JP2007025005A - セル内構造の製造方法及びセル内構造並びに表示装置 - Google Patents

セル内構造の製造方法及びセル内構造並びに表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、セル内構造を高精細に、かつ効率よく形成可能なセル内構造の製造方法を提供する。
【解決手段】 感光層に対し、前記光照射手段からの光を変調させ、前記光変調手段により変調された光を、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像させて露光を行うことを少なくとも含み、前記露光が、前記光変調手段により変調された光を、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて結像し、前記略矩形状の短辺方向を、前記感光層のうねり方向に向けて行われる露光工程と、現像工程とを含むことを特徴とするセル内構造の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、本発明は、柱(スペーサー)、液晶配向制御用突起、重ね柱、及び絶縁膜の少なくともいずれかを高解像度で作製することができるセル内構造の製造方法、及びセル内構造並びに該セル内構造を用いた表示装置に関する。
近年、CRT(Cathode−Ray Tube)ディスプレイに代わるフラットパネルディスプレイとしては、液晶表示装置(LCD)が最も広く使用されており、その期待も大きい。中でも、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)方式のLCD(TFT−LCD)は、パーソナルコンピュータ、ワープロ、及びOA機器や、携帯テレビジョン等への応用によって市場の一層の拡大が期待されているとともに、画像品質の更なる向上が求められている。
現在、TFT−LCDの中で最も広く使用されている方式は、ノーマリホワイトモードのTN(Twisted Nematic)型のLCDである。しかし、TN型のLCDは、視野角が狭く、表示画面を観察する位置によって表示状態が異なってしまうので、用途が限定されてしまうという問題がある。
このTN型のLCDが有する問題は、電極を備える一対の基板間に液晶を挟持し、電極間に電圧印加して表示することが可能なLCD(例えば、単純マトリックス型やプラズマアドレス型LCD)においても同様に生じる問題である。
上述のような欠点を解決する手段としては、液晶層に対して突起を形成する技術が提案されている。かかる突起は液晶の配向を制御するために形成されるものであり、液晶配向制御用突起(液晶配向制御用突起)と称される。該突起は、その表面に沿って局部的に液晶分子の配向状態に傾きを与え、液晶面に対して斜めから観察した場合であっても、液晶面を正面から観察した場合と同様の表示状態が得られるように視野角を拡げるものである。
このような技術としては、例えば、フェノールノボラック樹脂を用いて液晶配向制御用突起(液晶配向制御用突起)を形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、一般に、表示装置は一対の基板の間に所定の配向を施された液晶層が配置されており、基板間隔、即ち、液晶層の厚みを均一に維持することが画質の良し悪しを決定する。この液晶層厚さを一定にするのにスペーサー(柱)が用いられている。
また、絶縁膜とは、開口率の高いハイアパーチャ構造(HA構造)のためのものであり、TFT基板上に配置し、コンタクトホールにより画素電極とTFTを接続する構造を有するものである。
このような表示装置の分野においては、大型基板を用いて多面付けを行い、生産性を向上させる傾向があることから、前記液晶配向制御用突起及び前記柱等には、非常に高度な位置精度が要求されていることに加え、液晶ディスプレイの高精細化に伴い、微細パターン化により占有面積を減少させることが要求されている。
前記柱(スペーサー)、前記液晶配向制御用突起、及び前記絶縁膜等のセル内構造の形成方法としては、一般に、感光性組成物を露光、現像することにより微細パターンを形成する、フォトリソグラフィ法が知られている。
前記フォトリソグラフィ法を行う露光装置として、フォトマスクを用いることなく、半導体レーザ、ガスレーザ等のレーザ光を、配線パターン等のデジタルデータに基づいて、感光性組成物上に直接スキャンして、パターニングを行うレーザダイレクトイメージングシステム(以下、「LDI」と称することがある)による露光装置が研究されており(例えば、非特許文献1参照及び特許文献1参照)、入射された光をパターン情報(画像信号)に基づいて変調し、2次元パターンを形成する空間光変調手段等の光変調手段を備え、形成された2次元パターンを感光材料上に投影して露光する露光装置が知られている。
前記空間光変調手段としては、傾斜角度が変更可能なマイクロミラーを2次元状に多数配列(例えば、1024×756画素)したデジタル・マイクロミラー・デバイス(以下、「DMD」と表記する)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
光変調手段としてDMDを備えた露光装置は、2次元パターンの光を結像させるための投影レンズを有する結像手段を備え、該投影レンズは、DMDの各マイクロミラーのうち、所定角度に傾斜したマイクロミラーによって反射された光のみを感光材料上に結像するように構成されている。すなわち、この露光装置を用いた露光は、感光材料上に投影される2次元パターンを形成する各画素が、各マイクロミラーに対応するようにして行われるものである。
従来の露光装置では、前記結像手段を構成する投影レンズのほぼ全面領域を用い、感光材料上に2次元パターンを結像させていた。この場合、前記投影レンズの全面領域において、像面湾曲、非点隔差、及び歪曲等を抑制し、テレセントリック性を向上させ、高いレンズ光学性能を持たせる必要があった。
しかしながら、ほぼ全面領域において高いレンズ光学性能を持つ投影レンズの製造には、部品精度の向上、より良い部品の選別等の必要があり、また、全面領域において高いレンズ光学性能を持つ大口径の投影レンズの製造は困難であることから、大面積の露光ができず、露光速度の低下に繋がる。
よって、ほぼ全面領域において高いレンズ光学性能を持つ投影レンズを備えた露光装置を用いてパターン形成を行う場合、パターン形成の効率が低下し、さらに、コスト増につながるという問題があった。
一方、投影レンズのレンズ光学性能が悪いと、ビーム位置精度が悪化するため、例えば、多重露光の回数を増やす等の方法により、位置精度の悪化の影響を均す必要があるため、光学性能の劣る投影レンズを備えた露光装置を用いてパターン形成を行う場合には、露光速度の低下によるパターン形成効率の低下や、解像度の低下等の問題があった。
よって、装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、柱(スペーサー)、液晶配向制御用突起、重ね柱、及び絶縁膜などのセル内構造を、高精細に形成可能な製造方法、及び該セル内構造の製造方法により製造される高精細なセル内構造、並びに該セル内構造を用いた表示装置は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
特開2004−1244号公報 特開2001−305663号公報 石川明人"マスクレス露光による開発短縮と量産適用化"、「エレクロトニクス実装技術」、株式会社技術調査会、Vol.18、No.6、2002年、p.74〜79
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、柱(スペーサー)、液晶配向制御用突起、重ね柱、及び絶縁膜などのセル内構造を、高精細に形成可能な製造方法、及び該セル内構造の製造方法により製造される高精細で、欠けや脱落などの故障の発生が抑制されたセル内構造、並びに該セル内構造を用いた表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくともバインダーを含む感光性組成物からなり、基材の表面に位置する感光層に対し、
光照射手段からの光を受光してパターン情報に基づいて変調する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させ、前記光変調手段により変調された光を、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像させて露光を行うことを少なくとも含み、
前記露光が、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて、前記光変調手段により変調された光が結像され、
前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向けられて行われる露光工程と、
該露光工程により露光された感光層を現像する現像工程と
を含むことを特徴とするセル内構造の製造方法である。該<1>に記載のセル内構造の製造方法においては、前記光変調手段により変調された光が、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像されることにより露光が行われる。該露光が、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて、前記光変調手段により変調された光が結像され、前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向けられて行われるため、光学性能の良い領域に選択的に照射された光が結像され、焦点位置が適切な位置に調整される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細で、欠けや脱落などの故障の発生が抑制されたセル内構造が製造される。
<2> 結像手段が、周辺領域に歪みを持たせ、中央部を含む領域の歪みを少なくして製造された投影レンズから構成される前記<1>に記載のセル内構造の製造方法である。該<2>に記載のセル内構造の製造方法においては、前記結像手段が、周辺領域に歪みを持たせ、中央部を含む領域の歪みを少なくして製造された投影レンズから構成されるため、前記投影レンズの光学性能の良い領域に光を選択的に照射することにより、投影レンズの全面領域を使用する場合に比べて焦点調節手段の光学系を小型化することができ、また、変調された光の焦点位置を安定に保ちながら高精度の焦点位置調整が可能になる。この結果、装置コストが低減されるとともに、前記感光層への露光が極めて高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細で、欠けや脱落などの故障の発生が抑制されたセル内構造が製造される。
<3> 結像手段が、長辺の長さが短辺の長さの2倍以上の略矩形状の領域において、光変調手段により変調された光を結像する前記<1>から<2>に記載のセル内構造の製造方法である。
<4> 焦点調節手段が、光変調手段により変調された光の光軸方向の厚さが変化するように形成されたくさび型プリズムペアを有し、
前記くさび型プリズムペアを構成する各くさび型プリズムを移動することによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点を調節する前記<1>から<3>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。
<5> 焦点調節手段が、結像光学系を構成する光学部材と、ピエゾ素子とを有し、
前記光学部材を前記ピエゾ素子により移動させることによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点を調節する前記<1>から<3>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。該<5>に記載のセル内構造の製造方法においては、前記光学部材を前記ピエゾ素子により移動させることによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点が調節されるため、焦点方向に対して垂直な方向への微小変位を抑制でき、高ビーム位置精度を保ちながら、極めて高精度に焦点位置が調整される。
<6> 結像手段が、光変調手段により変調された光の光軸に対し、前記光軸を中心に回転可能なレンズ、及び前記光軸に対して垂直方向に移動可能レンズのいずれかにより構成されてなる前記<1>から<5>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。
<7> 光変調手段が、n個(ただし、nは1以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。
<8> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<1>から<7>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。
<9> 光照射手段が、半導体レーザ素子から発せられたレーザ光を出射する前記<1>から<8>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。
<10> 光照射手段が、半導体レーザ素子から発せられたレーザ光を一端から入射し、入射したレーザ光を他端から出射する光ファイバを複数本束ねたバンドル状のファイバ光源である前記<9>に記載のセル内構造の製造方法である。該<10>に記載のセル内構造の製造方法においては、ファイババンドル状の光源として面積あたりの光量の大きい高輝度な光源を用いることで、光パワーを向上させつつ、エタンデュー(Etendue)を小さくすることができるため、前記光変調手段側の開口数を小さくでき、更に、前記結像光学系の焦点深度を大きくすることができる。この結果、前記感光層の被露光面上に結像される画像のピントずれが抑制される。
<11> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<8>から<10>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。該<11>に記載のセル内構造の製造方法においては、前記光照射手段が2以上の光を合成して照射可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なセル内構造が形成される。
<12> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを平行光化して集光し、前記マルチモード光ファイバの入射端面に収束させる光源集光光学系とを有する前記<8>から<11>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。該<12>に記載のセル内構造の製造方法においては、前記光照射手段により、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームが前記光源集合光学系により集光され、前記マルチモード光ファーバーに結合可能とすることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なセル内構造が形成される。
<13> 感光層が、ポジ型感光層及びネガ型感光層のいずれかである前記<1>から<12>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法である。
<14> ポジ型感光層が、フェノール樹脂、及びナフトキノンジアジド誘導体から選択される少なくとも2種を含有する前記<13>に記載のセル内構造の製造方法である。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のセル内構造の製造方法により製造されたことを特徴とするセル内構造である。
<16> 柱、液晶配向制御用突起、重ね柱、及び絶縁膜の少なくともいずれかである前記<15>に記載のセル内構造である。
<17> 前記<15>から<16>のいずれかに記載のセル内構造を用いたことを特徴とする表示装置である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、柱(スペーサー)、液晶配向制御用突起、重ね柱、及び絶縁膜などのセル内構造を、高精細に形成可能な製造方法、及び該セル内構造の製造方法により製造される高精細で、欠けや脱落などの故障の発生が抑制されたセル内構造、並びに該セル内構造を用いた表示装置を提供することができる。
(セル内構造の製造方法)
本発明のセル内構造の製造方法は、感光層形成工程と、露光工程と、現像工程とを少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択されたその他の工程を含んでなる。
本発明のセル内構造は、本発明の前記セル内構造の製造方法により製造される。
本発明の表示装置は、本発明の前記セル内構造を用いてなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
以下、本発明のセル内構造の製造方法の説明を通じて、本発明のセル内構造及び表示装置の詳細についても明らかにする。
前記感光層は、少なくともバインダーを含む感光性組成物からなり、基材の表面に位置する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、少なくともバインダーを含む感光性組成物を用いて基材の表面に形成されてなる。更に、必要に応じて適宜選択されたその他の層が形成される。
前記感光層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布により形成する方法、シート状の感光層を加圧及び加熱の少なくともいずれかによりラミネートすることにより形成する方法、それらの併用などが挙げられ、以下に示す第1の態様の感光層形成方法及び第2の態様の感光層形成方法が好適に挙げられる。
第1の態様の感光層形成方法としては、前記感光性組成物を基材の表面に塗布し、乾燥することにより、基材の表面に、少なくとも、感光層を形成し、更に、適宜選択されたその他の層を形成する方法が挙げられる。
第2の態様の感光層形成方法としては、前記感光性組成物をフィルム状に成形した感光性フィルム(以下、「感光性転写材料」と称することがある)を基材の表面に加熱及び加圧の少なくともいずれかの下において積層することにより、基材の表面に、少なくとも、感光層を形成し、更に、適宜選択されたその他の層を形成する方法が挙げられる。
