JP2007031597A - 吸・放熱カプセル及びその製造方法並びに吸・放熱カプセル分散液及びその製造方法 - Google Patents

吸・放熱カプセル及びその製造方法並びに吸・放熱カプセル分散液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吸・放熱性能を向上させる上で有利な融解・凝固潜熱の大きい、水溶性媒剤に溶解する相転移物質を利用しつつ、カプセル中の相転移物質の含有率をより高めることによって、吸・放熱性能のさらなる向上を図る。
【解決手段】内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体1と、このカプセル壁体1の該密閉空間に封入された封入物質としての、水溶性媒剤に溶解する相転移物質2とを備えた吸・放熱カプセル10であって、吸・放熱カプセル10の全体を100体積%としたとき、相転移物質2を70体積%以上の体積分率で含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、吸・放熱カプセル及びその製造方法並びに吸・放熱カプセル分散液及びその製造方法に関し、より詳しくは、内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体と、このカプセル壁体の密閉空間に封入された封入物質としての、水溶性媒剤に溶解する相転移物質とを備えた吸・放熱カプセル及びその製造方法、並びにこのようなカプセルを分散媒に分散させた吸・放熱カプセル分散液及びその製造方法に関する。
熱の授受により融解・凝固する相転移物質は、融解点以上の温度に加熱されて融解する際に外部から融解熱を吸収する一方、凝固点以下の温度に冷却されて凝固する際に外部へ凝固熱を放出する。このため、相転移物質をカプセル壁体内に封入したカプセルは、吸・放熱剤として利用することができる。また、このような吸・放熱カプセルを、例えば、水などの分散媒剤に分散してなる吸・放熱カプセル分散液は、熱貯蔵媒体、熱移送媒体や冷却媒体として利用することができる。
かかる相転移物質には、水溶性媒剤に溶解しないものと、水溶性媒剤に溶解するものとがある。水溶性媒剤に溶解しない相転移物質として、例えばパラフィンや脂肪酸が知られており、一方、水溶性媒剤に溶解する相転移物質として、例えば無機塩水和物が知られている。これらの相転移物質の中で融解・凝固潜熱の大きいものは、水溶性媒剤に溶解する相転移物質としての、無機塩水和物に比較的多くみられる。このため、吸・放熱カプセルやこれを含む吸・放熱カプセル分散液において、熱伝達特性である見掛け熱容量を増大させて吸・放熱性能を向上させる観点からは、水溶性媒剤に溶解しないパラフィン等の相転移物質と比較して、融解・凝固潜熱の大きい、水溶性媒剤に溶解する無機塩水和物等の相転移物質を用いることが有利となる。
ここに、図2に示されるように、水溶性媒剤に溶解しない相転移物質81をカプセル壁体82内に封入した吸・放熱カプセル80を得る方法として、O/W(油/水)系エマルジョンを利用した懸濁重合法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、水溶性媒剤に溶解しない相転移物質81としてのパラフィン等を融解点以上に加熱して融解させ、この融解した相転移物質81と、メチルメタクリル酸メチルやスチレンなどのカプセル化剤のモノマーと、油溶性の重合開始剤と、分散剤(懸濁安定剤)と、水とを混合、撹拌することにより、液体状態の相転移物質81及びカプセル化剤のモノマー等を水中で分散させたO/W系エマルジョンを得る。そして、このO/W系エマルジョンをカプセル化剤の重合開始温度まで加熱して、水中で分散した油滴中のモノマーを水相界面付近でポリマー化することにより、油滴を覆うカプセル壁体82を形成する。
一方、図3に示されるように、水溶性媒剤に溶解する相転移物質91をカプセル壁体92内に封入した吸・放熱カプセル90を得る方法として、W/O/W(水/油/水)系エマルジョンを利用した懸濁重合法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この方法では、水溶性媒剤に溶解する相転移物質91としての無機塩水和物等を融解点以上に加熱して融解させ、この融解した相転移物質91と、メチルメタクリル酸メチルやスチレンなどのカプセル化剤のモノマーと、重合開始剤と、分散剤とを混合、撹拌することにより、液体状態の相転移物質をモノマー等よりなる油中で分散させたW/O系エマルジョンを得た後、このW/O系エマルジョンと、分散剤が添加された水などの水溶性媒剤とを混合、撹拌することにより、W/O/W系エマルジョンを得る。そして、このW/O/W系エマルジョンをカプセル化剤の重合開始温度まで加熱して、水中で分散した油滴を構成するモノマーを水相界面付近でポリマー化することにより、カプセル壁体92を形成する。
