JP2007024118A - エンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】 ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上させたエンジンのピストンピン支持構造およびクランク軸支持構造を提供する。
【解決手段】 エンジンのピストンピン支持構造は、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドとピストンを連結するピストンピンと、コンロッドの小端部に設けられ、ピストンピンを支持するころ軸受とを有する。また、エンジンのクランク軸支持構造は、コンロッドの大端部と連結され、回転運動を出力するクランク軸と、クランク軸を支持するころ軸受とを有する。上記したころ軸受の保持器は、V型フォーム成型工程の後に、ポケット抜き工程を行っている。側壁面に含まれるせん断面のうち、柱部の折り曲げ部に相当する部分の形状測定線32は、局部的な凹凸部分を有さず、側壁面の中央部に位置するせん断面は平らであり、針状ころの外形輪郭線31に沿う形状である。
【選択図】 図5
【解決手段】 エンジンのピストンピン支持構造は、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドとピストンを連結するピストンピンと、コンロッドの小端部に設けられ、ピストンピンを支持するころ軸受とを有する。また、エンジンのクランク軸支持構造は、コンロッドの大端部と連結され、回転運動を出力するクランク軸と、クランク軸を支持するころ軸受とを有する。上記したころ軸受の保持器は、V型フォーム成型工程の後に、ポケット抜き工程を行っている。側壁面に含まれるせん断面のうち、柱部の折り曲げ部に相当する部分の形状測定線32は、局部的な凹凸部分を有さず、側壁面の中央部に位置するせん断面は平らであり、針状ころの外形輪郭線31に沿う形状である。
【選択図】 図5
Description
この発明は、2サイクルエンジン等のエンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジンに関する。
自動二輪車等の汎用エンジンには、排気量の小さい2サイクルエンジンが使用されている。このような、2サイクルエンジンに関する技術が、特開平7−332371号公報(特許文献1)に記載されている。
図6は、コンロッドの小端部および大端部に針状ころ軸受を使用した2サイクルエンジンの縦断面図である。図6を参照して、2サイクルエンジンは、回転運動を出力するクランク軸103と、混合気の燃焼により直線往復運動を行うピストン105と、クランク軸103とピストン105とを連結し、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッド104とを有する。クランク軸103は、回転中心軸111を中心に回転し、バランスウェイト112によって回転のバランスをとっている。
コンロッド104は、直線状棒体の下方に大端部115を、上方に小端部116を設けたものからなる。クランク軸103は、コンロッド104の大端部115に、ピストン105とコンロッド104を連結するピストンピン114は、コンロッド104の小端部116に、それぞれころ軸受106を介して回転自在に支持されている。
ガソリンと潤滑油とを混合した混合気は、吸気孔107からクランク室102へ送り込まれてから、ピストン105の上下動作に応じてシリンダ101の上方の燃焼室109へ導かれ燃焼される。燃焼された排気ガスは排気孔108から排出される。
上記したコンロッドの小端部および大端部に備えられ、ピストンピンおよびクランク軸を支持するころ軸受には、軸受投影面積が小さいにもかかわらず、高荷重の負荷を受けることができ、かつ、高剛性であるシェル形針状ころ軸受が使用される。ここで、シェル形針状ころ軸受は、鋼板を絞り加工等して成型されたシェル形外輪と、針状ころと、シェル形外輪の内径面に沿うように配置される保持器とを含む。保持器には、針状ころを保持するためのポケットが設けられ、各ポケットの間に位置する柱部で、各針状ころの間隔を保持する。
ここで、上記したシェル形針状ころ軸受に含まれる保持器の製造方法について、簡単に説明する。まず、保持器の材料となる帯鋼を、ころを保持することができる大きさのポケット穴を開口するようポケット抜きする。その後、帯鋼の断面形状がV字状となるように、成型プレスにてV型フォーム成型加工する。V型フォーム成型加工後、保持器の円周長さとなるように切断し、切断された鋼板を円筒状に折り曲げ、折り曲げられた鋼板の端面同士を溶接等により接合し、熱処理工程を行い、保持器を製造する。
ここで、V型フォーム成型加工を行うと、径方向の断面高さを大きく確保することができるため、次のような効果が生じる。図7は、V型フォーム成型加工を行った後に、切断された帯鋼を円筒状に折り曲げる前後の径方向の断面図である。保持器124が円筒状に折り曲げられる前(図7(a))の柱部126の内径面132側の間隔は、保持器124が円筒状に折り曲げられた後(図7(b))に小さくなるため、ポケットに保持された針状ころ123が、内径面132側に抜け落ちることを防止することができる。この場合、さらに、柱部126の外径面131側に、ころ抜け防止部を設けることにより、針状ころ123が外径面131側に抜け出るのを防止するようにしてもよい。
また、図8は、針状ころ123が保持された保持器124が、外輪122および軸121に組み込まれた状態を示す図であり、V型フォーム成型加工を行うことにより、針状ころ123を案内するのに最も挙動が安定する位置であるPCD(Pitch Circle Diameter)125付近で、針状ころ123を案内することもできる。
なお、上記した工程により製造された保持器と同様の形状を有する針状ころ軸受の保持器が、特開2005−98368号公報(特許文献2)に記載されている。