第1の態様の感光層形成方法において、前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材の表面に、前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
前記感光性組成物溶液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いて、前記基材に直接塗布する方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.5〜10μmが好ましく、0.75〜6μmがより好ましく、1〜5μmが特に好ましい。
第1の態様の感光層形成方法において形成されるその他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸素遮断層、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などが挙げられる。
前記その他の層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記感光層上に塗布する方法、シート状に形成されたその他の層を積層する方法などが挙げられる。
前記第2の態様の感光層形成方法において、基材の表面に感光層、及び必要に応じて適宜選択されるその他の層を形成する方法としては、前記基材の表面に支持体と該支持体上に感光性組成物が積層されてなる感光層と、必要に応じて適宜選択されるその他の層とを有する感光性フィルム(感光性転写材料)を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する方法が挙げられ、支持体上に感光性組成物が積層されてなる感光性フィルムを、該感光性組成物が基材の表面側となるように積層し、次いで、支持体を感光性組成物上から剥離する方法が好適に挙げられる。
前記支持体を剥離することにより、支持体による光の散乱や屈折の等影響により、感光性組成物層上に結像させる像にボケ像が生じることが防止され、所定のパターンが高解像度で得られる。
なお、前記感光性フィルムが、後述する保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基材に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
前記加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、70〜130℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。
前記加圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.01〜1.0MPaが好ましく、0.05〜1.0MPaがより好ましい。
前記加熱及び加圧の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒートプレス、ヒートロールラミネーター(例えば、(株)日立インダストリイズ製、LamicII型)、真空ラミネーター(例えば、名機製作所製、MVLP500)などが好適に挙げられる。
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるのが好ましく、更に表面の平滑性が良好であるのがより好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4〜300μmが好ましく、5〜175μmがより好ましく、10〜100μmが特に好ましい。
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの長さのものが挙げられる。
前記支持体は、合成樹脂製であり、かつ透明であるものが好ましく、例えば、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース等のセルロース系フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、ナイロン等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記支持体としては、例えば、特開平4−208940号公報、特開平5−80503号公報、特開平5−173320号公報、特開平5−72724号公報などに記載の支持体を用いることもできる。
前記感光性フィルムにおける感光層の形成は、前記基材への前記感光性組成物溶液の塗布及び乾燥(前記第1の態様の感光層形成方法)と同様な方法で行うことができ、例えば、該感光性組成物溶液をスピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いて塗布する方法が挙げられる。
前記保護フィルムは、前記感光層の汚れや損傷を防止し、保護する機能を有するフィルムである。
前記保護フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜40μmが特に好ましい。
前記保護フィルムの前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、前記感光層上に設けられる。
前記保護フィルムを用いる場合、前記感光層及び前記支持体の接着力Aと、前記感光層及び保護フィルムの接着力Bとの関係としては、接着力A>接着力Bであることが好適である。
前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数としては、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
前記保護フィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記支持体に使用されるもの、シリコーン紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオロエチレンシート、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが特に好ましいものとして挙げられる。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロファン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
前記保護フィルムとしては、上述の接着力の関係を満たすために、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調製するために表面処理することが好ましい。
前記支持体の表面処理方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などが挙げられる。
前記下塗層の塗設方法の具体例としては、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃(特に50〜120℃)で1〜30分間乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂層、中間層、などが挙げられる。
−熱可塑性樹脂層−
前記熱可塑性樹脂層(以下、「クッション層」と称することもある)は、アルカリ現像を可能とし、また、転写時にはみ出した該熱可塑性樹脂層により被転写体が汚染されるのを防止可能とする観点からアルカリ可溶性であることが好ましく、前記感光性転写材料を被転写体上に転写させる際、該被転写体上に存在する凹凸に起因して発生する転写不良を効果的に防止するクッション材としての機能を有していることが好ましく、該感光性転写材料を前記被転写体上に加熱密着させた際に該被転写体上に存在する凹凸に応じて変形可能であるのがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂層に用いる材料としては、例えば、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的には、アメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選択されることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル又はそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル又はそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル又はそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル又はそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル又はそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子などが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂層の乾燥厚さは、2〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましく、7〜16μmが特に好ましい。
−中間層−
前記中間層は、前記感光層上に設けられ、前記感光性転写材料が前記熱可塑性樹脂層を有する場合には該感光層と該熱可塑性樹脂層との間に設けられる。該感光層と該熱可塑性樹脂層との形成においては有機溶剤を用いるため、該中間層がその間に位置すると、両層が互いに混ざり合うのを防止することができる。
前記中間層としては、水又はアルカリ水溶液に分散乃至溶解するものが好ましい。
前記中間層の材料としては、公知のものを使用することができ、例えば、特開昭46−2121号公報及び特公昭56−40824号公報に記載のポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド類、水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種澱粉及びその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、マレイネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも親水性高分子を使用するのが好ましく、該親水性高分子の中でも、少なくともポリビニルアルコールを使用するのが好ましく、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの併用が特に好ましい。
前記ポリビニルアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その鹸化率は80%以上が好ましい。
前記ポリビニルピロリドンを使用する場合、その含有量としては、該中間層の固形分に対し、1〜75体積%が好ましく、1〜60体積%がより好ましく、10〜50体積%が特に好ましい。
前記含有量が、1体積%未満であると、前記感光層との十分な密着性が得られないことがあり、75体積%を超えると、酸素遮断能が低下することがあり、好ましくない。
前記中間層は、酸素透過率が小さいことが好ましい。前記中間層の酸素透過率が大きく酸素遮断能が低い場合には、前記感光層に対する露光時における光量をアップする必要を生ずることや、露光時間を長くする必要が生ずることがあり、解像度も低下してしまうことがある。
前記中間層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
前記厚みが、0.1μm未満であると、酸素透過性が高過ぎてしまうことがあり、5μmを超えると、現像時や中間層除去時に長時間を要し、好ましくない。
前記感光性フィルムの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記支持体上に、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光層とを、この順に有してなる形態などが挙げられる。なお、前記感光層は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。
前記感光性フィルムは、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されるのが好ましい。前記長尺状の感光性フィルムの長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100m〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られるのが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置するのが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いるのが好ましい。
前記感光性フィルムは、以下に詳細に説明する本発明のセル内構造の製造方法に好適に用いることができる。
なお、前記第2の態様の感光層形成方法により形成された感光層を有する積層体への露光方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体上にクッション層を介して存在する感光層からなるフィルムの場合は、前記支持体、場合によってはクッション層も剥離した後、前記酸素遮断層を介して前記感光層を露光することが好ましい。
<感光層>
前記感光層形成工程で形成される感光層は、少なくともバインダーを含んでなり、更に必要に応じてその他の成分を含む感光性組成物を用いてなる。
前記感光層としては、ポジ型感光層、及びネガ型感光層のいずれをも好適に用いることができるが、液晶配向制御用突起を形成する目的では、液晶配向制御用突起が蒲鉾型の断面形状を要求されることから、ポジ型感光層が好ましい。ポジ型感光層を用いると、現像により形成された液晶配向制御用突起像が、現像工程の後の硬化処理工程の加熱によりメルトして流動し、適切な蒲鉾形状となりやすい。
また、ハイアパーチャー構造のLCDなどに用いられるコンタクトホールを有する絶縁膜を形成する場合には、コンタクトホールの形状がすり鉢型であることから、メルトして流動するポジ型感光層が好ましい。
一方、柱を形成する目的では、ネガ型感光層が好ましい。これは、柱は、対向基板に接触して荷重を支えるという機能から、断面形状が台形であることが好ましく、ネガ型感光層は、露光時に重合して、その後の工程での形状変化が小さいため、台形の断面形状が得やすいからである。
また、液晶配向制御用突起と重ね柱を同時に形成する場合には、液晶配向制御用突起にはポジ型感光層を用い、柱の最上部にもポジ型感光層を用いて柱としての構造を形成する。この場合、断面形状がメルトにより丸くなりやすいので、この影響が小さくなるように、柱全体のサイズを大きくするなどの工夫することが好ましい。
<ポジ型感光層>
前記ポジ型感光層は、フェノール樹脂、及びナフトキノンジアジド誘導体から選択される少なくとも2種を含有してなる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、及びクレゾールノボラック樹脂などが挙げられ、中でも、現像ラチチュードが広い観点から、クレゾールノボラック樹脂及びナフトキノンジアジド誘導体の2種を含有することが特に好ましい。
−フェノールノボラック樹脂−
前記フェノールノボラック樹脂としては、フェノールに対するホルムアルデヒドのモル比が0.5〜1.0程度のものが好ましく、現像性及び焼き付きの観点から0.8〜1.0が更に好ましい。また、前記フェノールノボラック樹脂の重量平均分子量としては、300〜4,000が好ましく、400〜800が特に好ましい。
前記フェノールノボラック樹脂はこれらの誘導体であってもかまわない。
前記フェノールノボラック樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、分子量が異なる2種以上を混合して用いることもでき、本発明の目的を損なわない範囲でクレゾールノボラック樹脂等の他の樹脂と混合して用いてもよい。
前記フェノールノボラック樹脂の含有量としては、ポジ型感光層中の全固形分量に対して、40〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。
−クレゾールノボラック樹脂−
前記クレゾールノボラック樹脂としては、クレゾールに対するホルムアルデヒドのモル比が0.7〜1.0程度のものが好ましく、0.8〜1.0が更に好ましい。また、上記クレゾールノボラック樹脂の重量平均分子量としては、800〜8,000が好ましく、1,000〜6,000がより好ましい。
前記クレゾールノボラック樹脂の異性体比(o−体/m−体/p−体のモル比率)は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、現像性を高める観点から全異性体に対するp−体の比率が10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることが更に好ましい。また、液晶パネル性能(焼き付け防止能)を高める観点からは、m−体の比率が5モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
前記クレゾールノボラック樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いることができる。この場合、フェノールノボラック等の他の樹脂と混合して用いてもよい。
また、本発明においては、上記クレゾールノボラック樹脂として、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとの反応生成物等のクレゾールノボラック樹脂の誘導体を用いてもよい。
前記クレゾールノボラック樹脂の使用量としては、0.1〜10g/mが好ましく、0.5〜5g/mがより好ましい。
−ナフトキノンジアジド誘導体−
前記ナフトキノンジアジド誘導体は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、クレゾールノボラック樹脂と併用することが特に好ましい。該ナフトキノンジアジド誘導体は、1官能の化合物であってもよいし2官能以上の化合物であってもよく、更にこれらの混合物であってもよい。
