JP2007026983A - リチウムイオン二次電池用負極とその製造法、およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】SiOxで示される負極活物質にあらかじめLiを含有させた場合、Liの酸化還元電位が卑なために、正極中に混在する遷移金属が負極上に析出し、これが針状に析出した場合にセパレータを貫通し、短絡し、初期不良となる。
【解決手段】SiOx(0.2<x<1.4)を集電体上に形成した電極上に、リチウムと、それよりも酸化還元電位が貴であって、且つケイ酸塩を生成する金属を蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法あるいは電気化学的に不可逆容量相当量を反応させる。
【選択図】なし
【解決手段】SiOx(0.2<x<1.4)を集電体上に形成した電極上に、リチウムと、それよりも酸化還元電位が貴であって、且つケイ酸塩を生成する金属を蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法あるいは電気化学的に不可逆容量相当量を反応させる。
【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池に関し、具体的にはその負極および負極の製造法に関する。
従来のリチウムイオン二次電池は、正極にコバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムなどのリチウム含有遷移金属酸化物が用いられ、負極に黒鉛などの炭素系材料が用いられている。リチウムイオン二次電池が用いられる機器の高性能化にともない、電池に対し高容量化が望まれている。しかしながら、これら材料の組み合わせでの高容量化は、ほぼ限界に達しつつある。
そこで、電池の高容量化を達成するために、活物質材料の変更が検討されている。高容量化のための負極活物質としては金属リチウム、リチウムと合金化するアルミニウム、シリコン、スズなどが検討されている(例えば非特許文献1参照)。
なかでも、シリコンは理論容量が大きいため、この材料を活物質として用いたリチウムイオン二次電池が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、シリコンはリチウムと反応する際に大きな体積変化を伴う。その結果、繰り返し充放電により集電性が低下するため十分なサイクル特性が得られていない。
この課題を解決するための材料の1つとして、SiOx(2>x>0)が提案されている(例えば特許文献2参照)。この材料は高容量でサイクル特性が安定しているが、初期充電で挿入されたLiがすべて脱離しない、いわゆる不可逆容量が大きいという課題がある。これに対して、Li4SiO4、Li2SiO3、Li2Si2O5、Li4Si3O8、Li6Si4O11といった、当初よりLiを含有させたLiySiOx(y>0、2>x>0)を用いる方法が提案されている。しかしこれらの化合物は電子伝導性が極めて小さく、電池に求められるリチウムイオンの移動速度で、リチウムを脱離・挿入することが極めて困難である。これ以外にSiOx(2>x>0)にLiを予め含有させる方法として、電池外で電気化学的にリチウムを挿入する方法、負極上にリチウムもしくはリチウムの合金等を圧着し、積層体としたものを電池内に組み込み、電解液と接触した際に局部電池を形成してリチウムを挿入する方法、正極活物質と組み合わせて、充電時に負極にリチウムを吸蔵させる方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
Solid State Ionics,113−115,57,(1998) 特開2002−83594号公報
特開平6−325765号公報
Solid State Ionics,113−115,57,(1998)