特開2001−200246号公報 特開2001−181612号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されたO/W系エマルジョンを利用する懸濁重合法では、水溶性媒剤に溶解しない相転移物質81及びカプセル化剤を同時に水溶性媒剤に分散させている。このため、この方法を利用して、水溶性媒剤に溶解する相転移物質をカプセル化しようとしても、分散の途中で、水溶性媒剤に溶解する相転移物質が水溶性媒剤に溶解してしまう。したがって、この方法によっては、水溶性媒剤に溶解する相転移物質をカプセル化することはできない。
また、上記特許文献2に開示されたW/O/W系エマルジョンを利用する懸濁重合法では、製造の過程で、カプセル化剤のモノマー等で構成される油中に、水溶性媒剤に溶解する相転移物質91の液滴を分散させてから、この油を水中に分散させ、水中に分散した油滴を構成するモノマーを水相界面付近でポリマー化することにより、カプセル壁体92を形成している。このため、カプセル全体における相転移物質91の体積分率は、油中で分散する相転移物質液滴の最密充填状態以上にすることができない。したがって、この方法によっては、カプセル中の相転移物質の含有率を大きくすることには限界があり、カプセル全体を100体積%としたとき、相転移物質の体積分率を60%以上に大きくすることができなかった。
よって、従来の方法によっては、吸・放熱性能を向上させる上で有利な融解・凝固潜熱の大きい、水溶性媒剤に溶解する相転移物質を利用しつつ、カプセル中の相転移物質の含有率を大きくすることができず、その結果吸・放熱性能のさらなる向上を図ることができなかった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、吸・放熱性能を向上させる上で有利な融解・凝固潜熱の大きい、水溶性媒剤に溶解する相転移物質を利用しつつ、カプセル中の相転移物質の含有率をより高めることによって、相転移物質が封入された吸・放熱カプセル又は吸・放熱カプセル分散液の吸・放熱性能のさらなる向上を図ることを解決すべき技術課題とするものである。
上記課題を解決する本発明の吸・放熱カプセルは、内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体と、該カプセル壁体の該密閉空間に封入された封入物質としての、水溶性媒剤に溶解する相転移物質とを備えた吸・放熱カプセルであって、前記吸・放熱カプセルの全体を100体積%としたとき、前記相転移物質を70体積%以上の体積分率で含むことを特徴とするものである。
この吸・放熱カプセルは、水溶性媒剤に溶解しない相転移物質としてのパラフィンや脂肪酸等と比較して、融解・凝固潜熱が比較的大きい傾向にある、水溶性媒剤に溶解する相転移物質を、吸・放熱カプセル全体の70体積%以上含むものであるから、カプセルの見掛け熱容量が大きくなり、したがって吸・放熱性能のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明の吸・放熱カプセルは、好適な態様において、前記相転移物質が、水酸化バリウム8水和物及び水酸化ストロンチウム8水和物のうちの少なくとも一方である。
水酸化バリウム8水和物又は水酸化ストロンチウム8水和物は、水溶性媒剤に溶解する相転移物質のうちでも特に融解・凝固潜熱が大きい。このため、この吸・放熱カプセルでは、熱容量がより大きくなり、吸・放熱性能をより効果的に向上させることができる。
上記課題を解決する本発明の吸・放熱カプセルの製造方法は、内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体と、該カプセル壁体の該密閉空間に封入された封入物質としての、水溶性媒剤に溶解する相転移物質とを備えた、吸・放熱カプセルの製造方法であって、前記相転移物質を非水溶性媒剤に分散させて分散液を得る分散工程と、前記分散液、カプセル化剤のモノマー及び重合開始剤を混合し、前記相転移物質と前記非水溶性媒剤との界面にて該モノマーをポリマー化して、該相転移物質を覆うように前記カプセル壁体を形成するカプセル化工程とを備えていることを特徴とするものである。
この吸・放熱カプセルの製造方法では、カプセル化工程で、非水溶性媒剤中で分散する相転移物質と非水溶性媒剤との界面にて、該非水溶性媒剤中のモノマーをポリマー化して、相転移物質を覆うようにカプセル壁体を形成するので、カプセル壁体内に非水溶性媒剤が混入することを避けることができ、カプセル壁体内に封入される相転移物質の体積分率を増大させることが可能となる。このため、この製造方法によれば、水溶性媒剤に溶解する相転移物質を70体積%以上の体積分率で含むような吸・放熱カプセルを得ることができる。したがって、この製造方法で得られた吸・放熱カプセルは、熱容量が大きくなり、吸・放熱性能のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明の吸・放熱カプセルの製造方法の好適な態様において、前記分散工程は、融解点以上に加熱されて融解した液体状の前記相転移物質を、該融解点以上に加熱された前記非水溶性媒剤に分散させて乳濁液を得る乳化工程と、該乳濁液を該融解点以下に冷却して液体状の該相転移物質を固体化させて、固体状の該相転移物質が前記非水溶性媒剤中で分散してなる懸濁液を得る懸濁化工程とからなり、前記カプセル化工程では、前記懸濁液と前記カプセル化剤のモノマー及び前記重合開始剤とを混合する。