前記1官能のナフトキノンジアジド誘導体としては、例えば、ナフトキノン−4−スルホン酸クロリド又はナフトキノン−5−スルホン酸クロリドと置換フェノールとを反応させたエステル化合物などが挙げられる。
前記2官能以上のナフトキノンジアジド誘導体としては、例えば、ナフトキノン−4−スルホン酸クロリド又はナフトキノン−5−スルホン酸クロリドと、フェノール性水酸基を複数有する化合物とを反応させたエステル化合物が好適である。前記フェノール性水酸基を複数有する化合物としては、例えば、ビスフェノール類、トリスフェノール類、テトラキノスフェノール類等のポリフェノール類;ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン等の多官能フェノール;ビス型又はトリス型のジヒドロキシベンゼン若しくはトリヒドロキシベンゼン、非対称の多核フェノール、或いはこれらの混合物などが挙げられる。
前記フェノール性水酸基を複数有する化合物としては、例えば、4−t−ブチルフェノール、4−イソアミルフェノール、4−t−オクチルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、2−アセチルフェノール、4−ヒドロキシベンゾフェノン、3−クロロフェノール、4−ベンジルオキシカルボニルフェノール、4−ドデシルフェノール、レゾルシノール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼンジオール、フロログルシノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]等が挙げられる。
前記ナフトキノンジアジド誘導体としては、例えば、4’−t−オクチルフェニルナフトキノンジアジド−4−スルホネート、4’−t−オクチルフェニルナフトキノンジアジド−5−スルホネート、4’−ベンゾイルフェニルナフトキノンジアジド−5−スルホネート、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとの反応物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記感光層中のナフトキノンジアジド誘導体の添加量は、前記クレゾールノボラック樹脂100質量部に対し1〜200質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。
−その他の添加剤−
前記ポジ型感光層には、ポジ型感光層の現像性を促進させるために、2価以上の脂肪族カルボン酸、2〜6価のフェノール化合物を含有していてもよい。
前記2価以上のカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシコハク酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられ、これらの中でも、マロン酸、コハク酸が好ましい。
前記2価以上のカルボン酸の含有量は、前記感光層中の全固形分に対し、0.5〜20質量%が好ましい。
前記2〜6価のフェノール化合物としては、例えば、レゾルシノール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼンジオール、フロログルシノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]等が挙げられ、これらの中でも、レゾルシノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが特に好ましい。
前記2〜6価のフェノール化合物の含有量は、前記感光層中の全固形分に対し、0.5〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
更に、前記ポジ型感光層には、セル内構造の形成時における転写不良や精度不良等の故障の認識を可能とし、製造適性を向上させる観点から、消色性染料を添加することもできる。前記消色性染料とは、一般に、200℃、1時間の加熱により消色し得る色素を意味し、ベーク時に消色可能な有色染料である。前記消色性染料としては、180℃、1時間の加熱により消色する色素が好ましい。このような色素は、通常、熱による分解若しくは酸化等による構造変化を起こすか、或いは熱によって蒸発若しくは昇華するものである。また、消色性染料を用いてセル内構造を作製した場合、該セル内構造は、消色後に、400〜800nmの平行光線に対して90%以上の光透過率を有することが好ましい。
前記消色性染料としては、熱によって分解する色素として、例えば、ビクトリア・ピュアブルーBOH、ビクトリア・ピュアブルーBOH−M、マラカイトグリーン、アイゼンマラカイトグリーン、マラカイトグリーン塩酸塩、アイゼンダイヤモンドグリーン等のジアルキルアミノトリフェニルメタン系の染料等が挙げられる。また、熱により蒸発又は昇華する色素としては、例えば、オリエントオイルブラウン、メチルイエロー、スミカロンブリリアントブルーB、1,3,5−トリフェニルテトラゾリウムホルマザン等が挙げられる。
前記消色性染料としては、上記の他、染料便覧(有機合成化学協会編、丸善、昭和47年7月20日発行)に記載される、昇華堅牢試験の耐汚染性の評価(180℃、1時間以下の条件)が1〜3のものも使用可能である。具体的には、C.I.Disperse Yellow 8, 31, 72、C.I.Disperse Orange 1, 3, 20, 21、C.I.Disperse Red 15, 55, 60, 65、C.I.Disperse Violet 8, 23, 26, 37、C.I.Disperse Blue 20, 26, 55, 56, 72, 90, 91, 92, 106、C.I.Disperse Black 29、Diacellition Direct Black B M/D(三菱化成(株)製)、Sumikaron Violet RS(住友化学(株)製)、Dianix Fast Sky Blue B M/D(三菱化成(株)製)、Miketon Polyester Blue BCL, GRN(三井石油化学(株)製)、Kayaron Polyester Navy Blue GF(日本化薬(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、加熱装置の適性、環境汚染を考慮すると、前記消色性染料としては、熱分解性の染料が好ましい。
前記消色性染料の添加量としては、ポジ型感光層の全固形分に対し0.1〜10質量%が好ましい。
また、前記ポジ型感光層には、熱可塑性の結合剤を用いることができる。該熱可塑性の結合剤としては、例えば、エチレン性不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
前記結合剤の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選定することができる。
前記ポジ型感光層には、樹脂を可塑化することができる添加剤を添加することができる。該樹脂を可塑化することができる添加剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、アルキルフェノール、リン酸トリクレジル等が挙げられる。
前記樹脂を可塑化することができる添加剤の添加量は、樹脂全量に対し0〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
前記ポジ型感光層は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、及びナフトキノンジアジド誘導体から選択される少なくとも2種を含有してなり、所望のパターンで露光した際に該露光部をアルカリ水溶液等による現像によって除去するポジ型の感光性転写材料とすることが好ましい。即ち、アルカリ可溶性のフェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂に対し、ナフトキノンジアジド誘導体は溶解禁止剤として作用するが、光を受けると3−インデンカルボン酸を生成し、溶解禁止効果がなくなる。このため、クレゾールノボラック樹脂とナフトキノンジアジドとを含む、上記ポジ型感光層は、アルカリ現像により光照射部のみが溶解されるポジ型レジストとして機能する。
前記ポジ型感光層の膜厚としては、0.5〜10μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。前記膜厚が0.5〜10μmの範囲内にあると、ポジ型感光層用塗布液を支持体上に塗布する際に、ピンホールが発生しにくく、現像時に露光部の除去を容易に行うことができる。
前記ポジ型感光層用塗布液は、上述のフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、及びナフトキノンジアジド誘導体等のポジ型感光層に含まれる成分を溶剤に溶解したポジ型感光層用塗布液を支持体(支持体とポジ型感光層との間に熱可塑性樹脂層や中間層が設けられている場合にはその層)上に、種々の塗布手段を用いて塗布、乾燥することで形成することができる。
前記ポジ型感光層用塗布液に用いられる溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどが好適に挙げられる。これらの溶剤は、単独又2種以上の組合せで用いることができる。
<ネガ型感光層>
前記ネガ型感光層は、少なくとも樹脂を含有してなり、更に、重合性モノマー、重合開始剤、体質性顔料、必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
前記樹脂としては、アルカリ水溶液により現像可能なものと、有機溶剤により現像可能なものが知られているが、公害防止、労働安全性の確保の観点からアルカリ水溶液により現像可能なものが好ましい。
前記樹脂のうち、本発明に係る感光層のバインダーに用いる樹脂としては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレン/無水マレイン酸の共重合体またはスチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物等が挙げられ、これらの中でも、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体等が好ましい。
前記(メタ)アクリル酸含有重合体としては、一般に、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載の、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体などが挙げられる。また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げられる。
上記のほか、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好適に挙げられる。特に、米国特許第4139391号明細書に記載の、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体やベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。更に、アルコール可溶性ナイロンも挙げることができる。
また、複数の(メタ)アクリル酸含有重合体を組合わせて使用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸含有重合体は、通常、50〜300mgKOH/1gの範囲の酸価と、1,000〜300,000の範囲の重量平均分子量を有するものの中から適宜選択して使用される。
前記酸価が、50mgKOH/1g未満であると、アルカリ現像性が大きく低下することがあり、300mgKOH/1gを超えると、目標とする構造体が得られなくなることがある。
前記(メタ)アクリル酸含有重合体の重量平均分子量としては、上記の通り、1,000〜300,000が好ましく、10,000〜250,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満であると、目標とする構造体が得られなくなることがあり、一方、300,000を超えると、現像性が極端に低下することがある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)により測定したポリスチレン換算平均分子量である。
前記樹脂の含有量としては、感光層の全固形分の20〜60質量%が好ましく、30〜55質量%がより好ましい。前記含有量が20質量%未満であると、塗布時の膜形成が困難となることがあり、60質量%を超えるとシリカ等の添加量が制限されるため、本発明の目的を達成することが困難となるため好ましくない。
−重合性モノマー−
前記重合性モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル化合物、アミド化合物、その他の化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エステル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル、その他のエステル化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、これらの中でも、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。
前記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールポリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、ジペンタエリトリトールポリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルの他の例としては、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、及び特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸エステルやウレタン(メタ)アクリレートやビニルエステル、などが挙げられる。
前記その他のエステル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、日本接着協会誌Vol.20,No.7,第300〜308頁に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマー、などが挙げられる。
前記アミド化合物としては、例えば、不飽和カルポン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド(モノマー)などが挙げられ、具体的には、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられ、また、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸アミド、などが挙げられる。
前記その他の化合物としては、例えば、特開昭60−258539号公報に記載のアリル化合物、などが挙げられる。
前記重合性モノマーの前記感光性組成物における含有量としては、全固形分の10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
−光重合開始剤−
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300〜800nm(より好ましくは330〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの等)、ホスフィンオキサイド、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテルなどが挙げられる。
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan、42、2924(1969)記載の化合物、英国特許第第1388492号明細書に記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許第第3337024号明細書に記載の化合物、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載の化合物、米国特許第第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
更に、米国特許第第2367660号明細書に記載されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第第2722512号明細書に記載されているのα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第第3046127号明細書及び米国特許第第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、特開2002−229194号公報に記載の有機ホウ素化合物、ラジカル発生剤、トリアリールスルホニウム塩(例えば、ヘキサフルオロアンチモンやヘキサフルオロホスフェートとの塩)、ホスホニウム塩化合物(例えば、(フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウム塩等)(カチオン重合開始剤として有効)、国際公開第01/71428号パンフレットに記載のオニウム塩化合物などが挙げられる。