しかしながら、SiOxで示される負極活物質にあらかじめ不可逆容量分のLiを含有させた負極と、リチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質とする正極とを組み合わせて電池を作製した場合、負極活物質中のLiの酸化還元電位が卑なために、電解液に溶出した正極活物質由来の遷移金属イオンが負極上に析出する。その結果、電池作製後の初期不良をおこしやすくなるという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電池作製後の初期不良が低減できるリチウム二次電池用負極およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のリチウム二次電池用負極は、ケイ素と、酸素と、リチウムと、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、CeおよびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属と、を構成元素として含む活物質を有することを特徴とする。
本構成によって、負極の電位が、LiのみをSiOx負極に入れた場合に比して貴にシフトするため、電解液に溶出した正極活物質由来の遷移金属イオンが負極上に析出するのが抑制されるので、電池作製後の初期不良を低減できる負極とすることが出来る。
また、本発明のリチウム二次電池用負極の製造方法は、ケイ素と酸素とを構成元素として含む活物質前駆体を集電体上に形成した後、活物質前駆体とリチウムとNa、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、CeおよびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属とを反応させて、活物質を作製することを特徴とする。
本発明のリチウム二次電池用負極によれば、初期の負極電位がLiのみをSiOx負極に入れた場合に比して貴にシフトするため、正極中に存在する遷移金属が負極上へ析出するのが抑制される。その結果、電池作製後の初期不良が低減できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(実施の形態1)
リチウム二次電池の活物質としてSiOx用いる場合、その不可逆容量を補うためにこれまではLiを予め含有させていた。その結果、酸化還元電位は卑へシフトするが、Liの酸化還元電位は最も卑であるため、シフトの程度が大きい。
リチウム二次電池の活物質としてSiOx用いる場合、その不可逆容量を補うためにこれまではLiを予め含有させていた。その結果、酸化還元電位は卑へシフトするが、Liの酸化還元電位は最も卑であるため、シフトの程度が大きい。
リチウム二次電池の正極にはLiCoO2やLiNiO2などのLi含有遷移金属酸化物が用いられている。これらの物質中に存在する遷移金属が電解液中に溶出する機構は必ずしも明らかになっていない。一般的に、例えばLiCoO2であればCo3O4とLiOHを適量混合して酸素雰囲気下で焼成するというという手法により作製される。その際にわずかに残存するCo3O4などの酸化物が、電解液中にわずかに存在するフッ酸により溶解されるという可能性が考えられる。このようにして生じた遷移金属イオンは酸化還元電位が卑へシフトした負極へ移動し、電荷を受け取ることにより負極上へ析出する。このようにして析出した遷移金属がセパレータに損傷を与えることにより、初期不良が発生すると考えられる。
本発明は、シリコンと酸素とを構成元素として含むSiOxで表される活物質前駆体に、Liと、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、CeおよびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属(以下、金属Mと示す場合もある)とをあらかじめ選択的に反応させることにより、SiOxの酸化還元電位が卑へシフトする量を軽減し、電解液中に存在する正極由来の遷移金属イオンが、負極に析出することを防ぐものである。その結果、遷移金属の析出により生じる微小短絡といった電池作製後の初期不良を低減させることができる。
さらにLiと、金属Mとによって不可逆容量を低減することができるため、金属Mを単独で用いた場合に比べ、電池としての電圧を大きくとることができる。その結果、SiOxが本来有する大きな充放電容量を維持することができるという効果も有する。
SiOxに含有させる金属Mの含有量は、下記一般式(1)で表した場合に0.2<x<1.4、0.5<a/(a+b)<0.95を満たすことが好ましい。
一般式(1) LiaMbSiOx
なお、SiOxのx値の範囲(0.2<x<1.4)は以下のようにして決定した。
なお、SiOxのx値の範囲(0.2<x<1.4)は以下のようにして決定した。