この吸・放熱カプセルの製造方法では、液体状の相転移物質を固体化させて、固体状の相転移物質が非水溶性媒剤中で分散してなる懸濁液を得た後、この懸濁液とカプセル化剤のモノマー及び重合開始剤とを混合して、相転移物質と非水溶性媒剤との界面にて、該非水溶性媒剤中の該モノマーをポリマー化するので、相転移物質の液滴同士が合体して粗大化した状態でカプセル化されることを防ぐことができる。したがって、粒径の小さな微細な吸・放熱カプセルを得ることが可能となる。また、仮に相転移物質の液滴同士が合体して粗大化すると、その際に非水溶性媒剤を取り込みつつ合体することもあり、その場合はカプセル壁体内に非水溶性媒剤が混入してしまうが、本発明方法によれば、このような非水溶性媒剤の混入を避けることができるので、非水溶性媒剤の含有率の少ない吸・放熱カプセルを得ることが可能となる。
本発明の吸・放熱カプセルの製造方法は、好適な態様において、前記非水溶性媒剤がフロン系媒剤である。
この吸・放熱カプセルの製造方法では、非水溶性がより強く、相転移物質との比重差が小さいフロン系媒剤を用いるため、前記カプセル化工程において相転移物質とフロン系媒剤との界面にカプセル化剤を効果的に吸着させることができる。このため、より少ないカプセル化剤にて、相転移物質を覆うカプセル壁体を確実に形成することができ、カプセル化剤の使用量の削減や歩留り向上を図ることが可能となる。また、フロン系媒剤は、水溶性媒剤に対する溶解度が小さいことから、相転移物質の安定性の点で有利となる。さらに、フロン系媒剤は、引火性を有しないことから、取り扱いの容易性や安全面の点で有利となる。
本発明の吸・放熱カプセルの製造方法は、好適な態様において、前記カプセル化剤がビニル化合物である。
この吸・放熱カプセルの製造方法では、ビニル化合物をカプセル化剤として採用しているため、ラジカル付加重合により、比較的低温で簡単に重合反応を進行させることができる。したがって、製造時間の短縮化やコスト削減の点で有利となる。
上記課題を解決する本発明の吸・放熱カプセル分散液は、分散媒剤と、該分散媒剤に分散された、請求項1、2又は3に記載の吸・放熱カプセルとを含むことを特徴とするものである。
この吸・放熱カプセル分散液によれば、熱容量が大きく、吸・放熱性能のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明の吸・放熱カプセル分散液は、好適な態様において、前記分散媒剤が水溶性分散媒剤である。
この吸・放熱カプセル分散液では、水溶性分散媒剤に吸・放熱カプセルを分散しているので、非水溶性分散媒剤を用いる場合と比較して、汎用性が高く、また、熱伝達特性も高くなる。
上記課題を解決する本発明の吸・放熱カプセル分散液の製造方法は、水溶性分散媒剤と、該水溶性分散媒剤に分散された、水溶性媒剤に溶解する相転移物質が封入された吸・放熱カプセルとを含む吸・放熱カプセル分散液の製造方法であって、前記相転移物質を非水溶性媒剤に分散させて分散液を得る分散工程と、前記分散液、カプセル化剤のモノマー及び重合開始剤を混合し、前記相転移物質と前記非水溶性媒剤との界面にて該モノマーをポリマー化して、該相転移物質を覆うようにカプセル壁体を形成して前記吸・放熱カプセルとし、該吸・放熱カプセルが該非水溶性媒剤中で分散してなるカプセル化分散液を得るカプセル化工程と、前記カプセル化分散液における前記非水溶性媒剤と前記水溶性分散媒剤とを置換して、前記吸・放熱カプセルが該水溶性分散媒剤中で分散してなる前記吸・放熱カプセル分散液を得る媒剤置換工程とを備えていることを特徴とするものである。
この吸・放熱カプセル分散液の製造方法では、カプセル化工程で、非水溶性媒剤中で分散する相転移物質と非水溶性媒剤との界面にて、該非水溶性媒剤中のモノマーをポリマー化して、相転移物質を覆うようにカプセル壁体を形成するので、カプセル壁体内に非水溶性媒剤が混入することを避けることができ、カプセル壁体内に封入される相転移物質の体積分率を増大させることが可能となる。このため、この製造方法によれば、水溶性媒剤に溶解する相転移物質を封入物質として70体積%以上の体積分率で含むような吸・放熱カプセルを得ることができる。そして、媒剤置換工程で、前記非水溶性媒剤と水溶性分散媒剤とを置換することにより、前記吸・放熱カプセルを該水溶性分散媒剤に分散させた吸・放熱カプセル分散液を得ることができる。したがって、この製造方法で得られた吸・放熱カプセル分散液は、熱容量が大きくなり、吸・放熱性能のさらなる向上を図ることが可能となる。また、この製造方法によれば、水溶性分散媒剤に吸・放熱カプセルが分散してなる、汎用性及び熱伝達特性の高い吸・放熱カプセル分散液を容易に得ることができる。