前記若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan、42、2924(1969)記載の化合物としては、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロルフェニル)−4、6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−トリル)−4、6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記英国特許第第1388492号明細書に記載の化合物としては、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開昭53−133428号公報に記載の化合物としては、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記独国特許第第3337024号明細書に記載の化合物としては、例えば、2−(4−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシスチリル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−ナフチルビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−クロロスチリルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−3−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−フラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−ベンゾフラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物としては、例えば、2−メチル−4、6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリ(ブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開昭62−58241号公報に記載の化合物としては、例えば、2−(4−フェニルエチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ナフチル−1−エチニルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−トリルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシフェニル)エチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−イソプロピルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−エチルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開平5−281728号公報に記載の化合物としては、例えば、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開平5−34920号公報に記載の化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N、N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−1,3,5−トリアジン、米国特許第第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−s−トリアジン化合物、更に2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
前記米国特許第第4212976号明細書に記載の化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1、3、4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1、3、4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1、3、4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロメメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール等)などが挙げられる。
本発明で好適に用いられるオキシム誘導体としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等)、N−フェニルグリシン等、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号公報等に記載のクマリン化合物など)、アミン類(例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸フェネチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−フタルイミドエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−メタクリロイルオキシエチル、ペンタメチレンビス(4−ジメチルアミノベンゾエート)、3−ジメチルアミノ安息香酸のフェネチル、ペンタメチレンエステル、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2−クロル−4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンジルアルコール、エチル(4−ジメチルアミノベンゾイル)アセテート、4−ピペリジノアセトフェノン、4−ジメチルアミノベンゾイン、N,N−ジメチル−4−トルイジン、N,N−ジエチル−3−フェネチジン、トリベンジルアミン、ジベンジルフェニルアミン、N−メチル−N−フェニルベンジルアミン、4−ブロム−N,N−ジメチルアニリン、トリドデシルアミン、アミノフルオラン類(ODB、ODBII等)、クリスタルバイオレットラクトン、ロイコクリスタルバイオレット等)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロホスフェート(1−)等)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’─テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5.5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’─テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられる。
前記光重合開始剤の含有量としては、前記感光性組成物中の全固形成分に対し、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。
前記光重合開始剤の含有量は、前記重合性化合物との質量比で表すと、光重合開始剤/重合性化合物=0.01〜0.2が好ましく、0.02〜0.1がより好ましく、0.03〜0.08が特に好ましい。この範囲を超えると、現像残渣が生じたり、析出故障が生じるという問題があり、この範囲未満であると、十分な感度が得られないことがある。
また、後述する前記感光層への露光における露光感度や感光波長を調製する目的で、前記光重合開始剤に加えて、増感剤を添加することが可能である。
前記増感剤は、後述する光照射手段としての可視光線や紫外光・可視光レーザなどにより適宜選択することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤等)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルや酸等の有用基を発生することが可能である。
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、10−N−ブチル−2−クロロアクリドン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5、7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3、3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5、7−ジプロポキシクマリン等が挙げられ、他に特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号等の各公報に記載のクマリン化合物など)が挙げられる。
前記光重合開始剤と前記増感剤との組合せとしては、例えば、特開2001−305734号公報に記載の電子移動型開始系[(1)電子供与型開始剤及び増感色素、(2)電子受容型開始剤及び増感色素、(3)電子供与型開始剤、増感色素及び電子受容型開始剤(三元開始系)]などの組合せが挙げられる。
前記増感剤の含有量としては、前記感光性組成物中の全成分に対し、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が特に好ましい。該含有量が、0.05質量%未満であると、活性エネルギー線への感度が低下し、露光プロセスに時間がかかり、生産性が低下することがあり、30質量%を超えると、保存時に前記感光層から前記増感剤が析出することがある。
前記光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の特に好ましい例としては、後述する露光において、波長が405nmのレーザ光に対応可能である、前記ホスフィンオキサイド類、前記α−アミノアルキルケトン類、前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物と増感剤としてのアミン化合物とを組合せた複合光開始剤、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、あるいは、チタノセンなどが挙げられる。
−体質顔料−
前記体質顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸バリウム、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、無着色なものが好ましく、シリカ、酸化亜鉛などが特に好ましい。
前記シリカの具体例としては、R−972、#200(日本アエロジル社製)、シーホスターKE(日本触媒化学工業(株)製)、スノーテックス(商品名:メタノールシリカゾル、MA−ST−M、IPA−ST、MEK−ST、MIBK−ST、日産化学工業(株)製)等の市販品が好適に挙げられる。
前記酸化亜鉛の具体例としては、ZnO−100、ZnO−200(住友セメント(株)製)等の市販品が好適に挙げられる。
これらの中でも、スノーテックスに代表されるコロイダルシリカが特に好ましい。
前記体質顔料は、適宜選択したシランカップリング剤又はチタネートカップリング剤等により表面処理等を行うことにより、分散性を向上させてもよい。
前記体質顔料の粒径としては、0.01〜0.5μmが好ましく、0.02〜0.4μmがより好ましい。
前記粒径が、0.01μm未満であると分散安定性が悪くなり、0.5μmを超えると該感光層の表面における凹凸が大きくなるため好ましくない。
前記体質顔料の添加量としては、前記感光性組成物における全固形分の5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、15〜35質量%が特に好ましい。
前記体質顔料の添加量が、5質量%未満であると、十分な膜強度が得られず、転写時における厚み低下や現像時のブラシ傷を防止することができないことがあり、一方、50質量%を超えると、転写時に気泡が入り易くなり、該感光層の透明性が低下することがあり好ましくない。
前記体質顔料は、適宜選択した分散剤に均一に分散した状態で使用してもよい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ソルスパース3000,9000,17000,20000,27000(ゼネカ(株)製)、アジスパーPB−711,PN−411,PA−111(味の素(株)製)、EFKA−766,5244,71,65,64,63,44(エフカケミカルズ社製)等が挙げられる。これらの中でも、ソルスパース20000が好ましい。
前記分散剤の使用量としては、分散性の良好な分散溶液を得る観点からは、前記体質顔料100質量部に対し、0.5〜100質量部であるのが好ましい。
前記分散剤により前記体質顔料を分散してなる分散溶液中には、必要に応じて界面活性剤を添加することにより、分散安定性を向上させることができる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、各種の界面活性剤が挙げられ、例えば、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル塩等に代表されるアニオン系界面活性剤、アミン塩等に代表されるカチオン系界面活性剤、アミノカルボン酸、ベタイン型等に代表される両性界面活性剤などが挙げられる。
前記感光性組成物には、目的に応じて適宜選択した着色剤を含有していてもよい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機顔料、無機顔料、染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、後述の現像処理や熱処理により消色するものも好ましい。
前記着色剤としては、例えば、特開2005−17716号公報の段落番号0038から0040に記載の色材、特開2005−361447号公報の段落番号0068から0072に記載の顔料、及び特開2005−17521号公報の段落番号0080から0088に記載の着色剤などが好適に挙げられる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、重合禁止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの各種添加剤などが挙げられる。
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート等が挙げられる。
前記重合禁止剤の含有量としては、感光性組成物の全成分に対し、0.0001〜10質量%が好ましく、0.0005〜5質量%がより好ましく、0.001〜1質量%が特に好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物のほか、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート、2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメトル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
なお、感光性組成物の全固形分に対する紫外線吸収剤の含有量は、0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましく、1.2〜10質量%が特に好ましい。
前記可塑剤は、前記感光層の膜物性(可撓性)をコントロールするために添加してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコースフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカブリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセパケート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル等、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
前記可塑剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜40質量%がより好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。
前記感光性組成物が前記界面活性剤を含有することにより、塗布液としての流動性が良好となり、塗布工程で使用されるスピンコーターのノズルや配管、容器中での液の付着性が改善され、前記ノズル内に汚れとして残る残渣を効果的に減少させることができるので、塗布液の切り替え時に洗浄に要する洗浄液の量や作業時間を軽減でき、セル内構造の生産性を向上させることができる。また、前記セル内構造を形成する際に発生する面状ムラ等を改善することができる。
前記ネガ型感光層を形成するネガ型感光性組成物は、溶剤を用いて調製することができる。前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記ポジ型感光層と同様のものを用いることができる。
前記ネガ型感光層の層厚は、0.3〜10μmが好ましく、0.75〜6μmがより好まく、1.0〜3μmが特に好ましい。
前記層厚が0.3μm未満であると、感光層用塗布液の塗布時にピンホールが発生しやすく、製造適性が低下することがあり、10μmを超えると、現像時に未露光部を除去するのに長時間を要することがある
<基材>
前記感光層形成工程で用いられる前記基材としては、特に制限はなく、公知の材料の中から表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を有するものまで、目的に応じて適宜選択することができるが、板状の基材(基板)が好ましく、具体的には、ガラス板(例えば、ソーダガラス板、酸化ケイ素をスパッタしたガラス板、無アルカリガラス板、石英ガラス板等)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
[露光工程]
前記露光工程は、前記光照射手段からの光を受光してパターン情報に基づいて変調する前記光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させ、前記光変調手段により変調された光を、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像させて露光を行うことを少なくとも含む工程であり、
前記露光は、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて、前記光変調手段により変調された光が結像され、
前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向けられて行われる。
