JP2007031881A - アセトアルデヒドの発生が少ないポリエステル繊維 - Google Patents

アセトアルデヒドの発生が少ないポリエステル繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】アセトアルデヒドの発生を低減できるポリエステル繊維を得る。
【解決手段】ポリエステルとメタキシレン基含有ポリアミドをメタキシリレン基含有ポリアミドが0.1重量%から5重量%以下となるよ混合し、常法により、溶融紡糸を行いポリエステル繊維を得る。該繊維は、長期間使用あるいは熱処理などによるシックハウス症候群の原因となるアセトアルデヒドの発生が少なく、建築物、車両などの室内あるいは食品に接触する不織布などに用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、長期使用あるいは熱処理などによるアセトアルデヒドの発生が少ないポリエステル繊維に関する。
ポリエステル繊維は、機械的強度、耐薬品性、耐熱性等に優れているため、衣料や詰綿をはじめ、産業資材や家庭用品、衛生材料、人工皮革等の幅広い分野で用いられている。
しかし、ポリエステル繊維は、溶融重縮合時副生物としてアセトアルデヒド(以下、AAと略称することがある)を生成し、溶融紡糸時、あるいは種々成型加工時、熱分解によりアセトアルデヒドを生成する。そのため、得られた繊維内のアセトアルデヒドの含有量が多くなり、該ポリエステル繊維を使用時にアセトアルデヒドを大気中に放出する問題がある。
したがって、従来よりポリエステル繊維からアセトアルデヒドを発生させることを低減する方法が取られてきている。例えば、他の消臭性能を持つ繊維あるいはシートを併用する方法(例えば、特許文献1)が提案されている。また、ポリエステル繊維に光触媒によりアセトアルデヒドを分解する性能を付与する方法(例えば、特許文献2)が提案されている。その他アセトアルデヒドを消臭する剤を繊維に担持させることによりアセトアルデヒドを低減する方法(例えば、特許文献3、4)が提案されている。さらにはアセトアルデヒドを消臭する剤(例えば、特許文献5)が提案されている。
しかし、これらの技術はいずれも発生したアセトアルデヒドを消臭あるいは吸着することにより大気から低減するものである。また担持させる方法では繊維を紡糸後の工程で改めて剤を付与する必要がある。特にバインダーを使用した方法ではバインダーによる工程の汚れあるいは成型時などに脱落の問題などが発生する。特許文献5などのように無機系で紡糸時に練り込むことで性能を付与する方法もあるが、繊維からの発生を抑えることはできず、消臭するためには繊維表面に存在する剤しか活用できないため練り込み量を増やし繊維表面に存在する剤を増やす必要がある。
特開2004−65641号公報 特開2004−169220号公報 特開2004−24330号公報 特開平10−292268号公報 特開2002−200149号公報
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、ポリエステル繊維製造時に練り込むことによりポリエステル繊維から発生するアセトアルデヒドを低減できるポリエステル繊維を提案するものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、メタキシリレン基含有ポリアミドをポリエステル繊維に含有させることで、アセトアルデヒドを低減できることを知見し、遂に本発明を完成するに到った。
即ち本発明はメタキシリレン基含有ポリアミドを0.1重量%から5重量%以下含有することを特徴とするポリエステル繊維である。
本発明のポリエステル繊維は、副生物としてアセトアルデヒドを生成しやすい溶融重縮合工程、熱分解によりアセトアルデヒドを生成しやすい溶融紡糸工程、あるいは種々成型加工工程を経た繊維でもアセトアルデヒドの発生を低減できるものである。したがって、シックハウス症候群の原因となるアセトアルデヒドの発生を低減できるため、建築物あるいは車両などの内装材あるいは吸音材などに使用することができる。また食料品などのトレーマットに使用されている不織布の素材としても使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステルは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステルであって、好ましくはエチレンテレフタレ−ト単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95%以上含む線状ポリエステルである。
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコ−ルなどが挙げられる。
さらに、前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコ−ル成分としてグリセリン、ペンタエリスリト−ルを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
前記のポリエステルは、テレフタル酸とエチレングリコ−ルおよび必要により上記共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、重縮合触媒としてSb化合物、Ge化合物、Ti化合物またはAl化合物から選ばれた1種またはそれ以上の化合物を用いて減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ルおよび必要により上記共重合成分をエステル交換触媒の存在下で反応させてメチルアルコ−ルを留去しエステル交換させた後、重縮合触媒としてSb化合物、Ge化合物、Ti化合物または Al化合物から選ばれた1種またはそれ以上の化合物を用いて主として減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。