本発明の吸・放熱カプセル分散液の製造方法の好適な態様において、前記分散工程は、融解点以上に加熱されて融解した液体状の前記相転移物質を、該融解点以上に加熱された前記非水溶性媒剤に分散させて乳濁液を得る乳化工程と、該乳濁液を該融解点以下に冷却して液体状の該相転移物質を固体化させて、固体状の該相転移物質が前記非水溶性媒剤中で分散してなる懸濁液を得る懸濁化工程とからなり、前記カプセル化工程では、前記懸濁液と前記カプセル化剤のモノマー及び前記重合開始剤とを混合する。
この吸・放熱カプセル分散液の製造方法では、液体状の相転移物質を固体化させて、固体状の相転移物質が非水溶性媒剤中で分散してなる懸濁液を得た後、この懸濁液とカプセル化剤のモノマー及び重合開始剤とを混合して、相転移物質と非水溶性媒剤との界面にて、該非水溶性媒剤中の該モノマーをポリマー化するので、相転移物質の液滴同士が合体して粗大化した状態でカプセル化されることを防ぐことができる。したがって、粒径の小さな微細な吸・放熱カプセルを得ることが可能となる。また、仮に相転移物質の液滴同士が合体して粗大化すると、その際に非水溶性媒剤を取り込みつつ合体することもあり、その場合はカプセル壁体内に非水溶性媒剤が混入してしまうが、本発明方法によれば、このような非水溶性媒剤の混入を避けることができるので、非水溶性媒剤の含有率の少ない吸・放熱カプセルを得ることが可能となる。よって、熱容量が大きく、吸・放熱性能が極めて高い吸・放熱カプセル分散液を得ることができる。
本発明の吸・放熱カプセル分散液の製造方法は、好適な態様において、前記非水溶性媒剤がフロン系媒剤である。
本発明の吸・放熱カプセル分散液の製造方法は、好適な態様において、前記カプセル化剤がビニル化合物である。
よって、本発明によれば、有効成分である相転移物質を高含有率で含む吸・放熱カプセルを得ることができ、熱容量が大きく、吸・放熱性能が極めて高い吸・放熱剤や吸・放熱カプセル分散液を得ることが可能となる。
本発明に係る吸・放熱カプセルは、内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体と、このカプセル壁体の密閉空間に封入された封入物質とを備えている。
前記カプセル壁体の材質としては、重合して高分子量化するものであれば特に限定されず、ビニル化合物、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラニン樹脂などを例示できる。ビニル化合物のモノマーは、ラジカル付加重合により、比較的低温で簡単に重合できるため、カプセル化物質として好ましい。カプセル化物質に好適に用いることのできるビニル化合物モノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルや酢酸ビニルなどを例示できる。
カプセル壁体の密閉空間に封入される前記封入物質には、融解又は凝固する際の融解熱又は凝固熱を吸収又は放出する相転移物質であって、水溶性媒剤に溶解する相転移物質が主成分として含まれる。このような相転移物質の種類は、特に限定されないが、炭酸カリウム6水和物、硝酸リチウム3水和物、硫酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム10水和物、チオ硫酸ナトリウム5水和物、硝酸ニッケル6水和物、酢酸ナトリウム3水和物、硝酸鉄6水和物、硝酸アルミニウム9水和物、水酸化バリウム8水和物、水酸化ストロンチウム8水和物、硝酸マグネシウム6水和物、硫酸アルミニウム10水和物や塩化マグネシウム6水和物などの無機塩水和物、リボース、エリスリトール、マンニトールやガラクチトールなどの糖類などを例示、列挙できる。
ここに、吸・放熱カプセル又はこれを水溶性分散媒剤に分散させた吸・放熱カプセル分散液において、熱伝達特性である見掛け熱容量を向上させるには、単位容積当たりの融解・凝固潜熱が大きいことが好ましい。かかる観点より、水溶性媒剤に溶解する相転移物質の中でも特に融解・凝固潜熱が大きい、水酸化バリウム8水和物及び水酸化ストロンチウム8水和物のうちの少なくとも一方を前記相転移物質として用いることが好ましい。
そして、本発明に係る吸・放熱カプセルは、吸・放熱カプセルの全体を100体積%としたとき、水溶性媒剤に溶解する相転移物質を70体積%以上の体積分率で含むことを特徴とする。したがって、この吸・放熱カプセルでは、水溶性媒剤に溶解しない相転移物質としてのパラフィンや脂肪酸等と比較して、融解・凝固潜熱が比較的大きい傾向にある、水溶性媒剤に溶解する相転移物質をカプセル全体の70体積%以上含むものであるから、カプセルの見掛け熱容量が大きくなり、吸・放熱性能のさらなる向上を図ることが可能となる。