本発明のセル内構造の製造方法の露光工程に係る露光装置の一例について、以下、図面を参照しながら説明する。前記露光工程における露光方法は、前記露光装置の説明を通じて明らかにする。
<露光装置の構成>
<<露光装置の外観>>
図1には、本発明のパターン形成方法の露光工程に係る露光装置10の概略外観図が示されている。露光装置10は、前記パターン形成材料における前記感光層を、被処理基体上に積層してなるシート状の積層体(以下、「感光材料12」と表す)を、表面に吸着して保持する平板状の移動ステージ14を備えている。4本の脚部16に支持された厚い板状の設置台18の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド20が設置されている。ステージ14は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド20によって往復移動可能に支持されている。更に露光装置10は、ステージ14をガイド20に沿って駆動するステージ駆動装置(不図示)を備えている。
そして、設置台18の中央部には、ステージ14の移動経路を跨ぐようにコの字状のゲート22が設置されている。コの字状のゲート22の端部の各々は、設置台18の両側面に固定されている。ゲート22を挟んで一方側にはスキャナ24が設置され、他方側には感光材料12の先端及び後端を検知する複数のセンサ26が設置されている。スキャナ24及びセンサ26はゲート22に各々固定され、ステージ14の移動経路の上方に設置されている。尚、スキャナ24及びセンサ26はコントローラ(不図示)に電気的に接続されており、コントローラによって動作制御がなされる。
ステージ14にはスキャナ24による露光開始の際にスキャナ24から感光材料12の被露光面に照射されるレーザ光の光量を検出するための露光面計測センサ28が設置されている。露光面計測センサ28は、ステージ14における感光材料12の設置面の露光開始側の端部にステージ移動方向に直交する方向に延設されている。
図2はスキャナ24の概略外観図である。
図2に示すように、スキャナ24は、例えば、2行5列の略マトリクス状に配列された10個の露光ヘッド30を備えている。
各露光ヘッド30は、前記光変調手段として空間変調素子であるDMDを備え、該DMDによって形成された2次元パターンを感光材料12上に投影する。
露光エリア32は各露光ヘッドから射出された2次元パターンが感光材料12上に投影された時の投影エリアを示す。また、ステージ14の移動に伴って感光材料12には露光ヘッド30による帯状の露光済み領域34が形成される。
<<露光ヘッド>>
図3は露光ヘッド30の概略構成を説明するための概念図であり、図7は露光ヘッド30中を伝播するレーザ光の光路に沿って露光ヘッド30を構成する光学要素を説明するための図である。
露光ヘッド30は、前記光照射手段として光源ユニット60と、DMD照射光学系70と、DMD80と、前記結像手段として結像光学系50と、前記焦点調節手段としてくさび型プリズムペア54とを備えて構成されている。
光源ユニット60は、図4に示すように、複数(例えば、14個)のLDモジュール40を備えており、各LDモジュール40には、第1マルチモード光ファイバ41の一端が結合されている。第1マルチモード光ファイバ41の他端には、第1マルチモード光ファイバより小さいクラッド径を有する第2マルチモード光ファイバ68が結合されている。
図5に詳しく示すように、第2マルチモード光ファイバ68の第1マルチモード光ファイバ41と反対側の端部は走査方向と直交する方向に沿って7個並べられ、それが2列に配列されてレーザ出射部66が構成されている。
第2マルチモード光ファイバ64の端部で構成されるレーザ出射部66は、図5に示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、第2マルチモード光ファイバ64の光出射端面には、その保護のために、ガラス等の透明な保護板が配置されるのが望ましい。第2マルチモード光ファイバ68の光出射端面は、光密度が高いために集塵しやすく劣化しやすいが、上述のような保護板を配置することにより、端面への塵埃の付着を防止し、また劣化を遅らせることができる。
LDモジュール40は、図6に示す合波レーザ光源によって構成されている。この合波レーザ光源は、ヒートブロック400上に配列固定された複数の(例えば7個)の半導体レーザ素子であるLDチップLD1、LD2、LD3、LD4、LD5、LD6及びLD7と、LDチップLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ401、402、403、404、405、406及び407と、1つの集光レンズ90と、1本の第1マルチモード光ファイバ41とから構成されている。尚、半導体レーザ素子の個数は7個に限定されるものではなく、その他の個数が採用されてもよい。また、上述のような7個のコリメータレンズ401〜407に代えて、それらのレンズが一体化されているコリメータレンズアレイを用いてもよい。
LDチップLD1〜LD7は、チップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザ素子であり、発振波長が全て共通(例えば、405[nm]程度)であり、最大出力も全て共通(例えば、マルチモードレーザでは100[mW]、シングルモードレーザでは30[mW])である。尚、350[nm]〜450[nm]の波長範囲であれば、上記405[nm]以外の発振波長を備える半導体レーザ素子をLDチップLD1〜LD7として用いてもよい。
このように、複数のLDチップLD1〜LD7から発せられた各レーザ光を1本の第1マルチモード光ファイバ41に入射させて合波し、さらにファイババンドル状の光源として面積あたりの光量の大きい高輝度な光源を用いることで、光パワーを向上させつつ、エタンデュー(Etendue)を小さくすることができる。
従って、前記結像手段の中央部を含む領域のみにおいて空間光変調手段で空間光変調することで被照明体(光変調手段)側に対する照明領域が小さくなっても、照明NA値を抑えることができる。これにより、結像光学系が被照明体の下流側に配置された場合でもその結像光学系の焦点深度を大きくすることができ、結像される露光画像のピントずれを抑制することができるという効果が得られる。
尚、エタンデューと焦点深度の詳しい関係については特開2005−018013号公報に掲載されている。
以上において、複数のLDチップLD1〜LD7を合波することによって光照射手段から出射される光を構成する場合について説明したが、合波せずに、半導体レーザ素子と光ファイバの一端とを1対1で結合し、光ファイバ他端に該光ファイバよりクラッド径の小さい光ファイバを結合してもよい。この場合は、半導体レーザ素子としてマルチモードの高出力レーザを用いることが好ましく、このような高出力レーザを用いることで高輝度な光源を実現できる。
DMD照射光学系70は、図7に示すように、コリメータレンズ71と、マイクロフライアイレンズ72及び73と、フィールドレンズ74と、ミラー75と、プリズム76とを備えて構成されている。
コリメータレンズ71は、レーザ光出射部61から出射された複数のレーザ光を概略平行光化するためのレンズである。
マイクロフライアイレンズ72及び73は、微小レンズセルが縦横に多数配置されてなるものであり、DMD80に照射するレーザ光の光量分布を均一化するためのレンズである。マイクロフライアイレンズ72及び73を透過したレーザ光は、フィールドレンズ74を透過してミラー75によって反射され、プリズム76に入射する。
プリズム76は、TIRプリズム(全反射プリズム)であり、ミラー75によって反射されたレーザ光をDMD80に向けて全反射する。DMD80の詳細については、後述する。
尚、DMD照射光学系70は、光量分布の均一化の手段として、ロッドインテグレータを備えることとしてもよい。
−結像手段−
−−結像光学系−−
結像光学系50は、前記光照射手段からのレーザ光をDMD80で変調されることによって形成された2次元パターンを、感光材料12上に結像させて投影させるための結像手段である。図7に示すように、結像光学系50は、第1投影レンズ51と、第2投影レンズ52と、マイクロレンズアレイ55と、アパーチャアレイ59とを備えて構成されている。
DMD80を構成する各マイクロミラーによって反射されて形成された2次元パターンは、第1投影レンズ51を透過し、所定倍(例えば、3倍)に拡大されて結像される。ここで、第1投影レンズ51を透過した光束Laは、第1投影レンズ51による結像位置の近傍に配設されたマイクロレンズアレイ55の各マイクロレンズ55aによって個別に集光される。この個別に集光された光束がアパーチャ59aを通過して結像される。マイクロレンズアレイ55及びアパーチャアレイ59を通過して結像された2次元パターンは、第2投影レンズ52を透過して更に所定倍(例えば、1.67倍)に拡大され、くさび型プリズムペア54を透過して感光材料12上に結像される。最終的には、DMD80によって形成された2次元パターンが、第1投影レンズ51と第2投影レンズ52の拡大倍率をそれぞれ乗算した倍率(例えば、3倍×1.67倍=5倍)で拡大されて、感光材料12上に投影される。
なお、結像光学系50は、必ずしも第2投影レンズ52を備えた構成としなくてもよい。
図8A及び図8Bは、第1投影レンズ51、第2投影レンズ52を構成する投影レンズ300を示した平面図である。
前記露光装置の露光性能を上げるためには、高いレンズ光学性能(像面湾曲、非点隔差、歪曲等を抑制、高いテレセントリック性)を持つ投影レンズが必要となる。しかしながら、投影レンズの全面領域においてレンズ光学性能を向上させようとすると、レンズのコストアップに繋がり、大口径レンズの製造が困難になるという問題がある。一方、投影レンズの任意の領域のレンズ光学性能を高めるために、故意に所定の領域に歪みを持たせて投影レンズを製造することが可能であることが近年の研究で明らかになった。
そこで、例えば、投影レンズの周辺部分に歪みを持たせ、中央部の歪みを少なくして製造することによって、投影レンズの中央部を含む領域のレンズ光学性能を高め、更に中央部を含む領域にてDMD80によって形成された2次元パターンを透過させて結像することができる。具体的には、図8Aに示すように、投影レンズ300の周辺領域である領域320に像面湾曲、領域330に歪曲が大きいという特性を持たせ、その分投影レンズ300の中央部を含む領域の歪みを少なくさせて、レンズ光学性能が高くなるようにして製造することができる。
しかし、例えば図8Aに示すように、DMD80によって形成された2次元パターンが投影レンズ300の領域310に照射されて透過される場合には、2次元パターンの一部が像面湾曲や歪曲が大きい特性を含む領域を透過することになるため、2次元パターンは、投影レンズ300におけるレンズ光学性能の良い領域340に照射される必要がある。
そこで、投影レンズ300のレンズ光学性能の良い領域340を選択して2次元パターンを照射するために、例えば、2次元パターンの光の光軸を中心として、図8Bに示す矢印Aの方向に投影レンズ300を回転させることが好ましい。この回転により、レンズ光学性能の良い領域340と2次元パターンが照射される領域310を一致させ、レンズ光学性能の良い領域340において2次元パターンを透過させることができる。
このように、レンズ光学性能の良い領域において2次元パターンを透過させて結像させることによって、2次元パターンが感光材料12上に投影される際の画質を向上させることができる。
また、大口径の投影レンズを用いる場合、投影レンズの全面領域において十分なレンズ光学性能を得ようとすると製造が困難であるが、前記大口径の投影レンズの周辺領域等の任意の領域にレンズ歪みを持たせて、中央部を含む領域のレンズ歪みを少なくすることによって、高いレンズ光学性能を持たせることができる。このような大口径の投影レンズを用いることによって、露光面積が拡大し、露光速度を速くすることができる。
尚、DMD80から反射された光を、投影レンズの中央部を含む一部の領域において結像させるために、DMD80によって形成される2次元パターンは、図8A及び図8Bに示す領域310のように、長辺の長さが短辺の長さより2倍以上長い略矩形状のパターンであることが望ましい。これについては後述のDMDに関する説明において詳述する。
投影レンズ300のレンズ光学性能の良い領域340に2次元パターンを選択的に照射させるために、結像光学系50は2次元パターンの光の光軸を中心として回転可能な構成であることが好ましい。
図9の上図は、結像光学系50を備える鏡筒400の概略側面断面図であり、図9の下図は、上図における矢印Bの方向から見た鏡筒400の概略平面図である。
鏡筒400は側面につば状のフランジ410を備えている。フランジ410にはネジ貫通孔412がα[°]毎に形成されている。ブラケット420にはネジ貫通孔412に対応させて雌ネジ孔(不図示)が同じくα[°]毎に形成され、ネジ(不図示)をフランジ410のネジ貫通孔412に挿通して、ブラケット420の対応する雌ネジ孔に螺合させることにより、フランジ410とブラケット420が固定される。この構造により、鏡筒400は第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52の光軸を中心としてα[°]ずつ回転させて任意の角度位置で固定させることができる。またネジによってフランジ410とブラケット420を固定させる際は、ネジ貫通孔412のうち、全てのネジ貫通孔412にネジを挿通してブラケット420の対応する雌ネジ孔に螺合させてもよいし、例えば対角線上に位置する2箇所のネジ貫通孔412にネジを挿通してブラケット420の対応する雌ネジ孔に螺合させてもよい。
鏡筒400が回転されると、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52が共に回転する。そして、感光材料12上に投影された2次元パターンの焦点、画質(解像度)等の露光性能を計測しながら、最も良い露光性能を示す回転位置でフランジ410とブラケット420を固定する。
このように、鏡筒400を2次元パターンの光の光軸を中心に回転させることによって第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を回転させ、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する投影レンズにおいてレンズ光学性能の良い領域と、光変調手段により形成された2次元パターンの照射領域を一致させることができる。
なお、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する投影レンズは、各投影レンズ毎に独立して回転可能なように構成してもよい。
また、鏡筒400は2次元パターンの光軸に垂直方向に移動可能なように構成してもよく、2次元パターンの光軸の垂直方向に、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する各投影レンズが独立して移動可能なように構成してもよい。
−光変調手段−
前記光変調手段としては、パターン情報(画像信号)に基づいて2次元パターンの光を形成可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、n個(ただし、nは1以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有するものが挙げられ、これらの中でも空間光変調素子が好ましく、具体的には、DMDが好ましい。
以下、前記光変調手段として、DMDを用いた場合について説明する。
DMD80の概略斜視図を図10に示す。DMD80は、DMD照射光学系70から入射された光を、パターン情報(画像信号)に基づいて空間光変調し、2次元パターンを形成する空間光変調手段である。
DMD80は、n個(例えば、1024×757個)の2次元状に多数配置された描素部(画素)としてのマイクロミラー81を有している。更にDMD80は、データ処理部とミラー駆動制御部を備えたコントローラ(不図示)に接続されている。
データ処理部は、パターン情報(画像信号)に基づいてDMD80に配されている各マイクロミラー81の駆動を制御するための制御信号を生成する。
ミラー駆動制御部は、データ処理部によって生成された制御信号に基づいて、DMD80の各マイクロミラー81の反射面の角度を制御する。
前記データ処理部及び前記ミラー駆動制御部によって、マイクロミラー81の反射面が所定の角度に傾斜され、DMD81に照射された光のうち、所定の角度に傾斜されたマイクロミラー81によって反射された光が2次元パターンとなって結像光学系50に入射される。
ところで、上述のとおり、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52は、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する投影レンズの周辺部分に歪みを持たせ、中央部の歪みを少なくして製造することによって、上記投影レンズの中央部を含む領域のレンズ光学性能を高め、その中央部を含む領域にて2次元パターンを透過させて結像するものである。このように2次元パターンを投影レンズの中央部を含む一部の領域において結像させるために、DMD80によって形成される2次元パターンは、図8Bに示す領域310のように、長辺の長さが短辺の長さより2倍以上長い略矩形状のパターンであることが好ましい。そのような略矩形状の2次元パターンを形成するために、DMD80の一部のマイクロミラー81を駆動制御して、辺の長さが短辺の長さより2倍以上長い略矩形状2次元パターンを形成することが好ましい。
略矩形状の2次元パターンについて、図11A及び図11Bを用いて詳しく説明する。
DMD80には、例えば、露光する際の主走査方向、即ち行方向に1024画素、更に露光する際の副走査方向、即ち列方向に756画素のマイクロミラー81が2次元状に配置されているが、列方向に756画素並ぶマイクロミラー81のうち、一部のマイクロミラー81(例えば、240画素)を使用して、1024×240画素の2次元パターンを形成させる。
ここで、列方向に並ぶマイクロミラー81のうち、使用するマイクロミラー81の数は、行方向に並ぶマイクロミラー81の数の1/2〜1/5程度の数であることが望ましい。