特開平7−332371号公報(段落番号0012〜0013、図1)
特開2005−98368号公報(段落番号0040、図2)
上記したポケット抜き工程では、打ち抜き刃を有するポンチ等で、保持器の材料である帯鋼に対し、ポケット形状に刃先を押し当てて打ち抜くことにより行う。この場合、打ち抜かれたポケットの側壁面、すなわち、各ポケットの間に位置する柱部の側壁面には、せん断面および破断面が発生することになる。せん断面とは、ポンチ等の打ち抜き刃の刃先によって打ち抜かれて切断される平滑な面である。また、破断面とは、ポンチ等の打ち抜き刃によって打ち抜くときに、刃先によって押し込まれた材料で引きちぎられるように切断される粗い面である。
ここで、ポケット抜き工程において、円筒状に折り曲げられたときに、内径面となる側からポケットを打ち抜くと、柱部の側壁面の外径面となる側に破断面が位置することになる。
図9は、この場合の保持器124の径方向の断面図である。図9を参照して、内径面132側となる図中の矢印Xの方向からポケット抜きを行うと、保持器124はV型フォーム成型加工されているため、針状ころを保持したときに、側壁面130の中央部のPCD125付近に、破断面129が位置することになる。そうすると、針状ころを安定して案内することができない。
このような問題に対応するため、ポケット抜き工程において、円筒状に折り曲げられたときに、外径面となる側からポケットを打ち抜くことが考えられる。そうすると、柱部の側壁面の外径面となる側に、せん断面が位置することになる。
この場合のPCD上における側壁面の長手方向に走査して得られる形状測定線134を、針状ころの外形輪郭線133と重ねて、図10に示す。図10中、縦方向の1枡は10μm、横方向の1枡は0.2mmである。図10を参照して、形状測定線134は、せん断面である中央部に対して、破断面である端部が凹んだ形状となる。そうすると、針状ころは、側壁面の中央部のせん断面に接触して案内されることになる。
しかし、中央部のせん断面のうち、柱部の折り曲げ部分に相当する部分135は、中央部のせん断面に対して、針状ころの外形輪郭線133側に凸状となっている。これは、V型フォーム成型加工において、柱部がV字状に折り曲げられたときに、柱部の外径側の余肉によって、柱部の折り曲げ部分に相当する部分の側壁面が盛り上がったことによるものである。
針状ころを案内するせん断面にこのような凸状部分が含まれると、ころの案内時に、中央部のせん断面の全体がころの転動面と当接することにならず、凸状部分が局部的に当接することになり、安定して針状ころを案内することができない。このような保持器を含むころ軸受を、上記した2サイクルエンジンのピストンピン支持構造等に使用すると、針状ころのスキューが発生し、焼付きが生じるおそれがある。
この発明は、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上させたエンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジンを提供することを目的とする。
この発明に係るエンジンのピストンピン支持構造は、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドの小端部をピストンと連結するピストンピンと、ピストンピンを支持するころ軸受とを有する。上記したころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器を含み、保持器は、一対の環状部と、ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結し、その中央部を折り曲げて径方向内側に凹んだ形状とした柱部とを含む。ここで、柱部の側壁面は、径方向外側に位置し、ポケットを形成するように打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面と、径方向内側に位置し、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面とを有し、せん断面のうち、ころの転動面に沿う案内面は、長手方向に走査して得られる形状測定線において、局部的な凹凸部分を有しない平らな形状線を有する。
このように構成することにより、ころ軸受に備えられた保持器のうち、柱部の側壁面に含まれる、ころを案内するせん断面において、ころと局部的に当接する部分がなくなる。したがって、中央部のせん断面の全体でころと当接することになるため、安定してころを案内することができ、このようなころ軸受によってピストンピンを支持することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上したエンジンのピストンピン支持構造を得ることができる。
この発明の他の局面においては、エンジンのクランク軸支持構造は、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドの大端部と連結され、回転運動を出力するクランク軸と、クランク軸を支持するころ軸受とを有する。上記したころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器を含み、保持器は、一対の環状部と、ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結し、その中央部を折り曲げて径方向内側に凹んだ形状とした柱部とを含む。ここで、柱部の側壁面は、径方向外側に位置し、ポケットを形成するように打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面と、径方向内側に位置し、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面とを有し、せん断面のうち、ころの転動面に沿う案内面は、長手方向に走査して得られる形状測定線において、局部的な凹凸部分を有しない平らな形状線を有する。
