JP2007032188A - プシュ・プル錠 - Google Patents

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田島英幸
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Abstract


【課題】 エンドユーザーが、プッシュ・プル仕様と、片面的仕様とを、自由に選択することができること。
【解決手段】 押圧片によって移動可能な第1摺動体と第2摺動体を錠箱内に設け、一方、錠箱内に前板7Aの縦長嵌合孔14Aに垂直の嵌合板部分81が位置するように該錠箱内にブロック片40Aを逆様自在に設け、仕様態様の切替え時、まず、前板7Aのフロント7bを裏板7aから取り外し、次に、ブロック片40Aを逆様にして前板7Aの裏板7aにセットし、次に、前記フロント7bを裏板7aに固定すると、前記嵌合板部分81の中央部からずれた部位から水平方向に突出する規制部分82が第2摺動体47の先端部に対向して該第2摺動体の前進が阻止され、本来的なプッシュ・プル仕様から片面的仕様態様に切り替わるプシュ・プル錠。
【選択図】 図8

Description

本発明は、プシュ・プル錠に関し、特に扉の開扉時に内外の操作ハンドルをそれぞれプル又はプッシュすると、錠箱内のラッチの係止解除機構により、ラッチ用施錠片がロック解除の方向へ回転するプシュ・プル錠に関する。
特許文献1、特許文献2には、「扉の取付け場所(例えばドアクローザが必要ない室内扉)を考慮し、ユーザーが錠箱の前板から見える回動ボタンの操作部を操作すると、プッシュ・プル仕様から片面的仕様(プル仕様、又はプッシュ仕様)へと切り換るプッシュ・プル錠の具体的構成」が開示されている。
これらの発明は、例えばトイレ、寝室等の室内扉の操作ハンドルをプッシュして当該室内側(向こう側)へ勢い良くプッシュして開扉する場合、また、勝手口の扉を室内側の操作ハンドルを操作して室外側へとプッシュして開扉する場合に於いて、ドアクローザが建具に取付けられていないときに有益である。
その理由は、プッシュ・プル仕様から片面的仕様(例えばプル仕様)に切り換えると、扉を開ける場合には、一旦手前側にプル操作して扉を開ける必要があるから、扉を向こう側或いは室外側へ勢い良く開扉する事態(お年より等がバランスを崩すこと)を極力防ぐことができるからである。
ここで、後述する本願発明との対比上、特許文献1に記載の発明を、図1乃至図7を参照にして説明する。なお、特許文献1には、その構成及び作用が詳細に記載されているが、公報を援用することは禁止されているので、ここで、第1実施例について説明する。
(a)従来の第1実施例
図1乃至図7は、特許文献1の第1実施例を示す各説明図である。まず、図1は発明を構成する環境全体を示す。この図1に於いて、Xは錠箱の上部空間に配設されたラッチの係止解除機構、Yは錠箱の下部空間に配設されたサムターン錠の締め出し防止機構、1は戸枠、2は受け金具、3は受け金具の縁、4は扉、5は扉の自由端部内に設けた錠前(プッシュ・プル錠)、6は錠箱、7は錠箱の前板、8はラッチ枠部である。
前記錠箱6には、前板7に対して回動可能に設けられた回動ボタン40を回動操作すると、プッシュ・プル錠におけるラッチ施錠片の解除態様が、プッシュ・プル仕様又はプル仕様のいずれかに切り替わるラッチの係止解除機構Xと、開扉の時に不注意によりラッチを施錠した状態で扉を閉めた時にラッチの施錠状態が自動的に解錠状態となるサムターン錠の締め出し防止装置Yとが設けられている。
(b)図2−錠箱6の構成
次に、図2は錠箱6の構成を示す。また、図3はラッチ枠部8、ラッチ30、ラッチ作動杆33等を示す。これら図2、図3に於いて、6aはケース身、6bはケース蓋、7は前板(裏板7aとフロント7b)、8はラッチ枠部、9は前板7の中央部に形成された開口窓である。