ケイ素を蒸着源に用い、アルゴン―酸素混合ガスを導入しつつ、チャンバー内圧を0.001Paとして、電子ビーム(EB)蒸着法によりSiOx薄膜を銅箔上に形成した。アルゴン―酸素比率を制御して、xの値を、0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0とした。活物質層の厚さは10μmであった。これを直径12.5mmの円形に打ち抜き、セパレータを介して、金属リチウムと対峙させ、2016サイズの電池ケースに挿入し、LiPF6を1MになるようにEC/DECの1:3(体積比)の混合溶媒に溶解した電解液を注液し、周囲をかしめて、試験用セルを作製した。作製したセルを、100μAの定電流で0Vまで充電し、ついで、電流方向を反転して、1.5Vまで放電を行い、充電容量、放電容量およびサイクル特性を求めた。充電容量および放電容果を図1に、サイクル特性を図2に示す。
図1に示したように1.2を境にして充放電容量が急激に低下する。これはSiOx中における酸素量の増大により、分極が大きくなる結果、充電ができていないことによるものと考えられる。
また、図2からx値が0.2以下の場合には著しくサイクル特性が低下することがわかる。これらのことから、本発明に適用されるSiOxとしては0.2<x<1.4が好ましい。
Liと金属Mとは電気化学的に不可逆容量相当量を含有させる。Liと金属Mとの比率はLiがLiと金属Mとの総量に対して50%より多く95%よりも少ないことが好ましい。50%以下では、負極の電位が高くなりすぎる結果、電池を構成した場合の電池電圧が低下してしまう。95%以上では負極の電位が下がりすぎて効果が少ない。
SiOx(0.2<x<1.4)にLiと金属Mとを含有させるためには、一般的には合成時にLiや金属Mの化合物を混合する手法がとれる。しかしこのような手法では電気化学的に活性な物質は得られない。従って本発明では予めSiOxを集電体上に形成し、その後にSiOxとLiと金属Mとを反応させる。
SiOxを集電体上に形成するためには一般的に行われている手法が使える。具体的には下記のような手法が例示される。SiOx粉末を導電材および結着材とともに適当な溶媒中で混合し、ペースト状の合剤を作製し、得られたペーストを集電体上に、塗布し乾燥させて得る。
別の方法としては、SiOx粉末を加圧成型したものをターゲットに用い、スパッタリング法、あるいはイオンプレーティング法で集電体上にSiOx薄膜を形成する。
さらに別の方法としては、Si粉末もしくはSiタブレット、もしくはSiO粉末をソースに用い、アルゴン―酸素混合気流中で蒸着し、集電体上にSiOx薄膜を形成する。
上記のいずれかの方法で得られた集電体上のSiOxに対して、Liと金属Mとの合金(以下、Li合金)を電気化学反応、あるいは熱拡散反応により反応させることで、シリコンと酸素とリチウムと金属Mとを構成元素として含む活物質を得ることができる。
集電体上のSiOxとLi合金(Liと金属Mとの合金)とを電気化学的に反応させる方法としては、上記手法によりSiOxを形成した集電体のSiOx上に、Li合金を圧接もしくは接触させた負極を形成し、その負極とセパレータと対極と組み合わせ、電池ケース内に挿入した後、電解液を注液した場合に、負極上で局部電池を形成させることができ、SiOx中にLiが電気化学的に挿入される。反応を加速して行わせるために、80℃以下の温度に加温することもできる。80℃以上にすると、電解液の分解が促進され、電池特性の低下が起こるため、80℃以下での処理が好ましい。
集電体上のSiOxとLiと金属Mとを反応させる別の方法としては、熱拡散による方法が挙げられる。具体的には、集電体上に形成されたSiOx上にLiと金属Mとを蒸発源に用い、抵抗加熱蒸着やEB蒸着などの物理蒸着法によって蒸着する時に、集電体と蒸発源との距離を適度に近づけると、蒸着中の坩堝からの輻射熱によりSiOx中にLiと金属Mとが拡散する。輻射熱が十分に得られない場合は、真空中もしくは不活性ガス気流中で熱処理を施すことも可能である。輻射熱温度、あるいは熱処理温度としては、700℃を超えない温度が好ましい。熱処理温度が800℃を超えるとSiOxの不均化反応でSiとSiO2に分相する結果、SiO2による抵抗の増大がおこり、分極特性の悪い電極材料となってしまう。また、酸化雰囲気や還元雰囲気で熱処理を行うとSiOxの酸素量がずれてしまう。
以下に、本発明を実施例に基づき、詳細に説明する。
(実施例1)
