の何倍になるかを決めればよい。このことをルール化する(ルール化されれば問題はない。)。図12(a)のバンプ電極配列では、大きい電極間隔を小さい電極間隔2つ分とした(1.5倍程度の違いのため)。図12(b)に電極配列パターンとしての撮像電極パターン画像を示す。
図12(a)の電極をサーチするためには、電極画像モデルは3つとなる。3つの電極画像モデルを1つ1つ順番にサーチする。既に記述したBGAの場合と同様の方法で、サーチされた結果のデータをソートして撮像電極パターン画像を得る。そして同一の方法でチップ22の四隅電極座標を得ることができる。チップ22の四隅電極座標が得られるとチップ22の中心座標も容易に得られる。
以上のように本発明によれば、広い領域を画像モデルとしたパターンマッチングでは相関値を使用して判断することが難しい場合でも、電極11一個を画像モデルとすることで、パターンマッチングの手法を使用することができるようになる。そしてデバイス22の位置決めに使用できる。
次に、本発明の対象物をダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップ(単にチップと称することもある。)22とし、領域をダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップ22がウェーハ状に配列された全領域を含む領域とした時の、ウェーハ状配列内のデバイスチップ位置を検出する方法として本発明の実施形態を説明する。なお、デバイスチップ22のウェーハ状配列を便宜上ウェーハと称することがある。
ダイシング工程によってウェーハから個々のチップ22に分割されたデバイスチップ22のダイシングテープ上の配列位置を確定する方法の説明において、最初に、個片化されたデバイスチップ22の配列位置を確定する方法の概略の流れについて以下に記載する。
先ず、位置決め用レファレンスチップの2次元並びをレファレンス対象物配列パターン画像(画像処理でのパターンマッチングのモデル画像と同じ)として登録する。図13(a)、(b)、(c)はレファレンスチップ数が5の場合の3×3配列例を現したもので、配列を決めるルールとして、隣り合うレファレンスチップを有することを条件としてレファレンスチップの固まり(集合体)をピックアップ(抽出)する(レファレンス対象物配列パターン画像登録ステップ)。
次に、指定された範囲をデバイス間隔の距離づつ移動してデバイス単位でサーチする。サーチした後、レファレンスチップがサーチされたか否かによってレファレンスチップの有無を識別して、2次元配列データとしてレファレンスチップ有無配列を作成し、メモリーに格納する(レファレンス対象物配列データ格納ステップ)。
次に、レファレンス対象物配列パターン画像登録ステップで登録されたレファレンス対象物配列パターン画像とサーチされた結果のレファレンスチップ有無配列とを相関演算する。相関演算すると最もよく合致する位置が得られる。
位置決め用レファレンスチップを複数個にすると、全てのレファレンスチップが測定できなくても、相関値を用いて合致する位置を求めることができる。レファレンス対象物配列パターン画像では、レファレンスチップ有の位置を1、通常チップ有の位置を2、チップ無しの位置を0として作成する。そうすると判定をレファレンスチップ有の位置だけとするか、レファレンスチップと通常チップの両方を使用するか(レファレンスチップが見つけられない場合に同一位置でモデルを切替えて通常チップをサーチする。)、さらにレファレンスチップと通常チップおよびチップなし(レファレンスチップと通常チップの両方ともサーチできなかった場合)も取り入れて判定するかは容易に対応できる。柔軟性のある合理的で簡単な判定方法である(相関演算ステップ)。
位置決め用レファレンスチップが無い場合には、ウェーハマップ上でチップの2次元並びの特徴的な領域をレファレンス対象物配列パターン画像として使用する(レファレンス対象物配列パターン画像登録ステップ)。
次に、アライメントでは、デバイス間隔の距離づつ移動して指定された範囲をサーチし、デバイスチップの有無を識別して、有無の結果を2次元配列データとする(対象物配列データ格納ステップ)。
次に、レファレンス対象物配列パターン画像登録ステップで登録されたレファレンス対象物配列パターン画像とサーチされたデバイス有無の2次元配列データとを相関演算する。相関演算すると最もよく合致する位置が得られる。特徴的な範囲内の全てのチップが測定できなくても、相関演算された値を判定すればよく、合理的で簡単な判定方法である(相関演算ステップ)。
次に、ダイシングテープ上の個片化されたデバイスチップ22のアライメントの詳細について説明する。図14(a)はウェーハ21上のデバイス22を現したものである。このウェーハ21上のデバイス22を管理するために図14(b)に示すような2次元配列をマップデータとして用いる。これにより1つのデバイス22を2次元配列上の位置として特定できるようになる。マップデータを用いると、デバイス22が存在しないこと(ウェーハ21外)、テスト結果で良・不良のような結果をも容易に管理できるようになる。
