JP2007025546A - プロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 小型で軽量なプロジェクタを提供する。
【解決手段】 EL素子を複数備えてなるEL表示装置と、前記各EL素子が発光することで前記EL表示装置により表示される画像を拡大投射する投射手段と、を備えたプロジェクタである。また、前記EL表示装置は、前記各EL素子が発光した光に対し、プリズム効果を生じさせる光学補正構造を備えている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、プロジェクタに関する。
プロジェクタは、光源と光学変調パネルとを組み合わせ、前記光源からの光を画像情報に応じて前記光学変調パネルで変調し、画像形成を行うものである。このようなプロジェクタの構成としては、小型の反射ミラーを多数備えたデジタルミラーデバイス(DMD)により光源からの光を変調するDMD方式や、光学変調パネルとして液晶ライトバルブ(LCD)を3つ使用した3LCD方式が知られている。
ここで、3LCD方式のプロジェクタは、ダイクロイックプリズムの周囲に3枚の液晶パネルが配置され、各液晶パネルの背面に配置した光源によって液晶表示素子を照射し、ダイクロイックプリズムで合成された各色の画像を投射レンズでスクリーン上に表示する技術である(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−119104号公報
しかしながら、上述したような、3LCD方式のプロジェクタでは、例えば光源として用いられるメタルハイドロランプ、又はハロゲンランプから出射された光を液晶パネルに平行性よく照射させなければならず、大きな開口のリフレクタを光源ランプユニットに設ける必要があり、よってプロジェクタが大型化することで、軽量化を図ることが難しかった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、小型で軽量なプロジェクタを提供することにある。
本発明のプロジェクタは、EL素子を複数備えてなるEL表示装置と、前記各EL素子が発光することで前記EL表示装置により表示される画像を拡大投射する投射手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明のプロジェクタによれば、自発光素子であるEL素子によって構成されたEL表示装置を備えているので、例えば光源と該光源から出射した光を変調する液晶ライトバルブとの機能を、前記該EL表示装置のみによって発揮させることが可能となる。
よって、本発明のプロジェクタは、光源装置をコンパクトにすることができ、プロジェクタの大幅な軽量化、及び小型化を図ることができる。
また、前記プロジェクタにおいては、前記EL表示装置は、前記各EL素子が発光した光に対し、プリズムの屈折効果を生じさせる光学補正構造を備えたことが好ましい。
このようにすれば、各EL素子から発光された光は光学補正構造によって生じたプリズムの屈折効果によって集光されることとなり、より効率的に外部に取り出されるようになる。したがって、本プロジェクタによれば、各EL素子の輝度を向上させることにより、鮮明な画像を投射することが可能となる。
また、前記プロジェクタにおいては、前記光学補正構造は屈折率の異なる層が積層された積層体からなり、該積層体における界面は複数の斜面が組み合わされて構成されていることが好ましい。
ここで、積層体における界面が、例えば複数の斜面が組み合わされてなる連続した複数のピラミッド形状からなる場合、該ピラミッド形状の界面からEL素子の光を取り出すと、前記界面における各斜面によってプリズムの屈折効果が生じて、EL表示装置から光を外部により効率的に取り出すことができる。
また、前記プロジェクタにおいては、異なる色を表示する前記EL表示装置を複数備え、該各EL表示装置により表示される異なる色の画像を合成する色合成手段とを備えたことが好ましい。
このようにすれば、例えばRGBに対応した3つのEL表示装置を備えた場合にも、RGBの各画像を色合成手段により合成することでカラー画像をスクリーン上等に表示することができる。また、RGBに対応した3つのEL表示装置によってカラー画像を投射しているので、画像を構成する光量を増加させることとなり、より明るく鮮明な画像を投射できるプロジェクタとなる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明のプロジェクタの一実施形態を示す概略構成図である。図1に示すように、プロジェクタ800は、有機EL表示装置(EL表示装置)1R,1G,1Bと、該EL表示装置により表示される画像を拡大投射する投射レンズ(投射手段)826と、を備えたものであり、スクリーン827上に所望の画像を拡大投射可能となっている。
ここで、本実施形態におけるプロジェクタ800は、有機EL表示装置1R,1G,1BをRGB毎に3つ備えた、いわゆる3板式の構成からなり、よって各有機EL表示装置1R,1G,1Bによって表示したRGB毎の画像を、合成するためのクロスダイクロイックプリズム125を備えている。該クロスダイクロイックプリズム125は、4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。