まず、SiOx粉末(x=1)を用いた負極のの不可逆容量を求めた。SiOx粉末(x=1)とアセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデン樹脂を重量比で90:7:3で混合したものを、N−メチルピロリドンに溶解・分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを銅箔の片面に塗布し、乾燥後、圧延して、SiOxを厚さ50μm有する負極を得た。これを直径12.5mmの円形に打ち抜き、セパレータを介して、金属リチウムと対峙させ、2016サイズの電池ケースに挿入し、LiPF6を1MになるようにEC/DECの1:3(体積比)の混合溶媒に溶解した電解液を注液し、周囲をかしめて、セルAを作製した。
まず、SiOx粉末(x=1)を用いた負極のの不可逆容量を求めた。SiOx粉末(x=1)とアセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデン樹脂を重量比で90:7:3で混合したものを、N−メチルピロリドンに溶解・分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを銅箔の片面に塗布し、乾燥後、圧延して、SiOxを厚さ50μm有する負極を得た。これを直径12.5mmの円形に打ち抜き、セパレータを介して、金属リチウムと対峙させ、2016サイズの電池ケースに挿入し、LiPF6を1MになるようにEC/DECの1:3(体積比)の混合溶媒に溶解した電解液を注液し、周囲をかしめて、セルAを作製した。
得られたセルAを100μAの定電流で0Vまで充電し、ついで、電流方向を反転して、1.5Vまで放電を行い、充電容量および放電容量を求めた。充電容量は54mAhであり、放電容量は27mAhであった。すなわちこのセルAの不可逆容量は27mAhであった。なお、セルAの組み立て後の開回路電圧は2.7Vであった。
上述したSiOxを厚さ50μm有する負極上に、Li−Na合金(Li含有量50%)箔を不可逆容量相当分である27mAh分切り出して負極板上に圧接したものを負極として用いたこと以外は、セルAと同様にして、本発明に係る試験セル1を作製した。
その後、24時間室温で保管した後、100μAの定電流で0Vまで充電し、ついで、電流方向を反転して、1.5Vまで放電を行い、充電容量および放電容量を求めた。試験セル1の充電容量は27mAhであり、放電容量も27mAhであった。すなわち不可逆容量は0mAhとなった。なお、電池組み立て後の開回路電圧は0.64Vであった。
他のLi−Na合金に換えて、他の合金を用いて、試験セル1と同様の方法で電池を作製して、電池組み立て後の開回路電圧、充電容量、放電容量および不可逆容量を求めた。結果を表1に示す。
また、試験セル1において、金属リチウムに換えて、コバルト酸リチウムを含む正極合剤をのせ、試験セル1と同様にして試験電池1をそれぞれ100個作製した。正極合剤は、コバルト酸リチウム粉末85重量%に対し、導電剤の炭素粉末10重量%と結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量%とを混合し、これらを脱水N−メチルピロリジノンに分散させてスラリーを作製し、アルミ箔からなる正極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して作製した。
得られた試験電池1を100μAで4.3Vまで充電を行った。その後、45℃で1週間保存する前後の開回路電圧を測定し、電圧低下が0.2V以上起こるものを不良として、良品率を求めた。結果を表2に示す。
以上より、Liと金属Mとの合金を用い、ケイ素と酸素とリチウムと金属Mとを構成元素として含む活物質を有する本発明の負極を用いて作製した試験セル1および試験電池1は、不可逆容量を低減することができ、ケイ素と酸素とリチウムとを構成元素として含む活物質を有する負極を用いて作製した電池よりも負極の開回路電圧を高めることができることが明らかとなった。さらに、本発明の負極を用いて作製した試験電池1のほうが、金属Mを含まない電池と比べて、45℃の保存における良品率が高まることが明らかとなった。
(比較例1)
実施例1の試験セル1におけるLi−Na合金に換えてLiあるいは金属Mのそれぞれの箔の不可逆容量相当量(27mAh)を圧接する以外は試験セル1と同様に比較セル1を作製した。実施例1と同様に、それぞれの開回路電圧、充電容量、放電容量および不可逆容量を求めた。結果を表3に示す。