前記ラッチ枠部8は、図3で示すように、上壁8aと、下壁8b、後壁8cとを有する端面コ字型形状である。そして、前記上壁8aにはラッチの係止解除機構Xを構成するラッチ施錠片(第1施錠片)60用の第1受入れ孔10が形成され、一方、下壁8bには、第2施錠片71用の第2受入れ孔11が形成されている。また、第1・第2受入れ孔10,11は、開口窓9側から前記後壁8cに向かって形成された水平長孔である。またラッチ枠部8の後壁8cの一側壁には、上下方向の一部に作動杆33用の切欠部12が形成されている。
図2に戻って、14は前板7に形成された回動ボタン用の支持部(嵌合孔)で、この嵌合孔14の後方には、前板7に所要間隔離間して垂直状態の受け片15が突設されている。
また、16は前記受け片15を基準にして上下に設けられた第1摺動体用の上方水平案内部、一方、17は錠箱6の下方隅角部に形成されたサムターンダルマ用軸孔18を基準にして上下かつオフセット状態に設けられたリリーススライダー用の下方水平案内部である。
また、18はサムターンダルマ用軸孔、20は錠箱6の上部側に形成された操作ハンドルに連動する、或いは操作ハンドルの水平軸に一体的に固定された押圧片48,49用の矩形状窓孔である。
さらに、錠箱6には固定軸が複数個配設されている。固定軸を上方から順番に説明すると、21は第1固定軸、22は第2固定軸、23は第3固定軸、24は第4固定軸、そして、25は錠箱の底壁の中央部に設けられた第5固定軸である。
(c)ラッチなど−図3
次に、図3に於いて、30はラッチ、30aは開口縁3と摺接する衝止面、30b,30bは回転軸機能、係合機能等を有する突起部、30c,30cはラッチの後端部、31は後端部に形成されバネ端収納部である。
また、32はラッチバネで、この一端部32aは、ラッチの作動杆33の端面L型状先端部34に圧接し、一方、その他端部32bはラッチ枠部8の後壁8c内面に圧接する。
また、33はラッチの作動杆、34は作動杆の先端部、34aはラッチバネ32の一端部32aを受けるバネ端支持壁、34bは支持壁34aと交差する先端部一側壁、35はラッチ枠部8の切欠部12に案内される摺動壁である。しかして、前記バネ端支持壁34aの内壁面と後端部の前壁面との間には、バネ収納空間36が設けられている。また前記後端部には、その後壁面の上端部寄りの部位から底壁面に向かって傾斜状の係合面37aを有する係合切欠部37が形成されている。
(d)回動ボタンなどー図4
次に、図4は主要部材を示す。40は前板7に対して回動可能に設けられた回動ボタンである。41は周胴部で、この周胴部41は錠箱6の裏板7aの内壁面と受け片15の空間部に位置する。42は周胴部41の外周壁面に半径方向に突設された羽状の1又は2以上のストッパー部で、このストッパー部42は、回動ボタン40の回転位置如何によって後述する第2摺動体47の前進を規制する機能を果す。43は周胴部41の前面に突設された嵌合突起で、この嵌合突起43は前板7の嵌合孔14に嵌合する。嵌合突起43の前面は、フロント7bの前面と面一であり、図示しない小ドライバー用の溝43aを有する。44は周胴部41の後面に形成されたバネ支持部で、このバネ支持部44は凹所状に形成されている。
また、45はバネ支持部44と受け片15との間に設けられた押圧バネで、この押圧バネ45は周胴部41の前面を前板7の内壁面に押し付ける。
(e)摺動体46.47などー図5
次に、図5は錠箱5の上方の収納空間に水平状態に配設されたプッシュ・プル用摺動体46,47と摺動体用付勢バネ52を示す。なお、ここでは外枠の摺動体を第1摺動体46、一方、外枠の摺動体内に組み込まれた枠状の摺動体を第2摺動体47とする。また、外側の操作ハンドルに連動する部材を上方の押圧片48とし、一方、内側の操作ハンドルに連動する部材を下方の押圧片49とする(図1参照)。