また、DMD80を構成する全てのマイクロミラーに対して、図11Aに示す領域80Cのように、DMD80の中央部を占めるマイクロミラーを使用してもよく、図11Bに示す領域80Tのように、DMD80の端部付近を占めるマイクロミラーを使用してもよい。
さらに、使用しているマイクロミラーに欠陥が生じた場合は、欠陥が発生していないマイクロミラーの領域を使用するなどして、状況に応じて使用するマイクロミラーの領域を適宜変更してもよい。
このように、DMD80を構成するマイクロミラー81において、列方向に並ぶマイクロミラー81のうち一部のマイクロミラー81を使用することによって、長辺の長さが短辺の長さより長い略矩形状の2次元パターンを形成することができ、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する投影レンズの高いレンズ光学性能を持つ領域のみに2次元パターンを照射させることが容易となる。
また、DMD80のデータ処理速度は、制御するマイクロミラー81の数(画素数)に比例するため、列方向に並ぶマイクロミラー81のうち一部のマイクロミラー81を使用することによって、データ処理速度を速くすることができ、露光速度を速くすることができる。
さらに、DMD80によって形成される2次元パターンを小さくすることによって、マイクロミラー81にそれぞれ対応するマイクロレンズがアレイ状に配されてなるマイクロレンズアレイ55を小型化することができる。前記マイクロレンズアレイは高価な光学部材であるため、露光装置のコストを削減することができる。
なお、長辺の長さが短辺の長さより長い略矩形状の2次元パターンを形成するために、DMD80において列方向に並ぶマイクロミラー81のうち、一部のマイクロミラー81を用いることとして説明したが、予め長辺方向のマイクロミラーの数が短辺方向のマイクロミラーの数より2倍以上多いDMDを用いてもよい。
−焦点調節手段−
−−くさび型プリズムペア−−
図12は、くさび型プリズムペア54の構成を示す側面図であり、図13はくさび型プリズムペア54を示す概略斜視図である。
くさび型プリズムペア54は、2次元パターンの光の光路長を変更して、2次元パターンを結像させる際の焦点を調節するための焦点調節手段である。
くさび型プリズムペア54は、くさび型プリズム540A及び540Bと、くさび型プリズム540A及び540Bをそれぞれ固定するベースプリズムホルダ541A及び541Bと、ベースプリズムホルダ541Aの両端に配設されたスライドベース542A及びスライドベース542A上を移動するスライダ542Bを含むスライド部545と、スライド部545を移動させる駆動部546とを備えて構成されている。くさび型プリズムペア54については、図13に示すように、例えばガラスやアクリル等の透明材料からなる平行平板を、この平行平板の平行平面H11及びH22に対して斜めに傾く平面Hkに沿って切断することによって得られる一対のくさび型プリズムA及びBを上記くさび型プリズム540A及び540Bとして使用することができる。
図12に示したくさび型プリズム540A及び540Bは、幅t(例えば、10[um])の空気層550を介してベースプリズムホルダ541A及び541Bに固定されている。また、スライドベース542A及びスライダ542Bとの組み合わせによってリニアスライドが可能であり、駆動部546がくさび型プリズム540A及び540Bの互いの位置を空気層550の幅tが変化しないようにスライド部545を1方向(図中矢印uの方向)に相対的に移動させる。このスライド部545の移動により、くさび型プリズムペア54の2次元パターンの光軸方向の厚さ(平行平面板の厚さから空気層550の幅tを除いた厚さ)が変更される。つまり、くさび型プリズムペア54によって2次元パターンを形成する光の光路長が変更されることになる。
このように、第2投影レンズ52と感光材料12の間にくさび型プリズムペア54を配設することによって、2次元パターンの光の光路長を簡単に調節することができる。
したがって、従来に比べ、第2投影レンズ52によって結像された2次元パターンを感光材料12上に結像する際の焦点調整を、簡単に、かつ短時間で行うことができる。
なお、図14に示すように、くさび型プリズムペア54を、マイクロレンズアレイ55と第2投影レンズ52との間に配置することにより、2次元パターンの光の光路長を変更して、2次元パターンの焦点を調節してもよい。
前記焦点調節手段として、くさび型プリズムペア54を用いた場合を説明したが、前記焦点調節手段はこれに限定されるものではなく、結像光学系50を構成する投影レンズの位置を変化させずに焦点調節を行う高ビーム位置精度の焦点調節手段であればよい。
−−結像光学系を構成する光学部材及びピエゾ素子による焦点調節手段−−
前記焦点調節手段としては、例えば、図15A、図15B、図16A、及び図16Bに示すように、結像光学系を構成する光学部材であるマイクロレンズアレイ55を、ピエゾ素子600を用いて焦点方向(図中矢印Xの方向)に移動させることにより焦点調整を行ってもよい。
ピエゾ素子600を用いることによって、マイクロレンズアレイ55の焦点方向と垂直な方向への変位を抑えつつ、焦点方向への微小移動を行うことができるため、安定したビーム位置精度を保ちながら焦点調整を行うことができる。
<露光方法>
上述した露光装置10による露光方法について説明する。
図17Aは感光材料12とDMD80の位置関係を概略的に示した斜視図である。なお、図2に示すように、露光装置10はDMD80を有する露光ヘッド30を10個備えることとして説明したが、図17A及び図17Bでは簡略化して1個のDMD80にのみ着目して図示及び説明する。
図17Aに示すように、DMD80の全てのマイクロミラー81に対して領域80Tを占めるマイクロミラー81を使用する場合、領域80Tの短辺方向を感光材料12のうねり方向に向けて感光材料12をそのうねり方向に移動させながら(領域80Tの短辺方向を感光材料12の移動方向に向ける)感光材料12に対して露光を行うことが好ましい。すなわち、領域80Tにより形成され、前記感光材料の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とが略平行となるように露光を行うことが好ましい。
図17Aにおいて、露光エリア81はDMD80の全てのマイクロミラー81を使用して2次元パターンを形成したときの露光エリアであり、露光エリア81TはDMD81において領域80Tを占めるマイクロミラー81を使用して2次元パターンを形成したときの露光エリアである。
図17Bは、図17Aにおいて破線の枠Pで囲んだ部分を拡大して示した側面図である。図17Bに示すように、DMD80の全てのマイクロミラー81を使用して2次元パターンを形成した場合、露光エリア81の感光材料12に対する最大深度差(露光エリア81内における、感光材料12表面の最大高低差)はd2となる。
一方、DMD80において領域80Tを占めるマイクロミラー81を使用した場合、露光エリア81Tの感光材料12に対する最大深度差はd1となる。
図17Bに示すように、d1<d2であり、深度差が小さいほうが深度差が大きい場合より2次元パターン内における感光材料12のうねりの度合いが小さい。従って、2次元パターンの焦点位置をより適切な位置に合わせることができる。
また、1フレームの露光が終了し、ステージ14が走査方向に移動することによって感光材料12が移動すると、露光エリア81Tの位置が変化し、露光エリア81T内における感光材料12のうねりの度合いが変化するため、焦点位置も変化するが、くさび型プリズムペア54によって焦点調節がなされることにより、焦点位置は即座に調節される。従って、感光材料12のうねりに対応した長焦点深度を有する露光を行うことができる。
このように、DMD80を構成するマイクロミラー81において、列方向に並ぶマイクロミラー81のうち一部のマイクロミラー81を使用して、略矩形状の2次元パターンを形成させたとき、2次元パターンの短辺方向を感光材料12のうねり方向に向けて露光を行うことにより、露光エリア81T内における感光材料12のうねりの度合いを少なくすることができる。
このため、2次元パターンの焦点位置を適切な位置に合わせることができ、露光装置10の焦点深度を従来の露光装置より見かけ上大きくすることができ、この結果、露光画質を向上させることができ、高精細なパターン露光が行われる。
なお、図2に示すように、実際には露光ヘッド30はDMD80の画素列方向が走査方向と所定の設定傾斜角度をなすようにスキャナ24に取り付けられている。従って、各露光ヘッド30による露光エリア32(図17における露光エリア81Tに相当)は走査方向に対して傾斜した矩形状のエリアとなる。
露光エリア81T内の感光材料12のうねりによる影響の度合いを最小限に抑えるためには、露光エリア81Tの短辺方向と感光材料12のうねり方向を完全に一致させることが理想であるが、露光エリア81Tが上記所定の設定傾斜角度をなしていても、露光エリア81Tの短辺方向が長辺方向より感光材料12のうねり方向に向いていれば、すなわち、前記感光材料の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向いていればよい。
以上説明したとおり、本発明のパターン形成方法における露光は、結像手段を構成する投影レンズの周辺領域に歪みを持たせ、その分中央部を含む領域の歪みを少なくして、該中央部を含む領域の光学性能を高めた結像手段を備えた露光装置を用いることにより、光学性能の良い領域において空間光変調された光を結像することによって、該空間光変調された光が、感光材料上に投影される際の画質を向上させることができる。
また、投影レンズの周辺領域等の任意の領域にレンズ歪みを持たせて、中央部を含む領域のレンズ歪みを少なくすることによって、大口径の投影レンズでも高いレンズ光学性能を持たせることができ、これにより、露光面積が拡大し、露光速度が速くなる。
そして、前記露光装置における結像手段が、空間光変調された露光光の光軸を中心に回転可能、又は光軸に対して垂直方向に移動可能であることにより、結像手段を構成する投影レンズの光学性能の良い領域に空間光変調された光が選択的に照射される。
また、投影レンズの周辺領域等にレンズ歪みを持たせて中央部を含むレンズ性能のよい領域のみを使用することにより、前記投影レンズの全面領域を使用する場合に比べて焦点調節手段の光学系を小型化することができ、その結果、高精度な安定保持及び移動機構を実現した露光装置により高精細な露光が行われる。更に、空間変調された露光光の光位置を安定に保ちながら高精度に焦点位置が調整される。
また、空間光変調された光をマイクロレンズアレイを通して小さなスポットに集光する場合において、高価なマイクロレンズアレイを小型化できるので、よりピッチ精度が高く低コストなマイクロレンズアレイを採用することができる。更に、焦点調整手段としてピエゾ素子を用いることによって、焦点方向に対して垂直な方向への微小変位を抑制でき、高ビーム位置精度を保ちながら、高精度に焦点位置を調整することができる。
また、複数の半導体レーザ素子から発せられた各レーザ光を1本の光ファイバに入射させて合波し、さらにファイババンドル状の光源として面積あたりの光量の大きい高輝度な光照射手段を用いることにより、光パワーを向上させつつ、エタンデュー(Etendue)を小さくすることができ、DMD側の開口数(NA)を小さくすることができる。これにより、前記結像手段の中央部を含む略矩計状の領域のみにおいて空間光変調手段で空間光変調する場合であっても、DMD側の開口数を小さくでき、更に、結像光学系が被照明体の下流側に配置された場合においても、その結像光学系の焦点深度を大きくすることができ、結像される露光画像のピントずれが抑制される。
更に、前記結像手段が長辺の長さが短辺の長さの2倍以上の略矩形状の領域において空間光変調された露光光を結像し感光材料上に投影させる際に、前記感光材料の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように露光を行うことにより、投影された空間光変調された露光光の投影エリア内における感光材料のうねりの度合いを少なくすることができ、空間光変調された光の焦点位置を調整することができる。これにより、焦点深度を従来の露光装置より見かけ上大きくすることができ、解像度(露光画質)を向上させることができる。
[現像工程]
前記現像工程としては、前記露光工程により前記感光層を露光し、未露光部分を除去することにより現像する工程を有する。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。該弱アルカリ水溶液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
前記弱アルカリ性の水溶液のpHとしては、例えば、約8〜12が好ましく、約9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液、0.01〜0.2質量%のKOH水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度としては、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、約25℃〜40℃が好ましい。
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
なお、現像の方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等が挙げられる。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の感光層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に感光層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
[その他の工程]
前記その他の工程としては、特に制限はなく、公知のパターン形成における工程の中から適宜選択することが挙げられるが、例えば、硬化処理工程、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−硬化処理工程−
前記現像工程後に、感光層に対して硬化処理を行う硬化処理工程を備えることが好ましい。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
前記全面露光処理の方法としては、例えば、前記現像工程の後に、前記パターンが形成された前記積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。該全面露光により、前記感光層を形成する感光性組成物中の樹脂の硬化が促進され、前記パターンの表面が硬化される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
前記全面加熱処理の方法としては、前記現像工程の後に、前記パターンが形成された前記積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。該全面加熱により、前記パターンの表面の膜強度が高められる。
前記全面加熱における加熱温度としては、120〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。該加熱温度が120℃未満であると、加熱処理による膜強度の向上が得られないことがあり、250℃を超えると、前記感光性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間としては、10〜120分が好ましく、15〜60分がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
本発明のセル内構造の製造方法は、感光層の被露光面上に結像させる像の歪みを抑制することにより、パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能であるため、高精細な露光が必要とされる柱、液晶配向制御用突起、重ね柱、及び絶縁膜などセル内構造の製造に好適に使用することができる。
(セル内構造)
本発明のセル内構造は、本発明の前記セル内構造の製造方法により製造される。
前記セル内構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、スペーサー(柱)、液晶配向制御用突起、重ね柱及び絶縁膜の少なくともいずれかが好適である。
前記スペーサー(柱)としては、液晶表示装置における液晶層の厚さを一定に保つことができるものであれば形状、大きさ、数などに特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記スペーサーの形状、すなわち、スペーサーを基板と平行な面で切断した場合の横断面の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円、楕円、角が丸い多角形、十字、T字又はL字形が好ましい。また、積層によりスペーサーを形成する場合においても、それぞれの層のスペーサーの形状は、特に制限されないが、円、楕円、角が丸い多角形、十字、T字又はL字形が好ましく、これらを任意に積層しスペーサーを形成してよい。
前記スペーサーの大きさ(高さ)は、例えば、1〜9μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。前記スペーサーの高さが1μmよりも低いと、十分なセルギャップを確保することが困難となることがあり、9μmを超えると、表示装置のセルギャップが大きくなりすぎて駆動に要する電圧が高くなり好ましくない。
スペーサーによって保たれる2枚の表示装置用基板間の間隔の画面内均一性を高める点から、画面内および画面外の非表示領域にスペーサーを形成することが好ましいが、場合によっては画面内または画面外のどちらか一方の非表示領域に形成してもよい。
スペーサーの1個あたりの面積や配置場所は表示装置の構造に大きく影響を受ける。固定されたドット状スペーサーを有するカラーフィルタにおいて1画素中の非表示領域の面積の制約から、画面内の1個あたりのスペーサー面積は、10〜1,000μmが好ましく、10〜250μmがより好ましい。ここでいうスペーサー面積とは導電層上に形成されたスペーサー最頂部であって、表示装置を作製した際に対向基板に接触する部分の面積もしくは対向基板上に作製されたスペーサーに接触する部分の面積を意味する。