前記有機EL表示装置1R,1G,1Bは、自発光素子であって有機材料からなる、有機EL素子(EL素子)を複数備えたものである。ここで、各有機EL表示装置1R,1G,1Bは、それぞれ光の3原色としての赤(R)色、緑(G)色、青(B)色に対応するものである。そして、各有機EL表示装置1R,1G,1Bは、図示しない駆動回路等により入力された画像信号に対応して、各有機EL素子を発光させることによりRGB毎の画像をそれぞれ表示可能となっている。具体的には、前記有機EL表示装置1Rは赤色の画像が表示可能であり、また有機EL表示装置1Gは緑色の画像が表示可能であり、さらに有機EL表示装置1Bは青色の画像が表示可能となっている。
そして、本実施形態のプロジェクタ800は、3つの有機EL表示装置1(1R,1G,1B)による画像を、上記クロスダイクロイックプリズム125によって合成し、該合成されたフルカラーの画像を投射レンズ826によってスクリーン827上に投射することができる。
また、本実施形態のプロジェクタ800は、RGB毎にそれぞれ有機EL表示装置を備えているので、例えば有機EL表示装置を1つ備えたプロジェクタに比べて、各有機EL表示装置によるRGB毎の画像を合成することでスクリーン827上に画像を投射しているので、スクリーン827上に投射される光量が増加し、したがって鮮明な画像をスクリーン827上に投射することが可能となっている。
(有機EL表示装置)
前記各有機EL表示装置1R,1G,1Bは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の表示装置である。なお、以下の説明において、前記各有機EL表示装置1R,1G,1Bを総称して、有機EL表示装置1とも呼ぶ。
図2に示すように、有機EL表示装置1は、複数の走査線101と、各走査線101に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線102と、各信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101と信号線102の各交点付近に画素領域Xが設けられている。
また、信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路100が接続される。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路80が接続される。
さらに、前記画素領域Xの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量113と、該保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT123と、この駆動用TFT123を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極23と、この画素電極23と陰極50との間に挟み込まれた発光層(図示せず)とが設けられている。
この有機EL表示装置1によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオン状態になると、そのときの信号線102の電位が保持容量113に保持され、該保持容量113の状態に応じて、駆動用TFT123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT123のチャネルを介して、電源線103から画素電極23に電流が流れ、さらに発光層60を介して陰極50に電流が流れる。また、前記発光層60は、これを流れる電流量に応じて発光するようになっている。
ここで、前記EL表示装置(1R,1G,1B)における有機EL素子3や駆動素子等の詳細な構成について、図3(a),(b)を参照して説明する。
図3(a)は、前記有機EL表示装置(1R,1G,1B)を構成する素子基板5に設けられた有機EL素子3の構成を詳細に示す図であり、図3(b)は、前記有機EL素子3を駆動するための駆動素子の構成を詳細に示した図である。
なお、前記各EL表示装置(1R,1G,1B)は、各R,G,Bを発光する発光層の材料が異なる以外の構成が同じため、赤(R)色に対応した発光層を備えた有機EL表示装置1Rを例に挙げ、図3を用いて説明する。
また、本実施形態における有機EL素子3は、いわゆるトップエミッション型となっていて、この素子基板5における封止層51側から発光光が取り出されるようになっている。素子基板5を構成する基板5aとしては、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができるが、本実施形態では不透明基板を用いている。
このような不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
基板5a上には、画素電極23に接続する駆動用TFT123(駆動素子4)などを含む回路部11が形成されており、その上に有機EL素子3が設けられている。前記有機EL素子3は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層70と、有機EL物質からなる発光層60と、陰極50とが順に形成されたことによって構成されている。なお、前記有機EL素子3は、有機隔壁221によって区画された領域に形成されている。
また、本実施形態においては、画素電極23上にSiO等の親液性の絶縁材料からなる無機隔壁25が形成されており、この無機隔壁25には開口25aが形成されている。
ここで、無機隔壁25は絶縁材料からなっているので、後述するように前記開口25a内に臨むようにして設けられた機能層においては、この無機隔壁25で覆われた箇所には電流が流れず、したがって発光する領域、すなわち発光面積は、この無機隔壁25の開口25aによって決定されるようになっている。