まず、外枠の第1摺動体46は、複数個の係合突起を介して錠箱6の上方水平案内部16に水平動自在に設けられている。しかして、46aは上壁部、46bは下壁部、46cは上下壁部と直交する後壁部、46dは後壁部に対して所要の空間を有して対向する前壁部である。前記後壁部46cの内壁面は前述した上下の押圧片48,49を受ける受け板の機能を有する。また前記下壁部46bの一部には揺動レバー55用の切欠部51が形成されている。さらに、前記前壁部46dは摺動体用付勢バネ52の一端部を受ける機能や受け片15と当接する機能を有する。しかも、前壁部46dは上下壁部46a,46bの先端部寄りの部位に設けられていると共に、ケース身6aの幅広側壁側には、第2摺動体47の移動を許容する図示しない切欠部を有している。
次に、内側の第2摺動体47は、横長のコ時型形状に形成され、回動ボタン40及び上下の押圧片48,49にそれぞれ関連付けられて(回動ボタン40のストッパー部42に対向可能、押圧片48,49に係合する意味)外枠第1摺動体46内に水平動自在に設けられている。
しかして、47aは内側の上壁部、47bは内側の下壁部、47cは上下壁部47a,47bと直交する内側の後壁部、47dは後壁部と対向するバネ受け用隔壁、47eは回動ボタン40のストッパー42と関係する先端部である。
前記内側の上下壁47a,47bの先端部寄りの部位には、逃し用切欠部53が形成され、また前記内側の下壁47bの一部には、揺動レバー用の切欠部51と同様の内側切欠部54が形成されている。さらに、前記バネ受け用隔壁47dは前述した摺動体用付勢バネ52の他端部を受ける。したがって、摺動体用付勢バネ52は、第1及び第2摺動体46,47内に組み込まれている。
(f)揺動レバー55など−図1
次に図1を参照にして揺動レバー55等について説明する。55は第2固定軸22に軸支された揺動レバーである。この揺動レバー55の上方のアーム部56は、第1及び第2摺動体46,47の各切欠部51,54に係合している。一方、アーム部56に連設する下方部分にはバネ受け部57が形成されている。前記アーム部56の先端部には係合突起56aが設けられ、この係合突起56aは、ラッチ用第1の施錠片60の上辺部分と常に係合している。
また、58は第2固定軸22に巻装された揺動レバー用バネで、このバネ58は揺動レバー55のアーム部56が常時第1及び第2摺動体46,47の各切欠部51,54に係合する方向へと付勢する。
また、60は第1固定軸21に軸支された長板状の第1の施錠片で、この第1の施錠片の先端部側には、ラッチ枠部8の第1受入れ孔10から入り込んでラッチ30の突起部30bと係脱する幅広の第1係合部61が設けられている。一方、第1の施錠片の後端部側には、第1摺動体46の後端下部と当接する傾斜状の第2係合部62が設けられている。
また、63は第1固定軸21に中央部が巻装された第1施錠片用バネで、この第1施錠片用バネ63は、前記第1係合部61がラッチ30の突起部30bに係合する方向へ常時付勢する。
(g)作用の1−図6
前述したように、この実施例では、前板7の手前から図示しないドライバーの先を溝43aに差し込み、回動ボタン40を回動操作すると、プッシュ・プル錠におけるラッチ施錠片60の解除態様が、プッシュ・プル仕様又はプル仕様(又はプッシュ仕様)のいずれかに切り替わる。
まず、図6は回動ボタン40の羽状ストッパー部42,42が水平状態の場合、当該操作ハンドル(内外の操作ハンドル如何を問わない)を「プル(引く操作)」又は「プッシュ(押す操作)」した場合である。この場合プッシュ・プル錠は、本来的意味でのプッシュ・プル仕様である。
すなわち、外側の操作ハンドルであろうと、又は内側の操作ハンドルであろうと、手にした当該操作ハンドルを「プル」又は「プッシュ」すると、第1摺動体46は後退方向へ、又は第2摺動体47は前進方向へそれぞれ移動する。その結果、ラッチ施錠片60はダイレクトに、又は揺動レバー55を介して係合解錠方向へ回動(揺動)する。
図1、図6に於いて、回動ボタン40の羽状ストッパー部42,42が水平状態である。そこで、説明の便宜上、第1摺動体46がプル用として機能した場合(プル用摺動体)、一方、第2摺動体47がプッシュ用として機能した場合(プッシュ用摺動体)をその作用の一例として説明する。