このように構成することにより、ころ軸受に備えられた保持器のうち、柱部の側壁面に含まれる、ころを案内するせん断面において、ころと局部的に当接する部分がなくなる。したがって、中央部のせん断面の全体でころと当接することになるため、安定してころを案内することができ、このようなころ軸受によってクランク軸を支持することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上したエンジンのクランク軸支持構造を得ることができる。
この発明のさらに他の局面においては、2サイクルエンジンは、上記したピストンピン支持構造または上記したクランク軸支持構造を有する。
このように構成することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンを得ることができる。
この発明によれば、ポケット抜き工程により発生した側壁面のせん断面に、柱部の折り曲げ部分において凸状となる部分が含まれることはない。したがって、ころ軸受に備えられた保持器の柱部の側壁面に含まれ、ころを案内するせん断面において、ころと局部的に当接する部分がなくなり、中央部のせん断面の全体でころと当接することになる。その結果、安定してころを案内することができ、このようなころ軸受によってピストンピンを支持することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上したエンジンのピストンピン支持構造を得ることができる。同様に、このようなころ軸受によってクランク軸を支持することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上したエンジンのクランク軸支持構造を得ることができる。
また、このようなピストンピン支持構造またはクランク軸支持構造を使用することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンを提供することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る2サイクルエンジンの要部を示す断面図である。図1を参照して、2サイクルエンジン10は、混合気の燃焼により直線往復運動を行うピストン(図示せず)と、回転運動を出力するクランク軸18と、ピストンとクランク軸18を連結し、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッド15とを有する。ピストンは、ピストンピン17によって、シェル形外輪を有する針状ころ軸受11を介して、コンロッド15の小端部と連結されている。また、クランク軸18は、シェル形外輪を有する針状ころ軸受16を介して、コンロッド15の大端部と連結されている。
ピストンピン17の外周面が組み込まれた針状ころ軸受11は、コンロッド15の小端部に設けられた係合孔に取り付けられ、ピストンピン支持構造を形成している。同様に、クランク軸18の外周面が組み込まれた針状ころ軸受16は、コンロッド15の大端部に設けられた係合孔に取り付けられ、クランク軸支持構造を形成している。なお、コンロッド15の小端部および大端部に取り付けられた針状ころ軸受11、16は、サイズは異なるものの、同様の構成を有するため、以下、針状ころ軸受11について説明する。
針状ころ軸受11は、外輪12と、外輪12の内径面に沿うように配置される複数の針状ころ13と、針状ころ13を保持する保持器14とを有する。保持器14は、外輪12の両端面側に位置する一対の環状部と、各針状ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結する柱部とを有する。
ここで、針状ころ軸受11を構成する部材のうち、保持器14の製造方法について説明する。
図2は、針状ころ軸受11の保持器14を製造する工程を示すフローチャートである。また、図3は、図2に示された工程のうち、代表的な工程を表す概略図である。図2および図3を参照して、保持器14の製造方法について説明する。
まず、保持器14の材料となる鋼板に対し、帯鋼の状態(図3(a))において、断面形状がV字状となるようにプレス成型するV型フォーム成型工程(図3(b))を行う。ここで、V字状とは、円筒状に折り曲げられたときに、帯鋼の中央部と、帯鋼の端部とが、径方向に段差が設けられるように押し曲げることをいう。これは、後の曲げ工程で円筒状に折り曲げたときに、外径面となる側から内径面となる側に向かって、プレスで押圧することによって行う。
次に、V型フォーム成型工程によって押し曲げられた帯鋼に対し、針状ころ13を保持するポケットを形成するためのポケット抜き工程(図3(c))を行う。ポケット抜き工程は、打ち抜き刃を有するポンチで、帯鋼に対し、ポケット形状に刃先を押し当てて打ち抜くことにより行う。ここで、ポンチの打ち抜く方向であるが、後の曲げ工程で円筒状に折り曲げたときに、外径面となる側から打ち抜きを行う。したがって、ポケット抜き工程によって形成されたポケット間に位置する柱部のうち、その中央部は、帯鋼の端部に位置する環状部よりも径方向の内側に凹んだ形状となる。
こうすることにより、最終的に製造された保持器について、外径面となる側の柱部の側壁面はせん断面となり、内径面となる側の柱部の側壁面は破断面となる。
また、V型フォーム成型加工を行った後にポケット抜き工程を行うため、V型フォーム成型工程で折り曲げられた柱部の側壁面において、折り曲げによる偏肉を生ずることはない。したがって、ポケット抜き工程により発生した側壁面のせん断面に、柱部の折り曲げ部分において凸状となる部分が含まれることはない。