前記画素電極23は、上述したように本実施形態の有機EL表示装置1はトップエミッション型であるので、反射性の高いAgやAlなどの金属膜上に仕事関数の比較的高いITO等の透明導電材料によって形成された透明電極を積層して構成される。なお、特にボトムエミッション型である場合、透明導電材料によって形成され、具体的にはITOが好適に用いることができる。
正孔輸送層70の形成材料としては、特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔輸送層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。
発光層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。なお、本実施形態では、例えば発光波長帯域が赤色に対応した発光層が採用されるが、もちろん、発光波長帯域が緑色や青色に対応した発光層を採用するようにしてもよい。
具体的な前記発光層60の形成材料としては、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
また、前記発光層60を覆うようにして陰極50が形成されている。本実施形態では、例えば蒸着法を用いて陰極50を形成していることから、図3(a)に示すように、有機隔壁221上を含む基板5aのほぼ全面に陰極50が形成されている。
この陰極50を形成するための材料としては、本実施形態のEL表示装置1は上述したように、トップエミッション型であることから光透過性である必要があり、したがって透明導電材料が用いられる。透明導電材料としてはITO(インジウム錫酸化物)が好適とされるが、これ以外にも、例えば酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide :IZO/アイ・ゼット・オー)(登録商標))(出光興産社製)等を用いることができる。なお、本実施形態ではITOを用いこととし、例えばCaを厚さ5nm程度に形成し、その上にITO膜を厚さ200nm程度に形成して積層構造の電極としたものが用いられる。よって、この陰極50側から発光光を取り出す、トップエミッション型の発光を可能としている。
そして、前記陰極50上には、後述するように、有機EL素子3から発光された光にプリズムの屈折効果を生じさせる光学補正構造が形成されている。
また、前記有機EL素子3の下方には回路部11が設けられている。この回路部11は基板5a上に形成されたものである。すなわち、基板5aの表面にはSiOを主体とする下地保護層281が下地として形成され、その上にはシリコン層241が形成されている。このシリコン層241の表面には、SiO及び/又はSiNを主体とするゲート絶縁層282が形成されている。
また、前記シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域がチャネル領域241aとされている。なお、このゲート電極242は、図示しない走査線の一部である。一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242を形成したゲート絶縁層282の表面には、SiOを主体とする第1層間絶縁層283が形成されている。
また、シリコン層241のうち、チャネル領域241aのソース側には、低濃度ソース領域241bおよび高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain )構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域241Sは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソース電極243に接続されている。このソース電極243は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域241Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。
ソース電極243およびドレイン電極244が形成された第1層間絶縁層283の上層には、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とする平坦化膜284が形成されている。この平坦化膜284は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、駆動用TFT123(駆動素子4)やソース電極243、ドレイン電極244などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
そして、ITO等からなる画素電極23が、この平坦化膜284の表面上に形成されるとともに、該平坦化膜284に設けられたコンタクトホール23aを介してドレイン電極244に接続されている。すなわち、画素電極23は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続されている。
画素電極23が形成された平坦化膜284の表面には、画素電極23と、前述した無機隔壁25とが形成されており、さらに無機隔壁25上には、有機隔壁221が形成されている。そして、画素電極23上には、無機隔壁25に形成された前記開口25aと、有機隔壁221に形成された開口221aとの内部、すなわち画素領域に、前記の正孔輸送層70と発光層60とが画素電極23側からこの順で積層され、これによって上述した有機EL素子3が形成されている。