前記液晶配向制御用突起(突起、配向制御突起などと称することもある)としては、液晶分子の配向の向きを規制することができるものが好ましく、表示装置の導電層の内側(導電層と液晶層の間)に形成されていればよく、その形状、形態には特に制限はない。前記形状としては、例えば、基板面(カラーフィルタ面)を底面とする角錐型(三角錐、四角錐等)、半球型のものや、基板面(又はカラーフィルタ面)を底面とする円錐型、台形型、蒲鉾型のもの、又は帯状に基板上(カラーフィルタ上)に形成されその長さ方向と直交する断面形状が三角形である三角柱状のもの、更に、その長さ方向と直交する断面形状が半円形、四角形、台形、蒲鉾形等の柱状体のものなどを用いることができる。
前記液晶配向制御用突起の配置態様としては、公知の態様の中から適宜選択することができ、例えば、特許第2947350号公報等に記載の態様で形成できる。例えば、帯状に基板上で形成されその長さ方向と直交する断面形状が台形である複数の柱状体が等ピッチで1方向に平行に延びたパターンで配置され、かつ2枚の基板の各導電層と基板との両方の間に設けられてなる態様であってもよい(特許第2947350号公報の図14参照)。前記液晶配向制御用突起(液晶配向制御用突起)が両方の基板の導電層と基板との間に設けられる場合には、必ずしも同形状の構造体を形成する必要はなく、異形状の構造体を組み合わせて形成してもよい。また、基板(又はカラーフィルタ)上に帯状に形成される構造体は、直線状の形態に限られず、所定の角度をなして屈曲状の形態で設けられてもよい(特許第2947350号公報の図42及び図55等参照)。
その他、前記液晶配向制御用突起の大きさ、配置間隔、配置形状等の詳細については、特許第2947350号公報等の記載を参照できる。
前記液晶配向制御用突起の形状の中でも、十分な視野角が得られる点で、基板と直交する断面が台形及び蒲鉾形のいずれかの形状を有する液晶配向制御用突起が好ましく、前記した基板面(又はカラーフィルタ面)を底面とする台形型、蒲鉾型や、帯状に基板(カラーフィルタ)上に形成され、その長さ方向と直交する断面形状が半円形、台形、蒲鉾形の柱状体などが好ましい。
以上の通り、前記液晶配向制御用突起は、導電層の内側(導電層と基板との間)に液晶層側に凸となるように設けられることにより、液晶配向制御用突起の凸面に沿って液晶分子の配向の向きが傾斜するように規制されるので、液晶面を観察する位置(視野角)に依存しない広視野角を確保することができる。
前記重ね柱とは、スペーサー、液晶配向制御用突起、及びカラーフィルタの着色層を重ね合わせた構造を意味する。例えば、前記ドット状スペーサーは着色層の1層、2層又は3層で構成することができる。例えば、ブラックマトリックスを形成した基板上に第1色目の着色層で所望の第1色目の着色層のパターンを形成する際に、ブラックマトリックスの開口部を被覆する部分と、着色層の積層によりスペーサーを形成する部分に着色層を残す。第2色目、第3色目も同様な操作を繰り返し、ブラックマトリックスの開口部上には1層の着色層が形成される。また、スペーサーとして十分なセルギャップを確保するためには、好ましくは2層から3層の着色層がスペーサー形成位置に積層されることが好ましい。
非表示領域であるブラックマトリックス上に着色層を1層、2層又は3層積層してスペーサーを構成することが、表示部の面積を減じることなく、また十分なセルギャップを確保する点から好ましい。しかしながら、スペーサーの高さが分割配向用突起と同じ高さであってもよい場合、すなわち、ドット状スペーサー下に着色層よりも厚いブラックマトリックスが配置されて、ドット状スペーサーと分割配向用突起とを同時に形成してもスペーサーの高さが大きくなることで分割配向用突起が対向電極基板に接しない場合などでは、着色層をスペーサー位置に置かなくともよい。つまりこのときスペーサーは分割配向用突起と同じく1層からなる。
前記重ね柱の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図18に示すように、無アルカリガラス501の上に黒ペーストを用いてブラックマトリックス502を形成する。このブラックマトリックス502の開口部を埋めるように青着色層503を形成し、同時にブラックマトリックス上にスペーサー形成位置に青着色層504を配置する。同様にして、赤着色層をブラックマトリックスの開口部507とスペーサー形成位置506に形成する。次いで、緑着色層をブラックマトリックスの開口部505とスペーサー形成位置508に形成する。次に、透明保護層509を形成し、さらに透明導電層510を積層する。透明導電層510の上に分割配向用突起511及びドット状スペーサー512を同時に形成する。以上により、重ね柱が形成される。
(表示装置)
本発明の表示装置は、互いに対向し合う側の表面に導電層が設けられた2枚の基板間に液晶層が狭持され、前記感光性組成物からなるセル内構造体(例えば、配向用突起)を基板上の導電層の内側(導電層と基板との間の表示領域)から液晶層側に凸となるように備えてなる。また、導電層上にはこれらを覆って配向膜を形成することもできる。
本発明の表示装置の基本的な構成態様としては、(1)薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という。)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、カラーフィルタ及び対向電極(導電層)を備えるカラーフィルタ側基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成されるもの、(2)カラーフィルタが前記駆動側基板に直接形成されたカラーフィルタ一体型駆動基板と、対向電極(導電層)を備える対向基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成されるもの等が挙げられる。
前記導電層としては、例えば、ITO膜;Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;SiO2等の金属酸化膜などが挙げられ、中でも透明性のものが好ましく、ITO膜が特に好ましい。
前記駆動側基板、カラーフィルタ側基板、対向基板は、その基材として、例えば、ソーダガラス板、低膨張ガラス板、ノンアルカリガラス板、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いはプラスチックフィルム等を用いて構成される。
TFT等の駆動素子と画素電極とが配列形成された駆動側基板としては、例えば、互いに垂直に交わってマトリックス状に配設されたデータバスライン及びゲートバスラインと接続されたTFT、及びTFTを介してデータバスラインと接続する導電層が設けられたものなどが挙げられる。
適用される液晶の表示方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定されるが、例えば、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、STN(Supper Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、GH(Guest Host)、FLC(強誘電性液晶)、AFLC(反強誘電性液晶)、及びPDLC(高分子分散型液晶)などが挙げられる。
前記態様のいずれにおいても、表示装置を構成する基板の両方に導電層が形成され、該両導電層間に電圧が印可されその間に狭持される液晶材料がその電圧に応じて配向状態を変化させ表示を行う。従って、既述の構造体は、いずれの導電層の内側(導電層と基板の間)にも所望の形状、形態で形成することができる。
前記構成態様(1)の一例として、図19を参照して説明する。
一方の基板210は、カラーフィルタ側基板である。基板203の液晶層206に対向する側の表面には、カラーフィルタ層207、等ピッチで形成された断面台形の構造体208,208・・・及び共通電極をなすITO膜(導電層)201が形成されている。更に、前記基板の最上面には、配向膜(不図示)が設けられている。
他方の基板220は、TFTを備える駆動側基板である。基板204の液晶層206に対向する側の表面には、TFT(不図示)、等ピッチで形成された断面台形の構造体208(図19では1個のみ示す)、及び、該TFTのドレイン電極と接合するITO膜(導電層)202が形成されている。前記基板220には、ゲート電極をなすゲートバスライン(不図示)が複数本形成されており、該ゲートバスラインに直交して複数本のデータバスライン(不図示)が平行に形成され、これらゲートバスラインとデータバスラインの交点に対応して複数個のTFTが配列されている。更に、前記基板の最上面には、配向膜(不図示)が設けられる。
前記基板210及び基板220の間には、液晶材料を封入してなる液晶層206が狭持され、構造体208は導電層201,202の内側から液晶層206側に凸に突起し、該凸面に沿って液晶分子205が配向している。
以上の通り、基板の導電層の内側(導電層と液晶層の間)に、着色のない透明な構造体が設けられるので、液晶表示面に対する観察位置(視野角)に依存しない広視野角を確保することができると共に、3原色(B(青色)、G(緑色)、R(赤色))の色純度をも損なわれず、色相ズレのない鮮明なフルカラー画像を表示し得、高品質な表示装置を提供することができる。
なお、図20は、更に別の例に係る表示装置を示し、カラーフィルタを備えていない以外には、上記図19と同様である。即ち、基板220及び基板220の間には、液晶材料を封入してなる液晶層206が狭持され、構造体208は導電層202,202の内側から液晶層206側に凸に突起し、該凸面に沿って液晶分子205が配向している。
この構成態様によっても、基板の導電層と液晶層との間に、着色のない透明な構造体が設けられるので、液晶表示面に対する観察位置(視野角)に依存しない広視野角を確保することができ、高品質な表示装置を提供することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、以下において「部」、「%」及び「分子量」は、それぞれ「質量部」、「質量%」及び「重量平均分子量」を表す。
(実施例1)
〔液晶配向制御用突起の形成〕
−ポジ型感光層の形成(塗布法)−
まず、所定サイズのガラス基板に、ブラックマトリクス用樹脂組成物を用いて所定サイズ、形状からなるストライプ状のブラックマトリクスと額縁状の遮光部を形成した。その後、特開2005−3861号公報の実施例1に記載のカラーフィルタの製造方法により、所定の位置にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)からなる着色膜を形成した。更にこの上に透明電極膜ITOをスパッタリングにより形成した。
該基板を23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・ジャパン社製、商品名:MH−1600)にて、下記の組成よりなるポジ型感光性組成物を塗布した。引き続き、VCD(真空乾燥装置、東京応化工業(株)製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、EBR(エッジ・ビード・リムーバー)にて基板周囲の不要な塗布液を除去し、120℃にて3分間プリベークして膜厚2μmの感光層を形成した。
−ポジ型感光層用塗布液(T1)の調製−
ポジ型レジスト液(富士フイルムエレクトニクスマテリアルズ株式会社製、FH2405、クレゾールノボラック樹脂、ナフトキノンジアジドエステル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート含有)58.6質量部、メチルエチルケトン22.5質量部、1−メトキシプロピル−2−アセテート18.9質量部、及びC13CHCHOCOCH=CHと、H(O(CH)CHCHOCOCH=CHと、H(OCH(CH)CHOCOCH=CHとの共重合体(共重合組成比(質量比)=40/55/5、重量平均分子量3万)のメチルエチルケトン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:メガファックF780F)0.03質量部からなるポジ型感光層用塗布液T1を常法により調製した。
前記基板上の前記ポジ型感光層に対し、下記に示す露光装置及び露光方法により露光を行った。
なお、光源として波長が405nmのレーザ光を、15段ステップウエッジパターン(ΔOD=0.15)、及び所望のセル内構造パターン(直径15μmのドット状)が得られるように、300mJ/cm照射した。
形成されたセル内構造パターンについて、以下の方法により露光感度、解像度、故障率、線幅ばらつきの評価を行った。結果を表1に示す。
<<露光装置>>
図1に外観の概略を示した露光装置10を用いた。該露光装置の露光ヘッドの構成は図7に示されるとおりであり、具体的には、前記光照射手段として図4〜6に示した合波レーザ光源と、前記光変調手段として図10に概略図を示したDMDであって、図11A及び図11Bに示すように主走査方向にマイクロミラーが1024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に756組配列された内、1024個×240列のみを駆動するように制御したDMDと、図8A〜9に示した投影レンズ及び鏡筒から構成される結像光学系と、図12〜13に示したくさび型プリズムペアとを有する露光ヘッドを備えた露光装置である。
図9に示した鏡筒400を回転させ、感光層の被露光面上に投影された2次元パターンの焦点、画質等の露光性能を計測しながら、最も良い露光性能を示す回転位置で、前記鏡筒のフランジ410とブラケット420とを固定し、投影レンズの向きを固定した。
さらに、1フレームの露光が終了し、ステージが走査方向に移動することによって感光層(積層体)が移動すると、露光エリア内における感光層のうねりの度合いが変化するため、くさび型プリズムペア54によって焦点調節を行った。
−現像工程−
次いで、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置を用いて23℃にて30秒間基板に噴霧しながら現像し、ポジ型感光層の不要部(露光部)を現像除去した。すると、カラーフィルタ側基板上には、所望の形状にパターニングされたポジ型感光層からなる構造体が形成された。
形成されたセル内構造パターンについて、以下の方法により露光感度、解像度、線幅ばらつき、及び故障率の評価を行った。結果を表3に示す。
<露光感度>
得られた前記セル内構造パターンにおいて、残った前記感光層の硬化領域の厚みを測定した。次いで、レーザ光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得た。基板上のポジ型感光層がゼロとなる光エネルギー量を最低光エネルギー量とした。
<解像度>
解像度評価のため、上記最低露光量の2倍の光照射を実施し、直径の異なる穴の像を多数形成し、これを光学顕微鏡で観察し、硬化層パターンの穴部に残膜が無い、最小の穴の直径(μm)を測定し、これを解像度とした。該解像度は数値が小さいほど良好である。
<線幅ばらつき>
直径15μmで形成されたドット状の画素のうち、20箇所について走査型電子顕微鏡(VE780、キーエンス(株)製)を用いてドット直径を測定し、そのばらつきを調べた。
<故障率>
液晶配向制御用突起の欠け、脱落の発生のしやすさを評価するため、上記最低露光量の2倍の光照射を実施し、幅6μmのテスト画像を形成し、100画像中の欠け、及び脱落の数をカウントした。カウント数が少ないほど故障率が低く好ましい。
次いで、該構造体が形成されたカラーフィルタ側基板を230℃下で30分ベークすることにより、カラーフィルタ側基板上に透明液晶配向制御用突起(a)を形成することができた。透明液晶配向制御用突起(a)の形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、線幅11μm、中央部高さ約1.5μmの蒲鉾型の断面形状を有していた。
(実施例2)
〔液晶配向制御用突起の形成〕
−転写材料(1)の作製(ポジ型感光層を有するフィルム法)−
前記支持体として、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に、下記組成からなる熱可塑性樹脂層用塗布液H1を塗布し、乾燥して、乾燥層厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
<熱可塑性樹脂層用塗布液H1の調製>
メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃)のメチルエチルケトン、1−メトキシプロピル−2−アセテート溶液(三井化学株式会社製、FM−601)55.5質量部、スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃)のメタノール、メチルエチルケトン、1−メトキシプロピル−2−アセテート溶液(日本触媒株式会社製、アロセット7055)64.8質量、ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートを2当量脱水縮合した化合物の1−メトキシプロピル−2−アセテート溶液(新中村化学工業株式会社製、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン)18.1質量部、及びC13CHCHOCOCH=CHと、H(O(CH)CHCHOCOCH=CHと、H(OCH(CH)CHOCOCH=CHとの共重合体(共重合組成比(質量比)=40/55/5、重量平均分子量3万)のメチルエチルケトン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:メガファックF780F)1.08質量部、及びメチルエチルケトン60.5質量部からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を常法により調製した。
続いて、上記熱可塑性樹脂層上に、下記組成からなる中間層用塗布液B1を塗布し、乾燥して、乾燥層厚1.6μmの中間層を形成した。
<中間層用塗布液B1の調製>
ポリビニルアルコール(鹸化度=82%、重合度500、株式会社クラレ製、PVA−405)2.90質量部、ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン(株)製、PVP K−30)1.49質量部、ポリプロピレングリコール(旭電化株式会社製、アデカポリエーテルG−300)0.32質量部、メタノール42.9質量部、及び蒸留水52.4質量部からなる中間層用塗布液を常法により調製した。