ダイシングテープ上の個片化されたデバイス22のアライメントは、(イ)ラフアライメントプロセス、(ロ)ブリッジアライメントプロセス(実施しない場合もある)、(ハ) レファレンスチップアライメントプロセス、の3プロセスで進行する。なお、本発明は(ハ)として記述したレファレンスチップアライメントの方法に関するものである。
レファレンスチップの位置は、マップデータを介して与えられる。(イ)のラフアライメントは、ウェーハ21の角度を補正することと、ウェーハ21上の幾つかのチップ22の中心の座標を得ることである。ラフアライメントでは、ウェーハ21中心付近で1つのチップ22をサーチして、そのチップ中心の座標を求める。
続いてその1つ(または数個)右側のチップ22をサーチして、そのチップ中心の座標を求める。2つのチップ座標から角度を補正する。2番目のチップ22をサーチするのと同様なプロセスをウェーハエッジの手前まで繰り返して実行する。
図15は、個片化されたデバイスのアライメント位置をイメージ的に示したものである。通常のチップ22を細線の四辺形で示し、レファレンスチップを太線の四辺形で示している。また、ラフアライメント位置を中太線の四辺形で示し、後出のブリッジアライメント位置を破線の四辺形で示している。
ラフアライメントは、前述したように、まず中央付近(想定される中央チップ22の位置)でサーチし、次に1つ右側のチップ22、続いて2つ右側のチップ22をサーチして、ウェーハ右端付近までをサーチする。ウェーハ21がダイシングテープに貼り付けられること、ダイサリングが測定テーブルにロードされること、及びダイシングによる個片化でデバイス間隔が変化することのため、ウェーハ21の中央チップはずれるが、ラフアライメントを開始する時には、これらのズレが無いとして始める。これを想定される位置としている。
なお、ラフアライメントの詳細プロセスの説明は、ここでは省略する。ラフアライメントでは、サーチされたチップ22のマップ上の位置は確定できないので、想定されるマップ上の位置として実施する。そのためウェーハ21の端まではサーチしないこととする(図15でも右端より1つ内側までとしている。)。
ダイシングテープ上でデバイス22が個片化されると、デバイス間隔が変化する。デバイスサイズが小さい場合には、何デバイスか離れるとその間のデバイス数に1つ違いがあっても判らなくなる。そのためにラフアライメントでは、移動出来る最大デバイス数を設定する。図15では、この数が4であるように示した。
ラフアライメントが終了すると、ウェーハ21の角度は大体補正され、幾つかのデバイス22の座標は既知となるが、マップ上での配列としての位置は確定できない。そのため(ハ)のレファレンスチップアライメントを実施するが、ラフアライメントが終了してもすぐに実行できない。個片化されたデバイス22では、デバイス間隔が変化しているので、移動出来る最大デバイス数までしか移動してサーチできないからである。
図15のような場合には、レファレンスチップまで間隔が大きく離れているので、途中何箇所かサーチする必要がある。このプロセスをブリッジアライメントプロセスと称することとする。ブリッジアライメントの始めの位置は、ラフアライメントと同一行の位置として、補間計算して求める。
図15に示すように、ブリッジアライメントの2点目(移動出来る最大デバイス数だけ移動)、3点目と移動させてサーチを実施する。ブリッジアライメントが終了すると、(ハ)のレファレンスチップアライメントが実行できる。本発明は、(ハ)のレファレンスチップアライメントの方法に関するものである。
ブリッジアライメントでサーチされた位置は、マップとの整合性は取れていない。あくまでも想定された位置である。レファレンスチップアライメントは、レファレンスチップの固まり(集合体)をカバーする領域に対して実施する。
図16は、レファレンスチップアライメントのサーチ領域を示したものである。図16は、図15のウェーハ21に対して右上1/4部分のさらにその部分を切り出したものである。図16の例では、まず3×3の領域を1チップづつサーチする。3×3の範囲で確定できない場合には、5×5の範囲に広げる。さらに確定できない場合には、範囲を広げる。サーチ範囲の最大値は前もって決めておく。
レファレンスチップの固まり(集合体)がカバーする領域は、プリアライメント精度や個片化によるデバイス間隔の変位等により図17に示すようにずれる場合がある(図17ではレファレンスチップアライメントのサーチ領域が左・下に1チップずれている。)。チップサイズが小さい場合には、更にずれることが多い。このずれを検出することがレファレンスチップアライメントの目的であり、レファレンスチップアライメントを実施しなければこのずれは判らない。
以下の説明では、図15に示したウェーハ21に従って説明する。レファレンスチップの並びを2値化画像で表現すると図18に示すようになる。これを登録する。図18ではレファレンスチップを白(1)で、通常チップを黒(0)で示す。
図19は、レファレンスチップアライメントプロセスでのサーチ結果を示したものである。始めに3×3の範囲を図19(a)に、次に5×5の範囲をサーチした結果を図19(b)で示す。図19は、図17のように左・下に1チップずれているとした場合の結果である。