ここで、有機EL素子3および駆動用TFT123(駆動素子4)を図3(a)に対応した模式図で示すと、図3(b)に示すようになる。図3(b)において、電源線7は駆動素子4のソース/ドレイン電極に接続し、電源線8は有機EL素子3の陰極50に接続している。
そして、このような構成のもとに有機EL素子3は、正孔輸送層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが発光層60で結合することにより、発光をなすようになっている。
(光学補正構造)
本実施形態の有機EL表示装置1は、前記陰極50上には、前記有機EL素子3から発光された光にプリズムの屈折効果を生じさせる光学補正構造20が形成されている。この光学補正構造20は、屈折率の異なる層が積層された積層体からなり、該積層体における界面は複数の斜面が組み合わされて構成されたものとなっている。
具体的には、図3(a)に示したように、前記陰極50及び有機隔壁221の上面を含んだ素子基板5の前面を覆うように、封止層51が設けられている。このような封止層51としては、透光性を有し、かつ高い封止能力を得るために高屈折率の材料が好ましく、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料を好適に用いることができる。なお、本実施形態では、屈折率n=1.7となるアクリルを用いることで前記封止層51を形成している。なお、前記封止層51は、その内側に酸素や水分が浸入するのを防止するためのものであって、これにより陰極50及び発光層60から構成される有機EL素子3への酸素や水分の浸入を防止し、酸素や水分による前記有機EL素子3の劣化等を抑えることができる。
そして、前記封止層51上には、封止基板52が貼着されている。ここで、前記封止基板52は、屈折率n=1.5のガラスからなるものである。このように、屈折率の異なる封止層51と封止基板52との積層体から光学補正構造20が構成されている。また、前記積層体の界面は、後述するように複数の斜面が組み合わされてなるプリズム部が設けられている。そして、本実施形態の有機EL表示装置1では、図3(a)に示すように、前記プリズム部20aは各有機EL素子3の直上に設けられている。
図4は、上記光学補正構造20を示した部分拡大図であり、図4(a)は側断面図、図4(b)は平面図を示すものである。
図4(a)に示すように、本実施形態の光学補正構造20は、高屈折率層(n=1.7)としての封止層51と低屈折率層(n=1.5)としての封止基板52とが順に積層された構造(積層体)からなり、該積層体における界面には複数の斜面が組み合わされた上記プリズム部20aが設けられている。
具体的に、図4(b)に示すように、前記プリズム部20aは、上述した封止層51及ぶ封止基板52から構成される積層体の厚み方向に対して、傾きをなす複数の斜面が組み合わされて形成された、多数のピラミッド構造となっている。
また、各ピラミッドは、前記有機EL表示装置1における各画素領域Xから出射される光のボケを防止するために、前記画素領域Xの大きさよりも小さくなっていることが好ましく、例えば1μmピッチで形成され、図4(b)に示すように、前記画素領域Xの直上に数百個程度形成されたものとなる。
このようなピラミッド形状のプリズム部20aを備えた光学補正構造20によって、有機EL素子3からの光を屈折することができる。
ところで、上記光学補正構造20を形成するには、例えばナノインプリント技術を好適に用いることができる。具体的には、上述したピラミッド形状が反転写された凹凸形状を有した型を、封止層51の前躯体であるアクリル層を加熱した状態で押し付けることで、前記ピラミッド形状のプリズム部20aが設けられた封止層51を形成される。このようなナノインプリント技術を用いることにより、前記プリズム部20aを構成するピラミッド形状を良好に形成することが可能となる。
そして、該プリズム部20aの形状に対応した凹凸形状(ピラミッド形状)が付与されてなる封止基板52を貼着して積層することで、上記光学補正構造20を得ることができる。
なお、光学補正構造20を形成する方法は、上述した方法に限定されることは無く、例えば前記封止層51上に、ガラスと同じ屈折率(n=1.5)からなるプラスチック層を設けた後、該プラスチック層上にガラスからなる封止基板52を設けるようにしてもよい。このようにすることで、封止基板52にピラミッド状の凹凸形状を形成する工程を省くことが可能となる。
また、予め、ピラミッド形状が形成された封止基板52を、素子基板5上に塗布したアクリル層に押し付けて硬化させることで、封止層51と封止基板52との界面に光学補正構造20を形成するようにしてもよい。
次に、図5を参照し、前記光学補正構造20が有機EL素子3から出射した光に与える作用について説明する。
ここで、図5(a)は光学補正構造20を備えない従来の構成における光の取り出しを示し、図5(b)は光学補正構造20を備えた場合における光の取り出しを示すものである。なお、図5(a)中に示す光L1〜L3と、図5(b)中に示す光L1´〜L3´とは互いに対応するもので、有機EL素子3から同じ角度により出射されているものとする。
有機EL素子(発光層60)3から発光された光は封止層51を透過し、該封止層(n=1.7)51上に設けられたガラスからなる封止基板(n=1.5)52に入射するようになる。ここで、屈折率の高い領域から屈折率の低い領域に光が入射する場合には、その界面において全反射が生じることとなる。