前記のエステル化反応、エステル交換反応、および溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。溶融重縮合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
本発明に用いられるポリエステルの製造に使用されるSb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜250ppmの範囲になるように添加する。
本発明に用いられるポリエステルの製造に使用されるGe化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等が挙げられる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル中のGe残存量として5〜150ppm、好ましくは10〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
本発明に用いられるポリエステルの製造に使用されるTi化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
また、本発明に用いられるポリエステルの製造に使用されるAl化合物としては、蟻酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム等のカルボン酸塩、酸化物、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム等の無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド等のアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネ−ト、アルミニウムアセチルアセテ−ト等とのアルミニウムキレ−ト化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物等があげられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、およびアルミニウムアセチルアセトネ−トが特に好ましい。Al化合物は、生成ポリマ−中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
また、本発明に用いられるポリエステルの製造において、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を併用してもよい。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、これら元素の酢酸塩等のカルボン酸塩、アルコキサイド等があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれらの元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるように添加する。
前記の触媒化合物は、前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することができる。
また、安定剤として種々のリン化合物を使用することができる。本発明で使用されるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニ−ルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジメチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジエチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジフェニ−ルエステル等であり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。リン化合物は、生成ポリマ−中のリン残存量として5〜100ppmの範囲になるように前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加する。
本発明に用いられるポリエステルの極限粘度は、好ましくは0.50〜0.90デシリットル/グラム、より好ましくは0.58〜0.80デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.70デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.50デシリットル/グラム未満では、得られた繊維の機械的特性が悪い。また0.90デシリットル/グラムを越える場合は、紡糸による溶融時の粘度が高くなり、背圧が高くなり生産性を下げる必要があるなどの問題が発生する。
また、本発明に用いられるメタキシリレン基含有ポリアミドは、メタキシリレンジアミン、もしくはメタキシリレンジアミンと全量の30%以下のパラキシリレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンとジカルボン酸とから生成された構成単位を分子鎖中に少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは80モル%以上含有したポリアミド樹脂である。
前記ポリアミドの共重合成分としてのジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類が使用できる。
また、前記ポリアミドの共重合成分としてのジアミン成分としては、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4'−アミノヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン類、パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼンのような芳香族ジアミン類が使用できる。