続いて、下記組成よりなるポジ型感光層用塗布液T1を調製し、上記中間層上に更に塗布し、乾燥して乾燥層厚2.0μmのポジ型感光層を積層した。
<ポジ型感光層用塗布液T1の調製>
ポジ型レジスト液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製、FH2405、クレゾールノボラック樹脂、ナフトキノンジアジドエステル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート含有)58.6質量部、メチルエチルケトン22.5質量部、1−メトキシプロピル−2−アセテート18.9質量部、及びC13CHCHOCOCH=CHと、H(O(CH)CHCHOCOCH=CHと、H(OCHCHOCOCH=CHとの共重合体(共重合組成比(質量比)=40/55/5、重量平均分子量3万)のメチルイソブチルケトン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:メガファックF780F)0.03質量部からなるポジ型感光層用塗布液を常法により調製した。
更に、上記ポジ型感光層上に、カバーフィルムとしてポリエチレンフィルム(厚み23μm、トレデガー社製、OSM−N)を圧着貼付して設け、前記支持体上に、熱可塑性樹脂層、中間層、ポジ型感光層、及びカバーフィルムがこの順に積層された転写材料(1)を作製した。
−セル内構造の作製−
まず、所定サイズのガラス基板に、ブラックマトリクス用樹脂組成物を用いて所定サイズ、形状からなるストライプ状のブラックマトリクスと額縁状の遮光部を形成した。その後、特開2000−98599号公報に記載のカラーフィルタの製造方法により、所定の位置にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)からなる着色膜を形成した。更にこの上に透明電極膜ITOのスパッタリングにより形成した。
続いて、上記より得た転写材料(1)からカバーフィルムを剥がし、そのポジ型感光層の表面と上記カラーフィルタ側基板のITO膜が設けられた側の表面とを重ね合わせ、ラミネーター(商品名:Lamic II型、(株)日立インダストリイズ社製)を用いて、100N/cm、温度130℃、搬送速度2.2m/分の条件下で貼り合わせた。その後、前記転写材料の前記支持体のみを熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、除去した。この状態では、カラーフィルタ側基板上に、ポジ型感光層、中間層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層されている。
次に、最外層である熱可塑性樹脂層の上方から基材上の前記ポジ型感光層に対し、実施例1と同様にして、波長が405nmのレーザ光を、15段ステップウエッジパターン(ΔOD=0.15)、及び所望のセル内構造パターンが得られるように300mJ/cm照射した。
次いで、1質量%トリエタノールアミン水溶液を、シャワー式現像装置にて30℃で60秒間基板に噴霧して、熱可塑性樹脂層及び中間層を溶解除去した。この段階では、ポジ型感光層は実質的に現像されていなかった。
続いて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置を用いて23℃にて30秒間基板に噴霧しながら現像し、ポジ型感光層の不要部(露光部)を現像除去した。すると、カラーフィルタ側基板上には、所望の形状にパターニングされたポジ型感光層からなる構造体が形成された。
ここで、実施例1と同様にして、セル内構造について、露光感度、解像度、線幅ばらつき、及び故障率の評価を行った。結果を表1に示す。
次いで、該構造体が形成されたカラーフィルタ側基板を230℃下で30分ベークすることにより、カラーフィルタ側基板上に透明液晶配向制御用突起(a)を形成することができた。透明液晶配向制御用突起(a)の形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、線幅11μm、中央部高さ約1.5μmの蒲鉾型の断面形状を有していた。
(実施例3)
〔柱の形成〕
−転写材料(2)の作製(ネガ型感光層を有するフィルム法)−
実施例2において、ポジ型感光層用塗布液を下記に示すネガ型感光層用塗布液に代えた以外は、実施例2と同様にして、感光性転写材料(2)を作製した。ネガ型感光層の乾燥後の膜厚は4.0μmであった。但し、カバーフィルムとしては、厚さ12μmのポリプロピレンフィルムを用いた。
−ネガ型感光層用塗布液T1の調製−
メタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体(モル比=20/80、重量平均分子量=4万)3.0質量部、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート1.8質量部、シリカゾルの30質量%メチルイソブチルケトン分散物(MIBK−ST、日産化学製)7.1質量部、フェノチアジン0.001質量部、B−CIM(保土谷化学製)0.3質量部、NBCA(黒金化学製)0.05重量部、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール0.01重量部、Aizen Victoria Pure Blue BOH−M(保土谷化学社製)0.02質量部、C13CHCHOCOCH=CHと、H(O(CH)CHCHOCOCH=CHと、H(OCH(CH)CHOCOCH=CHとの共重合体(共重合組成比(質量比)=40/55/5、重量平均分子量3万)のメチルエチルケトン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:メガファックF780F)8.6質量部、及びメタノール0.5質量部からなるネガ型感光層用塗布液T1を常法により調製した。
次に、作製した感光性転写材料T1のカバーフィルムを剥離し、これを、ITOをスパッタした実施例2と同様にして作製したカラーフィルタ上に、ラミネーター((株)日立インダストリイズ社製、LamicII型)を用いて、線圧100N/cm、130℃の加圧加熱条件下、搬送速度2.2m/分で貼り合わせた。
その後、前記支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を熱可塑性樹脂層から剥離し、除去した。
<露光工程>
仮支持体を剥離後、下記の露光装置を用いて、下記の方法により、波長が405nmのレーザ光を、15段ステップウエッジパターン(ΔOD=0.15)、及び所望のセル内構造パターンが得られるように20mJ/cm照射して露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。
次いで、前記感光層に対し、1質量%トリエタノールアミン水溶液を、シャワー式現像装置にて30℃で60秒間基板に噴霧して、前記熱可塑性樹脂層及び前記中間層を溶解除去した。この段階では、ポジ型感光層は実質的に現像されていなかった。
続いて、KOH系現像液〔(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製、商品名:CDK−1)を100倍(質量比)に希釈したもの〕を、シャワー式現像装置を用いて25℃にて60秒間基板にシャワーノズルにて噴霧しながら現像し、ネガ型感光層の不要部(未露光部)を現像除去した。すると、カラーフィルタ側基板上には、所望の形状にパターニングされたネガ型感光層からなる構造体が形成された。
ここで、実施例1と同様にして、セル内構造について、露光感度、解像度、線幅ばらつき、及び故障率を評価した。結果を表1に示す。
ただし、ネガ型であるので、感度は、感度曲線から硬化領域の厚さが4.0μmとなり、硬化領域の表面が光沢面であるときのエネルギー量を、必要な光エネルギー量とした。また、故障率については、柱であるので脱落が発生しやすい直径6μmのドットを100個形成して、その脱落数を数えて評価し、線幅ばらつきについては、100ヶのドットの線幅ばらつきを測定して評価した。
次いで、該構造体が形成されたカラーフィルタ側基板を230℃下で30分ベークすることにより、カラーフィルタ側基板上に透明柱を形成することができた。この透明柱の断面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、底部14μm、上部12μmの台形であった。
(実施例4)
実施例1の液晶配向制御用突起の形成において、下記の露光装置を用い下記の方法で露光を行った以外は、実施例1と同様にしてセル内構造を形成した。
<<露光装置>>
実施例1で用いた露光装置において、くさび型プリズムペアに代えて、図15A〜16Bに示すピエゾ素子及びマイクロレンズアレイとの組合せからなる焦点調節手段を備える露光装置を用いた。前記ピエゾ素子により、マイクロレンズアレイの焦点方向と垂直な方向への変位を抑えつつ、焦点方向への微小移動を行うことにより、焦点の調節を行った。
(比較例1)
実施例1において、焦点調節手段としてのくさび型プリズムペアを備えない構成の(又は稼動させないようにした)の露光ヘッドを用いて露光を行った以外は、実施例1と同様にして、セル内構造を形成し、露光感度、解像度、線幅ばらつき、及び故障率を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2において、焦点調節手段としてのくさび型プリズムペアを備えない構成の(又は稼動させないようにした)の露光ヘッドを用いて露光を行った以外は、実施例1と同様にして、セル内構造を形成し、露光感度、解像度、線幅ばらつき、及び故障率を評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3において、焦点調節手段としてのくさび型プリズムペアを備えない構成の(又は稼動させないようにした)の露光ヘッドを用いて露光を行った以外は、実施例1と同様にして、セル内構造を形成し、露光感度、解像度、線幅ばらつき、及び故障率を評価した。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、露光装置における投影レンズによる結像を、前記投影レンズの全面で行った以外は、実施例1と同様にして、セル内構造を形成し、露光感度、解像度、線幅ばらつき、及び故障率を評価した。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域の向きを調整せずに露光を行った以外は、実施例1と同様にして、セル内構造を形成し、露光感度、解像度、線幅ばらつき、及び故障率を評価した。結果を表1に示す。
表1の結果から、比較例1〜5のセル内構造と比較して、実施例1〜4のセル内は高精細であり、線幅ばらつきが極めて小さいことがわかった。このことから、周辺領域にレンズ歪みを持たせて、中央部を含む領域のレンズ歪みを少なくした投影レンズを用い、該投影レンズを回転可能とした鏡筒を備えた露光ヘッドを使用することにより、低コストで高精細な露光を実現することができ、また、くさび型プリズムペアを備えることにより、簡単かつ短時間で焦点距離を調整することができるため、効率の良い露光ができることがわかった。
[表示装置の作製及び評価]
実施例1〜4の透明液晶配向制御用突起付き基板を用いて、公知の方法(特開平11−248921号公報)により液晶パネルを作製し、表示性能を評価した。この結果、作製された前記液晶パネル(表示装置)は、良好な表示特性を示すことが確認できた。
本発明のセル内構造の製造方法は、装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、セル内構造を高精細に、かつ効率よく形成可能であるため、該セル内構造の製造方法により製造されたセル内構造は、欠けや脱落などの故障の発生が抑制され、携帯端末、携帯ゲーム機、ノートパソコン、テレビモニター等の液晶表示装置(LCD)用、PALC(プラズマアドレス液晶)、プラズマディスプレイなどの表示装置用として好適である。
図1は、露光装置の概略外観図である。 図2は、スキャナの概略外観図である。 図3は、露光ヘッドの内部構成を示した図である。 図4は、光照射手段としての光源ユニットの構成を示した図である。 図5は、光照射手段におけるレーザ出射部の構成を示した図である。 図6は、光照射手段におけるLDモジュールの構成を示した図である。 図7は、露光ヘッドを構成する光学要素の説明図である。 図8Aは、投影レンズを示した平面図である。 図8Bは、投影レンズを示した平面図である。 図9は、結像光学系を備える鏡筒の概略側面断面図と鏡筒の概略平面図である。 図10は、光変調手段であるDMDの概略斜視図である。 図11Aは、DMDを構成するマイクロミラーの使用領域の説明図である。 図11Bは、DMDを構成するマイクロミラーの使用領域の説明図である。 図12は、焦点調節手段であるくさび型プリズムペアの構成を示す側面図である。 図13は、焦点調節手段であるくさび型プリズムペアの概略斜視図である。 図14は、露光ヘッドを構成する光学要素の説明図である。 図15Aは、焦点調節手段の他の一例であるピエゾ素子を備えたマイクロレンズアレイの構成を示す図である。 図15Bは、焦点調節手段の他の一例であるピエゾ素子を備えたマイクロレンズアレイの構成を示す図である。 図16Aは、焦点調節手段の他の一例であるピエゾ素子を備えたマイクロレンズアレイの構成を示す図である。 図16Bは、焦点調節手段の他の一例であるピエゾ素子を備えたマイクロレンズアレイの構成を示す図である。 図17Aは、感光材料とDMDの位置関係を概略的に示した斜視図である。 図17Bは、感光材料とDMDの位置関係を概略的に示した側面図である。 図18は、導電層上に形成されたドット状スペーサーと突起とを有する基板の一例を示す断面図である。 図19は、本発明の表示装置の一例を示す断面構成図である。 図20は、本発明の表示装置の別の一例を示す断面構成図である。
符号の説明
10 露光装置
30 露光ヘッド
80 DMD
50 結像光学系
51 第1投影レンズ
52 第2投影レンズ
54 くさび型プリズムペア
12 感光材料

Claims (15)

  1. 少なくともバインダーを含む感光性組成物からなり、基材の表面に位置する感光層に対し、
    光照射手段からの光を受光してパターン情報に基づいて変調する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させ、前記光変調手段により変調された光を、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像させて露光を行うことを少なくとも含み、
    前記露光が、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて、前記光変調手段により変調された光が結像され、
    前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向けられて行われる露光工程と、
    該露光工程により露光された感光層を現像する現像工程と
    を含むことを特徴とするセル内構造の製造方法。
  2. 結像手段が、長辺の長さが短辺の長さの2倍以上の略矩形状の領域において、光変調手段により変調された光を結像する請求項1に記載のセル内構造の製造方法。
  3. 焦点調節手段が、光変調手段により変調された光の光軸方向の厚さが変化するように形成されたくさび型プリズムペアを有し、
    前記くさび型プリズムペアを構成する各くさび型プリズムを移動することによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点を調節する請求項1から2のいずれかに記載のセル内構造の製造方法。
  4. 焦点調節手段が、結像光学系を構成する光学部材と、ピエゾ素子とを有し、
    前記光学部材を前記ピエゾ素子により移動させることによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点を調節する請求項1から2のいずれかに記載のセル内構造の製造方法。
  5. 結像手段が、光変調手段により変調された光の光軸に対し、前記光軸を中心に回転可能なレンズ、及び前記光軸に対して垂直方向に移動可能レンズのいずれかにより構成されてなる請求項1から4のいずれかに記載のセル内構造の製造方法。
  6. 光変調手段が、空間光変調素子である請求項1から5のいずれかに記載のセル内構造の製造方法。
  7. 光照射手段が、半導体レーザ素子から発せられたレーザ光を出射する請求項1から6のいずれかに記載のセル内構造の製造方法。
  8. 光照射手段が、半導体レーザ素子から発せられたレーザ光を一端から入射し、入射したレーザ光を他端から出射する光ファイバを複数本束ねたバンドル状のファイバ光源である請求項7に記載のセル内構造の製造方法。
  9. 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である請求項7から8のいずれかに記載のセル内構造の製造方法。
  10. 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを平行光化して集光し、前記マルチモード光ファイバの入射端面に収束させる光源集光光学系とを有する請求項7から9のいずれかに記載のセル内構造の製造方法。
  11. 感光層が、ポジ型感光層及びネガ型感光層のいずれかである請求項1から10のいずれかに記載のセル内構造の製造方法。
  12. ポジ型感光層が、フェノール樹脂、及びナフトキノンジアジド誘導体から選択される少なくとも2種を含有する請求項11に記載のセル内構造の製造方法。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載のセル内構造の製造方法により製造されたことを特徴とするセル内構造。
  14. 柱、液晶配向制御用突起、重ね柱、及び絶縁膜の少なくともいずれかである請求項13に記載のセル内構造。
  15. 請求項13から14のいずれかに記載のセル内構造を用いたことを特徴とする表示装置。
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