すなわち、ここでは外枠の第1摺動体46(一方)を、内外の操作ハンドルを「プル(引く操作)」した時に水平移動するプル用摺動体とし、内側の第2摺動体47(他方)を、内外の操作ハンドルを「プッシュ(押す操作)」した時に水平移動するプッシュ用摺動体とする。
また、錠箱6の窓孔20からは、内外の操作ハンドルの上下の押圧片48,49が水平状態に入り込んでいるが、図1を基準にして上の押圧片48が後退(錠箱の後壁に向かって移動)する場合は「プル時」とし、一方、図1を基準にして下の押圧片49が前進(錠箱の前板に向かって移動)する場合は「プッシュ時」とする。
このような前提にて、例えば外側操作ハンドルのプル時(或いは内側操作ハンドルのプル時)には、外枠の第1摺動体46は上方の押圧片48に押されて図6矢印Aの方向に移動する。
したがって、ラッチ施錠片60は第1摺動体46の後壁46c下部に押されることになるから、第1固定軸21を支点にバネ63のバネ力に抗して係合解除の方向へダイレクトに回動する。
一方、内側操作ハンドルのプシュ時には、今度は内側の第2摺動体47が下方の押圧片49に押されて図6矢印Bの方向に移動する。
したがって、ラッチ施錠片60は、揺動レバー55がそのバネ58のバネ力に抗して反時計方向に回動(揺動)することになるから、第1固定軸21を支点に係合解除の方向へ回転する。
なお、図6の場合に於いて、例えば内側操作ハンドルのプル時には、外枠の第1摺動体46は下方の押圧片48に押されて図6矢印Aの方向に移動する。また内外操作ハンドルのプシュ時には、内側の第2摺動体47の上下壁47a,47bの先端部47e,47eは、回動ボタン40の羽状ストッパー部42,42の上下にそれぞれ入り込む。
(h)作用の2−図7
これに対して、図7は回動ボタン40の羽状ストッパー部42,42が垂直状態である。この場合には、プッシュ・プル錠におけるラッチ施錠片60の解除態様が、プッシュ・プル仕様から、いずれか一方の仕様(例えばプル仕様)に切り替わる。
この実施例では、内外の操作ハンドルのプル時に上下の押圧片48,49が図6の矢印A方向へ移動することを前提にしているので、かような前提条件の場合には、プッシュ操作時、内側の第2摺動体47の前進は、可動ポタン40の羽状ストッパー部42,42に阻まれるので、プッシュ操作でのラッチ施錠片60の係合解除は不可ということになる。
一方、プル操作時、外側の第1摺動体46は上下いずれかの押圧片48,49によって矢印A方向へ移動可能なので、ラッチ施錠片60は前述したように係合解除の方向へ回転する。したがって、図7の仕様は、本来的なプッシュ・プル仕様でないから、片面的仕様(プル仕様)ということになる。なお、また、締め出し防止装置Yについての説明は割愛する。
特開2004−211529号公報 特開2004−225384号公報 特開2002−129796号公報
本発明の第1の目的は、エンドユーザーが、前板7Aのフロント7bを取り外し、かつ、ブロック片40A(40B)を逆様にして前板7Aの裏板7aにセットすると、プッシュ・プル仕様から片面的仕様(プル仕様、又はプッシュ仕様)に切替えることができること。第2の目的は、規制対象の摺動体(第1実施例)又は同調部材(第2実施例)の所定方向への移動を確実に阻止することができること。第3の目的は、摺動体や同調部材の先端部の形状に関する設計の自由度を高めること。第4の目的は、実施例によっては、切替え時、ブロック片40A(40B)を裏板7aから簡単に取り外すことができることである。
本発明のプシュ・プル錠は、押圧片によって移動可能な第1摺動体と第2摺動体を錠箱内に設け、一方、錠箱内に前板7Aの縦長嵌合孔14Aに垂直の嵌合板部分81が位置するように該錠箱内にブロック片40Aを逆様自在に設け、仕様態様の切替え時、まず、前板7Aのフロント7bを裏板7aから取り外し、次に、ブロック片40Aを逆様にして前板7Aの裏板7aにセットし、次に、前記フロント7bを裏板7aに固定すると、前記嵌合板部分81の中央部からずれた部位から水平方向に突出する規制部分82が第2摺動体47の先端部に対向して該第2摺動体の前進が阻止され、本来的なプッシュ・プル仕様から片面的仕様態様に切り替わることを特徴とするプシュ・プル錠。