カプセル全体における相転移物質の体積分率が70体積%未満になると、吸・放熱カプセルにおける見掛け熱容量が低下して不十分となり、熱伝達特性が低下する。この見掛け熱容量を増大させる観点より、封入物質における相転移物質の体積分率は90体積%以上であることが好ましく、95体積%以上であることが特に好ましい。
また、本発明に係る吸・放熱カプセルは、カプセル壁体内に封入される封入物質として、相転移物質以外の他の物質を必要に応じて含有させてもよい。例えば、相転移物質の凝固点以下の温度になっても液体状の相転移物質が凝固しないことを防ぐべく、過冷却防止剤としての結晶核を、封入物質として含有させてもよい。また、カプセルの熱伝導性や比重等を調節する目的で、カーボン、金属粉及びアルコール等の少なくとも1種を含有させてもよい。
このような構成を有する本発明の吸・放熱カプセルは、以下に示す本発明の吸・放熱カプセルの製造方法によって、好適に製造することができる。
すなわち、本発明の吸・放熱カプセルの製造方法は、内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体と、該カプセル壁体の該密閉空間に封入された封入物質としての、水溶性媒剤に溶解する相転移物質とを備えた、吸・放熱カプセルの製造方法であって、分散工程と、カプセル化工程とを備えている。
前記分散工程では、前記相転移物質を非水溶性媒剤に分散させて分散液を得る。この分散工程で用いる非水溶性媒剤の種類としては特に限定されず、有機媒剤、シリコーン系媒剤、フロン系媒剤が例示できる。有機媒剤としては、アルキル置換ベンゼン、パラフィンや環状飽和炭化水素を例示できる。シリコーン系媒剤としては、ジメチルシリコーンなどのシリコーンオイルを例示できる。フロン系媒剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカーボンやハイドロフルオロエーテルを例示できる。ただし、前述したように、カプセル化剤の使用量の削減や歩留り向上を図る等の観点より、フロン系媒剤を用いることが好ましい。
前記カプセル化工程では、前記分散液、カプセル化剤のモノマー及び重合開始剤を混合し、前記相転移物質と前記非水溶性媒剤との界面にて該モノマーをポリマー化して、該相転移物質を覆うように前記カプセル壁体を形成する。
前記カプセル化剤のモノマーは、重合して高分子量化するものであれば特に限定されず、ビニル化合物、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、フェノール樹脂やメラニン樹脂を例示できる。ビニル化合物のモノマーは、ラジカル付加重合により、比較的低温で簡単に重合できるため、カプセル化剤のモノマーとして好ましい。ビニル化合物モノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルや酢酸ビニルを例示できる。
前記重合開始剤としては、特に限定されず、ACVA(4,4−アゾビス−4−シアノバレリック酸)やBPO(過酸化ベンゾイル)を例示できる。
また、前記分散工程や前記カプセル化工程では、必要に応じて、pH調整剤や酸化防止剤等が添加されてもよい。
したがって、この吸・放熱カプセルの製造方法では、カプセル化工程で、相転移物質と非水溶性媒剤との界面にて非水溶性媒剤中のモノマーをポリマー化することにより、非水溶性媒剤中で分散する相転移物質の周囲を覆うようにカプセル壁体を形成するので、カプセル壁体内に非水溶性媒剤が混入することを避けることができ、カプセル壁体内に封入される相転移物質の体積分率を増大させることが可能となる。このため、この製造方法によれば、水溶性媒剤に溶解する相転移物質を70体積%以上の体積分率で含むような吸・放熱カプセルを得ることができる。
ここに、前記分散工程は、融解点以上に加熱されて融解した液体状の前記相転移物質を、該融解点以上に加熱された前記非水溶性媒剤に分散させて乳濁液を得る乳化工程と、該乳濁液を該融解点以下に冷却して液体状の該相転移物質を固体化させて、固体状の該相転移物質が前記非水溶性媒剤中で分散してなる懸濁液を得る懸濁化工程とからなることが好ましく、前記カプセル化工程では、前記懸濁液と前記カプセル化剤のモノマー及び前記重合開始剤とを混合することが好ましい。このとき、カプセル化工程で、カプセル化剤のモノマーをポリマー化する際の重合温度は、分散した固体状の相転移物質が融解して相転移物質の液滴同士が合体することを防ぐべく、相転移物質の融解点未満の温度とすることが好ましく、相転移物質の融解点マイナス5℃以下の温度(融解点よりも5℃以上低い温度)とすることがより好ましい。