図18をモデルとして図19の画像に対する相関計算をすると、簡単に最もよく合致する位置が検出される(合致位置を図18および図19に+で示している。)。合致位置から容易に何チップずれているか判るので、マップデータとの対応がつけられる。
相関計算を使用する方法では、チップ無しの状態を取り入れることも容易である。状態の数を2値化→3値化のように変更する。通常チップを0、レファレンスチップを1、チップ無しを2とするように処理すれば対応できる。またレファレンスチップのみで判定するには、通常チップをdon’t care pixelとして処理すればよい。レファレンスチップ数が増加しても、相関計算を使用する上記方法は、同一の手続きで処理でき、合理的な結果が得られる。
レファレンスチップが無い場合には、ウェーハ21外周部の特徴あるチップ22有無のパターンを使用する。図20は、ウェーハ21および特徴パターン領域を示したものである。図では、特徴パターン領域として4×5の範囲をモデルパターンとして利用する例である。
図21に、登録されるウェーハ外周部の特徴あるパターンとして図20のモデルパターンの例を画像として示す。白はチップ有り、黒はチップ無しを表している。図15では、ブリッジアライメント位置を図に示したが、図20の場合には、ラフアライメント位置と特徴パターン領域が十分に近いのでブリッジアライメントは必要ない。しかし特徴パターンとして図20の第二特徴パターン領域を設定する場合には、ブリッジアライメントは必要となる。
レファレンスチップが無い場合の個片化されたデバイス22のアライメントは、(イ)ラフアライメントプロセス、(ロ)ブリッジアライメントプロセス(実施しない場合もある。)、(ニ) 特徴あるパターン周辺のアライメントプロセス、の3プロセスで進行する。
(イ)及び(ロ)はレファレンスチップがある場合と同一になるので省略する。図22は、図20のウェーハ21に対してラフアライメントが完了した後に、ウェーハ21外周部の特徴あるパターン領域をサーチした結果を示したものである。図22では、指定した範囲を登録されたパターンより縦・横ともに2チップ大きくした。図22は、ずれていない場合の結果を示している。図21をモデル画像として、図22に対して相関演算すれば、合致位置が得られる。合致位置の対応を図21および図22に+で示す。これにより、チップ22の位置はマップデータとの対応が取れるようになる。
チップ22をサーチする際に、チップ22が見つけられなかった場合があっても、チップ22が見つけられない個数が少ないときには相関演算から合致位置を得ることができる。ウェーハ21外周部の特徴あるパターン周辺のサーチ結果でチップ22が見つけられない場合に発生する状況を図23に示す。図23は、図22に対して1チップ見つけられない場合の3つの例を示したもので見つけらないチップ22位置を白い+で示した。
図23に対して図21をモデルパターンとして相関演算すれば、合致位置が得られる(合致位置を図23に黒い+で示す。)。図23(a)の例では、1チップ見つけられないため合致位置は2ヶ所となる。図23(b)及び図23(c)の例では合致位置は1ヶ所で、1チップ見つけられないことの影響はない。
図23(a)の例のような場合には、補足的な方法を追加する。補足的な方法として、モデルパターンを拡張することを用いる。図24に示すように、図21で登録したパターンを縦・横2チップ増やした範囲を新たに拡張された登録パターンとして使用する。拡張された登録パターンは図22と同じものになる。拡張された登録パターンを用いると、図23(a)の例では、結果は下側の+位置が答えられる。図23(a)の例の場合は、見つけたデバイス数が少なくなり、合致位置が2つになることで識別できる。そのような場合には、上記のような補足的方法を付加しておく。
このように本発明は、ウェーハマップとの対応を取るために、1チップを1画素として扱い、画像処理の相関演算を用いて論理判断するところを特徴とするチップ22の配列位置を求める方法である。
以上のように本発明によれば、位置決め用レファレンスチップを用いてウェーハマップとの対応がとれる。本発明によれば、位置決め用レファレンスチップが2次元配列で与えられた場合、その配列サイズによらず簡単に合理的な判定方法が得られる。
また本発明によれば、位置決め用レファレンスチップがない場合にも、ウェーハ21外周部の特徴あるパターン部分を用いてウェーハマップとの対応がとれ、簡単に合理的な判定方法が得られる。
なお、前述の実施の形態において、「領域」がウェーハ21上に形成されたデバイスチップ22であり、「領域集合体」がウェーハ21であり、「対象物」が電極11である場合の、
デバイスチップ22内の電極11の位置を検出する方法について説明した。また、「領域」がダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップ22がウェーハ状に配列された全領域を含む領域であり、「対象物」がダイシングテープ上で個片化されたデバイスチップ22である場合の、ウェーハ状に配列内のデバイスチップ22の位置を検出する方法について説明した。
しかし、本発明は前述の2つの場合に限らず、種々の「対象物」、「領域」、「領域集合体」について適用することができる。