また、本発明のプシュ・プル錠は、ハンドルをプル又はプッシュすると、錠箱6A内に突出するハンドル側の揺動片51Aの駆動力により、かつ、付勢手段40Fの付勢力に抗して水平移動する同調部材39A、この同調部材39Aに連動するようにラッチロッド33Aに案内される可動枠部材32A内に組み込まれた可動ストッパー38A、この可動ストッパー38Aを介して可動枠部材32Aの規制を解消するラッチ用仮施錠の解錠機構を備えたプッシュ・プル錠に於いて、前記錠箱内に前板7Aの縦長嵌合孔14Aに垂直の嵌合板部分81が位置するように該錠箱内にブロック片40Bを逆様自在に設け、仕様態様の切替え時、まず、前板7Aのフロント7bを裏板7aから取り外し、次に、ブロック片40Bを逆様にして前板7Aの裏板7aにセットし、次に、前記フロント7bを裏板7aに固定すると、前記嵌合板部分81の中央部からずれた部位から水平方向に突出する規制部分82が同調部材39Aの先端部に対向して、該同調部材39Aの前進が阻止され、本来的なプッシュ・プル仕様からプル仕様から片面的仕様態様に切り替わることを特徴とする。
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、次に列挙するような効果がある。
(1)請求項1、請求項4に記載の発明は、エンドユーザーが建物の扉の取付け場所を考慮し、プッシュ・プル仕様と、片面的仕様(プル仕様、又はプッシュ仕様)とを、自由に選択することができる。
(2)仕様態様の切替え時、まず、前板7Aのフロント7bを裏板7aから取り外し、次に、ブロック片40A(40B)を逆様にして前板7Aの裏板7aにセットし、次に、前記フロント7bを裏板7aに固定すると、前記嵌合板部分81の中央部からずれた部位から水平方向に突出する規制部分82が第2摺動体47の先端部に対向するので、多少手間がかかるものの、例えばプッシュ・プル仕様から片面的仕様に、又は片面的仕様から本来的なプッシュ・プル仕様に切替えることができる。なお、フロント7bを裏板7aから取り外さなければ、ブロック片40A(40B)を逆様にすることができないので、簡単に悪戯されないという利点がある。
(3)また、ブロック片40A(40B)は、嵌合板部分81と、該嵌合板部分81の中央部からずれた部位から水平方向に突出する規制部分82とか成るので、規制対象の摺動体(第1実施例)又は同調部材(第2実施例)の所定方向への移動を確実に阻止することができると共に、摺動体や同調部材の先端部の形状に関する設計の自由度を高めることができる。
(4)請求項2、請求項5に記載の発明は、シンプルな構造により、ブロック片40A(40B)を前板の所定位置に簡単にセット(支持)することができる。
(5)請求項3、請求項6に記載の発明は、切替え時、簡単にブロック片40A(40B)を裏板7aから取り外すことができる。
まず、図8乃至図13を参照にして、本発明の第1実施例を説明する。なお、本発明の各実施例の説明に当たって、従来の実施例と同一又は同様(機能が同一)の部分には、同一又は同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
この第1実施例が、例えば前記従来の一実施例(公知例)と異なる点は、次の通りである。
(1)従来の仕様変換部材は、操作部としての嵌合突起43が前板7の嵌合孔14に回転自在に設けられた回動ボタン40であるのに対して、この実施例の仕様変換部材は、前板7Aの裏板7aに係止状態にセットされたブロック片40Aである点。
(2)前板7Aの裏板7aの方に縦長嵌合孔14Aを形成する反面、前板7Aのフロント7bには縦長嵌合孔14Aを形成していない点。すなわち、裏板7aには、縦長嵌合孔14Aを塞ぐフロント7bが複数個の固着具85を介して固定されている。