その後、保持器14の円周長さとなるように、帯鋼を切断する切断工程を行う。次に、切断された鋼板を、外輪12の内径面に沿うような円筒状に折り曲げる曲げ工程(図3(d))を行い、その後、両端面を溶接等により接合する接合工程を行った後、軟窒化処理や浸炭焼入処理等の熱処理工程を行って、保持器14が製造される(図3(e))。
なお、このようにして製造された保持器14のポケットに、複数の針状ころ13を組み込み、針状ころ13が組み込まれた保持器14を外輪12に取り付け、針状ころ軸受11が製造される。
図4は、上記した製造工程で製造された保持器14の軸方向の断面図である。図4において、点線で示された部分は、保持器14のポケットに保持された針状ころ13を示しており、一点鎖線は、PCD26を示す。また、この場合のPCD26における側壁面25の長手方向に走査して得られる形状測定線32を、針状ころ13の外形輪郭線31と重ねて、図5に示す。図5中、縦方向の1枡は10μm、横方向の1枡は0.2mmである。この場合において、針状ころ13を案内するせん断面23の軸方向の長さは、針状ころ13の軸方向の長さの60%以上確保されている。
図4および図5を参照して、柱部22の中央部は、上述したV型フォーム成型工程において、断面形状がV字状となるように内径面28側に押し曲げられているため、環状部21よりも内径面28側に位置することになる。また、上述したポケット抜き工程において、外径面27側からポンチの打ち抜き刃を押し当てて打ち抜いているため、柱部22の側壁面25では、外径面27側にはせん断面23が位置し、内径面28側には破断面24が位置している。
したがって、PCD26上において、側壁面25の中央部には、外径面27側のせん断面23が位置し、側壁面25の端部には、内径面28側の破断面24が位置することになる。
ここで、柱部の折り曲げ部に相当する部分の形状測定線32は、局部的な凹凸部分を有さず、側壁面25の中央部に位置するせん断面23は平らであり、針状ころ13の外形輪郭線31に沿う形状となる。そうすると、針状ころ13の中央部と側壁面25の中央部のせん断面23は、針状ころ13と局部的に当接することなく、せん断面23の全体で針状ころ13と当接することができ、安定して針状ころ13を案内することができる。
なお、せん断面23の長さをころ長さの60%以上とするには、上記したV型フォーム成型工程において、PCD26上のせん断面23の長さを、ころ長さの60%以上になるように押し曲げることにより行ってもよい。具体的には、図4中のAの寸法、すなわち、PCD26における一方の環状部21側の破断面24の寸法を、ポケットの軸方向の長さであるBの寸法の20%以下となるように、V字状に、かつ、径方向に押し曲げることにより行う。このようにすると、針状ころ13と平らな面で接触するせん断面23を多くすることができ、針状ころ13の挙動を抑え、より安定して針状ころ13を案内することができる。
ここで、実施例として、図5で示した、せん断面がころ長さの60%以上である保持器が含まれる針状ころ軸受、サンプルAとして、せん断面がころ長さの50%である保持器が含まれる針状ころ軸受、従来品として、従来の保持器が含まれる針状ころ軸受について、各針状ころ軸受をコンロッドに使用して、耐焼付き性を確認する試験を実施した。
試験条件は、以下の通りである。また、本試験結果を、表1に示す。
混合比 :ガソリン/潤滑オイル=100/1
運転パターン :フルスロットル
運転時間 :2時間又は焼き付くまで
運転パターン :フルスロットル
運転時間 :2時間又は焼き付くまで
表1は、上記した試験の結果を示す表である。表1を参照して、従来品においては、針状ころ軸受10個中、7個に対して焼付きが発生した。また、サンプルAにおいては、針状ころ軸受10個中、5個に対して焼付きが発生した。実施例においては、針状ころ軸受10個中、焼付きが発生した軸受はなかった。
したがって、せん断面の軸方向の長さがころ長さの60%以上である場合は、焼付きが発生しなかったので、せん断面の軸方向の長さは60%あれば十分である。
以上より、上記のような構成の針状ころ軸受を2サイクルエンジンのピストンピン支持構造に使用することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンのピストンピン支持構造を得ることができる。同様に、上記のような構成の針状ころ軸受を2サイクルエンジンのクランク軸支持構造に使用することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンのクランク軸支持構造を得ることができる。また、このような2サイクルエンジンのピストンピン支持構造または2サイクルエンジンのクランク軸支持構造に使用することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンを得ることができる。
なお、上記の実施の形態においては、ピストンピン支持構造等について、2サイクルエンジンを用いて説明したが、これに限らず、他のエンジン、たとえば、4サイクルエンジンであってもよい。
また、上記の実施の形態においては、シェル形針状ころ軸受について説明したが、これに限らず、ソリッド形針状ころ軸受であってもよい。
なお、上記した実施の形態においては、針状ころ軸受について説明したが、これに限らず、棒状ころ軸受、円筒ころ軸受等、他のころ軸受であってもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明に係るエンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジンは、ころを安定して案内することができるころ軸受を備えているため、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上させた2サイクルエンジンのピストンピン支持構造、2サイクルエンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジンに有効に利用できる。
