JP2007031357A - 環状カーボネート骨格を含む多環式エステル - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリマー等に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ親水性及び溶媒に対する溶解性を向上しうる、高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規な環状カーボネート骨格を含む多環式エステルを提供する。
【解決手段】 下記式(1)
【化1】
Figure 2007031357

(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される環状カーボネート骨格を含む多環式エステル。
【選択図】 なし

Description

本発明は、塗料や機能性高分子の原料、医薬、農薬その他の精密化学品の原料などとして有用な新規な環状カーボネート骨格を含む多環式エステルとその製造法、および該環状カーボネート骨格を含む多環式エステルの合成原料として有用な環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールとその製造法に関する。
ラクトン骨格や環状酸無水物骨格が縮合したノルボルナン環又はオキサノルボルナン環と重合性不飽和基を有する化合物は、疎水性で嵩高く安定性の高い環と親水性を示す環とを併有しているとともに、重合性不飽和基を有することから、その構造上の特異性を活かして塗料や機能性高分子の原料などとして用いられている(特許文献1参照)。しかし、用途によっては、全体として疎水性が高すぎて所望の機能が十分に発揮されなかったり、水性溶媒や有機溶媒に対する溶解性が低く操作性や取扱性に劣るなどの問題があった。
特開2004−51995号公報
本発明の目的は、ポリマー等に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ親水性及び溶媒に対する溶解性を向上しうる、高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規な重合性不飽和基を有する化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記重合性不飽和基を有する化合物の合成原料として有用な新規化合物とその効率のよい製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリマー等に誘導した場合に、ラクトン骨格や環状酸無水物骨格が縮合したノルボルナン環又はオキサノルボルナン環と重合性不飽和基を有する化合物よりも親水性及び溶媒に対する溶解性を向上できる新規な環状カーボネート骨格を含む多環式エステルとその効率的な製造法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2007031357
(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される環状カーボネート骨格を含む多環式エステルを提供する。
本発明は、また、下記式(2)
Figure 2007031357
(式中、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールと、下記式(3)
Figure 2007031357
(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体を反応させて、下記式(1)
Figure 2007031357
(式中、Ra、X、nは前記に同じ。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物を得る環状カーボネート骨格を含む多環式エステルの製造法を提供する。
本発明は、さらに、下記式(2)
Figure 2007031357
(式中、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールを提供する。
本発明は、さらにまた、下記式(4)
Figure 2007031357
(式中、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される環状カーボネート骨格を含む多環式化合物をヒドロホウ素化−酸化反応に付して、下記式(2)
Figure 2007031357
(式中、X、nは前記に同じ。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物を得る環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールの製造法を提供する。
本発明によれば、ポリマー等に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ親水性及び溶媒に対する溶解性を向上しうる、高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規な環状カーボネート骨格を含む多環式エステルとその効率のよい製造法が提供される。また、前記環状カーボネート骨格を含む多環式エステルの合成原料として有用な新規な環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールとその効率のよい製造法が提供される。
本発明の環状カーボネート骨格を含む多環式エステルは前記式(1)で表される。式(1)中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい。なお、該置換基はXに結合していてもよい。
前記Raにおけるハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などが含まれる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、C1-3アルキル基、特にメチル基が好ましい。ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、クロロメチル基などのクロロアルキル基;トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基などのフルオロアルキル基(好ましくは、C1-3フルオロアルキル基)などが挙げられる。Raとしては、水素原子、メチル基等のC1-3アルキル基、トリフルオロメチル基等のC1-3ハロアルキル基が好ましく、特に、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(1)中の環が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、置換オキシカルボニル基、シアノ基などが挙げられる。ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、前記Raにおけるハロゲン原子等と同様のものが例示される。
炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル基などが挙げられる。ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ジフルオロヒドロキシメチル、1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、2,2−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基の中でも、炭素数1又は2(特に炭素数1)のヒドロキシアルキル基若しくはヒドロキシハロアルキル基が好ましい。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野でヒドロキシル基の保護基として通常用いられる保護基、例えば、メチル基、メトキシメチル基等のヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル又はアセタール結合を形成する基;アセチル基、ベンゾイル基等のヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエステル結合を形成する基などが挙げられる。カルボキシル基の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩などが挙げられる。
前記置換オキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、プロポキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基(C1-4アルコキシ−カルボニル基等);ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル基などのアルケニルオキシカルボニル基(C2-4アルコキシ−カルボニル基等);シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基;フェニルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。