(3)ブロック片40Aは、前板7Aの縦長嵌合孔14Aに嵌合し、かつ、磁性体としての垂直の嵌合板部分81と、該嵌合板部分81から水平方向に突出する縦断面L型形状の規制部分82とから成っている。そして、ブロック片40Aは、前板7Aの縦長嵌合孔14Aに垂直の嵌合板部分81が位置するように該錠箱内にブロック片40Aを逆様自在に設けられている。
(4)仕様態様の切替え時、図13で示すように、前板7Aのフロント7bを裏板7aから取り外し、次に、ブロック片40Aを錠箱6内から引き抜くために、図示しない金属部材や磁石部材をブロック片40Aの嵌合板部分81の前面に宛がい、磁性体の吸着力を利用して、該ブロック片40Aを裏板7aから取り外した後に逆様にして前板7Aの裏板7aに再びセットする。この時、逆様状態のブロック片40Aは、その嵌合板部分81が裏板7aの裏面に突出形成した上下一対の係合爪片83に係止状態で支持される。
(5)次に、フロント7bを裏板7aに固着具85を介して固定すると、嵌合板部分81の中央部からずれた部位から水平方向に突出する規制部分82が第2摺動体47の先端部に対向して、該第2摺動体の前進が阻止され、本来的なプッシュ・プル仕様から片面的仕様態様に切り替わる。
上記構成に於いて、図12は、図6と同様のプッシュ・プル仕様時の作動状態の説明図である。この場合、ブロック片40Aの突起状の規制部分82は、受け片15の前面に位置するように下方に位置していることから、例え第2摺動体47が下の押圧片49に押圧されると、その上方先端部47eは垂直の嵌合板部分82に当接可能な位置まで移動である。つまり、第2摺動体47は規制部分82に当接することなく、矢印B方向へ移動可能である。また、第1摺動体46は上の押圧片48に押圧されると、矢印A方向へ移動可能である。したがって、図8、図9、図12は、本来的なプッシュ・プル仕様の各説明図である。
これに対して、図13で示すようにブロック片40Aを逆様にセットすると、図14で示すように片面的仕様(例えばプル仕様)となる。換言すると、図14は図7と同様の片面的仕様(例えばプル仕様)時の作動状態の説明図である。この場合には、規制部分82が第2摺動体47の先端部に対向して該第2摺動体の前進が阻止され、本来的なプッシュ・プル仕様から片面的仕様態様に切り替わる。
次に、図15乃至図18を参照にして、本発明の第2実施例を説明する。第2実施例は、特許文献2、特許文献3に記載の錠前に本発明を適用したものである。したがって、第2実施例は、錠前5Aの構造が相違する点及びブロック片40Bが多少シンプルな構成となっている点を除き、第1実施例と発明の本質的事項は同一である。
なお、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を割愛する。また、第2実施例の錠前5Aの構成・作用を説明するにあたって、特許文献2、特許文献3と同一の部分には、同様の符号(例えばAを付加)を用いることにする。
したがって、1Aは戸枠、2Aは受け金具、3Aは縁、4Aは扉、5Aは錠前(プッシュ・プル錠)、7Aは前板等である。また、16Aは揺動片(押圧片)用の窓、32Aは可動枠部材、33Aはラッチロッド、34Aはラッチ用支持ブロック、35Aはラッチ等である。さらに、40Bはブロック片、14Aは縦長嵌合孔、81は嵌合板部分、82は規制部分等である。
さて、第2実施例の錠前5Aの錠箱6A内には、プッシュ及びプルの操作が可能な内側ハンドルを操作すると、該ハンドル側の揺動片(押圧片)51Aの駆動力によって左右(フロント側又はケースの後壁側)にそれぞれ水平移動する一つの同調部材39A(枠状摺動部材)と、この同調部材39Aが水平動すると、該同調部材の上方に配設された板状係合保持部材41Aを介して係合解除の方向(上方方向)に内装ばね48Aのバネ力に抗して持ち上げられる可動ストッパー38Aと、該可動ストッパー38Aによって規制が解消され、かつ、反転式のラッチ35Aの回動に伴い、後方配設のばね部材37Aのバネ力に抗して錠箱6Aの後壁側へラッチロッド33Aを介して後退する枠状可動枠部材32Aが組み込まれている。