このように、融解した液体状の相変化物質を、この相変化物質の融解点以上に加熱された非水溶性媒剤に分散させた乳濁液を得てから、液体状の相転移物質を固体化させて、固体状の相転移物質が非水溶性媒剤中で分散してなる懸濁液を得た後に、カプセル化工程を実施することにより、液体状の相転移物質の液滴同士が非水溶性媒剤を取り込みつつ合体したり、あるいは相転移物質の液滴同士が合体して粗大化した状態でカプセル化されたりすることを防ぐことができる。したがって、粒径の小さな微細な吸・放熱カプセルを得ることが可能になるとともに、非水溶性媒剤の含有率の少ない吸・放熱カプセルを得ることが可能になる。
前記乳化工程における加熱温度は、相転移物質の融解点以上の温度であれば特に限定されないが、安定に融解させる観点からは、融解点プラス5℃以上の温度(融解点よりも5℃以上高い温度)であることが好ましい。同様に、前記懸濁工程における冷却温度は、相転移物質の融解点未満の温度であれば特に限定されないが、完全に相転移物質を固形化する観点から、融解点マイナス5℃以下の温度(融解点よりも5℃以上低い温度)であることが好ましい。
また、前記乳化工程では、非水溶性媒剤中で相転移物質を安定に乳化分散させるための界面活性剤を添加したり、相転移物質を必要に応じて微細化すべく乳化機を用いたりすることが好ましい。このとき用いる界面活性剤や乳化機は特に限定されない。例えば、高速回転式のミキサー、超音波乳化機や高圧乳化機を好適に用いることができる。
このような本発明に係る吸・放熱カプセルは、そのままの形態でカプセル状の吸・放熱剤として使用に供したり、各種成形法によりマット状やシート状等の所定形状に賦形された成形体として使用に供したり、他の物質に充填又は添加される充填剤や添加剤として使用に供したり、固体表面に塗布された膜として使用に供したり、あるいは適当な分散媒剤に分散して吸・放熱カプセル分散液として使用に供したりすることができる。
すなわち、本発明に係る吸・放熱カプセルは、分散媒剤に分散されることで吸・放熱カプセル分散液として、好適に利用することができる。この本発明に係る吸・放熱カプセル分散液によれば、熱容量が大きく、吸・放熱性能のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明に係る吸・放熱カプセル分散液における前記分散媒剤は、特に限定されず、水溶性分散媒剤であっても、非水溶性分散媒剤であってもよい。
前記水溶性分散媒剤の種類としては、特に限定されず、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールやグリセリン等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。
前記非水溶性分散媒剤の種類としては、特に限定されず、有機系、シリコーン系やフロン系の分散媒剤が例示できる。ただし、フロン系の分散媒剤は、電気抵抗が高いので、金属の防食効果や漏電防止効果等を期待でき、好ましい。
また、本発明に係る吸・放熱カプセル分散液には、必要に応じて、前記カプセルを安定化させるための界面活性剤、分散媒剤の凝固点を降下させるための凝固点降下剤、金属を防食するための薬剤や、腐敗を防止するための防腐剤等を含ませることができる。
このような本発明に係る吸・放熱カプセル分散液は、以下に示す本発明の吸・放熱カプセル分散液の製造方法によって、好適に製造することができる。
すなわち、本発明の吸・放熱カプセル分散液の製造方法は、水溶性分散媒剤と、該水溶性分散媒剤に分散された、水溶性媒剤に溶解する相転移物質が封入された吸・放熱カプセルとを含む吸・放熱カプセル分散液の製造方法であって、分散工程と、カプセル化工程と、媒剤置換工程とを備えている。
この吸・放熱カプセル分散液の製造方法における分散工程及びカプセル化工程は、前述した本発明の吸・放熱カプセルの製造方法における分散工程及びカプセル化工程と、同様の態様で実施することができる。これら分散工程及びカプセル化工程を経ることで、吸・放熱カプセルが非水溶性媒剤中で分散してなるカプセル化分散液を得る。
前記媒剤置換工程では、分散工程及びカプセル化工程を経て得られたカプセル化分散液における非水溶性媒剤と、水溶性分散媒剤とを置換して、吸・放熱カプセルを該水溶性分散媒剤に分散させた吸・放熱カプセル分散液を得る。このときの置換方法としては、特に限定されず、濾過、相分離や真空蒸留分離などを利用することができる。
このようにこの吸・放熱カプセル分散液の製造方法では、カプセル化工程で、非水溶性媒剤中で分散する相転移物質と非水溶性媒剤との界面にて、該非水溶性媒剤中のモノマーをポリマー化して、相転移物質を覆うようにカプセル壁体を形成して吸・放熱カプセルとした後、媒剤置換工程で、前記非水溶性媒剤と水溶性分散媒剤とを置換することにより、前記吸・放熱カプセルを該水溶性分散媒剤に分散させた吸・放熱カプセル分散液を得ることができる。したがって、この製造方法によれば、熱容量が大きく吸・放熱性能のさらなる向上を図ることができる吸・放熱カプセルを、汎用性及び熱伝達特性の高い水溶性分散媒剤に分散してなる、吸・放熱カプセル分散液を容易に得ることが可能となる。