実施例1の試験セル1におけるLi−Na合金に換えてLiあるいは金属Mのそれぞれの箔の不可逆容量相当量(27mAh)を圧接する以外は試験セル1と同様に比較セル1を作製した。実施例1と同様に、それぞれの開回路電圧、充電容量、放電容量および不可逆容量を求めた。結果を表3に示す。
表3に示したように、ケイ素と酸素とリチウムあるいは金属Mとを構成元素として含む活物質を有する負極を用いて作製した試験セル1は、セルAと比較して不可逆容量は低減されるが、開回路電圧が大きく上昇することから、電池電圧の低下、ひいてはエネルギー密度の低下が起こることが明らかとなった。
(実施例2)
SiOx粉末(x=1)とアセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデン樹脂を重量比で90:7:3で混合したものを、N−メチルピロリドンに溶解・分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを銅箔の片面に塗布し、乾燥後、圧延して、SiOxを厚さ50μm有する銅箔を得た。これを直径12.5mmの円形に打ち抜き、得られた円形の銅箔上のSiOxに、Liと金属Mとの混合物(Li含有率50%)を蒸着源として、抵抗加熱蒸着を実施した。銅箔と蒸着源との距離を18cmとした。また、SiOxに反応させるLiと金属Mとの混合物の量は不可逆容量相当分(27mAh)とした。このようにして負極板を得た。抵抗加熱蒸着時の負極板の表面温度は236℃であった。また、Liだけを蒸着源とした負極板も同様に作製した。
SiOx粉末(x=1)とアセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデン樹脂を重量比で90:7:3で混合したものを、N−メチルピロリドンに溶解・分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを銅箔の片面に塗布し、乾燥後、圧延して、SiOxを厚さ50μm有する銅箔を得た。これを直径12.5mmの円形に打ち抜き、得られた円形の銅箔上のSiOxに、Liと金属Mとの混合物(Li含有率50%)を蒸着源として、抵抗加熱蒸着を実施した。銅箔と蒸着源との距離を18cmとした。また、SiOxに反応させるLiと金属Mとの混合物の量は不可逆容量相当分(27mAh)とした。このようにして負極板を得た。抵抗加熱蒸着時の負極板の表面温度は236℃であった。また、Liだけを蒸着源とした負極板も同様に作製した。
得られた負極板を用いたこと以外は、試験セル1と同様にして試験セル2を作製した。得られた試験セル2についた、実施例1と同様に、開回路電圧、充電容量、放電容量および不可逆容量を求めた。結果を表4に示す。
また、得られた負極板を用いたこと以外は試験電池1と同様にして、試験電池2をそれぞれ100個作製した。得られた試験電池2を100μAで4.3Vまで充電を行った。その後、45℃で1週間保存する前後の開回路電圧を測定し、電圧低下が0.2V以上起こるものを不良として、良品率を求めた。結果を表5に示す。
表4および表5に示したように、ケイ素と酸素とを構成元素として含む活物質前駆体として集電体上に形成した後、活物質前駆体とLiと金属Mとを蒸着により反応させて本発明の負極を作製し、得られた負極を用いて電池を作製した場合にも、実施例1と同様、負極の開回路電圧を高めることができることが明らかとなった。さらにLiだけの場合よりも、Liと金属Mとの合金を用いた場合のほうが、良品率が高まることが明らかとなった。
(実施例3)
Li、Li含有率50%のLi−Na、Li−MgあるいはLi−Scを蒸着源とする抵抗加熱蒸着する際に、銅箔と蒸着源との距離を50cmとし、銅箔のSiOxが形成されていない面を冷却したこと以外は実施例2と同様にして、試験電池3をそれぞれ100個作製した。抵抗加熱蒸着時の負極板の表面温度は37℃であった。また、表面が金属色を示して居ることが目視で確認できた。
Li、Li含有率50%のLi−Na、Li−MgあるいはLi−Scを蒸着源とする抵抗加熱蒸着する際に、銅箔と蒸着源との距離を50cmとし、銅箔のSiOxが形成されていない面を冷却したこと以外は実施例2と同様にして、試験電池3をそれぞれ100個作製した。抵抗加熱蒸着時の負極板の表面温度は37℃であった。また、表面が金属色を示して居ることが目視で確認できた。