前記ラッチ35Aの仮施錠時(可動ストッパー38Aが上方の内装バネ48Aのバネ力により下方に下降している場合)に於いて、同調部材39Aは、錠箱A6の下部に左右対称に配設された付勢手段40F(可動ブロック40a,付勢ばね40b)の付勢ばね40bのバネ力により、可動枠部材32Aに間接的に係合する位置へと自動的に復帰する。この時、前記可動ストッパー38Aは下降しており、係合保持部材41Aの先端係合部は、逆コ字型状の同調部材39Aの上壁面に形成された凹所状の被係合部に係合する。
上記構成に於いて、可動ストッパー38Aは、可動枠部材32Aに設けた係止部と係脱されると共に、係止部と係合することにより可動枠部材32Aの移動を規制してラッチ35Aを仮施錠状態にロックする。
したがって、この錠前5Aは、図示しないハンドルをプル又はプッシュすると、錠箱6A内に突出するハンドル側の揺動片54Aの駆動力により、かつ、付勢手段40Fの付勢力に抗して水平移動する同調部材39A、この同調部材39Aに連動するようにラッチロッド33Aに案内される可動枠部材32A内に組み込まれた可動ストッパー38A、この可動ストッパー38Aを介して可動枠部材32Aの規制を解消するラッチ用仮施錠の解錠機構を備えたプッシュ・プル錠である。
そして、本発明は、前記錠箱6Aの前板7Aの縦長嵌合孔14Aに、仕様変換部材(ブロック片)40Bを設けている。このブロック片40Bは、前述した同調部材39Aの突起状先端部39aが一つであるものの、基本的構成は同一である。
したがって、図17は、本来的なプッシュ・プル仕様の説明図であり、一方。図18は、突起状の規制部分82が同調部材39Aの先端部に対向して、該同調部材39Aの前進が阻止され、本来的なプッシュ・プル仕様からプル仕様から片面的仕様態様に切り替わる説明図である。
第1実施例及び第2実施例に於いて、ブロック片40A(40B)の規制部分82は縦段面L型形状であるが、この部分は、任意に設計変更(例えば段面横T型形状)可能である。もちろん、段面横T型形状のブロック片に設計変更した場合には、突起状の規制部分82を垂直の嵌合板部分81の中央部からずれるように位置付ける必要がある。このように形状を設計変更しても、本発明の目的・効果を充足する限り、構成は同一である。
また、ブロック片40A(40B)の垂直の嵌合板部分81は磁性体であるが、規制部分82も磁性体にしても良い。また、ブロック片40A(40B)が磁性体でない場合には、ブロック片40A(40B)をドライバー等の工具を利用して前板7Aから簡単に取り出せるように、例えば裏板7aの縦長嵌合孔14Aの上下の開口縁に小切欠を形成する、垂直の嵌合板部分81の前面に小さな引っ掛け部分を形成する、縦長嵌合孔14Aに対して嵌合板部分81を遊嵌合状態に嵌め込む等の工夫をしても良い。さらに、ブロック片40A(40B)を係止する構成は任意に設計変更可能である。
図1乃至図7は、従来の実施例を示す各説明図。図8乃至図14は、本発明の第1実施例を示す各説明図。図15乃至図18は、本発明の第2実施例を示す各説明図。
扉の閉戸時における本来的なプッシュ・プル仕様態様を示す概略説明図。 ケース身を主とした錠箱の説明図。 ラッチ、ラッチ枠部、作動杆等の説明図。 回動ボタン等の説明図。 第1・第2摺動体等の説明図。 プッシュ・プル仕様時の作動状態の説明図。 片面的仕様(例えばプル仕様)時の作動状態の説明図。 本発明の第1実施例を示す図1と同様の概略説明図。 図8に於いて、主要部の拡大図。 (a)はブロック片の正面側からの斜視図、(b)はブロック片の背面側からの斜視図。 前板、ブロック片、摺動体の各説明図。 図6と同様のプッシュ・プル仕様時の作動状態の説明図。 ブロック片を逆様にセットする場合の概略説明図。 図7と同様の片面的仕様(例えばプル仕様)時の作動状態の説明図。 本発明の第2実施例を示す図8(図1)と同様の概略説明図。 図9と同様の拡大説明図。 図12(図6)と同様のプッシュ・プル仕様時の作動状態の説明図。 図14(図7)と同様の片面的仕様(例えばプル仕様)時の作動状態の説明図。