以上のとおり、本発明に係る吸・放熱カプセル及び吸・放熱カプセル分散液は、従来のものと比較して見掛け熱容量が大きいことから、自動車エンジンや燃料電池の冷却液媒体、蓄熱システムの熱移送媒体などに好適に利用することができ、その際、媒体の循環流量を小さくすることが可能であるため、省エネルギーに貢献しうる。
以下、実施例により、本発明を更に詳しく説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例に係る吸・放熱カプセル分散液は、水溶性分散媒剤としての水と、この水に分散された吸・放熱カプセル10とを備えている。
この吸・放熱カプセル10は、図1の模式断面図に示されるように、内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体1と、このカプセル壁体1の密閉空間に封入された封入物質としての相転移物質2とを備えている。この相転移物質2は、水溶性媒剤に溶解する相転移物質としての水酸化バリウム8水和物よりなる。
そして、本実施例に係る吸・放熱カプセル10は、カプセル壁体1の密閉空間に封入された封入物質の全体を100体積%としたとき、前記相転移物質2を77体積%の体積分率で含んでいる。
かかる構成を有する本実施例に係る吸・放熱カプセル10及び吸・放熱カプセル分散液は、以下に示す非水溶性媒剤、水溶性媒剤に溶解する相転移物質、乳化剤、カプセル化剤のモノマーとしてのビニル化合物モノマー、重合開始剤等を用いて、以下のようにして製造した。
非水溶性媒剤:フロン系媒剤たるパーフルオロカーボン(商品名「フロリナートFC3255」、住友スリーエム社製)
相転移物質:水酸化バリウム8水和物(ナカライテスク社製、融解点:78℃)
乳化剤:フッ素系乳化剤(商品名「フタージェント150」、ネオス社製)
カプセル化剤:スチレンモノマー(ナカライテスク社製)、ジビニルベンゼン(和光純薬社製)
重合開始剤:4,4−アゾビス−4−シアノバレリック酸(商品名「ACVV」、大塚化学社製)
<分散工程>
まず、上記パーフルオロカーボンを80℃まで加熱する一方、上記水酸化バリウム8水和物を90℃まで加熱して融解した。そして、融解した液体状の水酸化バリウム8水和物50ml(104g)と、上記フッ素系乳化剤2.5gとを、80℃のパーフルオロカーボン450ml(769.5g)に添加した。
そして、85°に保温しつつ、高速回転ホモジナイザーにて、10000rpmの回転速度で5分間、プレ乳化を行った後、高圧乳化機(ニロソアビ社製)にて、85°に保温しつつ、100MPaの圧力で10分間高圧乳化を行った(乳化工程)。これにより、融解点以上に加熱されて融解した液体状の水酸化バリウム8水和物が、該融解点以上に加熱されたパーフルオロカーボン中に分散してなる分散液としての乳濁液を得た。
その後、上記乳濁液を水酸化バリウム8水和物の融解点未満の温度である60℃まで冷却して、液体状の水酸化バリウム8水和物を固体化させて、固体状の水酸化バリウム8水和物がパーフルオロカーボン中に分散してなる分散液としての懸濁液を得た(懸濁化工程)。
得られた懸濁液における水酸化バリウム8水和物の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(「LA−910」、堀場製作所社製)により測定したところ、体積平均粒子径が0.3μmであった。
<カプセル化工程>
こうして得られた上記懸濁液500mlを撹拌装置に投入し、タービン翼で200rpmの回転数で撹拌しつつ60℃の温度で保温しているところに、スチレンモノマー25ml(22.6g)及びジビニルベンゼン1.25ml(1.13g)を添加し、10分間撹拌した。そこに、前記重合開始剤0.47gを投入し、水酸化バリウム8水和物の融解点未満の温度である60℃にて12時間、重合反応を行った。
こうして、固体状の水酸化バリウム8水和物と非水溶性媒剤としてのパーフルオロカーボンとの界面にて、カプセル化剤のモノマーをポリマー化することにより、水酸化バリウム8水和物よりなる相転移物質2を覆うようにカプセル壁体1を形成して、本実施例に係る吸・放熱カプセル10にするとともに、この吸・放熱カプセル10が非水溶性媒剤としてのパーフルオロカーボンに分散してなるカプセル化分散液を得た。
<媒剤置換工程>
得られたカプセル化分散液に、等重量の水を添加し、吸・放熱カプセル10をパーフルオロカーボン中に沈殿させ、上澄みの水及びパーフルオロカーボンを濾過して取り除いた。そして、ろ別された吸・放熱カプセル10を、水溶性の界面活性剤を1重量%含む水に添加、分散させることで、吸・放熱カプセル10が水に分散してなる吸・放熱カプセル分散液を得た。