ここで、積層体(封止層51及び封止基板52から構成される)の界面にプリズム部20aを設けた光学補正構造20を備えない従来の構成では、図5(b)に示すように、封止層51と封止基板52との界面が平坦面となっており、特に光L3´は積層体の界面に臨界角以上で入射するようになる。よって、前記界面によって全反射されてしまう。
一方、本実施形態のように界面にプリズム部20aを設けた光学補正構造20を採用することで、図5(b)に示すように、有機EL素子3から出射された光L1〜3は、上述した光学補正構造20のプリズム部20aにおけるピラミッド形状の斜面によって屈折されるようになる。
具体的には、光L3は、前記光学補正構造20のピラミッド形状の斜面に対して臨界角以下で入射することとなり、封止層51と封止基板52との界面で全反射されることなく、封止基板52側に取り出すことができる。
したがって、光学補正構造20を形成することにより、光L3における入射角度で界面に入り込んで封止層及び封止基板の界面で全反射にされ、封止層内に閉じ込められていた有機EL素子3の光の成分を外部取り出すことができ、光の取り出し効率を向上できる。
また、上記実施形態では、トップエミッション型の有機EL表示装置1について説明したが、ボトムエミッション型を採用してもよい。この場合、光が基板5aを透過して出射されることから、透明基板となる基板5aを構成する材料としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特にガラス基板を好適に用いることができ、光学補正構造は光を出射される基板5a側に設ける必要がある。
次に、上述した有機EL表示装置1(1R,1G,1B)を備えたプロジェクタ800によって画像を投射する場合について説明する。
具体的には、所望の画像信号が入力されることで前記各有機EL表示装置1R,1G,1Bにより表示されたRGB毎の各画像は、クロスダイクロイックプリズム125に入射するようになる。
このとき、前記有機EL表示装置1R,1G,1Bは、上述した光学補正構造20を備えているので、各有機EL素子3から発光した光は、前記光学補正構造20によるプリズムの屈折効果によって効率的に外部に取り出されている。すなわち、上記有機EL表示装置1R,1G,1Bは、輝度が高い有機EL素子3を備えることにより、それぞれが鮮明な画像を表示できる。
よって、前記有機EL表示装置1R,1G,1Bによって、従来のプロジェクタの構成における光源、及び光変調素子としての液晶ライトバルブにより相する機能を発揮することができる。したがって、本実施形態におけるプロジェクタ800は、従来のプロジェクタのような、例えばハロゲンランプ及びリフレクタからなる光源や、該光源の光を変調する光変調素子を不要とすることができ、プロジェクタ800の構成を単純になり、小型、かつ軽量なものとなる。
そして、前記各有機EL表示装置1R,1G,1BからのRGB3色の光を前記クロスダイクロイックプリズム125の誘電体多層膜によって合成することにより、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射手段としての投射レンズ826を介して、スクリーン827上にカラー画像として拡大投射されることとなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明のプロジェクタについての好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、3つの有機EL表示装置1R,1G,1Bによって表示したRGB毎の画像をクロスダイクロイックプリズム125によって合成してスクリーン827上に投射していたが、例えばRGB全ての発光層を備えたフルカラー画像を表示できる有機EL表示装置に対しても適応することができる。このとき、RGBを合成するクロスダイクロイックプリズムが不要となることで、プロジェクタをより小型なものとすることができる。
プロジェクタの概略構成を示す図である。 有機EL表示装置の配線構造を示す図である。 (a),(b)は有機EL素子及び駆動素子の構成を詳細に示す図である。 光学補正構造における(a)は側断面図、(b)は平面図である。 (a),(b)は光学補正構造が光に与える作用説明図である。
符号の説明
1…有機EL表示装置(EL表示装置)、3…有機EL素子(EL素子)、20…光学補正構造、825…クロスダイクロイックプリズム(色合成手段)、826…(投射手段)、800…プロジェクタ

Claims (4)

  1. EL素子を複数備えてなるEL表示装置と、前記各EL素子が発光することで前記EL表示装置により表示される画像を拡大投射する投射手段と、を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
  2. 前記EL表示装置は、前記各EL素子が発光した光に対し、プリズムの屈折効果を生じさせる光学補正構造を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
  3. 前記光学補正構造は屈折率の異なる層が積層された積層体からなり、該積層体における界面は複数の斜面が組み合わされて構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクタ。
  4. 異なる色を表示する前記EL表示装置を複数備え、該各EL表示装置により表示される異なる色の画像を合成する色合成手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
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