10 2サイクルエンジン、11,16 針状ころ軸受、12 外輪、13 針状ころ、14 保持器、15 コンロッド、17 ピストンピン、18 クランク軸、21 環状部、22 柱部、23 せん断面、24 破断面、25 側壁面、26 PCD、27 外径面、28 内径面、31 外形輪郭線、32 形状測定線。
Claims (3)
- 直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドの小端部をピストンと連結するピストンピンと、
前記ピストンピンを支持するころ軸受とを有するエンジンのピストンピン支持構造において、
前記ころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器を含み、
前記保持器は、一対の環状部と、前記ころを収容するポケットを形成するように前記一対の環状部を連結し、その中央部を折り曲げて径方向内側に凹んだ形状とした柱部とを含み、
前記柱部の側壁面は、径方向外側に位置し、前記ポケットを形成するように打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面と、径方向内側に位置し、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面とを有し、
前記せん断面のうち、前記ころの転動面に沿う案内面は、長手方向に走査して得られる形状測定線において、局部的な凹凸部分を有しない平らな形状線を有する、エンジンのピストンピン支持構造。 - 直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドの大端部と連結され、回転運動を出力するクランク軸と、
前記クランク軸を支持するころ軸受とを有するエンジンのクランク軸支持構造において、
前記ころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器を含み、
前記保持器は、一対の環状部と、前記ころを収容するポケットを形成するように前記一対の環状部を連結し、その中央部を折り曲げて径方向内側に凹んだ形状とした柱部とを含み、
前記柱部の側壁面は、径方向外側に位置し、前記ポケットを形成するように打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面と、径方向内側に位置し、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面とを有し、
前記せん断面のうち、前記ころの転動面に沿う案内面は、長手方向に走査して得られる形状測定線において、局部的な凹凸部分を有しない平らな形状線を有する、エンジンのクランク軸支持構造。 - 請求項1に記載のピストンピン支持構造または請求項2に記載のクランク軸支持構造を有する、2サイクルエンジン。
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JP2005204631A JP2007024118A (ja) | 2005-07-13 | 2005-07-13 | エンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジン |
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JP2005204631A Withdrawn JP2007024118A (ja) | 2005-07-13 | 2005-07-13 | エンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジン |
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JP (1) | JP2007024118A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009162244A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Jtekt Corp | 分割転がり軸受 |
JP2014149076A (ja) * | 2013-01-10 | 2014-08-21 | Nsk Ltd | ラジアルニードル軸受用保持器及びその製造方法 |
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2005
- 2005-07-13 JP JP2005204631A patent/JP2007024118A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009162244A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Jtekt Corp | 分割転がり軸受 |
JP2014149076A (ja) * | 2013-01-10 | 2014-08-21 | Nsk Ltd | ラジアルニードル軸受用保持器及びその製造方法 |
WO2014133083A1 (ja) * | 2013-03-01 | 2014-09-04 | 日本精工株式会社 | ラジアルニードル軸受用保持器およびその製造方法 |
EP2963308A4 (en) * | 2013-03-01 | 2016-10-05 | Nsk Ltd | HOLDER FOR A RADIAL NEEDLE BEARING AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF |
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