なお、カプセル化工程で得られたカプセル化分散液からパーフルオロカーボンを濾過して取り除き、ろ別された吸・放熱カプセル10を、水溶性の界面活性剤を1重量%含む水に添加、分散させることで、吸・放熱カプセル10が水に分散してなる吸・放熱カプセル分散液を得てもよい。
本実施例に係る吸・放熱カプセルの模式断面図である。 従来の吸・放熱カプセルの模式断面図である。 他の従来の吸・放熱カプセルの模式断面図である。
符号の説明
1…カプセル壁体 2…相転移物質
10…吸・放熱カプセル

Claims (12)

  1. 内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体と、該カプセル壁体の該密閉空間に封入された封入物質としての、水溶性媒剤に溶解する相転移物質とを備えた吸・放熱カプセルであって、
    前記吸・放熱カプセルの全体を100体積%としたとき、前記相転移物質を70体積%以上の体積分率で含むことを特徴とする吸・放熱カプセル。
  2. 前記相転移物質が、水酸化バリウム8水和物及び水酸化ストロンチウム8水和物のうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の吸・放熱カプセル。
  3. 内部に密閉空間を形成する膜状のカプセル壁体と、該カプセル壁体の該密閉空間に封入された封入物質としての、水溶性媒剤に溶解する相転移物質とを備えた、吸・放熱カプセルの製造方法であって、
    前記相転移物質を非水溶性媒剤に分散させて分散液を得る分散工程と、
    前記分散液、カプセル化剤のモノマー及び重合開始剤を混合し、前記相転移物質と前記非水溶性媒剤との界面にて該モノマーをポリマー化して、該相転移物質を覆うように前記カプセル壁体を形成するカプセル化工程とを備えていることを特徴とする吸・放熱カプセルの製造方法。
  4. 前記分散工程は、融解点以上に加熱されて融解した液体状の前記相転移物質を、該融解点以上に加熱された前記非水溶性媒剤に分散させて乳濁液を得る乳化工程と、該乳濁液を該融解点以下に冷却して液体状の該相転移物質を固体化させて、固体状の該相転移物質が前記非水溶性媒剤中で分散してなる懸濁液を得る懸濁化工程とからなり、
    前記カプセル化工程では、前記懸濁液と前記カプセル化剤のモノマー及び前記重合開始剤とを混合することを特徴とする請求項3記載の吸・放熱カプセルの製造方法。
  5. 前記非水溶性媒剤がフロン系媒剤であることを特徴とする請求項3又は4記載の吸・放熱カプセルの製造方法。
  6. 前記カプセル化剤がビニル化合物であることを特徴とする請求項3、4又は5記載の吸・放熱カプセルの製造方法。
  7. 分散媒剤と、該分散媒剤に分散された、請求項1又は2に記載の吸・放熱カプセルとを含むことを特徴とする吸・放熱カプセル分散液。
  8. 前記分散媒剤が水溶性分散媒剤であることを特徴とする請求項7記載の吸・放熱カプセル分散液。
  9. 水溶性分散媒剤と、該水溶性分散媒剤に分散された、水溶性媒剤に溶解する相転移物質が封入された吸・放熱カプセルとを含む吸・放熱カプセル分散液の製造方法であって、
    前記相転移物質を非水溶性媒剤に分散させて分散液を得る分散工程と、
    前記分散液、カプセル化剤のモノマー及び重合開始剤を混合し、前記相転移物質と前記非水溶性媒剤との界面にて該モノマーをポリマー化して、該相転移物質を覆うようにカプセル壁体を形成して前記吸・放熱カプセルとし、該吸・放熱カプセルが該非水溶性媒剤中で分散してなるカプセル化分散液を得るカプセル化工程と、
    前記カプセル化分散液における前記非水溶性媒剤と前記水溶性分散媒剤とを置換して、前記吸・放熱カプセルが該水溶性分散媒剤中で分散してなる前記吸・放熱カプセル分散液を得る媒剤置換工程とを備えていることを特徴とする吸・放熱カプセル分散液の製造方法。
  10. 前記分散工程は、融解点以上に加熱されて融解した液体状の前記相転移物質を、該融解点以上に加熱された前記非水溶性媒剤に分散させて乳濁液を得る乳化工程と、該乳濁液を該融解点以下に冷却して液体状の該相転移物質を固体化させて、固体状の該相転移物質が前記非水溶性媒剤中で分散してなる懸濁液を得る懸濁化工程とからなり、
    前記カプセル化工程では、前記懸濁液と前記カプセル化剤のモノマー及び前記重合開始剤とを混合することを特徴とする請求項9記載の吸・放熱カプセル分散液の製造方法。
  11. 前記非水溶性媒剤がフロン系媒剤であることを特徴とする請求項9又は10記載の吸・放熱カプセル分散液の製造方法。
  12. 前記カプセル化剤がビニル化合物であることを特徴とする請求項9、10又は11記載の吸・放熱カプセル分散液の製造方法。
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