得られた試験電池3を100μAで4.3Vまで充電を行った。その後、45℃で1週間保存する前後の開回路電圧を測定し、電圧低下が0.2V以上起こるものを不良として、良品率を求めた。
Li−Na、Li−MgあるいはLi−Scを蒸着源とした電池は、90/100以上の良品率が得られ、Liのみを蒸着源とした電池の良品率は、82/100であった。
また、Li−Naを蒸着源として得られた負極板をアルゴン雰囲気中で、50℃、200℃、300℃、500℃、700℃、800℃、1000℃で1時間熱処理を行ったところ、200℃以上ではすべて金属色から黒色に色が変化した。
これらの熱処理をした負極板を用いた電池を、充放電電流100μA、充電終止電圧4.3V、放電終止電圧2.5Vで充放電した結果を図3に示す。図3から明らかなように800℃以上で熱処理したものは、サイクル特性が低下することがわかった。これは、SiOがSiとSiO2に不均化反応を起こした結果、体積変化が大きくなったためであると考えられた。同様の傾向は、蒸着源をLi−MgあるいはLi−Scとした場合にも観察された。
(実施例4)
まず、ケイ素を蒸着源として形成したSiOx薄膜負極の不可逆容量を求めた。ケイ素を蒸着源に用い、アルゴン―酸素混合ガスを導入しつつ、チャンバー内圧を0.001Paとして、EB蒸着法によりSiOx薄膜を銅箔上に形成した。活物質層の厚さは10μmで、蛍光X線から求めたxの値は0.45であった。これを直径12.5mmの円形に打ち抜き、負極を得た。得られた負極を、セパレータを介して金属リチウムと対峙させ、2016サイズの電池ケースに挿入し、LiPF6を1MになるようにEC/DECの1:3(体積比)の混合溶媒に溶解した電解液を注液し、周囲をかしめて、セルBを作製した。
まず、ケイ素を蒸着源として形成したSiOx薄膜負極の不可逆容量を求めた。ケイ素を蒸着源に用い、アルゴン―酸素混合ガスを導入しつつ、チャンバー内圧を0.001Paとして、EB蒸着法によりSiOx薄膜を銅箔上に形成した。活物質層の厚さは10μmで、蛍光X線から求めたxの値は0.45であった。これを直径12.5mmの円形に打ち抜き、負極を得た。得られた負極を、セパレータを介して金属リチウムと対峙させ、2016サイズの電池ケースに挿入し、LiPF6を1MになるようにEC/DECの1:3(体積比)の混合溶媒に溶解した電解液を注液し、周囲をかしめて、セルBを作製した。
得られたセルBを100μAの定電流で0Vまで充電し、ついで、電流方向を反転して、1.5Vまで放電を行い、充電容量および放電容量を求めた。充電容量は7.4mAhであり、放電容量は5.7mAhであった。すなわち不可逆容量は1.7mAhであった。なお、セルBの組み立て後の開回路電圧は2.58Vであった。
上述したSiOx薄膜(x=0.45)を10μm有する負極上に、Liと金属Mとの混合物(Li含有率50%)を蒸着源として、抵抗加熱蒸着を実施した。負極板と蒸着源の距離を18cmとした。また、SiOx薄膜に反応させるLiと金属Mとの混合物の量は不可逆容量相当分(1.7mAh)とした。抵抗加熱蒸着時の負極板の表面温度は230℃であった。また、Liだけを蒸着源とした負極板も同様に作製した。
得られた負極板を用いたこと以外は、試験セル1と同様にして試験セル4を構成した。得られた試験セル2についた、実施例1と同様に、開回路電圧、充電容量、放電容量および不可逆容量を求めた。結果を表6に示す。
また、得られた負極板を用いたこと以外は試験電池1と同様にして、試験電池4をそれぞれ100個作製した。得られた試験電池4を100μAで4.3Vまで充電を行った。その後、45℃で1週間保存する前後の開回路電圧を測定し、電圧低下が0.2V以上起こるものを不良として、良品率を求めた。結果を表7に示す。
表6および表7に示したように、活物質前駆体であるSiOxの薄膜を蒸着法で形成し、SiOxの薄膜とLiと金属Mとを蒸着法を用いて反応させることにより作製した負極を用いた試験セル4においても、不可逆容量を低減することができることが明らかとなった。また、本発明の負極を用いて作製した試験セル4は、蒸着源としてLiのみを蒸着源として作製したセルよりも、開回路電圧を高めることができることが明らかとなった。さらに、本発明の負極を用いて作製した試験電池4のほうが、金属Mを含まない電池と比べて、45℃の保存における良品率が高まることが明らかとなった。
(実施例5)