これらのジカルボン酸やジアミンは、1種もしくは2種以上を任意の割合で組み合わせても使用できる。
前記、ジアミン及び、ジカルボン酸以外にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等も共重合成分として使用できる。とりわけ、ε−カプロラクタムの使用が望ましい。
これら重合体の例としてはポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスペラミド等のような単独重合体、及びメタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピペラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体等が挙げられる。
前記のメタキシリレン基含有ポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸から生成するアミノカルボン酸塩の水溶液を加圧下および常圧下に加熱し、水および重縮合反応で生ずる水を除去しながら溶融状態で重縮合させる方法、あるいはジアミンとジカルボン酸を加熱し、溶融状態で常圧下に直接反応させて重縮合させる方法等により製造することができる。また、これらの溶融重縮合反応により得られた前記ポリアミドのチップを固相重合することによって、さらに高粘度のメタキシリレン基含有ポリアミドを得ることができる。
前記のメタキシリレン基含有ポリアミドの重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。
なお、必要に応じて、水酸化ナトリウムや酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、ホスホン酸化合物、亜リン酸化合物などのリン化合物を、熱分解抑制を目的として、あるいは重縮合触媒として加えることも可能である。これらの添加剤の残存量は、ポリアミド1グラム当り約0.5×10-6〜約50×10-6モルの範囲が好ましい。
本発明に用いられるメタキシリレン基含有ポリアミド中の前記アルカリ化合物の含有量は、リン原子含有量(X)の1.5〜6.0倍が好ましい。より好ましくは1.8〜5.5倍、更に好ましくは2.0〜5.0倍である。アルカリ化合物の含有量がリン原子含有量(X)の1.5倍より少ないと、ゲル化が促進されやすくなる。一方、アルカリ化合物の含有量がリン原子含有量(X)の6.0倍より多いと、重合速度が遅くなり、粘度も充分に上がらず、かつ特に減圧系ではゲル化が促進され不経済である。
本発明に用いられるメタキシリレン基含有ポリアミドの相対粘度は、1.3〜4.0、好ましくは1.5〜3.7、より好ましくは1.7〜3.5、さらに好ましくは1.8〜3.0の範囲である。相対粘度が1.3以下では分子量が小さすぎて、本発明のポリエステル繊維の機械的性質に劣ることがある。逆に相対粘度が4.0以上では、前記ポリアミドの重合に長時間を要し、ポリマーの劣化や好ましくない着色の原因となる場合があるだけでなく、生産性が低下しコストアップ要因となることがある。
前記のようにして製造したメタキシリレン基含有ポリアミドには、メタキシリレンジアミンとアジピン酸等のジカルボン酸からなる環状アミド1量体、環状アミド2量体、環状アミド3量体及び環状アミド4量体等の環状オリゴマ−、アジピン酸等のジカルボン酸およびメタキシリレンジアミン等の未反応モノマ−、およびメタキシリレンジアミンとアジピン酸等のジカルボン酸とからなる線状2量体、線状3量体等の線状オリゴマ−が含まれている。重縮合方法や重縮合条件、あるいは生成ポリアミドの分子量等によってもそれらの含有量は異なるが、一例として環状アミド1量体は0.2〜1.3重量%、環状アミド2量体は0.1〜1.5重量%、環状アミド3量体は0.1〜1.0重量%、環状アミド4量体は0.005〜0.5重量%、また未反応モノマ−類は0.1〜2000ppmのオ−ダ−である。
主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステルとメタキシリレン基含有ポリアミドとからなるポリエステル組成物を用いて、アセトアルデヒドの発生を低減できる繊維の製造について検討した結果、前記の環状アミド1量体や環状アミド2量体の含有量が重要であることが判明した。
すなわち、メタキシリレン基含有ポリアミドを混合して得られるポリエステル組成物であって、前記メタキシリレン基含有ポリアミド中のメタキシリレン基含有環状アミド1量体の含有量が1.0重量%以下、好ましくは0.9重量%以下、より好ましくは0.8重量%以下、さらに好ましくは0.6重量%以下含むことを特徴とし、また、メタキシリレン基含有環状アミド2量体の含有量が1.3重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、さらに好ましくは0.8重量%以下であることを特徴とするポリエステル繊維である。メタキシリレン基含有ポリアミド中のメタキシリレン基含有環状アミド1量体の含有量が1.0重量%より高くなったり、メタキシリレン基含有環状アミド2量体の含有量が1.3重量%より高くなると繊維製造の溶融時に汚れが発生し、操業性を悪化させる恐れがある。
ここで、メタキシリレン基含有ポリアミドがメタキシリレンジアミンとアジピン酸とから構成されるポリアミドである場合は、前記の環状オリゴマーの化学式は化学式1で表される。
Figure 2007031881
本発明のポリエステル繊維を構成するポリエステルとメタキシリレン基含有ポリアミドとの混合割合は、前記ポリエステル100重量部に対して前記メタキシリレン基含有ポリアミド0.1重量部〜5重量部であることが好ましい。前記のポリエステル繊維からAA含有量が非常に少ない繊維を得たい場合のメタキシリレン基含有ポリアミドの添加量は、前記ポリエステル100重量部に対して0.1重量部以上、さらに好ましくは0.3重量部以上、特に好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは5重量部未満、より好ましくは4重量部未満、さらに好ましくは3重量部未満である。