式(1)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式エステルの代表的な例として、下記式で表される8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オン及びその置換体、8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5,10−トリオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オン及びその置換体、8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジオキサ−10−チアトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オン及びその置換体、4−(メタ)アクリロイルオキシ−10,12−ジオキサペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン−11−オン及びその置換体、4−(メタ)アクリロイルオキシ−10,12,14−トリオキサペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン−11−オン及びその置換体、4−(メタ)アクリロイルオキシ−10,12,15−トリオキサペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン−11−オン及びその置換体、4−(メタ)アクリロイルオキシ−10,12,14,15−テトラオキサペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン−11−オン及びその置換体などが挙げられる。式中、Rはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示す。式中に示される環は置換基を有していてもよい。
Figure 2007031357
式(1)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式エステルは、前記式(2)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールと、前記式(3)で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを反応させることにより製造することができる。式(2)及び式(3)におけるRa、X、nは、前記と同様である。
式(3)で表される不飽和カルボン酸の代表的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸などが挙げられる。式(3)で表される不飽和カルボン酸の反応性誘導体としては、酸ハライド、酸無水物、エステルなどが挙げられる。式(2)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールの代表的な例としては、前記式(1)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式エステルとして挙げた代表的化合物に対応する化合物(Rが水素原子である化合物)が挙げられる。
上記式(1)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式エステルは、より具体的には、(a)テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン等の溶媒中、式(2)で表される化合物に、必要に応じてトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基の存在下、(メタ)アクリル酸クロリド等の(メタ)アクリル酸ハライドや(メタ)アクリル酸無水物などの不飽和カルボン酸の活性な反応性誘導体を反応させたり、(b)前記と同様の溶媒中、式(2)で表される化合物に、チタンイソプロポキシド等のエステル交換触媒の存在下、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステルを反応させたり、(c)前記と同様の溶媒中、式(2)で表される化合物を、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の強酸の存在下で(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と反応させることにより得ることができる。
これらの方法における反応条件は、通常のエステル製造法と同様である。例えば、前記(a)の方法において、不飽和カルボン酸の活性な反応性誘導体の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば1〜1.5モル程度、塩基の使用量は、不飽和カルボン酸の活性な反応性誘導体1モルに対して、例えば1〜3モル程度(大過剰量であってもよい)であり、反応温度は、例えば、−20℃〜50℃程度である。また、前記(b)の方法において、不飽和カルボン酸エステルの使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば1〜10モル程度(大過剰量であってもよい)、エステル交換触媒の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.0001〜1モル程度であり、反応温度は、例えば0〜150℃程度である。さらに、前記(c)の方法において、不飽和カルボン酸の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば1〜5モル程度(大過剰量であってもよい)、強酸の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.0001〜1モル程度であり、反応温度は、例えば0〜150℃程度である。なお、これらの反応の際、重合を抑制するため、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどの重合禁止剤や酸素を導入することもできる。
反応で生成した式(1)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式エステルは、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
前記式(2)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールは、前記式(4)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式化合物をヒドロホウ素化−酸化反応に付すことにより得ることができる。式(4)におけるX、nは前記と同様である。
前段のヒドロホウ素化反応(ハイドロボレーション)に用いるヒドロホウ素化試剤としては、特に制限はなく、例えば、BH3・THF、BH3・S(CH32などのボラン錯体;モノアルキルボラン;ジアルキルボラン;BH2Cl、BHCl2などが使用される。また、ヒドロホウ素化で生成した有機ホウ素化合物(中間体)の酸化反応(後段)に用いる酸化剤も、特に限定されず、例えば、過酸化水素(アルカリ条件下)、空気や酸素、第3級アミンのN−オキシド(例えば、トリメチルアミン−N−オキシド等)などが使用される。反応条件は一般的なヒドロホウ素化−酸化反応に準じて行うことができる。例えば、反応温度は、反応基質や反応試剤(ヒドロホウ素化試剤、酸化剤)の種類等によっても異なるが、一般に−50℃〜100℃程度である。反応試剤は、一般に、反応基質に対して当量以上用いられる。
反応で生成した式(2)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールは、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
なお、式(2)において式中に示される環にフッ素原子が1以上結合している化合物は、式(2)において式中に示される環に水素原子が結合している化合物をフッ素等のフッ素化剤を用いた慣用のフッ素化反応に付することにより製造することもできる。
前記式(4)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式化合物のうちn=0である化合物は、例えば、下記反応工程式に従って製造することができる。式中、Yはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。Xは前記と同じである。式中の各環は置換基を有していてもよい。
Figure 2007031357
すなわち、式(5)で表される化合物(ジシクロペンタンジエン若しくはその置換体又はそれらの類縁体)又は式(6)で表される化合物(シクロペンタジエン、フラン若しくはチオフェン、又はそれらの置換体)と、式(7)で表される1,3−ジオキソール−2−オンとを反応させることにより、式(4a)で表される化合物(3,5−ジオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−エン−4−オン若しくはその類縁体、又はそれらの置換体)を得ることができる。なお、式(5)で表される化合物と式(6)で表される化合物は混合して用いることができる。