SiOx薄膜(x=0.45)を10μm有する負極上に、Liと金属Mとの混合物を蒸着源として、抵抗加熱蒸着を実施する際のLi含有率を換えたこと以外は。実施例4の試験セル4および試験電池4と同様にして、試験セル5および試験電池5を作製した。その際、金属Mとして、ナトリウム、マグネシウム、スカンジウムを使用した。比較のために金属Mを用いず、Liのみを蒸着源として用いたセルおよび電池も作製した。
SiOx薄膜(x=0.45)を10μm有する負極上に、Liと金属Mとの混合物を蒸着源として、抵抗加熱蒸着を実施する際のLi含有率を換えたこと以外は。実施例4の試験セル4および試験電池4と同様にして、試験セル5および試験電池5を作製した。その際、金属Mとして、ナトリウム、マグネシウム、スカンジウムを使用した。比較のために金属Mを用いず、Liのみを蒸着源として用いたセルおよび電池も作製した。
得られた試験セル5および試験電池5をを用い、実施例4と同様の試験を行った。また、本実施例で作製した試験電池5の体積エネルギー密度を求めた。結果を表8に示す。
表8より明らかなように、Li含有率が50%以下の場合、エネルギー密度が低下するために、Li含有量は50%以上が好ましいことが明らかとなった。
本発明に係るリチウム二次電池用負極は、それを用いた電池の電池作製後の初期不良が低減できると同時に、不可逆容量を低減し、SiOxが本来有する大きな充放電容量を有効活用できるリチウムイオン二次電池用負極を提供することができる。
Claims (7)
- ケイ素と、酸素と、リチウムと、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、CeおよびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属と、
を構成元素として含む活物質を有するリチウム二次電池用負極。 - 前記活物質は、下記一般式(1)で表される化学組成である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
LiaMbSiOx・・・(1)
(但し、MはNa、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、CeおよびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属、0.2<x<1.4、0.5<a/(a+b)<0.95) - ケイ素と酸素とを構成元素として含む活物質前駆体を集電体上に形成した後、
前記活物質前駆体とリチウムとNa、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、CeおよびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属とを反応させて、活物質を作製すること、
を特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。 - 前記活物質前駆体とリチウムとNa、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、CeおよびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属との反応が電気化学反応であること、
を特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。 - 前記活物質前駆体とリチウムとNa、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、CeおよびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属との反応が熱拡散反応であること、
を特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。 - 前記熱拡散反応は、反応温度が20℃以上700℃以下であり、真空中もしくは不活性ガス気流中で行われること、
を特徴とする請求項5に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1または2に記載のリチウム二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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