メタキシリレン基含有ポリアミドの混合量が、ポリエステル100重量部に対して0.1重量部未満の場合は、得られた繊維のAA含有量が低減されず好ましくない。また、メタキシリレン基含有ポリアミドの混合量が、ポリエステル100重量部に対して5重量部を超える場合は、得られた繊維の機械的特性も低下する場合があり好ましくない。
環状アミド1量体の含有量が1.0重量%以下のメタキシリレン基含有ポリアミド、あるいは環状アミド1量体の含有量が1.0重量%以下で、かつ環状アミド2量体の含有量が1.3重量%以下のメタキシリレン基含有ポリアミドは、例えば下記のようにして製造することができる。すなわち、前記の製造方法で得られたポリアミドチップをメタノ−ルあるいはエタノ−ル等のアルコ−ル類またはメタノ−ル水溶液あるいはエタノ−ル水溶液により加熱処理あるいは抽出処理することによって得ることができる。また、本発明に用いられるメテキシリレン基含有ポリアミドは、重縮合時のメタキシリレンジアミン等のジアミンとアジピン酸等のジカルボン酸の添加比率を変更したり、また重縮合条件を変更することによっても得ることができる。
上記繊維を得る方法としては通常の溶融紡糸方法で得ることができる。メタキシリレン基含有ポリアミドを紡糸直前で混合したり、ブレンダーにより混合した後溶融紡糸することも可能である。また、あらかじめポリエステルと混合し5重量%以上のマスターバッチを作成し、紡糸前にブレンダーにより混合し、溶融紡糸することもできる。得られる繊維は短繊維、長繊維は問わず、スパンボンド、メルトブロー不織布などにも適用できる。さらに、得られる繊維の繊度は特に問わない。吸音性を上げるためには細繊度が好ましいし、制振性を上げるためには太繊度が好ましい。断面についても嵩を高くするために中空にすることも可能であり、折れ曲げに強い繊維とするために異形断面(例えばY断面、中空、異形)とすることも可能である。
前記メタキシリレン基含有ポリアミドを0.1重量%から5重量%以下含む第一成分を鞘成分とし、ポリエステルである第二成分を芯成分とした複合繊維とすることによりコストを低減することも可能である。メタキシリレン基含有ポリアミドを0.1重量%から5重量%以下含む第一成分を鞘成分とすることで有効的にアセトアルデヒドの発生を低減することができる。第一成分/第二成分比は5/95〜60/40、好ましくは30/70〜60/40、さらに好ましくは45/55〜55/45である。第一成分/第二成分比が5/95より小さくなるとアセトアルデヒドの発生を低減することが不十分となり、第一成分/第二成分比が60/40より大きくなると複合紡糸をすることによるコスト↓の効果が小さくなる。また鞘成分にポリエチレンあるいはポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂を用いたバインダー繊維などであれば芯成分に前記メタキシリレン基含有ポリアミドを0.1重量%から5重量%を含有させることでアセトアルデヒドの発生を低減できるバインダー繊維を得ることができる。これらはバインダー繊維としてトレーマット、お茶パックなどに用いることができる。
以下に本発明の実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、各種測定は次のように行った。
<ポリエステルのアセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)>
試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表示した。
<メタキシリレン基含有ポリアミドの相対粘度(以下「Rv」という)>
試料0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、この溶液10mlをオストワルド粘度管にて20℃で測定、下式より求めた。
Rv=t/t0
0:溶媒の落下秒数
:試料溶液の落下秒数
<メタキシリレン基含有ポリアミドの環状アミド1量体含有量(以下「CM含有量」という)と環状アミド2量体含有量(以下「CD含有量」という)>
試料100mgをヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液(容量比=2/3)3mlに溶解し、さらにクロロフォルム20mlを加えて希釈し、メタノ−ル10mlを加える。濾紙で濾過後、濾液をエバポレ−タにより濃縮し、ジメチルフォルムアミド20mlに再溶解する。遠心濾過後、高速液体クロマトグラフ法により定量した。
なお、環状アミド2量体の含有量は環状アミド1量体換算値として求めた。
<強伸度>
短繊維:JIS L1015 8.7.1(1999)による。
長繊維:JIS L1013 8.5.1(1999)による。
実施例および比較例に用いたポリエステル繊維は定法により得られるポリエチレンテレフタレートを用いた。すなわちテレフタル酸ジメチル、エチレングリコールを少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、重合してポリエチレンテレフタレートを得た。融点が264℃であった。
実施例および比較例に用いたメタキシリレン基含有ポリアミド(すべて、P残存量=約210〜150ppm、Na残存量は約400〜300ppm)の特性を表1に示す。
メタキシリレン基含有ポリアミド(A)は、重縮合釜中でメタキシリレンジアミン−アジピン酸塩の水溶液を、NaOHやNaH2PO2・H2Oの存在下において加圧下および常圧下に加熱して重縮合する回分式方法により得たものである。また、メタキシリレン基含有ポリアミド(B)は、メタキシリレン基含有ポリアミド(A)チップを加熱槽中で50%エタノ−ル溶液で加熱処理後、イオン交換水で洗浄して得たものである。また、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)は、前記と同じ重縮合釜を用いて、メタキシリレンジアミンとアジピン酸の使用比率および重合条件を変更する以外は前記と同一条件下において重縮合する回分式方法により得たものである。