符号の説明
X…ラッチの係止解除機構、1,1A…戸枠、2,2A…受け金具、3,3A…縁、4,4A…扉、5、5A…錠前(プッシュ・プル錠)、6,6A…錠箱、7,7A…前板、7a…裏板、7b…フロント、8…ラッチ枠部、9…開口窓、14…嵌合孔、14A…縦長嵌合孔、15…受け片、16A…揺動片(押圧片)用の窓、20…窓孔、21〜25…固定軸、30…ラッチ、32…ラッチバネ、33…作動杆、37…係合切欠部、37a…係合面、40…回動ボタン、40A,40B…仕様変換部材(ブロック片)、46…第1摺動体、47…第2摺動体、48,49…押圧片、51,54…揺動レバー用の切欠部、55…揺動レバー、56…アーム部、58…揺動レバー用バネ、60…ラッチ用施錠片、61…第1係合部、62…第2係合部、63…施錠片用バネ、81…垂直の嵌合板部分、82…突起状規制部分、83…係合爪片、85…固着具、47e…摺動体の先端部、32A…可動枠部材、33A…ラッチロッド、34A…ラッチ用支持ブロック、35A…ラッチ、38A…可動ストッパー、51A…揺動片(押圧片)、39A…同調部材(枠状摺動部材)、39a…突起状先端部、40F…付勢手段、40a…可動ブロック,40b…付勢ばね、41A…係合保持部材。

Claims (6)

  1. 押圧片によって移動可能な第1摺動体と第2摺動体を錠箱内に設け、一方、錠箱内に前板7Aの縦長嵌合孔14Aに垂直の嵌合板部分81が位置するように該錠箱内にブロック片40Aを逆様自在に設け、仕様態様の切替え時、まず、前板7Aのフロント7bを裏板7aから取り外し、次に、ブロック片40Aを逆様にして前板7Aの裏板7aにセットし、次に、前記フロント7bを裏板7aに固定すると、前記嵌合板部分81の中央部からずれた部位から水平方向に突出する規制部分82が第2摺動体47の先端部に対向して該第2摺動体の前進が阻止され、本来的なプッシュ・プル仕様から片面的仕様態様に切り替わることを特徴とするプシュ・プル錠。
  2. 請求項1に於いて、裏板7aの内壁面には、垂直の嵌合板部分81の端部をそれぞれ係止する複数個の係合爪片83が設けられていることを特徴とするプシュ・プル錠。
  3. 請求項1に於いて、ブロック片40Aの規制部分82は、縦断面L状に形成され、かつ、少なくともブロック片40Aの垂直の嵌合板部分81は磁性体であることを特徴とするプシュ・プル錠。
  4. ハンドルをプル又はプッシュすると、錠箱6A内に突出するハンドル側の揺動片51Aの駆動力により、かつ、付勢手段40Fの付勢力に抗して水平移動する同調部材39A、この同調部材39Aに連動するようにラッチロッド33Aに案内される可動枠部材32A内に組み込まれた可動ストッパー38A、この可動ストッパー38Aを介して可動枠部材32Aの規制を解消するラッチ用仮施錠の解錠機構を備えたプッシュ・プル錠に於いて、前記錠箱内に前板7Aの縦長嵌合孔14Aに垂直の嵌合板部分81が位置するように該錠箱内にブロック片40Bを逆様自在に設け、仕様態様の切替え時、まず、前板7Aのフロント7bを裏板7aから取り外し、次に、ブロック片40Bを逆様にして前板7Aの裏板7aにセットし、次に、前記フロント7bを裏板7aに固定すると、前記嵌合板部分81の中央部からずれた部位から水平方向に突出する規制部分82が同調部材39Aの先端部に対向して、該同調部材39Aの前進が阻止され、本来的なプッシュ・プル仕様からプル仕様から片面的仕様態様に切り替わることを特徴とするプシュ・プル錠。
  5. 請求項4に於いて、裏板7aの内壁面には、垂直の嵌合板部分81の端部をそれぞれ係止する複数個の係合爪片83が設けられていることを特徴とするプシュ・プル錠。
  6. 請求項4に於いて、ブロック片40Bの規制部分82は、縦断面L状に形成され、かつ、少なくともブロック片40Bの垂直の嵌合板部分81は磁性体であることを特徴とするプシュ・プル錠。
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