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。前記溶媒としては、例えば、酢酸エチルなどのエステル;酢酸などの有機酸;t−ブチルアルコールなどのアルコール;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの鎖状又は環状エーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。反応速度や反応の選択性を向上させるため、系内にルイス酸を添加してもよい。ルイス酸としては、例えば、AlCl3、SnCl4、TiCl4、BF3、ZnI2などが例示されるが、これに限定されない。反応温度は反応原料の種類等に応じて適宜選択できるが、一般には−80℃〜300℃程度、好ましくは−70℃〜250℃程度である。反応は常圧又は加圧下で行われる。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
式(4)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式化合物のうちn=1である化合物は、例えば、下記反応工程式に従って製造することができる。式中、Yはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。Xは前記と同じである。式中の各環は置換基を有していてもよい。
Figure 2007031357
すなわち、式(5)で表される化合物又は式(6)で表される化合物と、前記式(4a)で表される化合物とを反応させることにより、式(4b)で表される化合物(10,12−ジオキサペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン−4−エン−11−オン若しくはその類縁体、又はそれらの置換体)を得ることができる。なお、式(5)で表される化合物と式(6)で表される化合物は混合して用いることができる。反応条件は前記式(4a)で表される化合物を得る場合と同様である。
式(4)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式化合物のうちn=2である化合物は、式(5)で表される化合物又は式(6)で表される化合物と前記式(4b)で表される化合物とを前記と同様にして反応させることにより得ることができ、また、式(4)で表される環状カーボネート骨格を含む多環式化合物のうちn=3である化合物は、式(5)で表される化合物又は式(6)で表される化合物と、こうして得られた式(4)で表される化合物のうちn=2である化合物とを前記と同様にして反応させることにより得ることができる。
なお、式(1)において式中に示される環にフッ素原子が1以上結合している化合物は、式(1)において式中に示される環に水素原子が結合している化合物をフッ素等のフッ素化剤を用いた慣用のフッ素化反応に付することにより製造することもできる。
本発明の環状カーボネート骨格を含む多環式エステルは、塗料や機能性高分子の原料、医薬、農薬その他の精密化学品の原料などとして用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
下記の反応工程式に従って、8−メタクリロイルオキシ−3,5−ジオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オンを製造した。
Figure 2007031357
J. Am. Chem. Soc., 1954, 76, 5400に記載の方法により、式(4c)で表される3,5−ジオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−エン−4−オンを製造した。
上記で得られた式(4c)で表される化合物76g(0.5モル)を脱水THF(テトラヒドロフラン)1Lに溶解させ、これにBH3のTHF溶液(0.2M)を氷冷下で1L加えた。5〜10℃で2時間撹拌後、トリメチルアミン−N−オキシド37.5gをゆっくり加え、ボラン中間体を酸化した。その後、反応混合液にメタノールをゆっくり加え、次いで水を加え、塩化メチレンで抽出した。有機層を濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、式(2a)で表される8−ヒドロキシ−3,5−ジオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オンを41g得た。
上記で得られた式(2a)で表される化合物34g(0.2モル)を脱水THF800mlに溶解させ、これにトリエチルアミン24gを加え、0℃まで冷却後、メタクリル酸クロリド(3a)25gを滴下した。3時間後、水を加えて、塩化メチレンで目的物を抽出し、有機層を濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、式(1a)で表される8−メタクリロイルオキシ−3,5−ジオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オンを26g得た。
[式(1a)で表される8−メタクリロイルオキシ−3,5−ジオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オンのスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3) δ:6.15(1H), 5.58(1H), 4.42-4.49(m, 2H), 3.90-3.92(m, 1H), 2.01-2.30(m, 2H), 1.93(s, 3H), 1.55-1.66(m, 4H)
実施例2
実施例1において、式(7)で表される化合物(1,3−ジオキソール−2−オン=ビニリデンカーボネート)の代わりに、実施例1で得られた式(4c)で表される化合物を用いたこと以外は、すべて実施例1と同様の条件で反応を行い、下記式(1b)で表される4−メタクリロイルオキシ−10,12−ジオキサペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン−11−オンを12g得た。
Figure 2007031357
元素分析(CHS):Calculated % C 67.09, H 6.62
Found % C 67.10, H 6.63
MS:304, 235

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    Figure 2007031357
    (式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表される環状カーボネート骨格を含む多環式エステル。
  2. 下記式(2)
    Figure 2007031357
    (式中、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表される環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールと、下記式(3)
    Figure 2007031357
    (式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体を反応させて、下記式(1)
    Figure 2007031357
    (式中、Ra、X、nは前記に同じ。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表される化合物を得る環状カーボネート骨格を含む多環式エステルの製造法。
  3. 下記式(2)
    Figure 2007031357
    (式中、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表される環状カーボネート骨格を含む多環式アルコール。
  4. 下記式(4)
    Figure 2007031357
    (式中、Xはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。nは0〜3の整数を示す。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表される環状カーボネート骨格を含む多環式化合物をヒドロホウ素化−酸化反応に付して、下記式(2)
    Figure 2007031357
    (式中、X、nは前記に同じ。nが1以上の整数の場合、分子中の複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表される化合物を得る環状カーボネート骨格を含む多環式アルコールの製造法。
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