Figure 2007031881
<実施例1>
ポリエステルとメタキシリレン基含有ポリアミド(A)をメタキシリレン基含有ポリアミド(A)が2重量%となるよう混合し、常法により、紡糸温度260℃にて、単孔吐出量1.45g/分にて紡糸し、3000m/分にて引取り、連続して4200m/分にて150℃加熱ローラーを介して延伸後、巻き取って延伸糸を得た。(乾強力=3.2cN/dtex)
<実施例2>
ポリエステルとメタキシリレン基含有ポリアミド(B)をメタキシリレン基含有ポリアミド(B)が1重量%となるよう混合し、常法により、紡糸温度260℃にて、単孔吐出量1.45g/分にて紡糸し、3000m/分にて引取り、連続して4200m/分にて150℃加熱ローラーを介して延伸後、巻き取って延伸糸を得た。(乾強力=3.4cN/dtex)
<実施例3>
ポリエステルとメタキシリレン基含有ポリアミド(B)をメタキシリレン基含有ポリアミド(B)が2重量%となるよう混合したものを第一成分(鞘)としてし、ポリエステル100%を第二成分(芯)とし、鞘/芯=50/50で芯鞘複合繊維を常法により、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、1000m/分にて紡糸した。トータル繊度を10万デシテックスとし、温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらにスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥後44mmにカットし、短繊維を得た。(繊度=1.8dtex、乾強力=3.5cN/dtex)
<実施例4>
ポリエステルとメタキシリレン基含有ポリアミド(C)をメタキシリレン基含有ポリアミド(C)が3重量%となるよう混合し、常法により、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、1000m/分にて紡糸した。トータル繊度を10万デシテックスとし、温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらにスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥後44mmにカットし、短繊維を得た。4時間紡糸した時点でノズル周りを確認したところ、若干の異物汚れが確認できた。(繊度=1.8dtex、乾強力=3.6cN/dtex)
<比較例1>
ポリエステル、常法により、紡糸温度260℃にて、単孔吐出量1.45g/分にて紡糸し、3000m/分にて引取り、連続して4200m/分にて150℃加熱ローラーを介して延伸後、巻き取って延伸糸を得た。(繊度=1.8dtex、乾強力=4.2cN/dtex)
<比較例2>
ポリエステルとメタキシリレン基含有ポリアミド(B)をメタキシリレン基含有ポリアミド(B)が0.05重量%となるよう混合したものを第一成分(鞘)としてし、ポリエステル100%を第二成分(芯)とし、鞘/芯=50/50で芯鞘複合繊維を常法により、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、1000m/分にて紡糸した。トータル繊度を10万デシテックスとし、温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらにスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥後44mmにカットし、短繊維を得た。(繊度=1.8dtex、乾強力=3.6cN/dtex)
<比較例3>
ポリエステルとメタキシリレン基含有ポリアミド(C)をメタキシリレン基含有ポリアミド(C)が7重量%となるよう混合し、常法により、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、1000m/分にて紡糸した。トータル繊度を10万デシテックスとし、温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらにスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥後44mmにカットし、短繊維を得た。4時間紡糸した時点でノズル周りを確認したところ、若干の異物汚れが確認できた。また糸切れが多発し紡糸性が悪く、糸物性の低下が見られた。(繊度=1.8dtex、乾強力=1.5cN/dtex)
Figure 2007031881
実施例1〜4、比較例1〜3により明らかなように、本発明は、繊維の機械特性を損なうことなくアセトアルデヒドの発生を低減することができる。
本発明のポリエステル繊維は、長期使用あるいは熱処理などによるアセトアルデヒドの発生が少ないポリエステル繊維に関するものであり、建築物、車両などの室内あるいは食品に接触する不織布などに用いることができる。

Claims (1)

  1. メタキシリレン基含有ポリアミドを0.1重量%から5重量%以下含有することを特徴とするポリエステル繊維。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008038009A (ja) * 2006-08-04 2008-02-21 Hitachi Chem Co Ltd 環状構造高分子及びそれを含む樹脂組成物
WO2018043457A1 (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 東レ株式会社 再生ポリエステル繊維
JP2021180996A (ja) * 2019-08-20 2021-11-25 株式会社ニューギン 遊技機

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